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(6537) WASHハウス株式会社

グロース

ブリッジレポート:(6537)WASHハウス 2024年12月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

児玉 康孝 社長

WASHハウス株式会社(6537)

 

 

企業情報

市場

東証グロース、福証Q-Board

業種

サービス業

代表取締役社長

児玉 康孝

所在地

宮崎県宮崎市新栄町86番地1

決算月

12月末日

HP

https://www.wash-house.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

380円

6,925,400株

2,632百万円

1.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

13.13円

28.9倍

249.23円

1.5倍

*株価は4/24終値。ROE・BPS・PBRは24/12期実績、DPS・EPS・PERは25/12期予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年12月(実)

2,132

-140

-142

-176

-25.62

0.00

2022年12月(実)

1,921

-54

61

11

1.70

0.00

2023年12月(実)

1,914

13

26

-33

-4.83

0.00

2024年12月(実)

2,083

22

24

31

4.53

0.00

2025年12月(予)

3,292

189

178

90

13.13

0.00

*単位:百万円。

 

WASHハウス株式会社の2024年12月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年12月期決算概要
3.2025年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/12期の売上高は前期比8.8%増の20億83百万円。積極的な利用促進キャンペーンを展開し店舗売上高は前年比2%増で推移した。WASHハウスアプリでは約1.5ヶ月前倒しの24年11月11日に計画値を達成し、累計89.9万ダウンロード。営業利益は前期比69.1%増の22百万円。利益面では、売上総利益率が前年同期38.2%から38.5%に改善、販管費の増加を抑え、営業利益率が向上した。収益構造の変革に向けた活動の成果が現れ、会社予想を上回り増収増益での着地となった。

     

  • 25/12期は売上高が前期比58.0%増の32億92百万円、営業利益は同748.8%増の1億89百万円を計画する。「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の成長をさらに加速させていく。FC部門では、自社オリジナル洗濯機・乾燥機を順次店舗導入させるとともに、店舗網も拡大させていく。店舗運営部門では、24/12期を超える利用促進キャンペーンを実施していく。ランドリーサービス以外の価値もさらに提供し続けていく考え。このほか、コンテナ型セルフランドリー店舗の販売や、ホテルを始めとするコンテナを活用した店舗開発、販売、運営も行っていく。出店はFCで30店舗計画しており、25/12期末は直営65店舗、FC548店舗になる見通し。

     

  • 24/12期の最大のトピックはオリジナル洗濯機・乾燥機の完成であろう。期中にはオリジナル洗濯機・乾燥機を設置したコンテナ型セルフランドリー店舗がオープンした。25/12期はオリジナルランドリー機器の店舗導入および店舗網の拡大、前期を超える利用促進キャンペーンの実施が計画され、前期比で増収・増益を予想。また、WASHハウスアプリのダウンロード数は23/12期末時点の54万から足元2月は92万ダウンロードに達しており、顧客基盤は着実に強化されている。さらに、注目しておきたいのが海外展開。25/12期中には中国で初出店を見込んでおり、いよいよ海外へ本格進出の足掛かりとなりそうだ。ここでもオリジナル洗濯機・乾燥機が競争力を発揮することになるだろう。株価は低迷しているが、実績を積み上げていくとともに株式市場での評価も大きく変わることになりそうだ。

     

1.会社概要

セルフランドリー業界のグローバルスタンダードの創造を目指し、FCを中心にセルフランドリー店舗を展開。
全店舗一括管理運営方式によるクオリティ統一化という今までにない新たなFCビジネスの仕組みを創り出し、FC本部と加盟店の共栄を実現。ストック型の安定した収益構造なども大きな強み。
大阪、東京への進出を契機に全国展開を本格化へ。将来は海外展開も視野に入れている。
2024年12月現在、1都1府25県に583店舗(FC518店舗、直営65店舗)を出店。

 

【1-1 上場までの沿革】

児玉社長が起業するにあたり、少子高齢化や人口減少が確実な時代に永続的に売上・利益を伸ばしていくためにはどうしたらよいか、社会的意義がある事業か、先行事業者がいるか、競争に勝てるか、容易に真似されないか、ストック型の事業にできるかなど様々な観点から事業を検討した結果たどり着いたのがセルフランドリー事業だった。

 

事業規模拡大のためにはFC展開が適しているが、FC本部と加盟店との対立というFCビジネスの問題点解決のために24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポートなどからなる「全店舗一括管理運営方式」をいち早く導入しFC加盟店の負担を大きく低減。働く女性の増加に伴うニーズの拡大も追い風となりビジネスは順調に成長していった。
創業の地、宮崎県を含む九州地区中心から、出店エリアを順次拡大し、2015年12月大阪、16年7月には東京へも進出。
16年11月、東証マザーズ、福証Q-Boardに同時上場した。22年4月に東証グロース市場に移行。

 

 

【1-2 経営理念など】

経営理念として、「全ての発想をお客様の立場で考えることを基準とし、真に社会から必要とされる存在であり続ける。」を掲げている。
この経営理念の下、従来のような「単にセルフランドリー機器を販売し、それを購入したオーナーが運営するセルフランドリー」ではなく、出店後における店舗の完全管理を行うことを目的として、FCオーナーに代わり店舗利用者に気持ち良く利用してもらえるようなサービスを提供し続けることを目指し、「セルフランドリー業界のグローバルスタンダードの創造」に取り組んでいる。

 

【1-3 市場環境】

◎セルフランドリーが必要とされる社会的背景
近年アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患により医療機関を受診する患者数は増加傾向にあり、アレルギー疾患で問題になるのは粉状になったダニの糞やダニの死骸への反応であると言われている。さらに花粉症やPM2.5の健康被害も看過することはできない。
新生児の3人に2人が何らかのアレルギーを持つ現代。住宅の機密性が高まったことで、新品の布団でも1か月経つと約30万匹のダニが繁殖すると言われている。
また、マンションで洗濯機・乾燥機を設置できない、布団などの大物を洗う機器がない、ベランダに干せないといった物理的な理由や、共働きで時間を効率的に使いたい、子どもがいて大量の洗濯物を処理しなければならないといった背景から、セルフランドリーの重要性は日増しに高まっている。

 

◎期待されるセルフランドリーの将来性
厚生労働省の「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」によれば、平成25年度の全国のセルフランドリーの施設数は16,693か所で、平成8年度の10,228か所からのCAGR(年平均成長率)は2.9%となっている。こうした成長の背景としては共働きの増加による「洗濯時間を減らしたい」という働く女性のニーズ、花粉症などアレルギー対策、良品廉価の衣料品の増加によるクリーニング利用の減少、清潔意識の向上などがあげられる。
同社店舗を中心とした半径2km内の全世帯のうち何世帯がセルフコインランドリーを利用しているかを示す「利用率」は、この10年間で2倍以上の上昇を見せており、今後も利用率の上昇が見込まれている。(同社調べ)

 

(同社HPより)

 

◎ビジネスの特徴とプレーヤー
セルフランドリーは他に類のないユニークなビジネス。硬貨を投入して初めて機器が稼働し、洗剤やガスを使うシステムであるため在庫やロスが発生しない。そのため、少人数の利用者でも経営が成り立つという特殊性を持っている。また無人店舗であることから事業運営が個人の能力に左右されることがなく、人件費も最低限に抑えることが可能。さらにほとんどが個人経営であり、経営意識も低く法令への対応が遅れた旧態依然とした業界。
セルフランドリー市場のメインプレーヤーは同社を含め4~5社と言われており、同社は最多の同一ブランド管理店舗数を有し、かつ、唯一の上場企業である。
また多くの企業が成長(出店数増)のためにFCビジネスで事業展開しているが、同社は徹底したオペレーションの効率化とクオリティの統一化を追求した「全店舗一括管理運営方式」という他に類を見ない新たなFCビジネスの仕組みを構築している。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照。)

 

【1-4 事業内容】

1.部門構成
22/12期から部門が「FC部門」、「店舗管理部門」、「直営その他部門」の3部門から「FC部門(旧FC部門)」、「店舗運営部門(旧店舗管理部門+旧直営その他部門)」の2部門に変更。

 

*同社資料よりインベストメントブリッジが作成

 

①FC部門
他社にはない独自のオペレーション受託型FC事業を創出している。
同社が出店候補地を選定し、FCオーナーとの間で「WASHハウス」ブランドの店舗の設計、内装工事、機器の設置等をパッケージ化した「WASHハウスセルフランドリーシステム一式」を販売するほか、オープン時の広告等開業準備費用、FC加盟金を受領している。

 

出店時のFC部門収益構造

 

※標準例、実際には物件によって異なる。

オーナーの出店時支出例

 

※標準例、実際には建築条件やテナント物件の状況等で異なる。

FC店舗の月間運営収益モデル

 

※1ヶ月あたりの収益構造モデル。

オーナーの月間収支モデル

 

※1ヶ月あたりの収益構造モデル。

(同社資料より)

 

FC加盟店開拓に関しては、テレフォンアポインターが取ったアポイント先に営業担当者が訪問するという分業制を採用している。この分業制により営業担当者は新規開拓電話の心理的負担から解放され、より積極的な営業活動に専念することができる。また、シミュレーション算出や契約書作成等の作業も営業担当から切り離すことで、「動く作業」に専念できる環境を提供している。加えて、金融機関等とのビジネスマッチング契約を締結することにより、出店場所やオーナー候補の情報を増やし、出店数拡大につなげるという「仕組み」作りに注力している。
長年にわたり蓄積してきた「営業担当者の経験年数とFC店舗開発実績」の相関関係データを基に毎期の新規開店計画を立てている。

 

②店舗運営部門
すべてのFC店舗について店舗管理を受託しており、店舗収支を含む運営状況を月次でFCオーナーに報告し、月次の売上金から差し引くことによりFCオーナーからセルフランドリー管理収入を受領している旧店舗管理部門、およびセルフランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している旧直営店その他部門に分かれている。「WASHハウスアプリ」による収入等も含まれる。

 

●旧店舗管理部門
同社は店舗の「安心・安全・清潔」を維持する為に、
*24時間365日受付のコールセンター
*管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート
*毎日の点検・清掃
*洗剤の補充
*メンテナンス巡回
*広告活動
などのサービスを加盟店に提供している。
店舗管理手数料、システムメンテナンス料、洗剤販売、清掃受託費、広告分担金などが売上の内訳となる。

 

FCオーナーは店舗管理業務から解放されるため、初期投資コストさえ負担できれば複数の店舗を保有し、収益拡大と共に地域分散による収益変動リスクを低減することが容易である。

 

●旧直営店その他部門
セルフランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している。
直営店は、主に新規エリアへの進出時に出店しており、「安心・安全・清潔」なセルフランドリーとしての「WASHハウス」ブランドのローカル認知度を高めるとともに、セルフランドリー潜在ユーザーへの利用喚起、FCオーナーと土地オーナー(不動産の有効利用を検討している個人・法人)への店舗モデルの提供など、アンテナ店としての役割を担っている。
その他、セルフランドリーの経費精算業務等に伴う業者からの事務手数料収入などの収益を受領している。
「WASHハウスアプリ」による収入等も含まれる。

 

2.店舗展開
2024年12月現在、27都府県に583店舗(FC518店舗、直営65店舗)を出店。今後も全国展開を進めていく。

 

 

 

*同社資料よりインベストメントブリッジが作成

 

【1-5 特長と強み】

①新たなFCビジネスの仕組みを創造
同社を最も特徴づけているのが、同社独自のFC事業モデルだ。

 

一般的なFC事業では、FC本部と加盟店の間に対立が生じやすいという問題が指摘されている。
加盟店がFC本部に加盟金や売上ロイヤリティを支払う対価として、FC本部はブランド名の使用を許可するほか、加盟店にノウハウを提供したり、商品を卸したりするが、店舗の運営、人材の確保などは加盟店がその責任において行わなければならない。
店舗の運営管理は加盟店にとっては相当の負担であり、事業が好調な際は良いが、売上が上がらなくなると、加盟店は「本部の仕組みが悪い」、FC本部は「加盟店の教育が悪い」などと互いのせいにしがちで、苦情に留まらず訴訟にまで進むケースも多い。

 

これに対し同社では、「全店舗一括管理運営方式」を導入し、前述のように、24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート、毎日の点検・清掃、洗剤の補充、メンテナンス巡回、広告活動といった、店舗運営・管理に必要な活動を全て同社が提供しており、加盟店の店舗運営に関する負担を実質ゼロにしている。

 

これに加え、同社は月商100万円以上となる物件を基準としているため、地域の人口、年齢分布、収入状況などについてきめ細かい市場調査を実施し、優良物件を開拓するノウハウが蓄積されている。
店舗の完全管理システムと優良物件開拓力、この2つが相まって、加盟店の満足度は極めて高く、これまで業績不振による撤退がゼロという群を抜いた実績に結び付いている。

 

②明るく清潔な店舗。使いやすさにも配慮。
セルフランドリーというと、「暗い・怖い・汚い」というイメージを持つのが一般的だが、同社が提供するセルフランドリー「WASHハウス」は、女性や小さい子供のいるファミリー層をターゲットとする「安心・安全・清潔」な店舗を統一ブランドで提供している。

 

(同社HPより)

 

以前は「家事の手抜き」の一つにも数えられたセルフランドリーの利用だが、女性就労率の増加や高層マンションの普及、ライフワークの変化などから、自宅の洗濯機よりも一度に大量にかつ洗濯・乾燥の時間を短縮できるセルフランドリーへの関心が高まっており、特に健康志向の高まりのなかで、ダニやアレルギー対策として布団やじゅうたんなどの大物洗いの利用が注目されている。
また、子供のスニーカーを洗濯・乾燥できる機器を備えるセルフランドリーへのニーズが高まりつつある。

 

こうしたなかで同社は、以下のような設備を備え消費者ニーズに対応している。
*布団の丸洗いも可能な最大22㎏までの洗濯機や最大25㎏に対応する乾燥機(標準的店舗)
*スポーツシューズや通学用のスニーカー等が洗えるスニーカーランドリー
*無料で使用できるシミ抜き用の機器(スポットリムーバー)

 

さらに全ての店舗において管理カメラで24時間店舗をモニターで管理しているほか、本社から遠隔操作でランドリー機器をコントロールできる IoT型ランドリー機器を導入するなど、無人店舗でありながら、有人店舗であるようなリアルタイムのサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用することのできる仕組みを構築している。

 

(同社HPより)

 

加えて、使用している洗剤の成分表示や乾燥機の温度表示を明示することで、安心して消費者が利用できるよう配慮しているほか、清潔な店舗を維持するため乾燥機のフィルター清掃や洗濯機の消毒など店舗の清掃を毎日行っている。

 

また、20年4月にはセルフランドリー用スマホ決済アプリ「WASHハウスアプリ」をリリースした。
同アプリは、「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」を強化することを目的とし、キャッシュレス決済機能やお得なクーポンなどの情報配信機能を搭載したもので、20年5月末にWASHハウス全店舗への導入を完了した。
他にも多種多様な業種とのコラボレーションを生み出す機能を組み込んでおり、ユーザーに対して、生活に密着した有意義な情報を届けたり、利便性が高いサービスを提供したりすることで今後もユーザーに必要とされる店舗作りに取り組んでいく考えだ。

 

③ストック型の安定した収益構造
店舗運営部門における売上高は、1店舗当たり月額で店舗管理手数料6万円、システムメンテナンス料 1万円、広告分担金3万円、清掃費3.9~5.1万円等から成っており、合計約14~15万円/月。

 

(同社資料より)

 

このように、店舗運営部門売上高は、その期以前からの継続店舗からの売上高をベースに、その期中の新規店舗からの売上高がオンされるという形で、期を追うごとに着実にストックが積み上がっていく。
一方、現在まで事業不振による閉店はゼロという実績が示す通り加盟店の満足度は極めて高く、店舗数が減少する可能性は低い。
WASHHOUSEフィナンシャルからの収入もストック型収益であり、同社の安定した収益構造は一段と強固なものとなっている。

 

④業界健全化に向けた取り組み
成長が続くセルフランドリー市場ではあるが、児玉社長によれば課題も山積しているのが現状だという。
その一つが法令順守の問題。

 

例えば、セルフランドリーは乾燥機で大量のガスを使用するため安全性の観点から排気ダクトの材質や取り付け方などが消防法や建築基準法などで詳細に規定されているが、実態は違法な設置が多く見られるという。
また、セルフランドリー業者の中には差別化を図り、ユーザーにアピールするために「洗濯代行サービス」を謳っているものもあるが、クリーニング業法に抵触し違法である可能性が極めて高い店舗が多い。

 

1950年に施行されたクリーニング業法は、国民の公衆衛生を保護する観点から下記の様な規定を設けている。

 

(クリーニング業法 抜粋)

条項

条文

意味

第2条 

2

この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。

手たたみを行う者もクリーニング業営業者となる。

3

この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。

クリーニング業を行うにはクリーニング師の免許を取らなければならない。

4

この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。

クリーニング所を開設する時は、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。

クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。

 

同法の趣旨や運用を要約すると意味するところは以下の通りとなる。
*セルフランドリー業者がクリーニング師の免許を取得しても、クリーニング所ではないセルフランドリー施設で洗濯物の出し入れ、たたみ仕上げ等のサービスを行うことはできない。
*クリーニング所として届け出た施設内の洗濯・乾燥機はクリーニング業営業者が使用するためのものであり、衛生上の観点から他者(セルフランドリーの場合のユーザー)に利用させることはできない。

 

こうした法律があるにもかかわらず、保健所からの指導を逃れるために、店内にカウンターを設けて、その中に洗濯機を設置し、「この洗濯機で洗濯しています。」と説明しながらも、実際にはその洗濯機を使わず、カウンターから外に出てクリーニング所として届け出ていないセルフランドリー機器でユーザーの洗濯物を預かって洗濯したり、手たたみサービスを行なったりしているケースも見られるという。

 

こうした状況に対し児玉社長は、セルフランドリーの利用を普及促進させるためには、自社においては「安心・安全・清潔」なセルフランドリー作り等に取り組むと共に、業界の健全化を進めることが不可欠と考え、一般社団法人全国コインランドリー管理業協会を2003年12月に設立した。

 

同協会は、法令等に準拠した設備と衛生管理についての運営基準を定め、現時点では同社の直営店及びFCオーナーの加盟店が店舗単位で加入しており、業界の健全化と一般消費者への啓蒙活動(セルフランドリー利用の有用性告知など)を担っている。

 

【1-6 事業展開】

2016年、WASHハウスの上場後、セルフランドリー出店ブーム!
2万店舗だった店舗数が現在2万5千店舗超へ、セルフランドリーを使う習慣は明らかに拡大している。
こうした中、同社は創業以来、『洗濯屋のつもりはない!』と唱えてきた。
将来、「無料」で洗濯・乾燥を提供することを視野に入れていたためである。
そしてついに無料化実験を実施し広告を収益化することができた。
「無料」で洗濯・乾燥ができ、「無料」でコーヒーも飲めて、宮崎牛や鰻も当たる!! しかも家で洗うよりも安い!
更にお得な情報や商品が購入できる!
洗濯の概念を変えていく。
同社では22年前から無料化への準備を進め、洗剤工場、自社洗濯機・乾燥機、自社基幹システムで価格競争になることを想定し、徹底したコストダウンを追求してきた。グローバル展開も見据えたWASHハウス完全オリジナルの洗濯機・乾燥機・システムを研究・開発し洗濯機・乾燥機のサイネージ化を図ってきた。

 

セルフランドリー(プラットフォーム事業)を核として、一つの事を派生的に一気に何倍にも広げる考え。

 

 

・外国人の雇用と消費・ニーズ対応

 

・海外市場への進出!

 

・越境EC・ライブコマース

 

・物流・貿易

 

 

(同社資料より)

 

第1ステージ

メディアとして発信するための店舗網の拡大、収益基盤の拡大

第2ステージ

実現するためのソフト・ハード機器等の開発

第3ステージ

広告事業、越境EC事業、物流・貿易事業、コンテナ事業

 

【1-7 新商品】

創業当時より目指してきた「洗濯を無料で提供する」ことを実現するために開発を続けてきた、自社オリジナルの洗濯機・乾燥機が完成した。今回の開発を通じてメーカーとしての機能を構築する。また、この新しいランドリー機械を市場投入していくことは、今後の当社グループの事業展開はもちろんのこと、業界の常識を大きく変えるものになる。
また、自社オリジナルの洗濯機・乾燥機を初めて設置したコンテナ型セルフランドリー店舗(WASHハウス宮崎小松店)を昨年12/26にオープンした。

 

(同社資料より)

【1-8 WASHハウスアプリ】

 

広告システム

広告枠への出稿を受付し、WASHハウスアプリにて配信。広告システムから収入を得ることで将来「洗濯を無料で提供する」。

予約システム

洗濯物をもってきたけど、洗濯機が空いていない」という従来の問題を改善。店内の混雑緩和にも大きく寄与

 

 

セルフランドリー利用時、終了時間 確認時、終了時等でアプリ内の広告を目にすることから、広告主にとってヒット率の高い広告が可能。

実績例

・酒造メーカー

・引越業者

・食品メーカー

・行政 他

 

「予約システム」の利用方法

①WASHハウスアプリの「洗濯予約画面」から利用したい店舗・機械を選択

②利用したい洗濯コースや乾燥時間を選択

③空いている日時からご希望の利用日時を選択 → 予約完了

④予約時間になったら店舗の機械に表示のQRコードをスキャンし、WASHハウスアプリで決済・運転開始

 

キャッシュレス決済システム

硬貨を使用することなく、キャッシュレス決済が可能

現在13種の決済サービスに対応

 

 

相互送客システム

 

(同社資料より)

 

アプリのダウンロード数は着実に伸びており、2月には92万ダウンロード達成。5月に100万ダウンロード、年内に120万ダウンロードを目指す。
あわせて、EC事業にも取り組んでいく考え。

 

WASHハウスアプリではランドリーサービス以上の価値を提供。

 

WASHハウスアプリを使った全店舗対象キャンペーン事例

(同社資料より)

 

【1-9 海外展開】

昨年完成させたオリジナル洗濯・乾燥機を中国向けにローカライズして展開していく計画。
3/20に上海で開かれる「中国国際家電博覧会」へ出展する。
10月までには済南市に、02年に国内で初出店した際と同様にモデル店舗2店舗を出店する見通し。
26年にはタイでの出店も予定しているなどコロナの影響で遅れていた海外展開が始まろうとしている。

 

【1-10新規事業の開始、子会社の設立】

 

新たに「コンテナ事業」を開始。2016年の上場時に掲げていた7つの事業戦略の内の1つである「建物のユニット化」に関連。丈夫で移設可能なコンテナを活用し、コンテナ型セルフランドリー店舗の展開を行う。
また、このコンテナ事業をさらに加速させるため、3社共同出資により連結子会社「WASHハウスサステナブル株式会社」を設立。
今後はこの連結子会社を通じ、ホテルを始めとするコンテナを活用した施設の企画、店舗開発、販売を行うとともに、再生可能エネルギー設備等の導入を推進。
太陽光で発電し店舗で使用する電気を賄うなどの温室効果ガス(GHG)の排出削減に努めながら、持続可能な社会づくりに貢献することが期待される。

 

                                                               

 

2.2024年12月期決算概要

(1)業績概要

 

23/12期

構成比

24/12期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

1,914

100.0%

2,083

100.0%

+8.8%

2,054

+1.4%

売上総利益

732

38.2%

801

38.5%

+9.5%

-

-

販管費

718

37.5%

778

37.4%

+8.4%

-

-

営業利益

13

0.7%

22

1.1%

+69.1%

3

+505.2%

経常利益

26

1.4%

24

1.2%

-4.6%

6

+264.8%

当期純利益

-33

-

31

1.5%

-

22

+40.4%

*単位:百万円。

 

前期比8.8%増収、69.1%営業増益
売上高は前期比8.8%増の20億83百万円。
積極的な利用促進キャンペーンを展開し店舗売上高は前年比2%増で推移した。WASHハウスアプリでは11/11に累計85万ダウンロード達成。約1.5ヶ月間前倒しで24/12期の計画を達成した(期末時点は累計89.9万ダウンロード)。また第5弾、第6弾無料化実証実験を4/19~21(21都府県の300店舗)、10/25~27(22都府県の322店舗)実施した。新たな事業としてホテル運営を開始した。
営業利益は前期比69.1%増の22百万円。利益面では、売上総利益率が前年同期38.2%から38.5%に改善、販管費の増加を抑え、営業利益率が改善した。収益構造の変革に向けた活動の成果が現れた。
会社予想を売上高・各利益とも上回った。FC店舗の新規出店が1店舗増加したこと及びセルフランドリー利用の需要が見込みより拡大し、FC店舗への納品物が増加したことが要因。

 

(2)部門別動向

 

23/12期

構成比

24/12期

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

FC部門

199

10.4%

259

12.5%

+29.9%

店舗運営部門

1,714

89.6%

1,823

87.5%

+6.4%

合計

1,914

100.0%

2,083

100.0%

+8.8%

売上総利益

 

 

 

 

 

FC部門

63

31.6%

63

24.6%

+1.2%

店舗運営部門

668

39.0%

737

40.4%

+10.2%

合計

732

38.2%

801

38.5%

+9.5%

*単位:百万円。売上総利益の構成比は売上総利益率。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

①FC部門
売上高2億59百万円(前期比29.9%増)、売上総利益63百万円(同1.2%増)。
FC新規出店は前年同期から6店舗増加の8店舗、リニューアルは4店舗減少の12店舗。売上総利益率は24.6%で前年同期比7.0ポイント低下した。

 

②店舗運営部門
売上高18億23百万円(前期比6.4%増)、売上総利益7億37百万円(同10.2%増)。
店舗売上高の継続的な増加に伴い各種収入が増加した。経費抑制効果等により売上総利益率は40.4%で前年同期比1.4ポイント改善した。

 

(3)財務状態およびキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

23年12月末

24年12月末

 

23年12月末

24年12月末

流動資産

2,405

2,367

流動負債

1,246

1.214

現預金

1,013

999

預り金

401

366

売上債権

139

162

固定負債

1,118

1,048

営業貸付金

923

853

預り保証金

770

750

固定資産

1,723

1,715

借入金残高

835

754

有形固定資産

1,156

1,150

負債合計

2,365

2,263

無形固定資産

141

133

純資産

1,764

1,820

投資その他の資産

425

431

株主資本

1,654

1,686

資産合計

4,129

4,083

負債純資産合計

4,129

4,083

*単位:百万円。借入金残高=長期借入金+短期借入金+ 1年内返済予定の長期借入金

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/12期末の資産合計は、営業貸付金の減少などにより前期末比(以下同)46百万円減少の40億83百万円となった。負債合計は借入金の減少などにより1億2百円減少の22億63百万円となった。純資産合計は当期純利益の計上などで56百万円増加の18億20百万円となった。
自己資本比率は前期末から1.5ポイント改善し42.3%となった。

 

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/12月期

24/12月期

増減

営業CF

95

234

+139

投資CF

-131

-167

-35

フリーCF

-36

66

+103

財務CF

-56

-98

-41

現金同等物残高

1,013

999

-14

*単位:百万円。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

営業CFのプラス幅が大きく拡大、投資CFのマイナス幅も拡大したが、フリーCFは増加した。短期借入金の純増額の減少により財務CFのマイナス幅は増加した。キャッシュポジションは減少した。

 

3.2025年12月期業績予想

連結業績予想

 

24/12期

構成比

25/12期(予)

構成比

前期比

売上高

2,083

100.0%

3,292

100.0%

+58.0%

営業利益

22

1.1%

189

5.8%

+748.8%

経常利益

24

1.2%

178

5.4%

+615.3%

当期純利益

31

1.5%

90

2.8%

+190.1%

*単位:百万円。

 

25/12期は売上高が前期比58.0%増の32億92百万円、営業利益は同748.8%増の1億89百万円を計画する。
「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」の成長をさらに加速させていく。FC部門では、自社オリジナル洗濯機・乾燥機を順次店舗導入させるとともに、店舗網も拡大させていく。店舗運営部門では、24/12期を超える利用促進キャンペーンを実施していく。広告主提供の景品が当たるプレゼント企画はもとより、特別価格で宮崎牛を購入できる情報の提供や新しい商品広告など、ランドリーサービス以外の価値もさらに提供し続けていく考え。このほか、コンテナ型セルフランドリー店舗の販売や、ホテルを始めとするコンテナを活用した店舗開発、販売、運営も行っていく。再生可能エネルギー設備等の導入も推進していく。
出店はFCで30店舗計画しており、25/12期末は直営65店舗、FC548店舗になる見通し。

 

 

4.今後の注目点

24/12期は会社予想を上回り無難な着地となった。ただし、業績数値よりも最大のトピックはオリジナル洗濯機・乾燥機の完成であろう。期中にはオリジナル洗濯機・乾燥機を設置したコンテナ型セルフランドリー店舗がオープンした。また、WASHハウスアプリのダウンロード数は23/12期末時点の54万から2月には92万ダウンロードに達しており、顧客基盤は着実に強化されている。
さらに、注目しておきたいのが海外展開。25/12期中には中国で初出店を見込んでおり、いよいよ海外へ本格進出の足掛かりとなりそうだ。ここでもオリジナル洗濯機・乾燥機が競争力を発揮することになるだろう。
16年に新規上場し、17年以降長きにわたり株価は低迷、現在上場時の公開価格(遡及修正後で1,150円)から大きく下落した水準。しかし、収益構造の変革に向けた活動の成果が現れ、24/12期は前期比で増収・増益を果たし、さらに、25/12期においてはオリジナルランドリー機器の店舗導入および店舗網の拡大、前期を超える利用促進キャンペーンの実施等が計画されており、25/12期も増収・増益を予想。前回レポートで、「25/12期の展開からは目が離せなくなっており、新商品の展開や新規出店の状況は注視」としたがまさにその通りになってきた。
25年は実績を積み上げていくとともに株式市場での評価も大きく変わることになりそうだ。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年3月28日

 

<基本的な考え方>
当社は、法令を遵守し、公正かつ透明性のある企業活動を推進し、会社の成長を通じて地域社会に貢献するとともに、企業を取り巻く株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等、全てのステークホルダー(利害関係者)からの信頼が得られる企業であるよう努め、将来に向けグローバルな事業活動を展開していく方針であります。
また、経営の透明性と公正性の向上および環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、当社の成長に応じたコーポレート・ガバナンス体制の構築に努め、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「基本原則の全てを実施してまいります」と記述している。

 

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