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(2935) 株式会社ピックルスホールディングス

プライム

ESG Bridge Report:(2935)ピックルスホールディングス Vol.5

ブリッジレポートPDF

 

 

影山 直司 社長

株式会社ピックルスホールディングス(2935)

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

食料品(製造業)

代表取締役社長

影山 直司

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

https://www.pickles-hd.co.jp

 

財務情報

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

総資産

純資産

ROA

ROE

43,028百万円

1,668百万円

1,771百万円

1,175百万円

27,713百万円

18,254百万円

6.6%

6.7%

*2024年2月期の連結実績。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。ROAは総資産経常利益率。

 

目次

1.会社概要
2.トップインタビュー
3.課題・マテリアリティと取り組み
4.中期経営戦略と経営目標
5.財務・非財務データ
<参考>
(1)ESG Bridge Reportについて
(2)「柳モデル」 について

 

 

(なお本レポート中、「3.課題・マテリアリティと取り組み」においては、(株)ピックルスコーポーションにおける取り組みを中心に、一部、グループ会社における取り組みを記載している。また、「5.財務・非財務データ」においては、データごとに、連結((株)ピックルスコーポレーションを含むグループ会社)又は(株)ピックルスコーポレーションであることを明示している)

 

1.会社概要

持株会社として、浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行う(株) ピックルスコーポレーションを中心に、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)ピックルスコーポレーション西日本、(株)フードレーベル等のグループ会社により全国的な製造・販売ネットワークを構築している。
「野菜の元気をお届けします。」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜が中心で、保存料・合成着色料は使用していない。野菜の調達では、工場近隣の契約農家から仕入れることによりフード・マイレージを短縮しGHG排出量削減に寄与している。製造現場では、工場内における温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

【1-1. 沿革】

(株) ピックルスコーポレーション(旧・(株)東海デイリー)は、1977年2月、東海漬物(株)の子会社として設立。当時は、商品の1パックあたりの容量が大きく、また、商品の納品は、段ボール等を使用し、ある程度まとまった数量で行うことが一般的であったが、パックに小分けした漬物を毎日納品してほしいという、主要顧客である量販店からの要望に対応するため、同社が設立された。

 

同年12月に(株)セブン-イレブン・ジャパンとの取引が始まったことが大きなターニングポイントとなる。(株)セブン-イレブン・ジャパンとの取引には高い製品開発力、品質衛生管理力などが求められるため、こうした能力を強化したことにより、その後、(株)イトーヨーカ堂、(株)ヨークべニマル等の(株)セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社を含めた取引先の拡大に繋がった。
1993年9月、会社の一層の飛躍を目的とし、「伝統の味を、おいしく、新しく」という思いを込め、現在の商号に変更。その後、2001年12月に、株式を店頭登録(JASDAQ)した。

 

上場後は、(株)八幡屋の子会社化(株式取得)による東北・関東地区の販路拡大、(株)金久の関西地区の営業権取得による関西地区の販路拡大、(株)手柄食品の子会社化(株式取得)による関西地区の生産能力強化、(株)フードレーベルホールディングス(現・(株)フードレーベル)の子会社化(株式取得)による取扱商品の充実など、M&Aで販路や販売地域の拡大、生産能力の強化を進めた。
また、これと並行して、各地に工場を建設し、全国を網羅した製造・販売拠点を整備した。

 

2002年8月から新規事業として取り組んだ惣菜も順調に拡大し、会社の事業の柱の一つに成長している。
2009年10月に発売した「ご飯がススムキムチ」のヒットにより、既存取引先の売上高拡大に加え、取り扱いを希望する新規取引先も拡大。「ご飯がススムキムチ」の生産数量増加に伴い生産の機械化を進めた結果、利益及び利益率の向上に繋がっている。

 

2016年12月に東証2部、2017年11月には東証1部へ上場した。その後、東証の新市場区分はプライム市場を選択している。

 

新規事業として、2020年より外食、小売事業を行っている。また、新たな取り組みとして2022年3月に(株)ピックルスファームを設立し、農業事業を展開している。

 

2022年9月、持株会社体制に移行した。

 

2023年9月、畑と食卓、そして世界をつなぎ、持続的で豊かな生活と社会の実現に貢献することを目的とし、センシングデバイス・半導体、FPD関連製品、農業資材、食品添加物を取り扱う複合機能商社である(株)Asueとの合弁会社として、(株)ベジパルを設立した。

 

 

 

(同社資料より)

 

【1-2. 経営理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。
その上で、
①地球環境に配慮した企業経営
②安全でおいしい製品を作るための品質管理
③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり
を経営方針として掲げている。
この方針に則り、食品安全の規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で働きやすい職場づくりにも力を入れている。
今後も、この方針を基に企業活動を行う事で、「安全・安心」な食品の提供という、食品会社の基本姿勢を貫き、消費者の信頼獲得と社会への貢献を果たしていきたいと考えている。

 

【1-3. 事業内容】

2024年2月期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が68.0%(浅漬・キムチ40.8%、惣菜26.1%、ふる漬1.1%)、グループ会社(株)フードレーベル製品や他社仕入商品(自社工場以外での生産)売上が32.0%。

 

(同社資料基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

(製品・商品概要)
◎浅漬・キムチ
サラダ感覚で食べられる浅漬を野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供している。近年は、消費者の健康志向の高まりにより、従来製品より低塩な「減塩浅漬」なども販売。
「安全・安心」な食品の提供を重視する同社として、主要原料の白菜、キュウリ等の野菜に関しては国産を使用。保存料・合成着色料は一切使用していない。

 

2009年10月に販売を開始し、現在までの累計売上は主力定番3製品で5億パックを超え、世代を超えてロングセラーとなった主力商品「ご飯がススムキムチ」は、キムチは辛いという従来の基本概念を捨てて、「家族みんなで食べられる辛くないキムチ」という若手社員のアイディアを同社のチャレンジ精神をもとに具現化したもの。
日本人の嗜好に合わせて、甘みやうま味を際立たせるオリジナルの味として開発したほか、300~400グラムの容量が多いキムチ商品の中で、家族で食べ切れるようにと200 グラムに設定し、買いやすい量目と価格に設定。さらに、冷蔵庫内に収まりやすいスリムな形状とするとともに、赤やオレンジ色のデザインが多かったキムチ売場で、黒をメインカラーとしたパッケージデザインを採用した。この結果、当初の狙い通り女性や子供を中心に支持を集めている。
キャラクターや食品メーカーとのコラボレーション商品を開発するほか、惣菜・調味料、冷凍食品、ロングライフ製品など「ご飯がススムキムチ」シリーズのブランド力を活用して製品領域を拡大させている。
浅漬・キムチは野菜を主原料としており、食物繊維が豊富な低カロリー食品として見直され、今後の需要の伸びが期待されている。

 

 

 

ご飯がススムキムチ

叙々苑ポギキムチ

4種のぬか野菜

(同社資料より)

 

◎惣菜
2002年8月から惣菜の取扱いを開始し、着実に売上高を拡大している。近年は、消費者が節約志向を強めて外食を控え、惣菜を買って家庭内で食事をする中食の傾向が強まっているほか、高齢者・単身者世帯や共働き世帯の増加により食事のスタイルが変化しており、惣菜の需要は今後も拡大が見込まれている。
同社グループではその強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、ナムルなどが好調。また、野菜の品種にこだわった製品を展開したり、サラダのドレッシングを自社開発したりするなど、惣菜にオリジナリティ・付加価値をつけ開発している。このほか、製品のpHコントロールによる緑色野菜の変色防止などの技術を活用している。

 

 

 

 

4種ナムルセット

たんぱく質が摂れる棒棒鶏サラダ

キャベツのうま塩サラダ

(同社資料より)

 

 

(販売先)
全国の量販店、小売店、卸などが販売先であり、販路別構成(24年2月期)は、量販店・問屋等75.6%、コンビニ15.5%、外食・その他8.9%となっている。

(同社資料基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

【1-4. 特長・強み・競争優位性】

同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。

 

(1)漬物業界でトップシェア
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングでは、同社は連結売上高430億円で、2位以下を大きく引き離し、シェア13.4%のトップである。以前から掲げている15%達成を目指しており、M&Aを含めてシェアアップを図っていく考えだ。

 

(同社資料より)

 

(2)独自性の高い商品開発力
年間400アイテムに上る製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは差別化された商品を開発。野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進している。
全国の事業所に開発人材を配置しており、エリアごとのニーズの吸い上げにも対応している。
基礎研究を担う研究開発室では、独自に開発した植物由来の乳酸菌Pne-12(ピーネ乳酸菌)をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っている。

 

(3)全国をカバーする生産・物流体制
製造拠点は約20か所で、1日当たり約60万パックの生産能力を有する。(株)ピックルスコーポレーションを中心としたグループ会社で全国を網羅し、365日生産出荷が可能である。漬物業界で唯一、製造、物流、開発、営業機能の全国ネットワークを構築しており、全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬・キムチや惣菜の提供が可能で、営業上の大きな訴求ポイントにもなっている。
製造においては、食品安全の規格であるFSSC22000やJFS-Bを導入しているほか、漬物や惣菜製造における工場ごとのHACCPプランを作成しており、より安全・安心な製品を供給する体制を整えている。

 

(同社資料より)

 

(4)販売先に密着した提案型営業
顧客は大手全国チェーンから地場の小規模小売まで幅広い。全国に展開する販売拠点では、2024年3月時点で約60名の営業スタッフが、長年築き上げた販売先との信頼関係や販売ネットワークをベースに、それぞれの地域・販売先に密着した提案型営業を実施し、直接取引を行っている。主力の浅漬、キムチをはじめ、惣菜売場向けの商品ラインナップの充実を進め、営業担当が販売方法を提案し、売場づくり・漬物フェアの開催など、消費者への様々なアプローチを販売先とともに考えている。加えて販売先とのコミュニケーションから得た情報を社内にフィードバックし、消費者動向を商品開発等に役立てている。

 

(5)販売先のニーズに対応するベンダー機能
浅漬、キムチ、惣菜等を自社で製造するメーカーとしての機能と、自社工場で製造できない梅干等の商品を全国各地の漬物メーカーから仕入れて販売する卸売機能の二つの機能を有している。自社製品、他社商品を同時に提供することができるベンダー機能を活かし、販売先のニーズに合わせたトータルな売場づくりを提案することが可能である。

 

【1-5. サステナビリティマネジメント】

(1)サステナビリティ方針
2021年10月、サステナビリティを重視する姿勢を改めて示すために「サステナビリティ方針」を策定した。

 

 私たちピックルスグループは、安全・安心でおいしい製品とサービスを提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することを経営方針に定めています。この経営方針の実現に向けて、お子様からお年寄りまで、様々な人々に「おいしい」と言っていただける高品質な製品づくりを通じ、豊かな食文化を育んでいきたいと考えています。

 一方、2015年の国連サミットにおいて、グローバルな社会課題を解決し持続可能な世界を実現するための国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)が採択される等、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。当社グループはSDGsに示された世界全体の様々な課題が引き起こすリスクを正しく認識し、それらの課題を解決するための対策に取り組んでいきます。

 特に当社グループ製品の主原料である野菜の生育は、天候により大きな影響を受けます。そのため、異常気象を引き起こす地球温暖化対策への取り組みを、ステークホルダーの皆様と協力して強化していくことは、企業経営上、極めて重要であると考えています。また企業の成長は、経営上かけがえのない存在である従業員の成長があって初めて実現されるものです。そのため、多様性があり個性や能力を十二分に発揮できる働きがいのある職場を提供することも当社グループの重要な役割であると認識しています。

 

 以上、当社グループは、上記方針に基づき、持続可能な製品とサービスの提供を行うことが、環境問題や社会問題を解決すると同時に、企業価値の向上に繋がっていくものと考えています。 

2021年10月1日

 

(2)サステナビリティ推進体制
環境問題や社会問題を解決し、企業価値向上を図るため、2021年6月に担当取締役を委員長とし、幅広い部門から選出された従業員で組織された「サステナビリティ委員会」を設置した。
委員会の傘下には「環境」「安全・安心」「従業員」の3つの分科会を設置し、サステナビリティ経営を推進している。この体制のもと、SDGsへの取り組みをはじめサステナビリティに関わる重要な方針や目標の策定などを行っている。

 

(同社HPより)

 

組織体制

役割

開催頻度

サステナビリティ委員会

・サステナビリティ方針の策定

・取締役会への取り組み状況などの報告

年2回

環境分科会

・分科会基本方針の策定

・「地球環境に配慮した企業経営」実現のためのKPI指標・目標の設定

・目標達成のための施策の検討・実施

年2回

安全・安心分科会

・分科会基本方針の策定

・「安全でおいしい製品を作るための品質管理」実現のためのKPI指標・目標

の設定

・目標達成のための施策の検討・実施

年2回

従業員分科会

分科会基本方針の策定

・「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」実現のため

のKPI指標・目標の設定

・目標達成のための施策の検討・実施

年2回

 

(3)サステナビリティ経営とピックルスが果たす7つの責任
環境への配慮、食の安全、働きやすい職場づくりを経営方針に定め、この経営方針の実現に向けて、「お客様に対する責任」「株主・投資家に対する責任」「社会貢献活動」「環境保全活動」「地域社会活動」「コンプライアンス」「従業員に対する責任」という7つの責任を果たすことが、環境問題や社会問題を解決すると同時に企業価値の向上に繋がっていくものと考え、サステナビリティ経営に取り組んでいる。

 

(同社HPより)

 

<サステナビリティ経営の全体像>

経営方針

7つの責任

重要な取り組み

地球環境に配慮した企業経営

*環境保全活動

*株主・投資家に対する責任

*社会貢献活動

*地域社会活動

*地球温暖化対策及び資源の有効活用

*ステークホルダーとの対話強化

*社会や地域に対する貢献活動

 

安全でおいしい製品を作るための品質管理

*お客様に対する責任

*コンプライアンス

*サプライチェーンとの共同での取り組み強化

*科学的な根拠に基づいた製造手順

*お客様の声を反映した製品づくり

*コンプライアンスの強化

従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり

*従業員に対する責任

*従業員の安全・健康を重視した職場づくり

*従業員の多様性や個性を尊重した能力開発を行い、働き甲斐のある職場づくり

*従業員が働くことを誇りに思い、働くメンバーに敬意をもてる職場づくり

 

【1-6. 価値創造のフロー】

(作成:(株)インベストメントブリッジ)

 

同社グループは、安全・安心や環境を重視した経営理念・経営方針をベースに、競争優位性を活かしたバリューチェーンから「漬物・惣菜などの多彩な商品ラインアップ」「安全・安心な食生活」「野菜を通じた健康な生活」「持続的な成長」という価値を創造している。

 

 

2.トップインタビュー

●経営理念、ビジョン、社会的存在意義について

Q.近年、社会全体が持続可能な成長を目指す中で、その重要なプレーヤーの一員である企業の理念、ビジョン、ミッション、社会的存在意義が重視されています。
先ず御社の経営理念や経営方針についてお聞かせください。

 

当社グループ(以下、「当社」という。)は、「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します。」を、経営理念として掲げています。

 

私は常々申し上げているのですが、人の身体は食べたもので作られます。食品は、人の生命、健康を維持、増進するために必要不可欠であり、また、体内に直接摂取されるため、他の製品と比べてもその安全性の確保は特に重要です。
厚生労働省の「健康日本21」においては、成人が1日あたりに摂取したい野菜の目標量を350g以上と定めていますが、現代の食生活において、十分な野菜が摂れていないのが実状です。
そうした中、私たちは、食品メーカーとして、安全・安心でおいしい商品を提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することが、私たちの社会的な存在意義であると考えています。
ロゴマークに記している「野菜の元気をお届けします。」は、まさにそうした想いを伝えるものなのです。

 

(同社ロゴ)

 

また、製品の主要な原料である白菜、キュウリ等の野菜の生育は、天候により大きな影響を受けます。そのため、気候変動の原因となる環境課題への取組みは、企業経営上、極めて重要な課題であると考えています。

 

この経営理念の下、「地球環境に配慮した企業経営」「安全でおいしい製品を作るための品質管理」「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」を経営方針とし、具体的な各種施策に落とし込んでいます。

 

「地球環境に配慮した企業経営」においては、気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定を念頭に、カーボンニュートラル・省エネルギー・省資源・廃棄物の削減等のさまざまな取り組みを行い、循環型経済実現への貢献を目指しています。
特に、プラスチックの利用・廃棄が生態系や環境に大きな影響を及ぼすことを重要な課題と認識し、石油由来プラスチックの使用削減に向けた取り組みを進めており、容器の軽量化のほか、容器素材の一部に植物由来原料を使用しています。

 

「安全でおいしい製品を作るための品質管理」においては、「野菜の元気をお届けします。」を実現するため、工場で使用する野菜は、基本的に在庫を持たず、毎日仕入を行い、コールドチェーン管理を徹底することでおいしさと野菜の鮮度を維持しています。
また、食品安全マネジメントシステムであるFSSC22000やJFS-Bの取り組みや従業員教育の徹底により、ハードとソフトの両面から品質・衛生管理レベルの水準を向上させているほか、意図的な食品汚染リスクが社会問題になっているなか、不測の事態に備えるフードディフェンスの取り組みも強化しています。

 

「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」は、「安全・安心」「地球環境」とならび、私が強く意識しているものです。
企業の成長は、経営上かけがえのない存在である従業員の成長があって初めて実現されるものです。そのため、従業員が自ら成長・発展することを望んでおり、自分の個性や能力を発揮できる場、やりがいを実感できる環境を積極的に提供することが企業の重要な役割と考えています。
年齢にかかわらず、自分が取り組んでみたい仕事に果敢にチャレンジしてもらうことが自分の成長、ひいては会社の成長につながるわけで、従業員の成長と会社の成長を通じて、野菜の元気を消費者の皆様にお届けしていきたいと考えています。

 

●ESGについての認識、考え方

Q. 経営理念やビジョンをベースにピックルスグループにおける「ESG」や「SDGs」についての考え方をお聞かせください。

 

先程申し上げたように、当社は「野菜の元気をお届けします。」という想いの下、安全・安心でおいしい商品をお届けすることを通じて消費者の皆様の健康づくりに貢献することが社会的な存在意義であると考えています。
また、異常気象は主原料である野菜の生育に大きな影響を及ぼすため、地球温暖化への対応は極めて大きな経営課題です。当社では、経営理念・経営方針双方に地球環境への配慮を挙げており、GHG排出量削減、適切な水資源管理、プラスチック削減など気候変動に加え、農薬の適切な使用など生物多様性への対応も重要な課題であると認識しています。
また従業員の成長も当社の成長には欠くことのできない要素でありますから、そのための環境づくりにも積極的に取り組んでいます。

 

このように、当社の事業内容および存在自体が「ESG」のうち、「E」および」「S」への取り組みそのものといっていいでしょう。
その意味では、引き続きこの経営理念・経営方針の下で事業活動を推進することが、環境問題や社会問題を解決すると同時に、企業価値の向上に繋がっていくものと考えています。
また、近年では消費者の皆様も環境課題を中心に、ESGやSDGsの視点で企業の行動を厳しく見るようになっています。
そうした消費者の視線やご期待を十分理解し、当社の社会的な存在意義を強く意識して事業活動を行わなければならないと思っています。

 

●主要マテリアリティにおける取り組み

Q.御社の持続的成長にとって特に重要なマテリアリティにおける取り組みや対応すべき課題について社長のお考えを伺いたいと思います。
まず、安全・安心な商品づくりについて、具体的にはどのような取り組みを行っていますか?

 

繰り返しとなりますが、当社は食品メーカーとして、安全・安心な商品づくりについては最も重要な課題と認識しています。
原料とする野菜にこだわり、調味料や添加物などについても真剣に考え、身体にいいもの、健康に繋がるものを作るために、品質・衛生管理について積極的に取り組んでいます。更に、最新鋭設備の導入、従業員教育、FSSC22000やJFS-Bの運用を通じて、信頼される商品づくりを目指しています。
具体的には、工場ごとに漬物や惣菜製造におけるHACCPプランを作成しているほか、野菜洗浄方法や漬け込み中の温度推移などの製造現場に関するデータや、法令などの情報収集を行い、安全で、合理的な食品製造の管理方法を構築しています。また、品質管理の担当者が毎月工場を視察してチェック表により評価・指導を行うとともに、工場でも定期的な内部検証を実施しています。

 

 

また現在はJGAPを基準とした野菜づくりに注力しています。
JGAPとは、「安心・安全・持続可能な農業の実現により、広く社会に貢献する」ことをミッションとする日本GAP協会が策定した基準で、食品安全・労働安全・環境保全・人権福祉など持続可能な農場経営への取り組みに関し、日本の標準的な農場にとって必要十分な内容を網羅したものです。
当社でも適切な管理をされた野菜を調達していきたいと考えており、各事業会社の工場長や野菜仕入担当者などがJGAP指導員資格を取得しております。

 

サプライチェーン全体への責任を十分認識したうえで、当社の重要なステークホルダーである契約農家の皆様にもJGAPの重要性をご理解いただき、これに沿った生産をしていただこうと考えています。

 

Q.環境課題に対してはいかがでしょうか?

 

GHG排出量削減に関しては、ノンフロン冷蔵庫や太陽光発電設備の導入、容器包装での環境配慮素材の使用など様々な取り組みを進めています。
2022年12月には広島工場で太陽光発電設備の稼働が始まりました。設置の効果を検証しながら、他の工場への展開を進めています。
脱フロンの取り組みとして、工場の空調機器についてCO2冷媒を使用した機器の導入を進めています。フロン類に比べCO2は地球温暖化係数を数千分の一程度に抑えられるため、環境負荷を大きく下げることができます。

 

ペットボトルなどをリサイクルした原材料を使用する容器を使用するなど、容器包装には環境に配慮した素材を使用しています。2024年2月期は、このような素材の使用を行うことにより、リサイクル原料を使用しない場合に比べてCO2排出量は年間約1,490t削減できたと試算しており、これまで以上に環境に配慮した製品作りが可能になります。
また、包装ラベルに使用するインキについても、バイオマスインキに切り替えを進めており、これにより従来の油性グラビアインクと比べCO2発生量が10~20%削減できます。バイオマスマークをパッケージに表示し周知を図っています。

 

物流に関しては、同業他社とともに商品を運ぶことを含め、効率的に品物を運ぶ共同配送についても研究を進めていく必要があると考えています。

 

今後も環境負荷の軽減に取り組み、地球温暖化防止に貢献してまいります。

 

Q.気候変動に関するリスクとしてはどのような点を認識されていますか?

 

野菜の生産に今後どのような影響が生じるかという点が最も重要です。
地球温暖化が進行すると、例えば、主力原材料である白菜の生産においては、現在の標高の畑では害虫の発生が増える、今まではいなかった害虫や新しい病気が発生するといった問題が生じる可能性があり、より一層の防除が必要になることが予想されます。害虫や病気の防除に関しては、生態系への影響も考慮し必要最低限になるよう取り組んでいく必要があると認識しています。
害虫や病気を避けるため更に標高を上げようとすると、今度は耕作面積が狭くなり、適地・適作だった畑が減少し、耕作の適地が限られてくるという点を懸念しています。また、近年は線状降水帯の発生など、自然災害リスクも高まっていますので、これまで以上に産地の分散化を進める必要があると考えています。
こうしたリスク要因、シナリオ分析も含め、現在、気候変動対応についてのより具体的な取り組みを検討・策定中です。

 

 

 

Q.では次に、持続的成長実現のために最も重要といわれている人的資本強化の取り組みをお聞かせください。

 

当社の社風は、若い人に仕事を任せることで実践の中で成長を促すというものです。
当社社員の平均年齢は34.7歳((株)ピックルスコーポレーション単体)と東証プライム市場上場の食品メーカーの中では平均年齢が若い企業に入ります。私はこうした若い社員のチャレンジ精神に大いに期待をしており、「失敗を恐れないでいろんなことにチャレンジしてもらいたい」と思っています。
チャレンジしなければ失敗は起きません。何かチャレンジしようとするから失敗をする。そのチャレンジしようとする意思が極めて重要であり、このことは、会社だけでなく、当社のお客様や取引先など外部の方々からも、大いに期待されているということを社員に意識してもらうようにしています。

 

こうしたメッセージは着実に社内に浸透しつつあります。
当社の成長を大きく牽引している商品の一つが「ご飯がススムキムチ」ですが、この開発をリードしたのは入社2年目の女性社員です。元々開発スタッフは女性が中心です。女性は男性に比べ「食」に対する意識が大変高いこともあり、食材、味について熱心に勉強します。「ご飯がススムキムチ」が世に出る前、キムチは辛く、時間が経つと酸っぱくなり、量も多いほうが受け入れられると考えられていました。
ところが女性の開発担当からは、現在の市場で流通しているキムチは、辛くて女性や子供が食べられない、量も多すぎて食べきらずに捨ててしまう、容器についても冷蔵庫内で場所を取らず、再度蓋が閉められて、ちょっと冷蔵庫の隅に入るような四角い容器がいいといった改善点が具体的に浮かび上がってきました。
そして、この商品デザインを担当したのも入社2年目の当社初の女性デザイナーでした。赤やオレンジ色のデザインが多かった当時のキムチ売場で、黒をメインカラーにし、商品名の「ご飯がススム」をパッケージいっぱいに大きく配置して目立つように演出するなど、従来の発想にとらわれないキムチが彼女らの手によって生み出されたのです。

 

発売前の社内の商品開発会議では、「こんな甘いキムチはキムチじゃない」という声も出るなど、評判は良くなかったのですが、2009年10月1日に発売を開始しました。
当初の反応は良くなかったのですが、あるスーパーマーケットで大々的に扱ってもらったところ、リピート率が非常に高く、買われたお客様から、「今までこんなに食べやすいキムチはなかった」「これだったらこどもにも食べさせられる」といった声を頂きました。そこから全国的な販促活動やTVCMの効果もあり、今までキムチが食べられなかった若い女性中心に「これなら食べられる」ということで、大きくシェアが拡大していきました。
これ以前も数多くのキムチを開発してきましたが、ここまでのヒットに結び付いたことは初めてで、開発に直接携わった社員の自信となったのはもちろん、他の社員にとって大きな刺激となりました。

 

社員の主体性発揮を重視・期待するという面では、当社独自の取り組みである「3ムメモ」も大きな役割を果たしています。「3ムメモ」は、従業員が業務上のムリ、ムラ、ムダを発見し改善方法を提案するものです。15年ほど前から始めたのですが、2024年2月期は連結ベースで3,000件以上の提案がありました。提案は全て審査し、年1回表彰しています。

 

今後、当社が持続的な成長を実現するためには、既存事業の着実な成長とともに、小売事業、外食事業、農業事業など、新たな事業を拡大していく必要があります。また持株会社体制に移行したこともあり、グループ全体を俯瞰できる人材の育成も必要です。そうした分野の経験者を採用し、その経験やノウハウを会社が吸収するために、彼らが大いに活躍してもらえる場所・環境を提供することも重要ですが、それと同時に未経験であっても自らチャレンジする社員を育成することもそれ以上に重要です。

 

若い人に責任ある仕事を任せ、その仕事が成功するようフォローしていく、というスパイラルがこの会社にはあります。
最初に申し上げたように、会社が成長するためには働いている人たちの成長が必要です。やる気のある人がやりたいことをできる会社。それがピックルスグループの社風であり、今後も決して変わらない部分です。
失敗を恐れず、自分で考えて自分で行動できる社員たちと一緒に成長していきたいと考えています。

 

Q.御社の競争優位性の一つである「商品開発体制」について、今後の課題も含めお話しください。

 

当社は、約30名で商品開発に取り組んでいます。

 

他社と比較してスタッフ数は多く、独自性のある商品を継続的に開発することができる体制を構築し、野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進しています。

 

また、製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している点も大きな特長です。加えて、季節に合わせた新商品を継続して提案できる点も、当社の強みとなっています。
加えて近年は、ピックルスブランドを打ち出した商品開発にも注力しています。

 

基礎研究を担う研究開発室は、ピーネ乳酸菌をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っております。

 

商品別には、浅漬は、サラダ感覚で食べられるものを野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供してきました。近年は、おつまみ需要が高く、お酒のつまみになるような商品が伸長している。また、減塩の商品や食物繊維、たんぱく質が摂れるなど健康志向を軸にした商品の開発にも取り組んでおり、女子栄養大学とのコラボ商品の「かぶ胡瓜」と「野菜ミックス」では、「一食当たりの献立」の食塩量を意識し、食塩相当量1.0g/100gとしており、減塩方法には香酸柑橘類「かぼす」を使用した浅漬ではあまり見られない方法を用いています。
その他にも、そのまま食べるだけではなく漬物を使ったレシピをホームページで紹介しています。

 

惣菜は、当社の強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、ナムルなどが好調です。今後は、生野菜サラダや鍋つゆなどにも注力していきます。また、特定の野菜品種・産地に絞った製品を展開したり、当社オリジナルのサラダドレッシングを作ったりと、惣菜製品にオリジナリティ・付加価値をつけ開発しています。このほか、製品のpHコントロールによる変色防止技術などを活用しています。
その他、当社製品を選んでいただくための工夫として、例えば、野菜の内容量を大きく記載した商品や、10品目の野菜が取れるなど種類を表示し摂取できる野菜の量や品目をわかりやすく記載した商品を発売してきました。

 

今後特に研究開発に注力していきたいのが、我々の特徴・強みともいうべき発酵技術です。
2022年秋には、独自の植物性乳酸菌Pne-12(ピーネ12)を配合し、BMIが高めの方の体脂肪を減らす効能が期待できる機能性表示食品「旨辛キムチ」を発売しました。「健康」というキーワードをベースに乳酸菌や発酵を活かした開発に取り組んでいきます。

 

また、当社は漬物業界で長年の実績を有し、多くのお客様にご支持いただいていてトップシェアの地位を築いておりますが、浅漬は40年前に生産を開始し、その時その時のニーズや状況に合わせて調味料や素材に変化をつけてはいるものの、その製造方法には大きな進歩が見られません。工程について詳しくはお話しできませんが、「これまでそうだったから今後もそうする」ということでは通用しません。生産の効率化を図るためにも、先入観のない若手社員中心に改善提案を行いながら、これまでとは全く異なった方法でも生産を追求してもらっています。
浅漬に限らず、長年の実績に安住することなく、チャレンジを続けていくことが重要だと社内にメッセージを発信しています。

 

Q.御社のバリューチェーンにおいて契約農家は極めて重要なステークホルダーです。契約農家との信頼関係構築に向けた取り組みなどをお聞かせください。

 

当社事業にとって原材料となる野菜の安定的な調達は極めて重要な経営課題です。
仕入価格の高騰、歩留まりの悪化により製造コストが増加したり、必要量の確保ができず販売機会を逃したりすると業績に大きな影響を与えます。
特に近年は地球温暖化等の影響により異常気象の発生頻度が増加し、加えて規模も拡大しており、こうしたリスクはますます増大しています。

 

こうしたリスクを軽減し、年間を通じた仕入の数量及び価格の安定を図るために重要な役割を担うのが契約農家です。
契約内容は様々で、それらを組み合わせて全体の調達量・仕入価格のバランスを図っています。
全国の生産工場の周辺農家との間で、条件を話し合った上で契約するわけですが、「安全・安心でおいしい製品をお届けする」という当社の考え方を共有し、天候などによるリスク要因もある中で、共存共栄の観点から確かな信頼関係のもとで野菜づくりをしていただいております。

 

契約農家の方にはしっかりした土づくりから協力していただいています。土づくりがしっかりしていれば土に力があり、作物が根を張ったときに自分の根で養分を十分に吸収することができ、結果的に病気にも強くなります。すると必要以上に農薬を使用することもなくなります。
農薬使用に関しては慣行での栽培方法と比べて、できるだけ少ない方法に取り組んでもらい、消費者にとって安全で安心できる圃場管理を行っていただいています。
このように、契約農家の徹底した管理のもと生産された安定した品質・鮮度を保ったおいしい野菜を入荷することができる点は当社の大きな強みです。

 

また、先ほど申し上げたJGAPへの理解を進めていただき、前向きに取り組んでいただける契約農家とのパイプも太くしていきたいと考えています。農家の良きパートナーとして信頼関係を深めることは当社の業績安定化にとって重要な課題ですが、それにとどまらず、国産野菜の需要拡大による国内農業の基盤強化と持続的発展への貢献も目指してまいります。

 

Q.(株)ピックルスファームの役割や今後の方向性についてお話しいただけますか?

 

2022年3月に設立した(株)ピックルスファームにより農業事業に参入しましたが、当社の重要なステークホルダーである契約農家の作る野菜を全て置き換えるということではありません。

 

(株)ピックルスファームの役割の一つは当社従業員に野菜づくりを肌で感じてもらいたいということです。農業に対する関心を高めてもらうとともに、実際のフィールドで働くことで農家の喜び・苦労を実感してほしいと思っています。

 

役割のもう一つは、契約農家のバックアップと持続可能な農業の実現です。
日本全体で高齢化が進む中、農家の平均年齢は65歳を上回っており、この先5年、10年で更に高齢化が進むことを考えると、持続可能性には大きな困難が伴います。
農作業の効率化に向け、畑を耕す、畝を立てる、種を蒔くことは機械で対応可能ですが、当社が取り扱う大根、白菜、キャベツは重量が重く、収穫は大変な重労働です。
そこで、例えば、収穫作業から当社工場への運送は(株)ピックルスファームが行うことができれば、契約農家は野菜の栽培に集中することができるためお互いにとってメリットが大きいのではないかと考えています。
このように、安全・安心な野菜の調達、契約農家の支援に加え、農業を通じた地域活性化など、持続可能な農業経営を行うことにより、日本の農業に貢献してまいります。

 

●今後の課題

Q.人口減少が進行する中、どのようにして需要創造や需要取り込みを図っていきますか?

 

人口が確実に減少する中、持続的な成長を図るために様々な取り組みを進めていかなくてはなりません。
まずは、中長期重点戦略として掲げている「収益性の向上」「資本効率を意識した経営」「新商品・新領域への挑戦」の3つの戦略です。(詳細は「4.中期経営戦略と経営目標」)

 

一つ目は、収益性の向上に向けて、アイテム数の絞り込みや販売価格の見直しによる営業利益率の改善と、生産体制の効率化や原材料調達の見直しによる原価低減に取り組みます。

 

二つ目は、中長期戦略の推進によりROEを改善することを軸にPBR1倍超への回復に取り組みます。

 

そして三つ目が、マーケット軸、商品軸それぞれに対して新規となる分野に挑戦していきます。

 

現在当社では、新規事業として外食・小売事業のや農業事業などに取り組んでおりますが、加えて、今後の成長市場での事業展開も欠かせません。

 

現在注目しているのが冷凍食品です。昔は時間短縮ができるということで利用されてきましたが、現在はおいしさも格段に向上しています。また、フードロスを削減できるという点でもその有用性が注目されています。
冷凍食品は冷凍保管のための物流倉庫、配送網、冷凍するための設備などが必要ですので、当社が一から立ち上げるのではなく、協業やM&Aにより需要の取り込みを図っていく考えです。現在、協業によるテスト販売を開始しており、今後更に具体的な取り組みを検討していきます。

 

海外展開に関しても、まずはいろいろテストを試みている段階です。
また、2023年9月にはセンシングデバイス・半導体、FPD関連製品、農業資材、食品添加物を取り扱う複合機能商社である(株)Asueとの合弁会社として、(株)ベジパルを設立しました。

 

現在、世界規模で食糧危機が叫ばれている中、食料自給率が低く、農業人口も縮小している日本では未来に向けて「食卓」を守っていく必要があります。
そこで当社では、痩せた土地でも育ち、余すことなく食べられる「さつまいも」に注目し、事業展開を図ります。両社の強みを持ちより、さつまいも青果物だけでなく、さつまいもを用いたペースト、冷凍焼き芋、干し芋の販売拡大や、ペットフード・新製品の開発に取り組むほか、国内人口の減少が進む中、海外輸出にも注力する考えです。売上・利益の拡大とともに、持続的で豊かな生活と社会の実現に貢献してまいります。

 

こうした戦略と並行して、当社の認知度を高め、ファンを作ることも極めて重要です。
「ご飯がススムキムチ」という商品は消費者の認知度が高い一方で、それを作っているピックルスコーポレーションの認知度はさほど高くないのが実状です。当社のことを消費者に直接伝え、ピックルスファンを作っていくことが会社の新しい価値に繋がるものと考えています。
そうした意味でも、埼玉県飯能市の発酵・健康の複合施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(以下「OH!!!」とする)は、「ピックルスグループのありたい姿」を象徴する施設であり、消費者にどんなことを考え、どんな活動をしている会社かを知って頂くための絶好の場となります。

 

加えて、消費者との関係を構築し、当社製品を選んでいただくためには、「食育」も重要なキーワードと考えており、より積極的に展開していこうと思っています。取り組みとしては、こども食堂と連携し、野菜収穫体験やキムチづくり体験を実施しています。

 

また、高校や大学との共同開発を行っており、福島県立磐城農業高校及びスーパーの(株)マルトとは「やっちゃんキムチ」を、札幌酪農学園大学とは「沼る浅漬」を開発、販売しました。若い人の漬物離れが進んでいますので、彼らのアイディアを盛り込んだ漬物を開発・販売することで、彼らにも漬物を食べてもらおうというものです。

 

 

福島県立磐城農業高校・スーパーの

(株)マルトとの取組み「やっちゃんキムチ」

札幌酪農学園大学との共同開発

「沼る浅漬」

 

この他、漬物を使った料理レシピのHPへの掲載やレシピ本の制作・販売も行いました。漬物をそのまま食べる以外の方法を知ってもらい、需要拡大に繋げていきます。また、OH!!!では、キムチづくり等を体験できる施設を運営しています。

 

人口減少は当社のような食品メーカーにとっては決してよろこばしい現象ではありませんが、そうした将来に対し悲観せず、常に新しいことにチャレンジし、失敗を恐れない企業でありたいと考えています。
全社員が協力しあって新しいものを作り上げる企業となり、消費者にもっと健康的でおいしい商品を提供することで、新たな道を切り拓いていく考えです。

 

Q.ESG経営、サステナビリティ開示における課題はどうでしょうか?

 

日本においては、2023年3月期の会社より有価証券報告書におけるサステナビリティ開示が義務化されました。
また、現在、日本のSSBJ(サステナビリティ基準委員会)では、国際的な開示基準策定に取り組んでいるISSB(国際サステナビリティ基準審議会)の動向を踏まえて、日本におけるサステナビリティ開示基準の開発を進めており、2027年3月期の一部の会社から適用が開始される見込みです。
このように、サステナビリティ開示について法定開示の流れは益々強まっており、当社では気候変動については、リスク要因、シナリオ分析も含め、より具体的な取り組みを検討・策定中です。次の重要課題との認識が高まっている生物多様性についても、TNFDを参照して、同様な取り組みを検討していきます。

 

●ステークホルダーへのメッセージ

Q.最後にステークホルダーへのメッセージをお願いいたします。

 

当社は「野菜の元気をお届けします。」というコンセプトの下、安全・安心でおいしい商品を提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することが社会的な存在意義であると考えこれまで成長してまいりました。

 

これからも、既存事業である浅漬、キムチ、惣菜の製造・販売においては、安全・安心な製品を供給することが、事業継続、安定的・持続的成長のための重要課題ですので、継続して各種施策に取り組んでいきます。
加えて、更なる成長のため、OH!!!や、農業事業、海外展開のほか、外食企業向けに当社ならではの業務用の食材・食品を開発して提供するなど、既存の事業形態を超えた将来へ積極的にチャレンジし、持続的な成長の実現と社会への価値提供により全てのステークホルダーの皆様にご満足いただける企業を目指していきます。
また、様々な価格上昇で厳しい事業環境ではありますが、適正な価格改定の推進、茨城工場稼働による夜勤減少など生産コスト構造の変革など、利益重視の構造へ変革することにより、従業員や株主などステークホルダーへの還元を重視していきたいと考えています。

 

一方で、サステナビリティに関する具体的な取り組みやデータの開示に関しては、まだまだ不十分であり、社内体制の整備を中心に、重要な課題として取り組んでまいります。

 

ESGやSDGs、環境問題への関心の高まりにより、消費者の意識やニーズは、これからも大きく変化していくことは確実です。
将来の消費者がどんな考え方でモノを消費するのか、企業としてもしっかりと勉強し、把握していかなければなりません。
そのためにも、未来は過去と現在の延長ではないと考え、常にチャレンジを重ねていきます。
ステークホルダーの皆様におかれましては引き続き温かいご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

3.課題・マテリアリティと取り組み

同社が現状認識している課題・マテリアリティは以下のとおりである。
マテリアリティの選定に際しては、社外へのヒアリングも行っている。
(各マテリアリティにおける取り組みは基本的に主要な事業会社である(株)ピックルスコーポーションについて記載。一部、グループ会社における取り組みを記載している。)

課題

マテリアリティ

環境

気候変動対応(エネルギー管理など)

用水・排水管理、水質汚染防止

廃棄物管理

環境保全

社会資本

製品の品質・安全性の担保

販売慣行・製品表示

社会・地域への貢献

人的資本

従業員の働き甲斐醸成・働きやすさ

教育・育成制度

ビジネスモデル&イノベーション

商品開発体制

サプライチェーン管理・原材料調達

気候変動の影響

競争力・ガバナンス

競争力強化に向けた取り組み

コーポレート・ガバナンス体制の拡充

株主・投資家に対する責任

リスク管理

*SASB Materiality Mapなどを参考に作成。

 

【3‐1 「環境」課題におけるマテリアリティ】

「環境」課題に対しては、経営方針のひとつに「地球環境に配慮した企業経営」を掲げており、以下のような環境方針・管理体制を定め、マテリアリティを特定して様々な取り組みを行っている。                                            

環境方針

(a)

当社の業である、浅漬・キムチ・惣菜の製造及び販売等において、「地球環境に配慮した企業経営」とする経営方針のもと、従業員一人ひとりがコスト意識を持ち、省資源・省エネルギーの推進、廃棄物の削減、リサイクルの推進、契約農家の農薬使用による土壌汚染及び水質汚染の予防、地域の環境保全活動の実施などに積極的に取り組み、環境保全の向上に努める。

(b)

環境管理体制を整備し、継続的改善、汚染の予防及び環境保護に努める。

(c)

環境法規制(※)及び利害関係者との同意事項を順守する。

(d)

環境に関する活動の推進にあたっては、環境目標を設定し取り組みを行う。また、定期的に見直しを実施する。

(e)

環境目標の達成や法規制順守等の規格が求める事項について適合することを経営上の重要な課題と認識し、各項目の適合に向けて取り組みを行う。

(f)

本方針を実施し、維持するとともに全従業員にこれを周知する。なお、全従業員への周知は、環境方針の掲示により行う。

(g)

本方針及び規格への適用範囲は文書化した情報として維持し、利害関係者等から要求があれば開示する。

※水質汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)など。

 

◎管理体制

環境マネジメントシステムの活用

1998年にISO14001環境管理システム委員会を設置し、認証取得に向けた取り組みを開始し、1999年8月に食品業界で初めて全事業所一括でISO14001(※)を認証取得した。さらに、2022年10月には(株)ピックルスコーポレーション札幌に認証を拡大している。経営者によって策定された環境方針のもと、省資源・省エネルギーへの取り組みをはじめ、プラスチックの利用削減や廃棄物の削減等、環境目標を設定し取り組んでいる。

(株)ピックルスコーポレーション関西は、2021年11月に、環境省が策定した環境マネジメントシステムであるエコアクション21を取得した。このシステムを活用して、環境リスクの低減等に取り組んでおり、環境レポートを作成・公表している。

法令遵守

事業活動に関わる環境関連の法規制や条例を行政窓口やインターネットを通じて調査し、定期的な見直しを行う仕組みを構築している。また、法規制以上に厳しい自主基準を設定し、厳しい管理体制を構築している。

教育

全員参加型の環境マネジメントシステムを実現するために、全従業員を対象として環境に関する教育を行っている。

※国際標準化機構(ISO)が策定した環境マネジメントシステムの国際規格。事業活動における環境リスクを分析し、そのリスクを低減することや、環境パフォーマンスの向上を図ることを目的としている。

 

マテリアリティ(1)気候変動対応(エネルギー管理など)
主な電力使用用途は、生産設備、冷蔵庫、工場内の室温を一定に保つための空調設備など。

CO2削減やエネルギー対策を推進するため、(株)ピックルスコーポレーション関西の広島工場に太陽光パネルを設置したほか、照明設備を、適宜、LEDへ変更している。

空調は、適正な温度運転、不要な空調の停止、空調機のフィルター等の清掃を行っている。また、脱フロンに向けて、地球温暖化に影響を与える特定フロン、代替フロンに代わり、地球温暖化係数がフロン類に比べ数千分の1程度で環境負荷の小さいCO2冷媒を使用した機器の導入を進めている。

生産設備においては、不要時の機械の停止、空調・冷蔵設備の保守点検を定期的に実施。省エネタイプ設備の導入も検討している。

照明は必要なところのみを使用するようスイッチに点灯場所を記載するなど工夫をしている。

 

 

(株)ピックルスコーポレーション・

所沢工場のCO2冷媒の空調機器

(同社資料より)

 

(株)ピックルスコーポレーション関西・

広島工場の太陽光パネル

(同社資料より)

 

マテリアリティ(2)用水・排水管理、水質汚染防止

生産工程で使用した水は、排水処理施設で処理後、排水している。

排水基準について、法律や条例よりも厳しい自主基準を設け管理している。

排水処理設備について、日常点検・定期点検などの管理を行い、排水に異常が起きないよう管理している。また、排水処理施設への負荷を低減するため、工場内の排水マスにネットをつけ、生ゴミが混入しないような工夫を行っている。

野菜洗浄水の再利用をするための設備を導入し、排水量の削減に努めている。

 

 

(株)ピックルスコーポレーション西日本・

佐賀工場の排水処理施設

(同社資料より)

 

マテリアリティ(3)廃棄物管理

廃棄物の分別方法を明示し、分別回収を促進することでリサイクルを推進している。生産工程から排出される廃棄物のうち最も多いものは野菜残渣で、破砕脱水機等による減量処理や減量した廃棄物をさらに減容するなど、廃棄物の発生量の抑制を図っている。

「食品リサイクル法」に基づき、食品廃棄物の再利用に取り組んでいる。リサイクル率は100%となっている。

野菜残渣については、廃棄するだけでなく、飼として動物園への提供や、堆肥化するなど、有効利用に努めている。 野菜残渣から作った堆肥を利用して、使用する白菜を栽培するなど循環型農業への取り組みを行っている。

契約農家の原料野菜等の納品に通い箱を使用し、同社における廃棄物(段ボール)の削減を行っている。農家においては、段ボールの購入費用が削減できる。

廃棄物の適正処理のため、法令に基づいた契約書の締結、廃棄物保管、マニフェスト発行等を行っているほか、産業廃棄物処理現場等を定期的に見学し、適正処理が行われていることを確認している。

工場における食品の廃棄ロスを削減するため、一部得意先において受注の早期化を行っており、より計画的な生産を目指している。

ペットボトルをリサイクルした原料を使用するエコAPETや原材料を植物由来としたプラスチックを配合するバイオPETなど、容器包装には環境に配慮した素材を使用している。浅漬製品に使用している標準容器について、約8%の軽量化を行うとともに、素材の一部に植物由来原料を使用したものに変更していることによりCO2排出量を削減している。2024年2月期は、リサイクル原料を使用しない場合に比べてCO2排出量を年間約1,490t削減することができた。

 

「プラスチック重量の削減」「植物由来原料の使用」「再生材料の使用」に該当する商品を、わかりやすく認識してもらうために、「自然の元気」をモチーフにしたオリジナル「ピックルスのECO」マークを導入している。商品パッケージにマークを印刷し、環境に配慮した商品であることを明確にしている。

 

「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」では、紙ストローやウッドスプーンの採用や、箸や薪に間伐材を利用することでプラスチック削減に取り組んでいる。

 

 

エコマーク使用例

 

 

 

 

マテリアリティ(4)環境保全(大気汚染防止、騒音防止など)

大気へ影響のある主な設備はボイラー。日常管理、定期的な点検などを行い、適切な運用管理を実施している。

納品・出荷のトラックや通勤の自動車からの排気ガスについては、敷地内のアイドリングストップを周知するため看板の設置等を行い、自動車の排気ガス発生抑制に努めている。

工場近隣の農家から野菜を仕入れることにより、フード・マイレージ(※)の短縮化に繋げている。

事業活動から発生する騒音の発生状況を把握するため、年1回以上、自主的に騒音測定を行うなど、地域環境への配慮を心がけている。また、早朝・夜間には、トラックによる納品を行わないように運送会社に要請している。

近年、海藻を含む海洋生態系がCO2を吸収・隔離・貯留する「ブルーカーボン」が吸収源対策の新しい選択肢として注目されている。同社では、海藻類を食害するウニを捕獲し、白菜やキャベツなど野菜の残渣を餌として与えて養殖することで海藻類を保全する試みに、静岡県立焼津水産高等学校や山梨大学、清水漁業協同組合とともに取り組んでいる。

※「食料の ( = food) 輸送距離 ( = mileage) 」という意味で、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせて算出する。輸送コストや二酸化炭素排出量の多寡を定量的に把握することを目的とする。

 

(2)主要KPI・関連するSDGs

主要KPI

・CO2排出量

・売上高当たりの水使用量

・節水可能機器・機械の導入

・食品残渣発生量とリサイクル内容

関連するSDGs

 

*KPIについては今後の取り組みも含む。

 

【3‐2 「社会資本」課題におけるマテリアリティ】

(1)マテリアリティ
「社会資本」課題に対して、以下のようなマテリアリティを定めて取り組みを行っている。

 

マテリアリティ(1)製品の品質・安全性の担保
◎食品安全方針の制定                                                     
経営理念の具現化のため、以下のような食品安全方針を工場毎に定めている。

食品安全方針

当社は、安心・安全でおいしい製品を提供し続け、野菜のある健全な食習慣づくりの実践に貢献する。 

(a)

お客様のニーズと期待に的確に応える商品開発・営業活動を行い、部門間の思いやりと気配りを持った活動を通して、ピックルスグループのブランドに対する信頼と満足を得る商品供給に努める。

(b)

新たな「フードディフェンス」の概念を踏まえ品質管理体制を整備し、業務を的確に監視・測定し記録することにより、データに基づいた業務の継続的な改善と品質向上に努める。

(c)

関連する法律等を順守する。

(d)

品質不良品を撲滅する。

(e)

5s(整理、整頓、清潔、清掃、習慣)を徹底する。

(f)

継続的な社員教育を実施し、上記(a)~(e)を実践するための環境を整える。

 

◎品質・衛生管理体制
食品安全方針の下、安全・安心を支える品質・衛生管理体制を構築している。

 

 

(主な取り組み・対応)
*フードディフェンス・異物混入防止

工場内の各所に監視カメラを設置し、外部からの不審者の侵入や意図的な異物混入行為のリスクを抑制している。

製造エリアに入場する従業員は、異物混入防止対策のとられた指定のユニフォームを着用し、さらに異物の持ち込みがないように、決められた入場手順を遵守している。

アレルゲンについては製造機器に対して定期的に残存検査を行っている。

原料野菜の段階から温度管理を徹底し、産地出荷からのコールドチェーン管理を行うことでおいしさと鮮度を維持している。

製造エリア外からの虫などの侵入を防ぎ、製造ラインにおいては異物混入を防ぐための管理を徹底している。

製品検査については、金属異物検査機に加え、X線異物検出機の導入を進め、より安全・安心な製品の出荷に取り組んでいる。

 

*食品添加物
おいしさや品質保持のために必要最低限の食品添加物を使用している商品もあるが、それらは全て安全性が確認されており国の使用基準に基づき添加している。

 

*食品安全マネジメントシステム構築への取り組み
食の安全・安心への取り組みとして食品安全マネジメントシステムへの対応を進めている。工場ごとに漬物や惣菜製造におけるHACCPプランを作成し、野菜洗浄方法や漬け込み中の温度推移などの製造現場に関するデータや、法令などの情報収集を行い、安全で、合理的な食品製造の管理方法を構築している。また、品質管理部が、毎月、グループの工場を訪問しチェック表により評価・指導を行うとともに、工場でも定期的な内部検証を実施している。食品安全マネジメントシステムとして、FSSC22000や、JFS-Bに取り組んでおり、各事業所・各グループ会社において必要な規格を取得しており、これらの規格を活用し、品質・衛生管理体制の強化を図っている。

 

※対応している主な認証・規格*FSSC22000衛生面を含めた食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格である「ISO22000」を追加要求事項で補強した食品安全マネジメントシステムに関する国際規格。GFSI(Global Food Safety Initiative)によって、ベンチマーク規格の一つとして承認されている。
*JFS-B規格一般財団法人食品安全マネジメント協会が作成した規格であり、組織が、安全な食品を製造するための取り組みを向上させる目的のために使用することができる。また、その組織の取り組みを、内部監査者や外部の評価者が検証・評価するためにも使用することができる。

 

認証取得状況

事業所名

FSSC22000

JFS-B

ピックルスコーポレーション

所沢工場

-

 

物流センター

-

 

千葉工場

-

湘南ファクリー

-

大宮ファクトリー

-

宮城ファクトリー

福島工場

-

中京工場

札幌工場

-

茨城工場

-

-

 

事業所名

FSSC22000

JFS-B

ピックルスコーポレーション関西

京都工場

広島工場

-

ピックルスコーポレーション西日本

佐賀工場

-

八幡屋

茨城工場

-

東都食品

-

-

(同社提供資料を基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

*その他の取り組み・対応

調味料の配合工程においては、社内ルールを定め、配合事故の未然防止を徹底している。

消費者に安全な商品を届けるために、輸送会社に対しても、商品の品質を損なわないようなルール設定・協力を要請している。

アレルゲンについては製造機器に対して定期的に残存検査を行っている。

使用原料は厳格な規格を定め、それに対応できる原料メーカーから購入している。原料は、食品衛生法などの法律に違反していないことはもちろん、食品添加物、アレルギー物質など安全・安心に関わる情報を確認している。

原料野菜の段階から温度管理を徹底し、コールドチェーン管理を行うことでおいしさと鮮度を維持している。

製品検査については、金属異物検査機に加え、X線異物検出機の導入を進め、より安全・安心な製品の出荷を図っている。

 

商品に対する消費者からの意見・ご要望などは、関連部門で共有するとともに、経営者に届くシステムを構築している。

 

マテリアリティ(2)販売慣行・製品表示
浅漬、キムチに使用する白菜、キュウリ等は全て国産野菜である。惣菜で使用する野菜等には輸入品もあるが、基本的には国産野菜を使用している。
食品の表示は、消費者が商品を選択し、安心して利用する上で必須の情報であるため、その重要性を認識し、法令で義務付けられている義務表示と、任意表示の2種類それぞれについて以下のように対応している。

義務表示

法令に則った正確な表示を行うため、品質保証室にて確認を行っている。

任意表示

消費者にわかりやすい情報を提供するために、自社で独自に設定した表示も使用している。

 

また、健康に関するアレルギー情報、賞味期限など、消費者が商品を選択する際の重要な情報についても、見やすく分かりやすい表現を行っている。例えば、アレルゲン表示については、特定原材料に加え特定原材料に準じたものも表示しているほか、その他の工夫として「はちみつが入っているので1歳未満のお子様には食べさせないでください」など、任意の記載も行っている。

 

同社が独自開発したピーネ乳酸菌の使用商品については、ピーネ乳酸菌入りと表示している。ピーネ乳酸菌を使用した機能性表示食品として、2021年5月に「Pne-12+キムチ」、2022年10月に「旨辛キムチ」を発売している。このキムチには、ピーネ乳酸菌とフラクトオリゴ糖を配合しており、BMIが高めの方の体脂肪を減らす機能があることが報告されている。

 

なお、ピーネ乳酸菌については、強い胃酸耐性と野菜への発酵特性が評価され、2015年10月に特許を取得している。(特許5830569「乳酸菌及びそれを用いた食品添加剤、漬物用発酵調味物、食品、漬物の製造方法」)

 

マテリアリティ(3)社会・地域への貢献
社会及び地域に対する企業の責任を認識し、様々な活動を行っている。

 

 

◎寄付活動
社会貢献の一環として収益の一部を社会に還元するため寄付を行っている。今後も、こども支援活動を行う団体などへの寄付を継続していく。

 

また、毎年2月末時点の株主を対象に実施している株主優待において、選択制を採用しており、商品詰め合わせセットなどから株主の選んだものを贈呈しているが、その選択肢の1つとして社会貢献団体への寄付を設定している。2024年2月期は寄付先を「認定特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」としており、株主からの寄付の総額は、189,000円だった。

 

*主な寄付先

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

経済状況や一人ひとりの特性に関わらず、こどもたちに多様な学びの機会を提供するための支援を行う。

公益財団法人交通遺児育英会

保護者が交通事故等の影響で経済的に就学が困難になったこどもたちの進学を支援する。

一般財団法人あしなが育英会

保護者を亡くした或いは働けない家庭のこどもたちへの教育支援等を行う。

認定特定非営利活動法人  キッズドア

経済的理由で勉強できない、進学できないこどもたちへの支援を行っている。

認定特定非営利活動法人  全国こども食堂支援センター・むすびえ

こども食堂を支えるネットワーク団体(中間支援団体)の活動支援や、ネットワークづくり、寄付物品の仲介、行政・関係団体との連携など、こども食堂の運営を支える活動を行っている。

 

◎地域社会活動

工場見学

採用選考時の工場見学のほか、地域の小中高等学校などから要望があれば、職場見学・食育活動の一環として受入れを実施している。

食育活動

消費者との関係構築のためにも食育は重要なキーワードと考えており、より積極的に取り組んでいく考えである。過去には大学や高校と共同開発した漬物を販売した実績がある。また、「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」では、キムチづくりなどの体験ができる施設を運営しており、「発酵」や「健康」について情報発信を行っている。

こども食堂への支援

こども食堂は、地域のこどもたちに食事を提供するのみでなく、地域交流拠点としての機能もある。同社のこども食堂への支援は、寄付や商品の提供に加え、製品のパッケージにこども食堂に関する情報を記載し、社会的認知度向上にも取り組んでいる。さらに、2022年2月期より、こども食堂を利用する方々を招待し、ピックルスファームでの野菜収穫体験や「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」でのキムチづくり体験などの食育活動も実施している。

地域清掃

工場近隣で清掃活動を行っている。また、「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」は、豊かな自然環境に囲まれており、この自然環境を守るため、天覧山の登山道入口や能仁寺の参道などの施設周辺も毎朝清掃している。

地域交流

「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」では、縁日など地域のイベントに参加している。

2023年10月には、西武鉄道とのコラボ企画として、「SEIBUスマイルリンクキャンペーン」を行っている。また、2023年11月には、飯能商工会議所主催で飯能市市制施行70周年、飯能商工会議所創立70周年を記念した「ななまるまつり」に参加し、なぞときイベントでは、OH!!!の施設内が出題場所となった。2024年2月には、飯能市を中心に活動している音楽グループにお越しいただき、能登半島地震へのチャリティーライブを実施しました。

地産地消の推進

「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」の物販棟である八幡屋では、飯能マルシェと題して飯能市近郊で栽培された野菜を積極的に販売している。また、地元の作家による特産品を使用した作品や工芸品などの販売・認知度向上に協力している。

 

(食育活動の実例)
未来を担うこどもたちに漬物を好きになってもらうよう食育活動に力を入れている。
2022年10月14日、港南小学校(東京都港区)からの依頼により、「発酵」についてオンライン授業を行った。授業は、同社の研究開発の社員とOH!!!パリシャキ研究所の社員が担当し、発酵に関する説明を行った。参加児童は積極的に授業に参加。後日、冊子としたお礼の手紙をもらい、社員の励みとなっている。
この他にも、十文字学園女子大学とは教育連携活動を行っており、1年に2回、1年次に食品開発学概論の講義を、2年次には食品開発実習を実施している。
今後も、漬物・発酵について楽しく広めていく活動を行っていく考えだ。

 

 

港南小学校での授業の様子

 

十文字学園女子大学での講義の様子

 

◎その他
「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」では、農業を通じて障がい者の就職をサポートする「はーとふる農園」で栽培するベビーリーフを販売している。
また、品質的には問題は無いが、流通できずに廃棄されてしまう予定であった商品の一部をフードバンクに寄付している。これにより、必要な人々へ食品が供給できるだけでなく、フードロスの抑制、環境負荷の低減にもつながっている。

 

JA全農(全国農業協同組合連合会)との取り組みとして、「ニッポンエールプロジェクト」に参加しています。「ニッポンエールプロジェクト」は、JA全農とメーカー及び販売先が協力して国産農畜産物のPRやキャンペーン等を展開し、商品を通じて全国の産地を応援する活動。当社からは、2023年8月に規格外の枝豆を使用した「山形県産ふぞろいえだ豆」、2023年10月に長野県産のオリジナル品種「りんご三兄弟」の果汁を使用し、甘辛味に仕上げた「長野県産りんご三兄弟果汁使用 国産白菜キムチ」を発売している。

 

 

長野県産りんご三兄弟果汁使用

国産白菜キムチ

 

 

(2)主要KPI・関連するSDGs

主要KPI

・FSSC22000およびJFS-Bの認証取得事業所数

・こども食堂への寄付額

・収穫体験、体験教室などの実施回数

関連するSDGs

 

*KPIについては今後の取り組みも含む。

 

【3‐3 「人的資本」課題におけるマテリアリティ】

(1)マテリアリティ
同社では、企業の成長は、経営上かけがえのない存在である従業員の成長があって初めて実現されるものであり、そのため、従業員が自ら成長・発展することを望んでおり、従業員の個性や能力を発揮できる場を積極的に提供することが企業の重要な役割と考えている。取り組んでみたい仕事に果敢にチャレンジしてもらうことが従業員の成長、ひいては会社の成長につながるため、従業員の成長と会社の成長を通じて、野菜の元気を消費者に届けていきたいと考えている。
加えて、持続的な成長のためのサプライチェーンの重要性を強く認識しており、以下の「人権方針」を策定している。

人権方針

私たちピックルスグループは、安全・安心でおいしい製品とサービスを提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献するために、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権が尊重されなければならないことを理解しています。私たちは国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約) 、国際労働機関(ILO)の宣言、国連グローバルコンパクト、国連のビジネスと人権に関する指導原則に沿って、人権を尊重する取り組みを推進します。このような人権への配慮を基盤とした上で、全ての人財が個々の持つ能力を最大限に活かし多様な価値観を共有することができる、働きやすくやりがいのある会社、組織を目指してダイバーシティーマネジメントを推進していきます。 またサプライチェーン全体における人権や環境に配慮した責任ある調達活動の実現にも取り組んでまいります。

以下を人権方針として、「サステナビリティ委員会」が取り組みの企画、管理、運営を総括します。

 

・非正規雇用を含むすべての社員の人権を尊重します。またすべてのビジネスパートナーに対し、社会活動方針の支持と遵守を求め、協働して人権尊重の責務を果たします。

・ダイバーシティを尊重し、人種、民族、国籍、出身地、社会的身分、社会的出身(門地)、性別、婚姻の有無、年齢、言葉、障がいの有無、健康状態、宗教、思想・信条、財産、性的指向・性自認及び職種や雇用形態の違い等に基づく、あらゆる差別やハラスメントを禁止します。

・いかなる形態の強制労働や児童労働、いかなる形態の現代奴隷を認めません。

・労働者の団結権、団体交渉および団体行動を認める労働基本権を尊重します。

・人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施します。また人権に対する課題を特定し、その防止および軽減を図ります。

・独立した外部機関からの人権に関する専門知識を活用すると共に、関連する外部ステークホルダーとの対話と協議を行います。

・人権に関する法令や原則の遵守に向け、すべての役員と社員に人権方針を周知し、適切な教育を行うことにより、事業活動への定着を図ります。

・人権方針や実践の過程とその結果は、広く開示します。

2021年12月

 

こうした方針の下、以下のようなマテリアリティを定めて取り組みを行っている。

 

マテリアリティ(1)従業員の働き甲斐醸成・働きやすさ
◎働き甲斐醸成
社員の成長が会社の成長につながるとの考えの下、若い人に仕事を任せることで実践の中で成長を促すという社風を有している。
そのために従業員の働き甲斐を醸成し、モチベーションを向上させるため、以下のような施策を実施している。

 

毎年1度、社員を対象とした方針説明会を開催し、社長自ら経営方針や年度方針を伝えるなどコミュニケーションをはかるとともに、社内表彰(会社の発展に貢献した部門、個人を対象とした功績に応じた報奨制度)を行い社員のモチベーションを高めている。

社員の誰もが、eメールや書面によって社長に直接意見を伝えることができ、経営への参画意識を醸成している。

人事考課において、各部門の方針の下で従業員各人が自ら設定した目標に対して自ら評価を行う「自己評価制度」を採り入れ、主体性の発揮を促している。

消費者の同社製品についての意見を各工場の掲示板等で共有している。社員の自社商品への関心と愛着の向上、お客様に喜ばれる製品製造へのモチベーションアップ、社員間のコミュニケーション促進等に寄与している。

 

◎働きやすさ
働きやすい職場環境づくりを重要な経営課題と認識しており、以下のような制度を運用している。

 

健康経営の推進

出産祝金の他、子供の成長に合わせた子育て手当を支給している。

育児休業からの職場復帰プログラムを導入している。

長時間残業の抑制、連続有給休暇(リフレッシュ休暇)制度、法律を上回る育児短時間勤務制度(小学校就学まで)、ノー残業デーの積極的な推奨、時差出勤などにより、労働時間配分を主体的に考え行動し、労働時間の最適化を推進している。

ウェブ会議システムの整備、文書の電子化、効率的な会議の推進など、働きやすさの改善に取り組んでいる。

業務における「ムリ、ムダ、ムラ」の改善を提案する活動「3ムメモ」を実施している。件数(年間12件以上)及び内容に応じた表彰を行っている。

60歳で定年退職する社員の再雇用希望者全員を対象として再雇用制度(65歳まで)を運用している。

労働安全衛生法等の関係法令を遵守し、50名以上が在籍する事業所において、安全衛生管理者を配置し、安全に仕事ができる職場環境の整備に努めている。月に1度、安全衛生委員会を開催し、各事業所・各部署の活動を報告・共有をする中で安全・健康への意識の向上に取り組んでいる。

より良い職場環境づくりに向け、職場環境向上プロジェクトを立ち上げている。「コミュニケーション向上月間」や「清掃推進月間」、「安全推進月間」のようにテーマを決めて意見を募り、全社で共有しながら知恵を出し合って改善を図るとともに、従業員から発信しやすい、意見が反映されやすい環境を作り、従業員満足度の向上に取り組んでいる。

 

 

「一人ひとりの健康が会社の価値向上につながる」との認識の下、2023年2月1日、健康経営宣言を公表した。

 

健康経営宣言

私たちピックルスグループは、安全・安心でおいしい製品を提供し、消費者の健康的な生活の実現に貢献することが、私たちの社会的な存在意義であると考えています。

近年では「発酵」に親しむ複合施設OH!!!を開業し、食を通じて得られる楽しみや健康を追及しています。

 

そして、会社の発展には従業員の健康と幸せが欠かせないものと捉え「従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり」を経営方針に掲げ、健康保持・増進に向けて取り組んでまいりました。

 

これからも、「野菜」「発酵」「健康」の新しい価値を提案しそこから生まれる豊かな食文化をお届けしつづけるために、従業員とその家族の健康・幸せを推進していくことをここで宣言します。

 

2023年2月1日

株式会社ピックルスホールディングス

代表取締役社長 影山直司

 

代表取締役社長を健康経営責任者、サステナビリティ委員会委員長(取締役が担当)を健康経営推進責任者とし、健康経営推進事務局が全国健康保険協会や産業医と連携して健康経営の仕組みづくりを推進していく。各事業所の安全衛生委員会や総務担当が健康づくり担当者として事業所ごとの普及・推進を担う。

 

「健康診断受診率100%」「特定保健指導実施率向上」「食生活改善」「運動機会の増進・習慣定着」「コミュニケーションの促進」を具体的な取り組み事項としている。
また、2024年2月期よりeラーニングによる健康経営についての社内教育を実施している。

 

「食生活改善」への取り組みとして、食生活に関する相談を募集し、社内の管理栄養士が回答する食生活相談や、健康レシピの募集・紹介を行った。
「運動機会の増進・習慣定着」への取り組みとして、2023年11月に1カ月間1日平均8,000歩の達成を目指すウォーキングイベントを開催した。参加者のうち約6割が目標を達成しており、達成者には景品を贈呈している。

 

その他にも、「特定保健指導実施率向上」に向けて、特定保健指導の体験レポートを社内報に掲載している。

 

マテリアリティ(2)教育・育成制度
社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢を応援する「自己啓発支援制度」、会社にとって有益な資格を取得した場合に報奨金を出す「資格取得報奨金制度」、公的資格等の保有者に毎月の手当を支給する「資格手当制度」を導入している。
また、社員教育は、内定者研修、新入社員研修、3年目研修、管理職研修などの階層別研修の他、社外研修にも参加している。そのほか、教育クラウドシステムを導入し、研修の充実を図っている。

 

 

社内研修会の様子

(提供:(株)ピックルスコーポレーション)

 

 

◎自己啓発支援制度
自己啓発のため、通信講座・語学教室その他習い事をする社員に、年間5万円を上限にその費用の5割を会社で負担する。自己啓発の内容は、仕事に関係するものに限らず、修了を証明できるものであれば広く支援する。
対象者は同社及びグループ会社の社員。
2024年2月期には、「惣菜管理士1級」「惣菜管理士2級」「ITパスポート」などの利用があった。

 

◎資格取得報奨金制度
会社にとって有益な資格(会社が対象資格を指定)を取得した社員に報奨金を支給している。
対象者は同社及びグループ会社の社員。
2024年2月期には、「第一種衛生管理者」「カラーコーディネーター スタンダードクラス」「中級食品表示診断士」「惣菜管理士1級」などの利用があった。

 

◎資格手当制度
公的資格等の保有者に毎月の手当を支給している。
対象となる資格は、「第種衛生管理者」「中小企業診断士」「管理栄養士」「基本情報処理技術者」「通関士」など13資格(2024年2月現在)。
2024年2月期には、「第一種衛生管理者」「惣菜管理士1級」などの資格で届出があった。

 

(2)主要KPIと関連するSDGs

KPI

・人権方針の開示

・健康経営の推進に関する方針の開示

・女性採用比率、中途採用比率、管理職比率

・育児介護休業、時短制度利用者数

・パートアルバイトからの社員登用数

・障がい者雇用率

・定期的な研修の開催

・自己啓発支援/資格取得報奨金制度利用者数

関連するSDGs

 

*KPIについては今後の取り組みも含む。

 

【3‐4 「ビジネスモデル&イノベーション」課題におけるマテリアリティ】

(1)マテリアリティ
「ビジネスモデル&イノベーション」課題において、以下のようなマテリアリティを定めて取り組みを行っている。

 

マテリアリティ(1)商品開発体制
急激な高齢化が進み、人々の健康や生活の質向上への関心が高まり続けるなか、「野菜の元気をお届けします。」というスローガンの下、野菜を主材料にした商品づくりを通じて、消費者の健康づくりに貢献していくことが社会的な存在意義であると考えている。
健康的な食生活への意識の高まりを受けて、より健康に配慮した製品を提供したいとの思いから、機能性表示食品を発売している。

 

(商品開発体制概要)
◎スタッフ
開発室など商品開発を担当する社員は約30名。同業他社と比較してスタッフ数が多く、開発スピードの速さにも繋がっている。

 

 

◎商品開発の流れ
*顧客ニーズを反映させる商品開発の仕組み
同社では自社商品の特長を以下のように定義し、きめ細かい市場調査に基づいて、これら特長を反映した新商品の開発や既存商品の改善・ブラッシュアップに取り組んでいる。

 

(同社製品の特長)

国産野菜の使用

安全性を確認した原材料を使用

味・コンセプト等を意識した商品パッケージ

特長をわかりやすく伝える商品名

わかりやすい表示

 

(商品開発のプロセス)

市場調査

顧客ニーズを収集・分析

 

試作

商品試作、社内試食

 

提案 

試作品を販売先に提案

 

改善 

問題点の検討・改善

 

商品化 

社内承認後、製造・出荷

 

検証 

販売動向を収集・分析

(同社提供資料を基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

同社では、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築して、吸い上げた取引先の声を迅速かつ柔軟に商品開発に反映させ、他社とは違うオリジナリティあふれる商品開発に繋げている。
全国をカバーする営業網によって多数・多様な取引先を有する同社ならではの特長を活かした競争優位性と言えるだろう。
また、季節に合わせて新商品を継続して提案できる点も、規模で劣る他社には難しく、同社の強みとなっている。
こうした取引先向け商品開発に加え、近年はピックルスブランドを打ち出した商品開発にも注力している。

 

新商品の開発のほか、既存商品の改良による利便性の向上や、「環境」課題への対応にも積極的に取り組んでいる。

少子化・高齢化を考慮し、「ご飯がススムキムチ 食べきり2パック」のように、小分け容器を使用した商品を開発した。

1パックあたりの内容量を食べ切りに適した量に変更することにより、食べ残しの可能性を減少させ、開封後に家庭で発生するロスを減少させる。

「ご飯がススム辛口キムチ・カクテキ」の包装フィルムに使用するインキをバイオマスインキに切り替えており、CO2排出量の削減にも取り組んでいる。他の商品についても切り替えを進めていく。

既存商品及び新規商品ともに賞味期限の延長に取り組んでおり、例えば、キムチで従来の20日を30日に、浅漬で6日を8日に延長した商品がある。

容器包装には環境に配慮した素材を使用し、原材料となるプラスチック使用量削減、温室効果ガスの排出削減などの環境負荷の軽減に取り組んでいる。

 

*シーズの発見による独自製品の開発
ニーズの吸い上げ・対応のみでなく、安全・安心・健康という切り口から、シーズの発見による独自製品の開発にも取り組んでいる。
基礎研究を担う研究開発室では、将来を見据えた研究開発に取り組んでおり、新製品に結び付いたのが「ピーネ乳酸菌」である。また、機能性表示食品などについても研究を進めている。

 

≪ピーネ乳酸菌 概要≫
*ピーネ乳酸菌とは?
漬物は、日本の伝統的な発酵食品として昔から整腸作用や美肌効果など健康に良いと言われてきたが、詳細な研究はなされていなかった。
そこで同社では、確かなエビデンスのある発酵漬物・発酵キムチを提供するために、健康効果への期待が高い乳酸菌の研究をスタートさせた。

 

野菜や穀物などを発酵させる植物由来の乳酸菌は、乳などを発酵させる動物由来の乳酸菌に比べて、一般的に胃酸に強く、腸まで生き抜くことができると言われている。
同社では、日本で作られている全国各地の所謂ご当地発酵漬物を収集し、116種類の乳酸菌を単離し、個々に胃酸に対する強さを調査した。
116種類の中には、木曽地方で作られている無塩乳酸発酵漬物の「すんき」やラブレ乳酸菌の単離源である「すぐき」由来のものについて比較的胃酸に強い評価を得られたが、それよりも強い胃酸耐性を持っていたのがピーネ乳酸菌であった。

 

ピーネ乳酸菌の強い胃酸耐性と野菜への発酵特性について研究を進めた同社は、2015年10月、「乳酸菌及びそれを用いた食品添加剤、漬物用発酵調味物、食品、漬物の製造方法」について特許を取得。ピーネ乳酸菌を同社独自の乳酸菌として特許化した。
また、よりアカデミックにピーネ乳酸菌のメカニズムを究明するために明治大学農学部農芸化学科発酵食品学研究室と共同研究を行い、その結果を2016年3月に農芸化学会で発表した。
更に、ピーネ乳酸菌とフラクトオリゴ糖含有食品における体脂肪および腸内フローラに及ぼす影響について研究を行い、2020年2月発刊の雑誌への論文投稿や2019年3月に日本農芸化学会で発表した。

 

*ピーネ乳酸菌の効果
ピーネ乳酸菌は、野菜をおいしく発酵させるほか、腸内の抗体量(IgA:生体を守るための免疫物質の一つ)を増やす働きが確認されている。
また、体脂肪の低減や便通・腸内フローラの改善に効果があることが確認されている。

 

*新たな価値創造への挑戦
2023年9月、(株)ピックルスホールディングスとセンシングデバイス・半導体、FPD関連製品、農業資材、食品添加物を取り扱う複合機能商社である(株)Asueとの合弁会社として(株)ベジパルを設立した。

 

世界規模で食糧危機が叫ばれている中、食料自給率が低く、農業人口も縮小している日本は未来に向けて「食卓」を守っていく必要がある。
そうした中、ピックルスグループでは、痩せた土地でも育ち、余すことなく食べられる「さつまいも」に注目し、1株から広くツルを茂らすように、畑と食卓、そして世界をつなぎ、持続的で豊かな生活と社会の実現に貢献するため、同社を設立した。

 

ピックルスグループの食品製造・販売における経験と、エレクトロニクス以外の分野での新たな成長エンジンの創出を目指して「食」・「農」+SDGsへの積極的な取り組みに繋がるテーマの探索・研究を行っている(株)Asueの貿易・仲介等の機能を互いに活かし、サツマイモ青果物だけでなく、さつまいもを用いたペースト、冷凍焼き芋、干し芋の販売拡大や、ペットフード・新製品の開発に取り組むほか、国内人口の減少が進む中、海外輸出にも注力する。

 

(同社資料より)

 

マテリアリティ(2)サプライチェーンの管理・原材料調達
◎契約農家との信頼関係構築
主たる原材料である野菜については、品質の維持と安定供給力を重視し、使用する野菜の8割程度を契約農家から仕入れており、消費者に対し「顔の見える野菜」として安心感を提供している。
野菜の年間購入量は約40,911t。
契約にあたっては、生産品目・圃場規模・出荷期間・仕入価格等のほか、農薬や肥料の使用状況等を品質基準として選定している。

 

同社は、最も重要なステークホルダーの一人である契約農家が安心かつ計画的に生産に取り組むことができるように、各野菜について必要な時期、数量、単価などの計画を伝えているほか、原料野菜の生育中・収穫中に計画修正や見直しの必要が生じることもあるため、定期的に畑の状況の確認や連絡・相談を行うことで、契約農家が安心して生産に取り組むことのできる環境づくりに注力している。その他の原材料の品質については、品質管理部等が訪問し、生産工程、衛生管理状況等の確認を行っている。
また、原料契約分は責任をもって購入することを原則としているため、仲介業者の冷蔵庫に貯蔵してもらうなどの協力を得て需給量の調整を行うこともあり、こうした対応も契約農家との信頼関係構築に繋がっている。

 

農家や農業協同組合との具体的な取り組みとしては以下の様なケースがある。

 

*ケース1:(株)ピックルスコーポレーション 宮城ファクトリー
加美よつば農業協同組合(宮城県加美郡加美町)は、転作作物として園芸作物を奨励し、白菜の市場出荷を試みたが、
新興産地のため知名度が低く、市況低迷等により、思うような販売額が得られなかった。
しかし、加美町が誘致した宮城ファクトリーが2000年に完成したことに伴い、生産者が地元産野菜の使用を同社に要望。農協、町、種苗会社等の関係機関と連携して、導入準備を進め、2002年から加工野菜生産部会による白菜の本格的な出荷が始まった。
原価計算に基づき、所得を確保できる単価契約を締結することにより、生産者の経営が安定したことに加え、工場見学等により、加工・業務用に求められる条件(規格、品質等)を生産者が理解できたことから、取組意欲が向上し、出荷量が大幅に拡大するなど、同社及び生産者双方に大きなメリットを生み出している。

 

*ケース2:(株)ピックルスコーポレーション関西 広島工場
(株)ピックルスコーポレーション関西は、2013年に広島工場(広島県府中市)を新設し、地元の府中市や農協の協力を得て、工場稼働前から生産者向けの説明会、試験栽培等を進め、工場稼働時から地場産野菜を使用した商品を製造している。
生産者は契約栽培により収入の安定が見込めることに加え、規格外品の出荷も可能となった。
米価の下落や担い手の高齢化により、地域の離農者が増加する中、市や農協との連携により、米作地域から白菜を中心とした野菜の産地への転換に寄与し、生産者の所得向上と地域農業の活性化、地域雇用への貢献に繋がっている点を評価され、平成28年度 地産地消等優良活動表彰【消費拡大部門】において中国四国農政局長賞を受賞した。
*ケース3:(株)ピックルスコーポレーション西日本 佐賀工場
(株)ピックルスコーポレーション西日本は、2018年に佐賀工場(佐賀県三養基郡みやき町)を新設した。工場所在地のみやき町の主な農産物は米、麦などであるが、加工用原料として安定した出荷先が確保され安定した収入が見込まれることなどから、みやき町内の契約農家では佐賀工場で使用する白菜などの野菜づくりにも取り組んでいる。

 

このように、同社グループでは生産拠点新設に併せ、その地元において契約農家数の拡大を進めており、品質の維持向上や安定した原材料調達能力強化に結び付けている。加えて、生産拠点の地元農家から仕入れることは「フード・マイレージ」の短縮化にも繋がり、流通コスト削減および環境負荷低減にも寄与している。
相場変動の影響軽減や継続的な契約分の適期収穫を通じたより一層の原料安定確保=契約農家の経営安定は、同社バリューチェーンの更なる強化につながるため、契約農家の確保及び信頼関係構築は最も重要な経営課題の一つと位置付けて今後も注力していく考えである。

 

◎国内農業基盤の強化
同社では、自社の企業経営は日本の農業を基盤として成り立っているとの認識から、日常の公正な取引等を始めとして、農家の良きパートナーとして信頼関係を深めること、国産野菜の需要拡大を実現することによる国内農業の基盤の強化と持続的発展への貢献を重視している。

 

新入社員研修として、入社1年目に産地見学などを行い野菜の生産者の仕事に対する理解を深めるほか、野菜生産の基礎知識や流通経路について学び、農業に関する知識を身につける機会を創出している。
また、JA全農(全国農業協同組合連合会)との取り組みとして、「ニッポンエールプロジェクト」に参加しています。「ニッポンエールプロジェクト」は、JA全農とメーカー及び販売先が協力して国産農畜産物のPRやキャンペーン等を展開し、商品を通じて全国の産地を応援する活動。当社からは、2023年8月に「山形県産ふぞろいえだ豆」、2023年10月に「長野県産りんご三兄弟果汁使用 国産白菜キムチ」を発売しており、それぞれの地域の農産物を使用し、各産地の農業を応援している。

 

国内農業基盤の強化に向けたより具体的な施策や取り組みは、中長期的な持続可能性のためには重要な課題であると認識している。

 

◎その他の取り組み

調味料、包材、仕入半製品及び仕入商品については、品質、生産能力、価格、納期等を総合的に判断して、仕入れており、初回納品時には、品質・規格等を、規格書等との確認を行い検証している。 調達開始後も、年1回、納期・品質・価格などの項目について評価を行っている。また、品質管理部等が仕入先を訪問し、生産工程、衛生管理状況等のチェックを行っている。

原料・製品の搬入・配送についてもコールドチェーン管理として低温での維持管理を行っている。

包装材料では強度を保ちながら、可能な限り軽薄化を進めている。また、包装形態についてもカップ容器からスタンドパックへの切り替えを行っている。使用後の廃棄物、品質・価格と共に環境配慮にも取り組んでいる。

メーカーからの情報に基づき、正確なアレルギー表示を行うと共に、メーカーにおける工程の管理状況、アレルゲンの混入の可能性やその防止策などについても確認を行っている。

遺伝子組み換え農作物は、原則として使用していない。

 

マテリアリティ(3)気候変動の影響
同社事業においては、白菜、キュウリ等の産地における多雨や日照不足など異常気象等の影響により、国産野菜の生育不良や生育遅れが発生した場合、仕入価格の高騰や歩留まりの悪化による製造コストの増加や、必要量の確保が困難になり販売機会損失に繋がる可能性がある。
特に近年は地球温暖化等の影響により異常気象の発生頻度が増加し、加えて発生時の規模も拡大しており、国産野菜の生育状況に長期間かつ広域に渡り影響を及ぼす可能性が高くなりつつある。
こうしたリスクを軽減するために、同社では主要製品の原料である白菜やキュウリ等の国産野菜を主に契約農家からの調達や産地の分散を図る等、年間を通じた仕入の数量及び価格の安定を図るほか、生産性の向上等による製造コストの削減などにも努めている。
また、国産野菜の調達可能量を考慮して可能な範囲で製品構成の調整を図るといった販売方法の見直しなども行い、気候変動が業績に与える影響の軽減に仕入・販売の両面から取り組んでいる。
以前より生産拠点の地元契約農家の拡大を進めてきたが、仕入数量及び価格の安定化について着実に成果を上げている。
今後は自社独自の原料冷蔵施設建設も検討課題であると認識している。
気候変動課題に関しては、具体的な内容を検討・策定中である。

 

(2)主要KPIと関連するSDGs

KPI

・原材料メーカーの実査件数

・契約栽培の件数、比率

・JGAP指導員資格取得者数

・消費者の要望を反映した製品の開発数

関連するSDGs

 

*KPIについては今後の取り組みも含む。

 

【3‐5 「競争力・ガバナンス」課題におけるマテリアリティ】

(1)マテリアリティ
「競争力・ガバナンス」課題において、以下のようなマテリアリティを定めて取り組みを行っている。

 

マテリアリティ(1)競争力強化に向けた取り組み
「1.会社概要 【1-4. 特長・強み・競争優位性】」で紹介したように、同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。
*漬物業界でトップシェア
*独自性の高い商品開発力
*全国をカバーする生産・物流体制
*販売先に密着した提案型営業
*販売先のニーズに対応するベンダー機能

 

これらの競争優位性を強化し、持続的な成長を追求するために、今後の戦略として「商品開発力の強化」「販売エリアの拡大」「販売先の拡大」「新規事業の拡大」を挙げている。
具体的な取り組みや施策は「4.中期経営戦略と経営目標」を参照。

 

マテリアリティ(2)コーポレート・ガバナンス体制の拡充
法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えている。
組織形態は監査役設置会社。取締役は8名で、うち社外取締役は3名。3名全員が独立役員で、1名は女性である。監査役会は監査役4名で構成されており、うち3名が社外監査役、3名全員が独立役員である。

 

*コーポレート・ガバナンス報告書からの抜粋:2024年5月31日更新)
<基本的な考え方>
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則 1-4.政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

 

【補充原則 2-4①】
当社グループは、年齢、国籍、性別等を区別することなく、意欲と能力のある従業員を管理職へ登用しております。管理職の登用について、管理職に占める女性の割合は10.1%であり、今後は、増加させてまいります。なお、上記の管理職に占める女性の割合については、株式会社ピックルスコーポレーション(当社の主要子会社)の数値を基準としております。外国人については、従業員に占める割合が小さいため目標を定めておりません。中途採用者については、経験・能力等を総合的に判断し、管理職に登用しているため、目標を定めておりません。
社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢の醸成に努めており、自己啓発支援制度、資格取得報奨金制度などを導入しております。また、働きやすい職場環境作りを重要な経営課題と認識しており、当社グループにおいて、リフレッシュ休暇、ノー残業デーなどを導入しております。

 

【補充原則 3-1③】
当社グループは、サステナビリティについて、環境、安全・安心などを重要課題と認識し、取り組みを行っております。また、人的資本への投資は、教育制度、従業員の働きやすさなどに、知的財産への投資は、乳酸菌の研究などを行っております。これらはホームページのサステナビリティサイトや、ESGレポート、IR資料を通じで公表しております。当社グループにおけるサステナビリティに関する取り組みに関しては、当社ホームページをご覧ください。
国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示について、今後検討してまいります。 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則3-1.情報開示の充実】
(1)経営理念や経営方針を当社ホームページ等にて開示しております。
(2)コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方を本報告書に開示しております。
(3)当社の取締役の報酬は、企業業績と企業価値の持続的な向上に資することを基本とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各役位等を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。具体的には、業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、賞与及びストックオプションにより構成されております。社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみを支払うこととしております。なお、取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続の詳細については、本報告書にて開示しております。
(4)社内取締役候補者は、担当分野において高度な専門性を有するとともに、経営環境の変化に迅速且つ的確に対応できる人材を、社外取締役候補者は、経営陣や特定の利害関係者の利益に偏ることなく、客観的な立場から独立性をもって経営を監視することが可能な人材を、取締役会において決定しております。監査役候補者は、豊富な経験及び高い見識を有している人材を監査役会が検討し、同意した上で、取締役会において決定しております。取締役の解任については、上述の選任方針を充足しないと認められる場合、法令及び定款に違反する行為又はその恐れのある行為があった場合には、取締役会において解任を検討いたします。
(5)取締役候補者及び監査役候補者の選任理由を株主総会招集通知にて開示しております。

 

【補充原則 4-11①】
当社の取締役は、経営、財務等の各分野において専門的知識と豊富な経験を有した者で構成されており、取締役会としての役割・責務を実効的に果たすための、ジェンダー、職歴及び年齢を含む多様性と適正規模を両立した形で構成していると認識しております。なお、取締役の選任に関する方針・手続きは、【原則3-1】(4)に記載の通りであります。
本報告書にて、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したスキル・マトリックスを開示しております。なお、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めております。

 

【原則 5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令及び金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会についても適宜実施しており、説明者は代表取締役社長が対応しております。個別取材については広報・IR 室が対応しております。

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応につきましては、2024年4月19日開催の2024年2月期決算説明会資料(P33~P34)に記載しております。当該資料は、当社ホームページ(https://pickles-hd.co.jp/ir/)で開示しております。
当該資料では、「中期経営目標達成に向けた取り組み」「IR活動の充実」「サステナビリティ活動の充実」「株主還元の強化」などの取り組みにより、当社グループの成長する姿を示すこと、およびその実践による収益性の向上や資産効率化により、企業価値と株価の向上を目指してまいります。またこれらの取り組みによってPBRの改善を目指します。

 

マテリアリティ(3)株主・投資家に対する責任
株主や投資家へのIR活動を積極的に推進するために、専門部署として広報・IR室を設置している。タイムリーな情報開示と利便性向上を図るため、ホームページ内にIR情報を掲載するページを作成し、適時開示情報や決算情報、株主通信等を掲載しており、適宜情報を更新している。また、情報開示についてはディスクロージャーポリシーを策定しており、これに則った情報開示を行っている。

 

経営方針・戦略や事業内容などの理解を促進するため、株主・投資家との対話の機会を積極的に設けている。機関投資家・アナリストについては、決算説明会やスモールミーティングなどの場を設け、経営戦略や中期計画、資本政策等について対話を行っている。個人の株主・投資家については、個人投資家向け会社説明会やアンケートの実施などにより対話を図っている。

 

株主還元は、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としている。内部留保資金は、製品開発・研究体制の強化および設備投資等に充当していく。
また、株主・投資家の投資意欲を高め、長期的な保有を促進すること目的として、株主優待制度を導入している。2月末現在で株式を100株以上保有する株主を対象として、同社グループの商品詰め合わせ、同社グループの運営施設で使用できる商品券、社会貢献団体への寄付から株主が選択した1つを贈呈している。

 

マテリアリティ(4)リスク管理
従業員一人ひとりが、企業は社会の一員であることを自覚し、日々誠実かつ適切な行動をするために遵守すべき事項をまとめた「ピックルスグループ行動規範」を制定している。
また、全社的なコンプライアンス体制の強化・推進を目的としてコンプライアンス規程を定めており、同規程のもとコンプライアンス室を統括部門として定め、コンプライアンスへの理解のため、研修会を開催しているほか、コンプライアンス違反に対する通報システムとして、ヘルプライン規程を制定し、「ヘルプライン」を設置している。社内(コンプライアンス室)・社外(弁護士事務所)の2カ所の相談窓口を設けており、全従業員に周知している。

 

ピックルスグループ行動規範(2022年9月1日改定)

商品

私たちは、おいしくて安全、安心な商品をお届けします。

法令遵守

私たちは、各種法令、社会規範、社内規程を遵守し、企業倫理に基づいた事業活動を行います。

職場環境

私たちは、安全で働きやすい職場環境づくりを行います。

人権尊重

私たちは、従業員の人権を尊重し、宗教・思想信条・性別・その他業務に関係しない理由に基づいた処遇や、強制労働、児童労働などの人権を侵害する行為を行いません。

ハラスメントの防止

私たちは、社内外を問わず、相手を傷つけるような言動やあらゆるハラスメントを行いません。

環境問題

私たちは、自然の恵みである野菜を扱う企業として、環境問題に積極的、自主的に取り組みます。

社会貢献

私たちは、積極的に社会貢献活動を行い、地域社会に貢献いたします。

公正・自由な競争・透明な関係

私たちは、公正かつ自由な競争を行い、健全な市場の発展に貢献します。また、取引先、政治、行政などに対しても透明で健全な関係を保ちます。

 

取引先への節度ある対応

私たちは、業務上のコミュニケーションを通じて取引先との信頼関係を構築し、不当な接待、贈答、寄付、その他便宜や利益の供与及び要求を行いません。

公務員等に対する贈賄の禁止

私たちは、国内外を問わず、事業上の便益の確保などを目的として、公務員等に対して、直接または間接に、金銭その他便宜や利益の供与とみられる行為もしくはその約束を行いません。

反社会勢力への姿勢

私たちは、市民社会に脅威を与える反社会的勢力と一切の関係を持たず、また不当な要求にも一切応じません。

インサイダー取引の禁止

私たちは、インサイダー取引に関わる法令、社内規程などを遵守します。

利益相反の回避

私たちは、個人的な利益のために、お客様、会社などに、不利益を与えません。

情報開示

私たちは、適時・適切に情報開示やIR活動を行うとともに、消費者、取引先、株主など社会からの声を大切にし、事業活動に反映させます。

情報保護

私たちは、個人情報、取引先から受けた営業上の情報などの外部流出、不正な利用を防止するための厳格な管理を行います。

知的財産権の尊重

私たちは、知的財産が会社の重要な資産であることを認識し、その保護に万全を期すとともに、他者の知的財産も尊重します。

 

(2)主要KPIと関連するSDGs

KPI

・サステナビリティ方針の開示

・サステナビリティサイト、決算説明会資料等による情報開示

・英語版ホームページの作成

・開示資料(決算短信等)の英訳

・コンプライアンス研修の開催状況

関連するSDGs

 

*KPIについては今後の取り組みも含む。

 

4.中期経営戦略と経営目標

【4-1 全体像】

「原材料価格や人件費の上昇を踏まえた収益性の改善」「PBRの改善」「新たな成長ドライバーの創出によるグループ全体の事業規模拡大」といった経営課題を踏まえ、重点戦略である「収益性の向上」「資本効率を意識した経営」「新商品・新領域への挑戦」を推進。ありたい姿を実現し、企業価値向上を図る。

 

【4-2 重点戦略】

(1)収益性の向上
「営業利益率の改善」と「原価低減」に取り組む。
営業利益率の改善に向け、具体的には「アイテム数の絞り込み」と「原価上昇と連動した販売価格の見直し」に取り組む。
原価低減のための具体的な施策は「生産体制の効率化・自動化」と「原材料調達の見直し・効率化」。

 

①営業利益率の改善
<アイテム数の絞り込み>
アイテム数は、小ロット・多品種生産が可能な同社の強みを活かし、得意先それぞれのニーズや要望に応えてきた結果、増え続けてきた。

 

一方、原価上昇が続く中、生産量が少なく収益性が低いアイテムの集約化・削減は避けられない課題となっている。
そこで、生産効率の高いアイテムへの集約を進めながら、売上高の維持・向上を図るために以下の取り組みを推進する。
*生産効率の観点から、売上規模が小さい少量・受注生産アイテムを順次見直し、得意先との取引内容を考慮しながら、削減や集約化を図る。
*主力アイテムは生産性向上の取り組みを推進し、売上高の拡大を狙う。
*浅漬製品などで、集中生産できるナショナルブランドの開発を推進する。「ご飯がススムキムチ」シリーズに次ぐブランドを確立する。
*ロングライフ等の製造技術を活かし、ロスを防ぎながら計画生産できたり、在庫が持てたりする商品の開発を強化する。
<原価上昇と連動した販売価格の見直し>
同社製品の場合、原材料価格の動きと比較して販売価格の変動は小さい。また、昨今の値上げラッシュにより消費者の節約志向が高まっていることから、価格を上げると売上が下がる可能性がある。

 

そのため、市場動向を勘案しながらになるが、原材料価格の上昇が著しいこともあり、値上げは実施していく方針である。
値上げの方法は2パターン想定している。
• 内容量は変わらず価格を上げる。
• 価格は変わらず、内容量を少なくする。
「どのパターンをとるか」や、「どの程度変更するか」は時期や市場動向を勘案しながら推進する。

 

②原価低減
<生産体制の効率化・自動化>
投資金額は約50億円で、24年12月に稼働開始した茨城工場では、キムチ等の白菜製品の製造工程の機械化・自動化を進める。時間当たり生産効率は、従来比2倍以上を見込んでいる。
同時に、所沢工場におけるご飯がススムキムチ生産の新工場への生産移管に伴い、既存工場は夜勤生産を日勤にシフトすることにより労務費率の改善を図るほか、新規商品を生産する原資となる人手・機械・スペースなどを確保し、生産体制を整備する。
茨城工場に導入する機械化・省人化の新ラインは、今後他の既存工場にも展開する考えだ。

 

 

茨城工場

 

<原材料調達の見直し・効率化>
原材料調達を担当する各部署がそれぞれ課題感を持ち、見直しや効率化を推進する。

 

◎野菜:原料課
天候リスクを踏まえた野菜の調達と地場原料野菜調達の仕組みづくりを方針としている。
主要な原料である白菜については、秋冬拡販に向け値決めに偏らない市場開拓と、天候リスクに対して春は貯蔵・夏は単価を下げた値決め取引と産地拡充を図るほか、青果市場の開拓による市場購買ができる仕組みづくりに取り組む。

 

◎調味料:食品資材課
産地情報・為替相場・原料相場を踏まえた安定購買の実施を方針としている。
そのために、為替相場の考慮、生産者との直接取引などによる仕入先や商流見直し、グループ規模や地域性を活かした仕入に取り組む。

 

◎包材:包装資材課
適時の交渉による供給コスト削減や、製造工程を見直したロス削減の徹底を方針としている。
具体的には、既存・新規業者からの情報収集や包材メーカー及び工場在庫のコントロールによる安定調達、原油価格・ナフサ価格・為替などを考慮した価格交渉、営業・開発との連携による廃棄ロス削減、工場・設備部門との連携による自社の製造工程上のロス削減に取り組む。

 

(2)資本効率を意識した経営
東証の要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、同社の分析及び今後の取り組みは以下の通り。

 

(現状の分析)
*PBR
PBRは、コロナ禍においては巣ごもり需要などにより、業績が好調に推移し、22年2月期までは1倍以上で推移。その後、巣ごもり需要の反動減もあり、1倍割れで推移。

 

*資本コスト
株主資本コストは、5.5~7.0%程度であると同社では推定している。

 

*ROE
22年2月期までは8%を上回って推移していたが、23年2月期、24年2月期と8%を下回っている。
目標値は設定していないが、今後は、8%超まで戻していきたいと考えている。

 

(同社資料より)

 

(全体施策)
中長期戦略の推進によるROEの改善を軸に、PBR1倍以上への回復を目指す。
PBR改善に向けては、ROEの改善とPERの上昇が必要と考えており、ROE改善のために「利益率の向上」と「財務レバレッジの向上」、PER改善のために「成長期待の醸成」に取り組む。

(同社資料より)

 

「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けては、投資家に対しキャピタルアロケーションを示す事及び株主還元の拡充が重要な課題であると認識している。

 

◎キャピタルアロケーション
25年2月期から27年2月期の3年間に成長投資80億円を実施する。
内訳は茨城新工場50億円、M&A30億円。M&Aにおいては、既存事業とシナジーのある新規領域(マーケット、商品)や、生産能力の向上・販売エリアの拡張につながる案件をターゲットとする。

 

(同社資料より)

 

◎株主還元の拡充
配当と株主優待のセットで利益還元を充実させる。

 

(3)新商品・新領域への挑戦
グループ全体で事業規模を拡大させていくには、マーケット軸及び商品軸で「新規」領域をいかに開拓していくかが重要である。

 

(同社資料より)

 

①さつまいも商品の開発・拡販
これまでも、(株)ピックルスファームでは22年3月より埼玉県内でさつまいもと小松菜を生産しているほか、23年9月に設立した合弁会社の(株)ベジパルでは(株)ピックルスファームで生産したさつまいもを活用した商品を開発するなど、さつまいも商品の開発・販売を手掛けているが、売上規模は小さいため、今後は「外部調達を含めた高品質なさつまいもの安定調達」「グループシナジーを活用した商品開発と商品カテゴリに対応した生産体制の構築」「営業基盤の確立」を推進しながら売上規模の拡大を図る。
具体的には、生芋の青果販売、干し芋や冷凍焼き芋、スイーツやパン向けのペースト加工品、ペット向けの干し芋など幅広い商品展開を進める。

 

②冷凍食品関連商品の開発・拡販
調理時間が短縮できる、食材のロスを大きく削減できるといったメリットから、冷凍食品需要は緩やかな増加傾向にあり、消費額はここ約10年で最高額を記録するなど、今後も安定成長が見込まれる。
そこで、冷凍のご飯がススムキムチ炒飯や鍋シリーズ、トップシールの惣菜を量販店の冷凍食品売場へ展開するほか、キムチやナムルなどの業務用冷凍惣菜を飲食店向けに拡販する。

 

③「OH!!!」事業の推進
グループ会社の(株)OHは2020年10月より、発酵・健康の複合施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(埼玉県飯能市)において外食事業及び小売事業を展開している。
同施設では、レストラン、ベーカリー、ショッピング、体験教室を運営しており、それぞれの施設を通じて同社グループの商品やものづくりの姿勢を多面的に訴求する場として位置付けている。
2024年3月にはカフェ棟を「飯能ベーカリー POCO-POCO」としてリニューアルオープンした。
地元客から観光客まで幅広い層から支持され、売上高は年々伸長している。

 

今後は、「ありたい姿」を象徴する施設としてグループシナジーを発揮しながら、新製品や新領域への挑戦を具現化する場として活用するほか、自社イベントや地域密着イベントに合わせた取り組みにより来場客数の増加・認知度向上を目指す。
今後の多店舗展開を目指した強固な組織体制の構築にも取り組む。

 

④その他
*西日本エリアへの販売拡大
連結売上高に対する地域別売上高構成比は、関東地区が50.0%、西日本エリア(近畿、中国・四国、九州・沖縄)は約25%。
これに対し、人口比率は関東34.4%、西日本エリアは約38%。人口を勘案すると西日本エリアの販売拡大余地は大きいため、同社では、業務用の売上拡大、量販店での高単価商品の拡大などにより同エリアでの販売拡大に注力し、地域別売上高構成比を30%以上に引き上げることを目指している。
(株)ピックルスコーポレーション西日本・佐賀工場や、(株)手柄食品など、西日本エリアにある4工場の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。
業界で唯一の全国ネットワークを有する強みを活かして市場開拓を進める。

 

*新規売場への商品展開強化
コンビニエンスストアや量販店の漬物・惣菜売場や外食などでのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや量販店において、漬物売場・惣菜売場のみでなく、豆腐売場、納豆売場、たれ・ドレッシング売場、加工商品売場、冷凍食品売場など既存分野以外の売場への商品展開に注力する。
既存売場以外への商品展開は、既存の販売チャネルを活用できることや配送便の積載効率を高められることから、営業効率・物流効率の改善にもつながるため積極的に取り組んでいく。

 

【4-3 中期経営目標】

 

24/2期

構成比

25/2期

(計画)

構成比

26/2期

(計画)

構成比

27/2期

(計画)

構成比

CAGR

売上高

43,028

100.0%

43,500

100.0%

44,000

100.0%

44,500

100.0%

+1.1%

売上総利益

8,637

20.1%

8,928

20.5%

8,972

20.4%

9,221

20.7%

+2.2%

販管費

6,969

16.2%

7,228

16.6%

7,372

16.8%

7,481

16.8%

+2.4%

営業利益

1,668

3.9%

1,700

3.9%

1,600

3.6%

1,740

3.9%

+1.4%

経常利益

1,771

4.1%

1,780

4.1%

1,670

3.8%

1,810

4.1%

+0.7%

当期純利益

1,175

2.7%

1,200

2.8%

1,120

2.5%

1,220

2.7%

+1.3%

* 単位:百万円。CAGRは24/2期を起点とした27/2期までの年平均成長率。(株)インベストメントブリッジが計算。

 

 

24/2期

27/2期

(計画)

CAGR

浅漬・キムチ

17,545

18,321

+1.5%

惣菜

11,241

11,613

+1.1%

ふる漬

473

507

+2.3%

商品

13,768

14,056

+0.7%

売上高

43,028

44,500

+1.1%

* 単位:百万円。CAGRは24/2期を起点とした27/2期までの年平均成長率。(株)インベストメントブリッジが計算。

 

 

22/2期

23/2期

24/2期

25/2期

(計画)

26/2期

(計画)

27/2期

(計画)

設備投資

718

883

951

6,400

940

400

減価償却

963

980

940

1,056

1,325

1,315

* 単位:百万円

 

(売上・利益)
26年2月期は、茨城工場の減価償却費負担発生により減益を見込んでいる。売上高営業利益率も低下。
浅漬・キムチが売上を牽引。

 

(設備投資など)
今後3年間で77億円の設備投資を計画している。
主なものは、「25/2期 茨城工場、設備更新等」「26/2期 設備更新等」「27/2期 設備更新等」など。
ローリング前の計画において26年2月期に予定していた関西新工場については、建築費の高騰や今後の同社グループの事業環境を考慮して、M&Aや既存の工場取得を含めて検討していくこととしたため、今回の設備投資計画からは外している。

 

5.財務:非財務データ

(1)財務データ(連結)

◎PL/BS

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

売上高

41,417

46,020

45,006

41,052

43,028

営業利益

1,871

2,711

2,942

1,538

1,668

売上高営業利益率(%)

4.5

5.9

6.5

3.7

3.9

経常利益

1,973

2,829

3,068

1,650

1,771

当期純利益

1,290

1,832

2,128

1,138

1,175

EPS(円)

100.83

142.96

165.59

88.80

94.29

ROE(%)

10.4

13.3

13.7

6.8

6.7

ROA(%)

8.5

11.3

11.8

6.3

6.6

総資産

24,271

25,949

26,091

26,308

27,713

純資産

13,016

14,728

16,757

17,404

18,254

自己資本比率(%)

53.2

56.4

63.5

65.1

64.6

*単位:百万円。ROEは自己資本当期純利益率、ROAは総資産経常利益率。
*22/2期までは(株)ピックルスコーポレーション、23/2期以降は(株)ピックルスホールディングスの数値。
*2021年9月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施。これに伴い、19/2期の期首に当該株式分割が実施されたと仮定して、EPSを算定している。

 

◎CF

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

営業CF

2,303

3,047

3,521

1,665

2,718

投資CF

-1,777

-1,312

-712

-882

-950

フリーCF

526

1,735

2,809

783

1,768

財務CF

-52

-607

-1,212

-876

45

現金・現金同等物

3,309

4,437

6,034

5,940

7,754

*単位:百万円
*22/2期までは(株)ピックルスコーポレーション、23/2期以降は(株)ピックルスホールディングスの数値。

 

(2)非財務データ

①環境関連
◎環境データ

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

電気使用量(千kWh)

10,679

11,092

11,456

11,525

12,057

原単位当たり電気使用量

(千kWh /売上高、百万円)

0.38

0.36

0.39

0.44

0.49

食品残渣発生量(t)

7,235

8,295

6,720

8,391

8,370

原単位当たり食品残渣発生量

(t/売上高、百万円)

0.26

0.27

0.23

0.32

0.34

食品廃棄物の再生利用等実施率

(%)※

100

100

100

100

100

CO2排出量(t)

6,637

6,861

5,070

5,104

5,562

原単位当たりCO2排出量

(t/売上高、百万円)

0.23

0.22

0.17

0.20

0.23

水使用量(千㎥)

456

463

527

551

610

原単位当たり水使用量

(千㎥/売上高、百万円)

0.016

0.015

0.018

0.021

0.025

*(株)ピックルスコーポレーション。※は食品リサイクル法に基づくもの。

 

②社会資本関連

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

取引先調査件数(件)

8

7

6

10

12

製品告知回収(件)(連結)

0

0

0

1

0

寄付金額(百万円)(連結)

10.1

8.9

6.0

6.3

15.9

*取引先調査件数は(株)ピックルスコーポレーション。

 

③人的資本関連
◎従業員構成

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

【正社員合計】(連結)

418

438

454

462

439

男性

280

284

284

300

300

比率(%)

67.0

64.8

62.6

64.9

68.3

女性

138

154

170

162

139

比率(%)

33.0

35.2

37.4

35.1

31.7

臨時雇用者数(連結)

993

1,065

1,136

1,175

1,239

女性係長級比率(%)

31.4

21.2

31.3

28.3

28.6

障がい者雇用換算人数

16.5

22.0

25.0

23.5

23.5

障がい者雇用率(%)

1.95

2.41

2.64

2.39

2.34

*単位:人。女性係長級比率、障がい者雇用換算人数、障がい者雇用率は(株)ピックルスコーポレーション。

 

◎自己啓発支援/報奨金制度利用状況(連結)

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

利用者数(人)

37

19

63

78

94

利用(補助)金額(千円)

449

279

1,389

1,448

1,905

自己啓発支援利用数

7

6

19

31

36

自己啓発支援金総額(千円)

69

49

289

448

485

資格取得報奨金利用数

30

13

44

47

58

資格取得報奨金総額(千円)

380

230

1,100

1,000

1,420

*20/2期~22/2期の数値は、4月~翌3月の1年間で記載。

 

◎3ムメモ関連(連結)

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

24/2期

3ムメモの件数(件)

1,943

2,777

3,006

3,039

3,253

3ムメモの年間達成者

(12件以上)(人)

139

192

189

197

176

 

 

 

<参考>

ESG Bridge Reportの発行に際しては、柳 良平氏(京都大学経済学博士、エーザイ株式会社元専務執行役CFO、早稲田大学大学院会計研究科客員教授)に多大なご協力を頂いた。
この「参考」のパートでは、ESG Bridge Report発行の趣旨についても述べさせていただくとともに、同氏の提唱する「柳モデル」の概要を同氏の著作「CFOポリシー第2版」から引用する形で紹介する。

 

(1)ESG Bridge Reportについて

ESG投資がメインストリーム化する中で、投資家からは日本企業に対し積極的なESG情報開示が求められ、これに呼応する形で統合報告書作成企業数は増加傾向にあります。
ただ、統合報告書の作成にあたっては経営トップの理解・関与が不可欠であることに加え、人的リソース及び予算負担から多くの企業が踏み出すことができていないのが現状です。
また、統合報告書の作成にあたっては各種データの整理、マテリアリティの特定、指標や目標値の設定など多くのステップが必要ですが、現状の準備不足のために二の足を踏んでいるケースも多いようです。

 

しかし、柳氏が「CFOポリシー第2版」で、「日本企業が潜在的なESGの価値を顕在化すれば、少なくとも英国並みのPBR2倍の国になれるのではないだろうか」「柳モデルの実現により日本企業の企業価値は倍増でき、それは投資や雇用、年金リターンの改善を経由して国富の最大化に資する蓋然性が高い」と述べているように、日本企業のESG情報提供は、日本全体にとっても有意で積極的に推進すべき事項であると株式会社インベストメントブリッジは考えています。

 

そこで、一気には統合報告書作成には踏み出せないものの、ESG情報開示の必要性を強く認識している企業向けに、現時点で保有するデータやリソースをベースに、投資家が必要とするESG情報開示に少しでも近づけるべく、弊社がご協力して作成しているのが「ESG Bridge Report」です。
日本企業のESG情報開示を積極的に後押ししている日本取引所グループが発行している「ESG情報開示実践ハンドブック」のP6には「ここで紹介している要素が全て完璧にできていないと情報開示ができないということでもない。自社の状況を踏まえてできるところから着手し、ESG情報の開示を始めることで、投資家との対話が始まり、そこから更なる取組みを進めていく際に、本ハンドブックが手がかりになることを期待している」とありますが、「ESG Bridge Report」は、まさに「できるところから着手し、ESG情報の開示を始める」ためのツールであると考えています。

 

柳氏によれば「柳モデル」の本格的な展開のためには、ESGと企業価値の正の相関を示唆する実証研究の積み上げ、企業の社会的貢献が長期的な経済価値に貢献する具体的事例の開示などが必要とあり、実際のハードルは高いのですが、各企業のESGへの取り組みがいかにして企業価値向上に繋がっているかをわかりやすくお伝えしたいと考えています。

 

お読みいただいた多くの投資家からのフィードバックを基に、よりクオリティの高いレポートへと改善してまいりますので、是非忌憚のないご意見を賜りたいと存じます。

 

株式会社インベストメントブリッジ
代表取締役会長 保阪 薫
k-hosaka@cyber-ir.co.jp

 

 

(2)「柳モデル」について

(拡大する非財務資本の価値、ESG投資の急増、ESGと企業価値をつなぐ概念フレーム策定)
近年、多数の実証研究において企業価値評価における非財務情報の重要性拡大が証明されており、今や、企業価値の約8割は見えない価値(無形資産)、非財務資本の価値と推察される。
加えて、非財務情報と企業価値の関係を調べた多数の実証研究の結果から、ESGと企業価値は正の相関を持つ蓋然性があると考えられる。
一方、グローバルにESG投資のメインストリーム化が進む中、潜在的なESGの価値にもかかわらず多くのケースでPBRが1倍割れもしくは低位に留まる日本企業は、PBR上昇のために「柳モデル」により、非財務資本を将来の財務資本へと転換すること、つまりESGと企業価値をつなぐ概念フレームを策定して開示する必要がある。

 

(「柳モデル」の概要)
株主価値のうち、「PBR1倍相当の部分」にあたる株主資本簿価は現在の財務資本・財務価値により構成される。
一方、株主価値のうち「PBR1倍超の部分」にあたる市場付加価値は、(将来の財務資本ともいえる)非財務資本により構成されると同時に、残余利益モデルにおいてはエクイティス・プレッド(ROE-株主資本コスト)の金額流列の現在価値の総和でもある。
このことから柳氏は、非財務戦略の結論として「非財務資本とエクイティ・スプレッドの同期化モデル」=「柳モデル」を、ESGと企業価値を同期化する概念フレームワークとして提案している。

 

「柳モデル」においては、「市場価値(MVA)」を通じて残余利益の現在価値の総和としてのエクイティ・スプレッドと非財務資本が相互補完的である、つまり、エクイティ・スプレッドによる価値創造はESGを始めとする非財務資本の価値と市場付加価値創造を経由し、遅延して長期的には整合性を持つ。
そのため、ESG経営は資本効率を求める長期投資家とは市場付加価値を経由して同期化でき、協働が可能であろう。
これを傍証するように、柳氏が実施した投資家サーベイにおいては、世界の投資家の大多数が「ESGとROEの価値関連性を説明してほしい」と要望していると同時に、「ESGの価値の100%あるいは相当部分をPBRに織り込む」と回答しており、「柳モデル」は間接的にも長期投資家の大半から支持されていると解釈できよう。
(同氏の「ROESGモデル」の詳細については、柳良平著「CFOポリシー第2版」中央経済社(2021)
をご参照されたい。

 

 

 

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