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(9278) ブックオフグループホールディングス株式会社

プライム

ブリッジレポート:(9278)ブックオフグループホールディングス 2025年5月期上期決算

ブリッジレポートPDF

 

堀内 康隆 社長

ブックオフグループホールディングス株式会社(9278)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

小売業(商業)

代表者

堀内 康隆

所在地

相模原市南区古淵2-14-20

決算月

5月

HP

https://www.bookoffgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,310円

20,547,413株

26,917百万円

8.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

25.00円

1.9%

106.22円

12.3倍

1,023.60円

1.3倍

*株価は1/22終値。発行済株式数、DPS、EPSは25年5月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当基準利益

EPS

DPS

2021年5月(実)

93,597

1,936

2,509

157

9.03

6.00

2022年5月(実)

91,538

1,766

2,307

1,449

82.07

20.00

2023年5月(実)

101,843

2,578

3,040

2,769

140.15

25.00

2024年5月(実)

111,657

3,051

3,448

1,705

86.26

25.00

2025年5月(予)

120,000

3,500

3,800

2,100

106.22

25.00

*2021年5月期は14ヶ月決算。予想は会社予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

ブックオフグループホールディングス(株)の2025年5月期第2四半期決算概要などについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年5月期上期決算概要
3.2025年5月期業績予想
4.中期経営方針と進捗
5.堀内社長に聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25年5月期上期の売上高は前年同期比7.3%増の567億円。3事業とも増収。経常利益は同35.1%増の17億円。粗利率の高い書籍の構成比が上昇した一方、粗利率の低いトレーディングカードの構成比が低下した結果、粗利率は0.5ポイント改善し、売上総利益も同8.1%増加。販管費の増加を吸収し、増益となった。四半期ベースでは前年同期比及び前四半期比増収も、プレミアムサービス事業におけるコスト増などでいずれも減益となった。

     

  • 業績予想に変更は無い。25年5月期の売上高は前期比7.5%増の1,200億円、営業利益は同14.7%増の35億円、経常利益は同10.2%増の38億円の予想。中期経営方針2年目にあたる2025年5月期は、各事業において積極出店を継続する。国内ブックオフ事業において、前期リリースした大型IT投資による償却費や各事業における人件費等の各費用が増加するほか、不正再発防止策のコストも確保し販管費は増加するものの、各事業における新規出店及び国内ブックオフ事業既存店の伸長やセグメント間取引価格の改定等により増益を見込む。国内ブックオフ事業とプレミアムサービス事業における仕入れの回復と、策定した再発防止への取り組みの徹底が重要ポイントとなる。配当は前期と同じ25.00円/株を予想。予想配当性向は23.5%。

     

  • 堀内社長に、25年5月期上期決算の概要などを伺った。通期予想については、「再発防止策については、第3四半期から本格化し、第4四半期を中心に現時点では約2億円程度のコストや投資が発生するものと見ています。再発防止策対応により上期は特に国内ブックオフ事業、プレミアムサービス事業には積極的に取り組めなかった部分もありますが、下期は事業拡大に向け積極的に行動していく考えです。そうした中、最もポイントとなるのは、国内ブックオフ事業及びプレミアムサービス事業における仕入高の回復度合いです。プレミアムサービス事業における不正問題の影響など、不透明な部分もありますが、様々な施策を打って回復に努めます。」とのことだ。

     

  • 中心事業である国内ブックオフ事業において、引き続き書籍が堅調だ。新刊書籍の販売単価が市場全体では2019年比9%上昇しているのに対し、同社の販売価格は11%上昇と、市場平均を上回る。同社では中高価格帯の構成比を引き上げることで平均単価の上昇と粗利益の拡大を狙っている。そのための施策としてビジネス書を中心とした話題作やメディア化作品を対象として店頭やECサイトで高価買取商品告知を行うなど、高価買取施策を展開しており、これが功を奏して、良質な中高価格帯商品の在庫確保が進み、新刊書籍を上回る販売単価の上昇と売上高確保を実現している。書籍、ソフトメディアは大きく成長する領域ではないが、リユースへの入り口として位置付けなど、依然として価値が減じているわけではないので、同社では売上・利益をしっかりと確保しつつ、書籍・ソフトメディア以外の成長するリユースマーケット商材を拡大させて成長を追求していく考えだ。

     

  • 上期の進捗率は売上高47.3%、経常利益45.1%と、売上高はほぼ例年並み、経常利益は高水準にある。売上高で約9割、利益で約8割を占める国内ブックオフ事業は、24年7月期に不正案件発生で仕入高が大きく減少したが、その後回復を見せており、既存店売上高も堅調であることから業績予想達成の確度は高いものと思われる。一方で、成長領域では、海外事業も好調であるものの、プレミアムサービス事業に関しては競争が激化していることに加え、不正案件発生の影響を受けていることから、今後の展開が気になる所である。リブランディング実施は、同事業の拡大に対し改めて一歩を踏み込む意味合いもあるようだ。第3四半期以降の同事業の状況を注視していきたい。

     

1.会社概要

書籍、CD、DVD、ゲーム、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨など様々なジャンルでリユース(再使用)事業を展開する日本最大級のリユースチェーンをグループで展開。北海道から沖縄まで全国をカバーする800を超す店舗ネットワーク(直営+フランチャイズ)に加え、ECの連携を強化している。

 

【1-1 ブックオフグループの経営理念】

「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」という経営理念の下、「本」の買取・販売を中心に様々なモノのリユースに取り組む中で育んできた、ブランド、店舗網、そして人財がグループの強みとなっている。「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」ことをミッションとし、「リユースのリーディングカンパニーになる」「自信と情熱を持って、安心して働き、成長できる会社になる」をビジョンとして掲げている。

 

【1-2 事業内容】

中心事業(報告セグメント)は「国内ブックオフ事業」「プレミアムサービス事業」「海外事業」の3つ。「その他」には、トレーディングカード専門店「Japan TCG Center」の運営、家庭内にある物品を顧客に代わり片づける個人向けサービス「ブックオフおかたづけサービス」の提供等。中期的な収益拡大に向けて「事業開発領域」において各種新規事業開発に取り組んでいる。

 

(1)国内ブックオフ事業
書籍・ソフトメディア等のリユースショップ「BOOKOFF」のチェーン本部としてフランチャイズ(FC)システムの運営及び直営店舗の運営を行っている。直営店舗は、本、CD、DVD、ゲームソフト、トレーディングカード、ホビー、家電、携帯電話等を取り扱う「BOOKOFF」、「BOOKOFF」にアパレル、ブランド品等を加えた中型複合店舗「BOOKOFF PLUS」、及び書籍、ソフトメディアの他、トレーディングカード、ホビー、家電(オーディオ、ビジュアル、コンピュータ等)、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計、ブランドバッグ、貴金属、食器、雑貨など幅広いリユース品を取り扱う総合リユースの大型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」、トレカ・ゲームソフト・ホビーといった「遊べるアイテム」の販売・買取に特化した「あそビバ」の4タイプで展開している。
店舗数は直営・FC合計、24年11月末現在。

 

 

平均売場面積・店舗数

約130坪、610店舗

平均売場面積・店舗数

約950坪、51店舗

取扱商材

本、CD、DVD、ゲーム、トレカ、ホビー、家電、携帯電話等

取扱商材

「BOOKOFF」+洋服、ブランド品、雑貨、スポーツ用品、食器等

 

 

平均売場面積・店舗数

約300坪、66店舗

平均売場面積・店舗数

約40坪、5店舗

取扱商材

「BOOKOFF」+洋服、服飾雑貨等

取扱商材

トレカ、ゲームソフト、ホビー

(同社資料を基に作成)

 

書籍、ソフトメディアを中心とした従来型の中小型店舗である「BOOKOFF」および「BOOKOFF PLUS」は、駅前・繁華街からロードサイドまでカバーする重要な顧客接点かつ買取拠点である。
多様な商材を取り揃えた500~1,000坪超の大型総合リユース店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)」は地域の旗艦店として競合他社にはない競争優位性を発揮している。

 

国内ブックオフ事業の24年5月期の売上高は990億円で、全社売上高の約9割を占める。国内ブックオフ事業売上高の内訳は、「BOOKOFF」および「BOOKOFF PLUS」が約5割、「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)」が約4割を占めている。

 

「公式スマホアプリを起点に、ECチャネルと全国の店舗網を活用し、リユース商品との「一期一会」を全てのお客様に最適な方法でお届けする」ことをコンセプトとする「ひとつのBOOKOFF」構想を進めており、アプリ会員の拡大、電子買取システムの運用(利用者の受付時間短縮と店舗運営効率UP)、店頭在庫のEC連携、EC商品の店舗受取サービス、キャッシュレス買取といった施策に取り組んでいる。

 

2024年11月末のアプリ会員数は811万人。
レジ通過客数(延べ)の3割超がアプリ会員となっている。アプリを通じた誘客施策が奏効し、来店客数増に繋がっている。
今後は会員数増大よりも来店頻度のアップ、会員一人当たりの売上増を目指すフェーズに軸足を移していく。
CRMを充実させるとともに、2023年5月より開始したロイヤリティプログラムの拡充を進める。ブックオフにまつわる行動を会員アプリ内スタンプで可視化し、インセンティブを付与。顧客の生活に密着し、再来店・再購入を促す考えだ。
同時に、店舗POS・システム刷新のための大規模な開発にも取り組んでいる。

 

(2)プレミアムサービス事業
BOOKOFFだけではリーチしきれていない、資産性の高いモノを保有する顧客層に対し、多様なサービスブランドでリユース利用を増大させることを目指している。

 

大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行う「hugall」(18店舗)、本だけではなく、腕時計や貴金属、洋服、ブランド品、食器やスポーツ用品まで、何でも売ることができる買取特化型店舗「BOOKOFF総合買取窓口」(21店舗)、ジュエリーの買取・販売のほか、オーダー受注・リペア・リメイクなどジュエリーに関する総合サービスを行う「aidect(アイデクト)」(12店舗)を運営、合計店舗数は51店舗。店舗数は24年11月末時点。

 

「hugall」は、豊富な百貨店内の運営ノウハウ、投資回収の早さ、様々なジャンルに精通した専門部隊による訪問買取等を強みとしている。
「BOOKOFF総合買取窓口」はブランド品のリユースだけでなく、書籍・ソフトメディアのリユースを取り扱うことによる他社との差別化を図っている。

 

2023年1月、これまで「ハグオールファッション」の名称で展開していたECサイトの取り扱い商材や機能を大幅に拡充し、ブックオフグループのプレミアムラインを扱うサイト「Rehello(リハロ)」として、新たにオープンした。
ブックオフグループ店舗(一部店舗)への取寄せや購入希望商品の確認、店舗での受取り、試着サービスの実施をはじめ、サイト経由でのリフォームやリペアなどの受注サービスなどを提供し、顧客体験の幅や奥行きの拡大を目指している。

 

プレミアムサービス事業は、BOOKOFF SUPER BAZAAR等に商品供給を行いグループ収益に貢献しているほか、BOOKOFFがリーチしづらい地域や場に出店を行うことによるグループブランディングへの貢献、自社EC「Rehello」におけるグループのアパレル商材販売といったシナジーを発現している。

 

(3)海外事業
BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOKOFF」店舗(直営店16店舗)を、BOK MARKETING SDN.BHD.が「Jalan Jalan Japan」をマレーシアに直営13店舗・加盟店1店舗、J&K TRADING LLCがカザフスタンに直営4店舗・加盟店3店舗の運営をそれぞれ行っている。この他、フランスに加盟店3店舗を有している。
現地で独特な、エンターテインメント性の高い小売業としての地位を確立しているほか、「ネイティブ従業員の育成」を最上位に位置付ける運営を行っている。
店舗数は24年11月末時点。

 

*マレーシア
2016年に進出。現地オリジナルパッケージの「Jalan Jalan Japan」を24年11月末時点で14店舗展開している。人財育成に力を入れ、店舗ネットワークの更なる拡充に取り組んでいく。
マレーシア事業は黒字化しているが、収益貢献だけでなく、グループの出口機能も担っている(日本国内の店舗で販売に至らなかった商品を現地で販売している)。国内で売れ残った商品は産業廃棄物として処理するものもあったが、マレーシア事業が機能する事で処理費用を大幅に抑制することができている。店舗運営には大量の商品の確保と大量の商品を売り切るオペレーションが要求されるため、他社が同様の事業を展開する事は難しく、業界でも断トツの売上規模を誇る同社ならではの事業である。現地子会社を駐在社員がマネジメントし、店舗は店長を始め現地採用のローカル人員が中心となって運営している。

 

*カザフスタン
2022年10月、Jalan Jalan Japan Zhetysu-Semirechye 店が現地企業による加盟店としてカザフスタン共和国アルマトイ市にオープンした。
同国の首都アルマトイ市は北海道とほぼ同緯度に位置するカザフスタン最大の都市。同国への出店により、日本国内の冬物衣料やウィンター用品の出口機能としての展開が可能になった。
2024年4月に合弁会社を設立し、その後は直営店舗の展開を開始。現在、直営4店舗・加盟店3店舗を運営している。

 

*米国
2000年進出。BOOKOFFを16店舗運営しており、日本国内のブックオフ同様に、本、ソフトメディアのほか、アニメ商材、ホビー等の買取・販売を行っている。
マレーシア同様、現地子会社を駐在社員がマネジメントし、店舗運営は現地採用のローカル人員中心で行っている。

 

(4)事業開発領域
現時点では主に以下のような事業開発に取り組んでいる。

 

①トレーディングカード専門店事業「Japan TCG Center」
トレカ専門店「Japan TCG Center」は、中古買取・販売のほか、新品パックやカードサプライ(トレーディングカードゲームに関連するグッズ類)も豊富に取り揃えている。店舗で遊べるデュエルスペースを完備しており、初心者から上級者まで幅広い層をターゲットとしている。24年11月末時点で4店舗を有する。

 

②「CDプラ」事業
外部企業とのパートナーシップによる技術導入により、ブックオフの店舗で販売しきれないCD・DVD年間約1,700トンから再生プラスチック資材を製造する。メーカー等に販売することで新しい価値提供につなげる。

 

③おかたづけ事業
相続・生前整理・引越しなどを契機とした家屋内の物品整理ニーズに対応したサービス。不用品の分別、搬出・処理手配から買取まで、片づけをワンストップで行う。

 

④賞味期限が迫る加工食品の販売ECサイト「FOOD ReCO」
賞味期限が迫った加工食品を販売するECサイト「FOOD ReCO」を「楽天市場」内に出店している。
「まだ食べられるのに捨てられる商品」「行き場を無くした商品」を提供することで食品ロス削減に貢献している。

 

【1-3 同社の強み】

同社では、リユース市場における自社の強みは、主として以下の点であると考えている。

 

(1)認知度No.1
国内リユースチェーン利用者に対する調査の結果、同社の認知度は96%。回答者のほぼ全員が同社の事を知っているという結果がでている。
長年の運営実績、実店舗の全国展開などがその背景にあり、他社が簡単には追随できるものではなく、強力な参入障壁となっている。

 

(2)利用客数No.1
同社の利用客数は年間約9,000万人(延べ人数)。上記の認知度に加え、全国で800を超す店舗ネットワークや、リアル・ネット双方でお客様の利用機会の最大化を目指す「ひとつのBOOKOFF」構想など、利便性の高さが利用者から高い支持を受けている。

 

(3)書籍在庫数No.1
書籍在庫数は1億冊を超える。書籍の買取・販売からスタートした同社の主力商材である書籍は、利用者層の幅も広く、リユースサービス利用の入口ともなりやすいため、その後の他商材利用への広がりも期待できることから、安定した利用者基盤構築に大きく寄与している。

 

(4)人財育成システム
事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」を実現するために、上記のブランド力、店舗網に加え人財の育成が不可欠と考え、正社員のみでなくパート・アルバイトを含めた全社員を対象とした人財育成システムを構築している。
経営理念をはじめとしたフィロソフィーと各種マニュアルに基づく人財育成カリキュラムや全従業員を対象としたキャリアアップ制度により店舗運営を支える人財育成に注力している。
店舗における「笑顔・丁寧・スピーディーな対応」による来店者満足度の向上に加え、物流センターにおける運営効率向上についての各従業員の参加意識向上にも努めている。

 

(5)安心できる店舗づくり
利用者の立場に立った買取サービスや法令順守を徹底し、利用者が安心してモノを売る店舗づくりに取り組んでいる。
特に、利用者が最も関心のある買取価格の妥当性については、他社にはない膨大な取引データを基にした買取価格データベースを本社において整備し、それを基に各店舗での買取を実施している。

 

【1-4 株主還元】

利益配分を経営の最重要事項の1つと認識し、内部留保については、将来の企業価値向上につながる戦略的投資と財務体質の強化に対して有効に活用していく。
連結純利益に対する配当性向は20~30%程度を目安に、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。

【1-5  サステナビリティ】

(1)基本的な考え方
グループ経営理念の下、サステナビリティへの取り組みは経営上の重要事項であり、顧客が「ブックオフ」で、モノを売ったり買ったりする行動そのものが、モノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすという「循環型社会の実現」に資するものととらえている。
2023年8月にはサステナビリティ基本方針、人権方針を制定し、ESG経営へのコミットメントを明確にした。

 

<サステナビリティ基本方針>

環境面(E)

・地球環境にやさしい事業活動の実現

・リユース・リサイクルの事業拡大成長による循環型社会の拡大

社会面(S)

・働きがいと働きやすさの充実

・誰もが心地よく利用できる環境づくり

・地域コミュニティとの連帯と調和

ガバナンス面(G)

・多様な意見を取り入れた意思決定と誠実な経営

・適切な情報開示と責任ある対話

 

<人権方針>
私たちは持続可能(サステナブル)な世界をつくる上で基本的人権が守られることは大前提と考えております。そのため人権を理解し、人権尊重の責任を果たすため、人権方針をここに定めます。

 

1.人権に対する基本的な考え方
私たちは、企業活動が潜在的・顕在的に人権に影響を及ぼす可能性があることを理解しています。本方針は、国際基準に準拠しており、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、実践してまいります。

 

2.本方針の適用範囲
本方針は、グループ企業の全役員及び全従業員(パートタイムを含む)に適用します。

 

3.企業活動に関わる人権課題へのコミットメント
① 差別の排除
個人の人権と多様性を尊重します。性別、年齢、国籍、人種、宗教、社会的出自、雇用形態、婚姻状況、妊娠状況、健康状態、性自認、身体的特徴、障がいの有無などによる一切の差別を行いません。
② 適切な職場環境
グループ企業の全役員及び全従業員の人権が尊重される職場環境を提供します。精神的か肉体的かを問わず、あらゆる形態のハラスメントがない健康で安全な職場環境を提供し、適正な労働時間の管理、最低賃金の確保、プライバシーの保護、結社の自由と団体交渉権を尊重します。また、あらゆる形態の強制労働、児童労働、人身売買も認めません。

 

4.人権デュー・ディリジェンス
私たちは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り人権デュー・ディリジェンスを実施することで、わたしたちの企業活動による人権面での負の影響を特定、評価、防止、軽減することに努めます。わたしたちが人権侵害を引き起こしている、あるいはこれを助長していることが明らかになった場合には、その是正に努めます。

 

5.救済措置
私たちは、すべてのステークホルダーが人権に関する懸念を不利益なく通報できる通報制度を提供します。人権侵害の申し立てがあった場合には、速やかに調査し、人権への負の影響を是正する救済措置を講じ、将来的なリスクを軽減するための取り組みや働きかけを行います。

 

6.教育・研修
私たちは、本方針の実効性を確保するために、グループ企業の全役員及び全従業員に対して、適切な教育及び研修を継続的に行います。

 

 

(2)主な取り組み
①E(環境)
循環型社会の確立に向け、同社がアプローチを強化することで資源使用の流れを鈍化・減少させる。
同社国内BOOKOFFチェーンの年間買取点数は約4.1億点、年間販売点数は約2.8億点。
CD、DVD、ゲームソフト、服商材のリユースによるCO2削減量は年間約45万トンと試算している。
本業のリユース(買取・販売)に加え、廃棄した書籍を活用したPB商品の開発、廃棄したCD・DVDからの再生プラ資材の製造販売、REMARKETによるアップサイクル品の販売など、リユース・リサイクル拡大に向けた活動も積極的に展開している。

 

気候変動問題への対応として、2023年8月、TCFD提言への賛同を表明した。

(同社資料より)

 

②S(社会)
◎人的資本強化
「ウェルビーイング」を目指す上でその基礎となるダイバーシティを推進していくことは最も重要な課題と考えている。

 

ダイバーシティ方針の下、以下のような考え方で取り組みを進めていく。
1.経営チームとしてのコミットメント
2.受け入れ、尊重する(インクルージョンする)企業文化
3.公正、衡平、透明な制度フロー
4.評価と確認
5.従業員の参加とエンゲージメント

(同社資料より)

 

◎各種取り組み
行政機関や各企業・団体と連携し、幅広い社会問題の解決に繋げている。関係各所とパートナーシップを結ぶことで、共に循環型社会への推進をリードしていく。
2024年4月、三重県桑名郡木曽岬町に「ふるさとブックオフ」2号店がオープンした。書店が無い自治体へ子どもの読書機会を創出する。書籍を通じた地域振興の取り組み等を行う地域連携協定を締結した。

 

③G(ガバナンス)
HPコンテンツの充実、個人投資家向け説明会の開催、決算説明会のWEB配信、株主総会の土曜日開催、機関投資家MTGへの堀内社長の参加、英文開示の実施など、株主・投資家との対話の充実を図っている。
ガバナンス体制においては、2022年にサステナビリティ戦略委員会を設置した。
代表取締役社長が委員長を務め、半期に1回以上の頻度で開催する。気候変動をはじめとした様々なリスク・機会の特定及び対応方針や戦略の検討並びに、各部門における実行計画の進捗モニタリング等を実施している。

 

(3)SDGs達成への取り組み
「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)」の達成に向けて、「SDGsの目標とターゲット」から事業に関連のある事項及び社会的インパクトのあるものを抽出し重点課題を洗い出した。
特定したマテリアリティに対する取り組みを推進するため、広報・SDGs推進室が中心となってグループ横断で議論、推進するチームを作り、同社グループの強みを生かしつつ、社外のパートナーとも積極的に連携し、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいる。

 

マテリアリティ

概要

SDGs

*廃棄物の大幅削減・森林の持続可能な経営

 

*カーボンニュートラル社会の実現

ブックオフグループのリユース事業を通じ、年間45万トンのCO2削減効果を生み出している。また、パートナー企業と連携し、古紙として年間2.8万トンをリサイクルしており、年間約60万本(※自社算定)の森林環境保全に繋がっている。

 

TCFDの提言に基づき、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標・目標のフレームワークに沿った気候変動に係る情報開示の質と量の充実を推進する。

 

 

次世代への教育機会の推進

リユース事業や業務、様々な取り組みについてのカリキュラムを作成し、幼児から小学校、中学校、高等学校と成長段階に応じて、リユース業態を活かした様々な教育支援プログラムや講演活動を実施している。身近にある店舗を題材にすることで社会・環境問題を自分事として捉えて考える教育機会を推進している。

 

ダイバーシティ推進

女性従業員が活き活きと働き、活躍できる職場環境作りやワークライフバランス実現に向けた施策として、「働きやすい職場作りプロジェクト」を立ち上げ、年齢・性別を問わず、育児・子育て・介護等の様々なライフステージに対応した働き方を可能とする取り組みを行っている。

具体的には、主要事業会社であるブックオフコーポレーション株式会社において2028年度末までに「目標1:女性管理職(統括エリアマネージャー、グループ長以上)比率を20.0%以上とする」「目標2:女性社員の育休取得率100%維持、男性社員の育休取得率を60%以上とする」という2つの目標達成を掲げている。

 

また、障がい者雇用のための特例子会社を設立し、障がい者の雇用を積極的に行い、多様性の確保を進めている。

 

官民連携、企業連繋

国内では消費出来ず、廃棄せざるを得ない商品を海外向けリユースショップ「Jalan Jalan Japan」で販売し、モノの寿命を伸ばす取り組みを行うほか、関係各所とパートナーシップを結ぶことで、共働して循環型社会への推進をリードしている。

 

(同社資料などより)

 

 

 

2.2025年5月期上期決算概要

【2-1 連結業績】

 

24/5期上期

構成比

25/5期上期

構成比

前年同期比

売上高

52,934

100.0%

56,781

100.0%

+7.3%

売上総利益

29,978

56.6%

32,396

57.1%

+8.1%

販管費

28,919

54.6%

30,898

54.4%

+6.8%

営業利益

1,059

2.0%

1,498

2.6%

+41.5%

経常利益

1,268

2.4%

1,713

3.0%

+35.1%

四半期純利益

705

1.3%

912

1.6%

+29.4%

* 単位:百万円

 

増収増益
売上高は前年同期比7.3%増の567億円。3事業とも増収。
経常利益は同35.1%増の17億円。粗利率の高い書籍の構成比が上昇した一方、粗利率の低いトレーディングカードの構成比が低下した結果、粗利率は0.5ポイント改善し、売上総利益も同8.1%増加。販管費の増加を吸収し、増益となった。

 

四半期ベースでは前年同期比及び前四半期比増収も、プレミアムサービス事業におけるコスト増などでいずれも減益となった。

 

◎グループ店舗数
24年11月末の店舗数は、国内ブックオフ事業752店舗(直営店385店舗、加盟店367店舗)、プレミアムサービス事業51店舗、海外事業37店舗(直営店30店舗、加盟店7店舗)。
25年5月期上期の新規出店(直営)は国内13店舗、海外6店舗。事業別内訳は国内ブックオフ事業5店舗、プレミアムサービス事業6店舗、海外事業6店舗、その他事業2店舗。

 

新規出店(直営)

区分

店舗名

店舗パッケージ

OPEN

所在地

国内

じゃんぼスクエア香芝店

BOOKOFF

24年3月22日

奈良県

海外

Berjaya Mega Mall店

Jalan Jalan Japan

5月23日

マレーシア

その他

那覇沖映通り店

Japan TCG Center

6月14日

沖縄県

海外

MASSAPEQUA店

BOOKOFF

6月28日

アメリカ

海外

Aksai店

Jalan Jalan Japan

7月6日

カザフスタン

プレミアム

大宮髙島屋店

ハグオール

7月11日

埼玉県

国内

イトーヨーカドー東村山店

BOOKOFF

7月12日

東京都

プレミアム

桜新町駅前店

BOOKOFF総合買取窓口

7月12日

東京都

国内

チャチャタウン小倉店

BOOKOFF

7月13日

福岡県

海外

Sayahat店

Jalan Jalan Japan

7月27日

カザフスタン

プレミアム

田園調布店

BOOKOFF総合買取窓口

8月2日

東京都

海外

The Mines Mall店

Jalan Jalan Japan

9月12日

マレーシア

プレミアム

茗荷谷店

BOOKOFF総合買取窓口

9月13日

東京都

その他

蒲田駅東口店

Japan TCG Center

9月14日

東京都

海外

Vodnik Alatau店

Jalan Jalan Japan

9月28日

カザフスタン

プレミアム

目黒店

BOOKOFF総合買取窓口

10月10日

東京都

国内

草加セーモンプラザ店

BOOKOFF SUPER BAZAAR

11月5日

埼玉県

プレミアム

横浜髙島屋

ハグオール

11月15日

神奈川県

国内

リヴィン田無店

BOOKOFF

11月27日

東京都

※国内連結子会社の決算期が連結会計期間と異なるため、2024年3月にオープンした「BOOKOFF じゃんぼスクエア香芝店」は、2025年5月期第1四半期の新規出店扱いとなる。海外子会社の決算期が連結会計期間と異なるため、「Jalan Jalan Japan」は2024年4月~2024年9月まで、「BOOKOFF USA」は2024年3月~2024年8月までにオープンした店舗を記載している。

 

【2-2 セグメント別動向】

 

24/5期上期

構成比

25/5期上期

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

国内ブックオフ事業

46,793

88.4%

49,705

87.5%

+6.2%

プレミアムサービス事業

3,346

6.3%

3,427

6.0%

+2.4%

海外事業

2,249

4.2%

2,933

5.2%

+30.4%

その他

545

1.0%

714

1.3%

+31.0%

合計

52,934

100.0%

56,781

100.0%

+7.3%

セグメント利益

 

 

 

 

 

国内ブックオフ事業

1,735

3.7%

2,381

4.8%

+37.2%

プレミアムサービス事業

229

6.8%

17

0.5%

-92.4%

海外事業

408

18.1%

414

14.1%

+1.4%

その他

-100

-

-110

-

-

調整額

-1,004

-

-989

-

-

合計

1,268

2.4%

1,713

3.0%

+35.1%

*単位:百万円。セグメント利益の構成比は売上高利益率。

 

(1)国内ブックオフ事業
増収増益。
直営既存店においてアパレルやトレーディングカード・ホビー、家電・携帯電話、書籍などの売上高が前年同期を上回った。新規出店も寄与。
四半期ベースでは、人件費等店舗の運営費用や第1四半期からずれ込んだ本部のマーケティング費用により販管理費が増加し第2四半期(9-11月)のセグメント利益は前年同期並み。

 

 

◎既存店の状況
25年5月期上期の既存店売上高前年同期比は105.2%、同売上客数は103.7%、第2四半期(9-11月)はそれぞれ104.9%、103.6%と堅調に推移した。月次ベースでは46カ月連続増収となっている。
引き続き「BOOKOFFのエンタメ化」と「トレーディングカード・ホビー商材の取扱い強化」の2つをテーマに、上期は既存店9店舗でリニューアルを実施した。

 

◎商材
音楽・映像・ゲームなどのソフトメディアを除いた全商材が前年同期を上回った。
書籍は、4四半期連続で前年同期を上回った。長期トレンドではマイナスは避けられないと見ているが、価格政策など前期比100%を目指して取り組んでいる各施策が奏功している。
トレーディングカード・ホビーは、ホビーが牽引している。トレカ売上高は、中古トレカの単価の下落により、売上高の前年割れは続いているが、売上点数は前年を越えており、第1四半期よりも回復傾向にある。
アパレルは、例年よりも気温の低下が遅れたことで冬物衣料の動き出しが遅れたものの、11月に入っての気温の低下に合わせて回復基調にある。
貴金属・時計・ブランドバッグは、ブランドバッグが牽引している。引き続きインバウンド需要が好調である。

 

(国内直営店 25/5期上期 商材別動向)

 

前年同期比

構成比

書籍

102.8%

22.8%

ソフトメディア(音楽・映像・ゲーム)

99.5%

22.6%

アパレル

108.3%

12.0%

貴金属・時計・ブランドバッグ

105.6%

9.2%

トレーディングカード・ホビー

106.8%

20.1%

家電・携帯電話

112.4%

5.0%

スポーツ・アウトドア用品

112.8%

3.5%

その他

119.7%

4.7%

合計

105.2%

100.0%

 

(2)プレミアムサービス事業
増収減益。
過年度の出店により仕入高が前年同期を上回ったことで増収となったが、不正事案のリリース以降、金融機関などアライアンス先からの顧客紹介案件の減少等もあり、仕入高の伸びは鈍化している。
販売効率が上がらず、売上高・売上総利益の伸び幅が限定的であったことに加え、新規出店に伴う費用の増加や事業成長に向けた人員拡充などにより減益。セグメント間の取引価格改定に伴う費用の増加も影響した。ただそこの増加要因は一時的なものである。
上期の新規出店は「hugall」2店舗、「BOOKOFF総合買取窓口」4店舗の合計6店舗。

 

 

(3)海外事業
増収増益。
アメリカ合衆国内の「BOOKOFF」、マレーシア・カザフスタンの「Jalan Jalan Japan」それぞれにおいて既存店の伸長と前期までの出店が寄与し増収。上期売上高はBOOKOFF USAが前年同期比17.5%増、Jalan Jalan Japan(マレーシアのみ)が同19.4%増。カザフスタンにおいて、合弁会社設立後に現地法人の管理体制の構築や、直営店3店舗出店により費用が先行し、上期は微増益も、第2四半期(9-11月)は減益となった。
直営店は、アメリカで「BOOKOFF」1店舗、「Jalan Jalan Japan」5店舗を新規に出店した。

 

【2-3 財政状態】

◎財政状態

 

24年5月

24年11月

増減

 

24年5月

24年11月

増減

流動資産

32,208

32,962

+754

流動負債

20,551

19,007

-1,544

現預金

7,180

7,041

-139

仕入債務

783

907

+124

売上債権

3,397

3,608

+211

短期借入金

11,580

10,631

-949

たな卸資産

18,825

19,159

+334

固定負債

13,483

16,396

+2,913

固定資産

22,334

23,444

+1,110

長期有利子負債

10,801

13,674

+2,873

有形固定資産

9,854

11,226

+1,372

負債

34,034

35,404

+1,370

無形固定資産

2,428

2,344

-84

純資産

20,507

21,001

+494

投資その他

10,052

9,873

-179

利益剰余金

13,534

13,952

+418

差入保証金  

7,311

7,341

+30

自己株式

-587

-587

0

資産合計

54,542

56,406

+1,864

負債・純資産合計

54,542

56,406

+1,864

* 単位:百万円。借入金・有利子負債にはリース債務を含む。

 

在庫確保のためたな卸資産が増加。新規出店に伴い有形固定資産も増加し、資産合計は前期末比18億円増加し564億円。
長期有利子負債の増加で負債合計は同13億円増加し354億円。
利益剰余金の増加等で純資産は同4億円増加の210億円。
自己資本比率は前期末比0.5pt低下し、36.6%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

24/5期上期

25/5期上期

増減

営業CF

220

935

+715

投資CF

-1,269

-1,763

-494

フリーCF

-1,049

-828

+221

財務CF

2,068

658

-1,410

現金・現金同等物残高

6,616

7,041

+425

* 単位:百万円

 

税金等調整前中間純利益の増加に加え、棚卸資産の増加額が前年同期よりも縮小したことなどから営業CFのプラス幅は拡大し、フリーCFのマイナス幅も縮小した。
キャッシュポジションは上昇した。

 

【2-4 トピックス】

(1)不正事案に対する再発防止策
2024年11月、不正事案に対する再発防止策を公表した。
2024年6月~10月に行った特別調査委員会の調査報告書の内容を踏まえたもの。「(1)業務ルールの見直しとシステム強化」「(2)業務統制に関するチェック強化」「(3)人員配置・評価基準の見直し」「(4)コンプライアンス・企業倫理向上」の4つからなり、発生事案への予防的統制強化の対策に加え、発見的統制(チェック)の強化と会社全体で不正を撲滅する姿勢を徹底することにより、不正行為を抑止する環境づくりを実施することを重視している。

 

(同社資料より)

 

再発防止策公表後、実施、浸透に向けた動きを本格的にスタートさせた。
第2四半期(9‐11月)は「現預金管理のルール見直し」「11月末の実地棚卸の実行における人員入替」「マネジメントレビューの実施」「本部における異常値分析」を実施した。システム開発に関しては「対応案件のリスト化」を行い、全52案件中5案件が完了・実装済みである。まだ緒に就いたばかりではあるが、第3四半期から再発防止策が本格化し、第4四半期を中心に現時点では約2億円程度のコストや投資が発生するものと会社側は見ている。

 

 

3.2025年5月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

24/5期

構成比

25/5期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

111,657

100.0%

120,000

100.0%

+7.5%

47.3%

営業利益

3,051

2.7%

3,500

2.9%

+14.7%

42.8%

経常利益

3,448

3.1%

3,800

3.2%

+10.2%

45.1%

当期純利益

1,705

1.5%

2,100

1.8%

+23.2%

43.4%

* 単位:百万円

 

業績予想に変更なし、増収増益を予想
業績予想に変更は無い。売上高は前期比7.5%増の1,200億円、営業利益は同14.7%増の35億円、経常利益は同10.2%増の38億円の予想。
中期経営方針2年目にあたる2025年5月期は、各事業において積極出店を継続する。成長期待事業であるプレミアムサービス事業と海外事業では出店ペースを加速させる。
国内ブックオフ事業において、前期リリースした大型IT投資による償却費や各事業における人件費等の各費用が増加するほか、不正再発防止策のコストも確保し販管費は増加するものの、各事業における新規出店及び国内ブックオフ事業既存店の伸長等により増益を見込む。
国内ブックオフ事業とプレミアムサービス事業における仕入れの回復と、策定した再発防止への取り組みの徹底が重要ポイントとなる。
不正事案に対する再発防止への取り組みの費用発現は、第3四半期以降が中心になる見込みである。
配当は前期と同じ25.00円/株を予想。予想配当性向は23.5%。

 

【3-2 各種前提・見通し】

(1)国内ブックオフ事業
リプレイスを含む新規出店は、BOOKOFF、BOOKOFF PLUS、BOOKOFF SUPER BAZAAR合わせて6‐8店舗を計画している。上期の出店は5店舗と順調である。
新規出店の他、既存店において、トレカ・ホビー強化及び売り場全体の効率化のための商材ゾーニング変更のためのリニューアルを継続実施する。トレーディングカードについて既存店のテコ入れを中心とするため、「あそビバ」の新規出店は見送る。
直営店既存売上高前年比は、上期105%、下期102%、通期で103.9%を想定している。
積極出店のための人件費の増加やソフトウェア償却費の増加、またセグメント間の取引価格の改定等により減益の予想。
既存店仕入高の前年比は、2024年7月に一度大きく下げたものの、その後は回復基調にある。下期の動向が予想達成に向けた重要なポイントとなる。

(2)プレミアムサービス事業
新規出店計画11店舗に対し上期は6店舗とこちらも順調である。
出店継続とともに、重要施策である人財確保及び育成に注力することに加え、セグメント間の取引価格の改定等により減益を見込む。
こちらも仕入高の回復度合いが予想達成に向けた重要なポイントとなる。

 

(3)海外事業
新規出店計画12店舗(マレーシア4店舗、カザフスタン5店舗、米国3店舗:全て直営)に対し上期は7店舗(直営6店舗、加盟店1店舗)を出店。
過去の出店が寄与し、増収に伴い増益を予想。

 

(4)その他
Japan TCG Centerは4店舗の出店計画に対し、上期は2店舗を出店した。

 

4.中期経営方針と進捗

【4-1 これまでの歩みと事業環境】

ブックオフコーポレーションとして中古本の仕入・販売からスタートし、2000年以降、取扱商材を拡大するとともに、積極的な店舗展開で成長してきた同社は、出店商圏余地が限界を迎える中でも店舗の複合化・大型化を進め利益の拡大を実現してきた。
しかし、ECやCtoCの拡大、競争激化の中で、収益は低迷し、2016年~2018年には最終赤字を計上することとなった。
こうした状況下、ECサイト「ブックオフ公式オンラインストア」と店舗との連携強化や高額商品を取り扱うプレミアムサービス事業の開始、買取特化型店舗「BOOKOFF総合買取窓口」の新設など、変革のためのトライ&エラーを進め事業基盤の再構築を図ってきた。
コロナ禍の影響も受けたが、国内ブックオフ事業の再強化、プレミアムサービス事業及び海外事業への注力、新業態店舗の開発などにより経常利益30億円を創出することができる体制を整えることができた。
変革期を経て今期以降を持続可能な新たな成長期と位置付けている。

 

同社資料によれば(リサイクル通信調べ 2023年)、国内リユース市場は、2009年1.1兆円が2022年には2.9兆円まで拡大。2030年には更に4兆円まで伸長すると見込まれている。

 

【4-2 目指す姿】

成長の続くリユース市場において「リユースのリーディングカンパニー」を目指す。
そのために、「あらゆるお客様層がお得に、楽しく、安心して買える・売れる」環境の整備、「すてない社会」の実現、リユースの世界展開、リユース拡大のための活動、などに取り組む。

 

事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」ことの実現による企業価値の最大化を目指している。
「経営理念の体現」「人財育成」「既存事業CFの永続性担保」「資本コストの低減」から成るグループの普遍的価値をベースに、各事業を推進し成長を追求する。
また、「経営理念、ミッションに通ずるものであること」「ブックオフグループの事業展開で生み出された強みを活かすことができること」「ブックオフグループで働く従業員の新たなキャリア形成につながること」という方針に基づいて、引き続き新規事業開発やM&Aを検討する。

 

 

(同社資料より)

 

【4-3 事業方針】

(1)概要
成長市場において、「1.会社概要」で触れた「経営理念」「MISSION」「VISION」の下、探索と深化を兼ね備えた持続的な成長の実現に向けて、従前のテーマであった「本だけじゃないブックオフ」から一歩進み、「ブックオフだけじゃないブックオフグループ」、つまり「事業ポートフォリオの変革」が不可欠であると考え、中期的な事業方針としている。
(2)各事業の位置付け
国内ブックオフ事業を「深化領域」、プレミアムサービス事業、海外事業、事業開発領域を「探索領域」と位置付け、深化領域で生み出した収益・ノウハウ・人財を探索領域に投資。
基幹事業に育成することで環境変化に対応可能な事業ポートフォリオを構築する。

 

(同社資料より)

 

国内ブックオフ事業においては、損失計上という困難な時期もあったが、それを乗り越えて再び堅実な成長路線に回帰してきた。
そうした中で、基礎的なマネージメントスキル、コミュニケーションの取り方、チームビルディングや社員のモチベーション向上のため手法といった、いわば人財育成のための要諦が同社では確立することができている。
こうした優れた人財育成のノウハウを「探索領域」に導入していく。「深化領域」と「探索領域」ではビジネスモデルも異なるためチャレンジングな部分もあるが、同社の大きな強みである人財育成の仕組みを「探索領域」でも展開することで、大きな成長に繋げていく。

 

(3)各事業の方針
①国内ブックオフ事業
中期方針を「お客様へ最高のリユース体験を提供する」とし、「本を中核商材に地域に合わせた商材拡張」と「ブックオフを超便利に・超面白く」に取り組む。
グループの中核事業として、現状の利益水準を確保しつつ資本効率を改善し、成長事業への人財・ノウハウの輩出を継続的に行う。

 

顧客戦略においては来店頻度の向上、来店機会の創出、買取戦略においては体験価値の向上、顧客コストの削減、改善の継続性、デジタル戦略においてはユーザビリティの改善、商材拡張、アプリ機能の拡充に取り組む。
人財戦略においては、社員積極採用、評価基準・キャリアパスプランの多様化が重要と認識している。

 

(同社資料より)

 

◎商材
本を中核商材に地域に合わせた商材拡張を進める。

 

*書籍について
市場環境、同社の状況
新刊書籍の販売低迷の影響もあり、2023年の同社中古書籍売上(直営店全店)は2019年比6%減少している。コロナ禍に伴う巣ごもり需要で一時的に回復した後、コロナ禍明けには再度低迷し、2023年は前年比2.5%減となったが、2025年5月期上期は前年同期比2.8%増まで回復している。
また、新刊書籍は販売部数が低迷しているが、2023年の平均単価は2019年比9%上昇している。これに対し同社の販売価格は11%上昇と市場平均を上回る。

 

同社の取組み
書籍は年代、性別を問わず幅広い顧客が利用するため大きな顧客基盤を持った商材である。加えて、粗利率も高い。リユース業界においては、アパレル、ブランド品などそれぞれの商材において強力なカテゴリーキラーが存在するので、他社との差別化要素を考えたとき、同社にとって「書籍」は戦略的に重要な商材であると改めて認識しており、書籍獲得粗利額の維持に向け、適切な価格施策、買取利便性の向上、在庫の可視化・検索性向上など、様々な取り組みを進めている。

 

・価格施策
同社では、書籍の中高価格帯の構成比を上げることで単価の上昇を狙っている。価格帯別売上高の推移を見ると、2025年5月期上期売上高の2023年5月期上期比伸び率は、220円以下が22%減であったのに対し、221円以上1,000円未満、1,000円以上はそれぞれ19%増、7%増であり、トータルでは4%増収であった。結果的に価格帯別構成比は、220円以下が6%減の17%、221円以上1,000円未満が4%増の36%、1,000円以上が1%増の47%となっている。
中高価格帯の構成比上昇に向けては、話題作・メディア化作品を対象として店頭やECサイトで高価買取商品告知を実施したり、こうした作品などを買取見本とした売り場展開をしたり、といった高価買取施策を展開している。
この結果、良質な中高価格帯商品の在庫確保が進み、新刊書籍を上回る販売単価の上昇と売上高確保を実現している。
・スマホアプリの活用
デジタルの活用も書籍売上高拡大に寄与している。
2024年11月末の公式スマホアプリ会員数は811万人を超えた。スマホアプリ経由で公式サイトを利用する顧客のうち、7割以上が店舗受取を利用している。また、店舗での受取時に、ついで買いをする顧客の比率は3割以上であり、書籍の店舗受取売上高は毎期着実に増大している。
公式スマホアプリを通じて、「店舗受取サービス」や「キャッシュレス買取」など「あらゆるサービスを時間と場所の制約を受けず簡単に体験できる」サービスを拡充しており、顧客に同社ならではの体験価値を提供している。

 

今後の展望
新刊書籍の販売低迷の影響を受け、同社全体の売上高が拡大する中で本・ソフトメディアの構成比は年々低下すると見込まれるが、今後も引き続き中核商材として土台となり、本・ソフトメディア以外の商材投入による売上・利益の拡大を基本戦略とする。

 

*その他の商材
アパレル、ブランドバッグ・貴金属、トレカ・ホビー、スポーツ用品など増収基調が続いている商材は、取り扱い店舗数の増大、特化店舗パッケージの開発などで取り扱いをさらに強化する。

 

アパレルは、中高価格帯の取り扱いを強化する。
ブランドバッグ・貴金属の取扱いにおいて、スペシャリスト制度という社内検定制度を運用している。
ブランドバッグ・貴金属の買取においては、価格のみでなく、対応した店員の接客態度が重要な要因になることから、接客レベル及び時計・ブランドバッグの商品知識について検定試験を行い、サービスレベル向上を図っている。
AI機器を活用した複眼査定による精度の向上にも取り組む。

 

(同社資料より)

 

◎顧客接点の強化・拡大
既存店の大型化を中心とした継続的な出店、新店舗パッケージの開発、公式スマホアプリを利用したCRM施策の強化、接客・店舗づくりの深化、商品・顧客管理のデジタル化推進などにより顧客接点の強化と拡大を図る。

 

 

(同社資料より)

 

前述のように、24年11月末のアプリ会員数は811万人。アプリ会員数の拡大は、同社ならではの様々なサービスの利用拡大と収益増に結び付き始めている。
アプリ会員数は、1,000万人達成も見えてきたが、これまで同様、単なる会員数の拡大のみでなく、充実した機能や質の高い顧客体験の提供を通じたMAU(Monthly Active Users)の拡充に注力していく。

 

◎IT投資

(同社資料より)

 

大型IT投資案件のうち、EC販売サイトリニューアルは、2023年9月に実施した。店舗POS刷新は、2023年12月にリリースし、先行店舗は導入展開済みで、25年5月期中に、FC店舗も含めたグループ全体、チェーン全体への順次導入を予定している。
今後は買取サイト構築、EC庫内システム強化にも取り組んでいく。
IT投資にかかる償却費は、25年5月期、26年5月期がピークになる見込み。

 

②プレミアムサービス事業
「グループで今まで取り込み切れなかった層に新規出店を中心にアプローチをかける」ことを中期方針としている。
2028年5月期までに主要都市を中心に100店舗体制の構築に向け、25年5月期から出店を加速させている。
接遇・対応力強化で競争優位性を確立するほか、新規出店に加え、富裕層の顧客開拓を目指し、百貨店の外商・不動産企業・金融系企業などアライアンスパートナーの拡大による新規出店以外でのアプローチを強化し、顧客接点を拡大する。

 

(同社資料より)

 

 

 

(同社資料より)

 

hugallで仕入れた商品は、大きな利幅をとることよりも単価の高い商品を迅速にキャッシュにし回転率を向上させることを重視し、主にBtoBで販売する。
BOOKOFF総合買取窓口で仕入れた商品は、主に自社ECサイトRehelloや国内ブックオフ事業のBOOKOFF SUPER BAZAARで販売する。

 

2023年1月にリニューアルしたECサイト「Rehello(リハロ)」は、ECサイトでの取り扱い商材や機能を大幅に拡充したことで、24年5月期の取扱高は前期比39%増と、順調に拡大している。新たに顧客が「Rehello」で購入検討している商品」を「指定した店舗で現物確認・購入できる」サービスである店舗お取り寄せサービスを開始した。利便性の向上による取扱高の更なる拡大を目指している。

 

売ることに慣れていないユーザーでも安心できるサービス提供し買取を通じて、新しい出会いの体験をつなぐ「場」となることをブランドコンセプトとし、BOOKOFF総合買取窓口をECサイトと同様に、「Rehello(リハロ)」に名称を変更することとした(実際の名称変更は今期から着手し、来期実施の予定)。
気軽に立ち寄ることができるリアル店舗と、商品を簡単に探すことができるECサイトの連携を強化し、販売効率の向上を図る。

 

(同社資料より)

 

③海外事業
マレーシア、カザフスタン、米国ともに、積極的な出店を進める。
同時に商品供給力強化にも取り組む。

(同社資料より)

 

◎Jalan Jalan Japan
マレーシア、カザフスタンでの出店を続けるほか、新たな国への展開も検討する。
2028年5月期までに50店舗、2033年5月期までに100店舗へ拡大する計画。
カザフスタンでも日本製製品に対する信頼度・人気は高く、成長を見込んでいる。適切なリスクマネジメントを行いながら出店を進める。

 

2024年9月に、従来の総合的な商品展開の店舗とは別に、アパレルを専門に扱うパッケージを開発した。現在マレーシア2店舗、カザフスタン3店舗を運営している。
日本から送った衣料品を現地で洗浄し、しわやニオイのない高品質な中古衣料品として提供する。グループのノウハウである視覚的要素に焦点を当てたVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を駆使した提案型の売場作りを実施している。既存のJalan Jalan Japan店舗の強みである「ファミリー」層をターゲットとした楽しめる売場作りも特徴の一つである。

 

(同社資料より)

 

現地で他にはない新たな提供価値が、成熟したマレーシアの中古衣料市場において、新たなマーケットを開拓していくものと考えている。
これまでのJalan Jalan Japanの出店は雑貨品の確保が制約要件だったが、アパレルパッケージは日本国内の潤沢な余剰衣料品を活用するため、出店加速が可能である。
今後はフルパッケージ店舗との両輪で出店を進めていく。

 

◎米国
アメリカ東西海岸においてドミナント出店を続けることに加え、新たに内陸部メガシティへの展開を開始する。
2028年5月期までに30店舗、2033年5月期までに100店舗を目標としている。

 

(同社資料より)

 

市場拡大と店舗運営効率化に向けて、現地人財のマネジメント力向上により、オペレーションと顧客体験の向上を図るほか、100店舗達成に向けた継続的な出店を実現するためには大都市に加え、全米での物件確保が必要となることから、より積極的に調査を実施する。

 

具体的には、マネジメント・育成に関しては、日・米最低3名のストアマネージャーを登用するほか、アリゾナ州での新規店舗開発のためのトレーニングを実施する。
店舗づくりや商品展開に関しては、陳列ルールを刷新し、効率的な売場づくりを推進するほか、店舗備品(販促効果を高める商品説明ツール)の刷新、アニメグッズ販売方法の見直し、新たな顧客層への対応、買取システム及び査定システムの一体化に取り組む。

 

◎供給力強化
出店拡大に合わせた商品供給力強化も重要な課題である。
同社グループのチェーンのみならず、他社や自治体とも連携して不用品のリユース促進を図るほか、Jalan Jalan Japanチェーンの出店拡大を通じて世の中の「すてない社会」の実現につなげる。
現在全国に6か所ある商材の仕訳を行うRヤードは、今後も増設を検討していく。

 

(同社資料より)

 

④事業開発領域
*トレーディングカード専門店事業
「Japan TCG Center」を東名阪、政令指定都市中心に積極的に出店するとともにFC展開を開始する。
成長するトレカ市場における多様なブランド展開によりグループのシェア拡大と収益化を図る。
25年5月期は4店舗の出店を計画しており、効率性や収益性を見ながら、中期的には10店舗程度までの拡大を計画している。

 

*CDプラ(リサイクル)事業
ゴミにしないだけでなく、自社の工夫で高い価値に変えて世の中に提案する事業へチャレンジする。

 

*おかたづけ事業
一都三県のほか、協力企業を増やしてサービスエリアを拡大する予定である。
できるだけゴミを減らすことで廃棄費を下げ、買取金額を作業費から引くことで顧客の期待に応える考えだ。

 

*新たな事業の探索
「経営理念、ミッションに通ずるものであること」「ブックオフグループの事業展開で生み出された強みを活かすことができること」「ブックオフグループで働く従業員の新たなキャリア形成につながること」という方針に基づいて、引き続き新規事業開発やM&Aを検討する。

 

【4-4 数値目標】

◎利益の拡大
2028年5月期「売上高1,300億円、経常利益45億円以上」を目標としている。
深化領域の着実な収益獲得と、収益性の高い探索領域の利益成長によってその利益構成比を高めることで、過去最高利益(経常利益38億円)の大幅な更新を目指すとともに、連結ベースでの利益率を向上させる。

 

(同社資料より)

 

◎資本コストを意識した財務方針
28年5月期のROAは9.0%以上を目標としている。
WACC(加重平均資本コスト)9.0%程度と資本コストを認識しており、成長事業を中心とした積極投資による過去最高益(経常利益38億円)の更新とともに、資本収益性改善による超過利潤(経済的付加価値)の創出も目指す。
*同社では事業部門のKPIとして伝統的に経常利益を用いているため、より事業部門への浸透度合いが高い経常利益を用いたROA(総資産経常利益率)をKGIに採用している。また、同社は余剰資産が比較的少ないため、ROAとROICがほぼ同数値の状態である。

 

(同社資料より)

 

 

5.堀内社長に聞く

堀内社長に、25年5月期上期決算の概要などを伺った。

 

Q:25年5月期上期決算についての社長御自身の評価をお聞かせください。
営業利益が、第1四半期(6‐8月)は前年同期比171.9%増と大きく増加したのに対し、第2四半期(9-11月)は同40.6%減となったのですが、第1四半期は不正事案についての調査を実施した関係で事業推進に関わるアクションが想定通りには行うことができずコストが第2四半期にずれ込んだこと、第2四半期に大型店BOOKOFF SUPER BAZAARを含めた積極的な出店を行ったことなどが、その背景として挙げられます。
第1四半期と第2四半期の事業においては一部で想定を下回るものもありましたが、全体では増収増益と、ほぼ概ね想定通りの決算でした。

 

Q:各事業についても簡単にコメント頂けますか?
(1)国内ブックオフ事業
上期は音楽・映像・ゲームなどのソフトメディアを除いた全商材が前年同期を上回り、当社の中核商品である書籍は、4四半期連続で前年同期を上回ることとなりました。

 

紙ベースの新刊書籍販売部数は減少傾向にあり、長期的にはダウントレンドは避けられないと見ていますが、新刊書籍の販売単価が市場全体では2019年比9%上昇しているのに対し、当社の販売価格は11%上昇と、市場平均を上回っています。
当社では新書など220円以下の価格帯の低い商品を絞り込む一方で、221円以上の中高価格帯の構成比を引き上げることで平均単価の上昇と粗利益の拡大を狙っています。そのための施策としてビジネス書を中心とした話題作やメディア化作品を対象として店頭やECサイトで高価買取商品告知を実施したり、こうした作品などを買取見本とした売り場展開をしたり、といった高価買取施策を展開しており、これが功を奏して、良質な中高価格帯商品の在庫確保が進み、新刊書籍を上回る販売単価の上昇と売上高確保を実現しています。
またデジタルの活用も書籍売上高拡大に寄与しています。
2024年11月末に公式スマホアプリ会員数は811万人を超えましたが、スマホアプリ経由で公式サイトを利用するお客様のうち、7割以上が店舗受取を利用しておいでです。また、店舗での受取時に、ついで買いをするお客様の比率は3割以上にのぼり、書籍の店舗受取売上高は毎期着実に増大しています。

 

書籍、ソフトメディアは大きく成長する領域ではありませんが、リユースへの入り口として位置付けなど、依然として価値が減じているわけではないので、当社では今申し上げたような施策で売上・利益をしっかりと確保しつつ、書籍・ソフトメディア以外の成長するリユースマーケット商材を拡大させて成長を追求してまいります。

 

(2)プレミアムサービス事業
不正事案のリリース以降、銀行や不動産会社など、富裕層をお客様としているアライアンス先からの顧客紹介案件が減少したり、提携交渉が一旦ストップしてしまったりといったことなどの影響で、仕入高の伸びが鈍化しています。

 

 

この事業では買取商品を、3つのルートで販売しています。
一つめは、高単価の商品を中心とした古物市場を通じての販売で、紹介案件減少の影響を大きく受けました。
二つめは、国内ブックオフ事業での販売。こちらは特に大きな影響は出ていません。
三つめは、中価格帯のアパレル・服飾雑貨を中心としたECサイト「Rehello(リハロ)」です。「Rehello(リハロ)」では、運営システムの変更などで販売効率の向上を目指していたのですが、出品作業、値付け、サイトの流入数といった部分で、物流が増えた割には想定したほど販売効率が上がらず、売上高・売上総利益の伸び幅が限定的でありました。

 

(3)海外事業
Jalan Jalan Japanでは、2024年9月に、従来の総合的な商品展開の店舗とは別に、アパレルを専門に扱うパッケージを開発し、カザフスタンで第1号店を開設しました。現在はマレーシアで2店舗、カザフスタンで3店舗を運営しています。
従来のフルパッケージの店舗運営の場合、商品供給でばらつきが出る中、どうしても過剰になりがちなのがアパレルです。このアパレルを何とか活用できないかと考えていたところ、緯度の高いカザフスタンでは冬物衣料が非常に活発に動くことがわかってきましたので、アパレルを専門に扱うパッケージの開発にチャレンジしたわけです。
フルパッケージに加え、比較的小規模で売り場を作ることができるアパレルパッケージを開発したことにより、海外事業での出店ペースは一段と加速させることができるものと考えています。

 

米国では、アメリカ東西海岸においてドミナント出店を続けることに加え、新たに内陸部の州都を中心としたメガシティへの展開を開始します。
市場拡大と店舗運営効率化に向けて、現地人財のマネジメント力向上に取り組むほか、100店舗達成に向けた継続的な出店を実現するためには大都市に加え、全米での物件確保が必要となりますから、より積極的に調査を実施していきます。
アメリカでも、フルパッケージのBOOKOFFと、アニメ・フィギュアを中心としたパッケージの2パターンで出店を加速させていく考えです。

 

Q:通期予想達成に向けたポイントなどをお聞かせください。
再発防止策については、第3四半期から本格化し、第4四半期を中心に現時点では約2億円程度のコストや投資が発生するものと見ています。
そうした中、最もポイントとなるのは、国内ブックオフ事業及びプレミアムサービス事業における仕入高の回復度合いです。
プレミアムサービス事業における不正問題の影響など、不透明な部分もありますが、様々な施策を打って回復に努めます。

6.今後の注目点

上期の進捗率は売上高47.3%、経常利益45.1%と、売上高はほぼ例年並み、経常利益は高水準にある。
売上高で約9割、利益で約8割を占める国内ブックオフ事業は、24年7月期に不正案件発生で仕入高が大きく減少したが、その後回復を見せており、既存店売上高も堅調であることから業績予想達成の確度は高いものと思われる。
一方で、成長領域では、海外事業も好調であるものの、プレミアムサービス事業に関しては競争が激化していることに加え、不正案件発生の影響を受けていることから、今後の展開が気になる所である。
リブランディング実施は、同事業の拡大に対し改めて一歩を踏み込む意味合いもあるようだ。
第3四半期以降の同事業の状況を注視していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

9名、うち社外取締役5名(うち独立役員4名)

監査等委員

4名、うち社外取締役3名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年11月26日)
基本的な考え方
当社グループは、純粋持株会社であるブックオフグループホールディングス株式会社のもと、「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」をグループ共通の経営理念とし、「経営の透明性・効率性の確保」「迅速な意思決定」「アカウンタビリティの充実」をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としております。この考えのもと、株主をはじめお客様・従業員・取引先・地域社会等の各ステークホルダーと良好な関係を築くとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを整え、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。

 

コーポレートガバナンス・コードの各原則に対する基本方針を「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」にて、開示しております。
 ■コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み
  https://www.bookoffgroup.co.jp/sustainability/governance.html

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則1-4】
当社は、「出資及び有価証券運用に関する規程」により、原則として政策保有目的の株式の取得を行わない方針を定めております。ただし、例外として、当社フランチャイズ・チェーン加盟企業の株式を保有することがあります。当社は取締役会にて保有株式につき検証を行い、個別の政策保有株式の意義を検証しております。
(検証内容)
□定性的項目
・取得経緯
・取引関係の有無
・保有の意義
・将来的なビジネスの可能性
・保有しない場合のリスク
・保有継続した場合のメリット・デメリット
□定量的な項目
・年間受取配当額
・株式評価損益
議決権行使については、議案の内容を精査及び直近3ヶ年の業績及び財務状況等を検証し、必要に応じて企業との対話を行い、株主価値向上に資するものか否かを判断した上で、適切に行使いたします。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【補充原則2-4①】
当社グループは、多様性の確保を含む人財育成方針、社内環境整備方針及び達成目標を定め、その実施状況と併せて自社ウェブサイト等で開示しております。
 ■ダイバーシティ方針(及び目標・行動計画と状況)
https://www.bookoffgroup.co.jp/sustainability/diversity.html

【補充原則3-1③】
当社は、当社グループの経営戦略の開示に当たり、サステナビリティへの取り組み及び人的資本や知的財産への投資等について、決算説明資料等で説明及び開示しております。また、当社グループの事業活動が気候変動に与える影響について、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づき、自社ウェブサイト等で開示を行っております。
 ■気候変動への対応(TCFD)
https://www.bookoffgroup.co.jp/sustainability/tcfd.html

 

【原則5-1】
当社は、IR担当役員を選任し、経営企画部をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に一回開催するとともに、逐次スモールミーティングや個別取材等を実施しております。また、IRポリシーを制定し、当社ウェブサイトにて開示しております。
 ■IRポリシー<株主との建設的な対話を促進するための方針>
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/policy.html

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】【英文開示有り】
当社は、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応として、「中期経営方針」において、資本コストの認識と資本収益性の改善を財務方針として明示し、事業ポートフォリオの変革を目指す方針を明記するとともに、事業ごとの中期のアクションプランを具体的に説明しております。
詳細については、2024年5月期決算説明資料「中期経営方針」のページをご参照ください。
 ■2024年5月期 決算説明資料
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9278/tdnet/2510545/00.pdf

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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