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(3323) レカム株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(3323)レカム 2024年9月期決算

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伊藤秀博 社長

レカム株式会社(3323)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

卸売業

代表取締役社長兼グループCEO

伊藤秀博

所在地

東京都渋谷区代々木三丁目25番3号 あいおいニッセイ同和損保新宿ビル12階

決算月

9月

HP

https://www.recomm.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

66円

82,630,255株

5,453百万円

1.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

1.60円

2.4%

5.29円

12.5倍

61.11円

1.1倍

*株価は12/18終値。各数値は2024年9月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

税引前利益

当期利益

EPS

DPS

21年9月(実)

6,628

210

153

-316

-3.88

0.00

22年9月(実)

8,920

413

457

351

4.32

1.00

23年9月(実)

9,510

450

490

314

3.87

1.60

24年9月(実)

11,687

269

307

83

1.03

1.60

25年9月(予)

14,800

700

700

430

5.29

1.60

*単位:百万円。IFRS適用。予想は会社側予想。当期純利益は親会社の所有者に帰属する当期利益、以下同様。

 

 

レカム株式会社の会社概要、中期経営計画、業績動向、伊藤社長へのインタビューなどをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025-2027年 中期経営計画
3.2024年9月期決算概要
4.2025年9月期業績予想
5.伊藤社長に聞く
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 日本を含む世界9か国の顧客企業に「カーボンニュー トラル」「コストダウン」「サイバーセキュリティ」等のソリューションを提供する「BtoBソリューションプロバイダー」。時代に合った最先端の商材やサービスを、強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させる「グローバル専門商社構想」で大きな成長を追求している。

     

  • 2025年9月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、営業DXの実現により、省人体制でも高効率な営業成果が得られる仕組みを構築する。その仕組みはM&Aでグループ化した企業にも移植し、バリューアップを図る。最終年度2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の達成を目標としている。

     

  • 24年9月期の売上収益は前期比22.9%増の116億87百万円。各セグメントとも増収。営業利益は同40.2%減の2億69百万円。増収に伴い売上総利益も同18.2%増加し、子会社化した2社の営業利益も寄与したが、報酬制度改定、新規事業投資、M&A実行など成長投資に伴う販管費増加(同25.8%増)を吸収できなかった。予想に対しては、売上・利益とも未達。

     

  • 25年9月期は大幅な増収増益で全ての指標で過去最高を更新する計画。売上収益は前期比26.6%増の148億円の予想。営業利益は同159.8%増の7億円の予想。既存事業の利益増に加え、M&Aした子会社の利益取り込み、新規事業の利益改善が寄与。役員報酬減額やシステム統合などの経費削減も貢献する。配当は普通配当1.60円/株を予定。総額では記念配当のあった24年9月期と同額も、普通配当は0.50円/株の増配。予想配当性向は30.2%。

     

  • 伊藤秀博社長に、理念・ビジョン、特長・強み、中期経営計画の重要なポイント、成長実現のための課題、株主・投資家へのメッセージを伺った。「当社は『グローバル専門商社構想』の下、海外展開拡大による成長を追求しています。残念ながら、日本は少子高齢化が今後も進行し、長期的に見ても大きな成長は期待できません。そうした中、日本人である私、日本企業である当社が海外で飛躍・成長し、利益や配当を日本に還元することができれば、日本のためになるものと考えています。そうした点も含めて当社にご期待いただき、是非ご支援ください。」とのことだ。

     

  • 24年9月期に久しぶりに売上高100億円を超え、25年9月期は売上・利益全ての指標で過去最高更新を見込む同社だが、創業以来30年間、決して順風満帆であったわけではない。創業直後は想定通りには販売が伸びない時期を経験したが、そこから「営業フランチャイズ」という仕組みを産み出して、「IT機器販売会社」として成長し、2004年には株式を上場させた。その後も、リーマンショックに伴う経営危機を経験したほか、コロナ禍の影響を大きく受けたものの、「BtoBソリューションプロバイダー」として、2020年からは再々成長のフェーズに入っている。

     

  • 経営危機を経験しながらも、ここまで回復、成長を続けてきたレジリエンスは同社の大きな特長である。その源泉は、全社員で社会貢献することが自社の社会的存在意義であるとの企業理念の下、創業以来、常に他社が手掛けない新しい事業、新しい商材を探究し、いち早く多国化展開を志向したチャレンジ精神や、それを全社に浸透させている伊藤社長のリーダーシップであろう。真の「営業DX」構築に向けては課題もあるようだが、チャレンジ精神とレジリエンスで中期経営計画をどのように達成していくか、進捗を注視していきたい。

1.会社概要

日本を含む世界9か国の顧客企業に「カーボンニュー トラル」「コストダウン」「サイバーセキュリティ」等のソリューションを提供する「BtoBソリューションプロバイダー」。時代に合った最先端の商材やサービスを、強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させる「グローバル専門商社構想」で大きな成長を追求している。中期経営計画では、2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の3指標達成を目標としている。

 

【1-1上場までの沿革】

元来独立心が旺盛であった伊藤秀博氏(現レカム株式会社 代表取締役社長兼グループCEO)は、将来社長になるためには、まず自分がある程度大きな会社の一兵卒として働いてみないと組織の運営が分からないと考え、22歳の時、新日本工販株式会社(現 株式会社フォーバル)に入社。オフィス機器の営業で大きな実績を積み上げる。同社が事業を拡大する中で、新たに設立された福岡支店長に任命され、見知らぬ土地で顧客ゼロの中、2年間で支店立ち上げを成功させる。
起業のための経験を積み自信を持った伊藤氏は、1991年に独立して株式会社アイ・シー・エスを設立し、フォーバル在籍時と同様、オフィス機器の営業を開始するが、想定通りには売上が上がらない。その理由として、一つは信用力の不足、もう一つは社長であるがゆえに、自分が最も得意とする営業に集中、専念できていないということに気付いた伊藤氏は、「独立はしたものの、自分と同じように苦労している社長が世の中には大勢いるだろう。では、彼らに信用力と営業に専念できる環境を提供し、スムーズな立ち上げを支援してあげよう」と考え、1994年に通信機器・OA機器の販売を目的とした株式会社レカムジャパン(現レカム株式会社)を設立し、1995年に業界初となる「営業のフランチャイズ」の加盟店募集を開始した。
レカムはNTTの通信機器をメインで扱っていたため、レカムのFC加盟店は「NTT特約店」という看板を使うことができることに加え、信用力で劣っていてもレカムを通じてリース会社とも取引が可能であるため、商品調達にも何ら支障がない。2003年には中国・大連にコールセンターを開設し、FC加盟店のアウトバウンド営業(アポ取り電話)の支援も開始した。こうした「営業のフランチャイズサービス」は高く評価され、加盟店数増加とともに同社の収益も順調に拡大。
2004年、大阪証券取引所ニッポン・ニューマーケット「ヘラクレス」に上場した。

 

【1-2 企業理念】

以下の企業理念の4項目すべてに「私たちは」「社会貢献」を掲げている。全社員で社会貢献することに自社の社会的存在意義があると考えている。

私たちは、お客様にとって最適の、情報通信システムの構築をすることにより、社会に貢献致します。

私たちは、お客様にとって最大限の、経費削減のお手伝いをすることにより、社会に貢献致します。

私たちは、お客様に迅速かつ安心していただける、保守サービスを提供することにより、社会に貢献致します。

私たちは、私たち自身が人間として成長することにより、社会に貢献致します。

 

社名「レカム」は以下の社是を表わしたものである。
特に「C」は、チャレンジの「C」であり、創業以来、常に他社がやらない業界初、日本初のビジネスにチャレンジを続けている。

(同社ウェブサイトより)

 

グループ経営ビジョンとして「A&A111+」(Action & Achievement 「行動、そして達成」)を掲げている。
「111」は、
・ 株主にとって リターン 「No.1」
・顧客にとって「オンリー 1」
・業界で質量共に 「No.1」
を、「+」は、
・従業員にとって最も魅力的な「Best1」企業グループを意味し、全てのステークホルダーにとって「1番の企業グループ」であることを目標としている。

 

こうした理念やビジョンをベースに、「BtoBソリューションプロバイダーとして世界を代表する企業グループ」を目指している。

 

【1-3 事業内容】

(1)ビジネスモデル
5つのソリューション「BtoBソリューション5(Five)」を国内外の顧客企業にワンストップで提供している。製品やサービスは国内外のメーカーやシステム開発会社との独占販売権を含んだ販売契約に基づきラインアップしている。

 

 

(同社資料より)

 

(2)セグメント
報告セグメントは、「国内ソリューション事業」「海外ソリューション事業」「BPR事業」の3つ。

 

①国内ソリューション事業
同社の祖業。主として、「コストダウンソリューション」「カーボンニュートラル&コストダウンソリューション」「サイバーセキュリティソリューション」「感染症対策ソリューション」を提供している。

 

ソリューション

概要

コストダウンソリューション

1994年9月に事業開始。ビジネスホン、複合機等やサービスによる省力化・省スペース化を図るコストダウンのソリューションを提供している。

 

カーボンニュートラル&コストダウンソリューション

2014年2月に事業開始。LED照明、業務用エアコン等の商材やサービスにより、 CO2排出量や電気代等の販管費を削減するカーボンニュートラルやコストダウンのソリューションを提供している。

 

サイバーセキュリティソリューション

2015年3月に中国ヴィーナステック本社との合弁によるヴィーナステックジャパン株式会社を設立し事業を開始。ワークスタイルの変化に対応したUTM(統合脅威管理)をメインとしたサイバーセキュリティソリューションを提供している。

 

感染症対策ソリューション

2020年5月に事業開始。新型コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の除菌、消臭効果がある商材やサービスによる感染症対策のソリューションを提供している。

 

 

加えて、「ファイナンスソリューション」により、顧客は提携リースを利用することで、最小の初期コストで製品・サービスの利用を開始することができる。
累計顧客数は6万社に上る。

 

②海外ソリューション事業
中国、インド、ASEAN地域において、主として、「カーボンニュートラル&コストダウンソリューション」「AIサーバー」「感染症対策ソリューション」を提供している。
M&A戦略を積極的に推進し、ローカル企業の顧客開拓に注力していく考えだ。

 

ソリューション

概要

カーボンニュートラル&コストダウンソリューション

2015年10月に中国大連市でLED照明の販売を開始。LED照明や業務用エアコンを活用し、CO2排出量や電気代を削減するコストダウンソリューションを提供している。

 

AIサーバー

2024年7月にシンガポールのTAKNET SYSTEMSを子会社化。高性能GPUを多数搭載し、優れた冷却技術を備えた、生成AI向けの高効率かつ拡張性の高いソリューションを提供している。

感染症対策ソリューション

2020年6月及び9月にウイルス除菌装置の海外8か国における独占販売権を取得し、感染症対策ソリューションの提供を開始した。

 

 

海外においても、「ファイナンスソリューション」により、顧客は提携リースを利用することで、最小の初期コストで製品・サービスの利用を開始することができる。
現在の進出国は、中国(2015年10月)、ベトナム(2017年8月)、マレーシア(2018年2月)、インド(2018年10月)、タイ(2019年6月)、フィリピン(2019年6月)、インドネシア(2019年6月)、シンガポール(2024年7月)の8か国。
顧客数は約3,000社。カーボンニュートラルソリューションのニーズを有する大手日系製造業の工場が主要販売先である。

 

国内でIT機器の営業経験を積んだ日本人社員が海外に赴任して、海外でソリューションを販売している。
営業担当者と日本語でコミュニケーションが取れる点は、日系企業の顧客、特に日本人経営層に対し大きな安心感を提供しており、顧客開拓及び契約継続という点で大きなアドバンテージとなっている。

 

③BPR(Business Process Re-engineering)事業
2003年10月に大連に自社内向けアウトソーシングを行うセンターを設立して業務を開始し、2009年10月より外部受託を開始した。
2019年10月に間接業務受託のBPO(Business Process Outsourcing)事業から、業務再構築支援のBPR事業に事業領域を拡大した。
2023年5月にRobo Workerの日本での独占販売を開始。企業のDX推進を支援している。

 

(同社資料より)

 

顧客数は約100社。売上構成では、ECサイト運営会社からの受託が最も大きい。サイト利用者の発注データの入力を、人件費コストの安いオフショアで行っている。顧客にとっては、コストを受注量に応じた変動費化できる点が大きなメリットである。
また一旦取引が始まると顧客には他社に乗り換えるインセンティブは働きにくく、同社は安定的な収益を獲得することができる。

 

【1-4 特長・強み・競争優位性】

「変化に対応して成長を続けるレジリエンス。源泉は企業理念、チャレンジ精神、リーダーシップ」

 

24年9月期に久しぶりに売上高100億円を超え、25年9月期は売上・利益全ての指標で過去最高更新を見込む同社だが、創業以来30年間、決して順風満帆であったわけではない。

 

【1-1上場までの沿革】にあるように、創業直後は想定通りには販売が伸びない時期を経験したが、そこから「営業フランチャイズ」という仕組みを産み出し、「IT機器販売会社」として成長し、2004年には株式を上場させた。
2006年にPHSの製造会社を買収し、その販売によって2007年9月期には初めて売上高100億円を突破したが、その後のリーマンショックによって売上は急減。2009年9月期には大幅な損失を計上せざるを得ず、経営危機を迎えた。
この雌伏の期間に事業再構築に取り組み、IT機器販売に加えBPO事業にも進出し、2014年9月期を底にV字回復を果たす。2017年9月期からは「グローバル専門商社構想」をスタートさせた。コロナ禍の影響を大きく受けたものの、「BtoBソリューションプロバイダー」として、2020年からは再々成長のフェーズに入り、前述のとおり、25年9月期は売上・利益全ての指標で過去最高更新を見込んでいる。
経営危機を経験しながらも、ここまで回復、成長を続けてきたレジリエンス(※)は同社の大きな特長である。
※レジリエンス:困難をしなやかに乗り越え回復する力

 

その源泉は、全社員で社会貢献することが自社の社会的存在意義であるとの企業理念の下、創業以来、常に他社が手掛けない新しい事業、新しい商材を探究し、いち早く多国化展開を志向したチャレンジ精神や、それを全社に浸透させている伊藤社長の経営力、リーダーシップであろう。

 

(同社資料より)

 

2.2025-2027年 中期経営計画

2025年9月期を初年度、2027年9月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を発表した。

 

【2-1 基本戦略】

基本戦略として「グローバル専門商社構想」を掲げている。
これは、時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させるもの。
各国の事業会社が、「ステージ1:顧客開拓」「ステージ2:顧客囲い込み」「ステージ3:ローカル市場開拓」「ステージ4:新規事業創出」の4つのステージを推進してそれぞれ独自の成長を目指す。

 

(同社資料より)

 

【2-2 新中期経営計画達成に向けての課題と方針】

前回の中期経営計画では目標として「売上高成長率CAGR31.3%」を掲げたものの未達であった。
脱炭素のための自社ブランドLED照明「レンティア」の高性能な省力化商品投入、海外における戦略的パートナーシップの拡大など想定通り進展した戦略もあったが、「新規顧客開拓と新商品開発の両立が困難」「営業担当者1人当たり生産性の低迷」「営業担当者採用が困難」「海外ローカル企業向けのブランド不足」などの課題が浮き彫りとなり、「商品・サービス開発力」及び「顧客開拓」を強力に推進するためには、人的リソースに依存しない仕組み(営業DX)を確立の上、M&Aを積極的に推進して成長スピードアップを図ることが不可欠と考えている。

 

新中期経営計画の方針
VISION:営業DX×M&A

既存営業の高度化により、顧客データ基盤を整え、データに基づいたアプローチを実行する。

営業DXの実現により、従来型営業よりも大幅な営業効率向上の実現を目指す。

M&Aによりグループ化した企業にも営業DXを移植しバリューアップを図る。

レカム自身の高度化とM&Aの加速の両輪により、持続的な成長を実現する。

 

【2-3 新中期経営計画達成に向けた取組み】

(1)基本的な考え方
営業DXの実現により、省人体制でも高効率な営業成果が得られる仕組みを構築する。その仕組みはM&Aでグループ化した企業にも移植し、バリューアップを図り、年率20%を超える持続的な成長を実現する。

 

(同社資料より)

 

 

(2)具体的な取り組み
<営業DX>
「Phase1:短期達成目標」として「既存営業の高度化」を掲げている。
営業データの統合や深い顧客理解、データに基づくアプローチなど、現時点ではクリアすべき課題は多いが、営業スキルの底上げと早期戦力化を図る。
「Phase2:中期達成目標」としては、「提案ソリューション磨きこみ」と「反響型営業スタイル確立」を掲げている。
こちらにおいても、業種別成功事例、インサイドセールスなどが未だ確立できていない点が課題だが、提案効率を高めるアプローチや、労働集約型ではない営業の実現を目指す。

 

以上のような目標の下、営業DXでは、CRMシステムへのデータ連携を短期間で実施し、システムを軸とした営業を徹底する。
顧客情報に基づいた営業活動を行うことで、「営業」「育成」「商品開発」の全ての側面における経営改善効果が期待でき、前中計の課題であった「商品・サービス開発力」及び「顧客開拓力」を一段と強化する。

 

◎営業
顧客の求めるタイミングで営業社員がアプローチする。リプレイス時期が来たタイミングでの訪問を100%実行することで、受注率の向上を実現する。

 

◎育成
データに基づく営業実施により、経験年数の少ない若手営業社員でも受注率の高まる営業アクションを取ることができるなど、早期戦力化を実現し、人材育成のスピードアップを図る。

 

◎商品開発
新商品開発に充てる時間を確保することで開発力を向上させる。これまでマネジメントに奔走していた管理層の意識を新商品開発へシフトさせる。

 

【2-4 各事業における重点施策】

同社では、CRM活用を軸とした営業DXによる各事業部への波及効果も見込んでいる。

 

(1)国内ソリューション事業
<重点施策>
「新規開拓」「ストック売上比率上昇」「顧客満足度の向上」を強化する。
各施策において目標とする売上を定め、厚い収益基盤へのモデルチェンジを図る。

 

「新規開拓」においては、カーボンニュートラルソリューション、コストダウンソリューション、サイバーセキュリティソリューションにおける成長力のある新商品開発が不可欠である。
「ストック売上比率上昇」においても、新たなストック商材・ストックサービスの導入が必要である。
「顧客満足度の向上」には、サービス&サポートセンター体制の強化と訪問保守の迅速化がカギとなる。
CRM活用を軸とした営業DXは、最適な営業活動を推進し人財育成を加速化するほか、新規商材開発が新規顧客獲得へ繋がると考えている。
また、新ストックモデルの構築によるストック比率の向上、離脱率の抑止、1顧客当たりの商品導入率の向上、DX活用による訪問保守の迅速化にも繋がる。

 

(同社資料より)

 

 

(2)海外ソリューション事業
<重点施策>
「ローカル人材の育成」と「ターゲティングの精度アップ」によって各国のローカル企業を攻略する。
ローカル企業へ自社ブランド製品の高い品質・魅力をローカル言語で伝えられる人材の育成とターゲットの絞り込みによって攻略を加速させる。

 

ローカル人材の育成においては、研修・OJT・改善のサイクルを回すことで、仕組みを構築し、育成効率を向上させる。
ここにおいても、CRMを軸とした行動基準を設定することで、より効果的な仕組みの構築に繋げていく。
ローカル事業のターゲティング先としては、日系企業に対しては引き続きアプローチするほか、日系企業と取引のある有力企業も重点ターゲットと位置づけ、事例づくりのための営業を推進する。
ローカル企業内でも品質に対して感度の高い有力企業は上記の事例を基に積極的に開拓を推進するが、低価格商品のみ求めるローカル企業はターゲット外とする。

 

(3)海外M&A企業
<重点施策>
M&A企業とレカムグループの両社が持つ優位性を生かした相乗効果により、更なる業績アップを狙う。
レカムグループによる現地日系企業の開拓、M&A企業によるローカル企業の開拓を連携しながら推進する。

 

それぞれの製品・サービスを相手チャネルで既存顧客企業に展開するほか、例えばシンガポールでは、レカムがTAKNET社のAIサーバーを商材に現地日系企業を、TAKNET社はレカムのUTMやRobo Workerを商材にローカル企業を開拓する。

 

(同社資料より)

 

(4)DX事業
<重点施策>
ターゲットを細分化し業種ニーズにマッチした提案をRPA・BPOの双方で推進する。
加えて、RPAとBPOを組み合わせた「BPR提案」を武器に市場開拓を推進する。

 

「BPR提案」は、導入先の総コストを削減し、育成・営業・企画といったコア業務に注力できる環境を整備する同社ならではの差別化の利いたソリューションであることから、業種別成功事例を創出し、水平展開で市場開拓を推進する。

 

(同社資料より)

 

 

(5)管理部門
<重点施策>
既存業務の業務フローを見つめ直し、業務による無駄をなくし生産性を向上させる。
最適な業務と人員数での管理を推進することで、利益を生み出す管理部門へとシフトチェンジする。

 

最終2027年9月期には現在と比較し、生産性を10%向上させることを目標としている。

 

【2-5 達成目標】

2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の3指標達成を目標としている。
前回の中期経営計画では、各期の全社及びセグメントの売上・利益計画まで細かく開示していたが、事業環境や時代の変化への対応が難しいことから、今回はこの3点のみを掲げることとした。

 

項目

前回中計

今回中計

売上高成長率(CAGR)

20.8%

20%以上

売上高営業利益率

3.9%

10%以上

ROE

5.8%

20%以上

*前回中計の売上高成長率(CAGR)は、21/9期から24/9期までのCAGR、売上高営業利益率及びROEは3期の平均、インベストメントブリッジが計算。

 

3.2024年9月期決算概要

【3-1業績概要】

 

23/9期

構成比

24/9期

構成比

前期比

修正予想比

売上収益

9,510

100.0%

11,687

100.0%

+22.9%

-2.6%

売上総利益

2,432

25.6%

2,875

24.6%

+18.2%

-

販管費

2,235

23.5%

2,810

24.0%

+25.8%

-

営業利益

450

4.7%

269

2.3%

-40.2%

-41.4%

EBITDA

596

6.3%

445

3.8%

-25.4%

-24.1%

税引前利益

491

5.2%

307

2.6%

-37.4%

-33.2%

当期利益

315

3.3%

84

0.7%

-73.3%

-72.3%

*単位:百万円。修正予想比は24年8月公表の業績予想に対する比率。

 

増収減益、売上・利益とも予想を下回る
売上収益は前期比22.9%増の116億87百万円。各セグメントとも増収。
営業利益は同40.2%減の2億69百万円。増収に伴い売上総利益も同18.2%増加し、子会社化した2社の営業利益も寄与したが、報酬制度改定、新規事業投資、M&A実行など成長投資に伴う販管費増加(同25.8%増)を吸収できなかった。
予想に対しては、売上・利益とも未達。海外4か国における期末キャンペーンの効果が予想を下回ったことに加え、輸入手続きの遅延、放射冷却素材とエアコンのセット販売における年度内工事が未完了であったこと、卸部門のマレーシア2社における販売不振、シンガポール子会社におけるサーバー製品の納期遅延、M&A関連費用の前倒し計上、助成金収入の認可遅延などが要因である。
配当は普通配当1.10円/株に記念配当0.50円/株を加え、総額では前期と変わらず1.60円/株を実施。配当性向は154.7%。

 

【3-2 セグメント別動向】

 

23/9期

構成比

24/9期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

国内ソリューション事業

4,314

45.4%

4,471

38.3%

+3.6%

海外ソリューション事業

4,634

48.7%

6,618

56.6%

+42.8%

BPR事業

563

5.9%

599

5.1%

+6.5%

売上高合計

9,510

100.0%

11,687

100.0%

+22.9%

セグメント利益

23/9期

利益率

24/9期

利益率

前期比

国内ソリューション事業

189

4.4%

423

9.5%

+125.2%

海外ソリューション事業

388

8.4%

342

5.2%

-11.8%

BPR事業

85

15.1%

30

5.1%

-64.4%

調整

-211

-

-526

-

-

セグメント利益合計

450

4.7%

269

2.3%

-40.2%

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。調整には、セグメント間取引消去、全社費用を含む。

 

(1)国内ソリューション事業
増収増益。
サイバーセキュリティソリューションは、前期比50.6%増と大きく伸長した。
直営店チャネルにおいては、顧客データベースを活用した効率的な営業活動を実施し、新規の顧客開拓の強化に取り組み、企業のカーボンニュートラルへの取り組みに向けたLEDやエアコンの販売強化、ネットワークセキュリティ強化ニーズに向けたソリューション営業を実施した。
FC加盟店チャネルにおいては、直営店の販売手法を加盟店へ水平展開し、販売支援を実施。FC1社の権利譲渡を行い、営業権譲渡益を計上した。
代理店チャネルにおいては、電力料金の引き下げ対策として主力商品のLED商品の販売促進に取り組んだ。セキュリティソリューションではOEM供給が終了した影響もあり大幅な減収となった。

 

◎国内ソリューション事業 チャネル別販売実績

 

23/9期

構成比

24/9期

構成比

前期比

直営店

2,171

50.3%

2,461

55.0%

+13.4%

FC加盟店

1,156

26.8%

919

20.6%

-20.5%

代理店

987

22.9%

1,091

24.4%

+10.6%

合計

4,314

100.0%

4,471

100.0%

+3.6%

*単位:百万円

 

(2)海外ソリューション事業
増収減益。
マレーシア及びシンガポールの子会社取得が寄与し4期連続で増収となるが、売上拡大に伴う販管費(倉庫賃料・販売に伴うシステムの改良等)の増加に伴い減益となった。
脱炭素化に取り組む企業へLED商品や業務用エアコン等による省エネソリューション提案に注力した。中国、インド、マレーシアでの販売が順調に推移した。

 

(3)BPR事業
増収減益。
2期ぶりの増収となったが、円安・元高、経営管理体制強化の為の幹部社員採用や内製化のための国内センター開設などの費用増で減益となった。
新規顧客開拓に取り組むとともに、コンサルティング営業による業務効率化提案を通じてRPAやAI-OCRの導入、BPO業務受託を獲得した。BPOセンターにおいては、業務の自動化に向けて、特にRPAの活用による業務効率化と品質向上に取り組んだ。

 

 

【3-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

23年9月末

24年9月末

増減

 

23年9月末

24年9月末

増減

流動資産

7,957

8,365

+407

流動負債

4,309

5,013

+704

現金等

2,626

2,976

+350

営業債務等

1,322

1,450

+129

営業債権等

2,570

2,703

+133

借入金

2,303

2,788

+486

棚卸資産

2,247

2,352

+105

非流動負債

1,581

2,338

+756

非流動資産

2,887

4,281

+1,394

借入金

1,032

1,637

+605

有形固定資産

590

655

+65

負債合計

5,890

7,351

+1,461

のれん

1,278

2,376

+1,098

資本合計

4,954

5,295

+341

資産合計

10,844

12,646

+1,802

負債純資産合計

10,844

12,646

+1,802

*単位:百万円。現金等は現金及び現金同等物、営業債権等は営業債権及びその他の債権、営業債務等は営業債務及びその他の債務。

 

現金等、TAKNET社子会社化による棚卸資産及びのれんの増加等で資産合計は前期末比18億円増加し126億円。
TAKNET社の株式取得資金として借入金が増加し、負債合計は同15億円増加の74億円。
資本合計は同3億円増加し53億円。
自己資本比率は前期末から4.0%低下し、39.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/9期

24/9期

増減

営業CF

-105

842

+946

投資CF

-844

-1,348

-504

フリーCF

-949

-507

+442

財務CF

876

817

-60

現金同等物残高

2,626

2,976

+350

*単位:百万円

 

営業CFは過去最高の8億42百万円となりプラスに転じた。フリーCFのマイナス幅も減少。キャッシュポジションは上昇した。

 

【3-4 トピックス】

(1)シンガポールへの進出及びAIサーバー販売事業への参入を目的としたクロスボーダーM&Aを実行
24年7月、シンガポールの IT 企業「 TAKNET SYSTEMS PTE LTD.」の株式65%を取得し子会社化した。取得額は概算約 12.1億円。

 

(TAKNET SYSTEMS PTE LTD.概要)
1994年設立。AI サーバー(※)、ハイエンドワークステーション、ストレージソリューションの販売等を通して、約 30 年に渡ってシンガポールのコンピュータ産業を牽引。TAKNET 社の知名度は極めて高く、Lazada、Line(Telenor)、富士通、東芝、NCS、MINDEF、Singtel などの有名企業や、多くの中小企業を顧客としている。Supermicro、ASUS、Gigabyte、TYAN、QSAN といったメーカーの販売代理店であり、シンガポールの Supermicro 製品販売シェア50~60%の No.1 ディーラーである。

 

※AIサーバー
AIの処理を専門に行う専用のコンピュータ。画像認識・自然言語処理・対話といったAIが得意とする複雑な計算や大量のデータを処理するために、強力なプロセッサーや大容量のメモリを搭載し、特別な設計がなされている。今後の大きな成長が見込まれている。

 

(子会社化の狙い)
レカムは、成長戦略である「グローバル専門商社構想」の実現を目指し、2021 年のマレーシアにおけるクロスボーダーM&Aを皮切りに、海外ローカル企業との提携や販売網の拡大に積極的に取り組んでいる。
かねてより、シンガポールへの進出を検討していたが、TAKNET 社を子会社化することにより、
*シンガポールでの事業拠点確保
*今後の急成長が期待される AI サーバー販売事業の多国化展開
が可能であると考え子会社化した。将来的には、全株式を取得することも視野に入れている。

 

 

 

(同社資料より)

 

(2)自己株式取得を決議
24年12月、株主還元と資本効率の向上、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するため自己株式の取得を行うことを発表した。
取得株式数及び取得価額は150万株、1億円(いずれも上限)。
期間は24年12月3日から25年3月31日。

 

(3)世界最高レベルの放射冷却素材 「SPACECOOL」の販売を開始
24年2月、タイの子会社RECOMM BUSINESS SOLUTIONSが、SPACECOOL株式会社(東京都)と販売代理店契約を締結し、放射冷却素材 「SPACECOOL」の販売を開始した。

 

(SPACECOOL社概要)
2021年4月設立。省エネルギー関連の販売・コンサル、環境改善のための製品の販売・コンサルを展開している。
放射冷却素材「SPACECOOL」はエアコンの室外機の周りに貼り付けて使用。直射日光下において、太陽光と大気からの熱をブロックし熱吸収を抑えるだけでなく、放射冷却の原理により、外部に熱を逃がすことで、エネルギーを用いずに外気温よりも最大約6℃温度を低下させることができる新素材。
従来のエアコン及び「SPACECOOL」をしない省エネエアコンと比較して、それぞれ約50%、約25%消費電力量を削減する効果がある。

(同社資料より)

 

新規商材であるため各国における輸入認可取得に時間がかかり、24年9月期はタイ、インドネシアのみでの販売であったが、25年9月期は進出済海外8か国すべての国で販売拡大を見込んでいる。

 

(4)RPAソフトウェア 「Robo Worker® AI-Agent」を販売開始
24年6月、生成AIの活用による業務自動化シナリオ作成を可能とした RPAバージョンアップモデル「RoboWorker® AI-Agent」日本語版の販売を開始し、9月にはマレーシアで英語版の販売を開始した。マレーシアにおける現地企業との合弁会社を通したサービス提供のもと、レカム子会社を販売会社として他の ASEAN 各国でも同様のビジネスモデルで事業を展開する予定である。

 

(RoboWorker® AI-Agent概要)
従来の進化型 AI-RPAツール「RoboWorker®」のバージョンアップモデル。様々な業務内容を自然言語で入力することでRPAシナリオの自動生成を可能とする。

 

(特長)
*生成AIを使用したダイアログボックス
ダイアログボックスに自然言語で、業務内容を入力することで、AIがその通りにシナリオ作成から業務の自動化まで実行する。
*要望通りに業務分解
従来であれば、自動化したい業務に対してRPAでシナリオ開発を行い、運用する必要があったが、「RoboWorker® AI-Agent」ではシナリオ作成から自動化までをすべて「ダイアログボックスに入力するだけ」で大規模言語モデルを用いてテキストデータを解析し、言語の理解や生成を行うことができるため、「プログラミング知識がない」「操作が苦手」でも簡単にシナリオ作成が可能である。

 

(同社資料より)

 

4.2025年9月期業績予想

【4-1 業績予想】

 

24/9期

構成比

25/9期(予)

構成比

前期比

売上収益

11,687

100.0%

14,800

100.0%

+26.6%

営業利益

269

2.3%

700

4.7%

+159.8%

EBITDA

445

3.8%

831

5.6%

+86.7%

税引前利益

307

2.6%

700

4.7%

+127.9%

当期利益

84

0.7%

430

2.9%

+412.3%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

大幅な増収増益を予想、全ての指標で過去最高を更新
売上収益は前期比26.6%増の148億円の予想、全セグメント2桁増収を見込む。
営業利益は同159.8%増の7億円の予想。既存事業の利益増に加え、M&Aした子会社の利益取り込み、新規事業の利益改善が寄与。役員報酬減額やシステム統合などの経費削減も貢献する。
配当は普通配当1.60円/株を予定。総額では記念配当のあった24年9月期と同額も、普通配当は0.50円/株の増配。予想配当性向は30.2%。

 

以下3点に注力する。
①グループ経営の推進
RPAソフトウェア 「Robo Worker® AI-Agent」及び放射冷却素材 「SPACECOOL」をグローバル戦略商品と位置づけ、全世界で販売を強化。積極的にクロスセルを展開する。

 

②営業生産性の向上
社内DX活用の推進による非商談時間の徹底削減と成約率向上を図る。

 

③戦略的パートナーシップの拡大
ローカル市場開拓を各国で推進し、グローバル戦略商品のパートナーを拡大する。

 

 

【4-2 セグメント動向】

 

24/9期

構成比

25/9期(予)

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

国内ソリューション事業

4,471

38.3%

5,000

33.8%

+11.8%

海外ソリューション事業

6,618

56.6%

9,000

60.8%

+36.0%

BPR事業

599

5.1%

800

5.4%

+33.6%

売上高合計

11,687

100.0%

14,800

100.0%

+26.6%

セグメント利益

24/9期

利益率

25/9期(予)

利益率

前期比

国内ソリューション事業

423

9.5%

295

5.9%

-30.4%

海外ソリューション事業

342

5.2%

625

6.9%

+82.8%

BPR事業

30

5.1%

70

8.8%

+131.1%

調整

-526

-

-289

-

-

セグメント利益合計

269

2.3%

700

4.7%

+159.8%

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。調整には、セグメント間取引消去、全社費用を含む。

 

(1)国内ソリューション事業
増収減益予想。
採用活動を積極的に進めながら営業力強化を図る。
テレアポ専門部署の本格稼働を見込んでいる。
販売を開始したRPAソフトウェア 「Robo Worker® AI-Agent」の拡販とパートナー企業の発掘を進める。
コスト低減に向け、グループ全体での集中購買による原価率の低減を図る。

 

 

(2)海外ソリューション事業
増収増益予想。
クロスボーダーM&A案件のTAKNET社が通期で売上高20億円寄与。利益も大きく貢献。
新商材である放射冷却素材 「SPACECOOL」と省エネエアコンのセット販売を強化する。
コスト低減に向け、グループ全体での集中購買による原価率の低減を図るほか、社内DXを推進し、間接経費を削減する。

 

 

 

(3)BPR事業
増収増益予想。
BPOセンターと営業の連携による既存顧客当たり単価の拡大を目指す。
RPAソフトウェア 「Robo Worker」とBPOサービスのセット販売による顧客獲得を図る。
収益性向上に向け、社内DX推進による間接経費の削減を進めるほか、「Robo Worker® AI-Agent」を国内センターでも活用し、収益改善を図る。

 

 

5.伊藤社長に聞く

伊藤秀博社長に、理念・ビジョン、特長・強み、中期経営計画の重要なポイント、成長実現のための課題、株主・投資家へのメッセージを伺った。

 

Q:近年、企業の社会的存在意義がクローズアップされています。御社の経営理念やビジョンについてお話しください。
当社では、企業理念に4つの言葉を掲げていますが、すべて、「私たちは」ではじまり、「社会に貢献します」で終わっています。
これは、事業を通じてお客様に貢献し、結果として社会、世の中に貢献するという当社の根本的な考え方であり、社会に貢献しなければ、存在価値がないと考えています。

 

(レカムの企業理念)

私たちは、お客様にとって最適の、情報通信システムの構築をすることにより、社会に貢献致します。

私たちは、お客様にとって最大限の、経費削減のお手伝いをすることにより、社会に貢献致します。

私たちは、お客様に迅速かつ安心していただける、保守サービスを提供することにより、社会に貢献致します。

私たちは、私たち自身が人間として成長することにより、社会に貢献致します。

 

Q:こうした考え方をどのようにして社員に浸透させているのですか。
例えば、新入社員研修における「企業理念」のパートは、必ず私が話をします。
この企業理念は創業に際し、創業者の私が作りました。作った人間自らが「なぜこういう言葉にしたか」を伝えるのが、最も正しく企業理念を伝えることとなります。
当社には企業理念を始め、大切にすべき考え方をまとめた本があり、新入社員研修以外でも様々な機会に定期的に各拠点単位で、理解を深めています。
ASEAN地域で多国化展開を進めている当社では2024年9月末時点で約6割が外国籍社員です。
国籍は異なっていても、理念に共感してもらう重要性に変わりはありませんので、繰り返し繰り返し、様々な機会を通じてメッセージを発信しています。

 

Q:続いて御社の強みや特長、競争優位性についてお話しください。
当社は創業以来、常にチャレンジ精神をもって、新しい事業、新しい商材を取り扱ってきました。
新製品、新サービスの開発というのは当然どの企業でも取り組んでいることではありますが、他社では手掛けないような商材、サービスを発掘して販売し、加えてそれを日本国内にとどまらず、ASEAN地域で子会社を設立して展開しています。
アジアで多国化展開している製造業のお客様であれば、当社はほぼ全ての工場に対応が可能です。IT機器やオフィス機器を取り扱う当社よりも大きな企業は沢山ありますが、こうしたことが可能なのは、当社くらいではないかと思います。これから海外に展開するというのは時間もかかり、リスクが大きいでしょうから、強固な参入障壁になっていると考えます。

 

Q:続いて中期経営計画について伺います。2027年9月期までに「売上高成長率CAGR 20%以上」「売上高営業利益率10%以上」「ROE 20%以上」の3指標達成を目標としていますが、そのために欠かせない施策についてお話しください。
当社では、時代に合った最先端の商材やサービスを、同社の強みであるダイレクトマーケティング力で、全世界の顧客にソリューションとして提案し、グローバル事業の成長を加速させる「グローバル専門商社構想」を掲げています。

 

この構想実現に向け、前回の中期経営計画では目標として「売上高成長率CAGR31.3%」を掲げたものの未達でした。
未達となった要因はいくつかあるのですが、一つは人的なリソースの問題です。国内で営業スタッフを教育し、その後、海外でも同様に営業で活躍してもらうというシステムを確立させるのは簡単ではなく、「新規顧客開拓と新商品開発の両立が困難」「営業担当者1人当たり生産性の低迷」「営業担当者採用が困難」といった課題が明確になっています。
上手くいくケースもあるのですが、属人ベースでの成功では真の課題解決となりませんから、人的リソースに依存しない仕組み「営業DX」を確立させる必要があります。そのために重要となるのが顧客のデータベース化です。潜在見込み客も含めたデータベースを基に、人間の感性・記憶・価値観に頼ることなく、最もタイムリーなタイミングで、最も適した商材・サービスの営業に行くことが営業DXの目指す姿です。
一定程度の教育を行えば、一定程度の売上げが上がるような営業の組織化、仕組化が最大のポイントであると考えています。

 

今期中に基盤を整備・構築して、来期には実際に実行し一人当たりの売上高や利益といったKPIを検証し、最終年度27年9月期に完全に確立させるといったステップを想定しています。

 

Q:「人材育成のスピードアップ」「早期戦力化を実現」という表現も使われていますが、具体的にはどのようにされるのでしょう。
当社は2017年から多国化展開を開始しました。コロナ禍におけるロックダウンなど営業の制約もあったのですが、ちょうどコロナ禍のころから当社の考えや「レカムは海外進出を積極的に行っている」ということが大学生の皆さんに広く知ってもらえるようになりました。
海外で働きたい、でも大手企業ではいつチャンスが来るのかわからないがレカムならすぐに海外で働ける、と考え、当社を志望してくれる大学生が急速に増加しています。
先程申し上げた営業の組織化・仕組化の構築と並行し、海外志向の強い学生の応募増加により、優秀でやる気に満ちた若手営業社員を海外に派遣するスピードは、一段と加速するものと考えています。

 

Q:ローカル市場の開拓についてはどのようにお考えでしょうか
「グローバル専門商社構想」においては、「ステージ1:顧客開拓」「ステージ2:顧客囲い込み」は日系企業向けビジネスで、「ステージ3:ローカル市場開拓」以降でローカル企業向けのビジネスを展開していきます。
ただ、我々日本人がローカル企業を開拓するというのは、大変難しいということはわかっていますので、各国の優良な企業をM&Aし、その顧客層や販売網を活用してローカル市場を開拓していきます。
24年9月期までにマレーシアとシンガポールの戦略拠点を確保することができました。この実績により、ASEAN地域での当社への注目度や期待も増大していますので、そうした点を追い風に、マレーシア・シンガポール以外の国でのM&Aを加速させていきます。
また、単にM&Aするだけではなく、ローカル人材の育成も重要です。M&Aによりグループ化した企業にも「営業DX」を移植しバリューアップを図っていきます。

 

(同社資料より)

 

Q:成長を実現するための課題は何でしょうか
真の「営業DX」を実現させるためのデータベース構築です。
先程申し上げたように、潜在見込み客も含めたデータベースを基に、人間の感性・記憶・価値観に頼ることなく、最もタイムリーなタイミングで、最も適した商材・サービスの営業に行くことが営業DXの目指す姿ですが、そのためには各営業スタッフが商談内容を始めとした顧客情報をきめ細かく入力していく必要があります。
営業スタッフからすれば手間のかかる作業ですが、「営業DXが会社にとっても自身にとっても極めて重要である」という認識を
全員で共有しなければ真の「営業DX」を実現させることはできません。
この意識改革が最も重要であると考えています。

 

Q:人的資本強化においては、どんな人材の育成に力を入れていくのでしょうか。
営業職では、セールス技術をしっかりと身に付けるのと並行して、変化の激しい時代ですから、自分自身で最新のITを学びながら仕事においてもフルに活用できるような人材が必要です。
また本社サイドでは、これからますます海外の比率が大きくなっていきますので、異文化をしっかりと受け入れることのできる柔軟性を持ったスタッフを増強していくことも大事だと考えています。

 

Q:ありがとうございます。では最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。
当社は「グローバル専門商社構想」の下、海外展開拡大による成長を追求しています。
残念ながら、日本は少子高齢化が今後も進行し、長期的に見ても大きな成長は期待できません。
そうした中、日本人である私、日本企業である当社が海外で飛躍・成長し、利益や配当を日本に還元することができれば、日本のためになると考えています。
そうした点も含めて当社にご期待いただき、是非ご支援ください。
よろしくお願いいたします。

 

6.今後の注目点

24年9月期に久しぶりに売上高100億円を超え、25年9月期は売上・利益全ての指標で過去最高更新を見込む同社だが、創業以来30年間、決して順風満帆であったわけではない。創業直後は想定通りには販売が伸びない時期を経験したことで「営業フランチャイズ」という仕組みを産み出し、「IT機器販売会社」として成長し、2004年には株式を上場させた。
その後も、リーマンショックに伴う経営危機を経験したほか、コロナ禍の影響を大きく受けたものの、「BtoBソリューションプロバイダー」として、2020年からは再々成長のフェーズに入り、前述のとおり、25年9月期は売上・利益全ての指標で過去最高更新を見込んでいる。
経営危機を経験しながらも、ここまで回復、成長を続けてきたレジリエンスは同社の大きな特長であり、その源泉は、全社員で社会貢献することが自社の社会的存在意義であるとの企業理念の下、創業以来、常に他社が手掛けない新しい事業、新しい商材を探究し、いち早く多国化展開を志向したチャレンジ精神や、それを全社に浸透させている伊藤社長のリーダーシップであろう。
真の「営業DX」構築に向けては課題もあるようだが、チャレンジ精神とレジリエンスで中期経営計画をどのように達成していくか、進捗を注視していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名)

監査等委員

3名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年1月18日

 

<基本的な考え方>
当社は、上場企業としての責務を全うし、かつ企業価値増大の永続的な追及を可能とするため、強力なガバナンス体制の構築を目指してまいります。
その構築のため、以下の3つを重点項目と位置づけ取り組んでまいります。
・ディスクロージャーの充実
 経営の透明性と健全性を確保するため、投資家に対して適時適切に情報を開示いたします。
・アカウンビリテイの徹底
 当社のステークホルダーに対して、十分な説明責任を果たしてまいります。
・コンプライアンス
 法令遵守にとどまらず、その趣旨および精神を尊重し、コンプライアンス意識の醸成を図ってまいります。

 

また、当社は、経営監督機能と業務執行機能を明確にするため、執行役員制度を導入するとともに、監査等委員会設置会社に移行しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
本報告書は、2021年6月の改定後のコードに基づいて記載しております。

 

【補充原則3-1②】(英語での情報開示・提供)
当社の外国人株主は5%未満であり、費用対効果の観点から英語での情報開示を行っておりませんが、今後、外国人株主の比率が増加する状況が見込まれる場合は、英語での情報開示を検討する考えであります。

 

【補充原則4-1③】(最高経営責任者等の後継者の計画)
当社では、現時点において最高経営責任者である代表取締役社長の後継者の計画を明確には策定しておりませんが、将来の後継者になり得る経営幹部らに対して、代表取締役社長自らが講師となる研修会を定期的に開催しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4】(政策保有株式)
当社は、中長期的な企業価値向上の観点から、必要に応じて取引先等の株式を保有する場合があります。現状、政策保有している上場株式は1銘柄であり、かつ、保有割合も僅少であることから、現状では縮減の方針はありません。なお、政策保有株式の議決権の行使にあたっては、当社の企業価値向上の観点から対応を判断しております。

 

【補充原則3-1③】サスティナビリティについての取組など
当社は、2021年11月策定の中期経営計画において、サスティナビリティ・ESGについて以下のとおり取り組む計画であることを公表し、取り組んでおります。
(ⅰ) E:環境
・エネルギーソリューション商材の販売による脱炭素社会への貢献
・レスパー、サーモカメラなど、オフィスの感染症対策商材の販売により、従業員の感染予防対策への貢献
(ⅱ) S:社会
・進出国に対する雇用&利益拡大により各国の経済発展に貢献
・多種多様な人材を採用や育成をし、ダイバーシティを推進
・内閣府「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の活動を通じて、女性管理職の登用及びジェンダーフリー企業の実現
(ⅲ) G:ガバナンス
・経営の執行に対する監視機能強化の目的のため、独自の取締役選任基準制定(半数の社外取締役、取締役任期は1年)
・内部監査として経営も監視する業務監査が、経営改善、経営の効率化の機能にも役立てている
・世界共通の人事評価とその国にあった評価のハイブリッド型グローバル人事評価による報酬の適性化
・内部通報制度の充実
(ⅳ) DXを推進することでESG経営がさらに向上
・環境  非効率資源の是正により脱炭素
・社会  労働生産性の向上、人財開発
・ガバナンス  情報偏在の解消、評価・報酬の適性化

 

【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)
当社は、株主との対話は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するものと考えており、そのため、株主および投資家との建設的な対話を行うべく、IR専任担当者を置き、株主等からの電話やメールでの質問に対応しております。
また、本決算、第2四半期決算発表後の年2回、アナリストおよび機関投資家向けに決算説明会を開催し、代表取締役社長が直接説明、対話を行う機会を設けております。さらに、株主総会の終了後には株主を対象とした会社説明会を実施しており、株主との直接対話を行っております。

 

 

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