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(5290) 株式会社ベルテクスコーポレーション

スタンダード

ブリッジレポート:(5290)ベルテクスコーポレーション 2025年3月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

 

土屋 明秀 社長

株式会社ベルテクスコーポレーション(5290)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ガラス・土石製品(製造業)

代表取締役社長

土屋 明秀

所在地

東京都千代田区麹町五丁目7番地2

決算月

3月

HP

https://www.vertex-grp.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,955円

25,214,042株

49,293百万円

11.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

50.00円

2.6%

159.97円

12.2倍

1,309.37円

1.5倍

*株価は11/26終値。発行済株式数は25/3期第2四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。数値は四捨五入。
*2022年7月1日付で1:3の株式分割を実施。配当利回り、PER、PBRはこの株式分割を考慮。
*ROE、BPSは24年3月期実績、EPS、DPSは25年3月期会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年3月(実)

37,763

5,290

5,635

3,759

142.80

30.00

2022年3月(実)

37,514

6,143

6,434

4,242

160.90

26.27

2023年3月(実)

39,095

5,560

5,837

3,742

140.86

30.00

2024年3月(実)

36,833

5,727

5,849

3,728

143.86

40.00

2025年3月(予)

40,000

6,000

6,200

4,050

159.97

50.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
*2022年7月1日付で1:3の株式分割を実施。DPSとEPSは遡及して再計算。2021年3月期の配当には記念配当10.00円/株(1:3の株式分割前30円)を含む。

 

株式会社ベルテクスコーポレーションの2025年3月期第2四半期の決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期第2四半期決算概要
3.2025年3月期業績予想
4.第3次中期経営計画の進捗
5.今後の注目点
<参考1:第3次中期経営計画>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25年3月期上期決算は、売上高が前年同期比11.2%増の180億6百万円、営業利益が同12.5%増の24億50百万円。売上高、営業利益ともに斜面防災事業以外の全ての事業で前年同期を上回った。特に、コンクリート事業とパイルが増収増益に寄与した。また、上期は会社計画との対比でも、売上高と各利益がともに期初計画を上回った。これは、案件の入り繰りや発注タイミングの影響によるものである。

     

  • 第2四半期が終了し、25年3月期の会社計画は、売上高が前期比8.6%増の400億円、営業利益は同4.8%増の60億円の予想から修正はなし。下期想定していた案件の発注遅れや工事遅れの懸念があるため、上期は上振れたものの、通期計画は据え置き。既存製品・新製品の販売強化と絞り込んだ製品群の更なる付加価値化により、前期比で増収・増益を目指す。また、配当も前期より10.00円/株増加の普通配当50.00円/株の予定を据え置き。予想配当性向は31.3%。配当性向30%を目処に安定的かつ継続的な増配を意識し、総還元性向50%以上を機動的に実施する方針。

     

  • 上期は、コンクリート事業において高速道路特定更新工事に適用可能なスライドジョイント壁高欄の開発や浸水対策でM.V.P.システムの採用などが確認された。また、斜面防災事業ではループフェンスDタイプなどの採用が確認された。加えて、インフラメンテナンス事業では橋梁耐震補強でダクタルフォーム(厚み40㎜)などの採用が、鉄道事業でも可動式ホーム柵新設工事において軽量プレキャストC型ホーム基礎工法の採用が確認された。同社独自の付加価値の高い新製品が順調に育っている。第3次中期経営計画の達成に向けた下期の成果に注目したい。

     

1.会社概要

暮らしを支える、様々なプレキャストコンクリートの製造・販売を主な事業として展開している。

 

(1)沿革

2014年、日本ゼニスパイプ株式会社、株式会社ハネックス(羽田ヒューム管株式会社が商号変更)、株式会社羽田コンクリート工業の3社が合併し、ゼニス羽田株式会社が発足し、その後「ゼニス羽田ホールディングス株式会社」に商号変更。
2018年10月1日、ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコン(福井県)が共同株式移転により株式会社ベルテクスコーポレーションを設立(ゼニス羽田ホールディングス株式会社と株式会社ホクコンは完全子会社)。
両社が新たな事業グループを創設した。
2019年4月、ゼニス羽田株式会社が存続会社として、ゼニス羽田ホールディングス株式会社(消滅会社)を吸収合併。
2021年4月1日、株式会社ベルテクスコーポレーション傘下の中核事業会社であるゼニス羽田株式会社と株式会社ホクコンが、株式会社ホクコンを消滅会社、ゼニス羽田株式会社を存続会社として吸収合併を行い「ベルテクス株式会社」が誕生。
事業シナジー創出、経営効率化等を進め、成熟市場であるコンクリート及びパイル、並びに成長市場である防災領域でのシェア拡大、収益性向上による売上・利益の成長を目指している。

 

(2)業績推移

経営統合後も経営基盤の整備と利益創出に取り組み、業界最高水準の収益性を確保しながら成長を継続している。25/3期からは次なる成長期入りを目指す。

 

*15/3期~18/3期ゼニス羽田ホールディングス、19/3期〜ベルテクスコーポレーション

 

(3)長期ビジョン

◎パーパス 
「オンリーワンの技術」と「ユニークな発想」で、世界の人々の未来に 安心の新しいカタチを提供します。

 

同社グループは、自然環境や社会の変化に向き合い、新しい価値と安心を創り出してきた。今後も成長し続ける企業として、困難なニーズに応え続ける、オンリーワンの技術と誰も思いつかなかった、ユニークな発想で、どこに住んでいても安心して暮らせる持続可能な社会の実現に貢献していく。これからも、世界の人々の未来に安心の新しいカタチを生み出すために、同社グループは挑み続ける。

 

◎VERTEX Vision 2034
同社は、パーパスとともに、10年後目指す姿としてVERTEX Vision 2034を策定した。
第1次中期経営計画(20/3期~22/3期)は、経営統合に伴う事業・経営基盤の基礎固めの期間であり、第2次中期経営計画
(22/3期~24/3期)は持続的成長を確実にするための事業・経営基盤の強化の期間であった。続く第3次中期経営計画(25/3期~27/3期)では、①事業ポートフォリオの強化、②サステナビリティ経営の推進、③人的資本、R&D、DX強化を重点的に実施する。その後の第4次~第5次中期経営計画(28/3期~33/3期)の実施を経て、2034年に売上高1,000億円、営業利益150億円を目指す。

 

【10年後のありたい姿】
また、同社は労働人口減少、インフラの老朽化、地球温暖化、災害の激甚化など10年後に向けて同社が対応しなくてはならない課題を整理するとともに、その対策として「10年後のありたい姿」を定義した。

10年後のありたい姿

対策

みらい工場

人手不足等を踏まえ、自動化や集中管理等のスマートファクトリー化を進める。

ワンストップ・メンテナンス

インフラの維持・管理を上流から巻き取り、ワンストップで対応可能なプレーヤーとなる。

オンサイトプレキャストプレキャストコンクリートについて工場からの配送という体制から現場でのプレキャスト化に対応。
スマート斜面防災衛星等から様々なデータを収集し災害等の危険を事前に察知し防ぐスマート斜面防災を実現。

 

【長期的な事業ポートフォリオ構想 】
同社は、VERTEX Vision 2034に向け、事業ポートフォリオの強化に取り組んでいく。

(同社資料より)

 

(4)市場環境

同社を取り巻く事業環境を見ていくうえでは、下記のような点を踏まえておく必要がある。

 

◎防災・減災投資需要の継続
建設業界において重要な公共事業関係費は過去10年にわたり安定的に推移している。特に、インフラの補修や公共工事は毎年一定額が拠出されている。また、今後建設後50年を経過する既存インフラの割合が上昇することから、今後も高水準の防災・減災投資需要が継続するものと予想される。こうした中、同社では同社のビジネスモデルに沿って、実績の積み重ね製品の採用シェアを引き上げていくことが成長の上で重要と認識している。

 

(建設後50年以上経過する主な社会資本の割合)

農業用用排水路(約5万km、基幹的農業水利施設)

2019年

2029年

-

50%

67%

-

道路橋(約73万橋、橋梁 2m以上)

2020年

2030年

2040年

30%

55%

75%

下水道管きょ(総延長約47万km)

2020年

2030年

2040年

5%

16%

35%

港湾岸壁(約5,000施設、水深 -4.5m以深)

2020年

2030年

2040年

21%

43%

66%

防火水槽(約52万基)

2020年

2025年

2035年

35%

40%

58%

(同社資料より)

 

◎建設現場の働き方改革・人手不足:プレキャスト工法の拡大
プレキャストコンクリートとは工場であらかじめ製造されたコンクリート製品であり、作業効率において優れ、現場の人手不足の解決や人件費の高騰に対するソリューションとして期待が高い。一方、現場打ちとは、工事現場で鉄筋を組み、生コンクリートを打設する工法である。プレキャストコンクリートは、現場における作業効率が、現場打ちの1/2~1/5程度とメリットがある反面、工場から運搬する必要があるため輸送路上の制約が発生し、距離によっては運搬費で高コストとなるデメリットがある。一方、現場打ちは、輸送路の制約がない特殊な構造や大型構造にも柔軟な対応が可能というメリットがある反面、作業効率でプレキャストに劣後し、天候や作業者により品質にばらつきが出るというデメリットがある。現在は、直接工事費の観点から予算上は経済性で優位という認定により現場打ち工が大半を占め、プレキャスト工は全体の13%を占める程しかない。しかし、熟練工の不足や現場の働き方改革に伴い施工の効率化が求められる中で、長期的にはプレキャスト工を選択するケースが今よりも高まっていくことが期待される。海外並みの使用比率となれば、中長期的にプレキャスト工の比率が50%を超える可能性もある。

 

(5)事業内容

セグメントは「コンクリート事業」「パイル事業」「防災事業」「その他事業」の4つ。なお、「防災事業」は25年3月期より「斜面防災事業」に名称変更。

 

各事業、以下のグループ会社が事業を担っている。

セグメント

グループ会社

コンクリート事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

株式会社ホクコンプロダクト(福井県)

北関コンクリート工業株式会社(群馬県)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

パイル事業

ホクコンマテリアル株式会社(福井県)

斜面防災事業

ベルテクス株式会社(東京都)

ベルテクス建設株式会社(大阪府)

九州ベルテクス株式会社(福岡県)

その他事業

株式会社ウイセラ(岐阜県)

アイビーソリューション株式会社(福井県)

プロフレックス株式会社(埼玉県)

株式会社エヌエクス(東京都、持分法適用関連会社)

 

【コンクリート事業】
プレキャストコンクリートを製造販売。売上高の約71% 、営業利益の約96%を占める同社の主力事業領域である。中でも下水道・浸水対策用製品を主力とし、当該領域では業界トップの実績を誇る。
(各写真は同社資料より)

 

事業名

概要・主要製品

下水道・浸水対策用製品

【基盤事業】

浸水・洪水などの自然災害への対策や水資源の有効活用を目的とするプレキャストコンクリート。

 

道路関連製品

【基盤事業】

新設道路や高速道路などの改修に使われるプレキャストコンクリート。

 

インフラメンテナンス

【育成事業】

長年の使用年数に及んだコンクリート構造物の補修・補強。

 

鉄道関連製品

【育成事業】

運行に支障なくスピーディーに工事を行うためのプレキャストコンクリート。

 

防衛関連製品

【育成事業】

シェルターなどの防衛関連製品。

 

【パイル事業】
建築の基礎工事に用いるコンクリートパイルの事業を展開している。

【再構築事業】

建築の基礎工事に用いられるコンクリートパイルの製造販売および杭打ち工事。

 

 

【斜面防災事業】
斜面防災のための製品を製造販売している。

【基盤事業】

落石、土砂崩れなどの災害が予想される山岳道路や住宅地域に対して、性能検証実験を経て自社開発した工法・製品を多くラインナップ。

 

 

【その他事業】
その他事業は、油圧ホースメンテナンスやセラミックスの事業などで、子会社群にて手掛けている。

【育成事業】

 

 

 

(6)特徴と強み

◎ビジネスモデルの特徴
同社の直接の製品の販売先はゼネコンであるものの、案件の初期段階から設計コンサルタントや発注者 (官庁・デベロッパ)に対して提案・サポートを行い、自社製品を売り込むことができるモデルとなっている。また、社会課題対策として他社に先駆けて新製品を市場に投入し、先行メーカーとして実績を積み上げ市場を開拓すると同時に当該分野でのブランドを確立し、売上を伸ばしていくモデルにもなっている。

 

(同社資料より)

 

◎強み
①技術力・開発力
取得特許の数やNo.1ブランド製品の数などが示す技術力・開発力を軸に営業や技術など全てのスタッフが組織的に連携を取ることで高い提案力・競争力を実現している。

 

(同社資料より)

 

②業界内で最も高い水準の利益率
技術力・開発力・営業力・組織力を掛け合わせ、業界内で最も高い水準の利益率を達成している。

 

(同社資料より)

 

(7)株主還元方針

創出したキャッシュは更なる成長と株主還元に向けて適切に配分する。今中期経営計画においても継続的な株主還元の強化を行う予定であり、配当性向30%を目処に安定的かつ継続的な増配を意識し、総還元性向50%以上を機動的に実施する方針である。

 

(8)資本コストを意識した経営

現在の資本コストを8%前後と捉え、引き続き長期的なROE改善と資本コスト抑制を目指す。

 

 

また、中期経営計画期間においては英文対応や開示の拡大等をはじめ、IR活動の充実化も意識し、株主・投資家との対話を通した企業価値向上を目指す。

 

(同社資料より)

 

2.2025年3月期第2四半期決算概要

(1)連結業績

 

24/3期上期

構成比

25/3期上期

構成比

前年同期比

会社計画

計画比

売上高

16,192

100.0%

18,006

100.0%

+11.2%

17,000

+5.9%

売上総利益

5,512

34.0%

6,043

33.6%

+9.6%

-

-

販管費

3,333

20.6%

3,592

20.0%

+7.8%

-

-

営業利益

2,178

13.5%

2,450

13.6%

+12.5%

2,000

+22.5%

経常利益

2,230

13.8%

2,539

14.1%

+13.9%

2,100

+20.9%

中間純利益

1,326

8.2%

1,451

8.1%

+9.5%

1,400

+3.7%

*数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円

 

前年同期比11.2%の増収、同12.5%の営業増益
25/3期上期の売上高は、前年同期比11.2%増の180億6百万円となった。売上面では、斜面防災事業を除き、コンクリート事業、パイル事業、その他事業ともに増加し、期初の会社予想を5.9%上回った。
営業利益は、同12.5%増の24億50百万円となった。利益面でも、斜面防災事業を除き、コンクリート事業、パイル事業、その他事業ともに増加し、期初の会社予想を22.5%上回った。売上総利益率は、前年同期比0.4ポイント低下の33.6%となった。人件費等が増加したものの売上高対販管費比率が前年同期比0.6ポイント低下し、売上高営業利益率は13.6%と同0.1ポイント上昇した。その他、前年同期に営業外費用で計上した損害補償費用47百万円が今上期は4百万円に減少したことなどにより、経常利益の増益率は営業利益の増益率を上回った。一方、特別損失で計上した固定資産除却損21百万円と減損損失3億6百万円などがマイナス要因の大きなものとなり、中間純利益は営業利益の増益率を下回った。上期は計画対比で売上高、段階利益がともに上振れたものの、これは個別案件の入り繰りや計上タイミングが起因したものである。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

 

上期の業績推移

25/3期上期は、前年同期比で増収増益となり、売上高営業利益率も前年同期比0.1ポイント上昇の13.6%となった。売上高、営業利益、売上高営業利益率ともに高水準で安定している。

 

(2)セグメント動向

 

24/3期 上期

構成比

25/3期 上期

構成比

前年同期比

コンクリート事業

11,218,933

69.3%

12,824,541

71.2%

+14.3%

パイル事業

1,443,428

8.9%

1,970,572

10.9%

+36.5%

斜面防災事業

1,873,768

11.6%

1,539,493

8.5%

-17.8%

その他事業

1,656,528

10.2%

1,672,328

9.3%

+1.0%

売上高合計

16,192,659

100.0%

18,006,936

100.0%

+11.2%

コンクリート事業

2,053,687

18.3%

2,351,714

18.3%

+14.5%

パイル事業

46,012

3.2%

223,034

11.3%

+384.7%

斜面防災事業

591,536

31.6%

446,282

29.0%

-24.6%

その他事業

299,828

18.1%

375,905

22.5%

+25.4%

調整額

-812,216

-

-946,518

-

-

営業利益合計

2,178,949

13.5%

2,450,418

13.6%

+12.5%

*単位:千円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

◎コンクリート事業(前年同期比14.3%増収、同14.5%増益)
九州地区において雨水貯留槽の大型案件の出荷が好調に推移したことなどから、売上高は前年同期比14.3%増の128億24百万円、セグメント利益は同14.5%増の23億51百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比横ばいの18.3%となった。

 

◎パイル事業(前年同期比36.5%増収、同384.7%増益)
前年度から延期されていた継続案件や、期首に予定していた新規案件が順調に推移したこと、及び販売価格への転嫁が順調に進んだことにより、売上高は前年同期比36.5%増の19億70百万円、セグメント利益は同384.7%増の2億23百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比8.1ポイント上昇の11.3%となった。

 

◎斜面防災事業(前年同期比17.8%減収、同24.6%減益)
第2四半期に見込んでいた案件の発注が遅れたことから、売上高は前年同期比17.8%減の15億39百万円、セグメント利益は同24.6%減の4億46百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比2.6ポイント低下の29.0%となった。

 

◎その他(前年同期比1.0%増収、同25.4%増益)
セラミックス事業、システム開発販売事業は低調だったものの、油圧ホースメンテナンス事業の受注が順調に進んだことにより、売上高は前年同期比1.0%増の16億72百万円、セグメント利益は同25.4%増の3億75百万円となった。また、売上高営業利益率は、前年同期比4.4ポイント上昇の22.5%となった。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

24年3月

24年9月

 

24年3月

24年9月

現預金

13,921

13,693

仕入債務

7,145

6,343

売上債権

13,283

11,033

短期有利子負債

3,294

2,786

たな卸資産

4,904

5,529

流動負債

13,817

11,723

流動資産

32,803

30,945

長期有利子負債

1,458

1,316

有形固定資産

12,538

11,591

固定負債

4,348

4,060

無形固定資産

3,784

3,586

純資産

33,859

33,147

投資その他

2,898

2,807

負債・純資産合計

52,024

48,931

固定資産

19,221

17,985

有利子負債合計

4,752

4,102

*単位:百万円。売上債権には電子記録債権を、仕入債務には電子記録債務を含む。有利子負債にリース債務を含む。

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24年9月末の総資産は、前期末比30億93百万円減少の489億31百万円となった。資産面では、棚卸資産などが主な増加要因となり、売上債権、土地、のれんなどが主な減少要因となった。負債・純資産面では、賞与引当金、親会社株主に帰属する中間純利益の増加に伴う利益剰余金などが主な増加要因となり、仕入債務、短期と長期の有利子負債、未払法人税等、退職給付に係る負債などが主な減少要因となった。24年9月末の自己資本比率は67.2%と前期末比2.7ポイント上昇した。

 

キャッシュ・フロー

 

24/3期 上期

25/3期 上期

前期比

営業キャッシュ・フロー

3,701

2,592

-1,108

-30.0%

投資キャッシュ・フロー

-611

32

643

-

フリー・キャッシュ・フロー

3,089

2,624

-464

-15.0%

財務キャッシュ・フロー

-1,634

-2,847

-1,213

-

現金及び現金同等物の中間期末残高

12,437

13,673

1,235

+9.9%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

CFの面から見ると、仕入債務の減少、法人税等の支払の増加などにより営業CFのプラスが縮小した。また、事業譲渡による収入により投資CFがプラスに転じたものの、フリーCFのプラスも縮小した。その他、短期借入金の減少、自己株式の取得の増加などにより財務CFのマイナスは拡大した。この結果、上期末のキャッシュ・ポジションは前年同期比で9.9%増加した。

 

(4)主な投資及び収入実績(単位:百万円)

有形固定資産の取得

△489

ベルテクス㈱の工具器具・備品(型枠)等

有形固定資産の売却による収入

+46

ベルテクス㈱遊休地の売却等

事業譲渡による収入

+468

北関コンクリート工業㈱の事業売却

無形固定資産の取得

△35

ベルテクス㈱における自社利用ソフトウェア開発

 

(5)株主還元

◎株主還元方針 (現中期経営計画期間:2025年3月期〜2027年3月期)
◆配当性向      30%
◆総還元性向    50%以上

 

◎配当金
配当金は、1株あたり 50円 の予定で、配当性向は31.3%となる見込み。

 

◎自己株式の取得状況
同社は、株主還元の充実と資本効率の向上及び経営環境の変化に応じた機動的な資本政策を実行するため、継続的に自己株式の取得を実施している。
◆取得期間      ①5月14日~7月22日  ②8月13日~10月11日
◆取得総額      13億円(①8億円、②5億円)

 

3.2025年3月期業績予想

(1)連結業績

 

24/3期

構成比

25/3期 予想

構成比

前期比

売上高

36,833

100.0%

40,000

100.0%

+8.6%

営業利益

5,727

15.5%

6,000

15.0%

+4.8%

経常利益

5,849

15.9%

6,200

15.5%

+6.0%

当期純利益

3,728

10.1%

4,050

10.1%

+8.6%

*単位:百万円

 

前期比8.6%増収、同4.8%営業増益の予想
2024年4月1日にパーパス『「オンリーワンの技術」と「ユニークな発想」で、世界の人々の未来に安心の新しいカタチを提供します。』を制定した。また、新たに制定したパーパスの実現に向けて、10年後の2034年に目指す姿「長期ビジョンVERTEX Vision 2034」と、2024年~2026年までの「第3次中期経営計画」を新たに策定した。「第3次中期経営計画」において掲げた経営戦略を着実に実行することで、未来の安心と更なる企業価値向上を実現する。
第2四半期が終了し、25年3月期の会社計画は、売上高が前期比8.6%増の400億円、営業利益は同4.8%増の60億円の予想から修正はなし。資材価格の高騰や物流コストの上昇など厳しい事業環境が続いているものの、既存製品・新製品の販売強化と絞り込んだ製品群の更なる付加価値化により、前期比増収・増益を達成する。売上高営業利益率は、前期比0.5ポイント低下の15.0%を予定。下期想定していた案件の発注遅れや工事遅れの懸念があるため、上期は上振れたものの、通期計画は据え置き。既存製品・新製品の販売強化と絞り込んだ製品群の更なる付加価値化により、前期比で増収・増益を目指す。
また、配当も前期より10.00円/株増加の普通配当50.00円/株の予定を据え置き。予想配当性向は31.3%。配当性向30%を目処に安定的かつ継続的な増配を意識し、総還元性向50%以上を機動的に実施する方針である。

 

(2)セグメント動向

 

24/3期 実績

構成比

25/3期 予想

構成比

前期比

コンクリート事業

25,726

69.8%

28,500

71.3%

+10.8%

パイル事業

2,783

7.6%

3,000

7.5%

+7.8%

斜面防災事業

4,765

12.9%

5,000

12.5%

+4.9%

その他事業

3,557

9.7%

3,500

8.8%

-1.6%

売上高合計

36,833

100.0%

40,000

100.0%

+8.6%

コンクリート事業

4,899

19.0%

5,350

18.8%

+9.2%

パイル事業

81

2.9%

150

5.0%

+83.1%

斜面防災事業

1,557

32.7%

1,350

27.0%

-13.3%

その他事業

788

22.2%

820

23.4%

+3.9%

調整額

-1,600

-

-1,670

-

-

営業利益合計

5,727

15.5%

6,000

15.0%

+4.8%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率。
*防災事業は、25/3期より斜面防災事業に名称が変更となった。

 

コンクリート事業における売上高とセグメント利益の増加が、全社における前期比での増収増益に寄与する見込み。一方、斜面防災事業は、前期比で増収減益の見込みとなっている。

 

(3)進捗率と下期の業績推移

 

25/3期 上期実績

25/3期 会社計画

進捗率

売上高

18,006

40,000

45.0%

営業利益

2,450

6,000

40.8%

経常利益

2,539

6,200

41.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,451

4,050

35.8%

*単位:百万円

 

 

売上高

営業利益

 

25/3期 

上期実績

25/3期 

会社計画

進捗率

25/3期 

上期実績

25/3期 

会社計画

進捗率

コンクリート事業

12,824

28,500

45.0%

2,351

5,350

44.0%

パイル事業

1,970

3,000

65.7%

223

150

148.7%

斜面防災事業

1,539

5,000

30.8%

446

1,350

33.1%

その他事業

1,672

3,500

47.8%

375

820

45.8%

調整額

-

-

-

-946

-1,670

-

合計

18,006

40,000

45.0%

2,450

6,000

40.8%

*単位:百万円

 

 

下期は、前年同期比増収ながら営業利益が前期並みとなり、売上高営業利益率が前年同期比で低下する保守的な会社計画となっている。下期に想定していた案件の発注遅れや工事遅れの懸念があるため、上期は上振れたものの、通期計画を据え置いた。また、第3四半期で計上される案件が例年よりも少なくなると見込んでおり、第4四半期に売上高と営業利益が偏る見通しである。

 

4.第3次中期経営計画の進捗

VERTEX Vision 2034 に基づく1期目の計画として、オーガニックで売上430億、営業利益65億を計画する。将来の売上1,000億、営業利益150億を見据えた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。

 

【数値目標】

数値目標(計画発表時の数値)

 

24/3期(実績)

25/3期(中計)

26/3期(中計)

27/3期(中計)

3か年累計

Vision 2034

売上高

368

400

410

430

1,240

1,000

営業利益

57

60

62

65

187

150

ROE

11%

-

-

14%

-

20%

*単位:億円

 

【重点項目】

事業ポートフォリオの強化

◆基盤事業 - コンクリート・斜面防災

市場成長を踏まえた安定的な収益拡大を図る。

◆育成事業 - メンテナンス・鉄道・防衛・油圧ホースメンテナンス

将来の注力ドメイン化を考えた成長投資を実施する。

人的資本・R&D・DXの推進強化

サステナビリティ経営の推進

 

(同社資料より)

 

①事業ポートフォリオの強化の進捗状況
<基盤事業の施策>
【コンクリート事業】-既存製品・新製品の販売強化

 

◆株式会社熊谷組と、高速道路特定更新工事に適用可能なプレキャスト壁高欄「スライドジョイント壁高欄」を開発
従来型のプレキャスト壁高欄は、一体化に特殊な材料が必要であり、現場での作業が多いため労力と時間がかかるという難点があった。また、箱抜き穴にモルタルを詰める為美観を損ねてしまい、加えて、箱抜き穴から内部に水が浸入し製品が劣化してしまうという難点もあった。これらの問題を解決したのがスライドジョイント壁高欄であり、製品の両側に箱抜き穴はなく、鋼管継手を使用しスライド挿入するだけで壁高欄の連結が完結する。

 

 

 
(同社資料より)

 

◆ハイウェイテクノフェア2024への出展(9月26日~27日)
同社は、東京ビックサイトで行われたハイウェイテクノフェア2024にスライドジョイント壁高欄を出展した。来場者からは、施工性・止水性・美観に優れている製品と高い評価を得て、現在多くの施主より問い合わせがきている。

 

(同社資料より)

 

◎コンクリート事業の事例紹介①(浸水対策)
富山県富山公共下水道の下冨居貯留池築造工事で採用。:富山市上下水道局は、都市化による雨水流出量の増加に伴い、浸水被害が発生し、その対策として地下式雨水貯留槽を計画。 本現場は地下水位が非常に高い場所であり、水密性に優れたM.V.P.システムが採用された。規格、容量は、内空高 4.5m、容量 4,100㎥。

(同社資料より)

 

◎コンクリート事業の事例紹介②(浸水対策)
愛知県江南市の古知野高等学校雨水貯留施設設置工事で採用。昨今の大雨による古知野高校周辺の冠水および浸水被害の軽減を図るためにM.V.P.システムが採用された。サイズは、内空高 3.5m、容量 4,080㎥。

(同社資料より)

 

◎斜面防災事業の事例紹介(斜面崩壊対策)
令和5年度大分自動車道杷木地区災害応急復旧工事で採用。トンネルの東西杭うちが塞がれる事態となり、対策工として斜面に残留する土砂の流出による本線の被災を防ぐことを目的に、早期復旧を勘案し、西日本高速道路株式会社九州支社よりループフェンスDタイプが採用された。

(同社資料より)

 

◆下水道展´24東京へ出展(7月30日~8月2日)
同社は、東京ビックサイトで行われた下水道展´24東京に出展した。流域治水プロジェクト、局所的集中豪雨、耐震化、災害トイレ、維持管理メンテナンスをテーマに出展し、訪問者に同社の浸水対策、土砂対策を始めとする防災技術をアピールした。

(同社資料より)

 

 

◆コンクリート事業における工場の統廃合
同社は、市場動向を踏まえ、工場配置の最適化と生産効率化を目的に、工場の統廃合を実施している。

(同社資料より)

 

<育成事業の施策>
同社は、将来の注力ドメインとしてコンクリート事業におけるインフラメンテナンス、鉄道、防衛および油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進している。

(同社資料より)

 

◎インフラメンテナンス事業の事例紹介(既設防火水槽補強工事)
兵庫県の某市道路建設課(消防本部)より、既設防火水槽補強工事を調査−設計−工事の一括発注でバネ支柱工法(補強)、HyperシンプルシートF工法(防水)が採用された。

(同社資料より)

 

◎インフラメンテナンス事業の事例紹介(橋梁耐震補強)
厚み150mmの部材を軽量化する目的でダクタルフォームを提案し、ダクタルフォーム(厚み40㎜)96枚が採用された。

(同社資料より)

 

◎鉄道事業の事例紹介
東武鉄道株式会社(施工者:鹿島建設株式会社)より、可動式ホーム柵新設工事(東部練馬駅)のうち土木関係その3工事として、軽量プレキャストC型ホーム基礎工法 高さ0.6m 51本が採用された。ホームドア設置時の既存ホーム床版の強化の目的で採用され、基礎ブロック自体の軽量化により施工の効率化に貢献した。

(同社資料より)

 

◎防衛事業の取組
同社は防衛施設学会主催の第18回ミリタリーエンジニアテクノフェアに出展し、同社独自の技術を紹介した。同社には、放射線を遮蔽できるGコンという特殊技術がある。このGコンを使用した地下設置型のGコン避難シェルターを提案した。また、火薬を補完する大きなプレキャストコンクリート製の倉庫であるプレキャスト火薬庫も提案した。このプレキャスト火薬庫は、既に数ヶ所の実績があり今後も発注される予定となっている。

(同社資料より)

 

②人的資本・R&D・DXの推進強化の進捗状況
◎取組①-「ベルテクス利益倍増セミナー」の実施
更なる収益基盤の強化に向け、土屋社長自ら登壇し「ベルテクス利益倍増セミナー」を開催した。東京・名古屋・大阪の3ヵ所で総勢260名が出席した。既存製品においても最適セールスミックスを見つければ利益が格段にアップすることを社員に実感してもらい、同社の社員が戦略的な能力を身につけ同社の潜在的な力を掘り起こしてもらうためのセミナーである。

(同社資料より)

 

◎取組②-アカデミック研修の実施
外部講師を招き、経営マインドを持った社員の育成を目指した新たな社員研修「次世代経営者・経営幹部養成塾」の約1年間の活動が終了した。

(同社資料より)

 

◎取組③-従業員向け生成AIツール「ベルトーク」導入開始
武蔵野大学データサイエンス学部中西崇文准教授と生成AIソリューションの開発を進め、2024年9月より、社内業務効率化支援生成AI「ベルトーク」の導入を開始した。業務効率化と生成AI技術を活用したチャットボットの開発を通じて、顧客との関係を強化し、新しい価値を創造することで、グループ全体の飛躍的な進化を促進し、未来への可能性を切り開いていく。

 

③サステナビリティ経営の推進
◎環境への取組①
高付加価値製品へのシフトや蒸気ボイラー燃料のガス化などにより、Scope1,2のCO2削減を着実に推進し、今後、蒸気養生を不要とした製造の導入などによりCO2削減を加速させる。

(同社資料より)

 

◎環境への取組②
高付加価値製品へのシフトやLLクリートの応用技術の展開により、Scope3の2030年CO2削減目標を前倒しで達成した。今後、LLクリート技術の更なる活用やゼロセメントの展開によりCO2削減を進める。

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

同社の上期決算は、前年同期比11.2%増収、同12.5%の営業増益の好決算となった。しかし、上期において計画対比で上振れたものの、これは個別案件の入り繰りや計上タイミングが起因したものである。通期については、下期に想定していた案件の発注遅れや工事遅れの懸念があるため、期初の会社計画が据え置きとなった。また、第3四半期に計上される案件が例年よりも少なくなる見込みであり、下期は例年以上に第4四半期に売上及び利益が偏重する見通しである。資材価格の高騰、2024年問題に起因する人手不足による発注と工事の遅れなど、建設業界では懸念材料が増加している。不透明な業界環境を乗り越え、同社の独自技術を活かした受注の獲得を通じて通期の会社計画を上回る業績を達成できるのか、下期の業績動向が注目される。また、上期は斜面防災事業以外の全ての事業で増収増益となったものの、斜面防災事業で減収減益となったことは残念であった。しかし、これは第2四半期に予定していた案件の発注が遅延したことによるものである。自然災害のリスクが増す中、今後斜面防災は崩壊土砂対策や落石対策などの分野で安定的な需要の拡大が見込まれる。同社は今期斜面防災j業において前期比4.9%の増収、同13.3%の営業減益を計画している。上期の遅れを取り戻し、通期の会社計画を達成できるのか、今後の斜面防災事業の改善状況にも注目したい。
更に、現在2027年3月期までの3か年を対象とする第3次中期経営計画が進行中である。同社は、VERTEX Vision 2034の実現に向けた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。基盤事業と位置付けるコンクリート事業では、既存製品・新製品の販売強化、絞り込んだ製品群の更なる付加価値化、コンクリート工場の統廃合による効率化を実施する。また、斜面防災事業では、引き続き崩壊土砂対策や落石対策に向けた製品の拡販と更なる研究開発・付加価値化に取り組む。更に、育成事業と位置付けるインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進する。インフラメンテナンスでは、設置シェアNo1の防火水槽関連や農業水利関係に注力し販売を強化する。鉄道では、同社、ゼネコン、鉄道事業者の連携を深め、同社が有する新材料を活用し、顧客ニーズに合致した製品開発を推進する。油圧ホースメンテナンス事業では、関東圏で既に強みを活かして成功した事業モデルを他地域へ横展開する。今期は第3次中期経営計画の1年目であるが、上期においては、コンクリート事業において高速道路特定更新工事に適用可能なスライドジョイント壁高欄の開発や、浸水対策でM.V.P.システムの採用などが確認された。また、斜面防災事業においてループフェンスDタイプなどの採用が確認された。加えて、インフラメンテナンス事業では橋梁耐震補強でダクタルフォーム(厚み40㎜)などが採用され、鉄道事業においても可動式ホーム柵新設工事において軽量プレキャストC型ホーム基礎工法の採用が確認された。同社独自の付加価値の高い新製品が順調に育っている。下期についても順調に成果を積み上げることができるのか、今後の第3次中期経営計画の進捗状況が注目される。

 

<参考1:第3次中期経営計画>

同社は、2025年3月期から2027年3月期までの3か年を対象とする第3次中期経営計画を策定した。
VERTEX Vision 2034 に基づく1期目の計画として、オーガニックで売上430億、営業利益65億を計画する。将来の売上1,000億、営業利益150億を見据えた第1歩として事業ポートフォリオの強化に向けた成長投資を行い、基盤を整えたコア事業の再成長と長期的な成長の軸となる新規事業の育成に取り組む。

 

【数値目標】

数値目標(計画発表時の数値)

 

24/3期(実績)

25/3期(中計)

26/3期(中計)

27/3期(中計)

3か年累計

Vision 2034

売上高

368

400

410

430

1,240

1,000

営業利益

57

60

62

65

187

150

ROE

11%

-

-

14%

-

20%

*単位:億円

 

【重点項目】

事業ポートフォリオの強化

◆基盤事業 - コンクリート・斜面防災

市場成長を踏まえた安定的な収益拡大を図る。

◆育成事業 - メンテナンス・鉄道・防衛・油圧ホースメンテナンス

将来の注力ドメイン化を考えた成長投資を実施する。

人的資本・R&D・DXの推進強化

サステナビリティ経営の推進

 

◎基盤事業における施策

【コンクリート事業】
主力事業であり、市場環境が堅調である雨水浸水対策領域のコンクリート事業については更なる強化を推進する。前中計までで製品ポートフォリオの体制は整い、今後は販売強化や更なる付加価値化を通してより売上と利益を積み上げていくフェーズとして取り組む。

 

(主な取組み)
◆既存製品・新製品の販売強化
<コンクリート事業の新製品群>

ボルテックスバルブ

 

スパイラルホール

 

無動力で貯留槽からの流量を水位に応じてコントロールし、雨水貯留施設の貯留

機能を従来式から最大20%向上させる装置。

雨水をマンホール内壁に

沿ってらせん状に落水させることで騒音と振動の発生を回避し、スムーズに流出

管に流し込むことが出来るマンホール。

 

◆絞り込んだ製品群の更なる付加価値化
◆コンクリート工場の統廃合による効率化
過去の経営統合を通して保有する工場や拠点についての統廃合に着手。2024年運送問題や市場動向を踏まえ、各工場から
の運送範囲の再設定と効率化に取り組む。

 

【斜面防災事業】
近年激甚化する自然災害への対策として、防災・減災や国土強靭化に対する意識は高まる傾向にある。また、国土強靭化に向けた対策の拡大も予定されている。こうした環境下、引き続き崩壊土砂対策や落石対策に向けた製品の拡販と更なる研究開発・付加価値化に取り組む。
<主な製品>

ループフェンス

崩壊土砂防護工・土石流・流木対策工

 

◆メンテナンス性の高さ

◆ケーブル取り付け位置の調整による柔軟な配置の実現

◆土砂、落石、積雪などに対応可能

 

◎育成事業における施策
将来の注力ドメインとしてコンクリート事業におけるインフラメンテナンス、鉄道、防衛及び油圧ホースメンテナンス事業に対する成長投資を推進する。第3次中期経営計画終了時点では合計で80億円程度の売上規模を目指す。

 

事業

主な施策

インフラメンテナンス

◆設置シェアNo1の防火水槽関連や農業水利関係に注力し販売を強化

◆調査・診断に始まり維持保守管理までワンストップでの対応を通し顧客の拡大・深掘り

鉄道

◆同社、ゼネコン、鉄道事業者の連携を深め、同社が有する新材料を活用し、顧客

ニーズに合致した製品開発を推進

油圧ホースメンテナンス事業

◆2023年に完全子会社化したプロフレックスは、豊富な在庫品番数で1個から全国へ即納する優れたオペレーションとオリジナル加締機自社企画品の設計力を強みとしている。関東圏で既に強みを活かして成功した事業モデルを他地域へ横展開する。

 

◎M&A戦略
オーガニック成長に加え、M&Aを通した事業ポートフォリオの強化・拡大を狙う。

中期経営計画期間のM&A戦略投資枠

◆M&A投資枠は、100~150億円を予定、主に借入を活用したM&A戦略投資枠を設定

今後のM&A強化に向けた社内体制

◆M&A対応人員強化により案件情報の量と質を高める

◆量:あらゆるチャネルを駆使して案件情報を収集

◆質:良好な関係性を構築し、良質な情報収集を目指す

M&Aターゲットの方向性

◆防災・減災・国土強靭化を軸とし、既存事業の機能強化・周辺領域展開が見込める企業

◆同社が選定する育成事業(インフラメンテナンス、鉄道、防衛)に対して提供するプロダクト・サービスを有する企業

◆官公庁に強いプロダクト・サービスを提供する企業

◆事業ポートフォリオの強化・拡大が見込める事業を有する企業(既存事業の強みが活かせシナジーが期待できる事業)

 

【既存事業成長とM&A成長のイメージ】
第3次中期経営計画期間において、売上成長についてはM&Aによる成長ポテンシャルは大きい一方、利益についてはオーガニック成長が中心となる想定 (M&A初期の利益貢献は見込まずPMIフェーズの改善想定)としている。

 

(同社資料より)

 

◎財務戦略
同社は、資本効率を意識したバランスシートを目指し、今中計のキャッシュ・アロケーションを策定した。

(同社資料より)

 

【成長投資・更新投資の詳細】
同社は、通常の研究開発や設備投資に加え、「10年後にありたい姿」を意識した投資予算を設定した。

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年7月1日

 

<基本的な考え方>
当社は、経営の透明性・健全性を確保しつつ、効率的な意思決定を可能とするコーポレート・ガバナンス体制の構築が重要であるとの認識のもと、当社グループ経営において主体的な役割を果たし、グループの戦略・方針の策定、グループ各社に対する指導・助言を通じ、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
コーポレートガバナンス・コードの各原則について全てを実施しております。

 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>

原則

開示内容

【原則 3-1 情報開示の充実】

(i)経営理念等や経営戦略、経営計画

当社の経営計画等を当社ホームページで開示しております。

(ii)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針 コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方を定めたガイドラインを当社ホームページで開示しております。

(iii)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するにあたっての方針と手続

取締役(社外取締役を除く)の報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績指標を基礎としてその数が算定される非金銭報酬(以下「業績連動非金銭報酬」という。)としてのストックオプションにより構成し、社外取締役については、その職務に鑑み、基本報酬のみとしております。

取締役(監査等委員である取締役を除く。以下同じ。)の種類別の報酬割合の目安は、基本報酬:業績連動非金銭報酬等(短期インセンティブ):業績連動非金銭報酬(長期インセンティブ)=70:15:15(業績指標を 100%達成の場合)とし、任意の報酬委員会が審議並びに取締役会に対する答申を行い、取締役会は当該答申内容を尊重し、決定いたします。

取締役の個人別の報酬額については、任意の報酬委員会が審議並びに取締役会に対する答申を行い、取締役会は当該答申内容を尊重し、決定いたします。

監査等委員である取締役の報酬については、任意の報酬委員会が審議並びに監査等委員である取締役全員に対する答申を行い、監査等委員である取締役全員が当該答申内容を尊重し協議した上で決定いたします。

(ⅳ)経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

(方針)

 監査等委員でない取締役候補は、当社グループの企業価値向上のために、グループの発展に寄与できる幅広い視野と経験を有し、マネジメント能力と経営センスを持った人材を選任しています。

監査等委員である取締役候補は、数多くの経験や見識からの視点より、監査等委員でない取締役の業務執行を公正に監査・監督できる人材を選任しています。

(選任手続き)

当社は任意の指名委員会を設置しております。指名委員会は取締役選解任案を審議し、取締役候補者の提言をいたします。それぞれの提言を踏まえ、監査等委員でない取締役候補者案は監査等委員会に報告、監査等委員である取締役候補者案は監査等委員会の同意を得た上で、取締役会において決議しております。

 

(v)経営陣幹部の選解任と取締役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

取締役の選解任につきましては、株主総会招集ご通知参考書類において、指名委員会の推薦に基づいて取締役会が決定した新任取締役候補者の個々の略歴、選解任理由等を掲載してまいります。

(経営計画:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/management/plan.html)

(コーポレートガバナンスガイドライン:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/management/governance.html)

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】

当社グループでは、経営理念(ブランド・ビジョン)「安心のカタチを造る。」の実現に向け、「持続可能な社会の実現への貢献」 と「企業の持続的成長の実現」の両立が経営課題の一つであるとの認識に立ち、マテリアリティ(重要課題)の特定を行い、具体的な対応策や目標設定を推進させてまいります。

今後もサステナブルな社会の実現に向けた取リ組みを強化し、新たな価値創造の創出を通じて社会とステークホルダーからの満足と信頼が得られる企業を目指してまいります。

なお、当社におけるサステナビリティについての取組み及びTCFDに基づく開示の詳細は、当社ホームページをご覧ください。

(当社ホームページ:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/sustainability.html)

【原則5-1 株主と建設的な対話に関する方針】

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、株主総会以外における株主や投資家との建設的な対話が重要であると認識し、経営企画部広報・IR室をIR担当部署として個別面談への対応、会社情報のホームページへの掲載、東京証券取引所の任意開示を活用した情報公開を行うほか、個別面談においては、株主の希望や面談の内容の重要性等によって取締役の中から適任者が対応するなど、社内体制を整備しております。

また、半期に1回決算説明会を開催し、代表取締役社長を含めた役員が登壇し、決算報告や事業戦略等について説明しております。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】

当社の資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、当社ホームページの第3次中期経営計画をご覧ください。

(第3次中期経営計画:https://www.vertex-grp.co.jp/ja/ir/library/midplan/main/00/teaserItems1/07/linkList/00/l

ink/3nd_midterm-plan__.pdf)

 

 

 

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