ブリッジレポート:(9997)ベルーナ 2025年3月期上期決算
安野 清 社長 | 株式会社ベルーナ(9997) |
|
企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 小売業(商業) |
代表取締役社長 | 安野 清 |
所在地 | 埼玉県上尾市宮本町4-2 |
決算月 | 3月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
789円 | 97,244,472株 | 76,725百万円 | 4.5% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
29.00円 | 3.7% | 82.82円 | 9.5倍 | 1,398.07円 | 0.6倍 |
*株価は12/12終値。各数値は25年3月期上期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2021年3月(実) | 206,499 | 15,734 | 16,872 | 11,036 | 114.17 | 16.50 |
2022年3月(実) | 220,128 | 13,827 | 14,537 | 10,204 | 105.55 | 19.00 |
2023年3月(実) | 212,376 | 11,217 | 12,459 | 7,417 | 76.71 | 20.00 |
2024年3月(実) | 208,298 | 9,787 | 11,831 | 5,839 | 60.39 | 20.50 |
2025年3月(予) | 217,000 | 11,500 | 12,500 | 8,000 | 82.82 | 29.00 |
*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。
ベルーナの会社概要、2025年3月期上期決算概要等について、ご紹介します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025年3月期上期決算概要
3.2025年3月期業績見通し
4.資本コストや株価を意識した経営に向けた対応
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 25/3期上期は前年同期比1.1%増収、15.3%営業増益。プロパティ事業が牽引、アパレル・雑貨事業等も増収となり、化粧品健康食品事業や呉服関連事業の減収をカバーした。利益面では、販管費の増加を抑えて営業利益率が前年同期3.2%から3.7%へ改善した。上期末配当は会社予想通り、前年同期から4.25円/株増配の14.50円/株を実施。
- 通期予想は修正なく、25/3期は前期比4.2%増収、17.5%営業増益を見込む。インバウンド需要の更なる拡大を好機と捉え、ホテル展開を軸としたプロパティ事業を重要な成長ドライバーと位置づけ注力する。アパレル・雑貨事業では開発顧客数を適正水準に戻し、リピート率も回復させることで早期黒字化を目指す。配当も修正なく期末配当は14.50円を計画。
- 上期は引き続きプロパティ事業が牽引して増収、2桁営業増益。プロパティ事業の営業利益の通期計画に対する進捗率は87.6%に達しており、足元の訪日外国人の勢いが衰えていないことを考慮しても大きく上回るだろう。上期の売上構成比は17.3%(前上期15.5%)に上昇しており、利益率の高い同事業の売上構成比が増すにつれて利益貢献も大きくなるため中期的な増益基調への貢献に期待。同様に利益率の高いデータベース活用事業は、25/3期は減収減益見通しだが、引き続き今後の展開にも注目したい。一方、アパレル・雑貨事業が上期の損失が拡大しており課題となっている。重衣料の販売が増加する下期は利益になるものの、上期の損失は賄えない見通し。新規獲得とともに効率化も進めることなどにより黒字体質にしたいところである。また、今上期は化粧品健康食品事業が減収減益となっており、課題を残した。
- 期初には資本コストや株価を意識した経営に向けた対応を発表するとともに株主還元も拡充させている。PBRが1倍を大きく割り込みPERも低位にある現在の株価水準は、急成長するプロパティ事業の動向を考慮すると割安と見ている。
1.会社概要
グロース領域としてプロパティ・ホテル事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業・ナース関連事業、サステナブル領域として呉服関連事業、アパレル・雑貨事業、このほかデータベース活用事業を展開。従来の主力であった通販においてはミセス層を中心とした安定的な収益性と成長性などが強み。近年はホテル事業を強化している。M&Aも積極的に展開。
【1-1 沿革】
1968年に現・代表取締役社長である安野清氏が、印鑑の訪問販売「友華堂(ゆうかどう)」として創業。その後、衣料品の通信販売を皮切りに、食品、化粧品など取り扱いジャンルを拡大し、専門通販事業も展開するのに並行し、通販顧客を対象としたファイナンス事業、プロパティ事業、店舗販売事業、ソリューション事業など事業ポートフォリオの拡充も進めてきた。2000年3月、東証1部に指定替え。M&Aも積極的に展開し事業基盤のさらなる強化を進めている。2022年4月、市場再編に伴い、東証プライム市場に移行。
【1-2 経営理念】
◎経営理念
わが社の事業の原点 | わが社は国際的視野に立って、地域に生活するより多くのお客さまの、衣食住遊を豊かにする商品及びサービスを他社に先がけて提案し、より高い利便性、経済性、ファッション性、アソートメントを他社より優れたシステムと企画力で提供して、お客様の生活と幸せの向上に貢献する。 |
わが社の求める社員像 | わが社の人材は何事に対しても、明るく、ポジティブに取組み、お客様の満足とより良い仕事にこだわり(責任を持ち)、困難から逃げることなく、自分の能力とキャパシティを拡げ、信頼を高めるため常に挑戦する。 |
わが社の目指す企業像 | わが社は国際的視野で、衣食住遊分野の事業を他社との競合で圧倒的優位に展開し、安定性、成長性、継続性、収益性とイメージをより高め、有能な人材の集まるエクセレント企業を実現し社会に貢献する。 |
また、同社ではベルーナ社員としての心の在り方を示す「Basic Mind」、行動規範である「Basic Action」を定めている。「当事者意識」、「利益意識」、「ゲーム感覚」、「ポジティブ思考」、「成長意欲」からなるBasic Mind、「1.情報の収集」、「2.事例研究」、
「3.データの活用」、「4.仮説検証」、「5.他者活用」、「6.知的理解」、「7.討議」、「8.報告、連絡、相談」からなるBasic Action(8か条)は、ベルーナ社員が課題に向き合った際に常に立ち戻るべき原点となっている。
この他、多くの成長企業に共通する成長要因として「CCBSKKKS」(C:チェンジ C:チャレンジ B:ブラッシュアップ S:スピード K:気付き K:改善 K:客指向・客密着 S:SAクラス企業事例研究)を挙げ、自らの成長のためのチェックポイントとして認識している。
【1-3 事業内容】
(1)セグメント
24/3期までセグメントは大きくは、「通販事業」「呉服関連事業」「プロパティ事業」「その他の事業」の4セグメント。さらに、通販事業については、「アパレル・雑貨事業」「化粧品健康食品事業」「グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)」「ナース関連事業」「データベース活用事業」の5事業で構成されていた。 25/3期より8つのセグメントを今後の成長性・収益性の拡大を担う「グロース領域」と、安定した収益性・継続性・社会性を主眼においた「サステナブル領域」の2つにグルーピングをし、それぞれに適した経営資源の配分、事業展開を図る。 |
(同社資料より) |
(25/3期中間期決算説明会資料を基にインベストメントブリッジ作成)
➀グロース領域
グロース領域は、「プロパティ・ホテル事業」「化粧品健康食品事業」「グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)」「ナース関連事業」の4事業で構成されている。
①-1プロパティ・ホテル事業
オフィスビル、商業施設などの賃貸、バリューアップ型の不動産再生・開発を手がける不動産事業、及びホテル事業を展開している。
(同社HPより)
①-2化粧品健康食品事業
◎化粧品
化粧品を扱う株式会社オージオでは、「OZIO」「なちゅライフ」の2つのブランドを展開。また、23年4月より若年層向けブランド「Bab²(バブバブ)」を立ち上げた。
(同社HPより)
「OZIO」
安全性を追求した洗顔・化粧水・乳液といった化粧品やサプリメントを扱っている。18種類のアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸などで構成され、ハリ・ツヤ・弾力・うるおいを与える卵殻膜を使用した「卵殻膜美容液:ビューティオープナー」は国内売上No.1である。
「なちゅライフ」
オールインワン化粧品を中心に扱っている。特に、肌にやさしい植物原料を主成分とした商品を提供している。年齢肌の為のオールインワン化粧品「ローヤルゼリーもっちりジェル」は累計販売個数が1,300万個を突破した。OZIOを合わせ、台湾など海外市場開拓にも取り組んでおり、香港・シンガポール・中国にも拡大させる方針。
◎健康食品
健康食品やサプリメントを扱う株式会社リフレでは、「明日のカラダ、今日からだ」をコンセプトに利用者の健康をサポートする商品を展開している。
商品に使用する素材は、原産地や農法、安全性を証明するためのデータや栄養分析が確認されているもののみを厳選し、原料入荷後の品質検査も何度も行っている。
また、製造プロセスのなかでも様々な分析検査を行い、製品の安全性について徹底的に追求している。2013年にはリフレ研究所を設立し、健康食品を通じた商品価値の向上、食の安全性、製品の品質確保、健康被害防止などに取り組んでいる。
(リフレHPより)
①-3 グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)
食品と花を扱う「グルメ友の会」では、惣菜、海産物、スイーツ、酒など全国選りすぐりの美味しいグルメを提供している。
月に1回商品を届ける「頒布会」や、好きな時に好きなものを注文できる「単品」販売、お中元やバレンタインなどを届ける「ギフト」など、様々な販売形態を展開している。
ワイン専門通販「My Wine Club」では、現地から直輸入した日本でもめずらしいワインを数多く取り揃えている。取扱い商品の種類や豊富さ、高い品質が好評で、国内におけるワイン通販売上シェア調査では、16年連続1位を獲得している(2008年度~2023年度)。日本酒も8年連続1位となっている。
(同社HPより)
①-4 ナース関連事業
看護師向けのナースウェアやシューズ、ナースグッズを取り揃え、看護師の毎日をフルサポートしている。
看護師向け通販国内売上高No.1。リーズナブルな価格が強みの「ナースリー」と、豊富な品ぞろえと他社ブランドとのコラボレーション商品が魅力の「アンファミエ」の2つのブランドを展開し、看護師向け通販市場では圧倒的なシェアを有している。
看護師人材紹介サービスの「ナースキャリアネクスト」「JOB STUDIO」も展開している。
(同社HPより)
②サステナブル領域
サステナブル領域は、「アパレル・雑貨事業」「呉服関連事業」「その他の事業」の3事業で構成されている。
②-1 アパレル・雑貨事業
◎概要
衣料品だけでなくファッション雑貨、インテリアといった多彩な商品を各世代に向け提供している。より高品質なアイテムをリーズナブルに提供するために、2,300万人を超える会員のデータを活用した商品開発と効率的な商品管理のノウハウを確立している。チラシ・カタログだけでなく、パソコンやスマートフォンといったWEBメディアによるコミュニケーションも強化している。
(ストアブランド)
(同社HPより)
◎会員属性
登録会員数は2,300万人を超え、そのうち40代以上のミセス層が約8割を占める。
ミセス層の中心年代である65歳~69歳の女性会員数を日本の人口と比較すると、3人に1人以上(39.9%)がベルーナの登録会員であり、圧倒的なシェアを有している。
~総合通販事業 会員登録の特徴~
高齢者、地方の買い物困難者の生活インフラとしての役割も担う
(同社資料より)
同社は社内に約70名のマーチャンダイザーを擁しており、大手スーパーマーケットや女性向けファッション衣料販売店に比べてファッション性の高い商品を提供している。特に、加齢とともに変化するミセスの体形カバーを意識したデザイン性は、ユーザーから高く評価されている。
また50代から70代を対象とした他社にはない豊富なカタログをラインアップしている。こうした点が、ミセス層からの圧倒的に高い支持獲得につながっている。
◎顧客セグメント
女性顧客層を年齢別にセグメント化。各年代の嗜好、ニーズにきめ細かく対応した商品を提供している。
②-2 呉服関連事業
着物や和装関連商品を販売する店舗をショッピングセンターやショッピングモールに出店している。
大学生の卒業式用袴レンタルも行っている。
(同社HPより)
「BANKAN」及び「わものや」に加え、2018年6月には、「さが美グループホールディングス株式会社」を連結子会社とした。
さが美グループホールディングスは、「さが美」と「東京ますいわ屋」の2ブランドで店舗を運営しており、着物の文化や取り扱いに関する知識やノウハウが豊富で、着付けのスキルも高い点が特長。
着物を持たない若い女性を、啓蒙活動を通じて顧客に育成することにも取り組んでいる。
②-3 その他の事業
商品企画のノウハウを活用し、百貨店や生協などに向けた卸売事業を子会社のフレンドリー株式会社で行っている。保険事業も展開している。
③データベース活用事業
封入同送サービス、通販代行サービス、ファイナンス事業で構成されている。
封入同送サービス
ベルーナが保有する膨大な顧客データベースを活用する「ベルーナダイレクト」では、クライアント企業のチラシやサンプルなどの販促物を商品やカタログと一緒に送る封入同梱サービスを展開している。クライアント企業のニーズに合わせて対象をセグメントし、ターゲットを絞り込むこともでき効果的なプロモーションが期待できる。
通販代行サービス
通信販売を行う企業に対して、ベルーナのインフラとノウハウを含む一連の機能を受託する。物流倉庫でのストックやコールセンターでの対応、顧客への発送までトータルに請け負う。これにより、通販事業に新規参入する企業でも、自前のインフラを備える必要がなく、スピーディかつ安価に商品やサービスを提供することが見込める。
ファイナンス事業
通販で培ったデータベースを活用した消費者金融事業。子会社の株式会社サンステージにて展開している。通販の主力ターゲットであるミセス層が多いのが特徴。また、通販の利用履歴を活用した与信能力も強み。紙媒体に比べ獲得効率の良いネットによる新規顧客獲得が好調に推移。
(同社HPより)
【1-4 特長と強み】
➀約40年の通販事業で培ったミセス層を中心とした顧客データベースやノウハウ
事業内容の項で触れたように、同社の2,300万人を超す登録会員のうち、約8割が40代以上の女性、ミセス層。
ミセス層の中心年代である65歳~69歳の女性会員数を日本の人口と比較すると、3人に1人以上、39.9%がベルーナの登録会員である。
約40年にわたる通販事業で培った強力な顧客データベースやノウハウは、同社企業価値創造の源泉であり、大きな特徴である。中核事業の通信販売事業においては、販売実績、購買行動、アンケートを通じた顧客の要望などをベースに、ニーズに合致した商品を提案することでミセス層の顧客から強い支持を得ている。
また、ファイナンス事業ではまさにデータベースを活用して安定的に売上、利益を生み出しており、データベース活用事業においては、顧客データベースやノウハウ、インフラを外部に提供することで新たな事業機会を創出している。
②新たなる成功モデルの構築、チャレンジ
挑戦を重んじる企業風土の下、現状に満足することなく、新しい成功モデルの構築に取り組み、実績を積み上げている。
足下ではホテル事業の成長が注目される。23/3期は日本国内における移動制限の影響や外国人の入国規制の影響が縮小したことに加え、前期に新規開業したホテルの稼働率向上により、大幅な増収増益となった。24/3期も国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復、新規開業及びM&Aで取得したホテルの貢献もあり成長を継続。
中でも、21年5月に取得し、8月にリニューアルオープンした道内最大級(647室)のスパ・リゾートホテル「定山渓ビューホテル」は、国内外からの顧客の増加が見込まれる北海道で多数の賞を受賞する等同事業を大きく牽引するものと同社では考えている。
③ポートフォリオ経営による安定的な収益性と成長性
同社を特徴づけるもう一つの側面が、通信販売で培った経営資源を有効活用し多角的に事業を展開することで、安定的な成長性、収益性を実現する「ポートフォリオ経営」というビジネスモデル。
これによって、社会情勢や経済動向といった環境変化のリスクを分散しつつ、それぞれの事業が一つ一つの柱としてその強みを発揮するとともに、事業間の相乗効果を生み出して安定した収益性、成長性を実現している。
【1-5 サステナビリティ】
主要実践項目(マテリアリティ)の達成に向けた取組みを強化。グループの価値向上に取り組むとともに、環境負荷の軽減に努め、社会への価値を提供しつづけることで、持続可能な社会の実現に貢献していく考え。
また、7つの主要実践項目を設置し、サステナビリティに関連する取り組みを実行する。
(同社資料より)
【1-6 ROE分析】
| 17/3期 | 18/3期 | 19/3期 | 20/3期 | 21/3期 | 22/3期 | 23/3期 | 24/3期 |
ROE (%) | 7.0 | 10.9 | 10.8 | 5.8 | 10.3 | 8.8 | 6.1 | 4.5 |
売上高当期純利益率(%) | 3.97 | 5.98 | 5.82 | 3.26 | 5.34 | 4.64 | 3.49 | 2.80 |
総資産回転率(回) | 0.86 | 0.86 | 0.87 | 0.81 | 0.87 | 0.89 | 0.79 | 0.71 |
レバレッジ(倍) | 2.06 | 2.12 | 2.13 | 2.22 | 2.21 | 2.14 | 2.21 | 2.25 |
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
第5次経営計画の最終年度となる25年3月期にROE8.0%を目標とする。
2.2025年3月期上期決算概要
【2-1 連結業績概要】
| 24/3期 上期 | 構成比 | 25/3期 上期 | 構成比 | 前年同期比 | 計画比 |
売上高 | 96,105 | 100.0% | 97,127 | 100.0% | +1.1% | -0.9% |
売上総利益 | 58,935 | 61.3% | 59,714 | 61.5% | +1.3% | - |
販管費 | 55,839 | 58.1% | 56,114 | 57.8% | +0.5% | - |
営業利益 | 3,095 | 3.2% | 3,570 | 3.7% | +15.3% | +2.0% |
経常利益 | 4,325 | 4.5% | 4,143 | 4.3% | -4.2% | +3.6% |
四半期純利益 | 3,263 | 3.4% | 2,565 | 2.6% | -21.4% | -8.4% |
*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。
増収・営業増益
売上高は前年同期比1.1%増の971億円。プロパティ事業が同12.1%の増収、主力のアパレル・雑貨事業やデータベース活用事業等も増収となり、化粧品健康食品事業や呉服関連事業の減収をカバーした。
営業利益は同15.3%増の35.7億円。売上総利益率は0.2ポイント上昇、販管費の増加を抑えて営業利益率が前年同期3.2%から3.7%へ改善した。営業外で為替差益が減少、支払利息は増加し、経常利益は同4.2%減の41.4億円。有価証券売却益が減少したことにより四半期純利益は同21.4%減の25.6億円。
上期末配当は会社予想通り、前年同期から4.25円/株増配の14.50円/株を実施。
【2-2 セグメント別動向】
| 24/3期 上期 | 構成比 | 25/3期 上期 | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 |
|
|
|
|
|
プロパティ・ホテル事業 | 14,845 | 15.4% | 16,649 | 17.1% | +12.1% |
化粧品健康食品事業 | 7,446 | 7.7% | 6,751 | 7.0% | -9.3% |
グルメ事業 | 12,705 | 13.2% | 12,692 | 13.1% | -0.1% |
ナース関連事業 | 6,730 | 7.0% | 6,641 | 6.8% | -1.3% |
グロース領域計 | 41,726 | 43.4% | 42,733 | 44.0% | +2.4% |
呉服関連事業 | 10,395 | 10.8% | 10,107 | 10.4% | -2.8% |
アパレル・雑貨事業 | 34,822 | 36.2% | 35,366 | 36.4% | +1.6% |
その他の事業 | 1,330 | 1.4% | 1,270 | 1.3% | -4.5% |
サステナブル領域計 | 46,547 | 48.4% | 46,743 | 48.1% | +0.4% |
データベース活用事業 | 8,204 | 8.5% | 8,293 | 8.5% | +1.1% |
調整 | -376 | - | -646 | - | - |
合計 | 96,105 | 100.0% | 97,127 | 100.0% | +1.1% |
営業利益 |
|
|
|
|
|
プロパティ・ホテル事業 | 1,791 | 12.1% | 2,793 | 16.8% | +55.9% |
化粧品健康食品事業 | 405 | 5.4% | 98 | 1.5% | -75.7% |
グルメ事業 | -99 | - | 56 | 0.4% | - |
ナース関連事業 | 374 | 5.6% | 314 | 4.7% | -16.0% |
グロース領域計 | 2,471 | 5.9% | 3,261 | 7.6% | +32.0% |
呉服関連事業 | -193 | - | -399 | - | - |
アパレル・雑貨事業 | -1,340 | - | -1,543 | - | - |
その他の事業 | -183 | - | -299 | - | - |
サステナブル領域計 | -1,716 | - | -2,241 | - | - |
データベース活用事業 | 2,547 | 31.0% | 2,559 | 30.9% | +0.5% |
調整 | -205 | - | -10 | - | - |
合計 | 3,095 | 3.2% | 3,570 | 3.7% | +15.3% |
*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。
売上高・営業利益の増減分析
(同社資料より)
◎プロパティ・ホテル事業
増収、大幅増益。
国内ホテル事業においては、国内旅行需要やインバウンド需要が増加したことなどにより大幅な増収増益。国内リゾート型ホテルにおいては、酷暑の影響から特に北海道エリアのホテルにおいて国内旅行需要が旺盛であったことやリニューアル工事を行ったことにより客室単価が上昇した。また、競合他社が人手不足で苦戦する中、同社の強みである外国人人材の補充により高稼働を維持することが出来た。国内都市型ホテルにおいては、札幌や銀座、京都、大阪とインバウンドに人気のエリアに立地していることもあり客室単価や稼働率が上昇した。海外ホテル事業においては、スリランカの首都コロンボにある大型ホテルが開業3年目となりブランド認知も定着してきたことなどにより増収増益となった。
◎化粧品健康食品事業
減収減益。
化粧品通販事業では、新規顧客の獲得数は増加に転じた。一方で、定期コースの売上が減少したことなどにより減収減益。健康食品通販事業においては、インフォマーシャルを中心に新規顧客の獲得強化を図ったものの計画には届かず、減収減益となった。
◎グルメ事業
微減収増益。
サービスレベル向上のためにシステムを刷新したことにより電算費が上昇した。一方で、媒体発行数等の広告宣伝費の見直しや商品価格の見直しにより売上に対する経費比率が改善したことなどにより減収増益となった。
◎ナース関連事業
減収減益。
看護師向け通販事業においては、円安の進行や原材料・資材の高騰を受け仕入原価が上昇したため、収益性を重視し一部販売経路において商品価格の見直しや媒体発行数の抑制を行ったが、減収減益となった。
◎呉服関連事業
減収減益。
和装販売事業においては、前期から今期に実施した不採算店舗の閉店に伴う稼働顧客数の減少などにより減収減益となった。(株)BANKANわものやにおいては、ローコストオペレーションの推進により引続き収益性の改善が図られた。衣裳レンタル事業においては、同業他社の撤退により卒業式袴レンタルの受注が大幅に増加し、それに伴う経費が増加したことなどにより、増収減益となった。
◎アパレル・雑貨事業
増収減益。
円安の進行や原材料・資材価格の高騰を受け仕入原価が上昇したため、広告宣伝費の抑制を行った。商品価格にメリハリをつけたことや商品力強化に注力したことなどによりレスポンス率は改善し、新規顧客数ならびに稼働顧客数は増加した。
◎その他の事業
減収減益。
アパレル卸売事業においては、クライアント各社の展開縮小が継続していることや在庫処分を前倒しで行ったことなどにより減収減益となった。旅行代理店事業においては、成長性を優先し積極的に広告宣伝を行ったことなどにより増収減益となった。
◎データベース活用事業
増収増益。
封入・同送サービス事業においては、アパレル・雑貨通販事業における媒体発行数が減少したものの、既存クライアントへの営業強化が功を奏したことや新サービスを展開したことなどにより増収増益となった。フルフィルメント受託サービス事業においては、新規クライアントの獲得は順調であったものの、既存クライアントの売上減少や人件費等の上昇などにより減益となった。ファイナンス事業においては、新規顧客が効率的に獲得できたため増収増益となった。
【2-3 財務状態とキャッシュ・フロー(CF)】
◎主要BS
| 24年3月末 | 24年9月末 | 増減 |
| 24年3月末 | 24年9月末 | 増減 |
流動資産 | 129,961 | 133,372 | +3,411 | 流動負債 | 59,206 | 67,775 | +8,569 |
現預金 | 35,842 | 39,422 | +3,580 | 仕入債務 | 16,616 | 17,940 | +1,324 |
売上債権 | 10,570 | 9,902 | -668 | 短期有利子負債 | 18,105 | 26,988 | +8,883 |
たな卸資産 | 27,584 | 30,327 | +2,743 | 固定負債 | 105,302 | 102,468 | -2,834 |
固定資産 | 170,730 | 173,015 | +2,285 | 長期有利子負債 | 98,568 | 95,893 | -2,675 |
有形固定資産 | 136,909 | 137,155 | +246 | 負債合計 | 164,509 | 170,243 | +5,734 |
無形固定資産 | 10,893 | 12,269 | +1,376 | 純資産 | 136,182 | 136,144 | -38 |
投資その他 | 22,927 | 23,589 | +662 | 利益剰余金 | 112,545 | 114,119 | +1,574 |
資産合計 | 300,691 | 306,387 | +5,696 | 負債純資産合計 | 300,691 | 306,387 | +5,696 |
*単位:百万円。仕入債務に電子記録債務を含む。
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
現預金やたな卸資産の増加により資産合計は前期末比56億円増加の3,063億円となった。長期有利子負債の増加等で負債合計は同57億円増加の1,702億円。その他有価証券評価差額金の減少等で純資産は同微減の1,361億円。この結果、自己資本比率は前期末から0.9ポイント低下し44.1%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 24/3期 上期 | 25/3期 上期 | 増減 |
営業CF | 1,714 | 5,568 | +3,854 |
投資CF | -6,065 | -6,495 | -430 |
フリーCF | -4,351 | -927 | +3,424 |
財務CF | 5,184 | 3,637 | -1,547 |
現金同等物残高 | 33,483 | 40,186 | +6,703 |
*単位:百万円
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
その他流動資産の減少額の縮小や仕入債務が増加したことなどにより営業CFの増加し、フリーCFのマイナス幅が大きく縮小した。
長期借入れによる収入の減少などで財務CFのプラス幅は縮小。キャッシュポジションは上昇した。
3.2025年3月期業績見通し
【3-1 通期業績予想】
| 24/3期 | 構成比 | 25/3期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 208,298 | 100.0% | 217,000 | 100.0% | +4.2% |
営業利益 | 9,787 | 4.7% | 11,500 | 5.3% | +17.5% |
経常利益 | 11,831 | 5.7% | 12,500 | 5.8% | +5.6% |
当期純利益 | 5,839 | 2.8% | 8,000 | 3.7% | +37.0% |
*単位:百万円。予想は会社側発表。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
25/3期は前期比4.2%増収、17.5%営業増益を予想
通期予想に修正はなく、25/3期は、売上高が前期比4.2%増の2,170億円、営業利益は同17.5%増の115億円を見込む。インバウンド需要の更なる拡大を好機と捉え、ホテル展開を軸としたプロパティ事業を重要な成長ドライバーと位置づけ注力する。加えて、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業といった消費マインドの影響を受けにくい専門的事業領域の成長を優先し安定的な拡大を進める。アパレル・雑貨事業では開発顧客数を適正水準に戻し、リピート率も回復させることで事業規模と効率を改善し早期黒字化を目指す。
期末配当も修正なく前期比4.25円/株増配となる14.50円/株を予定。通期では、前期比8.50円/株増配となる29.00円/株。予想配当性向は35.1%。
以下、セグメント別の予算。
プロパティ・ホテル事業が牽引役。多くの事業で増収増益を見込む。
| 24/3期 | 構成比 | 25/3期(予) | 構成比 | 前期比 | |
売上高 |
|
|
|
|
| |
グロース領域 | 921.4 | 44.2% | 975.9 | 45.0% | +5.9% | |
プロパティ・ ホテル事業 | ホテル | 262.8 | 12.6% | 307.3 | 14.2% | +16.9% |
インカム・太陽光 | 57.3 | 2.8% | 58.7 | 2.7% | +2.4% | |
小計 | 320.1 | 15.4% | 366.0 | 16.9% | +14.3% | |
専門通販 事業 | 化粧品・健康食品事業 | 147.2 | 7.1% | 148.3 | 6.8% | +0.7% |
グルメ事業 | 324.4 | 15.6% | 328.9 | 15.2% | +1.4% | |
ナース関連事業 | 129.8 | 6.2% | 132.6 | 6.1% | +2.2% | |
小計 | 601.3 | 28.9% | 609.9 | 28.1% | +1.4% | |
サステナブル領域 | 1,001.8 | 48.1% | 1,042.6 | 48.0% | +4.1% | |
呉服関連事業 | 232.5 | 11.2% | 235.9 | 10.9% | +1.5% | |
アパレル・雑貨事業 | 742.5 | 35.6% | 778.3 | 35.9% | +4.8% | |
その他事業 | 26.8 | 1.3% | 28.4 | 1.3% | +6.0% | |
データベース活用事業 | 167.3 | 8.0% | 165.4 | 7.6% | -1.1% | |
調整 | -7.5 | - | -14.0 | - | - | |
合計 | 2,082.9 | 100.0% | 2,170.0 | 100.0% | +4.2% | |
営業利益 |
|
|
|
|
| |
グロース領域 | 67.6 | 7.3% | 80.0 | 8.2% | +18.3% | |
プロパティ・ ホテル事業 | ホテル | 20.4 | 7.8% | 31.9 | 10.4% | +56.4% |
インカム・太陽光 | 22.2 | 38.7% | 21.6 | 36.8% | -2.7% | |
小計 | 42.6 | 13.3% | 53.5 | 14.6% | +25.5% | |
専門通販 事業 | 化粧品・健康食品事業 | 9.3 | 6.3% | 10.0 | 6.7% | +7.5% |
グルメ事業 | 10.9 | 3.4% | 11.3 | 3.4% | +3.7% | |
ナース関連事業 | 4.8 | 3.7% | 5.1 | 3.8% | +6.3% | |
小計 | 25.0 | 4.2% | 26.5 | 4.3% | +5.9% | |
サステナブル領域 | -19.1 | - | -11.8 | - | - | |
呉服関連事業 | 13.6 | 5.8% | 13.9 | 5.9% | +2.2% | |
アパレル・雑貨事業 | -29.9 | - | -23.1 | - | - | |
その他事業 | -2.7 | - | -2.6 | - | - | |
データベース活用事業 | 51.5 | 30.8% | 50.0 | 30.2% | -2.9% | |
調整 | -2.2 | - | -3.2 | - | - | |
合計 | 97.9 | 4.7% | 115.0 | 5.3% | +17.5% |
*単位:億円。利益の構成比は売上高利益率。
【3-2 各事業について】
≪3-2-1プロパティ・ホテル事業≫
25/3期は売上高366.0億円(前期比14.3%増)、営業利益53.5億円(同25.5%増)を目指す。
好調ホテル① GINZA HOTEL by GRANBELL(客室数102室)
上期の売上高は6億円で前年同期比57.5%増、営業利益は1億46百万円で同約14倍。
好調ホテル② 京都グランベルホテル(客室数105室)
上期の売上高は4億41百万円で前年同期比18.6%増、営業利益は1億49百万円で同24.5%増。
好調ホテル③ すすきのグランベルホテル(客室数300室)
上期の売上高は6億87百万円で前年同期比19.2%増、営業利益は2億円で同30.8%増。
好調ホテル④ 洞爺サンパレスリゾート&スパ、ザ・レイクスイート湖の栖(客室数404室)
上期の売上高は23億14百万円で前年同期比20.6%増、営業利益は5億54百万円で同133.6%増。
GINZA HOTEL by GRANBELL
| 京都グランベルホテル
|
すすきのグランベルホテル
| 洞爺サンパレスリゾート&スパ、ザ・レイクスイート湖の栖
(同社資料より) |
26/3期開業予定ホテル
■SAPPORO HOTEL by GRANBELL(25年4月開業予定、605 室)
(同社資料より)
■小樽グランベルホテル(25年7月開業予定、159室)
(同社資料より)
ベルーナグループのホテル一覧
(同社資料より)
今後は、ザ・レイクスイート湖の栖アネックス棟の新設や都心ホテルの新規展開、海外ホテルの新規展開を図る。ホテル事業売上高500億円を目指し、既存施設のバリューアップ、新規施設展開を行っていく。
≪3-2-2専門通販事業≫
25/3期は売上高609.9億円(前期比1.4%増)、営業利益26.5億円(同5.9%増)を目指す。
【化粧品健康食品事業】
上期は売上高67億51百万円(前年同期比9.3%減)、営業利益98百万円(同75.7%減)。
通期では0.7%増収、7.5%増益を見込む。
・事業概要と特色
40代~の肌悩み解消に向き合うアンチエイジングのリーディングカンパニー。
カスタマーレビューの収集力、生産背景ネットワークを持ち、商品開発のスピード感が強み。
国内市場の拡大も狙うが、国内のみならず海外市場の開拓も進める。
現在、台湾・香港・シンガポールで展開、さらに中国、マレーシア、ベトナム、タイの市場にも展開を拡大し、成長を目指す。
通販の拡大を図ると共にドラッグストア等への卸展開の拡大も進める。
【グルメ事業(グルメ)】
上期は売上高126億92百万円(前年同期比0.1%減)、営業利益56百万円(前年同期は99百万円の損失)。
通期では1.4%増収、3.7%増益を見込む。
・事業概要と特色
頒布会、食品単品、お中元・お歳暮・おせち等のギフト、花、日本酒等を販売。競合他社に比べ、ベーシックな商品ラインナップ展開。コスパ含めた単品商品力に強みあり。
日本酒通販8年連続No.1を獲得。
カテゴリを横断したブランディング、プロモーションの統一が不十分。事業横断したブランディング強化に注力する。
強みである商品力に加え、情報・コンテンツ等の付加価値、食を通してのエンターテインメントを提供し、ブランドのファンを増やし、稼働顧客数・リピート率・LTVのKPI改善を図る。
【グルメ事業(ワイン)】
・事業概要と特色
ワインLight層に向けたバラエティ豊かなセット商品提案、コストパフォーマンスに強みあり。紙発行とECを掛け合わせた販促手法を用いて入口の低さと高リピート率が特徴。
ワイン通販16年連続No.1を獲得。
(1)24年3月期で、ワイン年間1,300万本を販売
(2)ワイン以外でもウィスキー、ジン等の取り扱いも増やす
(3)前期より高級ワインブランド「ELEVIN(エレヴァン)」の販売を開始、販売実績2億円、将来的には10億円規模まで拡大を目指す。
ワイン通販圧倒的No.1を維持させ、拡大していく方針。
【ナース関連事業】
・事業概要と特色
通販を主に看護師向けBtoCビジネスを展開。
アンファミエ、ナースリーの2ブランドを合わせると看護師向け通販のマーケットシェア約60%を獲得。
圧倒的No.1の高い認知力を有する。
看護師人口増の鈍化による既存事業モデルの頭打ちのため、売上の拡大以上に収益性の拡大を目指す。
成長余地のあるBtoBモデルの拡大を目指し、訪問看護、介護施設の展開企業との提携等を進める。
≪3-2-3アパレル・雑貨事業≫
25/3期は売上高778.3億円(前期比4.8%増)、営業損失23.1億円(前期は29.9億円の損失)を目指す。
≪3-2-4データベース活用事業≫
25/3期は売上高165.4億円(前期比1.1%減)、営業利益50.0億円(同2.9%減)を目指す。
1.封入・同送サービス
クライアントのチラシをカタログ同送、商品同送で送るサービス。カタログ発行部数が重要、他通販会社の取り扱いが多数。
2受託サービス
物流業務受託、コールセンター受託事業。余剰物流センター、コールセンターの活用が図れる。
3.ファイナンス
他社との差別化を図った貸倒率の低いシニア層の獲得に注力し、計画通りの進捗。
紙媒体に比べ獲得効率の良いネットによる新規顧客獲得が好調に推移。
4.資本コストや株価を意識した経営に向けた対応
【4-1 業績の改善】
(1)25年3月期予算の達成
【4-2 資本効率を意識した経営】
(1)ROE10%以上を意識した経営
(2)収益性を期待できない事業のスクラップ
(3)シナジーがあり、将来有望な企業のM&A
【4-3 株主還元の拡充】
(1)還元方針の明示
(2)資本効率の改善を目的とした自己株式取得の検討
同社では企業価値の向上を通じた株主への利益還元を重要課題のひとつとして位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施してきた。5月には、株主期待や同社の経営成績、資本状況などを踏まえ、株主還元の拡充を図るべく、以下のとおり株主還元方針を明示した。
・株主資本配当率(DOE)1.5%を下限とし、連結配当性向35%を目途に配当実施
<配当状況>
| 1株あたり配当金(円) | 配当性向 | DOE | ||
上期末 | 期末 | 年間合計 | |||
23/3期 | 10.00 | 10.00 | 20.00 | 26.1% | 1.49% |
24/3期 | 10.25 | 10.25 | 20.50 | 33.9% | 1.48% |
25/3期(予想) | 14.50 | 14.50 | 29.00 | 35.1% | - |
<株主優待>
| 100株以上 500株未満 | 500株以上 1,000株未満 | 1,000株以上 |
通信販売優待割引券 またはベルーナネットで使用できる優待ポイント またはグルメ・ワイン・日本酒商品 | 1,000円分 | 3,000円分 | 5,000円分 |
ベルーナグループ運営(提携)施設で利用可能な優待割引券(券面額 1,000 円) | 2 枚 | 6枚 | 10枚 |
*ホテルでの宿泊・ディナー(ランチや日帰り温泉は使用不可)、飲食店でのディナー(ランチは使用不可)、小幡郷 GC の土・日曜日のプレーフィーに使用可能。一部施設について優待割引券対象外となる可能性がある。
・資本効率の改善を目的とした自己株式取得の検討
【4-4 投資家との対話の拡充】
(1)中間、期末決算説明会の実施に加え、1Q・3Q決算のアナリスト向け説明会実施
5.今後の注目点
上期は引き続きプロパティ事業が牽引して増収、2桁営業増益。プロパティ事業の営業利益の通期計画に対する進捗率は87.6%に達しており、足元の訪日外国人の勢いが衰えていないことを考慮しても大きく上回るだろう。上期の売上構成比は17.3%(前上期15.5%)に上昇しており、利益率の高い同事業の売上構成比が増すにつれて利益貢献も大きくなるため、中期的な増益基調への貢献が期待できる。同様に利益率の高いデータベース活用事業は、25/3期は減収減益見通しだが、引き続き今後の展開にも注目したい。一方、アパレル・雑貨事業が上期の損失が拡大しており課題となっている。重衣料の販売が増加する下期は利益になるものの、上期の損失は賄えない見通し。新規獲得とともに効率化も進めることなどにより黒字体質にしたいところである。また、今上期は化粧品健康食品事業が減収減益となっており、課題を残した。
期初には資本コストや株価を意識した経営に向けた対応を発表するとともに株主還元も拡充させている。PBRが1倍を大きく割り込みPERも低位にある現在の株価水準は、急速に成長するプロパティ事業の動向を考慮すると割安と見ている。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 8名、うち社外3名 |
監査等委員 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年6月28日
<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、取締役会が決定した方針のもと、執行役員が担当業務を執行する権限と責任を持つことで迅速化を図るとともに、経営の公正性及び透明性を高めることによりコンプライアンス体制、効率的な経営体制の確立を実現することにあります。また、社外の有識者も参加するコンプライアンス委員会を設置し、権限を付与することによって第三者の視座が経営判断に反映される体制を構築しております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則について、全て実施しております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。
原則 | 開示内容 |
《原則1-4》 | 当社は、取引先株式の政策保有については、取引先との良好な取引関係を構築し、事業の円滑な推進を目的とし、主として取引先からの保有要請を受け、保有することがあります。 なお、取引関係の強化によって得られる当社グループの利益やリスク、投資額等を総合的に勘案して投資可否については判断しております。なお、当社グループが保有する取引先の株式につきましては、個別銘柄ごとに当初の株式取得目的と現在の取引金額及び取引内容等の経済合理性を検証し、その結果、当該株式の保有意義が希薄化した場合には、当該企業の状況を勘案したうえで売却により縮減を図ります。また議決権行使については提案されている議案について株主価値の毀損につながるものではないかを確認し、投資先企業の状況等を勘案し、決定しております。 |
《補充原則2-4-①》 | 女性管理職比率 16.9%(2024年3月末時点) 中核人材については、ジェンダー、国籍、新卒・中途採用によらず有能な人材を登用するようにしております。 人材育成に対する考え方や女性の活躍等を当社ホームページに記載しております。 人材育成における考え方 https://www.belluna.co.jp/csr/employee/#emp01 女性の活躍を応援 https://www.belluna.co.jp/csr/employee/#emp02 |
《原則3-1》 | (ⅰ)経営理念、事業戦略、経営計画等を当社ホームページや決算説明資料に掲載しております。 経営理念 https://www.belluna.co.jp/company/policy/ 事業戦略 https://www.belluna.co.jp/irinfo/policy/manage/ (ⅱ)コーポレート・ガバナンスの基本方針を当社ホームページおよび有価証券報告書に記載しております。 コーポレート・ガバナンスの基本方針 https://www.belluna.co.jp/irinfo/policy/governance/ (ⅲ)取締役の報酬等については、株主総会で決議されたそれぞれの報酬総額の限度内で、監査等委員を除く取締役については、個々の取締役の職責および実績をベースに、経営内容や経済情勢等を勘案し、独立社外取締役を委員長とし、過半数が独立社外取締役により構成される指名報酬委員会の答申を踏まえて決定して参ります。また、監査等委員である取締役については監査等委員である取締役の協議によって決定しております。 (ⅳ)社外取締役の選任については、社外役員の独立基準を参考にして決めており、その基準は有価証券報告書にて開示しております。また、取締役候補者の選任については、経営判断能力や経営執行能力に優れていること、法令および企業倫理の遵守に徹する見識を有すること等を総合的に判断して決定しております。経営陣幹部の解任の方針と手続について、経営陣幹部がその機能を十分発揮していないと認められる場合、独立社外取締役に対して取締役会に先立ち解任理由等の説明を行い、適切な助言を得たうえで取締役会にて決議し、株主総会に付議することとしております。 (ⅴ)新任候補者、社外取締役候補者の選解任理由については株主総会招集通知にて開示しております。 |
《補充原則3-1-③》 | 当社は、「お客様の衣食住遊を豊かにする」という経営理念の下、事業活動を通じてお客様の生活と幸せの向上に貢献できる企業を目指して参ります。 そのために、当社グループでは社内横断的な検討・推進組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。今後、この委員会を中心に、対応すべき課題を明確にし、持続可能な社会の実現に向けた活動を加速して参ります。 サステナビリティについての取組み内容及びTCFDに基づく開示の詳細は、当社ホームページにて開示しております。 https://www.belluna.co.jp/csr/environment03/ |
【原則5-1】 | 当社は、株主や投資家からの面談申込みは積極的に受け入れております。またこれ以外にも年2回の決算説明会の実施と資料の開示、また株主構成を鑑み、個人投資家向け会社説明会、海外カンファレンスへの参加を実施しております。 |
本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。 Copyright(C) Investment Bridge Co., Ltd. All Rights Reserved. |
ブリッジレポwww.bridge-salon.jp/ート(ベルーナ:9997)のバックナンバー及びブリッジサロン(IRセミナー)の内容は、 でご覧になれます。
| 同社の適時開示情報の他、レポート発行時にメールでお知らせいたします。 |
| ブリッジレポートが掲載されているブリッジサロンに会員登録頂くと、株式投資に役立つ様々な便利機能をご利用いただけます。 |
| 投資家向けIRセミナー「ブリッジサロン」にお越しいただくと、様々な企業トップに出逢うことができます。 |