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(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

プライム

ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ 2025年6月期第1四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

川上 晃司 社長

株式会社インテリジェント ウェイブ(4847)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

情報・通信

代表者

川上 晃司

所在地

東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー

決算月

6月

HP

https://www.iwi.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

985円

26,340,000株

25,944百万円

15.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

35.00円

3.6%

60.50円

16.3倍

352.26円

2.8倍

*株価は11/11終値。各数値は24年6月期決算短信、および25年6月期第1四半期決算短信より。発行済株式数は自己株式を含む。

 

非連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年6月(実)

11,187

1,130

1,171

840

31.98

13.00

2022年6月(実)

11,493

1,519

1,556

1,055

40.16

17.00

2023年6月(実)

13,374

1,556

1,603

1,165

44.34

20.00

2024年6月(実)

14,158

2,030

2,072

1,420

54.19

40.00

2025年6月(予)

16,000

2,250

2,290

1,590

60.50

35.00

* 予想は会社予想。単位:百万円。

 

 

(株)インテリジェント ウェイブの2025年6月期第1四半期決算概要などについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2025年6月期第1四半期決算概要
3.2025年6月期業績予想
4.中期経営計画(25/6期-27/6期)
5. 今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 25/6期1Qの売上高は前年同期比12.2%増の35億42百万円。主力の決済領域は堅調に推移し、セキュリティ領域は大手顧客への製品導入等があり大幅増収。クラウドサービスも大きく伸びたことにより2桁増収となった。顧客別では、最大手DNPはセキュリティ関連の売上が増加。システム開発会社では、クレジットカード会社向け大型案件の売上があった。カード会社は、FEP・不正検知分野を中心に堅調に推移。営業利益は同15.3%増の3億4百万円。売上総利益については、システム開発や保守の粗利率は堅調に推移したが、クラウドサービスにおいてインフラ費用が増加。販管費は、コストの最適化により抑制し、営業利益率は前年同期8.3%から8.6%に向上した。四半期ベースでは、前四半期比では減収減益だが例年1Qは低い水準からのスタート。前年同期比2桁増収増益だったことから堅調なスタートといえよう。

     

  • 通期予想は修正なし。25/6期は売上高が前期比10.2%増の160億円、営業利益は同10.8%増の22億50百万円の予想。決済領域はFEPや不正検知の分野において、主にクラウドサービスの売上が増加する見通し。セキュリティ領域についても大手顧客への製品導入等により大幅増収を見込む。利益面では、多角化を進めていくにあたり収益基盤の強化に取組み、決済を中心とした既存事業の効率化やコストの最適化、製品・サービスの提供価値に見合った価格改定等を進めていく考え。配当も修正なく、35.00円/株(うち上期末15.00円/株)を予定。予想配当性向は57.9%。

     

  • 25/6期1Qはきっちり2桁増収増益を確保した。上期予想に対する進捗率は売上高で47.2%、営業利益で35.4%にとどまっているが1Qの進捗率が低いのは例年と同様、引き続き業績予想は保守的と見ている。むしろ目を引くのは受注動向。1Qも高水準の受注を獲得し、受注残が着実に積み上がっている。今期からスタートした新たな中期経営計画では26/6期に売上があまり伸びない計画になっている。しかし、足元の受注状況を鑑みると目標数値にはかなり上乗せ余地がありそうだ。1Qの好決算を受けて株価は上昇したものの、中期計画の目標数値も鑑みるとかなり割安感がある。

     

1.会社概要

クレジットカード決済等のオンラインシステムに利用される金融フロントシステムで国内シェアNo.1のソフトウェア開発会社。
金融フロントシステムは、店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行う。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。
地銀やノンバンク等向けに金融フロントシステムやカード不正利用検知システムのクラウドサービスも伸びている。営業面では、筆頭株主として議決権の50.73%を保有する大日本印刷(DNP、コード7912)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。

 

【経営理念 : 次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する】

ネットワークゲートウェイ専門会社として、社員一人ひとりが、進取の気性を持った技術者集団としてあり続ける事で、次世代の新たなキラーシステムを創出し、次の30年を見据えた成長の軌跡を描いていく。そのためには、性別や国境にとらわれない多様な価値観が生み出すエネルギーが必要不可欠というのが同社の考え。また、常に新しい事に挑戦し、働きがいのある企業風土を作りあげる事で、社会における同社の企業価値も高めていく。
カード決済に不可欠な機能を提供するシステムの開発や運用を担う同社は、どのような事業環境になっても業務の継続が求められる。同社に受け継がれている「止まらないシステム」を追求する思想は、IT基盤の構築やセキュリティ機能の向上を支える技術と深く結びついており、今後、あらゆる業界に幅広く浸透していく、というのが同社の考え。
企業は、社会に貢献する事がなければ存在価値がない。同社は、これまでに培ってきた技術力を進化させ、安全でストレスなく情報を取得できる仕組みを築きあげる事で、ユーザーを通じて社会全体から信頼される会社を目指している。

 

【事業内容】

金融業界を中心とした全業種の企業を主要顧客として、決済を中心に、様々なデータの受渡しに必要なシステム(ITインフラ)を開発するほか、保守、クラウドサービスなどのサービス提供、製品およびハードウェアの販売、データの利活用に係る情報セキュリティ対策、サイバーセキュリティ対策の製品の開発・販売などを手掛けている。
システム開発は、クレジットカードの決済処理を完遂するために必要なネットワーク接続やカードの使用認証等の機能をもつFEP(Front End Processing)システムの開発業務などが中心。

 

◎事業変遷
決済、金融、証券事業にはじまり、03年には情報セキュリティ事業に参入。19年からは新領域拡大、海外展開にも本格的に取り組んでいる。

(同社資料より)

 

◎キャッシュレス決済の仕組み
クレジットカードやQRコードなどのキャッシュレス決済を利用すると、複数の決済事業者のシステムを通過して決済が完了する。この決済ネットワークの接続やカード利用認証、カード不正利用検知が、同社が強みをもつ領域。

 

(同社資料より)

 

◎インテリジェントウェイブの決済事業領域
国内トップシェアの製品・サービスをもち、決済事業の領域拡大を進める。

 

(同社資料より)

 

以前はクレジットカード会社を主な顧客とする金融システムソリューション事業と一般の事業会社を主な顧客とするプロダクトソリューション事業の二つを報告セグメントとしてきたが、両事業で個別に管理していた顧客の情報を共有し営業活動を強化すると共に、セキュリティ対策技術の開発体制を強化し、新製品、新サービスの開発を促進するために、23/6期より金融業界を中心とした全業種の企業を顧客とする単一セグメントに変更した。

 

◎主要製品およびサービスの概要
16年から決済システムの自社製品(オンプレミス開発)をクラウドサービスにおいても提供し、多様な顧客のニーズに対応。
■自社製品(オンプレミス開発)
「NET+1」
店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行うためのソフトであり(ネットワーク接続機能、決済の前提となるカード認証機能、加盟店の業務を管理する機能等を有する)、専用ハードと共に提供される。この分野で圧倒的なNo.1ブランドであり、大手クレジットカード会社のネットワークへの接続で7割のシェアを有する。

 

*「ACEPlus」
偽造カード・盗難カード利用などクレジットカードや銀行口座の不正利用の検知を目的とした自社開発の不正検知システム。シェア6~7割と、豊富な実績を有する。

 

■クラウドサービス
「決済・金融」のシステム開発、クラウドサービス、セキュリティの24/6期の売上高は前期比で大幅に拡大。他社製品は、前期にFEPシステム更改に伴う大型ハードウェア販売があったため減少。

 

 

加盟店契約会社(アクワイアラー)に、各種決済ネットワーク接続や加盟店売上精算などの業務に必要な機能を一括で提供。中規模カード会社をはじめ、新たに加盟店事業に参入する地方銀行や大手事業会社(通信、小売など)などに導入している。

 

カード不正検知システム「ACEPlus」の機能をすべて搭載し、中規模カード 会社を中心に、月額利用料課金などで導入しやすいサービスとして提供。導入企業間における不正データの共有など、カード不正利用対策を強化する新サービスも順次追加している。

 

キャッシュレス決済を行う決済事業者等に、各種決済ネットワーク接続の機能を提供。決済事業者に加えて、フィンテックベンチャーなど決済業界への新規参入企業を中心に導入している。

 

■「CWAT(シーワット)」
「NET+1」や「ACEPlus」等で培ったネットワーク技術やセキュリティ技術をベースとした情報漏洩対策システム。
顧客の業務に使用されるPC 端末(エンドポイント)から、コピー、印刷、ネットワーク経由等による情報の内部からの持ち出しを監視する。
「CWAT(シーワット)」を中心に、内部情報漏洩対策、脆弱性対策、及び外部攻撃対策について、監視・検出・診断・認証と防止・阻止の切り口から各種ソリューションも提供している。クラウドサービスでも提供。

2.2025年6月期第1四半期決算概要

2-1業績概要(非連結)

 

24/6期 1Q

構成比

25/6期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

3,158

100.0%

3,542

100.0%

+12.2%

売上総利益

955

30.2%

979

27.6%

+2.5%

販管費

691

21.9%

675

19.1%

-2.4%

営業利益

263

8.3%

304

8.6%

+15.3%

経常利益

259

8.2%

304

8.6%

+17.1%

四半期純利益

175

5.6%

208

5.9%

+18.8%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*費用項目の▲は費用の増加を示す。

 

2桁増収増益、営業利益率は向上
売上高は前年同期比12.2%増の35億42百万円。主力の決済領域は堅調に推移し、セキュリティ領域は大手顧客への製品導入等があり大幅増収。クラウドサービスも大きく伸びたことにより2桁増収となった。
顧客別では、最大手DNPは暗号鍵管理システムやセキュリティ製品導入等、セキュリティ関連の売上が増加。システム開発会社では、クレジットカード会社向け大型案件の売上があった。またカード会社は、FEP・不正検知分野を中心に堅調に推移した。
営業利益は同15.3%増の3億4百万円。売上総利益は、システム開発や保守の粗利率は堅調に推移したが、クラウドサービスにおいて、インフラ基盤の移行遅延等によりインフラ費用が増加して2.5%増。販管費は、コストの最適化により抑制し2.4%減。営業利益率は前年同期8.3%から8.6%に向上した。

 

四半期ベースでは、前四半期比では減収減益だが例年1Q(7-9月)は低い水準からのスタート。前年同期比でしっかり2桁増収増益だったことから堅調なスタートといえよう。

 

◎事業領域別売上高

 

24/6期 1Q

構成比

25/6期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

3,158

100.0%

3,542

100.0%

+12.2%

決済

2,678

84.8%

2,930

82.7%

+9.4%

  FEP

1,150

36.4%

1,319

37.2%

+14.7%

  不正検知

385

12.2%

502

14.2%

+30.4%

  アクワイアリング

672

21.3%

748

21.1%

+11.3%

  その他

470

14.9%

359

10.1%

-23.5%

セキュリティ

319

10.1%

407

11.5%

+27.4%

データ通信・分析基盤

160

5.1%

204

5.8%

+27.8%

参考:クラウドサービス

592

18.7%

718

20.3%

+21.2%

* 単位:百万円

 

決済領域は、FEP分野が前期から続く既存顧客のFEPシステム更改により増加。不正検知分野は、主にクラウドサービスにおいて利用社数が増加。その他分野は、既存顧客の案件数が一時的に減少。セキュリティ領域は、大手顧客への製品導入等により増加。データ通信・分析基盤領域は、ハードウェア売上等により増加。

 

◎製品カテゴリ別売上高

 

24/6期 1Q

構成比

25/6期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

3,158

100.0%

3,542

100.0%

+12.2%

システム開発

1,596

50.5%

1,510

42.6%

-5.4%

保守

397

12.6%

398

11.2%

+0.3%

自社製品・サービス

60

1.9%

74

2.1%

+21.6%

他社製品(ハードウェア等)

191

6.0%

434

12.3%

+127.1%

クラウドサービス

592

18.7%

718

20.3%

+21.2%

セキュリティ

319

10.1%

407

11.5%

+27.4%

* 単位:百万円

 

前期から続く既存顧客のFEPシステム更改を中心に、他社製品が増加。クラウドサービスは、カード不正利用検知の利用社数が増加。セキュリティは、大手顧客への製品導入等により増加。

 

2-2 クラウドサービスの動向

売上高は前年同期比、前四半期比とも増加。カード不正利用検知の「IFINDS」のユーザー数が2社増加した。売上総利益は、インフラ基盤の移行遅延等によりインフラ費用が増加したことで今1Qはマイナスとなった。2Q以降は黒字化を見込むが、運用効率化や提供価値に見合った価格の見直しによる粗利率の改善に取り組む。受注は、水準の高かった前四半期比では減少したものの、「IFINDS」の大型案件により前年同期比では大幅に増加した。受注残高は着実に積み上がっており、100億円を突破した。

 

 

24/6 1Q

2Q

3Q

4Q

25/6 1Q

2Q

3Q

4Q

受注高

614

969

890

2,761

1,618

 

 

 

売上高

592

587

618

705

718

 

 

 

受注残高

6,717

7,098

7,371

9,426

10,326

 

 

 

売上総利益

96

84

94

75

-20

 

 

 

* 単位:百万円

 

(同社資料より)

 

2-3 受注動向

 

24/6 1Q

2Q

3Q

4Q

25/6 1Q

2Q

3Q

4Q

受注残高

12,073

13,800

13,995

16,584

18,636

 

 

 

うち、クラウド

6,717

7,098

7,371

9,426

10,326

 

 

 

受注高

4,257

5,515

4,000

6,355

5,594

 

 

 

* 単位:百万円

 

受注高・・・クラウドサービス、セキュリティは複数年契約案件を受注し、大幅増加。システム開発は、前年同期のクレジットカード会社の大型案件が減少。自社製品・サービスは、前年同期に複数年契約案件を受注。

 


(同社資料より)

 

受注残高・・・システム開発、自社サービス、クラウドサービス、セキュリティのすべての領域で受注残高が増加。システム開発は、FEP・不正検知・証券分野等の幅広い分野で増加。クラウドサービス、セキュリティは複数年契約案件により増加。

 

(同社資料より)

 

2-4 財政状態

◎要約BS

 

24年6月

24年9月

増減

 

24年6月

24年9月

増減

流動資産

9,279

8,214

-1,065

流動負債

6,806

6,370

-436

現預金

4,820

4,503

-316

買入債務

632

462

-170

売上債権

2,453

1,705

-748

前受金

4,517

4,478

-39

固定資産

7,567

7,688

+120

固定負債

818

804

-13

有形固定資産

1,297

1,276

-21

退職関連引当金

626

611

-15

無形固定資産

3,996

4,130

+133

負債合計

7,624

7,174

-449

ソフトウェア

3,119

2,981

-138

純資産

9,222

8,727

-495

投資その他の資産

2,273

2,282

+8

利益剰余金

7,419

6,970

-448

資産合計

16,847

15,902

-944

負債・純資産合計

16,847

15,902

-944

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

売上債権や現預金等流動資産が減少したこと等により、総資産は前期末比9億44百万円減少。
買入債務の減少等で負債合計は同4億49百万円減少。
利益剰余金の減少等で純資産は同4億95百万円減少。
自己資本比率は前期末より0.2ポイント上昇し、54.9%となった。

 

 

3.2025年6月期業績予想

3-1 業績予想

 

24/6期

構成比

25/6期(予)

構成比

前期比

売上高

14,518

100.0%

16,000

100.0%

+10.2%

営業利益

2,030

14.0%

2,250

14.1%

+10.8%

経常利益

2,072

14.3%

2,290

14.3%

+10.5%

当期純利益

1,420

9.8%

1,590

9.9%

+11.9%

* 単位:百万円

 

25/6期は2桁増収増益を見込む
通期予想は修正なし。25/6期は売上高が前期比10.2%増の160億円、営業利益は同10.8%増の22億50百万円の予想。
決済領域は、FEPや不正検知の分野において、主にクラウドサービスの売上が増加する見通し。セキュリティ領域についても大手顧客への製品導入等により、売上が大幅に増加する見込み。利益面では、多角化を進めていくにあたり収益基盤の強化に取組み、決済を中心とした既存事業の効率化やコストの最適化、製品・サービスの提供価値に見合った価格改定等を進めていく考え。
上期予想も修正なく、以下のとおり。

 

上期業績予想

 

24/6期 上期

構成比

25/6期 上期(予)

構成比

前年同期比

売上高

6,946

100.0%

7,500

100.0%

+8.0%

営業利益

852

12.3%

860

11.5%

+0.9%

経常利益

859

12.4%

880

11.7%

+2.3%

当期純利益

584

8.4%

610

8.1%

+4.3%

* 単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

配当は前期比5.00円/株減配の35.00円/株(うち上期末15.00円/株)を予定。予想配当性向は57.9%。なお、24/6期から配当性向を4割から5割程度に方針変更している。

 

3-2 製品カテゴリ別売上高予想

 

24/6期

25/6期(予)

前期比

売上高

14,518

16,000

+10.2%

システム開発

7,009

7,340

+4.7%

保守

1,630

1,590

-2.5%

自社製品・サービス

386

560

+45.1%

他社製品(ハードウェア等)

1,428

1,010

-29.3%

クラウドサービス

2,504

3,400

+35.8%

セキュリティ

1,558

2,100

+34.8%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

4.中期経営計画(25/6期-27/6期)

4-1 目指すべき価値観  新たなミッション・ビジョン・バリュー

(同社資料より)

 

4-2 目指す姿

新ビジョン「人々の生活に価値をもたらし新たな信頼性を創造する」ことで、事業を通じた持続可能な社会への貢献を目指す。これを実現する経営基盤強化のため、3つの“変革”に取り組む。

 

(同社資料より)

 

4-3 全社戦略

(1)決済領域は、独自のプロダクトや決済業界におけるポジションを活かし事業領域を拡大することで持続的な成長を図る
(2)セキュリティ領域を第二の柱へと成長させる
(3)コア技術を活用した、データ通信・分析基盤領域を、成長市場へ展開し、決済やセキュリティに続く、第三の柱を創出する
(4)DNPグループとの連携を進め、それぞれの顧客基盤を活用しながら 事業競争力を強化、グループ・シナジーを創出する

 

 

4-4 基本方針

2030年代の市場環境に向け、新たな信頼性を創造する製品・サービスを開発し続けていくため、「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力する。

 

(同社資料より)

 

4-5 事業領域区分の再定義

従来の事業領域別売上高を、提供する機能別に再編。また同社のコア技術である「データ通信・分析基盤」を活用したビジネスの売上高を分離し、新規事業の早期確立を目指す。
①クラウドサービスは、4つのサービスを、提供する機能に分けて計上
②従来、「決済・金融」内で計上していた証券と新領域ビジネス(放送等)の売上は、「データ通信・分析基盤」に計上
③決済、セキュリティ領域における新規ビジネスは、各事業領域内で計上

 

(同社資料より)

 

4-6 経営目標

 

24/6期 実績

25/6期 予想

26/6期 計画

27/6期 計画

売上高(売上成長率)

14,518(8.5%)

16,000(10.2%)

17,000(6.3%)

19,000(11.8%)

決済

12,152

12,950

13,700

14,600

セキュリティ

1,558

2,100

2,250

2,800

データ通信・分析基盤

808

950

1,050

1,600

営業利益

2,030

2,250

2,400

2,850

営業利益率

14.0%

14.1%

14.1%

15.0%

ROE

15.8%

17.0%以上

* 単位:百万円

 

この3年間は、多角化に向けた収益基盤の強化期間と位置づけ、持続的な成長と変革を実現し、2030年に向けた事業拡大を目指す。

 

4-7-1 領域別戦略(決済) 業界横断型の不正対策

加盟店からイシュアまで決済業界のあらゆるプレーヤーと共創し、国内全体の不正被害低減に向けた活動を同社が先導して、業界横断型不正対策スキームを構築していく。

国内カード業界全体の不正対策は、イシュア向けACEPlus、IFINDSだけでなく、加盟店向けの不正検知システムや3Dセキュア等により各所で対策が行われており、不正抑止は業界各所での重層的な対策が求められている。

 

(同社資料より)

 

4-7-2 領域別戦略(セキュリティ)  CWAT、CWATクラウドとSOCサービス

販売ターゲットを絞りニーズに即した機能開発、CWAT拡販を推進。他社との共創によりセキュリティエコシステムを提供し、SOC、CSIRTのノウハウを蓄積することで、同社独自の強みを創造する。

 

(同社資料より)

 

4-7-3 領域別戦略(データ通信・分析基盤) 

これまで開発した市場系、放送系、DX関連の製品群のほか、新たな事業の柱を創出するため、コア技術を活かした新規ソリューションの開発を進める。

 

(同社資料より)

 

4-8 非財務領域

人の可能性を最大限に引き出し、あらゆるステークホルダーと「共創」することで、IWIらしい価値の創出を実現させる。

 

(同社資料より)

 

4-9 中長期成長目標

2030年代に向けて、売上高300億円規模、営業利益率18%以上を目指す。

 

(同社資料より)

 

 

(同社資料より)

 

 

5.今後の注目点

25/6期1Qはきっちり2桁増収増益を確保した。前回レポートでは「まずは中期経営計画初年度である25/6期のスタートダッシュに期待したい」としたが期待通りの1Qだったといえよう。上期予想に対する進捗率は売上高で47.2%、営業利益で35.4%にとどまっているが1Qの進捗率が低いのは例年と同様、前年同期実績ベースの進捗率はそれぞれ45.5%、30.9%であった。引き続き業績予想は保守的と見ている。むしろ目を引くのは受注動向。1Qも高水準の受注を獲得し、受注残が着実に積み上がっている。受注については期待以上であったといえるだろう。逆に受注をこなせるのか不安に思ってしまうほどである。今期からスタートした新たな中期経営計画では26/6期に売上があまり伸びない計画になっている。しかし、足元の受注状況を鑑みると目標数値にはかなり上乗せ余地がありそうだ。
1Qの好決算を受けて株価は上昇したものの、PERは16倍にとどまる。25/6期予想が保守的であることが1Qの実績で顕在化、中期計画の目標数値も鑑みるとかなり割安感がある。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

5名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年9月26日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめとする様々なステークホルダーに対し、経営の透明性と公正性の確保、迅速・果断な意思決定を行う経営体制を整えていくことが、コーポレート・ガバナンスの基本であると認識しております。企業価値の最大化とステークホルダーとの信頼関係構築に向けて、コーポ レート・ガバナンスの充実に努めています。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しています。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
<政策保有株式の縮減に関する方針・考え方>
当社は、当社の事業の拡大や関係強化を目的に政策保有株式として上場株式を保有していますが、随時に保有の適否を検証し、保有を継続することが当社及び発行会社の価値向上に貢献しないものと判断される株式については、保有を継続せず順次縮減する方針です。

 

<政策保有株式の保有の適否の検証内容>
保有する株式については、四半期ごとに発行会社の経営状況を把握し、その将来性や当社事業との関連性を評価し、保有による中長期的な経済合理性について総合的に検証します。保有によるリスクとリターンは、資本コスト等の指標も用いてなるべく具体的に検証するよう努めます。また、保有株式を売却した場合、売却に至る検証の内容を可能な限り開示することとします。

 

<政策保有株式に係る議決権行使の基準>
当社は、長期的に、当社の事業の拡大と双方の関係強化が見込まれることと、双方の企業価値の向上に資することを基本方針にして、保有株式の議決権行使を行います。また、こうした方針によって各議案についての検討を行うこととしています。
今後、政策保有の上場株式の銘柄数が著しく増加する等の事情が生じた場合は、別途議決権行使の基準を整える等の手段によって、行使の方針に沿った適切な対応をとる予定です。

 

【補充原則2-4① 多様性の確保について】
当社は、性別や国籍、年齢、障がいの有無などの属性の違いを活かし、付加価値を生み出していくため、多様な価値観を有する人材の採用を進めています。こうした多様化する社員に適合する職場環境や制度を構築することは、中長期的な成長のために必要不可欠です。
女性社員の活躍を推進するため、女性管理職、高度専門職の人数を2022年6月期の11名から2025年6月期には23名へ倍増することを目標に様々な施策の強化に取り組んでいます。女性社員同士で互いに相談しやすい環境が必要である、という考えのもと、女性社員同士によるメンター制度として、「Intelligent Women’sWave」の活動を継続し、女性社員同士が相談できる環境整備に努めています。女性特有のライフイベント時にも 将来のキャリア形成をイメージできるよう、先輩社員からのアドバイスや様々な社内制度の活用を促すことで、長期的なキャリア形成やスムーズな 育児休業からの職場復帰を支援しています。
また、海外事業を推進するチームには、若手社員を含め外国籍社員の積極的な登用をしています。彼ら彼女らが海外で培った経験や異なる価値観から生まれる多様性を活かし、海外ビジネスへの新たなチャレンジを開始しました。さらに、人事総務本部でも外国籍社員をチームに加え外国籍社員をサポートする仕組みづくりの検討を開始しています。
なお、管理職登用については、国籍や採用の形態を判断の基準にしていないため、外国人、中途採用者の管理職登用について、測定可能な目標を定めていません。
2024年6月末時点で、中途採用者は222名、うち管理職・高度専門職は56名で、全社員に占める割合は、それぞれ45.1%と11.4%です。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主や投資家の皆様との双方向の対話を実施しております。株主や投資家との対話においては、代表取締役社長が建設的な対話に向けた統括を行い、経営企画室が社内関係部署と連携のうえ、IR活動をサポートしています。対話を通じていただいたご意見は、適宜取締役会へ報告し、その内容を共有しています。
具体的な活動としては、四半期ごとに、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催し、決算説明会終了後には決算説明会動画や当日の質疑応答も含めた決算説明会書き起しをコーポレートサイトに掲載しています。また個人投資家の皆様にも、当社や当社事業への理解を深めてもらうため、個人投資家向け説明会をはじめ、各種イベント等を企画し、実施しています。
株主との対話に際しては、IRポリシーに則り適切な情報開示に努めるとともに、「インサイダー取引防止規程」に従い、インサイダー情報の管理、徹底を図り、情報漏洩防止に努めています。

 

<株主との対話の実施状況等 >
株主や投資家との個別面談については、代表取締役社長や取締役が、可能な限り直接対話をしています。2022年7月~2024年6月までの株主との個別面談件数は70件です。個別面談においては、業績、事業環境や、今後の見通し等についての確認から、中長期的な成長戦略や人的資本を中心としたサステナビリティ活動、親会社との関係性などが話題に挙がります。個別面談でいただいたご意見等は、適宜取締役会で共有し、経営の参考にしています。

 

<資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応 >
当社は、継続的な収益力の向上と事業運営の効率性を示す営業利益率と資本効率性を示すROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として事業推進を行っております。当社は、新たに策定した3ケ年中期経営計画の最終年度である2027年6月期において、営業利益率15.0%、ROE17.0%以上の達成を計画しています。また、当社の資本コストは、8.1%*と見積もっており、資本コストを上回るROEを追求することで、当社の株主価値の向上を目指します。
*CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)による。

 

 

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