ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

スタンダード

ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー 2024年6月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

村津憲一 代表取締役社長

株式会社テー・オー・ダブリュー(4767)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

サービス業

代表取締役社長

村津 憲一

所在地

東京都港区虎ノ門 4-3-13 ヒューリック神谷町ビル3F

決算月

6月

HP

https://www.tow.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

330円

40,619,344株

13,404百万円

15.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

15.00円

4.5%

35.17円

9.4倍

228.76円

1.4倍

*株価は9/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは24/6期実績、EPS、DPSは25/6期予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年6月(実)

12,209

655

698

455

10.14

12.90

2022年6月(実)

11,134

883

924

598

13.22

14.00

2023年6月(実)

11,774

1,150

1,178

355

8.61

14.40

2024年6月(実)

17,503

2,006

2,058

1,405

34.71

14.00

2025年6月(予)

18,000

2,120

2,150

1,428

35.17

15.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
* 2020年4月1日、1株を2株に分割。EPS、DPSは株式分割を反映。

 

 

(株)テー・オー・ダブリューの2024年6月期決算と2025年6月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.今後の成長に向けて
3.2024年6月期決算
4.2025年6月期業績予想
5.今後の注目点
<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>
<参考2:対処すべき課題と取り組み>

 

今回のポイント

  • 24/6期は前期比48.7%増収、74.6%経常増益。新型コロナウイルス感染症に対する政府方針の転換以降、イベント等のリアルな体験へのニーズが高まり、広告におけるプロモーション市場が活発化してきた。このような市場環境下、リアルイベントを中心に回帰の動きが本格化した。利益面では、売上総利益率が改善、販管費率が低下し営業利益率が前期9.8%から11.5%に上昇。高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製化により、高い収益力を維持した。親会社株主に帰属する当期純利益は同295.3%増。期末配当は7.00円/株を実施。年間配当は14.00円/株。

     

  • 25/6期は前期比2.8%増収、5.7%経常増益の予想。主力業種のイベント・プロモーションの堅調な受注を進める。昨年実施された自動車大型展示会の反動減があるものの、下期に万博関連業務が寄与して増収の見込み。自動車大型展示会及び万博関連を除く、通常のイベント・プロモーション売上高については約3%増を計画。利益面では、持続的な成長に向けて積極的な人的資本投資、AI・環境など強化テーマへの取組を進め、人件費及び販管費は前年を大きく上回る予定。高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製化により、高い収益力を維持・向上させる方針。さらには戦略的な費用投下を進め、経常増益を見込む。配当は、年間で15.00円/株(うち上期末7.50円/株)を予定。

     

  • 24/6期は2月および6月における2度の上方修正を経て大幅な増収増益を確保した。25/6期においても良好な事業環境が継続しそうだ。受注残高は前年比12.1%増の水準にあり、期中にさらに受注を伸ばしていけば会社予想も上回ってくるだろう。また、案件の大型化に取り組んでおり、その成果を発揮して利益率をさらに向上させたいところ。株価は伸び悩んでおり、PERは低位にとどまり配当利回りも高い。24/6期のROEは15.9%を確保しており、ROE・配当利回りがいずれも高いことを市場が認識するにつれて見直しが進むと見ている。高い利回りを維持できる配当方針に加えて、自己株式の取得も行っており、株主還元にも積極的。東証が要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について現在は「検討中」としており、今後の開示やさらなる株主還元強化にも期待したいところである。

     

1.会社概要

広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1、上場市場は東証スタンダード。記者発表会、PRイベント、展示会、文化・スポーツイベントの、企画・制作・運営を強みに事業規模を拡大。リアルで培ったプロデュース力に加え、2000年代初期からデジタル分野に取り組み、オフライン、オンラインを問わず、「体験価値(※)」をコアにしたプランニング力とプロデュース力を駆使し、「魅力的なコンテンツを創る力」と「プラットフォームを活性化する力」を発揮することで、新規顧客の獲得、既存顧客の育成・活性化につなげることに成功してきた。
顧客の成長に貢献する『TOW体験デザインモデル』の開発に取り組み、提供価値の拡張とビジネスの成長を実現し、新たな企業像として『新しい時代の体験を創る、成果をデザインするプロダクション』を目指している。
(※)体験価値とは、情緒的価値・感性的価値・機能的価値を含めて顧客心理に訴えかける価値を指す。

 

グループは同社の他、イベントの制作・運営・演出及び映像制作を手掛ける(株)ティー・ツー・クリエイティブ、および23年7月に子会社化したCM制作会社である(株)モット、23年7月に設立した色彩豊かなブランド体験を生み出すプランニグブティック(株)いろいろの連結子会社3社、及び株式追加取得により24/6期から持分法適用関連会社となったイベント会社(株)エスピー・リング東京。

 

 

【事業内容】

イベント及びプロモーションの企画から実施まで
イベント及びプロモーションは、主催者や広告主が何らかの目的(対象者に情報を発信したいとの意図)を持った時点で案件が発生する。
同社は、主催者や広告主よりその目的についての説明を受け、分析や調査を経て戦略や企画の作成に入り、その後、幾度かのミーティングを繰り返すことにより、当初の企画から基本計画、実施計画、詳細計画へと段階的に移行し、最終的には手法に応じた成果物となり、各種資料に従って準備を進め、イベント及びプロモーションを実施する。

 

同社の業務範囲
上述の企画から実施までを受注し、「分析・調査」・「戦略立案・コンセプト策定」・「企画提案」・「実施制作」・「効果検証」並びにそれに付帯する業務を行うが、それぞれの課題に応じて多くの手法がある。
リアルイベント、オンラインイベント、動画制作、SNSキャンペーン、デジタル広告運用、デジタルメディア運用、SNSアカウント運用、デジタルサービスUX設計、PR、SP等、それぞれの領域の専門業者を外注先として業務ごとに発注し、プロモーション全体をトータルにプロデュース、ディレクションすることで主催者や広告主の意図することを生活者に伝えることが同社の業務である。
なお、株式会社ティー・ツー・クリエイティブは、このうちイベントの「制作」・「運営」・「演出」を主として行っている。

 

パーパス及び経営方針
同社の普遍的な強みである「体験価値」を軸にしながら顧客・生活者・社会に貢献したい、という想いを込めてパーパスを制定。
 

(同社HPより)

 

持続的な成長及びパーパスの実現に向けて、体験デザインの進化による事業成長と人的資本をはじめとした基盤強化によってサステナビリティ経営を推進。

(同社資料より)

 

事業戦略
クライアントの拡張と領域の拡張の「2軸の拡張」による事業拡大を推進。

(同社資料より)

 

2.今後の成長に向けた取り組み

24/6期、リアルを軸にした取り組み

食品・飲料・化粧品など体験価値が重視される商材を中心にブランド体験イベントが大きく増加。

 

大型イベントのプロデュース力を活かし、自治体関連・IPコンテンツ関連業務を実施。

 

(同社資料より)

 

24/6期、リアル×デジタルの取り組み

リアルとデジタルを駆使して体験価値を最大化。

 

 

リアルとデジタルによる統合プロモーションも引き続き推進。子会社化したCM制作会社「MOTTO」との連携も進行中。

 

(同社資料より)

 

25/6期、領域の拡張に取り組む戦略
生活者と社会が急速にデジタルシフトし、リアルとデジタルの融合が加速。企業マーケティングにおいても成果の最大化を追求するために、リアルとデジタルによる統合プロモーションが求められるケースが増加。

TOWグループのリアルとデジタルを統合する強みを活かして領域の拡大を実践=体験デザインの進化

 

(同社資料より)

 

人的資本に対する取り組み

営業サポート機能の設置

労働時間の改善

社員育成の強化

●マネジメントリーダー、営業事務の配置。現業の事務作業軽減を進め、現業部門の生産性向上・業務効率化を図る

 

●労働時間の継続的な引き下げに向けて、社内及び外部コンサル含めた取り組み強化

●教育研修など社員育成への投資を拡大、外部研修やテーマ別研修等を実施

社員への還元・投資

働きやすい環境づくり

エンゲージ/健康・安全

●継続的な待遇改善(数値は単体)

・平均年収739万円(前年比+16%)

・平均年齢31.1歳

●リーダー層への

譲渡制限付株式報酬付与

・23/6期より継続的に付与、

24/6月期からは付与対象を拡充

●社員ケータリングの拡充

・朝食サービス(毎日)

・社員ランチ交流会(毎週月曜)

・社員懇親会の経費負担

●社内環境設備の拡充

●社外メンター制度

●サステナビリティサーベイの定期実施

・やりがい、働きやすさの可視化

●社員健康増進

・年齢問わずTL以上の管理職には人間ドック検診を義務付け

・女性特定検診の実施

 

25/6期、AI・テクノロジー活用への取り組み

体験デザインの質向上および業務効率化を目指して専門部署「AI推進グループ」を新設。

(同社資料より)

 

業務ツールの導入や自社チャットボットシステムの開発・導入、業務に則した実践型研修プログラムを全社員対象に開始。

 

25/6期、環境配慮への取り組み

社会やクライアントのESG意識の加速、生活者のSDGsへの関心の高まりを背景に

TOWグループでも環境配慮型イベントのプランニング及びプロデュースを引き続き強化。

(同社資料より)

 

25/6期、コンプライアンスへの取り組み

コンプライアンス

委員会の機能と運用

● 社長と全役員で構成するコンプライアンス委員会が、経営視点から重点管理項目を定め、課題と対策を実行推進

● 役員と社員で構成するビジネス・コンプライアンス委員会にて、業務の視点から対策を実行推進。全社員に向けた啓蒙・研修・eラーニングも実施

コンプライアンス

基本方針の再整備

● 「全ての行動、判断において利益よりコンプライアンスを優先する」という方針に基づいて経営と業務執行を行う

● 行動指針を細分化したコンプライアンス規定を策定中

コンプライアンス

対応組織・人員の配置

● 専門部署であるビジネスコンプライアンスグループの新設

● 新たに各現業部門に「マネジメントリーダー」を配置、業務プロセスにおける法令遵守を管理

 

 

3.2024年6月期決算

(1)連結業績

 

23/6期

構成比

24/6期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

11,774

100.0%

17,503

100.0%

+48.7%

17,300

+1.2%

売上総利益

1,900

16.1%

2,939

16.8%

+54.6%

-

-

販管費

750

6.4%

932

5.3%

+24.3%

-

-

営業利益

1,150

9.8%

2,006

11.5%

+74.4%

1,920

+4.5%

経常利益

1,178

10.0%

2,058

11.8%

+74.6%

1,950

+5.6%

親会社株主に帰属する

当期純利益

355

3.0%

1,405

8.0%

+295.3%

1,267

+11.0%

*単位:百万円。数値には株式会社インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比48.7%の増収、同74.6%の経常増益
売上高は前期比48.7%増の175億3百万円。新型コロナウイルス感染症に対する政府方針の転換以降、イベント等のリアルな体験へのニーズが高まり、広告におけるプロモーション市場が活発化してきた。このような市場環境下、主力事業であるイベント領域において、リアルイベントを中心に回帰の動きが本格化した。飲料・化粧品等を中心に街頭プロモーションが活発化、隔年開催の自動車大型展示会の開催、IPコンテンツ・行政関連の大型イベントもあり大幅な増収。
営業利益は前期比74.4%増の20億6百万円。利益面では、売上総利益率は前期16.1%から16.8%へ改善、増収効果もあり売上総利益は同54.6%増の29億39百万円。販管費率が低下したこともあり、営業利益率が前期9.8%から11.5%に上昇。高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製化により、高い収益力を維持した。持続的な成長に向けて、下期からベースアップなど戦略的な人的資本への投資、事業の成長に向けた重点テーマへの取り組み等の費用投下を開始。販管費及び売上原価に占める人件費は大きく増加したものの利益率は向上した。営業外では持分法投資利益の計上などがあり、経常利益は同74.6%増の20億58百万円。前年同期に退任役員に対する特別功労金6億47百万円を特別損失に計上した反動により、親会社株主に帰属する四半期純利益は同295.3%増の14億5百万円。
期末配当は期初の会社予想通り7.00円/株を実施。年間配当は14.00円/株。

 

カテゴリー別売上高
リアルイベントが大幅に回復、オンラインイベントも伸長

 

23/6期

24/6期

 

売上高

構成比

売上高

構成比

前年同期比

リアルイベント

6,269

53.2%

12,069

69.0%

+92.5%

オンラインイベント

1,504

12.8%

2,181

12.5%

+45.0%

オンラインプロモーション

3,723

31.6%

3,027

17.3%

-18.7%

その他

277

2.4%

225

1.3%

-18.8%

合計

11,774

100.0%

17,503

100.0%

+48.7%

*単位:百万円

 

①リアルイベント・・・前期比92.5%増の120億69百万円。リアルイベント回帰への動きが本格化し、食品・飲料、化粧品等の体験商材を中心に街頭プロモーションやインナーイベントが活性化したほか、大型展示会、行政、IPコンテンツ等の大型案件が寄与した。
②オンラインイベント・・・同45.0%増の21億81百万円。リアルとオンラインイベントのハイブリッド型イベントの増加等により大幅増収となった。
③オンラインプロモーション・・・同18.7%減の30億27百万円。SNS・動画活用プロモーション、デジタル広告等の各種オンラインプロモーション施策の引き合いは継続しているものの、案件単価の下がったことにより減収となった。
④その他・・・同18.8%減の2億25百万円。官公庁・団体からの事務局業務を受注した。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

 

23年6月

24年6月

増減

 

23年6月

24年6月

増減

現預金

5,781

8,452

+2,671

仕入債務

990

2,046

+1,055

売上債権

2,459

3,541

+1,082

短期借入金

840

840

0

未成業務支出金

233

79

-154

未払法人税等

66

611

+545

未収入金

868

40

-827

退職給付負債・役員退職慰労金

312

325

+12

前払費用

143

199

+56

負債

2,767

4,782

+2,015

流動資産

9,548

12,326

+2,777

純資産

8,427

9,302

+875

投資その他

1,454

1,497

+43

負債・純資産合計

11,194

14,085

+2,890

固定資産

1,645

1,759

+113

有利子負債合計

840

840

0

*単位:百万円。未収入金:ファクタリング方式により譲渡した売上債権の未収額

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

24/6期末の総資産は、前期末比(以下同)28億90百万円増加し、140億85百万円となった。
流動資産は、27億77百万円増の123億26百万円、主に、未収入金が8億27百万円減少、現預金が26億71百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が11億65百万円増加したこと等によるもの。
固定資産は、1億13百万円増の17億59百万円。固定資産のうち有形固定資産は、52百万円増の2億16百万円、主に、レイアウト変更等によるもの。無形固定資産は18百万円増の44百万円、主にのれんの増加等によるもの。投資その他の資産は、43百万円増の14億97百万円、主に、投資有価証券が30百万円減少、繰延税金資産が60百万円増加したこと等によるもの。
流動負債は、20億57百万円増の44億22百万円、主に、買掛金が10億48百万円、未払法人税等が5億45百万円、その他が4億71百万円増加したこと等によるもの。
固定負債は、41百万円減の3億60百万円、主に、その他が13百万円増加したが繰延税金負債が67百万円減少したこと等によるもの。
純資産は、8億75百万円増加し93億2百万円、主に、利益剰余金が8億31百万円増加したこと等によるもの。
自己資本比率は前期末比9.1ポイント減の66.0%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

23/6期

24/6期

前期比

営業キャッシュ・フロー

-717

3,395

+4,112

-

投資キャッシュ・フロー

211

-44

-256

-

フリー・キャッシュ・フロー

-505

3,350

+3,856

-

財務キャッシュ・フロー

-2,303

-678

+1,624

-

現金及び現金同等物期末残高

5,781

8,452

+2,671

+46.2%

*単位:百万円

 

上24/6期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比26億71百万円増加し、84億52百万円となった。
営業CFは33億95百万円の収入(前期は7億17百万円の支出)となった。これは主に、売上債権の増加額が10億55百万円あったが、税金等調整前当期純利益が20億55百万円、仕入債務の増加額が10億36百万円、未収入金の減少額7億52百万円あったこと等によるもの。
投資CFは44百万円の支出(前期は2億11万円の収入)となった。これは主に、会員権の取得による支出が16百万円、無形固定資産の取得による支出が12百万円あったこと等によるもの。
財務CFは6億78百万円の支出(前期は23億3百万円の支出)となった。これは主に、配当金の支払額が5億74百万円、長期借入金の返済による支出が1億4百万円あったこと等によるもの。

 

4.2025年6月期業績予想

(1)連結業績

 

24/6期 実績

構成比

25/6期 予想

構成比

前期比

売上高

17,503

100.0%

18,000

100.0%

+2.8%

営業利益

2,006

11.5%

2,120

11.8%

+5.7%

経常利益

2,058

11.8%

2,150

11.9%

+4.5%

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,405

8.0%

1,428

7.9%

+1.6%

*単位:百万円

 

25/6期は前期比2.8%増収、4.5%経常増益を見込む
25/6期は、売上高が180億円(前期比2.8%増)、営業利益21億20百万円(同5.7%増)、経常利益21億50百万円(同4.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億28百万円(同1.6%増)を計画する。
主力業種のイベント・プロモーションの堅調な受注を進める。昨年実施された隔年開催の自動車大型展示会の反動減があるものの、下期の万博関連業務が寄与して増収の見込み。なお、例年の売上構成比は上期55%程度・下期45%程度だが、25/6期は昨年開催の自動車大型展示会の反動減と下半期の万博関連業務が寄与するため、上期・下期の売上構成はそれぞれ50%の90億円を計画。また、自動車大型展示会及び万博関連を除く、通常のイベント・プロモーション売上高については約3%増を計画。利益面では、持続的な成長に向けて積極的な人的資本投資、AI・環境など強化テーマへの取組を進め、人件費及び販管費は前年を大きく上回る予定。高付加価値の提供によるフィー型業務及びグループ内製化により、高い収益力を維持・向上させる方針。さらには戦略的な費用投下を進め、経常増益を見込む。
予想配当は、連結配当性向換算で50%を上限とするという方針を一時的に撤廃し、決算発表日の前日(24年8月7日)の終値に株価配当利回り4.5%を乗じて算出された14.13円が最低配当金となるが株式市場の相場急変動を受けたことを考慮し年間で15.00円/株(うち上期末7.50円/株)とする予定。

 

(2)25/6期の進捗

24/6期の受注の進捗
主力業務のイベント・プロモーションの受注に加えて、下期の25年4月より開催予定の万博関連業務の受注もあり、24年7月末現在の受注残高は前年同期比12.1%増と堅調に推移。
* 受注残高:進行期の受注状況の進捗のこと

 

24/6期(23/7/31現在)

25/6期(24/7/31現在)

前期差

受注残高(A・B・松の合計)

6,934

7,774

+840

竹・梅の合計

1,583

2,080

+947

*単位:百万円

 

A:規模(金額)、実施時期等が決定している案件

B:受注決定だが、金額・実施時期等に不確定要素のある案件

松:同社がほぼ受注する見込みにある案件(80%以上の確度)

竹:企画・提案案件のうち、同社が受注する確度の高い案件(50%以上の確度)

梅:企画・提案中の案件

 

 

5.今後の注目点

24/6期は2月および6月における2度の上方修正を経て大幅な増収増益を確保した。期初の段階ではリアルイベントの本格回復は見通しにくい状況にあり、結果として期初の予想を大幅に上回ることとなった。25/6期においても良好な事業環境が継続しそうだ。受注残高は前年比12.1%増の水準にあり、期中にさらに受注を伸ばしていけば会社予想も上回ってくるだろう。また、広告業界のイベント・プロモーション分野で独立系No.1の同社だが案件の大型化に取り組んでおり、その成果を発揮して利益率をさらに向上させたいところ。
株価は伸び悩んでおり、PERは低位にとどまり配当利回りも高い。24/6期のROEは15.9%を確保しており、ROE・配当利回りがいずれも高いことを市場が認識するにつれて見直しが進むと見ている。
高い利回りを維持できる配当方針に加えて、自己株式の取得も行っており、株主還元にも積極的。東証が要請する「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について現在は「検討中」としており、今後の開示やさらなる株主還元強化にも期待したいところである。

 

 

<参考1:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外4名(独立社外取締役4名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書 更新日: 2023年12月25日
<基本的な考え方>

 

当社では、コーポレート・ガバナンスの意味を「企業価値の継続的な向上を目指して、経営層による適正かつ効率的な意思決定と業務執行、並びにステークホルダーに対する迅速な結果報告、及び健全かつ公正で透明性の高い経営を実現する仕組みの構築・運用」と考えております。
株主をはじめ、顧客、従業員その他のステークホルダーに対する責任を果たすとともに、当社の継続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、以下の基本方針に則って、実効性あるコーポレート・ガバナンスを実現してまいります。

 

1.株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、適切に協働する。
3.会社情報を適切に開示し、透明性を確保する。
4.取締役会による業務執行に対する監督機能の実効性を向上させる。
5.中長期的な株主の利益と合致する投資方針を有する株主との間で建設的な対話を行う。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>

 

【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)】
当社のPBRは1倍を超えており、また企業価値向上に向けた取り組みは継続して実施しておりますが、将来に向けての方針や施策については議論を重ねております。

 

【補充原則4-1-2 中期経営計画に対するコミットメント】 【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は、単年度の業績目標の達成を最重要課題としており、また事業環境の不連続性から中期経営計画の策定は現在凍結しておりますが、2021年6月期 第2四半期決算説明会において事業成長ビジョンを策定、公表しております。なお、持続的な成長を実現していくためにも、中期的な視点に立った経営ビジョンの策定や戦略立案が重要であると考えているとともに、環境変化に合わせた機動的な対応が重要であると考えております。その具体的な内容につきましては、有価証券報告書の「優先的に対処すべき課題」にも記載をしております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

 

【原則1-4 政策保有株式】
当社の純投資目的以外の投資を行う際の基本方針は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社の統合プロモーション事業におけるシナジー効果が期待されることであり、中長期的な視点で価値向上を図るために、取引先との関係強化の観点等を踏まえ、効果が見込まれると判断した場合に限り、必要最小限の上場株式を保有することとしています。
政策保有株式の議決権の行使については、適切な対応を確保するために、議案毎に、保有先企業の中長期的な企業価値の向上、当社及びグループ会社の中長期的な経済的利益の増大等の観点から総合的に判断するものとし、主要な政策保有株式については、議決権行使の状況を取締役会に報告します。

 

【原則2-3 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
【補充原則2-3-1 サステナビリティを巡る課題への対応】
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み】
【補充原則4-2-2 サステナビリティを巡る取組みに関する方針の策定】
当社取締役会は、パーパスの実現に向けてサステナビリティ課題への取り組みを行うことは経営上の重要課題として認識し、取締役会の諮問機関として設置したサステナビリティ委員会での審議・答申を行うガンバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督体制を構築いたしました。当社グループのサステナビリティ方針を「社員一人一人が創り出す体験を通じて企業課題・社会課題の解決に取り組み、持続的に成長する会社へ」とし、この方針の下、「持続可能な社会に貢献」及び「持続的な企業価値の向上」の2軸の持続可能性に鑑み、4つのマテリアリティを特定し、戦略として策定しております。その具体的な内容につきましては、有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取り組み」にも記載をしております。
https://tow.co.jp/ir/library/report/

 

【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
当社は、多様性を確保するため、中途採用者等を積極的に中核人材として登用し、取締役や執行役員に選任しております。また、女性社員の管理職への登用に関しては、2023年9月末現在で3名、全管理職の7.7%という状況であり、女性取締役も選任しております。なお、当社の方針、目標、環境整備につきましては、一般事業主行動計画を策定しており、当社ホームページに掲載しております。
https://tow.co.jp/company/plan/

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
社外取締役候補者の選任にあたっては、東京証券取引所が定める独立性基準を満たす者としています。

 

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】
当社は、定款により、取締役の員数を14名以内と定めており、2023年9月末現在8名(うち社外取締役4名)で取締役会を構成しています。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見、能力等における多様性に配慮しています。スキルマトリックスについては、株主総会招集ご通知においても開示しております。
https://tow.co.jp/wp-content/uploads/2023/08/
第47期定時株主総会招集通知及び株主総会資料.pdf

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家との双方向の建設的な対話を促進し、これにより当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた実効的なコーポレート・ガバナンスの実現をはかることを、当社の責任を果たす上での最重要課題の1つと位置付けます。このような考えに基づき、当社は以下のような施策を実施します。

 

1.株主との対話に関する担当取締役の指定
当社は、経営トップ自らが株主との対話に取り組み、管理本部長がIR実務を統括します。

 

2.社内部署の有機的な連携のための方策
当社は、IR担当部署でもあるコーポレートサービスチームが経理チームと日常的に打ち合わせや意見交換を実施しており、開示資料作成に際しても連携し、経営トップを交えて内容の検討を行っております。

 

3.個別面談以外の対話の手段の充実に関する取組み
当社は、株主総会を株主との重要な対話の場と位置付け、株主総会において、当社事業に関する十分な情報開示の確保をはじめ、株主の皆様からの信認を得られるような運営につとめます。
また、当社は、定期的に決算説明会を開催することにより、株主・投資家の皆様とのより緊密なコミュニケーションの実現につとめます。

 

4.株主の意見・懸念のフィードバックのための方策
当社は、株主・投資家との対話において把握されたご意見や当社に関する懸念を担当部署において取りまとめ、その重要性や性質に応じ、これを定期的に経営陣幹部や取締役会に報告するための体制を整備します。

 

5.インサイダー情報の管理に関する方策
当社は、株主・投資家の実質的な平等性を確保すべく、公平な情報開示につとめることを基本方針とします。当該方針に基づき、当社に関する重要情報については、適時かつ公平にこれを開示することとし、一部の株主・投資家に対してのみこれを提供することがないよう、その情報管理の徹底につとめます。

 

 

<参考2:対処すべき課題と取り組み>

対処すべき課題
◎2024年6月期における取り組み
当社グループがおかれている市場環境は、社会経済活動及び生活行動の活性化に伴い、マーケティング活動においてもリアル領域の再開が見込まれるとともに、デジタル市場においても引き続き堅調な成長をしていくと認識しております。これまでもリアル・オンラインの両領域の拡張を推進してまいりましたが、2024年6月期に向けて、当社への好影響の兆しが顕在化しております。このような環境のなか、注力する主な取り組みは以下のとおりとなります。
①リアル拡大に向けた取り組み
全国規模での体験型プロモーション、4年ぶりに開催される大型イベントや大型展示会、パーパス発信やエンゲージメント強化など各種ステークホルダーに向けたイベント等に注力してまいります。このほか、街を起点とした生活行動活性化の可能性に向けて、屋外広告会社(ケシオン社)とのアライアンスである「TOOH」など、当社の強みである体験領域を活かした更なる体験価値の向上を目指してまいります。
②オンライン領域拡張への取り組み
WEBサイト・SNS・動画・PR等を統合したキャンペーン、デジタル広告を起点に企業の事業に貢献することを目指した年間プロモーション業務、動画・SNSなど専門領域のプロデュースといったデジタル領域にも引き続き注力してまいります。また、動画を起点とする領域拡張を見込み、CM制作会社「MOTTO」を連結子会社化いたしました。これにより当社がプロデュースする統合プロモーションを一層拡張し、提供価値の向上を目指してまいります。これらのアクションにより、当社のコアビジネスであるリアル領域の本格的な回復の兆しを背景に、主力業種のイベント・プロモーションの増加を図ること、また堅調な成長が続くデジタル市場においてオンライン領域の更なる拡張を図ることによりトップラインを上げていき、売上高については前期比18.9%増の140億円を計画(期初の予想、2月に35.9%増の160億円に修正)しております。また、高付加価値の提供によるフィー型業務及び発注適正化による収益確保を引き続き推進するとともに、事業領域の拡大や当社グループの優位性及び独自性を強化するため、戦略的な人的資本への投資、事業の中長期的な成長に向けた重点テーマへの取り組み等の基盤整備のための費用投下を予定しております。

 

◎中長期的な取り組み
当社のパーパスである「新しい時代の体験を創る」の実現に向けて、持続的な成長と企業価値の向上の実現を図ってまいります。主な取り組みは以下のとおりとなります。
①重点テーマ「テクノロジー・AI」「環境」
急速な進化を続ける生活全体のデジタル化を背景としたプロモーション業務における高度化・複雑化・高速化に対応し、AIを含むデジタルテクノロジーのイベント・プロモーションへの活用を加速するほか、案件成果の可視化、業務の効率化、自社ソリューション開発などを推進し、体験領域の更なるアップデートをリードしてまいります。また、当社が策定した「サステなイベントガイドライン」をはじめとする環境配慮イベントのプロデュースなど、環境問題への対応力を強化し、企業の課題解決のみならずクライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践してまいります。
②サステナビリティへの取り組み強化
当社グループでは、クライアントビジネスを通じた社会貢献・環境貢献を実践し、持続可能な社会へ貢献すること、またそれらの業務の実践・ノウハウを通じて当社事業の成長へ還元し、持続的な企業価値向上に繋げていきます。このような考えに基づき、サステナビリティ方針を「社員一人一人が作り出す体験を通じて企業課題・社会課題に向き合い、持続的に成長する会社へ」と定め、下記の4つの重要課題に取り組んでまいります。
人材:新しい時代の体験を創る多様な人材が活躍できる会社を目指す
体験の将来性:テクノロジーを活用し、体験領域の進化をリードする
社会貢献:自社サービスの向上に取り組み、クライアントビジネスを通じて社会貢献・環境貢献を実践
コンプライアンス:企業の社会的責任を認識し、コンプライアンスを遵守する

 

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

Copyright(C) Investment Bridge Co., Ltd. All Rights Reserved.

 

ブリッジレポート(テー・オー・ダブリュー:4767)のバックナンバー及びブリッジサロン(IRセミナー)の内容は、www.bridge-salon.jp/ でご覧になれます。

 

 

 

同社の適時開示情報の他、レポート発行時にメールでお知らせいたします。

>> ご登録はこちらから

 

ブリッジレポートが掲載されているブリッジサロンに会員登録頂くと、株式投資に役立つ様々な便利機能をご利用いただけます。

>> 詳細はこちらから

 

投資家向けIRセミナー「ブリッジサロン」にお越しいただくと、様々な企業トップに出逢うことができます。

>> 開催一覧はこちらから