ブリッジレポート
(2722) 株式会社IKホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(2722)IKホールディングス 2024年5月期決算

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飯田 裕 会長兼CEO

株式会社IKホールディングス(2722)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場・名証プレミア市場

業種

小売業(商業)

代表取締役会長兼CEO

飯田 裕

所在地

愛知県名古屋市中村区名駅3-26-8 KDX名古屋駅前ビル5階

決算月

5月末日

HP

https://www.ai-kei.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

377円

8,308,000株

3,132百万円

11.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

8.00円

2.1%

38.91円

9.7倍

278.69円

1.4倍

*株価は8/15終値。各数値、発行済株式数(自己株式を含む)は、2024年5月期決算短信より。
時価総額は8/15終値×発行済株式数。ROE、BPS、PBRは2024年5月期決算短信より。数値は四捨五入。

 

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年5月(実)

20,754

705

730

321

42.60

12.00

2022年5月(実)

16,335

-360

-323

-905

-115.95

12.00

2023年5月(実)

14,179

-224

-205

-463

-60.34

0.00

2024年5月(実)

14,049

341

340

229

29.79

5.00

2025年5月(予)

15,510

400

390

300

38.91

8.00

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

 

株式会社IKホールディングスの2024年5月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年5月期決算概要
3.2025年5月期業績予想
4.今後の戦略
5.中期経営計画 IK Way to 2027
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/5期は前期比0.9%減収、販売効率を重視し媒体放映枠を削減したTVショッピングの売上減が影響した。韓国コスメの売上は大きく伸びた。営業損益は前期2億24百万円の損失から3億41百万円の利益へ黒字転換した。利益面では、原価率の低いダイレクトマーケティング事業の売上シェアが減少し売上総利益率が前期比0.4ポイント低下したものの、TVショッピングなどで広告宣伝費を圧縮させたことにより、販管費率は前期比4.4ポイント改善した。特別損失に計上する減損損失が縮小したこともあり、当期純損益は前期4億63百万円の損失から2億29百万円の利益へ大幅な改善となった。配当は会社予想通り5.00円/株の期末配当を実施。前期無配から2期ぶりの復配となる。

     

  • 25/5期は、前期比10.4%増収、17.3%営業増益を計画。中期計画達成のための重点施策として韓国コスメのブーストアップを掲げており、国内における韓国コスメの売上高No.1企業を目指す。取り扱いブランドの拡充と店舗及びECでの販売を強化する方針。また、生協マーケットを主とするセールスマーケティング事業では顧客から信頼されるベンダーを目指し、収益基盤の確立に努める。配当は前期から3.00円増配の8.00円/株を計画する。予想配当性向は20.6%。

     

  • 24/5期は各利益が3期ぶりに黒字となった。ここであえて注目したいのは、わずかに減収ながらも損益を大幅に改善させたことであろう。実績を残せたことで黒字体質をしっかり固めつつあるともいえそうだ。今後の課題はトップラインをいかに伸ばしていくかであろう。ここで牽引役として期待できそうなのが韓国コスメ。拡販は始まったばかりであり、今後は取り扱いブランド拡大と販路拡大によりさらなる収益貢献が狙えそう。長野社長は中期経営計画FY2027で目指す経営目標について「体制が整った」としたうえで、「なるべく早く達成したい」と述べており、達成への自信がうかがえる。27/5期に目指すEPSは90.78円。達成の目途がついてくれば現状株価はかなりの見直し余地が生じる。

     

1.会社概要

独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行うマーケティングメーカー。
雑貨品類・食品類・化粧品類といった商品をTVショッピング、EC、店舗を通じて直接消費者に販売する「ダイレクトマーケティング事業」、生協、通販会社、店舗、海外など多様なルートを通じて販売する「セールスマーケティング事業」、システムの開発・販売などITソリューションを提供する「ITソリューション事業」の3事業を展開。
経営理念に「ファンつくり」を掲げ、全てのステークホルダーにファンになってもらえるグループ経営を目指している。

 

◎業績動向

 

【1-1 沿革】

高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。
最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。
上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。
しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「BtoBtoC」に加え直接消費者に商品を提供する「BtoC」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。
2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。
2022年4月に、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に移行(東証は、23年10月にスタンダード市場へ移行)。
2022年12月に、株式会社IKホールディングスに商号変更し持株会社化した。

 

【1-2 経営理念】

ファンつくり

21世紀のリーディングカンパニーとなるために追及すべきことは売上高、資本金、社員数の多寡ではなく、100年先の未来を見据えたとき、出来るだけ多くの方に「ファン」になって頂くことが企業としての繁栄に繋がると考え、「アイケイに関わる全ての人たちに『ファン』になって頂く」ことを目標として、「ファンつくり」を経営理念とした。

 

【1-3 事業内容】

(1)セグメント
22/5期より同社のビジネスモデルである「マーケティングメーカー」を展開するにあたり、事業内容をより適切に表現するために事業セグメントを「ダイレクトマーケティング(旧BtoC)事業」、「セールスマーケティング(旧BtoBtoC)事業」、「ITソリューション(旧その他)事業」に変更。また、24年6月にITソリューション事業を営むアルファコム(株)を譲渡したことにより、連結の範囲から外れた。25/5期からは、「ダイレクトマーケティング事業」と「セールスマーケティング事業」の2事業となる。

 

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

ダイレクトマーケティング事業・・・小売販売
TVショッピングルート
TVショッピングでの自社開発商品の販売。多ジャンルヒット商品を生み出すことで1年を通して安定的な収益確保を目指す。
ECルート
自社ECサイトでの販売や、定期購入型やリカーリングを通したECでの販売を手掛ける。特に定期購入型の強化を行い、経常的な収益の確保を狙う。
SHOPルート
韓国化粧品ブランド「SKINFOOD」、「OLIVE YOUNG PB」、「hince」の日本総販売代理。全国の都市型商業施設を中心に、 SKINFOOD1店舗、OLIVE YOUNG EX1店舗、hince3店舗を展開。

 

セールスマーケティング事業・・・卸売販売
生協ルート
全国の生活協同組合への商品の卸売りを行っており、アイケイの祖業。現在でもグループの収益基盤。
通販ルート
TVショッピング・カタログ通販や、ネット通販会社への卸売。
店舗ルート
ドラッグストアやバラエティショップといった小売店舗に商品を卸売。
海外ルート
中国、東南アジアを中心に同社のPB商品(プライベートブランド)を海外に向けて販売。

 

ITソリューション事業・・・24/5期までの事業
子会社アルファコム(株)が、音声通話録音システム「Voistore」などコンタクトセンター構築に関わるシステムや、ビジネス版LINE「LINE WORKS」、チャットシステム「M-Talk」などを販売している。アルファコム(株)は6月に譲渡。

 

(2)主な自社開発商品
マーケティングメーカーとして、様々なジャンルの商品を自社開発している。
≪食品≫

(同社資料より)

 

≪化粧品≫

(同社資料より)

 

≪雑貨≫

(同社資料より)

 

【1-4 特長と強み:マーケティングメーカーとしてのビジネスモデル】

マーケティングメーカー
独自のプロモーション戦略で、商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」を標榜。「ダイレクトマーケティング」、「セールスマーケティング」の販売の両軸を回し続けることで、コアとなる商品開発の歯車を回転させていく。このようなビジネスモデルを同社では「マーケティングメーカー」と呼んでいる。

 

(同社資料より)

 

同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。
(1)強力な商品開発・発掘・調達力
幅広い販路から得た情報や40年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。
隔週で「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の各開発チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。
同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。

 

(2)高いマーケティング力
ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。
候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。

 

(3)多彩な販売チャネル
上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。
販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。
商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。

 

ソリューション

概要

制作

企画に合わせたチラシ・カタログサイズで売れる紙面を制作する。

受注業務

電話、メール、FAX、はがきなど全ての受注スタイルに対応したフレキシブルな基幹システムを有しており、より正確で迅速な受注業務を行っている。

品質管理

コンプライアンス遵守のほか、商品ジャンルごとに自主基準を設け、クレームの未然防止につなげる商品チェックを行っている。

物流業務

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の行き届いた自社物流センターからエンドユーザー宛に個別宅配の出荷を行っている。

カスタマーサービス

社内スタッフによるコールセンターでの商品の問合せ、配送や交換相談までアフターサービスをワンストップで対応している。

 

多くの同業他社が商品の企画・マーケティングのみに特化していたり、販売チャネルが店舗に限られていたり、商品の製造や物流を他社に一任していたりするのに対し、同社は柔軟に対応できるシステムとノウハウを持つことで、他社には真似のできない独自のプロモーション戦略を実行することが可能である。

 

【1-5 ROE分析】

 

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

24/5期

ROE(%)

25.0

29.0

9.1

14.0

10.1

-30.1

-21.1

11.3

 売上高当期純利益率(%)

2.79

3.50

1.35

2.08

1.55

-5.54

-3.27

1.63

 総資産回転率(回)

3.04

3.19

2.69

2.61

2.84

2.24

2.00

2.20

 レバレッジ(倍)

2.95

2.60

2.51

2.59

2.29

2.43

3.23

3.15

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

22/5期、23/5期と当期純利益が赤字だったことでROEもマイナスになっていたが24/5期は黒字を実現、ROEは2桁を確保した。かつては20%を超えていただけに、さらなる向上が期待できる。

 

 

2.2024年5月期決算概要

(1)連結業績概要

 

23/5期

構成比

24/5期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

14,179

100.0%

14,049

100.0%

-0.9%

13,588

+3.4%

売上総利益

5,950

42.0%

5,845

41.6%

-1.8%

-

-

販管費

6,175

43.6%

5,503

39.2%

-10.9%

-

-

営業利益

-224

-

341

2.4%

-

378

-9.6%

経常利益

-205

-

340

2.4%

-

377

-9.8%

当期純利益

-463

-

229

1.6%

-

135

+70.0%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

微減収ながら各利益は黒字転換
売上高は前期比0.9%減の140億49百万円。販売効率を重視し、媒体放映枠を削減したTVショッピングの売上減が影響した。韓国コスメでは「hince」や「mnyo」などの拡販が進み、韓国コスメの売上は前期比で52.3%(実額11億36百万円)増加した。営業損益は前期2億24百万円の損失から3億41百万円の利益へ黒字転換した。原価率の低いダイレクトマーケティング事業の売上シェアが減少し売上総利益率が前期比0.4ポイント低下したものの、TVショッピングなどで広告宣伝費を圧縮させたことにより、販管費率は前期比4.4ポイント改善した。特別損失に計上する減損損失が縮小したこともあり、当期純損益は前期4億63百万円の損失から2億29百万円の利益へ大幅な改善となった。
配当は会社予想通り5.00円/株の期末配当を実施。前期無配から2期ぶりの復配となる。

 

(販管費の推移)

 

23/5期

売上比

24/5期

売上比

前期比

人件費

1,371

9.7%

1,319

9.4%

-3.8%

広告宣伝費

2,187

15.4%

1,815

12.9%

-17.0%

物流費

1,244

8.8%

1,027

7.3%

-17.4%

その他

1,372

9.7%

1,341

9.5%

-2.3%

販管費合計

6,175

43.6%

5,503

39.2%

-10.9%

単位:百万円

 

販管費は広告宣伝費や物流費の削減を主軸に前期比10.9%減、売上高に対する比率は前期43.6%から39.2%に低下しており、効率化の進展がうかがえる。

 

◎四半期動向

 

(2)セグメント別収益

 

23/5期

構成比/利益率

24/5期

構成比/利益率

前期比

ダイレクトマーケティング事業

4,007

28.3%

3,592

25.6%

-10.4%

セールスマーケティング事業

9,651

68.1%

9,957

70.9%

+3.2%

ITソリューション事業

518

3.7%

496

3.5%

-4.2%

消去・全社

1

-

2

-

-

売上高

14,179

100.0%

14,049

100.0%

-0.9%

ダイレクトマーケティング事業

-327

-

119

3.1%

-

セールスマーケティング事業

355

3.6%

797

7.8%

-

ITソリューション事業

13

2.6%

23

4.7%

+74.9%

調整額

-265

-

-598

-

-

営業利益

-224

-

341

2.4%

-

*単位:百万円。利益率は営業総収入利益率。
*セールスマーケティング事業の営業利益は、損益の測定方法を変更したことに伴い前期比の記載なし。
*数値は切捨て、率は四捨五入。

 

セグメント別、ジャンル別売上

(同社資料より)

 

①ダイレクトマーケティング事業
売上高35億92百万円(前期比10.4%減)、営業利益1億19百万円(前期は3億27百万円の営業損失)。
TVショッピングにおいては、収益性を重視して媒体効率を意識した放映方針に転換し放映枠を絞り込んだ結果、売上高は大幅に減少した。一方で、WEBショッピングでは定期購入型商品が堅調に推移した。
韓国コスメのリアルショップは前期末の13店舗から不採算店9店舗を閉鎖し、新たに「hince」1店舗を新設し5店舗となった。

 

②セールスマーケティング事業
売上高99億57百万円(前期比3.2%増)、営業利益7億97百万円。
売上高は、生協ルートでは61億55百万円(前期比3.2%減)、通販ルートは15億1百万円(同21.2%減)、店舗ルートは韓国コスメの拡販が好調であったことから23億1百万円(同68.5%増)となった。

 

③ITソリューション事業
売上高4億96百万円(前期比4.2%減)、営業利益23百万円(同74.9%増)。
主力商品であるチャットシステム「M-Talk」の売上は堅調であるものの減収となった。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

23年5月末

24年5月末

 

23年5月末

24年5月末

流動資産

5,728

5,023

流動負債

3,766

2,482

現預金

971

576

仕入債務

672

782

売上債権

2,183

2,294

短期有利子負債

2,003

709

たな卸資産

2,264

1,790

固定負債

1,052

1,354

固定資産

1,060

983

長期有利子負債

732

1,040

有形固定資産

215

219

負債合計

4,818

3,836

無形固定資産

467

408

純資産

1,970

2,170

投資その他の資産

377

355

利益剰余金

846

1,075

資産合計

6,788

6,007

負債純資産合計

6,788

6,007

*単位:百万円

 

 

有利子負債残高

2,736

1,750

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

流動資産の減少を主因に資産合計は前期末比7億81百万円減の60億77百万円となった。短期借入金の減少などにより、負債合計は同9億81百万円減の38億36百万円となった。利益剰余金の増加などにより純資産は同1億99百万円増の21億70百万円。自己資本比率は35.8%となり、前期末より7.5ポイント増の大幅な改善。

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/5期

24/5期

増減

営業CF

66

940

+874

投資CF

-279

-340

-61

フリー CF

-212

600

+812

財務CF

109

-987

-1,096

現金同等物残高

971

576

-395

*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

税金等調整前当期純利益の計上により、営業CFが大きく改善したことで、フリーCFが、赤字から黒字に好転。
短期借入金の減少で財務CFは大幅な赤字となり、キャッシュポジションは低下した。

 

3.2025年5月期業績予想

(1)通期業績予想

 

24/5期

構成比

25/5期(予)

構成比

前期比

売上高

14,049

100.0%

15,510

100.0%

+10.4%

営業利益

341

2.4%

400

2.6%

+17.3%

経常利益

340

2.4%

390

2.5%

+14.7%

当期純利益

229

1.6%

300

1.9%

+31.0%

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

2桁増収増益を見込む
25/5期からITソリューション事業が外れる。売上高は、前期比10.4%増の155億10百万円と4期ぶりの増収を見込む。営業利益は同17.3%増の4億円を計画。ローリング方式による中期計画「IK WAY to 2027」を作成した。計画達成のための重点施策として韓国コスメのブーストアップを掲げており、国内における韓国コスメの売上高No.1企業を目指す。取り扱いブランドの拡充と店舗及びECでの販売を強化する方針。
また、生協マーケットを主とするセールスマーケティング事業では、経営理念である「ファンつくり」の実践として「お客様立場主義」の徹底を図り、顧客から信頼されるベンダーを目指し、収益基盤の確立に努める。
さらに海外市場から一歩後退していた海外事業は同社成長には欠かせないマーケットであり、海外市場を展開している企業等とのアライアンスにより新たな商流を築いていく方針。
配当は前期から3.00円増配の8.00円/株を計画する。予想配当性向は20.6%

 

(2)セグメント別動向

*売上予想

 

24/5期

構成比

25/5期(予)

構成比

前期比

ダイレクトマーケティング事業

3,592

25.6%

4,230

27.3%

+17.8%

セールスマーケティング事業

9,957

70.9%

11,280

72.7%

+13.3%

ITソリューション事業

496

3.5%

-

-

-

合計

14,049

100.0%

15,510

100.0%

+10.4%

*単位:百万円

 

ダイレクトマーケティング事業
◆韓国コスメの売上拡大を図る
◆クラウドファンディングの活用やECサイトでの販売強化
◆定期購入型商品では新商品の開発やECに注力し、新規顧客を開拓

 

セールスマーケティング事業
◆韓国コスメ、自社ブランド化粧品の拡販
◆生協チャネルへの化粧品カテゴリーの強化
◆開発力を生かした、大手通販・小売企業への商品提案
◆「お客様立場主義」による営業の強化

 

 

4.今後の戦略

(1)今後の重点施策

Ⅰ.韓国コスメのブーストアップ
▶旬なブランドをいち早くキャッチし取扱ブランド数を増やす
◎正規販売代理店であることの優位性
・直接正規ルートで輸入をしているため、商品供給の安定性や品質保持が確保できる
・同社グループで品質管理を行っているため、日本の品質基準にあった商品の選定が可能
・在庫安定性や品質の担保ができているため、国内大手チェーンストアとの取引が可能
・購入後のアフターサービスの充実
・日本語での商品情報の理解が可能

 

ブランドの一部

(同社資料より)

 

▶ブランド毎の特徴を最大限生かす、アイテム・チャネル・店舗展開を実施

 

Cosme Kitchenへの導入

 

@cosmeでのポップアップを実施

 

CostcoWHOLESALE(コストコホールセール)への導入

(同社資料より)

 

hince タカシマヤ ゲートタワーモール店

 

 

Ⅱ.セールスマーケティング事業の基盤確立
▶生協チャネルへの化粧品カテゴリーの強化

(同社資料より)

 

▶開発力を生かした、大手通販・小売り企業への商品提案
◎ODM提案
ユーキャン様 ・・・ オールインワンゲル、アパレル各種
ハルメク様・・・ レディーススニーカー
ライトアップ様・・・ メンズシューズ
ドン・キホーテ様・・・ 美容ドリンク

 

◎通販会社へのクロスセル商材の提供
富山常備薬グループ様
フォーマルクライン様

 

Ⅲ.EC比率の向上
▶クラウドファンディングを活用したテストマーケティング

(同社資料より)

 

▶テスト後はWEBマーケティングを起点に各チャネルで販売

(同社資料より)

 

(2)セグメント別戦略

Ⅰ.ダイレクトマーケティング事業
TV・ECルート
①クラウドファンディングの活用やECサイトでの販売強化
②定期購入型商品は新商品の開発やECに注力し、新規顧客を開拓

 

SHOPルート
POPアップイベント等各ブランドと共同し、「SKINFOOD」・「OLIVE YOUNG EX」・「hince」・「mnyo」・「AROMATICA」などの各ブランドの認知とファンつくりの拡大

 

Ⅱ.セールスマーケティング事業

生協・通販ルート

①商品の取扱いを強化し商品ラインナップを増やす

②「アイケイにしかできない」をキーワードに商品開発を進める

③開発初期段階から開発・営業・調達部門が連携をとり、様々な販路での展開を見据えた商品開発・商品の見せ方を追求する

 

 

(同社資料より)

店舗事業の成長

・SHOPと同様に韓国コスメの取り扱いを強化し、流通を介した卸売りなどを活用し、販売効率をアップさせるとともに、販路の拡大を行う

・自社開発商品の展開に向けてプロモーションも強化していく

 

 

(同社資料より)

 

5.中期経営計画 IK Way to 2027

中期経営計画FY2027の位置付け
22年12月、機動的かつ迅速な意思決定を推進するべく持株会社制への移行を完了し、1年半が経過。FY2027をターゲットとする中期経営計画は、FY2026の中計からのローリングプラン。引き続き、基盤事業であるセールスマーケティング事業の強化を図ると同時に、成長を続ける韓国コスメ事業、EC事業の拡充や海外市場への再チャレンジに取り組む。

 

(同社資料より)

 

中期経営計画FY2027の経営目標

 

 

25/5期

26/5期

27/5期

売上高

155億円

170億円

200億円

セグメント別

 

 

 

ダイレクトマーケティング

42億円

47億円

54億円

セールスマーケティング

113億円

123億円

146億円

ジャンル別

 

 

 

雑貨

46億円

51億円

57億円

食品

42億円

42億円

43億円

化粧品

67億円

77億円

100億円

営業利益

4億円

6億円

10億円

ダイレクトマーケティング

3.5億円

4.82億円

7.45億円

セールスマーケティング

0.5億円

1.18億円

2.55億円

調整後EBITDA

7.3億円

9.8億円

12.2億円

EPS

38.91円

51.87円

90.78円

ROIC

6.2%

8.3%

11.7%

CCC

96.0日

90.5日

85.0日

PB比率

66.7%

72.0%

74.4%

配当性向

20.6%

20.0%

20.0%

 

セールスマーケティング
・営業支援システム(SFA)を導入し、効率的な営業プロセスを確立し生産性を高める
・商品開発力の強化・商品の取扱いを強化し商品ラインナップを増やす
・開発初期段階から開発・営業・調達部門が連携をとり、様々な販路での展開を見据えた商品開発・商品の見せ方を追求する
・流通を介した卸売りなどを活用し、販売効率をアップさせるとともに、販路の拡大を行う

 

ダイレクトマーケティング
・クラウドファンディングの活用やECサイトでの販売強化
・定期購入型商品は新商品の開発・販売強化を行い、新規顧客を開拓
・POPアップイベント等各ブランドと共同し、各ブランドの認知とファンつくりを広げる
・リアル店舗とWEB店舗の相互送客化を図り、お客様の新たな生活様式に対応していく

 

中期経営計画FY2027重点施策・トピックス
重点施策1 韓国コスメのブーストアップ
施策 ・・・ 韓国コスメの取扱高でNo.1を目指す
・取り扱いブランド拡大
・店舗販路拡大、EC販路拡大

(同社資料より)

 

重点施策2 セールスマーケティング事業の基盤強化
施策 ・・・ 生協マーケットの基盤強化による収益安定化と店舗ルートビジネスのスケール
(1)生協マーケットの基盤強化と生産性向上
・営業支援システム(SFA)を導入し、効率的な営業プロセスを確立し、生産性を高める
・商品開発力を高め、シニアマーケットにおける収益基盤を強化する
(2)店舗ルートの取引先拡大によるビジネススケール
・韓国コスメと自社商品ブランド化粧品の取り扱い店舗数の拡大

 

重点施策3 EC事業のスケールと、海外事業への再チャレンジ
施策 ・・・ EC事業のスケールと海外市場への再チャレンジ
(1)EC事業のスケール
・EC事業の成長には、自社で採用を強化し、育成していくことが重要
→Amazon、楽天、自社ECで事業を拡大できる人材を外部から積極的に採用し、HD内にEC事業支援チームを設置する
・社内マーケティングチームの拡大強化
(2)海外事業の再チャレンジ
・既に海外市場へ展開している企業・グループとのアライアンスを強化し、既存の商流を活用する
→既存の商流を活用し、メイド・インジャパン商品(雑貨、食品、化粧品)について海外展開を推進していく方針

 

 

 

6.今後の注目点

24/5期は各利益が3期ぶりに黒字となった。ここであえて注目したいのは、わずかに減収ながらも損益を大幅に改善させたことであろう。減収はTVショッピングにおいて販売効率を重視したことによるものだが、実績を残せたことで黒字体質をしっかり固めつつあるともいえそうだ。24/5期の営業利益率は2.4%だが、過去にはその倍以上だったこともあり更なる利益率の改善余地がある。今後の課題はトップラインをいかに伸ばしていくかであろう。ここで牽引役として期待できそうなのが韓国コスメ。拡販は始まったばかりであり、今後は取り扱いブランド拡大と販路拡大によりさらなる収益貢献が狙えそう。
長野社長は中期経営計画FY2027で目指す経営目標について「体制が整った」としたうえで、「なるべく早く達成したい」と述べており、達成への自信がうかがえる。27/5期に目指すEPSは90.78円、達成の目途がついてくれば現状株価はかなりの見直し余地が生じる。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年8月29日

 

<基本的な考え方>
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが求められる中、上場企業として社会的使命と責任を果たすため、経営基盤を充実し、尚且つ高い倫理観を保持し、経営の透明性を一層高めることで、信頼される企業を目指してまいります。
また、当社は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つと考えており、定時取締役会(月1回開催)、臨時取締役会(必要に応じて随時開催)のほか、常勤取締役(監査等委員である取締役を含む)及び執行役員による社内役員会(週1回開催)、チームマネージャー職以上で構成されるTOP会議(週1回開催)の開催により、多方面からの情報共有に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>(抜粋)

原則

実施しない理由

【補充原則1−2④議決権の電子行使、招集通知の英訳】

当社は、現状、議決権のインターネット行使はできますが、電子行使プラットフォームの利用や株主総会招集通知の英訳等は行っておりません。

今後、機関投資家や海外投資家の株主構成等を踏まえ、株主の利便性も考慮し、必要に応じて検討してまいります。

【補充原則2-4① 社内の多様性の確保】

当社は、管理職の登用については、性別、国籍を問わず能力や適正などを総合的に判断して登用することを基本方針としております。人材育成方針及び社内環境整備の開示は、有価証券報告書に記載しております。

また、女性がより活躍できる職場を目指し、女性活躍推進の取り組みとし

て一層の環境整備に努めてまいります

【補充原則3-1② 英語による情報の開示・提供】

当社は、四半期決算短信のサマリー情報、月次売上動向、決算短信などの英文作成に努めております。

招集通知等の英文作成は、今後の検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>(抜粋)

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

当社は、取引先との継続的かつ安定的で良好な取引関係の維持・強化につながる政策保有株式を保有します。ただし、リターンとリスク等を踏まえ、中・長期的な観点から定期的に検証し、必要性が認められなくなった場合には売却を進めます。当該株式については、毎年、取締役会において保有目的や合理性、取得価格と時価との比較、受取配当金の状況等を検証し、保有の必要性を確認しております。

議決権行使については、すべての議案に対して、原則、賛成行使しますが、株主価値の毀損につながる議案に関しては個別に精査いたします。

なお、議決権行使は、当該会社の状況や当社との関係維持・強化などを総合的に判断するため、外形的な基準を設けておりません。

【補充原則4-11① 取締役会の全体としてのバランス、多様性及び規模に関する考え方】

当社は、取締役会において、実質的で有効な議論を行うためには、取締役6名程度が適正と考えております。

現在は業務執行取締役3名、監査等委員である取締役3名(うち、2名が独立社外取締役)であり、業務執行取締役は豊富なビジネス経験を有する者、担当事業分野に精通した者、監査等委員たる取締役は公認会計士、弁護士で構成されております。

また、取締役の選任に関しては、当社の企業価値向上に資する候補者であるかを基準に選定し候補者との対話の機会を持った上で、スキル・マ

トリックス(株主総会招集通知の取締役選任議案に記載)にてスキルのバランスを確認し「指名・報酬委員会」に諮問後、取締役会にて決定しており

ます。

【原則5-1 株主との建設的な対話に

関する方針】

当社では、管理チーム総務グループをIR担当部署とし、株主からの対話の依頼に対しては、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう合理的な範囲で対応しております。

代表取締役会長が、株主や機関投資家に対して、決算説明会を年に2回開催しております。なお、説明会に参加できない株主や投資家に対しては、当社のホームページにその決算説明会資料及び動画を掲載しております。

 

 

「本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。」

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