ブリッジレポート
(7793) 株式会社イメージ・マジック

グロース

ブリッジレポート:(7793)イメージ・マジック 2024年12月期上期決算

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山川 誠 社長

株式会社イメージ・マジック(7793)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

その他製品

代表者

山川 誠

所在地

東京都文京区小石川1-3-11 ライジング後楽園ビル6F

決算月

12月

HP

https://imagemagic.jp

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,100円

2,315,024株

2,546百万円

15.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.0円

-

39.76円

27.7倍

663.29円

1.7倍

*株価は8/30終値。23年12月期決算短信及び24年12月期上期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2021年4月

4,330

220

221

152

109.31

0.0

2022年4月

4,896

305

286

234

136.75

0.0

2023年4月

5,291

69

76

48

21.19

0.0

2023年12月

4,376

344

342

220

95.27

0.0

2024年12月(予)

6,540

150

148

92

39.76

0.0

*予想は会社予想。単位:百万円、円。2023年12月期は変則8ヶ月決算。

 

 

(株)イメージ・マジックの2024年12月期上期決算概要などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年12月期上期決算概要
3.2024年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 売上高は前年同期間比22.8%増の33億84百万円。オンデマンドプリントサービスが伸長して牽引、ソリューションサービスも大幅増収。営業利益は同59.7%増の1億36百万円。オンデマンドプリントサービス、ソリューションサービスがいずれも売上総利益を向上させた。広告宣伝費や人件費の増加を主因に販管費が同32.4%増加したものの、営業利益率を向上させて大幅な増益となった。尚、EBITDA(償却前税前利益)は同26.1%増の2億32百万円。オンデマンドプリントサービスは法人のイベントや販売需要を営業で獲得し大きく伸長。オリジナルプリント.jpの売上高は12億96百万円から16億31百万円に26%伸びた。売上総利益率は前年同期間34%から37%へ改善。ソリューションサービスDTFを中心とした消耗品の販売が大きく伸長。ソリューションサービスの売上高は前年同期間比20%増。売上総利益率が前年同期間26%から42%へ大きく改善。

     

  • 24/12期は、売上高が前年同期間との比較で7.7%増の65億40百万円、営業利益は同52.9%減の1億50百万円を見込む。上期は計画通りにとしており、通期予想の修正はなかった。生産体制の自動化、省力化を進めるため、AIやロボティクスの開発導入を積極的に進めるための高度な知見を有する人材の採用、研究開発に注力する。オンデマンドプリントサービスでは、コロナ禍収束に伴い開催された各種コンサートや舞台等のエンターテイメント及びスポーツ大会といったイベントが一巡するものの、オリジナルグッズの受注が増加していくと見込む。ソリューションサービスでは、同社が培ったノウハウをソフトウェア、ハードウェエアの販売を通じて提供していくことで、更なる市場拡大を目指す。生産体制の自動化推進のための高度人材投資・研究開発に伴うコスト増により減益予想。

     

  • 1Q(1-3月)は19.6%増収、営業利益9百万円(前年同期間は17百万円の損失)だった。例年1Qがボトムになる季節的要因があるとはいえ、2Q(4-6月)は飛躍したといえよう。上期の通期予想に対する進捗率は売上高で51.8%、営業利益で90.8%。下期偏重になりやすいことも加味すると修正はなかったものの、通期予想は大きく上回る可能性もある。

     

  • オンデマンドプリント市場は高い成長性があり、中でもDTF市場が有望。同社はこの市場において黎明期から取り組んでいたこともあり、国内での存在感は大きい。市場拡大は始まったばかり。今後は多くの企業が規制対応やESG対策としてDTFを活用する可能性が高く、果実を本格的に享受するのはこれから。

     

  • 株価は本決算発表後に急落して低空飛行の状態。24/12期の業績予想が保守的であることを市場が認識することがリバウンドの条件と見ているが、いまだ認識されていない。同社では3年後に売上高100億円、営業利益率8%を目線に置いている。EPSでは200円程度に相当し、具現化が見えてくれば相当の割安感も生じる。

     

1.会社概要

インターネットを利用して行うアパレルや雑貨を主とした商品へのオンデマンドプリントサービス、及びオンデマンドプリントの仕組み(ソフトウェアやハードウェア)をアパレルメーカー、印刷会社などの事業者へ提供するソリューション(オンデマンドプリントソリューションズ、以下「ODPS」という。)事業を行っている。これらの実現のために、小ロット受注に対応したソフトウェアと、システムで制御できるハードウェアの開発を進め、ワークフローのDX化を推進している。

 

【1-1 沿革】

1995年設立。97年には、日本で初めてオリジナルプリント受注をインターネットで受けるサービスを開始した。現在主力のODPSは19年にリリース。22年3月に東証マザーズ市場へ新規上場。同年4月に市場再編に伴い東証グロース市場へ移行。

年 月

概要

95年 5月

東京都港区に株式会社イメージ・マジック設立

07年 1月

東京都新宿区市谷左内町に本社移転及び市ヶ谷工場新設

08年 11月

埼玉県川越市に本社移転及び川越工場新設

10年 1月

オンデマンドプリント受注サイト「オリジナルプリント.jp」開設

13年 6月

東京リスマチック株式会社(現 株式会社日本創発グループ)と資本・業務提携

15年 4月

東京都板橋区小豆沢に本社移転及び小豆沢工場新設

12月

東京都板橋区新河岸に新河岸工場新設

16年 2月

1,670万色のフルカラーカーペット印刷を開始

8月

ネットでアパレルショップを開設できるプラットフォーム「MEET MY GOODS」をリリース

18年 4月

不織布バッグ製造を開始

7月

埼玉県朝霞市に朝霞工場新設

10月

東京都文京区小石川に本社移転

19年 2月

「オンデマンドプリントソリューションズ(ODPS)」をリリース

3月

凸版印刷株式会社と資本・業務提携

6月

東京都板橋区に板橋プリントセンター(IPC)工場新設

20年 3月

東京都板橋区に志村工場新設

 

株式会社トランザクションと資本・業務提携

21年 1月

GMOペパボ株式会社と資本・業務提携

4月

岐阜県多治見市に岐阜プリントセンター(GPC)工場新設

10月

デザインシミュレーター付クラウド型オンデマンドEC「maker town」をリリース

22年 3月

東京証券取引所マザーズ市場に新規上場

4月

市場再編に伴い東証グロース市場に移行

23年 8月

埼玉県川越市に工場新設

 

東京都中央区に東京ショールーム新設

11月

小豆沢工場及びIPC工場閉鎖

 

【1-2 経営方針】

ミッション
個性と創造性溢れる豊かな社会づくりに貢献する。

 

私たちは、一人ひとりの個性や創造性が尊重され、誰もが自分らしく生きることができる社会を実現したいと考えています。

 

そのために、テクノロジーを活用したモノづくりを通じて、人々の感動や喜びを創造し、豊かな社会づくりに貢献していきます。

 

(同社HPより)

 

ビジョン
誰もがモノづくりを楽しめる、サステナブルなモノづくり社会を実現し、グローバルに信頼されるサービスを提供することを目指し、4つのビジョンを掲げている。

 

 

 

 

 

お客様が簡単/便利にモノづくりができ、お手頃価格で欲しいタイミングでお手元に届くことを実現する。

工場のモノづくりのDX化をサポートし、オンデマンド生産市場拡大に貢献する。

オンデマンド生産できるアイテムを拡げ、世の中の無駄な在庫を減らし、『つくる責任』を果たす。

世界中から最適なソリューションをマッシュアップし、信頼されるサービスをグローバルに提供していく。

 

行動指針
1.新しい事に挑戦
新しい事とは全く違う事をやるのでなく、温今知新。新しい事に挑戦する事で何かを学び、次に繋げる。
2.情報発信と共有
informationだけでなく、intelligence(知識)を含め発信と共有。情報発信と共有の頻度を常に上げていく。
3.お客様を知る
どんなお客様が買ってくれたか。どんなお客様が何を求めているか。時代の変化とお客様の変化を早く感じ取る。
4.早く行動する
人よりも相手よりも早く行動する。早く行動すれば早く答えが出て、結果次の手が早く打てる。

 

【1-3 事業内容】

概要
事業概要図

(同社資料より)

 

セグメント
オンデマンドプリントソリューション事業の単一セグメント。
サービスは①自社受注サイト、②連携パートナーからなる「オンデマンドプリントサービス」及び③ソフトウェアの提供が主軸の「ソリューションサービス」からなる。

(同社資料より)

 

23/12期における各事業の売上高及び売上総利益の構成比は以下の通り。

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

オンデマンドプリントサービス
①自社受注サイト
同社のインターネットサイトを経由して受注し、プリント加工を行い出荷するサービス。
「オリジナルプリント.jp」は、Webを活用してオリジナルグッズを作成できるECサイト。また、Web上のデザインツールを使って誰でも簡単にプリントの注文をすることができ、価格、納期、完成イメージを正式発注前に確認することが可能。アパレル、雑貨、スマートフォンケース等、約1,900種類のアイテムを取り揃えWebテクノロジーで注文から出荷までを自動化し、手ごろな価格での提供を実現している。

 

 

国内最大級かつ

シミュレーター付オンデマンドECによる

受注自動化のパイオニア

 

・オリジナルグッズを作成できるECサイト

・当社独自開発のデザインツールにより

簡単にカスタマイズ可能

・価格/納期/仕上がりイメージを

事前に確認可能なサービスのパイオニア

・アパレル・雑貨等

約1,900種類の豊富なアイテムを1点から作成可能

注文から出荷連絡までのサイトオペレーションを自動化

 

(同社資料より)

 

ソフトのダウンロードは不要で、サイト上で簡単にすぐにデザインを作ることが可能。任意のテキストを入れたり、写真をアップロードしたり、ツール内の豊富な無料のスタンプを使ったり。思いのままにデザインができる。また、オリジナルグッズを作ってみたいけれど、どんなデザインにしたらいいかわからない、という顧客にはデザインテンプレートも用意している。

 

「オリジナルプリント.jp」の商品カテゴリー別売上(23/12期)

 

 

 

Tシャツやパーカー等のアパレルが半分強を占める。アパレルについては、各加工機の競争力を強化

 

季節的変動の影響の少ない雑貨カテゴリーについても、アイテム数増加により今後比率を上昇させる考え

(同社資料より)

 

②連携パートナー/法人からの受注
連携パートナー企業と呼ぶ、同社のシステムと接続した会社を経由し受注データを取り込んで、プリント加工を行い出荷する
サービス。
主なグッズ一例
オリジナルグッズ/カジュアルギフト/クリエイターグッズ/エンターテイメントグッズ/ノベルティ/ユニフォーム

 

拡大しているオンデマンドプリントのビジネスフロー

※バリアブル配送:データベースから情報を抽出し1案件ずつ異なる宛先への配送を行うこと
(同社資料より)

 

ソリューションサービス
③ソフトウェアの提供
オンデマンドプリントの各ワークフローをOEM及びSaaS型モデルとして提供。
受注から生産管理システム、ハードウェア等を自社開発。

(同社資料より)

 

【1-4 主要取引先実績】

幅広い業界各社が同社プラットフォームを活用。

 

情報・通信

ヤフー㈱ ラクスル㈱ BASE㈱ GMOペパボ㈱ UUUM㈱

広告・印刷・出版

凸版印刷㈱ ㈱博報堂 丸井織物㈱ ㈱CDG ㈱KADOKAWA

卸売・小売

㈱グラニフ クロスプラス㈱ ㈱ビームス ㈱ユニクロ ㈱ロフト

製造・メーカー

東レインターナショナル㈱ ㈱トレードワークス ㈱パル モリリン㈱ ㈱ヤギ Fanatics Japan

サービス・

その他

ウォルト・ディズニー・ジャパン㈱ ㈱ソニー・クリエイティブプロダクツ ピクシブ㈱

三井物産グローバルロジスティクス㈱ ㈱TBSグロウディア ㈱TowaStela

 

【1-5 サステナビリティ】

サステナビリティにおける重要課題(マテリアリティ)を設定
事業活動を通して、社会課題の解決と企業価値向上を実現
創業時より「必要なものを必要な分だけ作る」というポリシーを掲げ、環境負荷の低減に取り組んできた。今後もテクノロジーを活用した事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく。

 

サービスにおけるサステナビリティ活動

 

オンデマンド生産の仕組みを

クラウド化したサービスの提供

サステナブル製品の提供

AIを用いた問い合わせ対応

従来の大量生産システムとは異なり、顧客ニーズに合わせたオンデマンド生 産を実現するクラウドサービスを提供。無駄な在庫を抑え、資源の有効活用と環境負荷の低減に貢献。

環境に配慮した素材や製法を採用したサステナブル製品を積極的に使用し、環境負荷の低減に努めている。また長く愛用できる高品質な製品を提供することで、廃棄物の削減にも貢献。

適切なAIツールを選定し、回答精度を高め、商品データの学習を強化。さらにCRMと連携しAIが質問の意図を汲み取った適切な回答から商品のおすすめまで、信用度の高い回答を実現。

資源の有効活用

環境負荷の低減

顧客対応の効率化

環境負荷の低減

廃棄物の削減

AIによる最適な提案

(同社資料より)

 

工場におけるサステナビリティ活動

 

「オンデマンドアパレル」で

持続可能なモノづくを推進

環境負荷の低減に貢献する

顔料インクと昇華染色の採用

工場から出る廃棄物の

再資源化(固形燃料化)

オンデマンドアパレルシステムを開発。必要なものを必要な量だけ生産することで、過剰生産や在庫ロスを防ぎ、資源の有効活用に貢献。生産計画の高度化や無駄な工程の削減など、生産効率向上への取り組みも積極的に推進。

環境負荷の低い顔料インクと昇華染色の技術を採用し、水の使用量や廃棄物の削減を実現している。

インクの独自開発など、安全性の高い製品の提供に向けた取り組みも積極的に推進。

工場から出る産業廃棄物を燃料に変換するRPF(リサイクル燃料)を製造し、廃棄物の削減とエネルギーの有効活用に貢献。RPFの普及促進にも取り組む。

過剰生産や在庫ロスの削減

水の使用量や廃棄物の削減

再資源化・CO2排出量の削減

生産計画の高度化・無駄な工程の削減

環境負荷の低減

RPFの普及促進

(同社資料より)

 

 

2.2024年12月期上期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

23/12期 上期

構成比

24/12期 上期

構成比

前年同期間比

売上高

3,286

100.0%

3,384

100.0%

+22.8%

売上総利益

1,240

37.7%

1,251

37.0%

-

販管費

946

28.8%

1,115

33.0%

+32.4%

営業利益

294

9.0%

136

4.0%

+59.7%

経常利益

293

8.9%

146

4.3%

+65.6%

四半期純利益

193

5.9%

95

2.8%

+64.3%

*単位:百万円。23/12期上期は23年5-10月、前年同期間比は23年1-6月(同社による試算値)との比較。

 

大幅増収、各利益は大幅増
売上高は前年同期間比22.8%増の33億84百万円。オンデマンドプリントサービスが伸長して牽引、ソリューションサービスも大幅増収。営業利益は同59.7%増の1億36百万円。オンデマンドプリントサービス、ソリューションサービスがいずれも売上総利益を向上させた。広告宣伝費や人件費の増加を主因に販管費が前年同期間比32.4%増加したものの、営業利益率を向上させて大幅な増益となった。尚、EBITDA(償却前税前利益)は前年同期間比26.1%増の2億32百万円。

 

各期の実績を24/12期と同一期間になるように組み替えた売上高と営業利益の推移は以下の通り。

 

売上高(百万円)

 

 

 

営業利益(百万円)

 

(同社資料より)

 

【2-2 サービス別売上高・売上総利益】

(同社資料より)

 

*オンデマンドプリントサービス
法人のイベントや販売需要を営業で獲得し大きく伸長。オリジナルプリント.jp(グラフはOP)の売上高は12億96百万円から16億31百万円に26%伸びた。売上総利益率は前年同期間34%から37%へ改善。

 

*ソリューションサービス
DTFを中心とした消耗品の販売が大きく伸長。ソリューションサービスの売上高は前年同期間比20%増。売上総利益率が前年同期間26%から42%へ大きく改善。

 

販管費内訳

 

23/12期

上期

24/12期

上期

前年同期間比

備考

人件費

363

444

+22.3%

システム開発、機械開発部門の人員増による増加

広告宣伝費

159

249

+56.5%

売上に連動させた広告出稿積極化により増加

荷造運送費

142

172

+20.7%

オンデマンドプリント売上増に伴う増加

研究開発費

18

40

+122.4%

機械開発部門の人員増により増加

その他

158

209

+32.3%

-

販管費合計

842

1,115

+32.4%

販管費率は前年同期間30.6%から33.0%に上昇

*単位:百万円。前年同期間比は23年1-6月との比較。

 

【2-3 財政状態とキャッシュ・フロー】

◎財政状態

 

23年12月

24年6月

増減

 

23年12月

24年6月

増減

流動資産

1,762

1,811

+48

流動負債

819

942

+122

現預金

862

818

-43

仕入債務

225

320

+94

売上債権

455

482

+26

固定負債

331

281

-49

固定資産

923

1,044

+120

負債合計

1,150

1,223

+72

有形固定資産

710

799

+88

有利子負債

346

297

-49

無形固定資産

67

91

+23

純資産

1,534

1,631

+96

投資その他の資産

144

152

+8

利益剰余金合計

756

851

+95

資産合計

2,685

2,855

+169

負債・純資産合計

2,685

2,855

+169

*単位:百万円。有利子負債は借入金。

 

その他流動資産の増加などで流動資産が前期末比48百万円増加。有形固定資産の増加などで固定資産は同1億20百万円増加。資産合計は同1億69百万円増加の28億55百万円。
負債合計は仕入債務の増加などで同72百万円増加の12億23百万円。
利益剰余金の増加などで純資産は同96百万円増加の16億31百万円。
自己資本比率は前期末と変わらず57.1%。引き続き50%超と資金調達余力は十分。

 

◎キャッシュ・フロー

 

23年1-6月

24/12期 上期

増減

営業CF

91

161

+69

投資CF

-243

-147

+95

フリーCF

-151

14

+165

財務CF

126

-57

-183

現金同等物残高

658

818

+160

*単位:百万円。

 

税引前上期純利益1億46百万円、仕入債務の増加額94百万円などで営業CFは1億61百万円。投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFはプラスに転じた。
長期借入の返済による支出などで財務CFはマイナスとなった。
以上の結果、キャッシュポジションは上昇した。

 

【2-4 トピックス】

24/12期上期 研究開発費/研究開発型設備投資
研究開発関連費用:1億32百万円(研究開発費:40百万円+設備投資額22百万円+関連経費70百万円)

(同社資料より)

 

 

3.2024年12月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

23/12期 

構成比

24/12期(予)

構成比

前年同期間比

売上高

4,376

100.0%

6,540

100.0%

+7.7%

営業利益

344

7.9%

150

2.3%

-52.9%

経常利益

342

7.8%

148

2.3%

-53.4%

当期純利益

220

5.0%

92

1.4%

-54.4%

*単位:百万円。

 

24/12期は前年同期間との比較で7.7%増収、52.9%営業減益を予想
24/12期は、売上高が前年同期間との比較で7.7%増の65億40百万円、営業利益は同52.9%減の1億50百万円を見込む。上期は計画通りにとしており、通期予想の修正はなかった。生産体制の自動化、省力化を進めるため、AIやロボティクスの開発導入を積極的に進めるための高度な知見を有する人材の採用、研究開発に注力する。オンデマンドプリントサービスでは、コロナ禍収束に伴い開催された各種コンサートや舞台等のエンターテイメント及びスポーツ大会といったイベントが一巡するものの、オリジナルグッズの受注が増加していくと見込む。ソリューションサービスでは、同社が培ったノウハウをソフトウェア、ハードウェアの販売を通じて提供していくことで、更なる市場拡大を目指す。生産体制の自動化推進のための高度人材投資・研究開発に伴うコスト増により減益予想。

 

【3-2 今後の成長戦略】

次世代DX化装置開発メンバーを増強 研究開発を加速

(同社資料より)

 

 

AI、協働ロボット、自動化装置開発の3つの柱で生産革新を推進

営業における全プロセスへの AI導入を推進中

 

(同社資料より)

 

 

● 蓄積された全ナレッジをAIに学習させ、 FAQ、問い合わせ対応、サービス対応、工場内のナレッジなどを自動化

● これにより、担当者の負担軽減、迅速な対応、精度の高い情報提供を実現し、顧客満足度向上と業務効率化を目指す

 

 

協働ロボットによる 生産性向上と人材活用

 

(同社資料より)

 

 

● 協働ロボットメーカーCGXi社と協業し、ロボットアームの販売権を取得

● 人とロボットが協働で単純作業を自動化し、作業のスピードと精度を向上

● 生産性を飛躍的に高め、人材をより付加価値の高い業務へシフトを目指す

 

 

省力化・自動化装置による徹底的なムダの排除

 

(同社資料より)

 

 

● UV印刷やシルク印刷などのDX化装置を自社開発

● 独自のノウハウで自社に最適な装置を開発し、生産性向上とコスト削減の達成を目指す

 

 

 

アパレル製品への印刷手法について
古くから存在する印刷手法が「シルクスクリーン印刷」。文字通り「刷る」印刷方式、低コストだがオンデマンドには不向き。DTF転写はDTGの市場規模拡大を追う形で急成長。

(同社資料より)

 

印刷手法別のコストイメージ
自社開発装置やロボット化による省力化によりコスト削減を目指す。

(同社資料より)

 

テキスタイル生地への印刷手法について
短納期かつ環境負荷の少ない顔料印刷へ今後は急速にシフト。

(同社資料より)

 

雑貨製品の印刷手法について
ホットスタンプやパッド印刷、シルクスクリーン印刷といった印刷手法はロットが増えると製造コストが非常に安価だが、少数には不向きで多色にも不向き。一方、UV印刷はフルカラーかつ少量でも大量でも対応が可能。

(同社資料より)

 

ロボットアームによるオンデマンドプリントの自動化・省力化・省人化
プリント機器と前後工程の連携により生産工程の連動をスムーズに

(同社資料より)

 

モノづくり会社の課題
労働人口は10年後に約800万人減少する見通し。一方、最低賃金は2030年台半ばまでに1,500円を目指すと政府が発表、毎年増加する見通し。
これらにより、モノづくり会社にとって効率化・省人化が急務となる。

 

海外展開
プリントオンデマンドプラットフォームの海外展開を実現へ

(同社資料より)

 

ASEANの生産拠点にソリューション提供予定、オンデマンドプリントマーケットの成長に対して参画していく
※24年2月に欧州での展示会に同社製品を出品
※24/12期においてベトナム・パートナー工場で製造ライン試験運用を開始予定

 

4.今後の注目点

24/12期上期は前年同期間との比較で22.8%増収、59.7%営業増益。1Q(1-3月)は19.6%増収、営業利益9百万円(前年同期間は17百万円の損失)だった。例年1Qがボトムになる季節的要因があるとはいえ、2Q(4-6月)は飛躍したといえよう。上期の通期予想に対する進捗率は売上高で51.8%、営業利益で90.8%。下期偏重になりやすいことも加味すると修正はなかったものの、通期予想は大きく上回る可能性もある。実際、23/12期の営業利益は期初予想の前年同期間比24.5%減から着地は260.7%増と大きく上回って着地した。前回レポートで24/12期予想について「保守的」としたが、具現化の流れが上期決算で見えてきた。
オンデマンドプリント市場は高い成長性があり、中でもDTF市場が有望。同社はこの市場において黎明期から取り組んでいたこともあり、国内での存在感は大きい。海外展開にも注目したい。オンデマンドプリント市場拡大は始まったばかり。今後は多くの企業が規制対応やESG対策としてDTFを活用する可能性が高く、果実を本格的に享受するのはこれからである。
株価は本決算発表後に急落して低空飛行の状態。24/12期の業績予想が保守的であることを市場が認識することがリバウンドの条件と見ているが、いまだ認識されていない。同社では中期計画を開示していないが、3年後に売上高100億円、営業利益率8%を目線に置いている。EPSでは200円程度に相当し、具現化が見えてくれば相当の割安感も生じる。中長期的な観点では今後のDTFの市場拡大動向と同社の取り組み状況に注視していきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外4名

うち監査等委員

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年3月28日)
基本的な考え方
当社は、インターネットを通じて不特定多数のお客様との取引を行っており、社会からの信頼を得て、経営の透明性を確保し、株主、お客様、社員、地域社会等あらゆるステークホルダーとの信頼関係を強化することは経営の最重要課題の一つと考えております。
全てのステークホルダーを尊重し、企業の健全性、透明性を高めるとともに、長期的かつ安定的な株主価値の向上に努めるため、迅速で合理的な意思決定体制及び業務執行の効率化を確保する社内体制を構築し、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでまいります。

 

業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)
a 取締役会
当社の取締役会は、取締役8名(うち社外取締役4名)で構成され、原則として毎月1回開催される定時取締役会に加え、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。取締役会においては、法令又は定款で定められた事項及び経営上の重要な意思決定を行うとともに、各取締役の業務執行状況の監督を行っております。取締役会の議長は代表取締役社長であります。
b 監査等委員会
監査等委員会は、常勤監査等委員1名、非常勤監査等委員2名(うち社外監査等委員3名)で構成され、原則として毎月1回開催される定時監査等委員会に加え、必要に応じて臨時監査等委員会を開催しております。議長は常勤監査等委員であります。監査等委員は、取締役会及びその他重要な会議に出席し、必要に応じて意見を述べるほか、監査計画に基づき重要書類の閲覧、取締役及び使用人への質問等の監査手続を通して、経営に対する適正な監視を行っております。また、内部監査室及び会計監査人と緊密な連携をとり、監査の実効性と効率性の向上に努めております。
c リスクマネジメント委員会  
当社は、各種リスクに係る事項に対し、組織的・計画的に対応することを目的としてリスクマネジメント委員会を設置しております。リスクマネジメント委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役を中心に構成されており、原則として四半期に1回開催しております。リスクマネジメント委員会は、当社に経済的、物理的又は信用上の不利益や損失を生じさせる可能性のある事象をリスクとして広範な検討を行い、重要性の高いリスクを洗い出したうえで、具体的な対応策を協議し、リスクマネジメントを推進しております。
d コンプライアンス委員会  
当社は、各種コンプライアンスに係る事項に対し、組織的・計画的に対応することを目的としてコンプライアンス委員会を設置しております。コンプライアンス委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役を中心に構成されており、原則として四半期に1回開催しております。コンプライアンス委員会は、コンプライアンスに係る取り組みの推進、社内研修等のほか、コンプライアンス違反行為等の有無を確認し、該当がある場合には対応について協議し、コンプライアンスの徹底を図っております。
e 経営会議  
当社では、代表取締役、取締役、常勤監査等委員が部門長から報告を受け、協議を行う経営会議を設置し、原則として毎週開催しております。経営会議は部門単位で開催し、各部門の執行案件に関する議論、重要事項についての審議を行うことにより、経営活動の効率化を図っております。
f 会計監査人
当社は、史彩監査法人との間で監査契約を締結し、適時適切な監査が実施されております。なお、同監査法人及び当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員との間には、特別の利害関係はありません。
g 顧問弁護士  
当社では、重要な法務的課題及びコンプライアンスに係る事項については、顧問弁護士に相談し、必要な検討を行ったうえで、適切な助言指導を受けております。

 

h 内部監査室  
当社では、代表取締役社長直轄の内部監査室を設置し、代表取締役社長により直接任命された内部監査担当者(1名)を選任しております。内部監査担当者は、事業年度ごとに内部監査計画を策定し、代表取締役の承認を得たうえで内部監査を実施し、監査結果を代表取締役に対し報告しております。被監査部門に対しては、改善事項を指摘するとともに、改善の進捗状況を報告させることにより実効性の高い監査を実施しております。

 

現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由
当社は、経営環境の変化する中において、永続的な発展と成長、持続的な企業価値の最大化を目指し、株主をはじめとするすべてのステークホルダーからの信頼を得るため、経営の健全性・効率性・透明化を確保すべく、会社法に基づく機関として、株主総会、取締役会、監査等委員会及び会計監査人を設置するほか、迅速な経営上の意思決定の促進と重要事項に関する十分な審議を行うため経営会議を設置するとともに、リスクマネジメント委員会、コンプライアンス委員会及び内部監査室を設置しております。
当社では、これらの各機関が相互に連携することによって、経営の健全性及び透明性を維持し、内部統制及びコンプライアンス遵守の徹底を確保できるものと認識しているため、現在の企業統治体制を採用しております。

 

 

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