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(6537) WASHハウス株式会社

グロース

ブリッジレポート:(6537)WASHハウス 2024年12月期第1四半期決算

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児玉 康孝 社長

WASHハウス株式会社(6537)

 

 

企業情報

市場

東証グロース、福証Q-Board

業種

サービス業

代表取締役社長

児玉 康孝

所在地

宮崎県宮崎市新栄町86番地1

決算月

12月末日

HP

https://www.wash-house.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

380円

6,925,400株

2,631百万円

-2.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

6.31円

60.2倍

243.19円

1.6倍

*株価は6/26終値。ROE・BPS・PBRは23/12期実績、DPS・EPS・PERは24/12期予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年12月(実)

2,182

-124

-90

-128

-18.65

0.00

2021年12月(実)

2,132

-140

-142

-176

-25.62

0.00

2022年12月(実)

1,921

-54

61

11

1.70

0.00

2023年12月(実)

1,914

13

26

-33

-4.83

0.00

2024年12月(予)

2,505

36

26

43

6.31

0.00

*単位:百万円。

 

WASHハウス株式会社の2024年12月期第1四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年12月期第1四半期決算概要
3.2024年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24/12期1Qの売上高は前年同期比5.9%減の4億49百万円。FC部門では新規出店はなかったがリニューアルを2店舗で行った。店舗運営部門では店舗売上高の継続的な増加に伴い各種収入が増加した。営業損失は35百万円(前年同期は9百万円の損失)。利益面では売上総利益率が前期34.6%から37.9%に改善したものの、販管費の増加により営業損失が拡大した。

     

  • 通期予想に修正はなく、24/12期は売上高が前期比30.9%増の25億5百万円、営業利益は同177.5%増の36百万円を計画する。「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」をさらに成長させる考え。FC部門では、かねてより中国子会社(WASHHOUSE(Shandong)CO.,LTD.)で開発中の新しいランドリー機器を下期から新店舗に投入する計画。店舗運営部門については、前期を超える販売促進キャンペーンを計画している。この新しい機械を市場投入していくことは、今後の当社の事業展開はもちろん、業界の常識を大きく変えるものになる見通し。7月20日にはオリジナル洗濯機・乾燥機に関する発表会を開催する。出店はFCで30店舗を計画、期末店舗数は直営64、FC563の計627店舗となる見通し。

     

  • 1Qは減収減益となりFC部門では新規出店もなく、24/12期は静かなスタートを切った。こうした中、FC店舗から受領する洗剤販売、店舗管理手数料、清掃受託費、広告分担金及び直営店からの収入から構成される店舗運営部門は増収増益を確保しており、店舗数が減少するも既存店の売上はしっかり伸ばしている。これまで取り組んできた成果が24/12期には徐々に発揮されると見ているが1Qは数字に表れるほど悪くはない。下期からはオリジナルのランドリー機器を相次いで投入、新規出店も積極化する。7月20日にはオリジナル洗濯機・乾燥機に関する発表会を開催し弾みをつけたい。オリジナルランドリー機器の投入とともに収益構造の転換が進めば株式市場の評価も大きく変わるのではないだろうか。2Q以降の機器の開発状況や新規出店の進捗に注目したい。

     

1.会社概要

セルフランドリー業界のグローバルスタンダードの創造を目指し、FCを中心にセルフランドリー店舗を展開。
全店舗一括管理運営方式によるクオリティ統一化という今までにない新たなFCビジネスの仕組みを創り出し、FC本部と加盟店の共栄を実現。ストック型の安定した収益構造なども大きな強み。
大阪、東京への進出を契機に全国展開を本格化へ。将来は海外展開も視野に入れている。
2024年3月現在、1都1府23県に594店舗(FC530店舗、直営64店舗)を出店。

 

【1-1 上場までの沿革】

児玉社長が起業するにあたり、少子高齢化や人口減少が確実な時代に永続的に売上・利益を伸ばしていくためにはどうしたらよいか、社会的意義がある事業か、先行事業者がいるか、競争に勝てるか、容易に真似されないか、ストック型の事業にできるかなど様々な観点から事業を検討した結果たどり着いたのがセルフランドリー事業だった。

 

事業規模拡大のためにはFC展開が適しているが、FC本部と加盟店との対立というFCビジネスの問題点解決のために24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポートなどからなる「全店舗一括管理運営方式」をいち早く導入しFC加盟店の負担を大きく低減。働く女性の増加に伴うニーズの拡大も追い風となりビジネスは順調に成長していった。
創業の地、宮崎県を含む九州地区中心から、出店エリアを順次拡大し、2015年12月大阪、16年7月には東京へも進出。
16年11月、東証マザーズ、福証Q-Boardに同時上場した。22年4月に東証グロース市場に移行。

 

【1-2 経営理念など】

経営理念として、「全ての発想をお客様の立場で考えることを基準とし、真に社会から必要とされる存在であり続ける。」を掲げている。
この経営理念の下、従来のような「単にセルフランドリー機器を販売し、それを購入したオーナーが運営するセルフランドリー」ではなく、出店後における店舗の完全管理を行うことを目的として、FCオーナーに代わり店舗利用者に気持ち良く利用してもらえるようなサービスを提供し続けることを目指し、「セルフランドリー業界のグローバルスタンダードの創造」に取り組んでいる。

 

【1-3 市場環境】

◎成長続くセルフランドリー市場
2013年度の全国のセルフランドリーの施設数は16,693か所(厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」)。厚生労働省の調査では日本のセルフランドリー店舗数は毎年5%前後の伸び率で増えており、2016年の同社上場後にはセルフランドリー出店ブームが起きたこともあり2022年には25,000店舗前後に達し、現在はそれも超えてセルフランドリーを使う習慣は明らかに拡大している。

 

 

(2014年以降はWASHハウス推定)

 

◎成長を支えるもの
こうした成長の背景としては
*共働きの増加による「洗濯時間を減らしたい」という働く女性のニーズ
*花粉症などアレルギー対策
*良品廉価の衣料品の増加によるクリーニング利用の減少
*清潔意識の向上
などがあげられている。

 

また、これら外部要因に加えて同社を始めとする事業者がユーザーの利便性を考慮した様々なサービスを提供していることも「利用者の拡大 → 店舗の増大」というサイクルに繋がっている。
児玉社長によれば、店舗を中心とした半径2km内の全世帯のうち何世帯がセルフランドリーを利用しているかを示す「利用率」は、10年程前は全国平均で3%程度だったものが、現在では5~8%に上昇しているということであり、今後も利用率の上昇が見込まれている。

 

◎プレーヤー
詳細な情報は得にくいが、セルフランドリー市場のメインプレーヤーは同社を含め4~5社と言われており、同社は最多の同一ブランド管理店舗数を有し、かつ、唯一の上場企業である。
また多くの企業が成長(出店数増)のためにFCビジネスで事業展開しているが、同社は徹底したオペレーションの効率化とクオリティの統一化を追求した「全店舗一括管理運営方式」という他に類を見ない新たなFCビジネスの仕組みを構築している。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照。)

 

【1-4 事業内容】

1.部門構成
22/12期から部門が「FC部門」、「店舗管理部門」、「直営その他部門」の3部門から「FC部門(旧FC部門)」、「店舗運営部門(旧店舗管理部門+旧直営その他部門)」の2部門に変更。

 

 

①FC部門
他社にはない独自のオペレーション受託型FC事業を創出している。
同社が出店候補地を選定し、FCオーナーとの間で「WASHハウス」ブランドの店舗の設計、内装工事、機器の設置等をパッケージ化した「WASHハウスセルフランドリーシステム一式」を販売するほか、オープン時の広告等開業準備費用、FC加盟金を受領している。

 

出店時のFC部門収益構造

 

※標準例、実際には物件によって異なる。

オーナーの出店時支出例

 

※標準例、実際には建築条件やテナント物件の状況等で異なる。

FC店舗の月間運営収益モデル

 

※1ヶ月あたりの収益構造モデル。

オーナーの月間収支モデル

 

※1ヶ月あたりの収益構造モデル。

(同社資料より)

 

FC加盟店開拓に関しては、テレフォンアポインターが取ったアポイント先に営業担当者が訪問するという分業制を採用している。この分業制により営業担当者は新規開拓電話の心理的負担から解放され、より積極的な営業活動に専念することができる。また、シミュレーション算出や契約書作成等の作業も営業担当から切り離し、「動く作業」に専念できる環境を提供している。
加えて、金融機関等とのビジネスマッチング契約を締結することにより、出店場所やオーナー候補の情報を増やし、出店数拡大につなげるという「仕組み」作りに注力している。

 

長年にわたり蓄積してきた「営業担当者の経験年数とFC店舗開発実績」の相関関係データを基に毎期の新規開店計画を立てている。

 

②店舗運営部門
すべてのFC店舗について店舗管理を受託しており、店舗収支を含む運営状況を月次でFCオーナーに報告し、月次の売上金から差し引くことによりFCオーナーからセルフランドリー管理収入を受領している旧店舗管理部門、およびセルフランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している旧直営店その他部門に分かれている。WASHハウスアプリによる収入等も含まれる。

 

●旧店舗管理部門
同社は店舗の「安心・安全・清潔」を維持する為に、
*24時間365日受付のコールセンター
*管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート
*毎日の点検・清掃
*洗剤の補充
*メンテナンス巡回
*広告活動
などのサービスを加盟店に提供している。
店舗管理手数料、システムメンテナンス料、洗剤販売、清掃受託費、広告分担金などが売上の内訳となる。

 

FCオーナーは店舗管理業務から解放されるため、初期投資コストさえ負担できれば複数の店舗を保有し、収益拡大と共に地域分散による収益変動リスクを低減することが容易である。

 

●旧直営店その他部門
セルフランドリー「WASHハウス」を直営店として展開し、店舗利用者から洗濯機、乾燥機の利用料を受領している。
直営店は、主に新規エリアへの進出時に出店しており、「安心・安全・清潔」なセルフランドリーとしての「WASHハウス」ブランドのローカル認知度を高めるとともに、セルフランドリー潜在ユーザーへの利用喚起、FCオーナーと土地オーナー(不動産の有効利用を検討している個人・法人)への店舗モデルの提供など、アンテナ店としての役割を担っている。
その他、セルフランドリーの経費精算業務等に伴う業者からの事務手数料収入などの収益を受領している。
WASHハウスアプリによる収入等も含まれる。

 

2.店舗展開
2024年3月現在、1都1府23県に594店舗(FC530店舗、直営64店舗)を出店。今後も全国展開を進めていく。

 

 

 

 

【1-5 特長と強み】

①新たなFCビジネスの仕組みを創造
同社を最も特徴づけているのが、同社独自のFC事業モデルだ。

 

一般的なFC事業では、FC本部と加盟店の間に対立が生じやすいという問題が指摘されている。
加盟店がFC本部に加盟金や売上ロイヤリティを支払う対価として、FC本部はブランド名の使用を許可するほか、加盟店にノウハウを提供したり、商品を卸したりするが、店舗の運営、人材の確保などは加盟店がその責任において行わなければならない。
店舗の運営管理は加盟店にとっては相当の負担であり、事業が好調な際は良いが、売上が上がらなくなると、加盟店は「本部の仕組みが悪い」、FC本部は「加盟店の教育が悪い」などと互いのせいにしがちで、苦情に留まらず訴訟にまで進むケースも多い。

 

これに対し同社では、「全店舗一括管理運営方式」を導入し、前述のように、24時間365日受付のコールセンター、管理カメラと遠隔コントロールによる即時サポート、毎日の点検・清掃、洗剤の補充、メンテナンス巡回、広告活動といった、店舗運営・管理に必要な活動を全て同社が提供しており、加盟店の店舗運営に関する負担を実質ゼロにしている。

 

これに加え、同社は月商100万円以上となる物件を基準としているため、地域の人口、年齢分布、収入状況などについてきめ細かい市場調査を実施し、優良物件を開拓するノウハウが蓄積されている。
店舗の完全管理システムと優良物件開拓力、この2つが相まって、加盟店の満足度は極めて高く、これまで業績不振による撤退がゼロという群を抜いた実績に結び付いている。

 

②明るく清潔な店舗。使いやすさにも配慮。
セルフランドリーというと、「暗い・怖い・汚い」というイメージを持つのが一般的だが、同社が提供するセルフランドリー「WASHハウス」は、女性や小さい子供のいるファミリー層をターゲットとする「安心・安全・清潔」な店舗を統一ブランドで提供している。

(同社HPより)

(同社HPより)

 

以前は「家事の手抜き」の一つにも数えられたセルフランドリーの利用だが、女性就労率の増加や高層マンションの普及、ライフワークの変化などから、自宅の洗濯機よりも一度に大量にかつ洗濯・乾燥の時間を短縮できるセルフランドリーへの関心が高まっており、特に健康志向の高まりのなかで、ダニやアレルギー対策として布団やじゅうたんなどの大物洗いの利用が注目されている。
また、子供のスニーカーを洗濯・乾燥できる機器を備えるセルフランドリーへのニーズが高まりつつある。

 

こうしたなかで同社は、以下のような設備を備え消費者ニーズに対応している。
*布団の丸洗いも可能な最大22㎏までの洗濯機や最大25㎏に対応する乾燥機(標準的店舗)
*スポーツシューズや通学用のスニーカー等が洗えるスニーカーランドリー
*無料で使用できるシミ抜き用の機器(スポットリムーバー)

 

さらに全ての店舗において管理カメラで24時間店舗をモニターで管理しているほか、本社から遠隔操作でランドリー機器をコントロールできる IoT型ランドリー機器を導入するなど、無人店舗でありながら、有人店舗であるようなリアルタイムのサポートを提供しており、ユーザーが安心して利用することのできる仕組みを構築している。

 

(同社HPより)

 

加えて、使用している洗剤の成分表示や乾燥機の温度表示を明示することで、安心して消費者が利用できるよう配慮しているほか、清潔な店舗を維持するため乾燥機のフィルター清掃や洗濯機の消毒など店舗の清掃を毎日行っている。

 

また、20年4月にはセルフランドリー用スマホ決済アプリ「WASHハウスアプリ」をリリースした。
同アプリは、「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」を強化することを目的とし、キャッシュレス決済機能やお得なクーポンなどの情報配信機能を搭載したもので、20年5月末にWASHハウス全店舗への導入を完了した。
他にも多種多様な業種とのコラボレーションを生み出す機能を組み込んでおり、ユーザーに対して、生活に密着した有意義な情報を届けたり、利便性が高いサービスを提供したりすることで今後もユーザーに必要とされる店舗作りに取り組んでいく考えだ。

 

③ストック型の安定した収益構造
店舗運営部門における売上高は、1店舗当たり月額で店舗管理手数料6万円、システムメンテナンス料 1万円、広告分担金3万円、清掃費3.9~5.1万円等から成っており、合計約14~15万円/月。

 

(同社資料より)

 

このように、店舗運営部門売上高は、その期以前からの継続店舗からの売上高をベースに、その期中の新規店舗からの売上高がオンされるという形で、期を追うごとに着実にストックが積み上がっていく。
一方、現在まで事業不振による閉店はゼロという実績が示す通り加盟店の満足度は極めて高く、店舗数が減少する可能性は低い。
WASHHOUSEフィナンシャルからの収入もストック型収益であり、同社の安定した収益構造は一段と強固なものとなっている。

 

④業界健全化に向けた取り組み
成長が続くセルフランドリー市場ではあるが、児玉社長によれば課題も山積しているのが現状だという。
その一つが法令順守の問題。

 

例えば、セルフランドリーは乾燥機で大量のガスを使用するため安全性の観点から排気ダクトの材質や取り付け方などが消防法や建築基準法などで詳細に規定されているが、実態は違法な設置が多く見られるという。
また、セルフランドリー業者の中には差別化を図り、ユーザーにアピールするために「洗濯代行サービス」を謳っているものもあるが、クリーニング業法に抵触し違法である可能性が極めて高い店舗が多い。

 

1950年に施行されたクリーニング業法は、国民の公衆衛生を保護する観点から下記の様な規定を設けている。

 

(クリーニング業法 抜粋)

条項

条文

意味

第2条 

2

この法律で「営業者」とはクリーニング業を営む者(洗たくをしないで洗たく物の受取及び引渡しをすることを営業とする者を含む。)をいう。

手たたみを行う者もクリーニング業営業者となる。

3

この法律で「クリーニング師」とは、第六条に規定する免許を受けた者をいう。

クリーニング業を行うにはクリーニング師の免許を取らなければならない。

4

この法律で「クリーニング所」とは、洗たく物の処理又は受取及び引渡しのための営業者の施設をいう。

クリーニング所を開設する時は、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。

クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。

 

同法の趣旨や運用を要約すると意味するところは以下の通りとなる。
*セルフランドリー業者がクリーニング師の免許を取得しても、クリーニング所ではないセルフランドリー施設で洗濯物の出し入れ、たたみ仕上げ等のサービスを行うことはできない。
*クリーニング所として届け出た施設内の洗濯・乾燥機はクリーニング業営業者が使用するためのものであり、衛生上の観点から他者(セルフランドリーの場合のユーザー)に利用させることはできない。

 

こうした法律があるにもかかわらず、保健所からの指導を逃れるために、店内にカウンターを設けて、その中に洗濯機を設置し、「この洗濯機で洗濯しています。」と説明しながらも、実際にはその洗濯機を使わず、カウンターから外に出てクリーニング所として届け出ていないセルフランドリー機器でユーザーの洗濯物を預かって洗濯したり、手たたみサービスを行なったりしているケースも見られるという。

 

こうした状況に対し児玉社長は、セルフランドリーの利用を普及促進させるためには、自社においては「安心・安全・清潔」なセルフランドリー作り等に取り組むと共に、業界の健全化を進めることが不可欠と考え、一般社団法人全国コインランドリー管理業協会を2003年12月に設立した。

 

同協会は、法令等に準拠した設備と衛生管理についての運営基準を定め、現時点では同社の直営店及びFCオーナーの加盟店が店舗単位で加入しており、業界の健全化と一般消費者への啓蒙活動(セルフランドリー利用の有用性告知など)を担っている。

 

【1-6 事業展開】

 

2016年、WASHハウスの上場後、セルフランドリー出店ブーム!
2万店舗だった店舗数が現在2万5千店舗超へ、セルフランドリーを使う習慣は明らかに拡大している。
こうした中、同社は創業以来、『洗濯屋のつもりはない!』と唱えてきた。
将来、「無料」で洗濯・乾燥を提供することを視野に入れていたためである。
そしてついに無料化実験を実施し広告を収益化することができた。
「無料」で洗濯・乾燥ができ、「無料」でコーヒーも飲めて、宮崎牛や鰻も当たる!! しかも家で洗うよりも安い!
更にお得な情報や商品が購入できる!
洗濯の概念を変えていく。
同社では22年前から無料化への準備を進め、洗剤工場、自社洗濯機・乾燥機、自社基幹システムで価格競争になることを想定し、徹底したコストダウンを追求してきた。グローバル展開も見据えたWASHハウス完全オリジナルの洗濯機・乾燥機・システムを研究・開発し洗濯機・乾燥機のサイネージ化を図ってきた。

 

セルフランドリー(プラットフォーム事業)を核として、一つの事を派生的に一気に何倍にも広げる考え。

 

・外国人の雇用と消費・ニーズ対応

 

・海外市場への進出!

 

・越境EC・ライブコマース

 

・物流・貿易

 

 

(同社資料より)

 

第1ステージ

メディアとして発信するための店舗網の拡大、収益基盤の拡大

第2ステージ

実現するためのソフト・ハード機器等の開発

第3ステージ

広告事業・越境EC事業・物流・貿易事業

 

収益構造が変わる、本物のDX

(同社資料より)

【1-7 WASHハウスアプリ】

 

広告システム

広告枠への出稿を受付し、WASHハウスアプリにて配信。広告システムから収入を得ることで将来「洗濯を無料で提供する」。

予約システム

洗濯物をもってきたけど、洗濯機が空いていない」という従来の問題を改善。店内の混雑緩和にも大きく寄与

 

 

セルフランドリー利用時、終了時間 確認時、終了時等でアプリ内の広告を目にすることから、広告主にとってヒット率の高い広告が可能。

実績例

・酒造メーカー

・引越業者

・食品メーカー

・行政 他

 

「予約システム」の利用方法

①WASHハウスアプリの「洗濯予約画面」から利用したい店舗・機械を選択

②利用したい洗濯コースや乾燥時間を選択

③空いている日時からご希望の利用日時を選択 → 予約完了

④予約時間になったら店舗の機械に表示のQRコードをスキャンし、WASHハウスアプリで決済・運転開始

 

キャッシュレス決済システム

硬貨を使用することなく、キャッシュレス決済が可能

現在12種の決済サービスに対応

 

 

相互送客システム

 

(同社資料より)

2.2024年12月期第1四半期決算概要

(1)業績概要

 

23/12期 1Q

構成比

24/12期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

477

100.0%

449

100.0%

-5.9%

売上総利益

164

34.6%

170

37.9%

+3.1%

販管費

174

36.6%

205

45.7%

+17.7%

営業利益

-9

-

-35

-

-

経常利益

0

0.0%

-31

-

-

四半期純利益

2

0.5%

-6

-

-

*単位:百万円。

 

売上高は微減・営業損失は拡大
売上高は前年同期比5.9%減の4億49百万円。
FC部門では新規出店はなかったがリニューアルを2店舗で行った。店舗運営部門では店舗売上高の継続的な増加に伴い各種収入が増加した。
営業損失は35百万円(前年同期は9百万円の損失)。利益面では売上総利益率が前期34.6%から37.9%に改善したものの、販管費の増加により営業損失が拡大した。

 

(2)部門別動向

 

23/12期 1Q

構成比

24/12期 1Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

FC部門

72

15.2%

16

3.6%

-77.7%

店舗運営部門

404

84.8%

433

96.4%

+7.0%

合計

477

100.0%

449

100.0%

-5.9%

売上総利益

 

 

 

 

 

FC部門

18

25.5%

-0

-

-

店舗運営部門

146

36.2%

170

39.4%

+16.4%

合計

164

34.6%

170

37.9%

+3.1%

*単位:百万円。売上総利益の構成比は売上総利益率。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

①FC部門
売上高16百万円(前年同期比77.7%減)、売上総利益-0百万円(前年同期は18百万円)。
FC新規出店はなかったがリニューアル2店舗を行った。新規出店数が前連結会計期間と比較して1店舗減少の0店舗となったこともあり減収、売上総利益率は-1.9%で前期比27.4ポイント低下した。

 

②店舗運営部門
売上高4億33百万円(前年同期比7.0%増)、売上総利益1億70百万円(同16.4%増)。
店舗売上高の継続的な増加に伴い各種収入が増加した。経費抑制効果等により売上総利益率は39.4%で前期比3.2ポイント改善した。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

23年12月末

24年3月末

 

23年12月末

24年3月末

流動資産

2,405

2,247

流動負債

1,246

1,126

現預金

1,013

910

預り金

401

331

売上債権

139

128

固定負債

1,118

1,094

営業貸付金

923

861

預り保証金

770

771

固定資産

1,723

1,739

借入金残高

835

765

有形固定資産

1,156

1,149

負債合計

2,365

2,220

無形固定資産

141

134

純資産

1,764

1,766

投資その他の資産

425

455

株主資本

1,654

1,648

資産合計

4,129

3,987

負債純資産合計

4,129

3,987

*単位:百万円。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

1Q末の資産合計は、前期末比(以下同)1億41百万円減少の39億87百万円となった。これは主に、棚卸資産が5百万円、破産更生債権等が53百万円、建物が7百万円増加した一方で、現預金が1億2百万円、売掛金が10百万円、営業貸付金が62百万円、その他有形固定資産が14百万円減少したこと等によるもの。負債合計は1億44百万円減少の22億20百万円となった。これは主に、賞与引当金が10百万円増加した一方で、預り金が70百万円、短期借入金が50百万円、長期借入金が19百万円減少したこと等によるもの。純資産合計は2百万円増加の17億66百万円となった。これは主に、為替換算調整勘定が5百万円、非支配株主持分が3百万円増加した一方で、四半期純損失6百万円を計上したこと等によるもの。

3.2024年12月期業績予想

連結業績予想

 

23/12期

構成比

24/12期(予)

構成比

前期比

売上高

1,914

100.0%

2,505

100.0%

+30.9%

営業利益

13

0.7%

36

1.5%

+177.5%

経常利益

26

1.4%

26

1.1%

+1.1%

当期純利益

-33

-

43

1.7%

-

*単位:百万円。

 

通期予想に修正はなく、24/12期は売上高が前期比30.9%増の25億5百万円、営業利益は同177.5%増の36百万円を計画する。
「プラットフォームとしてのセルフランドリー事業」をさらに成長させる考え。FC部門では、かねてより中国子会社(WASHHOUSE(Shandong)CO.,LTD.)で開発中の新しい洗濯機・乾燥機(ランドリー機器)を下期から新店舗に投入する計画。店舗運営部門については、前期を超える販売促進キャンペーンを計画している。この新しい機械を市場投入していくことは、今後の当社の事業展開はもちろん、業界の常識を大きく変えるものになる見通し。7月20日にはオリジナル洗濯機・乾燥機に関する発表会を開催する。23/12期に発生した飲食店等の店舗出店ラッシュも、現在では落ち着きを見せ始めている。このため、上期は出店用地を開発する営業活動を中心に取り組み、下期から新しいランドリー機器を設置した店舗の新規出店を加速させていく。
出店はFCで30店舗を計画、期末店舗数は直営64、FC563の計627店舗となる見通し。

 

WASHハウスアプリではランドリーサービス以上の価値を提供。

 

WASHハウスアプリを使った全店舗対象キャンペーン事例

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

1Qは減収減益となりFC部門では新規出店もなく、24/12期は静かなスタートを切った。こうした中、FC店舗から受領する洗剤販売、店舗管理手数料、清掃受託費、広告分担金及び直営店からの収入から構成される店舗運営部門は増収増益を確保しており、店舗数が減少するも既存店の売上はしっかり伸ばしている。これまで取り組んできた成果が24/12期には徐々に発揮されると見ているが1Qは数字に表れるほど悪くはない。下期からはオリジナルのランドリー機器を相次いで投入、新規出店も積極化する。7月20日にはオリジナル洗濯機・乾燥機に関する発表会を開催し弾みをつけたい。25/12期には中国での事業も本格化させる見通し。
16年に新規上場し、17年以降長きにわたり株価は低迷、現在上場時の公開価格(遡及修正後で1,150円)の3分の1程度。しかし、オリジナルランドリー機器の投入とともに収益構造の転換が進めば株式市場の評価も大きく変わるのではないだろうか。2Q以降の機器の開発状況や新規出店の進捗に注目したい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2024年3月28日

 

<基本的な考え方>
当社は、法令を遵守し、公正かつ透明性のある企業活動を推進し、会社の成長を通じて地域社会に貢献するとともに、企業を取り巻く株主、顧客、従業員、取引先、地域社会等、全てのステークホルダー(利害関係者)からの信頼が得られる企業であるよう努め、将来に向けグローバルな事業活動を展開していく方針であります。
また、経営の透明性と公正性の向上および環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、当社の成長に応じたコーポレート・ガバナンス体制の構築に努め、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「基本原則の全てを実施してまいります」と記述している。

 

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