ブリッジレポート:(6183)ベルシステム24ホールディングス 2024年2月期決算
梶原 浩 社長 | 株式会社ベルシステム24ホールディングス(6183) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | サービス業 |
代表取締役 社長執行役員CEO | 梶原 浩 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門四丁目1番1号神谷町トラストタワー6階 |
決算月 | 2月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,525円 | 73,753,310株 | 112,473百万円 | 11.5% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
60.00円 | 3.9% | 109.14円 | 14.0倍 | 907.54円 | 1.7倍 |
*株価は4/10終値。各数値は24年2月期決算短信より。
連結業績推移(IFRS)
決算期 | 売上収益 | 営業利益 | 税前利益 | 当期利益 | EPS | DPS |
2021年2月 | 135,735 | 11,799 | 11,305 | 7,252 | 98.64 | 42.00 |
2022年2月 | 146,479 | 13,234 | 13,463 | 8,943 | 121.65 | 54.00 |
2023年2月 | 156,054 | 14,917 | 14,157 | 9,330 | 126.82 | 60.00 |
2024年2月 | 148,717 | 11,479 | 11,225 | 7,545 | 102.61 | 60.00 |
2025年2月(予) | 153,000 | 12,500 | 12,200 | 8,000 | 109.14 | 60.00 |
* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。以下同様。
(株)ベルシステム24ホールディングスの2024年2月期決算概要などをご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2024年2月期決算概要
3.2025年2月期業績予想
4.市場環境と同社の取り組み
5.今後の注目点
<参考:中期経営計画2025>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 24年2月期の売上収益は前期比4.7%減の1,487億円。基礎業務は同4.6%増。コロナ禍収束により企業の事業活動が正常化に向かう中でアウトソーシング需要が高まり、新規・既存業務が拡大。コロナ等国策関連業務はワクチン関連業務が大きく減少し、同59.7%の減収。営業利益は同23.0%減の114億円。コロナ等国策関連業務の減少で売上総利益が同15.1%減少。一方で、人件費(賞与)の反動減、広告宣伝費の減少などで販管費も同3.7%減少したが、減収を補うことはできなかった。
- 計画に対して売上収益は5.3%の未達。基礎業務において、クライアント数は増加したものの、想定したほどは大規模案件が発生しなかった。基礎業務では計画を4.1%下回った。コロナ等国策関連業務も18.9%の未達。営業利益は計画比16.8%の未達。売上収益計画比未達が主要因。価格改定も想定ほどは進まなかった。コロナ関連の案件減少に伴うコミュニケーターの再配置に時間を要したことも影響した。
- 25年2月期は増収増益を予想。売上収益は前期比2.9%増の1,530億円の予想。基礎業務増収、コロナ等国策関連業務減少を見込んでいる。営業利益は同8.9%増の125億円の予想。基礎業務の増収効果に加え、連結子会社の業績伸長も貢献し売上総利益が増加。物価高等によるコスト増加、連結子会社の業容拡大に伴う費用増加等、販管費も増加を予想するがこれを吸収し増益を見込む。配当は前期と同じく60.00円/株を予定。予想配当性向は55.0%。配当性向50%を基本方針に、今後も安定かつ継続的な実施を目指す。
- 同社では、海外BPOの国内回帰、生成AIの普及・浸透、労働力人口の減少から、国内のコンタクトセンターを含むアウトソーシング市場は2030年に向け、現在の1.2兆円規模から、新たな需要を含め2-3兆円規模に拡大すると見ている。そうした中、コンタクトセンターにおける生成AI活用に向けた取り組みを加速させており、「生成AIの円滑な導入と運用管理に向けた橋渡し」という立場から、顧客、システムベンダー、生成AIベンダー、同社の四者による新たな連携を進めていく考えだ。
- また、生成AI活用にあたっては、LLM(大規模言語モデル)ではなく、コンタクトセンターでの活用にターゲットを絞り込んだ「コンタクトセンター ベースAIモデル」を共通基盤としながら、金融、EC、通信といった各業界固有モデルとクライアント個社のカスタムモデルを構築し、顧客にとっての最適な生成AI活用を提供していくことが効果的と考えている。
- 24年2月期の減収減益に対し、25年2月期は増収増益を予想しているが、売上収益の期初予想は1,530億円と、過去最高であった23年2月期の1,560億円および24年2月期の当初予想1,570億円に及ばない。コロナ等国策関連業務減少の中、前期想定通りには大型案件が獲得できなかった基礎業務が、新規顧客案件の伸長により、どれだけ回復していくかが注目される。価格改定の進展も注視したい。一方、生成AIの活用に関しては、現場業務を熟知した同社を評価し、クライアントおよびシステムベンダーから多数の問い合わせがあるとのことで、今後の各種リリースを期待したい。
1.会社概要
持株会社である同社と子会社6社でグループを形成。コンタクトセンターアウトソーシングを中心とするCRM事業、テクノロジーサービス及びコンサルティングサービスを主たる事業とする。
子会社は、コンタクトセンター運営及びその付帯業務の株式会社ベルシステム24(出資比率100.0%)、ITサービスデスクやBPO(Business Process Outsourcing)等のCTCファーストコンタクト株式会社(出資比率51.0%)、レイヤーズ・コンサルティング社との合弁会社で人事・経理の領域でBPOサービスや各種コンサルティング、人材活躍支援サービスを展開する株式会社Horizon One(出資比率51.0%)、顧客接点で生じるデータを企業のマーケティングDXに活用し、データアナリスト、エンジニアによるAIソリューション開発も実施している株式会社シンカー(出資比率70.0%)、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社の株式会社ベル・ソレイユ(出資比率100.0%)、ベトナムでコンタクトセンター事業を展開するBELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.(出資比率80.0%)。
持分法適用会社として、TOPPANとの合弁会社で、DX推進を支援するほか次世代BPOサービスを展開する株式会社TBネクストコミュニケーションズ(出資比率49.0%)、タイ国内でコンタクトセンターを運営し、国内外のクライアントへサービスを提供するTrue Touch co., Ltd.(出資比率49.9%)の2社がある。
伊藤忠商事(株)が同社議決権の40.7%を有し、同社を持分法適用関連会社としている。生活消費関連分野を中心とする非資源分野に注力している伊藤忠商事(株)グループにおいて、コールセンター事業を手掛ける同社は「企業と消費者の接点」としての役割を担っている。2014年10月の資本提携以降、様々な連携を進めており、伊藤忠商事グループと取引は順調に拡大している(伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針)。
グループの中核である株式会社ベルシステム24は、1982年の創業以来約40年にわたり、企業と生活者の接点となるコンタクトセンターを中心とした幅広いアウトソーシング事業を展開し、業界のスタンダードモデルを創出してきた。
人とテクノロジーの力を掛け合わせることで培ってきた運用知見をもとに、事業価値の向上を目指し、電話を主なサービスチャネルとする従来型のサービス提供方法に加え、新たなソリューションの開発に積極的に取り組んでいる。
【1-1 企業理念】
以下のPURPOSE、VALUESを掲げている。
自身がどうあるべきか、何を約束すべきかを、一言で定義するため、CORPORATE VOICEを設け、より明確化するためのMANIFESTOも設定している。
PURPOSE
イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える
VALUES
・対話の力:対話で悩みやアイデアに寄り添い、ともに解決し、ともに成功する。
・独創性:現場力と進化するテクノロジーの融合で、ほかにない価値をつくる。
・多様性:社員一人ひとりが自分らしく躍動し、新たな可能性に出会う場所になる。
・成功への伴走:積み重ねた経験で、最適解を導き出し、お客さまの成功にコミットする。
・豊かさの共創:モノやサービスの体験価値を高め、人々の豊かな時間を支える。
【1-2 事業内容】
(1)事業の概要
事業は、報告セグメントであるCRM事業とその他に分かれ、CRM事業が連結売上高の90%以上を占めている。
セグメント別売上
| 24/2期 |
CRM事業 | 148,107 |
その他 | 610 |
連結売上収益 | 148,717 |
*単位:百万円
CRM事業
主に(株)ベルシステム24及びCTCファーストコンタクト(株)の事業領域である。電話を主なコミュニケーションチャネルとする従来型のインバウンド・アウトバウンドコールの業務に加え、Webやソーシャルメディア等のIT技術を駆使した様々なサービスを、クライアント企業へ提供している。売上の90%程度を継続業務が占めるストック型のビジネスで、キャンペーン対応や選挙関連等のスポット業務が残り10%程度。また、ソフトバンク向けの売上が全体の10%程度(継続業務)を占めている。業務は、次の4業務に分ける事ができる。
①クライアント企業のカスタマーサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスに関する質問に対応する業務)
②クライアント企業のセールスサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスの販促をサポートする業務)
③クライアント企業のテクニカルサポート業務(主にクライアント企業のIT製品の操作方法等に関する質問に対応する業務)
④BPO業務(主にクライアント企業のWeb制作、データ入力作業等を請け負う業務)
(2)顧客
2024年2月末の顧客数(基礎業務)は前年比100社増加の1,350社。
多様な業種・業態な顧客のニーズに対応することができる現場対応力が高く評価されている。
業種 | 概要 |
サービス業 | 人材紹介・ネット関連サービス・放送・電子マネー・コード決済・ポイントサービス等 |
運輸・通信業 | 通信キャリア・プロバイダ・旅行・運輸等 |
金融・保険業 | 銀行・証券・生損保・クレジットカード等 |
卸売・小売業 | 通販・Eコマース・商品販売サービス等 |
製造業 | メーカー・食品製造・印刷・医薬関連等 |
その他 | 自治体・電気・ガス・水道・住宅・不動産等 |
(3)拠点体制
2024年2月末時点で、国内に37拠点、ブース数19,900席を有する。海外拠点として台湾支店を設置している他、ベトナム、タイにグループ会社がある。
(同社資料より)
【1-3 ROE分析】
| 16/2期 | 17/2期 | 18/2期 | 19/2期 | 20/2期 | 21/2期 | 22/2期 | 23/2期 | 24/2期 |
ROE (%) | 15.6 | 11.0 | 13.4 | 12.1 | 14.8 | 14.2 | 16.0 | 15.1 | 11.5 |
売上高当期純利益率(%) | 4.91 | 3.95 | 4.85 | 4.46 | 5.53 | 5.34 | 6.11 | 5.98 | 5.07 |
総資産回転率(回) | 0.75 | 0.79 | 0.82 | 0.86 | 0.82 | 0.80 | 0.83 | 0.88 | 0.85 |
レバレッジ(倍) | 4.22 | 3.56 | 3.37 | 3.16 | 3.25 | 3.34 | 3.13 | 2.88 | 2.69 |
レバレッジが低下傾向にある中でも、ROEは一般的に日本企業が目標とすべきといわれている8%を超え、10%台で推移している。収益性の改善によるROEの更なる向上余地は大きいと思われる。
【1-4 ESGについて】
(1)取組み
企業理念や重要課題およびESG を踏まえ、社会課題解決のための活動を積極的に実施している。
E | *自社センターおよびデータセンターへ再生可能エネルギー導入 2040年のカーボン・ニュートラル化に向けた取り組み第一弾として、気候変動方針での中期目標の対象施設の自社コンタクトセンター2拠点及びデータセンターに再生可能エネルギーを導入した。国内5拠点を、温室効果ガスを発生させない「サステナブル・センター」として運用していく。 |
S | *内閣府・厚生労働省が後援する「2023 J-Winダイバーシティ・アワード」で最高賞を受賞 NPO法人J-Win(ジェイウイン)が主催し、内閣府や厚生労働省などが後援する「2023 J-Winダイバーシティ・アワード」において、最上位のクラスである「アドバンス部門」の「大賞」を受賞した。
*札幌・大阪で開催されたLGBTQ+イベントに協賛 「さっぽろレインボープライド2023」(札幌)および「レインボーフェスタ!2023」(大阪)に協賛。「LGBTQ+フレンドリー企業(※)」として広告を出稿し、パレードに参加した。 ※LGBTQ+フレンドリー企業 従業員がLGBTQ+を周囲にカミングアウトしている・していないに関わらず、LGBTQ+が働きやすい職場づくりに取り組んでいる企業
*障がいを持つ方たちのバリスタコンペティション「CHALLENGE COFFEE BARISTA」に協賛 昨年に引き続きメインスポンサーとして協賛した。「障がいを持つ社員の運営によるカフェ」の同社スタッフがチームを結成し、本大会に出場した。
*D&I認定制度「D&Iアワード2023」にて 「D&Iアワード賞(大企業部門)」を受賞 LGダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを評価する『D&I Award』において、最上位「BEST WORKPLACE(ベストワークプレイス)」に3年連続で認定され、ロールモデルとなる企業に贈られる「D&Iアワード賞(大企業部門)」を受賞した。 |
*24年2月期説明資料掲載分
ESGのグローバル基準を満たす日本企業を対象とした株価指数「FTSE Blossom Japan Index」および「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定された。
2.2024年2月期決算概要
【2-1 連結業績】
| 23/2期 | 構成比 | 24/2期 | 構成比 | 前期比 | 予想比 |
売上収益 | 156,054 | 100.0% | 148,717 | 100.0% | -4.7% | -5.3% |
売上総利益 | 31,962 | 20.5% | 27,139 | 18.2% | -15.1% | - |
販管費 | 17,231 | 11.0% | 16,598 | 11.2% | -3.7% | - |
営業利益 | 14,917 | 9.6% | 11,479 | 7.7% | -23.0% | -16.8% |
税引前利益 | 14,157 | 9.1% | 11,225 | 7.5% | -20.7% | -16.2% |
当期利益 | 9,330 | 6.0% | 7,545 | 5.1% | -19.1% | -14.3% |
*単位:百万円。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。
減収減益
売上収益は前期比4.7%減の1,487億円。
基礎業務は同4.6%増。コロナ禍収束により企業の事業活動が正常化に向かう中でアウトソーシング需要が高まり、新規・既存業務が拡大。ベトナム子会社の売上収益も加わり増収。コロナ等国策関連業務はワクチン関連業務が大きく減少し、同59.7%の減収。
営業利益は同23.0%減の114億円。コロナ等国策関連業務の減少で売上総利益が同15.1%減少。一方で、人件費(賞与)の反動減、広告宣伝費の減少などで販管費も同3.7%減少したが、減収を補うことはできなかった。
当期利益は同19.1%減の75億円。持分法による投資損益は前期の2.9億円の損失から1.4億円の利益に転換した。
計画に対して売上収益は5.3%の未達。基礎業務において、クライアント数は増加したものの、想定したほどは大規模案件が発生しなかった。基礎業務では計画を4.1%下回った。コロナ等国策関連業務も18.9%の未達。
営業利益は計画比16.8%の未達。基礎業務、コロナ等国策関連業務の売上収益計画比未達が主要因。価格改定も想定ほどは進まなかった。コロナ関連の案件減少に伴うコミュニケーターの再配置に時間を要したことも影響した。
◎売上収益内訳
| 23/2期 | 24/2期 | 前期比 | 予想比 |
売上収益 | 1,560.5 | 1,487.2. | -4.7% | -5.3% |
基礎業務 | 1,330.5 | 1,391.9. | +4.6% | -4.1% |
コロナ等国策関連業務 | 221.1 | 89.2 | -59.7% | -18.9% |
その他 | 9.0 | 6.1 | -32.2% | -32.2% |
*単位:億円
◎基礎業務
増収。新規・既存業務の着実な拡大に加え、新規連結子会社の売上収益増が寄与した。
前述のように、大型案件が少なく計画を下回ったが、新規顧客は着実に増加しており、今期以降に繋がるものと会社側は考えている。
◎コロナ等国策関連業務
ワクチン関連業務が前期比、計画比とも大きく減少した。
【2-2 事業トピックス】
(1)業種別売上収益(基礎業務)
| 23/2期 | 24/2期 | 前期比 |
サービス業 | 316 | 338 | +7.0% |
運輸・通信 | 323 | 306 | -5.3% |
金融・保険業 | 222 | 240 | +8.1% |
卸売・小売業 | 187 | 175 | -6.4% |
製造業 | 90 | 83 | -7.8% |
その他 | 68 | 70 | +2.9% |
*単位:億円。㈱ベルシステム24単体の売上収益上位300社を対象。前期比%は同社資料よりインベストメントブリッジが計算。
(増収)
サービス業:デリバリー関連は減少も、人材紹介を中心に増加金融・保険業:生損保を中心とした保険関連及びクレジットカード関連が堅調
その他:自治体DXの取り組みを推進、公共サービスは横ばい
(減収)
運輸・通信:通信キャリアはほぼ横ばい、運輸サービスはリコール取引の縮小により減少
卸売・小売業:通販は増加、一般的な商品販売関連の業務縮小が継続
製造業:医薬関連はコロナ禍の収束により案内業務等が減少、メーカーはリコール取引の終了により減少
*人材・教育関連業務では、雇用の流動化による求人数増加が続く中で中途斡旋関連の業務を中心に着実に増加
*非対面関連業務では、保険関連業務の拡大が継続するも、コロナ禍の収束と共にデリバリー関連業務及びEコマース関連業務が減少
*キャッシュレス決済関連業務では、クレジットカード関連業務、電子マネー・コード決済関連業務が堅調に拡大
(2)伊藤忠シナジー
前期比5.7%の減収。通信キャリア、金融関連業務は堅調に増加したものの、前年度の大型スポット案件が終了したこと等より減収となった。
(同社資料より)
(3)直雇用CM比率・在宅コンタクトセンター席数
24年2月期第4四半期(12-2月)の直雇用CM(コミュニケーター)比率は前年第4四半期比2.1%上昇の79.9%。今年度より本格導入したJOBマッチングは、徐々に利用範囲を拡大しており、直雇用CM比率の向上に寄与している。今後は定着率の向上にも期待している。
2024年2月末の在宅コンタクトセンター席数は前期末比240席増、8.2%増の3,160席。
(同社資料より)
音声データ活用DXの基盤となるBellCloud+(プラス)の席数は前年末比1,090席拡大の7,240席。前年度に比べて増加ペースは緩やかになったものの順調に席数を拡大している。
音声認識システムの導入は24年2月末1,200席で、前年末比では一部の業務終了により若干の減少となるも、データ分析や生成AI技術の活用・推進の基盤とすべく、引き続き導入拡大を目指す。
(4)中期経営計画の投資進捗
中期経営計画2025で発表した2025年度までの3年間の投資総額は150億円以上で、
①拠点等設備投資
②事業投資
③データ活用ソリューション・人的資本強化関連投資
を予定している。
2023年度の投資総額は40.1億円。内容は以下のようなものであった。
カテゴリー | 投資金額 | 内訳 |
設備投資 | 22.0億円 | ・ データ活用ソリューション:音声基盤投資(Bellcloud、Bellcloud+等) ・ ITインフラ投資:IT機器、ソフトウエア開発投資 ・ ファシリティ投資:地方拠点増床、拠点ファシリティ投資 ・ ESG関連投資:LED菜園導入等 |
事業投資 | 8.6億円 | ・ M&A:新規連結子会社(BELLSYSTEM24 VIETNAM、㈱シンカー) ・ ベンチャー投資:事業会社への少額出資 |
投資経費 | 9.5億円 | ・ データ活用ソリューション:データ分析投資、AI・DX関連投資 ・ 人的資本の強化:人材教育投資、拠点環境整備・エンゲージメント向上投資 |
合計 | 40.1億円 | - |
【2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)】
◎財政状態
| 23年2月末 | 24年2月末 | 増減 |
| 23年2月末 | 24年2月末 | 増減 |
流動資産 | 30,673 | 28,297 | -2,376 | 流動負債 | 46,238 | 48,599 | +2,361 |
現預金 | 6,998 | 7,213 | +215 | 営業債務 | 7,634 | 5,531 | -2,103 |
営業債権 | 21,232 | 19,195 | -2,037 | 借入金 | 16,600 | 23,000 | +6,400 |
非流動資産 | 145,577 | 147,168 | +1,591 | 非流動負債 | 65,101 | 59,127 | -5,974 |
有形固定資産 | 37,007 | 35,828 | -1,179 | 長期借入金 | 38,221 | 33,234 | -4,987 |
のれん | 94,900 | 96,772 | +1,872 | 負債合計 | 111,339 | 107,726 | -3,613 |
資産合計 | 176,250 | 175,465 | -785 | 資本合計 | 64,911 | 67,739 | +2,828 |
|
|
|
| 自己資本(※) | 64,224 | 66,730 | +2,506 |
|
|
|
| 借入金合計 | 54,821 | 56,234 | +1,413 |
*単位:百万円。自己資本は親会社の所有者に帰属する持分合計。
営業債権、有形固定資産の減少などで資産合計は前期末比7億円減少。営業債務の減少などで負債合計は同36億円減少。利益剰余金の増加などで資本合計は同28億円増加。自己資本比率は前期末から1.6ポイント上昇し38.0%。
◎キャッシュ・フロー
| 23/2期 | 24/2期 | 増減 |
営業CF | 18,172 | 13,587 | -4,585 |
投資CF | -1,803 | -3,097 | -1,294 |
フリーCF | 16,369 | 10,490 | -5,879 |
財務CF | -15,583 | -10,286 | +5,297 |
現金・現金同等物期末残高 | 6,998 | 7,213 | +215 |
* 単位:百万円
税引前利益の減少、前期にあった有価証券の売却による収入が24/2期はなかったことなどで営業CF、フリーCFのプラス幅は23年2月期と比較して縮小。
キャッシュポジションは上昇した。
3.2025年2月期業績予想
3-1 連結業績予想
| 24/2期 | 構成比 | 25/2期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上収益 | 148,717 | 100.0% | 153,000 | 100.0% | +2.9% |
売上総利益 | 27,139 | 18.2% | 29,800 | 19.5% | +9.8% |
販管費 | 16,598 | 11.2% | 17,300 | 11.3% | +4.2% |
営業利益 | 11,479 | 7.7% | 12,500 | 8.2% | +8.9% |
税引前利益 | 11,225 | 7.5% | 12,200 | 8.0% | +8.7% |
当期利益 | 7,545 | 5.1% | 8,000 | 5.2% | +6.0% |
*単位:百万円
増収増益を予想
売上収益は前期比2.9%増の1,530億円の予想。基礎業務増収、コロナ等国策関連業務減少を見込んでいる。
営業利益は同8.9%増の125億円の予想。基礎業務の増収効果に加え、連結子会社の業績伸長も貢献し売上総利益が増加。物価高等によるコスト増加、連結子会社の業容拡大に伴う費用増加等、販管費も増加を予想するがこれを吸収し増益を見込む。
配当は前期と同じく60.00円/株を予定。予想配当性向は55.0%。配当性向50%を基本方針に、今後も安定かつ継続的な実施を目指す。
◎売上収益の内訳
| 24/2期 | 25/2期(予) | 前期比 |
売上収益 | 1,487.2 | 1,530.0 | +2.9% |
基礎業務 | 1,391.9 | 1,493.0 | +7.3% |
コロナ関連業務 | 89.2 | 30.0 | -66.4% |
その他 | 6.1 | 7.0 | +14.8% |
*単位:億円
*基礎業務
増収予想。人材不足等によるアウトソース需要の拡大とDXソリューション等の新サービスが寄与。
価格改定には継続的、定期的に取り組んでいく。
*コロナ等国策関連業務
大幅減収予想。前年度でワクチン接種問い合わせ等のコロナ関連大規模業務はほぼ終了した。国や自治体による各種給付金支給等の業務の取り込みを想定している。
4.市場環境と同社の取り組み
同社を取り巻く市場環境及び、今後の取り組みについて、同社では以下のように考えている。
【4-1 コンタクトセンターのアウトソーシング市場】
主に以下の3点から、国内のコンタクトセンターのアウトソーシング市場は2030年に向け、現在の1.2兆円規模から2-3兆円規模に拡大すると、同社では見ている。
(1)海外BPOの国内回帰
2000年代に、多くの日本企業は円高傾向や国内外の賃金格差からBPO業務を海外に持ち出していたが、円安傾向や賃金格差の縮小などにより、国内回帰が進んでいる。
(2)生成AIの普及・浸透
生成AI等による効率化により市場が縮小する一方で、新たにAI関連業務が増加し、市場の拡大が見込まれる。
(3)労働力人口の減少
労働力人口の減少に伴い、企業はこれまで内製で運営してきたコンタクトセンターのアウトソースを余儀なくされている。
加えて、コア業務を担う労働力を確保する一方、人事・経理といった事務系業務はBPO化する流れが一層強まっていく。
同社では内製コンタクトセンターの規模を既存市場と同程度の1.2兆円と見ており、3割程度がアウトソースされると試算する。
(同社資料より)
【4-2 同社の取り組み】
(1)生成AIの活用
◎新たな連携の推進
同社では2023年5月より、コンタクトセンターを使用して実データを用いた、生成AI活用の実証実験を開始している。
生成AIを用いた場合、従来のコンタクトセンター業務がどのように変化し、効率化が進むのかなどのナレッジの蓄積が進んでいる。
この結果をクライアント企業および、協業するシステムベンダーやSier、生成AIベンダーに提供したところ、「コンタクトセンター業務での具体的な活用イメージができた」とのクライアントの評価のみでなく、ベンダー/Sierからも「実際のデータを使って、生成AI毎の対応レベルが把握できたことは非常に有益」との声をもらうことができた。
コンタクトセンターを自社で保有・運営している強みについて、ベンダーも高く評価している。
同社では、「生成AIの円滑な導入と運用管理に向けた橋渡し」という立場から、生成AI導入に向けた四者(クライアント、システムベンダー、生成AIベンダー、同社)による新たな連携を進めていく考えだ。
◎生成AIモデルについて:コンタクトセンター業界の生成AIモデル構想
生成AIについては、OpenAI社を代表とするLLM(大規模言語モデル)の活用が世間の耳目を集めているが、同社では、所謂LLMではなく、コンタクトセンターでの活用にターゲットを絞り込んだ「コンタクトセンター ベースAIモデル」を共通基盤としながら、金融、EC、通信といった各業界固有モデルとクライアント個社のカスタムモデルを構築し、顧客にとっての最適な生成AI活用を提供していくことが効果的との考えだ。
生成AIについては日々新たな状況が生まれているため、柔軟に対応する必要があるとも考えている。
(同社資料より)
(2)新たなBPO市場の開拓
シンカー社、エコポーク社、BlueShip社を始めとして、M&Aや提携によって独自の強みを有する企業との関係強化を進めており、伊藤忠グループに加え、各社のリソースを活用し、「マーケティング」「人材」「人事経理」「ウェルネス」「金融」「セールス」「自治体」「一次産業」など、業務の型化および効率化を進めて新たなBPO市場を開拓する。
コンサルティング会社との競合も生じているが、現場業務を熟知している同社の強みを活かして競争を勝ち抜いていく考えだ。
(同社資料より)
5.今後の注目点
24年2月期の減収減益に対し、25年2月期は増収増益を予想しているが、売上収益の期初予想は1,530億円と、過去最高であった23年2月期の1,560億円および24年2月期の当初予想1,570億円に及ばない。
コロナ等国策関連業務減少の中、前期想定通りには大型案件が獲得できなかった基礎業務が、新規顧客案件の伸長により、どれだけ回復していくかが注目される。価格改定の進展も注視したい。
一方、生成AIの活用に関しては、現場業務を熟知した同社を評価し、クライアントおよびシステムベンダーから多数の問い合わせがあるとのことで、今後の各種リリースを期待したい。
<参考:中期経営計画2025>
1 概要
中期経営計画は、「NEW BPO ~すべての“その声”を、ふかめる、つなげる、ひろげる」とのテーマを掲げている。
アフターコロナにおいて、社会では「経済活動の正常化とそれに伴う労働市場の逼迫」「複合リスクから生じる先行きが不透明な様々な経営課題の発生」「テクノロジーの進化や、顧客接点の複雑化によるマーケティングニーズの高まり」といった状況変化が生まれている。
また、市場においては「人材不足による人件費上昇、顧客対応自動化の動き」「様々な経営課題の中、攻め・守り双方の領域で効果的なBPO需要の増加」「テクノロジー活用によるマーケティングと、活躍できる高度人材の確保の必要性」といった変化やニーズの高まりが予測される。
そうした事業環境の下、同社は、社会、企業、生活者を含めたすべての声(ニーズ)に耳を傾け、それを経営判断に関わる価値に変え、最適なアクションに導くプロセスの型化とデータ活用により新たなBPOを顧客に提供することを目指している。
NEWは、「Next、Engage、Widen」の意味でもある。
2 重点施策
「人材:総力4万人の最大活躍」「型化:データ活用の高度化」「共創:BPO領域開拓」の3つを重点施策としている。
重点施策 | 概要・テーマ |
1.人材 | 成長機会の仕組み化と働く環境の次世代化 *完全在宅オペレーションへの進化と拡張 *JOBマッチングによる個の能力最大化 *全方位に多様で柔軟な働き方改革の促進 |
2.型化 | 顧客ニーズにこたえるCX業務の深化と拡張 *音声データの技術追求と分析による成果向上 *生活者ニーズを掴むデータ連携の高度化 *自動化と人財のハイブリッド運用の追求 |
3.共創 | 相互補完と運用力で新BPO領域の創出 *大規模/安定稼働ニーズの高いBPO領域発掘 *CX(※)進化のためのマーケティングBPO確立 *新技術適用での次世代BPO業務のR&D推進 |
※CX:Customer eXperience、顧客体験
「1.人材」「2.型化」を「ふかめ」、前中計から取り組んでいるパートナーとの連携に「つなげ」、「3.共創」によって新たなBPO領域の開拓を目指す(ひろげる)。
(同社資料より)
①人材:総力4万人の最大活躍
◎完全在宅の推進
場所や時間の制約を超えて「お互い」が多様性と効率化を最適にする職場を構築する。
外出不要・ライフワークの充実が可能な持続可能な働き方を確立することで、優秀な人材の確保や人手不足の解消を図り、センターの効率化を進める。
在宅席数を前期末の3,000席から、完全在宅を含む10,000席への増席を目指す。
◎適正と仕事のマッチング強化
それに向け、AIを活用した人材データ分析やアプリ開発事業等を展開する(株)DUMSCOと協業し、長期勤続人材の採用および定着を目的に、同社内に蓄積するHR領域のデータを用いたAI予測モデルの活用と、新たに全社統一した採用基準・プロセスを組み合わせた「業務マッチング型採用モデル」を構築し、全社規模での運用を開始した。
これにより、応募者に最適かつ幅広い業務での活躍の場を提供するとともに、採用プロセスを効率化することで、採用後の研修などアフターフォローのさらなる充実や離職防止の強化を図ることができると同社では考えている。
(株)DUMSCOは、人材のパフォーマンスを最大化するAI設計と運用の先駆的企業で、ベルシステム24ホールディングスはDUMSCO社の株式10.0%を取得している。
②型化:CX業務の深化
◎CX業務の目指す姿
CX業務をデータ活用で高度化し、新たな価値提供を実現する。
4万人の社員が働く喜びを実感し、誰もが活躍できる仕組みを構築し、生活者・クライアント双方の声をデータ化。
生活者に対しては顧客体験向上に向け多様なニーズにマッチした対応を行い、クライアントに対しては事業成長への貢献のため、業務プロセスの最適化を提供する。
◎2つの新たな深化
既存のコンタクトセンター業務における音声データ活用の高度化に加え、IT利活用、経営支援につながる業務改善へとCXを2つの面から深化させる。
1つは、ITを利活用し、CX領域でのシステム活用を“型化”。 顧客反応に最適化したIT導入によるデジタルCXコンサルを提供する。
もう1つは、CX活用での業績改善を“型化“。顧客業務の改善で数字に直接貢献するDXダイレクトセンターにより経営支援を行う。
◎自動化と人のハイブリッド運用
人手不足に伴う数々の自動化テクノロジーの普及に伴い、人特有のホスピタリティー溢れる価値提供への評価・期待がさらに高まるため、自動化と人のハイブリッド運用で顧客が感動するCXを実現することが重要と考えている。
③共創:新領域開拓の探求
◎新領域 “NEW BPO”
ベンチャー伴走、HRテックを始めとして、今後の成長が予見される領域におけるBPOビジネスの確立を目指している。
(同社資料より)
◎VOC(※)が活きるマーケティングBPO
TOPPAN(株)を始めとした各パートナーとの共創により、生活者との良好な関係性を維持するCXコミュニケーションを創出する。
全ての顧客チャネルで“程よいPUSH”と“価値向上”を高度なCX応対とIT運用力で実現する。成果が持続する“双方向マーケティング”モデルを構築する。
※VOC: Voice Of Customer、顧客の声
3 定量目標
(同社資料より)
2026年2月期「売上収益1,800億円、営業利益165億円、税引後利益110億円」を目標として掲げている。
ROEは14.4%、配当性向は50%を目指す。
4 人的資本戦略
持続的に発展していくため、働く『人』と『環境』へ人的資本の積極投資を行い、“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある企業を実現する。
具体的には、キャリアマップによる成長促進を図るために、RE-Skilling、UP-Skillingを浸透させるとともに、20以上の職種設定、豊富なキャリアパス、戦略的育成・配置を実施する。
また、最大活躍を支える人事制度の進化を図り、デジタル等人材確保に向けた報酬制度の見直し、契約社員の無期雇用化促進に取り組む。
D&I(Diversity & Inclusion)や健康経営を更に推進する。
5 サステナビリティ
マテリアリティを特定し、2025年の目標を掲げている。
気候変動に関しては、GHG排出量は、2019年対比で30%削減を目指す。
人的資本強化については、研修投資を現状から10%増加させ、売上対比0.33%にするほか、役員の女性比率10%以上、
管理職の女性比率20%以上を目標としている。
(同社資料より)
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 8名、うち社外4名 |
監査役 | 3名、うち社外2名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年5月26日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめ、クライアント、取引先、従業員等の当社および当社のグループ会社(これらを総称して、以下「当社グループ」といいます。)を取り巻く全てのステークホルダーと良好な関係を構築するとともに、その信頼を得ることが企業価値の最大化に不可欠であり、そのためにはコーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題の一つであるとの認識のもと、経営の効率化を図りつつ、透明性と健全性を確保した企業運営に努めております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
【補充原則4-1-3 最高経営責任者等の後継者計画の適切な監督】
取締役会は、最高経営責任者である代表取締役を兼務する社長執行役員の後継者の計画を定めておりませんが、ステークホルダーが最高経営責任者に期待する役割の重要性を認識しております。
「指名委員会」は、候補者が経営判断能力、経営者としての胆力、多角的な視野と先見性等の「取締役選解任基準」に定める「代表取締役候補者の選定基準」に合致しているかを含めて総合的に判断し、取締役会へ提案しております。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則1-4 政策保有株式】
純投資目的以外の投資を行う際は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社グループの事業における相乗効果が期待されるか否かによって投資の是非を判断することとし、縮減するか否かについても同様に相乗効果が期待されるかによって判断することを基本方針としております。さらに、個別の銘柄につき、経済合理性の観点から、配当の有無や業績不振の銘柄については、今後の業績の推移、回復可能性を検討し資本効率向上の観点からも縮減を含めた保有の是非を毎年検討いたします。
なお、当社が保有している上場会社の政策保有株式、1銘柄(貸借対照表計上額20百万円)について、取締役会において継続保有の是非を検証した結果、継続して保有することにいたしました。
また、政策保有株式に係る議決権の行使に関しては個別議案ごとに、投資先企業の中長期的な企業価値向上や株主還元向上につながるか、当社の投資目的である相乗効果が最大限発揮され、当社グループの企業価値向上に寄与するかどうかなどを総合的に判断し、行使することを基本方針としております。
【補充原則2-4-1 中核人材の登用等における多様性の確保】
(1)多様性の確保
当社は、企業理念(PURPOSE)に基づき、従業員の多様性を尊重し、あらゆる属性の人材が生き生きと働くことができる環境の整備、柔軟な人事制度の構築、自律的な成長をサポートする教育機会提供などの取り組みを積極的に行っております。
(2)女性
当社は、女性活躍推進を積極的に行っており、外部団体による各種表彰、及び外部認証を受けるなど実績が認められております。今後も働く環境の整備、経験蓄積機会の提供、自律的なキャリア形成支援を継続的に行い、各階層のパイプライン形成・各種女性比率向上に向けた活動を進め、将来的に経営の意思決定にかかわる女性社員を増やしていきます。
≪女性管理職比率目標:厚労省 女性活躍推進データーベース≫
「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画」参照
https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/detail?id=11012
(3)外国人採用
当社は、国籍を問わない多国籍な人材採用を進めており、正規・非正規問わず、約200名が在籍し、国内外で活躍しております。当社の主たる事業ドメインは国内となりますが、今後の海外事業展開状況にあわせ、国籍・性別等にとらわれず能力・成果に応じた管理職登用を進めてまいります。
(4)中途採用
当社は、事業における即戦力の確保のため、積極的に中途採用(契約社員から正規雇用への転換含む)を行っており、在籍の約73%、管理職においては約71%を中途採用者が占め、各階層・ポストにて活躍をしております。今後も中途採用を積極的に活用し、一層の多様性拡大に取り組んでまいります。
【補充原則3-1-3 サステナビリティについての取組み等】
当社は、サステナビリティ推進基本方針において、マテリアリティの特定と社会課題の解決、取締役会の役割等を明言したうえで、2023年4月12日に開示した中期経営計画においては、企業理念(PURPOSE)や経営戦略における重要テーマのほか、リスク・収益機会を踏まえた「我々と社会の共通する重要課題(マテリアリティ)」に対する中期目標を開示しております。
また、人的資本については、企業の持続的な成長のために、働く『人』と『環境』に積極投資を行うことで、社員のワークエンゲージメントを最大化させ、『“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある職場の実現』に取り組んでいます。人的資本の数的・質的向上を図ることによって、サービスの質を上げ、顧客に提供し、収益の向上につなげ、社会に還元する、というサイクルを確立し、企業理念(PURPOSE)の実現を目指しております。また、成果指標として、女性役員比率・女性管理職比率、人材育成のための研修投資、ローテーション人数などを収集・分析し、人的投資施策の磨き上げを行うことで、長期的かつ持続的な企業価値向上に努めております。
知的財産への投資については、中期経営計画においてCX(カスタマーエクスペリエンス)業務の深化を掲げており、AI等の先端技術に対して戦略的な投資を行っております。
気候変動に係るリスク及び収益機会は、自社の事業活動や収益等に与える影響が小さく、加えて事業活動による環境への負荷も小さいと想定しております。
一方で、気候変動問題は世界共通の課題であり、当社も経営の重要課題の一つとして捉えています。当社は、2022年4月開催の取締役会において、2025年、2030年、2040年までの温室効果ガス(GHG)排出量削減率の具体的な目標値を策定し、決議いたしました。
今後は策定した目標値のモニタリングを行うとともに、各施策の企画や実行に関するガバナンスの仕組みを強化し、中長期の戦略やロードマップに適宜反映を行っていきます。
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、以下の方針に則り、当社が相当と認める範囲及び方法で株主との間で建設的な対話を行います。
(1) IRを管掌する取締役を指名し、かかる取締役が株主との対話全般を統括します。
(2) IR管掌取締役のもと、IR部門を設置し、これを中心に経営企画部門、経理・財務部門その他の関連部門と適切に情報交換を行い、有機的に連携します。
(3) 株主との対話の手段を充実させるため、第2四半期及び通期の決算発表時において、決算説明会を実施します。
(4) 対話において把握された株主の意見等については、IR管掌取締役や関連部門に随時報告するとともに、必要に応じて取締役会に共有します。
(5) 対話にあたっては、情報伝達行為や取引推奨行為の禁止、インサイダー情報の再伝達を制限するための必要な措置を定めたインサイダー取引防止規程に従って対応します。
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