ブリッジレポート
(2722) 株式会社IKホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(2722)IKホールディングス 2024年5月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

飯田 裕 会長兼CEO

株式会社IKホールディングス(2722)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場・名証プレミア市場

業種

小売業(商業)

代表取締役会長兼CEO

飯田 裕

所在地

愛知県名古屋市中村区名駅3-26-8 KDX名古屋駅前ビル5階

決算月

5月末日

HP

https://www.ai-kei.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

375円

8,308,000株

3,116百万円

-21.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

5.00円

1.3%

17.56円

21.4倍

249.52円

1.5倍

*株価は1/29終値。各数値、発行済株式数(自己株式を含む)は、2024年5月期第2四半期決算短信より。
時価総額は1/29終値×発行済株式数。ROE、BPS、PBRは2023年5月期決算短信より。数値は四捨五入。

 

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年5月(実)

18,483

590

623

384

52.19

12.00

2021年5月(実)

20,754

705

730

321

42.60

12.00

2022年5月(実)

16,335

-360

-323

-905

-115.95

12.00

2023年5月(実)

14,179

-224

-205

-463

-60.34

0.00

2024年5月(予)

13,588

378

377

135

17.56

5.00

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

 

株式会社IKホールディングスの2024年5月期第2四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2024年5月期第2四半期決算概要
3.2024年5月期業績予想
4.今後の戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 24年5月期第2四半期は減収となったものの3期ぶりに営業黒字となった。売上高は前年同期比7.5%減の66億95百万円。販売効率を重視し、媒体放映枠を削減したTVショッピングの売上減が影響。営業損益は前年同期比1億66百万円改善し65百万円の黒字。原価率の低いダイレクトマーケティング事業の売上シェアが減少し前年同期比1.5ポイント原価率が上昇したものの、TVショッピングなどで広告宣伝費を圧縮させたため販管費率は、前年同期比3.8ポイントも改善した。

     

  • 24年5月期の売上高は、135億円と3期連続の減収となるが、営業損益は3億円の黒字に転換するとの従来見通しを据え置いた。赤字を出しているTVショッピングをさらに圧縮。一方で、足元急拡大している韓国コスメや自社ブランドの拡販に注力。原点でもある生協ルート向けの商品開発や営業強化などを図る。こうした事業ポートフォリオの見直しにより、収益のV字回復を目指す。配当性向20%を目途とし、配当金5.00円/株と2期ぶりに復配。予想配当性向は28.5%。

     

  • ローリングした新中計通りに事業ポートフォリオの見直しが進むのか注目したい。赤字事業の縮小は計画通り進捗すると思われるが、事業環境の変化などで前中計を断念した経緯もあるため、その動向に注視したい。また、今後の収益拡大のために注力する韓国コスメや、立て直しを図る生協ルート向けになど、事業環境が変化した場合に充分な対策が取れるのかなどが重要な点だ。加えて、新中計における下方硬直性を持たせるうえでのバッファをどのくらい織り込んでいるのかにも注目したい。

     

     

1.会社概要

独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行うマーケティングメーカー。
雑貨品類・食品類・化粧品類といった商品をTVショッピング、EC、店舗を通じて直接消費者に販売する「ダイレクトマーケティング事業」、生協、通販会社、店舗、海外など多様なルートを通じて販売する「セールスマーケティング事業」、システムの開発・販売などITソリューションを提供する「ITソリューション事業」の3事業を展開。
経営理念に「ファンつくり」を掲げ、全てのステークホルダーにファンになってもらえるグループ経営を目指している。

 

◎業績動向

 

【1-1 沿革】

高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。
最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。
上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。
しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「BtoBtoC」に加え直接消費者に商品を提供する「BtoC」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。
2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。
2022年4月に、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に移行(東証は、23年10月にスタンダード市場へ移行)。
2022年12月に、株式会社IKホールディングスに商号変更し持株会社化した。

 

【1-2 経営理念】

ファンつくり

21世紀のリーディングカンパニーとなるために追及すべきことは売上高、資本金、社員数の多寡ではなく、100年先の未来を見据えたとき、出来るだけ多くの方に「ファン」になって頂くことが企業としての繁栄に繋がると考え、「アイケイに関わる全ての人たちに『ファン』になって頂く」ことを目標として、「ファンつくり」を経営理念とした。

 

【1-3 事業内容】

(1)セグメント
2022年5月期より同社のビジネスモデルである「マーケティングメーカー」を展開するにあたり、事業内容をより適切に表現するために事業セグメントを「ダイレクトマーケティング(旧BtoC)事業」、「セールスマーケティング(旧BtoBtoC)事業」、「ITソリューション(旧その他)事業」に変更。

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

セールスマーケティング事業・・・卸事業
メーカーとして企画・開発した化粧品、アパレル、靴・バッグ、美容・健康関連商品等を、生協、通販会社、店舗、海外の各ルートを通じて消費者に提供している。

 

(主な販売ルート)

生協ルート

コープさっぽろ、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、パルシステム連合会、東都、ユーコープ、東海コープ事業連合、コープきんき事業連合、コープこうべ、コープ中国四国事業連合、コープ北陸事業連合、グリーンコープ、コープ九州事業連合、全国の学校生活協同組合、愛知県生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会など。

通信販売ルート

東海テレビ事業(株)、(株)高島屋、(株)ディノス コーポレーション、(株)セシール、(株)ベルーナ、(株)千趣会、(株)ニッセン、auコマース&ライフ(株)、(株) ABCファンライフ、(株)J・A・Fサービス、(株)JALUX、(株)小学館集英社プロダクション、(株)QVCジャパン、(株)ロッピングライフ、(株)全国通販、グリーンスタンプ(株)、(株)山忠、(株)ライトアップショッピングクラブ、(株)テレビ東京ダイレクト、(株)クレディセゾン、(株)郵便局物販サービス、(株)ユーキャン、(株)MBSイノベーションドライブ、(株)フェリシモ、(株)ハルメク、(株)カタログハウス、(株)ジェイオーディ、(株)京都通販、(株)天満屋、インペリアル・エンタープライズ(株)、月の友(株)など。

店舗ルート

バラエティー系

(株)ドン・キホーテ、(株)長崎屋、(株)UDリテール、(株)ロフトなど。

ドラッグ系

(株)マツキヨココカラ&カンパニー、(株)ツルハホールディングス、(株)クリエイトエス・ディー、(株)サンドラッグ、スギホールディングス(株)、イオンリテール(株)など。

 

ITソリューション事業
子会社アルファコム(株)が、音声通話録音システム「Voistore」などコンタクトセンター構築に関わるシステムや、ビジネス版LINE「LINE WORKS」、チャットシステム「M-Talk」などを販売している。

 

ダイレクトマーケティング事業・・・小売り事業
子会社(株)プライムダイレクトが、WEBサイトやTVショッピング枠を通じて直接消費者に商品を提供しているほか、子会社(株)フードコスメが、リアル店舗である「SKINFOOD」5店舗、「OLIVE YOUNG EX」2店舗、「hince」2店舗を展開。

 

(2)主な自社開発商品
マーケティングメーカーとして、様々なジャンルの商品を自社開発している。
≪食品≫

(同社資料より)

 

≪化粧品≫

(同社資料より)

 

≪雑貨≫

(同社資料より)

 

【1-4 特長と強み:マーケティングメーカーとしてのビジネスモデル】

同社を特徴づけている最大のポイントは、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」としてのビジネスモデルであろう。
同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。

 

(同社資料より)

 

(1)強力な商品開発・発掘・調達力
幅広い販路から得た情報や40年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。
隔週で「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の各開発チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。
同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。

 

(2)高いマーケティング力
ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。
候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。

 

(3)多彩な販売チャネル
上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。
販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。
商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。

 

ソリューション

概要

制作

企画に合わせたチラシ・カタログサイズで売れる紙面を制作する。

受注業務

電話、メール、FAX、はがきなど全ての受注スタイルに対応したフレキシブルな基幹システムを有しており、より正確で迅速な受注業務を行っている。

品質管理

コンプライアンス遵守のほか、商品ジャンルごとに自主基準を設け、クレームの未然防止につなげる商品チェックを行っている。

物流業務

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の行き届いた自社物流センターからエンドユーザー宛に個別宅配の出荷を行っている。

カスタマーサービス

社内スタッフによるコールセンターで商品の問合せ、配送や交換相談までアフターサービスをワンストップで対応している。

 

 

多くの同業他社が商品の企画・マーケティングのみに特化していたり、販売チャネルが店舗に限られていたり、商品の製造や物流を他社に一任していたりするのに対し、同社は柔軟に対応できるシステムとノウハウを持つことで、他社には真似のできない独自のプロモーション戦略を実行することが可能である。

 

【1-5 ROE分析】

 

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

ROE(%)

4.9

25.0

29.0

9.1

14.0

10.1

-30.1

-21.1

 売上高当期純利益率(%)

0.53

2.79

3.50

1.35

2.08

1.55

-5.54

-3.27

 総資産回転率(回)

2.93

3.04

3.19

2.69

2.61

2.84

2.24

2.00

 レバレッジ(倍)

3.18

2.95

2.60

2.51

2.59

2.29

2.43

3.23

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

 

23/5期は赤字幅が圧縮したことで売上高当期純利益率が改善したためROEも改善した。24/5期はTVショッピングなどの不採算事業の圧縮など事業ポートフォリオの見直しなどで売上高当期純利益率は0.9%と改善する見通し。

 

2.2024年5月期第2四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

23/5期2Q

構成比

24/5期2Q

構成比

前年同期比

売上高

7,239

100.0%

6,695

100.0%

-7.5%

売上総利益

3,111

43.0%

2,780

41.5%

-10.6%

販管費

3,213

44.4%

2,715

40.6%

-15.5%

営業利益

-101

-

65

1.0%

-

経常利益

-82

-

64

1.0%

-

四半期純利益

-186

-

-4

-

-

*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。

 

減収も営業転換
売上高は前年同期比7.5%減の66億95百万円。販売効率を重視し、媒体放映枠を削減したTVショッピングの売上減が影響。営業利益は前年同期比1億66百万円改善し65百万円の黒字。原価率の低いダイレクトマーケティング事業の売上シェアが減少し前年同期比1.5ポイント原価率が上昇したものの、TVショッピングなどで広告宣伝費を圧縮させたため販管費率は、前年同期比3.8ポイントも改善した。なお、四半期純利益が4百万円の赤字となったのはTV ショッピングの映像等の減損32百万円による。

 

(販管費の推移)

 

23/5期2Q

売上比

24/5期2Q

売上比

前年同期比

人件費

698

9.6%

691

10.3%

-1.0%

広告宣伝費

1,152

15.9%

839

12.5%

-27.2%

物流費

656

9.1%

512

7.7%

-22.0%

その他

705

9.7%

671

10.3%

-4.8%

販管費合計

3,213

44.4%

2,715

40.6%

-15.5%

単位:百万円

 

◎四半期動向

 

 

(2)セグメント別動向

 

23/5期2Q

構成比

24/5期2Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

ダイレクトマーケティング事業

2,126

29.4%

1,592

23.8%

-25.1%

セールスマーケティング事業

4,847

67.0%

4,861

72.6%

+0.3%

ITソリューション事業

264

3.6%

240

3.6%

-9.3%

合計

7,239

100.0%

6,695

100.0%

-7.5%

営業利益

 

 

 

 

 

ダイレクトマーケティング事業

-124

-

20

1.3%

黒転

セールスマーケティング事業

21

0.4%

358

7.4%

-

ITソリューション事業

-1

-

-5

-

-

合計

-101

-

65

1.0%

-

*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。2022年12月1日付で持株会社体制へ移行したことに伴い、全社費用の区分把握が可能になり、セールスマーケティング事業の報告セグメントの利益又は損失の測定方法を変更している。このためセグメント別営業損益の対前期比は記載していない。

 

(同社資料より)

 

①ダイレクトマーケティング事業
減収営業黒字。
第1四半期に続きTVショッピングにおいて販売効率を重視し放映枠を絞った。これにより売上は減少したが、営業利益では20百万となり、黒字回復。

 

②セールスマーケティング事業
増収大幅増益。
店舗ルートが韓国コスメを中心に売り上げを伸ばし、前期より62.3%増加。セールスマーケティング事業全体の売上に寄与。

 

 

③ITソリューション事業
減収営業赤字。
決済条件の変更等により、売上総利益が6.7ポイント改善。新たなサービスを目的に開発費を計上したことなどから販管費が増加し、営業利益はマイナスとなった。

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

23年5月末

23年11月末

 

23年5月末

23年11月末

流動資産

5,728

5,298

流動負債

3,766

3,191

現預金

971

582

仕入債務

672

870

売上債権

2,183

2,448

短期借入金

2,003

1,424

たな卸資産

2,264

1,917

固定負債

1,052

1,160

固定資産

1,060

1,034

長期借入金

732

843

有形固定資産

215

210

負債合計

4,818

4,352

無形固定資産

467

463

純資産

1,970

1,981

投資その他の資産

377

360

利益剰余金

846

842

資産合計

6,788

6,333

負債純資産合計

6,788

6,333

*単位:百万円

 

 

借入金残高

2,736

2,267

 

 

 

自己資本比率

28.3%

30.4%

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

流動資産の減少が響き資産合計は前期末比4億55百万円減の63億33百万円となった。短期借入金の減少により、負債合計は同4億66百万円減の43億52百万円となった。利益剰余金の減少があったものの純資産は同11百万円増の19億81百万円。自己資本比率は前期末より2.0ポイント改善し30.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

23/5期2Q

24/5期2Q

増減

営業CF

20

437

417

投資CF

-214

-349

-135

フリー CF

-193

88

281

財務CF

47

-471

-518

現金同等物残高

926

582

-344

*単位:百万円

 

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

税金等調整四半期純利益の計上により、営業CFが大きく改善したことで、フリーCFが、赤字から黒字に好転。
短期借入金の減少で財務CFは大幅に減少。キャッシュポジションは低下した。

 

3.2024年5月期業績予想

(1)通期業績予想

 

23/5期

構成比

24/5期

構成比

前期比

売上高

14,179

100.0%

13,588

100.0%

-4.2%

営業利益

-224

-

378

2.8%

-

経常利益

-205

-

377

2.8%

-

当期純利益

-463

-

135

1.0%

-

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

減収、営業黒字を予想
24年5月期の売上高は、135億円と3期連続の減収となるが、営業損益は3億円の黒字に転換するとの従来見通しを据え置いた。赤字を出しているTVショッピングをさらに圧縮。一方で、足元急拡大している韓国コスメや自社ブランドの拡販に注力。原点でもある生協ルート向けの商品開発や営業強化などを図る。こうした事業ポートフォリオの見直しにより、収益のV字回復を目指す。配当性向20%を目途とし、配当金5.00円/株と2期ぶりに復配。予想配当性向は28.5%

 

(2)セグメント別動向

*売上予想

 

23/5期

構成比

24/5期(予)

構成比

前期比

ダイレクトマーケティング事業

4,007

28.3%

3,223

23.7%

-19.6%

セールスマーケティング事業

9,651

68.1%

9,801

72.1%

1.6%

ITソリューション事業

518

3.7%

560

4.1%

8.1%

合計

14,179

100.0%

13,588

100.0%

-4.2%

*単位:百万円

 

4.今後の戦略

(1)下期の重点施策

①韓国コスメのブーストアップ
➣正規販売代店の優位性
・直接正規ルートで輸入をしているため、商品供給の安定性や品質保持が確保できる
・同社グループで品質管理を行っているため、日本の品質基準にあった商品の選定が可能
・在庫安定性や品質の担保ができているため、国内大手チェーンストアとの取引が可能
・購入後のアフターサービスの充実
・日本語での商品情報の理解が可能

(同社資料より)

 

➣ブランド側との協同POPアップショップイベント開催・プロモーションの強化

(同社資料より)

 

➣ECサイトの運営強化
・hinceブランドECサイトのリニューアルオープン

(同社資料より)

 

セールスマーケティング事業の強化
➣著名人コラボ商品の開発
・雑貨品・化粧品・食品の幅広いカテゴリーで著名人とのコラボ商品の開発およびバイイング
・上半期では城咲仁さん監修のフライパンを販売

 

➣生協ルートでのたまご化粧品シリーズ、メディコスワン拡販

 

 

③上期ヒット品の拡販
➣TVショッピング、ECでヒットした商品の拡販

(同社資料より)

 

➣クラウドファンディングを活用した販売マーケティング

(同社資料より)

 

(2)セグメント別戦略
①ダイレクトマーケティング事業
➣TV・ECルート
・クラウドファンディングを活用した販売
・ECサイトでの販売強化

 

➣SHOPルート
POPアップイベント等各ブランドと協同し、「SKINFOOD」・「OLIVE YOUNG EX」・「KAHI」・「hince」・「mnyo」の認知とファンつくりを広げていく

 

②セールスマーケティング事業
➣生協・通販ルート
・商品の取扱いを強化し商品ラインナップを増やす。
・著名人コラボ商品などの開発やバイイングを行う。
・商品開発担当者との同行営業など、豊富な商品情報量のもと的確な情報提供を行いながら商品の見せ方を追求する。

 

➣店舗事業の拡大
・SHOPと同様に韓国コスメの取り扱いを強化し、流通を介した卸売りなどを活用し、販売効率をアップさせるともに、販路の拡大を行う。
・またカラーシャンプー・トリートメントのTottimo!など開発商品の展開に向けてプロモーションも強化していく。
③ITソリューション事業
*ITソリューションの成長戦略
・受注案件の確実な構築と運用
・新規顧客に向けた商品紹介の強化
・地方自治体を中心としたDX化推進

 

*M-Talk
M-Talkは、コンタクトセンター運用仕様を網羅した、唯一のチャットシステム
WEBサイトだけではなく、LINEなどをインターフェースとして統合運用する。チャットボット連携による「人」と「AI」の融合、テキストだけでは無くドキュメントやスタンプを活用した運用、そして様々なシステムとの連携により「コンタクトセンター運用のハイブリット化」を実現する。

 

5.今後の注目点

ローリングした新中計通りに事業ポートフォリオの見直しが進むのか注目したい。赤字事業の縮小は計画通り進捗すると思われるが、事業環境の変化などで前中計を断念した経緯もあるため、その動向に注視したい。また、今後の収益拡大のために注力する韓国コスメや、立て直しを図る生協ルート向けになど、事業環境が変化した場合に充分な対策が取れるのかなどが重要な点だ。加えて、新中計における下方硬直性を持たせるうえでのバッファをどのくらい織り込んでいるのかにも注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年12月11日

 

<基本的な考え方>
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが求められる中、上場企業として社会的使命と責任を果たすため、経営基盤を充実し、尚且つ高い倫理観を保持し、経営の透明性を一層高めることで、信頼される企業を目指してまいります。
また、当社は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つと考えており、定時取締役会(月1回開催)、臨時取締役会(必要に応じて随時開催)のほか、常勤取締役(監査等委員である取締役を含む)及び執行役員による社内役員会(週1回開催)、チームマネージャー職以上で構成されるTOP会議(週1回開催)の開催により、多方面からの情報共有に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>(抜粋)

原則

実施しない理由

【補充原則1−2④議決権の電子行使、招集通知の英訳】

当社は、現状、議決権のインターネット行使はできますが、電子行使プラットフォームの利用や株主総会招集通知の英訳等は行っておりません。 今後、機関投資家や海外投資家の株主構成等を踏まえ、株主の利便性も考慮し、必要に応じて検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>(抜粋)

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

当社は、取引先との継続的かつ安定的で良好な取引関係の維持・強化につながる政策保有株式を保有します。ただし、リターンとリスク等を踏まえ、中・長期的な観点から定期的に検証し、必要性が認められなくなった場合には売却を進めます。当該株式については、毎年、取締役会において保有目的や合理性、取得価格と時価との比較、受取配当金の状況等を検証し、保有の必要性を確認しております。

議決権行使については、すべての議案に対して、原則、賛成行使しますが、株主価値の毀損につながる議案に関しては個別に精査いたします。

なお、議決権行使は、当該会社の状況や当社との関係維持・強化などを総合的に判断するため、外形的な基準を設けておりません。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社では、管理チーム総務グループをIR担当部署とし、株主からの対話の依頼に対しては、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう合理的な範囲で対応しております。

代表取締役会長が、株主や機関投資家に対して、決算説明会を年に2回開催しております。なお、説明会に参加できない株主や投資家に対しては、当社のホームページにその決算説明会資料及び動画を掲載しております。

 

 

「本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。」

Copyright(C) Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 

 

 

ブリッジレポート(IKホールディングス:2722)のバックナンバー及びブリッジサロン(IRセミナー)の内容は、www.bridge-salon.jp/ でご覧になれます。

 

 

同社の適時開示情報の他、レポート発行時にメールでお知らせいたします。

>> ご登録はこちらから

 

ブリッジレポートが掲載されているブリッジサロンに会員登録頂くと、株式投資に役立つ様々な便利機能をご利用いただけます。

>> 詳細はこちらから

 

投資家向けIRセミナー「ブリッジサロン」にお越しいただくと、様々な企業トップに出逢うことができます。

>> 開催一覧はこちらから