ブリッジレポート:(6193)バーチャレクス・ホールディングス 2024年3月期第2四半期決算
丸山 栄樹 社長 | バーチャレクス・ホールディングス株式会社(6193) |
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企業情報
市場 | 東証グロース市場 |
業種 | サービス業 |
代表取締役社長 | 丸山 栄樹 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門4-3-13 ヒューリック神谷町ビル8階 |
決算月 | 3月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
992円 | 2,925,024株 | 2,901百万円 | 46.5% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
15.00円 | 1.51% | 150.28円 | 6.6倍 | 546.81円 | 1.8倍 |
*株価は12/4終値。発行済株式数、DPS、EPSは2024年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
20年3月(実) | 5,948 | -192 | -191 | -519 | -179.59 | 0.00 |
21年3月(実) | 5,632 | 164 | 181 | 110 | 38.42 | 0.00 |
22年3月(実) | 6,223 | 519 | 543 | 364 | 126.37 | 0.00 |
23年3月(実) | 6,798 | 576 | 497 | 635 | 217.74 | 15.00 |
24年3月(予) | 7,150 | 610 | 610 | 439 | 150.28 | 15.00 |
*単位:百万円、円。予想は会社側予想。
バーチャレクス・ホールディングス株式会社の会社概要、成長戦略、24/3期第2四半期業績動向などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2. 成長戦略
3. 2024年3月期第2四半期決算概要
4.2024年3月期業績予想
5. 今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 24/3期2Q累計の売上高は前年同期比6.0%増の3,437百万円、営業利益は同41.7%減の146百万円。IT&コンサルティング事業、アウトソーシング事業ともにマザーセンター構想に関わる大型コンサルティング案件および運営受託等の拡大により増収は確保したものの、収益性の高かった新型コロナ特需案件の終了、前4Qに発生した不採算プロジェクトに対する損失引当等により、営業利益は減益となった。ただし、これは期初から想定されていたことで、会社計画に対しては売上・利益ともに過達で着地した。
- 24/3期の売上高は、前期比5.2%増の71億50百万円、営業利益は同5.8%増の6億10百万円を計画。増収効果などにより、セグメント利益は同17.6%増の17億20百万円を見込んでいるが、引き続き人材採用等への積極的投資を行うため、売上高営業利益率は前期並みの水準に抑える計画となっている。上期は会社計画に対し過達となったものの、下期偏重計画であるため、通期会社計画は据え置かれている。
- 24/3期を最終年度とした中期3ヵ年計画は、21年策定当初の3期間(22/3~24/3期)累計経常利益8億円以上という数値目標が上方修正され、現在は18億円以上の達成を目指している。24/3期会社計画を達成したとしても、まだ61百万円未達ということになる。同社は、連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等によってこの計画を達成すべき取り組んでいる。元々24/3期は下期偏重型の予算ではあるが、更に上乗せした達成の実現可能性が短期的な焦点となろう。ただし、株式価値では今期までのファンダメンタルズで積み上げられるものではなく、中長期的なファンダメンタルズに基づくターミナルバリューが重要な観点となる。その意味では24年5月に発表予定の次期中期3ヵ年計画の方向性、成長可能性にも今後注目していきたい。
1.会社概要
1999年の創業以来、「コンサルティング」「テクノロジー」「オペレーション」の3つのコアスキルを融合し、クライアント企業のCRM領域をドメインに一気通貫サービスを提供してきた。現在では、「Digital & AI」で「SX(Sustainable Transformation)」を実現するという事業ビジョンのもと、クライアント事業のSuccession(=成功の連続)に向けた伴走支援を行っている。
【1-1沿革】
実力主義の世界で自分の力を試そうと考えた丸山 栄樹氏(現 バーチャレクス・ホールディングス株式会社 代表取締役社長)は
コンサルティングファームであるアクセンチュアに入社すると、コンサルタントとして実績を積み、高い評価を得ていった。
そうした中、次は会社の看板無しに自分で何ができるかを試したいと考えた丸山社長は、「一般的にコンサルティングの成果物は提案書やレポートであり、その計画をクライアントが実行しない限りは結果を見ることができないが、そうではなく、始めから最後までクライアントと共に伴走し、結果を提供したい」と考え、1999年6月、株式会社バーチャレクス(現 バーチャレクス・ホールディングス株式会社)を創業した。
企画・提案までを主体とする「コンサルティング」に加えて、その実現手段である「テクノロジー」と業務遂行自体を支援する「アウトソーシング」をワンストップに提供することを理念とする同社は、大手証券会社グループを初めての顧客とすると、独自のスタイルが評価され、紹介で大手小売企業や大手EC企業など顧客数は着実に増大し、業容も拡大。2016年6月に東証マザーズに上場した。2022年4月、市場再編に伴い、東証スタンダード市場に移行。
【1-2 グループ企業理念】
以下のような企業理念を掲げ、全てのステークホルダーとの共栄を目指している。
「Success for the people, organization and society.」
☆ | 私たちは生活者・消費者(顧客)、クライアント企業やパートナー企業の皆様、当社の株主やグループ従業員とその家族など、共に歩むすべての人たちの成功に向かいます。 |
☆ | 私たちはクライアント企業・団体、パートナー企業、グループ企業の成功に向かいます。 |
☆ | 私たちは社会・環境の持続的な成功に向かいます。 |
☆ | 私たちはこのような想いのもと、議論し、判断し、行動します。 |
【1-3 事業ビジョン・ビジネスドメイン・事業環境】
コンタクトセンター運営に関するコンサルティング及び運営受託からスタートした同社は、事業領域をCRM、デジタルマーケティングへと拡張してきたが、社会の大きな変化に伴い、今後は「Digital & AI」を用いた持続的な変革(SX:Sustainable Transformation)の実現を通じ、ビジネスドメインを更に拡張していく考えだ。
(同社資料より)
Digital(DX)およびAIはどちらも急速な市場拡大が見込まれる成長分野であり、積極的な投資により需要を取り込み、売上・利益の拡大を追求する。
(同社資料より)
【1-4 事業内容】
(1)グループ体制
持株会社バーチャレクス・ホールディングス株式会社及び、子会社5社(連結子会社4社、非連結子会社1社)でグループを構成。グループ一体となってサービスを提供している。
企業名 | 事業内容 |
バーチャレクス・ホールディングス株式会社 | グループ経営戦略・経営管理 |
バーチャレクス・コンサルティング株式会社 | 企業と顧客接点に関するコンサルティングとアウトソーシングおよびソフトウェアの提供 |
バーチャレクス九州株式会社 | アウトソーシングサービスおよびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスの運営拠点 |
VXアクト株式会社 | オンサイトチームエンジニアリング(OTE)、オフショア開発、ITオペレーションアウトソーシング等のITサービスの提供 |
株式会社タイムインターメディア | Webシステム、文教・教育ソリューションの提供およびソフトウェアの研究・開発(AI等) |
Virtualex U.S.A., Inc. | ITソリューションの調査・研究 |
*バーチャレクス・コンサルティング株式会社、バーチャレクス九州株式会社、VXアクト株式会社、株式会社THムインターメディアが連結子会社。
(2)セグメント
セグメントは、「IT&コンサルティング事業」と「アウトソーシング事業」の2つ。
【1-5 特長・強み・競争優位性】で後述する「ワンストップサービス」が同社事業の大きな特徴である。
①IT&コンサルティング事業
バーチャレクス・コンサルティング株式会社、株式会社タイムインターメディアおよびVXアクト株式会社が行っている。
具体的なサービス内容は、「コンサルティングサービス」「CRM製品提供」「ストック型ITサービス」からなる。
*コンサルティングサービス
創業当初から行っているコールセンター構築をはじめとする企業の事業戦略、CRM戦略、IT戦略、及びマーケティング戦略等の立案から、それらの実現・導入に向けた業務やシステムの設計・構築の支援を行う。
サービス | 内容 |
事業戦略・CRM戦略の立案 | 企業の事業活動やCRM活動を向上させるための戦略作りや計画作りを支援する。 |
IT戦略の立案 | CRM活動を向上させるためのIT基盤の在り方についての戦略作りや計画作りを支援する。 |
CRM製品の提供に伴うカスタマイズ | CRMパッケージ製品「inspirX(インスピーリ)」を提供するにあたって、クライアント企業のニーズに基づくカスタマイズ開発を行う。 |
CRMコールセンターの構築・変革支援 | CRM向上に寄与する役割や業務の在り方を踏まえたコールセンターの構築や変革の支援を行う。 |
コールセンターCALL削減 | コールセンターにおけるCALL分析により、無駄な問合せを削減するための様々な施策を打ち、それぞれのチャネルの最適化を図ることで、コールセンターの運営コストの低減を図る。 |
CEM領域で培ったノウハウを、デジタルマーケティングやビジネス・アナリティクスといったマーケティング領域に融合展開し、サービス領域及び提供価値の拡充を図っている。
サービス | 内容 |
マーケティングデータ分析 | 企業のマーケティング活動に有益な種々のデータ(ビッグデータ)の分析を行い、マーケティング戦略作りを支援する。 |
マーケティングプロセス設計 | 策定したマーケティング戦略を実践するためのプロセス設計(業務・システム)を行う。 |
マーケティングプラットフォーム構築 | マーケティング活動に必要となるITプラットフォームの構築を行う。 |
Web領域、文教・教育ソリューション領域にも事業ドメインを拡大しているほか、遺伝的アルゴリズム(進化計算)をベースとしたAIの利活用、デジタルトランスフォーメーション支援、分散コールセンターやマザーセンターの技術基盤構築など、ソリューション領域を拡張しビジネスを成長させている。
*CRM製品提供
コンサルティングやプロセス運営で培った知見をITソリューションとして形にしたCRMパッケージ製品「inspirX(インスピーリ)」をライセンス販売している。
CRMパッケージ製品「inspirX」は、長年にわたるコールセンター運営の経験を活かして自社開発した顧客対応履歴管理ソフトウェア。電話、FAX、メール、SMS、LINE等のマルチチャネルに対応しており、同製品の導入により、顧客からの問い合わせ、意見、クレーム、受発注情報などのやりとりや実際の訪問など、あらゆる顧客とのコミュニケーションを統合的に管理することが可能となる。
*ストック型ITサービス
企業のCRM基盤を戦略的かつ効率的に支援している。
近年急速にニーズが高まっている「inspirX」のクラウド型サービスを中心に、オンプレミス型導入後の保守サービス、他社(パートナー企業)製品の代理店型サービスなども提供している。
②アウトソーシング事業
バーチャレクス・コンサルティング株式会社、バーチャレクス九州株式会社が行っている。
創業以来、クライアント企業のCRM推進の中心的な役割を果たすコールセンター業務等の受託運営を行ってきた。
コールセンターの受託運営は、大別すると、同社グループセンターで同社のグループ要員が業務を遂行するサービス形態と、クライアント企業のセンターで同社のグループ要員がクライアント社員と共同で業務を遂行するサービス形態とがあり、クライアントの要望に合わせてサービスを提供している。
近年では、通常の問い合わせセンターや受発注センターの運営のみならず、同社グループのコンサルティング力を活かすことによって、業務標準(KPI、プロセス)構築や新規取り組みを実施(仮説検証)するマザーセンターの運営、デジタルマーケティングのバックオフィス業務のアウトソーシング受託(Marketing Process Outsourcing)等のサービスを展開している。
サービス | 内容 |
マザーセンターのアウトソーシング | コンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングのノウハウを集約し、コールセンターのベストプラクティスを追求するラボ(実験)機能を有するセンターの運営を行う。 |
CALL削減のための一部業務の運営 | 顧客からの問い合わせ内容を分析することにより、問い合わせ原因を解消したり、自己解決に導いたり、対応チャネルを効率化させることを目的としたセンターの運営を行う。 |
新規顧客獲得業務の代行・共同運営 | マーケティングデータ分析やマーケティングプロセス設計に基づいた新規顧客獲得業務の代行や共同運営を行う。 |
広告・ソーシャルチャネルの運用 | デジタルマーケティングによる広告やソーシャルチャネルを利活用したマーケティング業務の運用を行う。 |
キャンペーンマネジメント業務の運用 | マーケティング計画やマーケティングプラットフォームに基づくマーケティングキャンペーン活動等のマネジメント業務を行う。 |
マーケティングデータ管理・レポーティング | マーケティング活動で蓄積されるデータの管理や分析レポートの作成を行う。 |
マーケティングプラットフォームの運用 | より効果的なマーケティングを実践するためのプラットフォームを構築した上で、そのプラットフォームの運用を代行する。 |
【1-5 特長・強み・競争優位性】
(1)CRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービス
企業がより有効なCRMを実践するには、店舗や営業マンなどの「対面チャネル(接点)」と、コールセンターやインターネットなどの「非対面チャネル」の両者を通じた顧客接点全体の再構築を行い、それらをCRMプロセスとして導入する必要がある。
企業がこれらの再構築やプロセス導入を行う際には、広告代理店、コンサルティング会社、SIベンダー、テレマーケティング会社など様々な会社に支援を求めることが必要となる。
一方、「コンサルティング(=戦略や計画の策定力)」「テクノロジー(=ITソリューションの開発力)」「アウトソーシング(=業務の実行力)」の3つのノウハウを合わせ持つ同社グループでは、この3つの力を活用することで、多様化する顧客との接点を通じた企業のCRM再構築を、ワンストップでトータルに支援している。
具体的には、戦略策定や計画策定等の上流工程及び継続的な業務実施・運用を支援する「コンサルティングサービス」、コンサルティングやプロセス運営で培った知見をITソリューションとして形にした「CRM製品提供」、企業のCRM基盤を戦略的かつ効率的に支えるための「CRM ITサービス」、さらには実際の顧客接点業務を企業と共同あるいは請け負って実行する「CRMプロセスサービス」を、継ぎ目なくシナジーを発現しながら提供している。
同社グループが事業展開のドメインとする「企業と顧客の接点」は、かつては店舗や訪問での対面チャネルが中心だったが、その後コールセンターのような非対面チャネルに広がり、近年では、インターネットが普及し、e-コマースやe-メール、スマートフォンアプリの利用が浸透したことで、企業と顧客の接点も多様化や複雑化など飛躍的な変革が生じている。
例えば、企業の製品やサービスを利用した消費者は、問題や欲求を解決する際に、電話やe-メール等を介してコールセンターに問合せをするのではなく、スマートフォンやタブレット端末等でホームページやソーシャルメディアを検索して解決しようとする傾向が強まっている。
企業はこうした変革や顧客ニーズに対応して、顧客毎に最適なタイミング、チャネル、コンテンツを選択してアプローチしうるCRMの再構築を行うことで、顧客満足度と顧客価値の最大化を図ることが必要不可欠になっている。
このため、同社グループが持つCRM領域における総合力を活かしたワンストップ・サービスへのニーズは年々高まっており、自社の強力な競争優位性であると考えている。
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(同社資料より)
(2)ストックビジネス化による安定収益構造
自社製品やITソリューションの導入に伴う保守サービスや拡張サービスの提供、自社ITサービスの提供による月額利用料の収受といった一般的なリカーリングのみではなく、コンサルティングにおける同社の特長である伴走型サービス、アウトソーシングサービスについてもストックビジネス化を進め、安定収益構造構築を図っている。
(同社資料より)
(3)ビジネスモデルはビジネスの【ストック化】と実績・ノウハウの【自社製品化】
前述した3つのスキルによって顧客企業を支援する中で培った実績やノウハウをソリューション化、自社製品・サービス化しストックビジネスとして安定的な収益を確保しながら利益を再投資することで、持続的な成長を目指すのが同社のビジネスモデルである。
(同社資料より)
2.成長戦略
【2-1 成長戦略】
良好な事業環境の中で、「DIGITAL & AI」をテーマに、成長のための3つの戦略「AI関連ビジネスの拡大」「デジタルマーケティングの案件サイズ拡大」「個別事業毎の成長」を展開する。
(1)AI関連ビジネスの拡大
同社グループでは「進化計算:TENKEI」」を用いてAI関連ビジネスの拡大を目指している。
AIシステムでは機械学習やディープラーニングの名を耳にすることが多いが、進化計算はこれらとは一線を画すAIシステムである。機械学習やディープラーニングが大量のデータを学習することで法則を導き出すのに対し、「進化計算」は、大量の学習データを必要とせず、与えられた条件をもとに課題の最適解を求めることが可能である。問題・課題の答えを一つの「個体」とし、生物が進化しながら長い年月を通じて環境に適応していく過程、生物の進化の仕組みをアルゴリズム化したものであることから、進化計算は「遺伝的アルゴリズム」とも呼ばれる。
同社グループでは、この進化計算をベースに独自の最適化AIプラットフォーム「TENKEI」を開発した。
「TENKEI」は「組み合わせの複雑さ」が生み出す課題を解決するDX推進アプリケーションであり、与えられた条件をもとに、特に人間では到底処理することができない無限に近い組み合わせの数の中から最適な答えを素早く導き出すことを得意としている。
2018年に「TENKEI」を用いて世界最大のナンプレ(数字パズルの一種)を作成し、ギネスを取得してその実力を証明した。
研究開発の継続の過程で、論文が国際会議に採択された。
現在では、「工場の生産ラインの最適化」「介護事業所毎のシフト計画管理」「在庫と発注の最適化」「時間割の自動生成」「各種スケジューリングの最適化」など、大企業とのプロジェクトが複数立ち上がり実績を着実に積み上げている。
直近では、某大企業の新規事業の根幹に「TENKEI」が導入されたほか、ASKULの在庫配置の進化計算を電通大学と共同実施した。三井不動産では「動くお店MIKKE」に「TENKEI」が導入された。
また、より大きな売上を実現すべく、TENKEIプラットフォームをSI(開発型)から、横展開が可能なツール(SaaS)型に進化させていく。初期導入も行われており、今後も事例公開による更なる認知度向上も目指す。
(同社資料より)
(2)デジタルマーケティングの案件サイズ拡大
顧客企業はDXによってお客様中心・お客様起点でのマーケティング・セールス・カスタマーサクセスの実現を目指しており、同社グループはコンサルティングサービス、テクノロジー導入サービス、伴走サービスの各領域で顧客企業を支援していく考えで、超上流から実行・定着までワンストップで伴走するパートナーを目指している。
そうした中、受注件数が増大するとともに、案件規模も拡大しており、個別の案件サイズは平均120%に拡大している。
また、単発支援型から一気通貫型サービスへと拡張しているほか、博報堂を始めとした他社との連携・提携による総合的マーケティング戦略支援の体制づくりも進捗している。
加えて、Salesforceビジネスの実績・案件規模拡大を足掛かりに、サービス・支援範囲を拡充する。特に、DX人材が不足する中、顧客企業内におけるDX人材の育成サービスを展開することでビジネスの拡大スピードを加速させる。
(同社資料より)
(3)個別事業毎の成長
人手によるBPOにテクノロジーをかけ合わせ、ヒトとテクノロジーを融合したハイブリッドな業務オペレーションであるスマートBPOや、AIを導入したAI-BPOの更なる拡大を図るほか、CRMパッケージ関連のストック化にも取り組んでいる。(株)LIXILなど、大規模プロジェクトの受注が進展している。
スマートBPO関連コンサルは拡大が続いている。
また、AWS(Amazon Web Service)内のサービスであるAMAZONコネクト(※)をプラットフォームとして、同社グループがメール対応、ソフトフォン、顧客対応、顧客管理、他システム連携といった業務に関する拡張機能を付加した独自サービスである「コネクトレック」の強化にも取り組んでいる。
(同社資料より)
※AMAZONコネクト
数回のクリックでコンタクトセンターの設定や変更が可能なAWSのサービス。従来のコンタクトセンターソリューションと比較して、最大 80%のコスト削減が可能。
【2-2 中期3か年目標】
21年3月期決算発表時に公表した「3年間の合計連結経常利益目標18億円以上」に対する進捗は、23/3期までの実績+24/3
期会社計画を元にすると61百万円未達の状況。なお、23/3期に営業外費用として計上した運用評価損89百万円の影響は排除している。理由は投資組合の適用会計基準変更に伴う未実現の一時的な事象であるため。
18億円という目標に対する未達分61百万円(今期会社計画達成を前提とした場合)は、連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等、現行計画をさらに前倒しして実現することによる達成を目指す。
(同社資料より)
3.2024年3月期第2四半期決算概要
【3-1業績概要】
| 23/3期2Q | 構成比 | 24/3期2Q | 構成比 | 前年同期比 | 予想比 |
売上高 | 3,242 | 100.0% | 3,437 | 100.0% | +6.0% | +4.2% |
売上総利益 | 851 | 26.3% | 773 | 22.5% | -9.2% | - |
販管費 | 600 | 18.5% | 626 | 18.2% | +4.4% | - |
営業利益 | 251 | 7.8% | 146 | 4.3% | -41.7% | +12.8% |
経常利益 | 258 | 8.0% | 163 | 4.8% | -36.7% | +25.7% |
当期純利益 | 185 | 5.7% | 110 | 3.2% | -40.6% | +7.9% |
*単位:百万円。
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
営業減益ではあるが、期初会社計画は超過して着地
24/3期2Q累計の売上高は前年同期比6.0%増の3,437百万円、営業利益は同41.7%減の146百万円となった。マザーセンターコンサルティングやソフトウェア開発受託を成長ドライバに売上は伸長したものの、DX関連プロジェクトの開発遅延により、営業利益は減益となった。ただし、これは期初から想定されていたことで、会社計画に対しては売上・利益ともに過達で着地した。
【3-2 セグメント動向】
| 23/3期2Q | 構成比 | 24/3期2Q | 構成比 | 前年同期比 |
IT&コンサルティング事業 | 1,917 | 59.1% | 2,102 | 61.2% | +9.6% |
アウトソーシング事業 | 1,324 | 40.9% | 1,334 | 38.8% | +0.7% |
売上高合計 | 3,242 | 100.0% | 3,437 | 100.0% | +6.0% |
IT&コンサルティング事業 | 379 | 19.8% | 310 | 14.8% | -18.1% |
アウトソーシング事業 | 253 | 19.2% | 240 | 18.1% | -5.1% |
調整 | -381 | - | -405 | - | - |
セグメント利益合計 | 251 | 7.8% | 146 | 4.3% | -41.7% |
*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
(1)IT&コンサルティング事業
IT&コンサルティング事業の売上高は前年同期比9.6%増の2,102百万円、セグメント利益は同18.1%減の310百万円となった。前期は大型のパッケージ売上が計上されていたためハードルが高くなっていたが、マザーセンター構想に関わる大型コンサルティング案件の受注等により、増収を確保した。収益面では、前上期低採算プロジェクトや未稼働人員コストの減少により収益性が改善したことに対し、今上期は前4Qに発生した不採算プロジェクトに対する損失引当の計上があり、利益率が5.0ポイント低下した。
(2)アウトソーシング事業
アウトソーシング事業の売上高は前年同期比0.7%増の1,334百万円、セグメント利益は同5.1%減の240百万円となった。新型コロナ特需案件が1Qで終了したものの、マザーセンター運営受託等既存案件の受注拡大によって微増収となった。ただし、新型コロナ特需案件は好採算案件だったこともあり、セグメント利益率は前年同期比1.1ポイント低下、減益に留まった。
【3-3 財務状態とキャッシュ・フロー】
◎主要BS
| 23年3月末 | 23年9月末 | 増減 |
| 23年3月末 | 23年9月末 | 増減 |
流動資産 | 2,672 | 2,659 | -13 | 流動負債 | 1,448 | 1,450 | +1 |
現預金 | 1,340 | 1,282 | -58 | 仕入債務 | 162 | 134 | -27 |
売上債権 | 1,214 | 1,226 | +12 | 短期借入金 | 414 | 436 | +21 |
固定資産 | 771 | 826 | +55 | 固定負債 | 373 | 334 | -38 |
有形固定資産 | 89 | 79 | -9 | 長期借入金 | 360 | 323 | -36 |
無形固定資産 | 209 | 240 | +31 | 負債合計 | 1,821 | 1,784 | -36 |
投資その他の資産 | 472 | 505 | +32 | 純資産 | 1,623 | 1,701 | +78 |
資産合計 | 3,444 | 3,486 | +41 | 利益剰余金 | 701 | 767 | +66 |
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| 負債純資産合計 | 3,444 | 3,486 | +41 |
*単位:百万円
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
23年3月末から大きな変動はなかった。総資産は3,486百万円。自己資本比率は23年3月末46.4%から47.9%に上昇。
◎キャッシュ・フロー
| 23/3期2Q | 24/3期2Q | 増減 |
営業CF | 214 | 86 | -127 |
投資CF | -97 | -86 | +11 |
フリーCF | 116 | 0 | -116 |
財務CF | 110 | -58 | -169 |
現金同等物残高 | 519 | 1,282 | +763 |
*単位:百万円
*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
税金等調整前当期純利益が162百万円あったことに加え、前受金、預り金の増加によって営業キャッシュ・フローは86百万円となった。投資キャッシュ・フローは無形固定資産の取得による支出-71百万円を中心に-86百万円。財務キャッシュ・フローは配当金の支払額-41百万円などにより-58百万円となった。その結果、現金同等物は前期比763百万円増となり、期末残高は1,282百万円となった。
4.2024年3月期業績予想
【4-1 業績予想】
| 23/3期 | 構成比 | 24/3期(予) | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 6,798 | 100.0% | 7,150 | 100.0% | +5.2% |
営業利益 | 576 | 8.5% | 610 | 8.5% | +5.8% |
経常利益 | 497 | 7.3% | 610 | 8.5% | +22.6% |
当期純利益 | 635 | 9.4% | 439 | 6.1% | -30.9% |
*単位:百万円。予想は会社側予想。
増収増益を予想、中期計画達成に向け、前倒しでの進捗に取り組む
売上高は前期比5.2%増の71億円50百万円、営業利益は同5.8%増の6億10百万円の予想。期初会社計画からの変更はない。上期は会社計画を上回って進捗したが、下期偏重の計画になっているため、通期会社計画は据え置かれた。
引き続き人材育成には積極的に投資をしていくため、全社費用は同25.2%増の11億10百万円となる計画だが、IT&コンサルティング事業が増収効果によってセグメント利益率が前期実績20.2%から25.3%に上昇することで、全体利益率を維持する考え。
修正後の3ヵ年中期計画に対し、現時点では61百万円未達の状況。これに関しては、今後連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等、現行計画をさらに前倒しして実現することで達成に持っていく考え。
一株配当は15円の計画。同社は一過性の利益(資産売却益等)を除いた当期純利益に対して10~20%の配当性向を目標に一株配当を決定する方針。加えて、配当意外の株主還元についても各種指標を見ながら判断するとしている。
| 23/3期 | 構成比 | 24/3期(予) | 構成比 | 前期比 |
IT&コンサルティング事業 | 3,931 | 57.8% | 4,150 | 58.0% | +5.5% |
アウトソーシング事業 | 2,867 | 42.2% | 3,000 | 42.0% | +4.6% |
売上高合計 | 6,798 | 100.0% | 7,150 | 100.0% | +5.2% |
IT&コンサルティング事業 | 796 | 20.2% | 1,050 | 25.3% | +31.9% |
アウトソーシング事業 | 666 | 23.3% | 670 | 22.3% | +0.6% |
調整 | -886 | - | -1,110 | - | - |
セグメント利益合計 | 576 | 8.5% | 610 | 8.5% | +5.8% |
*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。
5.今後の注目点
24/3期を最終年度とした中期3ヵ年計画は、21年策定当初の3期間(22/3~24/3期)累計経常利益8億円以上という数値目標が上方修正され、現在は18億円以上の達成を目指している。24/3期会社計画を達成したとしても、まだ61百万円未達ということになる。同社は、連携プレーヤーとの提携再加速、人材拡充の早期化等によってこの計画を達成すべき取り組んでいる。元々24/3期は下期偏重型の予算ではあるが、更に上乗せした達成の実現可能性が短期的な焦点となろう。ただし、株式価値では今期までのファンダメンタルズで積み上げられるものではなく、中長期的なファンダメンタルズに基づくターミナルバリューが重要な観点となる。その意味では24年5月に発表予定の次期中期3ヵ年計画の方向性、成長可能性にも今後注目していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 5名、うち社外取締役2名(うち独立役員2名) |
監査役 | 3名、うち社外監査役2名(うち独立役員2名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年6月28日
<基本的な考え方>
当社は、株主の利益を最大化するためには、「クライアント企業への結果で貢献」することで、当社が「企業として成長」し、当社の事業運営を推進することによって「より良い社会作りへ貢献」することが不可欠と考え、以下の企業理念を掲げております。
・顧客と企業の接点の最適化領域でNo.1企業となる
・消費者・企業・働く人が満足するビジネスの仕組みを創造することにより、より良い社会作りに貢献する
・コンサルティング・テクノロジー・アウトソーシングの3つを融合させ、クライアント企業に結果で貢献する
当社グループは、これらを達成するために、コーポレート・ガバナンスの強化充実を重要な経営課題と認識しており、経営の健全性、機動性及び透明性を確保する体制の構築に取り組んでまいります。
<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を、全て実施しております。
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