ブリッジレポート:(9278)ブックオフグループホールディングス 2024年5月期第1四半期決算
堀内 康隆 社長 | ブックオフグループホールディングス株式会社(9278) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 小売業(商業) |
代表者 | 堀内 康隆 |
所在地 | 相模原市南区古淵2-14-20 |
決算月 | 5月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,029円 | 20,547,413株 | 21,143百万円 | 15.7% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
25.00円 | 2.4% | 80.95円 | 12.7倍 | 954.20円 | 1.1倍 |
*株価は11/2終値。発行済株式数、DPS、EPSは24年5月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当基準利益 | EPS | DPS |
2020年3月(実) | 84,389 | 1,428 | 1,898 | 240 | 13.77 | 6.00 |
2021年5月(実) | 93,597 | 1,936 | 2,509 | 157 | 9.03 | 6.00 |
2022年5月(実) | 91,538 | 1,766 | 2,307 | 1,449 | 82.07 | 20.00 |
2023年5月(実) | 101,843 | 2,578 | 3,040 | 2,769 | 140.15 | 25.00 |
2024年5月(予) | 106,000 | 2,600 | 3,000 | 1,600 | 80.95 | 25.00 |
*2021年5月期は14ヶ月決算。予想は会社予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。
ブックオフグループホールディングス(株)の2024年5月期第1四半期決算概要などについてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2024年5月期第1四半期決算概要
3.2024年5月期業績予想
4.中期経営方針
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 24年5月期第1四半期の売上高は前年同期比10.4%増の261億円。国内ブックオフ事業、プレミアムサービス事業、海外事業とも増収。経常利益は同21.0%減の5億円。粗利率の高い書籍の弱含みなど、商品構成の変化に伴い売上総利益の増益率は増収率を下回り、先行して発生した開業費用など販管費の増加を吸収できなかった。
- 業績予想に変更は無い。24年5月期の売上高は前期比4.1%増の1,060億円、営業利益は同0.8%増の26億円、経常利益は同1.3%減の30億円の予想。第1四半期の直営店の出店は、国内ブックオフ事業における1店舗のみだったが、各事業における積極出店は継続し、売上高は引き続き伸長する。一方、国内ブックオフ事業における大型IT投資遅延に伴う償却費の費用負担増加や、成長期待事業拡大に向けた人財の確保・育成などにより、営業利益・経常利益は前期並を見込んでいる。配当は前期と同じ25.00円/株を予想。予想配当性向は30.9%。
- 国内ブックオフ事業の直営店385店舗のうち、駅前立地のいわゆる小型店舗は約50店舗。小型店舗の中心商材は、書籍とソフトメディアとなっているが、同社においても中長期的には成長が期待しにくい商材と認識しており、トップラインの引き上げ、収益性改善を目指し、現在は主にリプレイスを中心に取扱商材の拡充・強化を行っているが、今後、小型店舗をどのように変化させていくかは課題の一つと考えている。
- また、足元ではリユース業界について、「コロナ禍収束に伴う需要の反動減」「暖冬によるアパレルへの影響」といったネガティブ要因に加え、リユースにとっては追い風であった物価高も、長期化することによる消費全般への影響を懸念する声も強まっているという。
- 困難な時期を乗り越え、堅実な成長路線に回帰し、2028年5月期に向け、深化領域の着実な伸長と探索領域の拡大により、過去最高利益(経常利益38億円)の大幅な更新を目指す同社だが、こうした課題にどのように取り組んでいくのかに注目したい。
1.会社概要
書籍、CD、DVD、ゲーム、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、雑貨など様々なジャンルでリユース(再使用)事業を展開する日本最大級のリユースチェーンをグループで展開。北海道から沖縄まで全国をカバーする約800の店舗ネットワーク(直営+フランチャイズ)に加え、ECの連携を強化している。
【1-1 ブックオフグループの経営理念】
「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」という経営理念の下、「本」の買取・販売を中心に様々なモノのリユースに取り組む中で育んできた、ブランド、店舗網、そして人財がグループの強みとなっている。「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」ことをミッションとし、「リユースのリーディングカンパニーになる」「自信と情熱を持ち、安心して働き、成長できる会社になる」をビジョンとして掲げている。
【1-2 事業内容】
中心事業は「国内ブックオフ事業」「プレミアムサービス事業」「海外事業」の3つ。このほか、中期的な収益拡大に向けて「事業開発領域」において各種事業開発に取り組んでいる。
単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略してきたが、24年5月期より「国内ブックオフ事業」「プレミアムサービス事業」「海外事業」「その他・全社」のセグメント情報の開示を開始した。
(1)国内ブックオフ事業
2023年5月期実績 売上高900億円超、経常利益約35億円。
書籍・ソフトメディア等のリユースショップ「BOOKOFF」のチェーン本部としてフランチャイズ(FC)システムの運営及び直営店舗の運営を行っている。直営店舗は、本、CD、DVD、ゲームソフト、トレーディングカード、ホビー、家電、携帯電話等を取り扱う「BOOKOFF」、「BOOKOFF」にアパレル、ブランド品等を加えた中型複合店舗「BOOKOFF PLUS」、及び書籍、ソフトメディアの他、トレーディングカード、ホビー、家電(オーディオ、ビジュアル、コンピュータ等)、アパレル、スポーツ用品、ベビー用品、腕時計、ブランドバッグ、貴金属、食器、雑貨など幅広いリユース品を取り扱う総合リユースの大型複合店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR」、トレカ・ゲームソフト・ホビーといった「遊べるアイテム」の販売・買取に特化した「あそビバ」の4タイプで展開している。
店舗数は直営・FC合計、23年5月末現在。
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平均売場面積・店舗数 | 約130坪、610店舗 | 平均売場面積・店舗数 | 約950坪、48店舗 |
取扱商材 | 本、CD、DVD、ゲーム、トレカ、ホビー、家電、携帯電話等 | 取扱商材 | 「BOOKOFF」+洋服、ブランド品、雑貨、スポーツ用品、食器等 |
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平均売場面積・店舗数 | 約300坪、75店舗 | 平均売場面積・店舗数 | 約40坪、3店舗 |
取扱商材 | 「BOOKOFF」+洋服、服飾雑貨等 | 取扱商材 | トレカ、ゲームソフト、ホビー |
(同社資料を基に作成)
書籍、ソフトメディアを中心とした従来型の中小型店舗である「BOOKOFF」および「BOOKOFF PLUS」は、駅前・繁華街からロードサイドまでカバーする重要な顧客接点かつ買取拠点である。
多様な商材を取り揃えた500~1,000坪超の大型総合リユース店舗「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)」は地域の旗艦店として競合他社にはない競争優位性を発揮している。
国内ブックオフ事業の23年5月期の売上高は約900億円で、全社売上高の約9割を占める。国内ブックオフ事業売上高の内訳は、「BOOKOFF」および「BOOKOFF PLUS」が約5割、「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)」が約4割を占めている。
「公式スマホアプリを起点に、ECチャネルと全国の店舗網を活用し、リユース商品との「一期一会」を全てのお客様に最適な方法でお届けする」ことをコンセプトとする「ひとつのBOOKOFF」構想を進めており、アプリ会員の拡大、電子買取システムの導入と拡大(利用者の受付時間短縮と店舗運営効率UP)、店頭在庫のEC連携、EC商品の店舗受取サービス、キャッシュレス買取といった施策に取り組んでいる。
2023年5月末のアプリ会員数は643万人となり、目標を大きく上回った。
レジ通過客数(延べ)の3割超がアプリ会員となり、カード会員を超えた。アプリを通じた誘客施策が奏効し、来店客数増に繋がっている。
今後は会員数増大よりも来店頻度のアップ、会員一人当たりの売上増を目指すフェーズに軸足を移していく。
CRMを充実させるとともに、2023年5月より開始したロイヤリティプログラムの拡充を進める。ブックオフにまつわる行動を会員アプリ内スタンプで可視化し、インセンティブを付与。顧客の生活に密着し、再来店・再購入を促す考えだ。
同時に、ECサイトおよび店舗POS刷新のための大規模な開発にも取り組んでいる。
(2)プレミアムサービス事業
2023年5月期実績 売上高約54億円、経常利益約3億円。
BOOKOFFだけではリーチしきれていない、資産性の高いモノを保有する顧客層に対し、多様なサービスブランドでリユース利用を増大させることを目指している。
大手百貨店内で富裕層向け買取サービス等を行う「hugall」(23年5月末時点 15店舗)、本だけではなく、腕時計や貴金属、洋服、ブランド品、食器やスポーツ用品まで、何でも売ることができる買取特化型店舗「BOOKOFF総合買取窓口」(同14店舗)、ジュエリーの買取・販売のほか、オーダー受注・リペア・リメイクなどジュエリーに関する総合サービスを行う「aidect(アイデクト)」(同12店舗)を運営。
「hugall」は、豊富な百貨店内の運営ノウハウ、投資回収の早さ、様々なジャンルに精通した専門部隊による訪問買取等を強みとしている。
「BOOKOFF総合買取窓口」はブランド品のリユースだけでなく、書籍・ソフトメディアのリユースを取り扱うことによる他社との差別化を図っている。
同事業は、BOOKOFF SUPER BAZAAR等に商品供給を行いグループ収益に貢献しているほか、BOOKOFFがリーチしづらい地域や場に出店を行うことによるグループブランディングへの貢献、自社EC「rehello」におけるグループのアパレル商材販売といったシナジーを発現している。
(3)海外事業
2023年5月期実績 売上高約42億円、経常利益約6億円。
BOOKOFF U.S.A. INC.が米国で「BOOKOFF」店舗(12店舗)を、BOK MARKETING SDN.BHD.がマレーシアを中心に「Jalan Jalan Japan」(11店舗)の運営をそれぞれ行っている。この他、フランスに加盟店3店舗を有している。
現地で独特な、エンターテインメント性の高い小売業としての地位を確立しているほか、「ネイティブ従業員の育成」を最上位に位置付ける運営を行っている。
店舗数は23年5月末時点。
*マレーシア
2016年に進出。現地オリジナルパッケージの「Jalan Jalan Japan」を10店舗展開している。人財育成に力を入れ、店舗ネットワークの更なる拡充に取り組んでいく。
マレーシア事業は黒字化しているが、収益貢献だけでなく、グループの出口機能も担っている(日本国内の店舗で販売に至らなかった商品を現地で販売している)。国内で売れ残った商品は産業廃棄物として処理するが、マレーシア事業が機能する事で処理費用を抑制できる。店舗運営には大量の商品の確保と大量の商品を売り切るオペレーションが要求されるため、他社が同様の事業を展開する事は難しく、業界でも断トツの売上規模を誇る同社ならではの事業である。現地子会社を駐在社員がマネジメントし、店舗は店長を始め現地採用のローカル人員が中心となって運営している。
2022年10月、Jalan Jalan Japan Zhetysu-Semirechye 店が現地企業による「加盟店」としてカザフスタン共和国アルマトイ市にオープンした。
同国の首都アルマトイ市は北海道とほぼ同緯度に位置するカザフスタン最大の都市。同国への出店により、日本国内の冬物衣料やウィンター用品の出口機能としての展開が可能になった。アパレル中心に好調な立ち上がりとなっており、現地の加盟企業を通じて10店舗以上の出店を計画するとともに、今後他国への展開も検討している。
*米国
2000年進出。BOOKOFFを12店舗運営しており、日本国内のブックオフ同様に、本、ソフトメディアのほか、アニメ商材、ホビー等の買取・販売を行っている。
マレーシア同様、現地子会社を駐在社員がマネジメントし、店舗運営は現地採用のローカル人員中心で行っている。
(4)事業開発領域
現時点では主に以下のような事業開発に取り組んでいる。
①トレーディングカード専門店事業「Japan TCG Center」
トレカ専門店「Japan TCG Center」は、中古買取・販売のほか、新品パックやカードサプライ(トレーディングカードゲームに関連するグッズ類)も豊富に取り揃えている。店舗で遊べるデュエルスペースを完備しており、初心者から上級者まで幅広い層をターゲットとしている。23年5月末時点で2店舗を有する。
②「CDプラ」事業
外部企業とのパートナーシップによる技術導入により、ブックオフの店舗で販売しきれないCD・DVD年間約1,700トンから再生プラスチック資材を製造する。メーカー等に販売することで新しい価値提供につなげる。
③おかたづけ事業
相続・生前整理・引越しなどを契機とした家屋内の物品整理ニーズに対応したサービス。不用品の分別、搬出・処理手配から買取まで、片づけをワンストップで行う。23年5月時点では、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で対応している。
④賞味期限が迫る加工食品の販売ECサイト「FOOD ReCO」
賞味期限が迫った加工食品を販売するECサイト「FOOD ReCO」を「楽天市場」内に出店している。
「まだ食べられるのに捨てられる商品」「行き場を無くした商品」を提供することで食品ロス削減に貢献している。
【1-3 同社の強み】
同社では、リユース市場における自社の強みは、主として以下の点であると考えている。
(1)認知度No.1
国内リユースチェーン利用者に対する調査の結果、同社の認知度は96%。回答者のほぼ全員が同社の事を知っているという結果がでている。
長年の運営実績、実店舗の全国展開などがその背景にあり、他社が簡単には追随できるものではなく、強力な参入障壁となっている。
(2)利用客数No.1
同社の利用客数は年間約9,000万人(延べ人数)。上記の認知度に加え、全国約800の店舗ネットワークや、リアル・ネット双方でお客様の利用機会の最大化を目指す「ひとつのBOOKOFF」構想など、利便性の高さが利用者から高い支持を受けている。
(3)書籍在庫数No.1
書籍在庫数は1億冊を超える。書籍の買取・販売からスタートした同社の主力商材である書籍は、利用者層の幅も広く、リユースサービス利用の入口ともなりやすいため、その後の他商材利用への広がりも期待できることから、安定した利用者基盤構築に大きく寄与している。
(4)人財育成システム
事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」を実現するために、上記のブランド力、店舗網に加え人財の育成が不可欠と考え、正社員のみでなくパート・アルバイトを含めた全社員を対象とした人財育成システムを構築している。
経営理念をはじめとしたフィロソフィーと各種マニュアルに基づく人財育成カリキュラムや全従業員を対象としたキャリアアップ制度により店舗運営を支える人財育成に注力している。
店舗における「笑顔・丁寧・スピーディーな対応」による来店者満足度の向上に加え、物流センターにおける運営効率向上についての各従業員の参加意識向上にも努めている。
(5)安心できる店舗づくり
利用者の立場に立った買取サービスや法令順守を徹底し、利用者が安心してモノを売る店舗づくりに取り組んでいる。
特に、利用者が最も関心のある買取価格の妥当性については、他社にはない膨大な取引データを基にした買取価格データベースを本社において整備し、それを基に各店舗での買取を実施している。
【1-4 株主還元】
利益配分を経営の最重要事項の1つと認識し、内部留保については、将来の企業価値向上につながる戦略的投資と財務体質の強化に対して有効に活用していく。
連結純利益に対する配当性向は20~30%程度を目安に、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。
【1-5 ESG経営&SDGs達成への取り組み】
(1)ESG経営
グループ経営理念の下、サステナビリティへの取り組みは経営上の重要事項であり、顧客が「ブックオフ」で、モノを売ったり買ったりする行動そのものが、モノの寿命を延ばし、捨てるモノを減らすという「循環型社会の実現」に資するものととらえている。
E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)に関し、以下のようなマテリアリティを設定し、各種取り組みを進めている。
①E(環境)
*マテリアリティ
・多様な店舗展開とサービス拡充によるお客様からのリユースの最大化
・グローバル展開、グループ内外での連携による商品廃棄の低減
循環型社会の確立に向け、同社がアプローチを強化することで資源使用の流れを鈍化・減少させる。
同社国内BOOKOFFチェーンの年間買取点数は約3.9億点、年間販売点数は約2.6億点。
CD、DVD、ゲームソフト、服商材のリユースによるCO2削減量は年間約20.5万トンと試算している。
本業のリユース(買取・販売)に加え、廃棄した書籍を活用したPB商品の開発、廃棄したCD・DVDからの再生プラ資材の製造販売、REMARKETによるアップサイクル品の販売など、リユース・リサイクル拡大に向けた活動も積極的に展開している。
②S(社会)
*マテリアリティ
多様性を踏まえた雇用機会の提供
各自のキャリアパスを見据えた人材育成を行っているほか、働きやすい環境づくりのための多様な制度の導入、障がい者雇用の推進にも取り組んでいる。
地域社会、行政、パートナーとリユースの拡大に向けた様々な協働・協業を行っている。
リユース浸透に向けた学校教育への参画も積極的に展開している。
③G(ガバナンス)
*マテリアリティ
適切な事業リスクの把握と情報開示の充実
HPコンテンツの充実、個人投資家向け説明会の開催、決算説明会のWEB配信、株主総会の土曜日開催、機関投資家MTGへの堀内社長の参加、英文開示の実施など、株主・投資家との対話の充実を図っている。
ガバナンス体制においては、2022年にサステナビリティ戦略委員会を設置した。
代表取締役社長が委員長を務め、半期に1回以上の頻度で開催する。気候変動をはじめとした様々なリスク・機会の特定及び対応方針や戦略の検討並びに、各部門における実行計画の進捗モニタリング等を実施している。
(2)SDGs達成への取り組み
「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals)」の達成に向けて、「SDGsの目標とターゲット」から 事業に関連のある事項及び社会的インパクトのあるものを抽出し重点課題を洗い出した。
特定したマテリアリティに対する取り組みを推進するため、広報・SDGs推進室が中心となってグループ横断で議論、推進するチームを作り、同社グループの強みを生かしつつ、社外のパートナーとも積極的に連携し、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいる。
マテリアリティ | 概要 | SDGs |
*廃棄物の大幅削減・森林の持続可能な経営
*カーボンニュートラル社会の実現 | ブックオフグループのリユース事業を通じ、年間46万トンのCO2削減効果を生み出している。また、パートナー企業と連携し、古紙として年間2.8万トンをリサイクルしており、年間約60万本(※自社算定)の森林環境保全に繋がっている。
TCFDの提言に基づき、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標・目標のフレームワークに沿った気候変動に係る情報開示の質と量の充実を推進する。 |
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次世代への教育機会の推進 | リユース事業や業務、様々な取り組みについてのカリキュラムを作成し、幼児から小学校、中学校、高等学校と成長段階に応じて、リユース業態を活かした様々な教育支援プログラムや講演活動を実施している。身近にある店舗を題材にすることで社会・環境問題を自分事として捉えて考える教育機会を推進している。 |
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ダイバーシティ推進 | 女性従業員が活き活きと働き、活躍できる職場環境作りやワークライフバランス実現に向けた施策として、「働きやすい職場作りプロジェクト」を立ち上げ、年齢・性別を問わず、育児・子育て・介護等の様々なライフステージに対応した働き方を可能とする取り組みを行っている。 具体的には、主要事業会社であるブックオフコーポレーション株式会社において2028年度末までに「目標1:女性管理職(統括エリアマネージャー、グループ長以上)比率を20.0%以上とする」「目標2:女性社員の育休取得率100%維持、男性社員の育休取得率を60%以上とする」という2つの目標達成を掲げている。
また、障がい者雇用のための特例子会社を設立し、障がい者の雇用を積極的に行い、多様性の確保を進めている。 |
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官民連携、企業連繋 | 国内では消費出来ず、廃棄せざるを得ない商品を海外向けリユースショップ「Jalan Jalan Japan」で販売し、モノの寿命を伸ばす取り組みを行うほか、関係各所とパートナーシップを結ぶことで、共働して循環型社会への推進をリードしている。 |
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(同社資料などより)
2.2024年5月期第1四半期決算概要
【2-1 連結業績】
| 23/5期1Q | 構成比 | 24/5期1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 23,726 | 100.0% | 26,183 | 100.0% | +10.4% |
売上総利益 | 13,738 | 57.9% | 14,713 | 56.2% | +7.1% |
販管費 | 13,186 | 55.6% | 14,304 | 54.6% | +8.5% |
営業利益 | 551 | 2.3% | 409 | 1.6% | -25.8% |
経常利益 | 663 | 2.8% | 524 | 2.0% | -21.0% |
四半期純利益 | 651 | 2.7% | 308 | 1.2% | -52.7% |
* 単位:百万円。
増収減益
売上高は前年同期比10.4%増の261億円。国内ブックオフ事業、プレミアムサービス事業、海外事業とも増収。
経常利益は同21.0%減の5億円。粗利率の高い書籍の弱含みなど、商品構成の変化に伴い売上総利益の増益率は増収率を下回り、先行して発生した開業費用など販管費の増加を吸収できなかった。
【2-2 セグメント別動向】
| 23/5期1Q | 構成比 | 24/5期1Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 |
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国内ブックオフ事業 | 21,308 | 89.8% | 23,201 | 88.6% | +8.9% |
プレミアムサービス事業 | 1,350 | 5.7% | 1,664 | 6.4% | +23.3% |
海外事業 | 911 | 3.8% | 1,057 | 4.0% | +16.0% |
その他 | 156 | 0.7% | 259 | 1.0% | +66.5% |
合計 | 23,726 | 100.0% | 26,183 | 100.0% | +10.4% |
セグメント利益 |
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国内ブックオフ事業 | 836 | 3.9% | 799 | 3.4% | -4.4% |
プレミアムサービス事業 | 71 | 5.3% | 114 | 6.9% | +59.9% |
海外事業 | 174 | 19.1% | 166 | 15.7% | -4.6% |
その他 | -21 | - | -45 | - | - |
調整額 | -398 | - | -510 | - | - |
合計 | 663 | 2.8% | 524 | 2.0% | -21.0% |
*単位:百万円。セグメント利益の構成比は売上高利益率。
(1)国内ブックオフ事業
増収減益。
直営既存店においてトレーディングカード・ホビーやアパレル、貴金属・時計・ブランドバッグ、ソフトメディアなどの売上高が前年同期を上回った。
一方、商材構成比の変化に伴う売上総利益率の低下のほか、第2四半期以降の出店に対する開業費用が先行したため、減益となった。
◎既存店の状況
既存店リニューアルや、アプリ会員基盤最大化などのマーケティング施策により、既存店売上高前年同期比は109.5%、同売上客数は103.7%と堅調な推移。
◎商材・立地
*商材
書籍のみ前年同期比減収。巣ごもり需要一巡に加え、紙ベースの新刊書籍販売部数減少傾向が影響しており、長期的にはダウントレンドは避けられないと見ているが、書籍は中核商材との位置づけに変化はない。減少幅縮小に注力する。
注力中のトレーディングカード・ホビーは、引き続き好調。店舗リニューアル等による取扱強化が寄与しているほか、トレーディングカード新品市場の伸長も寄与している。
イベントの開催などを通じ、トレカプレーヤー層ならびに市場の拡大を図っている。
アパレルも前年同期を上回った。売り場面積は縮小したが、店舗オペレーション変更等による効率化に取り組んでいる。
(国内直営店 商材別売上高前年同期間比)
| 23/5期 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 24/5期 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
書籍 | 94.8% | 93.4% | 96.4% | 97.3% | 96.2% | - | - | - |
ソフトメディア(音楽・映像・ゲーム) | 104.0% | 110.8% | 101.4% | 106.3% | 102.6% | - | - | - |
アパレル | 117.6% | 120.2% | 124.1% | 121.8% | 119.7% | - | - | - |
貴金属・時計・ブランドバッグ | 111.8% | 118.6% | 110.5% | 113.2% | 118.4% | - | - | - |
トレーディングカード・ホビー | 142.9% | 153.2% | 140.2% | 144.5% | 135.8% | - | - | - |
家電・携帯電話 | 118.0% | 113.0% | 107.9% | 106.2% | 106.9% | - | - | - |
スポーツ・アウトドア用品 | 107.4% | 117.1% | 107.2% | 109.4% | 107.1% | - | - | - |
その他 | 124.7% | 115.3% | 114.2% | 110.4% | 103.0% | - | - | - |
合計 | 109.3% | 113.2% | 109.5% | 111.7% | 109.5% | - | - | - |
*既存店実績
*立地
郊外・ロードサイド型、駅前・繁華街型ともおおむね堅調に推移した。
◎店舗
23年8月末の店舗数は827店舗。24年5月期第1四半期の新規出店は直営・国内1店舗。
(リニューアルについて)
引き続き、戦略的投資として、「BOOKOFFのエンタメ化」と「BOOKOFF SUPER BAZAAR(BSB)のトレーディングカード・ホビー強化、アパレル売場の効率化」の2つを実施している。
新規出店(直営)
区分 | 店舗名 | 店舗パッケージ | OPEN | 所在地 | 売場面積 |
国内 | ヨシヅヤ新稲沢店 | BOOKOFF PLUS | 7月28日 | 愛知県 | 295坪 |
(2)プレミアムサービス事業
増収増益。
前期の新規出店が寄与したほか、一過性要因として、「hugall」の仕入在庫について相場状況に合わせて売却を進めた。「BOOKOFF総合買取窓口」、「aidect」の仕入高は前年同期を上回った。
(3)海外事業
増収減益。
アメリカ合衆国内の「BOOKOFF」、マレーシア国内の「Jalan Jalan Japan」それぞれにおいて前期までの出店が寄与した一方、今後の積極出店に向けた人員拡充や待遇改善等、人件費の増加により減益。
【2-3 財政状態とキャッシュ・フロー】
◎財政状態
| 23年5月 | 23年8月 | 増減 |
| 23年5月 | 23年8月 | 増減 |
流動資産 | 29,112 | 30,234 | +1,122 | 流動負債 | 17,945 | 20,685 | +2,740 |
現預金 | 5,544 | 6,665 | +1,121 | 仕入債務 | 814 | 766 | -48 |
売上債権 | 3,008 | 2,901 | -107 | 短期借入金 | 10,384 | 13,858 | +3,474 |
たな卸資産 | 17,612 | 17,701 | +89 | 固定負債 | 13,210 | 12,119 | -1,091 |
固定資産 | 21,101 | 21,516 | +415 | 長期借入金 | 10,532 | 9,453 | -1,079 |
有形固定資産 | 8,852 | 9,246 | +394 | 負債 | 31,155 | 32,804 | +1,649 |
無形固定資産 | 2,443 | 2,536 | +93 | 純資産 | 19,057 | 18,946 | -111 |
投資その他 | 9,804 | 9,733 | -71 | 利益剰余金 | 12,322 | 12,137 | -185 |
差入保証金 | 7,296 | 7,307 | +11 | 自己株式 | -591 | -591 | 0 |
資産合計 | 50,213 | 51,750 | +1,537 | 負債・純資産合計 | 50,213 | 51,750 | +1,537 |
* 単位:百万円。借入金にはリース債務を含む。
現預金および有形固定資産増等で資産合計は前期末比15億円増加の517億円。
短期借入金の増加等で負債合計は同16億円増加し328億円。
利益剰余金の減少等で純資産は同1億円減少の189億円。
自己資本比率は前期末比1.4pt低下し、36.2%。
3.2024年5月期業績予想
【3-1 業績予想】
| 23/5期 | 構成比 | 24/5期(予) | 構成比 | 前期比 | 進捗率 |
売上高 | 101,843 | 100.0% | 106,000 | 100.0% | +4.1% | 24.7% |
営業利益 | 2,578 | 2.5% | 2,600 | 2.5% | +0.8% | 15.7% |
経常利益 | 3,040 | 3.0% | 3,000 | 2.8% | -1.3% | 17.5% |
当期純利益 | 2,769 | 2.7% | 1,600 | 1.5% | -42.2% | 19.3% |
* 単位:百万円。
業績予想に変更なし、増収も利益は前期並み
業績予想に変更は無い。売上高は前期比4.1%増の1,060億円、営業利益は同0.8%増の26億円、経常利益は同1.3%減の30億円の予想。
第1四半期の直営店の出店は、国内ブックオフ事業における1店舗のみだったが、各事業における積極出店は継続し、売上高は引き続き伸長する。一方、国内ブックオフ事業における大型IT投資遅延に伴う償却費の費用負担増加や、成長期待事業拡大に向けた人財の確保・育成などにより、営業利益・経常利益は前期並を見込んでいる。当期純利益は前期の一時的要因の反動で減益。
配当は前期と同じ25.00円/株を予想。予想配当性向は30.9%。
【3-2 各種前提】
※前回レポートから
(1)国内ブックオフ事業
新規出店は、BOOKOFF SUPER BAZZAR、BOOKOFF、BOOKOFF PLUSで10~11店舗。あそビバで2~3店舗を予定している。
引き続き、既存店におけるトレカ・ホビー強化及びアパレル効率化(BOOKOFF SUPER BAZZAR)、BOOKOFFのエンタメ化のリ
ニューアルを実施する。
直営店既存店売上高前期比は、23年5月期の110.9%に対し、上期107%、下期101%を想定している。
(2)プレミアムサービス事業
「hugall」「BOOKOFF総合買取窓口」は4~5店舗の新規出店を予定している。
出店継続とともに、重要施策である人財確保及び育成に注力する。
(3)海外事業
「Jalan Jalan Japan」は加盟店を含め3~4店舗、米国では2~3店舗の新規出店を計画している。
マレーシアへの商品供給強化のための設備投資を実施する考えだ。
4.中期経営方針
【4-1 これまでの歩みと事業環境】
ブックオフコーポレーションとして中古本の仕入・販売からスタートし、2000年以降、取扱商材を拡大するとともに、積極的な店舗展開で成長してきた同社は、出店商圏余地が限界を迎える中でも店舗の複合化・大型化を進め利益の拡大を実現してきた。
しかし、ECやCtoCの拡大、競争激化の中で、収益は低迷し、2016年~2018年には最終赤字を計上することとなった。
こうした状況下、ECサイト「BOOKOFF Online」や高額商品を取り扱うプレミアムサービス事業の開始、買取特化型店舗「BOOKOFF総合買取窓口」の新設など、変革のためのトライ&エラーを進め事業基盤の再構築を図ってきた。
コロナ禍の影響も受けたが、国内ブックオフ事業の再強化、プレミアムサービス事業及び海外事業への注力、新業態店舗の開発などにより経常利益30億円を創出することができる体制を整えることができた。
変革期を経て今期以降を持続可能な新たな成長期と位置付けている。
同社資料によれば(リサイクル通信調べ 2022年)、国内リユース市場は、2009年1.1兆円が2022年には3.0兆円まで拡大。2025年には更に3.5兆円まで伸長(CAGR+7.6%)すると見込まれている。
【4-2 目指す姿】
成長の続くリユース市場において「リユースのリーディングカンパニー」を目指す。
そのために、「あらゆるお客様層がお得に、楽しく、安心して買える・売れる」環境の整備、「すてない社会」の実現、リユースの世界展開、リユース拡大のための活動、などに取り組む。
事業ミッションである「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」ことの実現による企業価値の最大化を目指している。
「経営理念の体現」「人財育成」「既存事業CFの永続性担保」「資本コストの低減」から成るグループの普遍的価値をベースに、各事業を推進し成長を追求する。
(同社資料より)
【4-3 事業方針】
(1)概要
成長市場において、「1.会社概要」で触れた「経営理念」「MISSION」「VISION」の下、探索と深化を兼ね備えた持続的な成長の実現に向けて、従前のテーマであった「本だけじゃないブックオフ」から一歩進み、「ブックオフだけじゃないブックオフグループ」、つまり「事業ポートフォリオの変革」が不可欠であると考え、中期的な事業方針としている。
(2)各事業の位置付け
国内ブックオフ事業を「深化領域」、プレミアムサービス事業、海外事業、事業開発領域を「探索領域」と位置付け、深化領域で生み出した収益・ノウハウ・人財を探索領域に投資。
基幹事業に育成することで環境変化に対応可能な事業ポートフォリオを構築する。
(同社資料より)
国内ブックオフ事業においては、損失計上という困難な時期もあったが、それを乗り越えて再び堅実な成長路線に回帰してきた。
そうした中で、基礎的なマネージメントスキル、コミュニケーションの取り方、チームビルディングや社員のモチベーション向上のため手法といった、いわば人財育成のための要諦が同社では確立することができている。
こうした優れた人財育成のノウハウを「探索領域」に導入していく。もちろん「深化領域」と「探索領域」ではビジネスモデルも異なるためチャレンジングな部分もあるが、同社の大きな強みである人財育成の仕組みを「探索領域」でも展開することで、大きな成長に繋げていく。
(3)各事業の方針
①国内ブックオフ事業
中期方針を「お客様へ最高のリユース体験を提供する」とし、「本を中核商材に地域に合わせた商材拡張」と「ブックオフを超便利に・超面白く」に取り組む。
グループの中核事業として、現状の利益水準を確保しつつ資本効率を改善し、成長事業への人財・ノウハウの輩出を継続的に行う。
顧客戦略においては来店頻度の向上、来店機会の創出、買取戦略においては体験価値の向上、顧客コストの削減、改善の継続性、デジタル戦略においてはユーザビリティの改善、商材拡張、アプリ機能の拡充に取り組む。
人財戦略においては、社員積極採用、評価基準・キャリアパスプランの多様化が重要と認識している。
「本を中核商材に地域に合わせた商材拡張」
新刊書籍の販売が低迷しており、同社の書籍の売上も前年割れとなっている。ただ、書籍は年代、性別を問わず幅広い顧客が利用するため大きな顧客基盤を持った商材である。加えて、粗利率も高い。リユース業界においては、アパレル、ブランド品などそれぞれの商材において強力なカテゴリーキラーが存在するので、他社との差別化要素を考えたとき、同社にとって「書籍」は戦略的に重要な商材であると改めて認識している。
書籍獲得粗利額の維持に向け、適切な価格施策、買取利便性の向上、在庫の可視化・検索性向上を図る。
アパレル、ブランドバッグ・貴金属、トレカ・ホビー、スポーツ用品など増収基調が続いている商材は、取り扱い店舗数の増大、特化店舗パッケージの開発などで取り扱いを強化する。
「ブックオフを超便利に・超面白く」
既存店の大型化を中心とした継続的な出店、新店舗パッケージの開発、公式スマホアプリを利用したCRM施策の強化、接客・店舗づくりの深化、商品・顧客管理のデジタル化推進などにより顧客接点の強化と拡大を図る。
②プレミアムサービス事業
「グループで今まで取り込み切れなかった層に新規出店を中心にアプローチをかける」ことを中期方針としている。
2028年5月期までに主要都市を中心に100店舗体制を構築する。
接遇・対応力強化で競争優位性を確立するほか、新規出店に加え、富裕層の顧客開拓を目指し、百貨店の外商・不動産企業・金融系企業などアライアンスパートナーの拡大による新規出店以外でのアプローチを強化し、顧客接点を拡大する。
③海外事業
◎Jalan Jalan Japan
マレーシア、カザフスタンでの出店を続けるほか、新たな国への展開も検討する。
2028年5月期までに50店舗、2033年5月期までに100店舗へ拡大する計画。
◎米国
アメリカ東西海岸においてドミナント出店を続けることに加え、新たに内陸部メガシティへの展開を開始する。
2028年5月期までに30店舗、2033年5月期までに100店舗を目標としている。
出店拡大に合わせた商品供給力強化も重要な課題である。
同社グループのチェーンのみならず、他社や自治体とも連携して不用品のリユース促進を図るほか、Jalan Jalan Japanチェーンの出店拡大を通じて世の中の「すてない社会」の実現につなげる。
④事業開発領域
*トレーディングカード専門店事業
「Japan TCG Center」を東名阪、政令指定都市中心に積極的に出店するとともにFC展開を開始する。
成長するトレカ市場における多様なブランド展開によりグループのシェア拡大と収益化を図る。
*CDプラ(リサイクル)事業
ゴミにしないだけでなく、自社の工夫で高い価値に変えて世の中に提案する事業へチャレンジする。
*おかたづけ事業
一都三県のほか、協力企業を増やしてサービスエリアを拡大する予定である。
できるだけゴミを減らすことで廃棄費を下げ、買取金額を作業費から引くことで顧客の期待に応える考えだ。
*新たな事業の探索
「経営理念、ミッションに通ずるものであること」「ブックオフグループの事業展開で生み出された強みを活かすことができること」「ブックオフグループで働く従業員の新たなキャリア形成につながること」という方針に基づいて、引き続き新規事業開発やM&Aを検討する。
【4-4 数値目標】
◎利益の拡大
2028年5月期「売上高1,300億円、経常利益45億円以上」を目標としている。深化領域の着実な伸長と探索領域の拡大により、過去最高利益(経常利益38億円)の大幅な更新を目指す。
(同社資料より)
◎資本コストを意識した財務方針
28年5月期のROAは9.0%以上を目標としている。
WACC(加重平均資本コスト)9.0%程度と資本コストを認識しており、成長事業を中心とした積極投資による過去最高益(経常利益38億円)の更新とともに、資本収益性改善による超過利潤(経済的付加価値)の創出も目指す。
*同社では事業部門のKPIとして伝統的に経常利益を用いているため、より事業部門への浸透度合いが高い経常利益を用いたROA(総資産経常利益率)をKGIに採用している。また、同社は余剰資産が比較的少ないため、ROAとROICがほぼ同数値の状態である。
(同社資料より)
5.今後の注目点
国内ブックオフ事業の直営店385店舗のうち、駅前立地のいわゆる小型店舗は約50店舗。小型店舗の中心商材は、書籍とソフトメディアとなっているが、同社においても中長期的には成長が期待しにくい商材と認識しており、トップラインの引き上げ、収益性改善を目指し現在は主にリプレイスを中心に取扱商材の拡充・強化を行っているが、今後、小型店舗をどのように変化させていくかは課題の一つと考えている。
また、足元ではリユース業界について、「コロナ禍収束に伴う需要の反動減」「暖冬によるアパレルへの影響」といったネガティブ要因に加え、リユースにとっては追い風であった物価高も、長期化することによる消費全般への影響を懸念する声も強まっているという。
困難な時期を乗り越え、堅実な成長路線に回帰し、2028年5月期に向け、深化領域の着実な伸長と探索領域の拡大により、過去最高利益(経常利益38億円)の大幅な更新を目指す同社だが、こうした課題にどのように取り組んでいくのかに注目したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 9名、うち社外5名(うち独立役員3名) |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2023年8月29日)
基本的な考え方
当社グループは、純粋持株会社であるブックオフグループホールディングス株式会社のもと、「事業活動を通じての社会への貢献」「全従業員の物心両面の幸福の追求」をグループ共通の経営理念とし、「経営の透明性・効率性の確保」「迅速な意思決定」「アカウンタビリティの充実」をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方としております。この考えのもと、株主をはじめお客様・従業員・取引先・地域社会等の各ステークホルダーと良好な関係を築くとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを整え、持続的な成長及び中長期的な企業価値向上を目指してまいります。
コーポレートガバナンス・コードの各原則に対する基本方針を「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」にて、開示しております。
■コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み
https://www.bookoffgroup.co.jp/sustainability/governance.html
<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則1-4】
当社は、「出資及び有価証券運用に関する規程」により、原則として政策保有目的の株式の取得を行わない方針を定めております。ただし、例外として、当社フランチャイズ・チェーン加盟企業の株式を保有することがあります。当社は取締役会にて保有株式につき検証を行い、個別の政策保有株式の意義を検証しております。
(検証内容)
□定性的項目
・取得経緯
・取引関係の有無
・保有の意義
・将来的なビジネスの可能性
・保有しない場合のリスク
・保有継続した場合のメリット・デメリット
□定量的な項目
・年間受取配当額
・株式評価損益
議決権行使については、議案の内容を精査及び直近3ヶ年の業績及び財務状況等を検証し、必要に応じて企業との対話を行い、株主価値向上に資するものか否かを判断した上で、適切に行使いたします。
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【補充原則2-4①】
当社グループは、多様性の確保を含む人財育成方針、社内環境整備方針及び達成目標を定め、その実施状況と併せて自社ウェブサイト等で開示しております。
■ダイバーシティ方針(及び目標・行動計画と状況)
https://www.bookoffgroup.co.jp/sustainability/diversity.html
【補充原則3-1③】
当社は、当社グループの経営戦略の開示に当たり、サステナビリティへの取り組み及び人的資本や知的財産への投資等について、決算説明資料等で説明及び開示しております。また、当社グループの事業活動が気候変動に与える影響について、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づき、自社ウェブサイト等で開示を行っております。
■気候変動への対応(TCFD)
https://www.bookoffgroup.co.jp/sustainability/tcfd.html
【原則5-1】
当社は、IR担当役員を選任し、経営企画部をIR担当部署としております。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に一回開催するとともに、逐次スモールミーティングや個別取材等を実施しております。また、IRポリシーを制定し、当社ホームページにて開示しております。
■IRポリシー<株主との建設的な対話を促進するための方針>
https://www.bookoffgroup.co.jp/ir/policy.html
本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。 Copyright(C) Investment Bridge Co., Ltd. All Rights Reserved. |
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