ブリッジレポート
(2722) 株式会社IKホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(2722)IKホールディングス 2023年5月期決算

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飯田 裕 会長兼CEO

株式会社IKホールディングス(2722)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場・名証プレミア市場

業種

小売業(商業)

代表取締役会長兼CEO

飯田 裕

所在地

愛知県名古屋市中村区名駅3-26-8 KDX名古屋駅前ビル5階

決算月

5月末日

HP

https://www.ai-kei.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

384円

8,308,000株

3,190百万円

-21.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

5.00円

1.3%

17.56円

21.9倍

249.52円

1.5倍

*株価は9/14終値。各数値、発行済株式数(自己株式を含む)は、23年5月期決算短信より。

 

 

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2020年5月(実)

18,483

590

623

384

52.19

12.00

2021年5月(実)

20,754

705

730

321

42.60

12.00

2022年5月(実)

16,335

-360

-323

-905

-115.95

12.00

2023年5月(実)

14,179

-224

-205

-463

-60.34

0.00

2024年5月(予)

13,588

378

377

135

17.56

5.00

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

 

株式会社IKホールディングスの2023年5月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年5月期決算概要
3.2024年5月期業績予想
4.今後の戦略
5.中計経営計画「IK Way to 2026(ローリングプラン)」
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23年5月期は2期連続の減収営業赤字となった。売上高は前期比13.2%減の141億79百万円。巣ごもり需要の一巡でTVショッピングなどが大きく縮小した。営業損益は前年同期比1億36百万円改善したものの2億24百万円の赤字。減収に加え、原油価格高騰や為替の円安影響もあり売上高総利益率が42.0%と前期と比較して3.3ポイント悪化。ただし、TVショッピングの悪化を受けて広告宣伝費を圧縮させたため販管費率は、前期と比較して4.0ポイント改善した。

     

  • 24年5月期の売上高は、135億円と3期連続の減収予想となるが、営業損益は3億円の黒字に転換する見通しを発表。赤字を出しているTVショッピングをさらに圧縮。一方で、足元急拡大している韓国コスメや自社ブランドの拡販に注力。原点でもある生協ルート向けの商品開発や営業強化などを図る。こうした、事業ポートフォリオの見直しにより、収益のV字回復を目指す。配当性向20%を目途とし、配当金5.00円/株と復配予想。予想配当性向は28.5%。

     

  • 2021年7月に発表した中期経営計画「IK Way to 2024」は2年経ったが、目標との乖離が大きくなったことや経営環境が変わったことで、外部環境を見直し24年5月期をスタートとする新中期経営計画「IK Way to 2026」を新たに作成。安定した収益を維持しながら新規事業へのチャレンジを行い長期間の成長に繋げていくとして最終年度となる26年5月期に売上高185億円、営業利益10億円、ROE20.3%を目指す。なお、新中計はローリングプランとなっており、毎年軌道修正される。

     

  • 新中計通りに事業ポートフォリオの見直しが進むのか注目したい。赤字事業の縮小は計画通り進むと思われるが、事業環境の変化などで前中計を断念したこともあるため、今後の同社の収益拡大のための韓国コスメや、立て直しを図る生協ルート向けになどにおいて、事業環境が変化した場合に対策が取れるのか、確りとローリングして立て直しができるのか、注目したい。また、新中計における下方硬直性を持たせるうえでのバッファをどのくらい織り込んでいるのかにも注目したい。

     

     

1.会社概要

独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行うマーケティングメーカー。
雑貨品類・食品類・化粧品類といった商品をTVショッピング、EC、店舗を通じて直接消費者に販売する「ダイレクトマーケティング事業」、生協、通販会社、店舗、海外など多様なルートを通じて販売する「セールスマーケティング事業」、システムの開発・販売などITソリューションを提供する「ITソリューション事業」の3事業を展開。
経営理念に「ファンつくり」を掲げ、全てのステークホルダーにファンになってもらえるグループ経営を目指している。

 

◎業績動向

 

【1-1 沿革】

高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。
最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。
上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。
しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「BtoBtoC」に加え直接消費者に商品を提供する「BtoC」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。
2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。
2022年4月に、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に移行。
2022年12月に、株式会社IKホールディングスに商号変更し持株会社化した。

 

【1-2 経営理念】

ファンつくり

21世紀のリーディングカンパニーとなるために追及すべきことは売上高、資本金、社員数の多寡ではなく、100年先の未来を見据えたとき、出来るだけ多くの方に「ファン」になって頂くことが企業としての繁栄に繋がると考え、「アイケイに関わる全ての人たちに『ファン』になって頂く」ことを目標として、「ファンつくり」を経営理念とした。

 

【1-3 事業内容】

(1)セグメント
2022年5月期より同社のビジネスモデルである「マーケティングメーカー」を展開するにあたり、事業内容をより適切に表現するために事業セグメントを「セールスマーケティング(旧BtoBtoC)事業」、「ITソリューション(旧その他)事業」、「ダイレクトマーケティング(旧BtoC)事業」に変更。

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

①セールスマーケティング事業・・・卸事業
メーカーとして企画・開発した化粧品、アパレル、靴・バッグ、美容・健康関連商品等を、生協、通販会社、店舗、海外の各ルートを通じて消費者に提供している。

 

(主な販売ルート)

生協ルート

コープさっぽろ、コープ東北サンネット事業連合、コープデリ連合会、パルシステム連合会、東都生協、ユーコープ、東海コープ事業連合、コープきんき事業連合、コープこうべ、コープ中国四国事業連合、コープ北陸事業連合、グリーンコープ連合会、コープ九州事業連合、全国の学校生活協同組合、愛知県生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会など。

通信販売ルート

東海テレビ事業(株)、(株)高島屋、(株)ディノス コーポレーション、(株)セシール、(株)ベルーナ、(株)千趣会、㈱ニッセン、auコマース&ライフ(株)、(株)エー・ビー・シーメディアコム、(株)J・A・Fサービス、(株)JALUX、(株)小学館集英社プロダクション、(株)QVCジャパン、(株)ロッピングライフ、(株)日本文化センター、(株)全国通販、グリーンスタンプ(株)、(株)山忠、(株)ライトアップショッピングクラブ、(株)テレビ東京ダイレクト、(株)クレディセゾン、(株)郵便局物販サービス、(株)ユーキャン、(株)MBSイノベーションドライブ、エクスプライス(株)、(株)フェリシモ、(株)ハルメク、(株)カタログハウス、(株)ジェイオーディなど。

店舗ルート

バラエティー系

(株)ドン・キホーテ、(株)長崎屋、(株)UDリテール、(株)ロフト、(株)コスメネクスト、(株)東京ドーム、(株)イズミ、(株)東急ハンズなど。

ドラッグ系

(株)マツキヨココカラ&カンパニー、(株)ツルハホールディングス、(株)クリエイトエス・ディー、(株)アインファーマシーズ、(株)サンドラッグ、スギホールディングス(株)、イオンリテール(株)、(株)ダイコクなど。

HC系

コメリ(株)、(株)カインズ、など。

家電系

(株)ヤマダ電機、(株)ビックカメラ、(株)ヨドバシカメラなど。

海外ルート

中国、台湾、香港、ベトナム、タイ、インドネシアなど。

 

②ITソリューション事業
子会社アルファコム(株)が、音声通話録音システム「Voistore」などコンタクトセンター構築に関わるシステムや、ビジネス版LINE「LINE WORKS」、チャットシステム「M-Talk」などを販売している。

 

③ダイレクトマーケティング事業・・・小売り事業
子会社(株)プライムダイレクトが、WEBサイトやTVショッピング枠を通じて直接消費者に商品を提供しているほか、子会社(株)フードコスメが、リアル店舗である「SKINFOOD」を8店舗展開。韓国コスメブランドを扱う「hince」2店舗、複数の韓国コスメを取り扱う「CHANCE UPON」1店舗、「OLIVE YOUNG」2店舗と合わせて、店舗の総数は13店舗。

 

(2)主な自社開発商品
マーケティングメーカーとして、様々なジャンルの商品を自社開発している。
≪食品≫

(同社資料より)

 

≪化粧品≫

(同社資料より)

 

≪雑貨≫

(同社資料より)

 

【1-4 特長と強み:マーケティングメーカーとしてのビジネスモデル】

同社を特徴づけている最大のポイントは、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」としてのビジネスモデルであろう。
同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。

 

(同社資料より)

 

(1)強力な商品開発・発掘・調達力
幅広い販路から得た情報や40年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。
隔週で「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の各開発チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。
同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。

 

(2)高いマーケティング力
ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。
候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。

 

(3)多彩な販売チャネル
上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。
販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。
商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。

 

ソリューション

概要

制作

企画に合わせたチラシ・カタログサイズで売れる紙面を制作する。

受注業務

電話、メール、FAX、はがきなど全ての受注スタイルに対応したフレキシブルな基幹システムを有しており、より正確で迅速な受注業務を行っている。

品質管理

コンプライアンス遵守のほか、商品ジャンルごとに自主基準を設け、クレームの未然防止につなげる商品チェックを行っている。

物流業務

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の行き届いた自社物流センターからエンドユーザー宛に個別宅配の出荷を行っている。

カスタマーサービス

社内スタッフによるコールセンターで商品の問合せ、配送や交換相談までアフターサービスをワンストップで対応している。

多くの同業他社が商品の企画・マーケティングのみに特化していたり、販売チャネルが店舗に限られていたり、商品の製造や物流を他社に一任していたりするのに対し、同社は柔軟に対応できるシステムとノウハウを持つことで、他社には真似のできない独自のプロモーション戦略を実行することが可能である。

 

【1-5 ROE分析】

 

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

21/5期

22/5期

23/5期

ROE(%)

4.9

25.0

29.0

9.1

14.0

10.1

-30.1

-21.1

 売上高当期純利益率(%)

0.53

2.79

3.50

1.35

2.08

1.55

-5.54

-3.27

 総資産回転率(回)

2.93

3.04

3.19

2.69

2.61

2.84

2.24

2.00

 レバレッジ(倍)

3.18

2.95

2.60

2.51

2.59

2.29

2.43

3.23

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

23年5月期は赤字幅が圧縮したことで売上高当期純利益率が改善したためROEも改善した。24年5月期はTVショッピングなどの不採算事業の圧縮など、事業ポートフォリオを見直し、売上高当期純利益率は0.9%と改善する見通し。

 

2.2023年5月期決算概要

(1)連結業績概要

 

22/5期

構成比

23/5期

構成比

前期比

売上高

16,335

100.0%

14,179

100.0%

-13.2%

売上総利益

7,400

45.3%

5,950

42.0%

-19.6%

販管費

7,760

47.5%

6,175

43.6%

-20.4%

営業利益

-360

-

-224

-

-

経常利益

-323

-

-205

-

-

当期純利益

-905

-

-463

-

-

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*費用項目の▲は費用の増加を表す。

 

減収、営業赤字縮小。
2期連続の減収営業赤字となった。売上高は前期比13.2%減の141億79百万円。巣ごもり需要の一巡でTVショッピングなどが大きく縮小した。営業損益は前期比1億36百万円改善したものの2億24百万円の赤字。減収に加え、原油価格高騰や為替の円安影響もあり売上高総利益率が42.0%と前期と比較して3.3ポイント悪化。ただし、TVショッピングの悪化を受けて広告宣伝費を圧縮させたため販管費率は、前期と比較して3.9ポイント改善した。

 

(販管費の推移)

 

22/5期

売上比

23/5期

売上比

前期比

人件費

1,489

9.1%

1,371

9.7%

-7.9%

広告宣伝費

3,203

19.6%

2,187

15.4%

-31.7%

物流費

1,422

8.7%

1,244

8.8%

-12.5%

その他

1,645

10.1%

1,372

9.7%

-16.6%

販管費合計

7,760

47.5%

6,175

43.6%

-20.4%

単位:百万円

 

TVショッピングにおいて販売効率を重視した結果、広告宣伝費率は前期と比較して4.2ポイントと大幅に引き下がった。人件費は実額が減少したが、減収が響き比率が0.6ポイント上昇。物流費も改革を進めているも、減収の影響により、比率が大きく変わらなかった。
四半期別の営業利益率をみると、足元の営業赤字のためわかりにくいが、宣伝広告費の圧縮効果により改善が見られ始めている。

 

◎四半期動向

 

(2)セグメント別動向

 

22/5期

構成比

23/5期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

ダイレクトマーケティング事業

5,184

31.7%

4,007

28.3%

-22.7%

セールスマーケティング事業

10,699

65.5%

9,651

68.1%

-9.8%

ITソリューション事業

450

2.8%

518

3.7%

15.1%

合計

16,335

100.0%

14,179

100.0%

-13.2%

営業利益

 

 

 

 

 

ダイレクトマーケティング事業

-806

-

-328

-

-

セールスマーケティング事業

395

3.7%

355

3.7%

-10.2%

ITソリューション事業

29

6.6%

13

2.6%

-55.5%

合計

-361

-

-225

-

-

*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。

 

(同社資料より)

 

①ダイレクトマーケティング事業
減収営業赤字縮小。
ダイレクトマーケティング事業におけるTVショッピングでは、販売効率を重視した結果、放映枠が減少したため、売上減少。商品としては「あとりえ岡田」のシューズや「EcoCa(エコカ)」などが売上を牽引するも、放映費を絞ったため売上は昨対より減少。ダイレクトマーケティング事業全体の売上高は前期比11億77百万円減の40億7百万円となった。
前期と比較して売上高総利益率は6.3ポイント悪化したものの、広告宣伝費削減など販管費の圧縮で吸収したため、ダイレクトマーケティング事業全体で3億27百万円の営業損失を計上。赤字とはなったものの、前期比で4億78百万円改善した。

 

②セールスマーケティング事業
減収減益。
基盤ルートの生協ルートにおいて食品企画はほぼ前年並みであったものの、雑貨企画及び化粧品企画が前年実績を下回った。また、通販ルート、店舗ルートも微減したことから、セールスマーケティング事業全体の売上高は前期比10億48百万円減の96億51百万円となった。コスト面では円安影響から原価が増加したものの、営業利益は前期比40百万円減の、3億55百万円にとどまった。なお、ホールディングス制に移行したため、増減は参考値。

 

③ITソリューション事業
増収減益。
引き続きM-talkが堅調に増収したため増収。営業利益は円安の影響があったため、減益となった。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

22年5月末

23年5月末

 

22年5月末

23年5月末

流動資産

6,553

5,728

流動負債

3,519

3,766

現預金

1,075

971

仕入債務

893

672

売上債権

2,612

2,183

短期借入金

1,492

2,003

たな卸資産

2,420

2,264

固定負債

1,353

1,052

固定資産

825

1,060

長期借入金

1,044

732

有形固定資産

197

215

負債合計

4,873

4,818

無形固定資産

208

467

純資産

2,504

1,970

投資その他の資産

419

377

利益剰余金

1,401

846

資産合計

7,378

6,788

負債純資産合計

7,378

6,788

*単位:百万円

 

 

借入金残高

2,536

2,736

 

 

 

自己資本比率

33.5%

28.3%

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

流動資産の減少が響き資産合計は前期末比5億89百万円減の67億88百万円となった。固定負債の減少により、負債合計は同55百万円減の48億18百万円となった。利益剰余金の減少などで純資産は同5億34百万円減の19億70百万円。自己資本比率は前期末より5.2ポイント悪化し28.3%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

22/5期

23/5期

増減

営業CF

-769

66

835

投資CF

-319

-279

40

フリー CF

-1,089

-212

876

財務CF

1,135

109

-1,026

現金同等物残高

1,075

971

-104

*単位:百万円

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成

 

当期損失幅が縮小したことに加え、売上債権や棚卸資産、未収消費税等が減少し、営業CFはプラスに転じた。フリーCFの赤字幅も大幅に縮小した。
短期借入金の増加幅の縮小、及び長期借入金による収入の減少で財務CFは大幅に減少。キャッシュポジションは低下した。

 

3.2024年5月期業績予想

(1)通期業績予想

 

23/5期

構成比

24/5期

構成比

前期比

売上高

14,179

100.0%

13,588

100.0%

-4.2%

営業利益

-224

-

378

2.8%

-

経常利益

-205

-

377

2.8%

-

当期純利益

-463

-

135

1.0%

-

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

減収、営業黒字を予想
24年5月期の売上高は、135億円と3期連続の減収予想となるが、営業損益は3億円の黒字に転換する見通しを発表。赤字を出しているTVショッピングをさらに圧縮。一方で、足元急拡大している韓国コスメや自社ブランドの拡販に注力。原点でもある生協ルート向けの商品開発や営業強化などを図る。こうした、事業ポートフォリオの見直しにより、収益のV字回復を目指す。配当性向20%を目途とし、配当金5.00円/株と復配予想。予想配当性向は28.5%。

 

(2)セグメント別動向

*売上予想

 

23/5期

構成比

24/5期(予)

構成比

前期比

ダイレクトマーケティング事業

4,007

28.3%

3,223

23.7%

-19.6%

セールスマーケティング事業

9,651

68.1%

9,801

72.1%

1.6%

ITソリューション事業

518

3.7%

560

4.1%

8.1%

合計

14,179

100.0%

13,588

100.0%

-4.2%

*単位:百万円

 

4.今後の戦略

(1)同社グループの成長のエンジン

①韓国コスメのブーストアップ
・取り扱いブランド増
2024年度は、2~3ブランド新規締結見込み
・チャネル増
店舗のみならず、TV/EC/カタログへの販路拡大
・店舗増
バラエティーショップ+全国のドラックストアへ
・認知度増
SNSチームを社内で創設しUGC(ユーザーによって作成されたSNSなどで書き込まれたコンテツなど)を増やしブランドの日本での認知度の向上を目指す

(同社資料より)

 

②TVショッピングからマルチチャンネル販売の再構築
安定収益を維持している食品カテゴリーの最大化を進め、再現性・確実な成長性を保つためリピート率の高い商品に特化
・TVショッピングで食品番組のスタート
いけや賢二さんレギュラー番組スタート
彦摩呂さんTV放映開始
・ECとの連携
・売れ筋商品を既存得意先へOEM推進

 

③セールスマーケティング事業のテコ入れ
・SFA(営業支援システム)の導入による営業力のパワーアップ
・生協らしさを前面に出した商品開発

(同社資料より)

 

(2)セグメント別戦略

①ダイレクトマーケティング事業
TV・ECルート
①食品番組をスタートさせ、TVとECを連動し利益最大化を狙う
②定期購入型商品、ECに注力

 

SHOPルート
SHOPルートでは韓国ブランドの販売を強化していく。「SKINFOOD」、「OLIVE YOUNG EX」、「KAHI」、「hince」、「mnyo」など各ブランドのファンつくりを広げる

 

②セールスマーケティング事業
生協・通販ルート
①商品の取扱い・SFA(営業支援システム)を導入し営業活動を強化
②生協らしさを前面に出した商品開発を進める
③商品開発担当者との同行営業など、豊富な商品情報量のもと的確な情報提供を行いながら商品の見せ方を追求する

 

店舗事業の拡大
SHOPと同様に韓国コスメの取り扱いを強化し、小売店への直卸しから、問屋を介した卸売りなどを活用し、販売効率をアップさせるともに、販路の拡大を行う
来年度までに導入店舗数約7000店舗を目指す
また自社開発商品の展開に向けてプロモーションも強化していく

 

③ITソリューション事業
ITソリューションの新たな成長戦略
①受注案件の確実な構築と運用スタート
②先行投資として新サービスの開発に着手
M-Talk
M-Talkは、コンタクトセンター運用仕様を網羅した、唯一のチャットシステム。
WEBサイトだけではなく、LINEなどをインターフェースとして統合運用する。チャットボット連携による「人」と「AI」の融合、テキストだけではなくドキュメントやスタンプを活用した運用、そして様々なシステムとの連携により「コンタクトセンター運用のハイブリット化」を実現する。

 

5.中計経営計画「IK Way to 2026(ローリングプラン)」

中期経営計画の位置づけ
中期経営計画 “IK Way to 2026”は同社がこれまでも、これからも社会の中に存在し続ける意義(=存在意義)とめまぐるしいスピードで変化し続ける社会環境下において同じスピードで変化するユーザーニーズをとらえ続けるための変革と、第2次創業期を支える中期的な計画であり、今回からローリング方式により3年間の計画を作成していく。

(同社資料より)

 

目指す姿
ファンつくり ユーザーから見てよい会社であり続けること
めまぐるしく変化する社会環境の変化に適応することで企業は存続し、存在し続ける意義をもつ。常にユーザーの現場の声に耳を傾けることで、「ファンつくり」をキーワードにアジアへと広げていく。

 

計画策定の背景
・ 超高齢化社会が急速に進む日本国内において、シニア層のライフワークを「健康に生きる」、「美しく生きる」、「楽しく生きる」の3つのテーマを軸に豊かなものにしていくことの意義
・ 今後近い将来、アジア諸国が直面する高齢化社会に向けて、高齢化先進国である日本国内でサービスを磨き、アジアマーケットへの展開に再チャレンジする

 

取り巻く外部環境(国内)
日本国内の人口は、2015年の約1.27億人から2050年には1.02億人へ
一方で、年齢別貯蓄現在高は、50代で貯蓄高が負債高を逆転し、純貯蓄額(貯蓄現在高ー負債現在高)は70代でピークを迎える。今後、更なる平均寿命の伸長とともに、50代~70代のシニア層に向けたライフワーク提案の重要性、社会的意義が増加

 

(同社資料より)

 

 

前中計の振り返り
総括
TVショッピングルートにおいて主力商品のピークアウト、輸入原価高騰などにより売上・利益ともに大幅減収し、グループ連結で大きな計画未達成要因となった。また、収益基盤の安定しているセールスマーケティング事業においても巣ごもり需要の反動減と知名度の高い有力NB商品(仕入商品)の取扱が減少したことにより減収減益となった。

 

トピックス
重点指針への評価
・重点投資領域へのM&A・・・△
Nanarobe事業の譲り受けとコミュニケーション・ブリッジ(株)の100%株式取得
・機動的な意思決定の基盤となるグループ構造改革・・・○
2022年12月より持株会社体制へ移行し、経営における意思決定のスピードアップ、柔軟な戦略策定、経営資源の最適配分などができるようになった
・キャッシュ・フロー経営へのシフト・・・×
主力商品のピークアウトや巣ごもり需要の一巡を受け減収、さらに22年5月期にはダイレクトマーケティング事業において事業用資産の減損を2億51百万円計上し赤字となった。

 

中期ローリング計画 2024‐2026
基本方針
後述の重点施策を講じ、安定した収益を維持しながら新規事業へのチャレンジを行い長期間の成長に繋げていく

(同社資料より)

 

重点施策
1. 韓国コスメのブーストアップ(前述と重複部分は省く)
日本輸入化粧品協会が2023年5月9日に発表した化粧品輸入実績によると、歯磨、石鹸等を除く輸入実績は、856.0億円(前年比116.1%)となった。国別では、韓国が首位で、輸入実績217.6億円(前年比124.4%)と好調。2位はフランスが輸入実績189.2億円(前年比110.7%)となっている。
カラーメイク・ベースメイクの国別首位はいずれも韓国で、111.7億円とこれらのシェアの4割を超えている。また皮膚用化粧品類ではフランスが1位、韓国が2位となり、フランス・韓国で全体のシェアの6割近く(約57.8%)を占めた。
直営店・卸売ルートでは2026年度までに韓国コスメの導入店舗数を約7,700店までに拡販。取り扱いアイテムを増やしながら各ブランド別に戦略を立てて個々のファンを増やしていく。

 

(同社資料より)

 

2. セールスマーケティング事業のテコ入れ
施策
◎SFA(営業支援システム)の導入による営業力のパワーアップ
◎生協らしさを前面に出した商品開発

 

3. 新規事業へのチャレンジ
施策
◎イノベーションとマーケティングによる新規事業の立ち上げ
事業の探索(イノベーション)⇒技術、素材、ビジネスモデル、販路、商品
事業の深化(マーケティング)による両利きの経営⇒事業の収益性UP・・・今まではここにより過ぎていた。

 

事業ポートフォリオ

(同社資料より)

 

株主還元方針
配当性向20%を目安とする。これからの3年間は、戦略的な成長投資を優先していく。

 

6.今後の注目点

新中計通りに事業ポートフォリオの見直しが進むのか注目したい。赤字事業の縮小は計画通り進むと思われるが、事業環境の変化などで前中計を断念したこともあるため、今後の同社の収益拡大のための韓国コスメや、立て直しを図る生協ルート向けなどにおいて、事業環境が変化した場合に対策が取れるのか、確りとローリングして立て直しができるのか、注目したい。また、新中計における下方硬直性を持たせるうえでのバッファをどのくらい織り込んでいるのかにも注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年8月24日

 

<基本的な考え方>
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが求められる中、上場企業として社会的使命と責任を果たすため、経営基盤を充実し、尚且つ高い倫理観を保持し、経営の透明性を一層高めることで、信頼される企業を目指してまいります。
また、当社は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つと考えており、定時取締役会(月1回開催)、臨時取締役会(必要に応じて随時開催)のほか、常勤取締役(監査等委員である取締役を含む)及び執行役員による社内役員会(週1回開催)、チームマネージャー職以上で構成されるTOP会議(週1回開催)の開催により、多方面からの情報共有に努めております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>(抜粋)

原則

実施しない理由

【補充原則1−2④ 議決権の電子行使、招集通知の英訳】

当社は、現状、議決権のインターネット行使はできますが、電子行使プラットフォームの利用や株主総会招集通知の英訳等は行っておりません。

今後、機関投資家や海外投資家の株主構成等を踏まえ、株主の利便性も考慮し、必要に応じて検討してまいります。

【補充原則2-4① 社内の多様性の確保】

当社は、管理職の登用については、性別、国籍を問わず能力や適正などを総合的に判断して登用することを基本方針としております。人材育成

方針及び社内環境整備の開示は、有価証券報告書に記載しております。また、女性がより活躍できる職場を目指し、女性活躍推進の取り組みとし

て一層の環境整備に努めてまいります。

【補充原則3-1③ サステナビリティについての取組み等】

当社は、「Businessと永続的な地球環境の両立」を当社の使命と考えており、環境、人材・働き方、生活・健康について定量的又は定性的な目標

を定めており、ESGやSDGSへの取組みは重要な経営課題として認識しております。また、当社ホームページ(https://www.ai-kei.co.jp/csr)にSDGS

17項目についての各取組みについて開示しております。なお、TCFD又は同等の枠組みについての開示は、今後検討してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>(抜粋)

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

当社は、取引先との継続的かつ安定的で良好な取引関係の維持・強化につながる政策保有株式を保有します。ただし、リターンとリスク等を踏ま

え、中・長期的な観点から定期的に検証し、必要性が認められなくなった場合には売却を進めます。当該株式については、取締役会において保有

目的や合理性、取得価格と時価との比較、受取配当金の状況等を検証し、保有の必要性を確認しております。

議決権行使については、すべての議案に対して、原則、賛成行使しますが、株主価値の毀損につながる議案に関しては個別に精査いたします。

なお、議決権行使は、当該会社の状況や当社との関係維持・強化などを総合的に判断するため、外形的な基準を設けておりません。

【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】

当社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役3名は、全員が独立社外取締役であります。また、取締役のうち、1/2以上が独

立社外取締役であります。

【補充原則4-11① 取締役会の全体としてのバランス、多様性及び規模に関する考え方】

当社は、取締役会において、実質的で有効な議論を行うためには、取締役6名程度が適正と考えております。

現在は社内取締役3名、監査等委員たる社外取締役3名(3名全員が独立社外取締役)であり、社内取締役は豊富なビジネス経験を有する者、

担当事業分野に精通した者、監査等委員たる取締役は公認会計士、弁護士及び会社経営者で構成されております。

また、取締役の選任に関しては、当社の企業価値向上に資する候補者であるかを基準に選定し候補者との対話の機会を持った上で、スキル・マ

トリックス(株主総会招集通知の取締役選任議案に記載)にてスキルのバランスを確認し「指名・報酬委員会」に諮問後、取締役会にて決定しております。

【原則5-1 株主との建設的な対話に

関する方針】

当社では、管理チーム総務グループをIR担当部署とし、株主からの対話の依頼に対しては、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう合理的な範囲で対応しております。

代表取締役会長が、株主や機関投資家に対して、決算説明会を年に2回開催しております。なお、説明会に参加できない株主や投資家に対しては、当社のホームページにその決算説明会資料及び動画を掲載しております。

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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