ブリッジレポート
(9997) 株式会社ベルーナ

プライム

ブリッジレポート:(9997)ベルーナ 2023年3月期決算

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安野 清 社長

株式会社ベルーナ(9997)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

小売業(商業)

代表取締役社長

安野 清

所在地

埼玉県上尾市宮本町4-2

決算月

3月末日

HP

https://www.belluna.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

700円

97,244,472株

68,071百万円

6.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.50円

2.9%

97.22円

7.2倍

1,297.92円

0.5倍

*株価は7/20終値。各数値は23年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

177,648

12,005

15,309

10,343

106.39

15.00

2020年3月(実)

179,948

10,311

10,365

5,862

60.62

16.00

2021年3月(実)

206,499

15,734

16,872

11,036

114.17

16.50

2022年3月(実)

220,128

13,827

14,537

10,204

105.55

19.00

2023年3月(実)

212,376

11,217

12,459

7,417

76.71

20.00

2024年3月(予)

219,000

14,000

14,700

9,400

97.22

20.50

*単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

ベルーナの会社概要、2023年3月期決算概要等について、ご紹介します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年3月期決算概要
3.2024年3月期業績見通し
4.経営方針と取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23/3期は前期比3.5%減収、18.9%営業減益。プロパティ事業がホテル稼働率の向上により15.6%増収となったものの、アパレル・雑貨事業が収益性確保を優先したことにより10.1%減収だった。利益面では、粗利率は0.5ポイント改善し、販管費も同0.9%減少したが、減収を補えなかった。22年10月に修正した会社予想に対して売上・利益とも下回った。

     

  • 24/3期は前期比3.1%増収、24.8%営業増益を見込む。第5次経営計画の2年目となり、通信販売総合商社の成熟に向け、土壌づくりを進める考え。プロパティ事業が増収増益を牽引する見通し。配当予想は、前期比0.50円/株増の20.50円/株(うち上期末10.25円)。予想配当性向は21.1%。

     

  • 通販事業においては、原材料価格や海上運賃の高騰により商品原価が上昇する傾向にある。こうした環境下、通販事業を中心に消費者の需要変化を機会と捉え、新たな価値を生む商品及びサービスの投入を進め、新たな顧客満足を創出することによる顧客数拡大・事業成長の実現を目指す。また、呉服関連事業・プロパティ事業においては、国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復等、外部環境の変化に対応した新たなサービス・集客手法の開発及び実施により事業成長・収益確保を目指す。

     

  • 23/3期はプロパティ事業が好調、呉服関連事業も増益となったものの、アパレル・雑貨事業や化粧品健康食品事業が苦戦したことにより減収減益となった。24/3期は再び22/3期並みの利益水準を目指す1年となる。アパレル・雑貨事業で収益性確保を優先した戦略をとる考えで、その進展をまずは注視したい。軌道に乗ってきたのがプロパティ事業。国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復が後押しし、新規開業施設も寄与しそうである。利益率の高いデータベース活用事業の展開も注目したい。

     

1.会社概要

総合通信販売大手。取扱商品を特定ジャンルに絞った専門通信販売も手掛けるほか、店舗販売事業、通販事業で培ったノウハウやインフラを法人に提供するソリューション事業なども展開。ミセス層を中心とした顧客データベース、ポートフォリオ経営による安定的な収益性と成長性などが強み・特長。M&Aも積極的に展開。

 

【1-1 沿革】

1968年に現・代表取締役社長である安野清氏が、印鑑の訪問販売「友華堂(ゆうかどう)」として創業。その後、衣料品の通信販売を皮切りに、食品、化粧品など取り扱いジャンルを拡大し、専門通販事業も展開するのに並行し、通販顧客を対象としたファイナンス事業、プロパティ事業、店舗販売事業、ソリューション事業など事業ポートフォリオの拡充も進めてきた。2000年3月、東証1部に指定替え。M&Aも積極的に展開し事業基盤のさらなる強化を進めている。2022年4月、市場再編に伴い、東証プライム市場に移行。

 

【1-2 経営理念】

◎経営理念

わが社の事業の原点

 

わが社は国際的視野に立って、地域に生活するより多くのお客さまの、衣食住遊を豊かにする商品及びサービスを他社に先がけて提案し、より高い利便性、経済性、ファッション性、アソートメントを他社より優れたシステムと企画力で提供して、お客様の生活と幸せの向上に貢献する。

わが社の求める社員像

 

わが社の人材は何事に対しても、明るく、ポジティブに取組み、お客様の満足とより良い仕事にこだわり(責任を持ち)、困難から逃げることなく、自分の能力とキャパシティを拡げ、信頼を高めるため常に挑戦する。

わが社の目指す企業像

 

わが社は国際的視野で、衣食住遊分野の事業を他社との競合で圧倒的優位に展開し、安定性、成長性、継続性、収益性とイメージをより高め、有能な人材の集まるエクセレント企業を実現し社会に貢献する。

 

また、同社ではベルーナ社員としての心の在り方を示す「Basic Mind」、行動規範である「Basic Action」を定めている。「当事者意識」、「利益意識」、「ゲーム感覚」、「ポジティブ思考」、「成長意欲」からなるBasic Mind、「1.情報の収集」、「2.事例研究」、
「3.データの活用」、「4.仮説検証」、「5.他者活用」、「6.知的理解」、「7.討議」、「8.報告、連絡、相談」からなるBasic Action(8か条)は、ベルーナ社員が課題に向き合った際に常に立ち戻るべき原点となっている。
この他、多くの成長企業に共通する成長要因として「CCBSKKKS」(C:チェンジ C:チャレンジ B:ブラッシュアップ S:スピード K:気付き K:改善 K:客指向・客密着 S:SAクラス企業事例研究)を挙げ、自らの成長のためのチェックポイントとして認識している。

 

【1-3 事業内容】

(1)セグメント
セグメントは大きくは、「通販事業」「呉服関連事業」「プロパティ事業」「その他の事業」の4セグメント。
さらに、通販事業については、「アパレル・雑貨事業」「化粧品健康食品事業」「グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)」「ナース関連事業」「データベース活用事業」の5事業で構成されている。

(同社23/3期決算短信を基にインベストメントブリッジ作成)

 

➀通販事業
通販事業は、「アパレル・雑貨事業」「化粧品健康食品事業」「グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)」「ナース関連事業」「データベース活用事業」の5つで構成されている。

 

*EC化への取り組み
これまでの取り組み強化の結果、現在ではネット通販が新規顧客獲得の主動線となっている。
新型コロナウイルス感染拡大によるいわゆる「巣籠り需要」も取り込み、EC比率は大きく上昇した。22/3期、23/3期はその反動もあり低下したが、今後もSNSを活用したマーケティングにも注力し、さらなる強化を進めていく。

 

①-1.アパレル・雑貨事業
◎概要
中核事業。衣料品だけでなくファッション雑貨、インテリアといった多彩な商品を各世代に向け提供している。より高品質なアイテムをリーズナブルに提供するために、2,200万人を超える会員のデータを活用した商品開発と効率的な商品管理のノウハウを確立している。チラシ・カタログだけでなく、パソコンやスマートフォンといったWEBメディアによるコミュニケーションも強化している。

 

(コンセプトページ、スマートフォンアプリ)

 

 

 

(主要ショップ)

(同社HPより)

 

◎会員属性  
登録会員数は2,200万人を超え、そのうち40代以上のミセス層が約8割を占める。
ミセス層の中心年代である65歳~69歳の女性会員数を日本の人口と比較すると、3人に1人以上(39.0%)がベルーナの登録会員であり、圧倒的なシェアを有している。

 

(同社資料より)

 

アパレル・雑貨通販の登録会員のうち年度内に商品を購入した会員である「稼働会員数」は2023年3月期で371万人。
21/3期、22/3期と増加傾向にあったが、23/3期は減少した。

 

(同社資料より)

 

同社は社内に約70名のマーチャンダイザーを擁しており、大手スーパーマーケットや女性向けファッション衣料販売店に比べてファッション性の高い商品を提供している。特に、加齢とともに変化するミセスの体形カバーを意識したデザイン性は、ユーザーから高く評価されている。
また50代から70代を対象とした他社にはない豊富なカタログをラインアップしている。こうした点が、ミセス層からの圧倒的に高い支持獲得につながっている。

 

◎顧客セグメント
女性顧客層を年齢別に、50代以上の「ミセス」、40代向けの「ラナン」、30代向けの「ジーラ」の3つにセグメント化。各年代の嗜好、ニーズにきめ細かく対応した商品を提供している。

 

①-2. 化粧品健康食品事業
◎化粧品
化粧品を扱う株式会社オージオでは、「OZIO」「なちゅライフ」の2つのブランドを展開。また、23年4月より若年層向けブランド「Bab²(バブバブ)」を立ち上げた。

 

「OZIO」
安全性を追求した洗顔・化粧水・乳液といった化粧品やサプリメントを扱っている。18種類のアミノ酸やコラーゲン、ヒアルロン酸などで構成され、ハリ・ツヤ・弾力・うるおいを与える卵殻膜を使用した「卵殻膜美容液:ビューティオープナー」は国内売上No.1である。

 

「なちゅライフ」
オールインワン化粧品を中心に扱っている。特に、肌にやさしい植物原料を主成分とした商品を提供している。年齢肌の為のオールインワン化粧品「ローヤルゼリーもっちりジェル」は累計販売個数が1,300万個を突破した。OZIOを合わせ、台湾など海外市場開拓にも取り組んでおり、香港・シンガポール・中国にも拡大させる方針。

 

◎健康食品
健康食品やサプリメントを扱う株式会社リフレでは、「明日のカラダ、今日からだ」をコンセプトに利用者の健康をサポートする商品を展開している。
商品に使用する素材は、原産地や農法、安全性を証明するためのデータや栄養分析が確認されているもののみを厳選し、原料入荷後の品質検査も何度も行っている。
また、製造プロセスのなかでも様々な分析検査を行い、製品の安全性について徹底的に追求している。2013年にはリフレ研究所を設立し、健康食品を通じた商品価値の向上、食の安全性、製品の品質確保、健康被害防止などに取り組んでいる。

 

(同社HPより)

 

①-3 グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)
食品と花を扱う「グルメ友の会」では、惣菜、海産物、スイーツ、酒など全国選りすぐりの美味しいグルメを提供している。
月に1回商品を届ける「頒布会」や、好きな時に好きなものを注文できる「単品」販売、お中元やバレンタインなどを届ける「ギフト」など、様々な販売形態を展開している。

 

ワイン専門通販「My Wine Club」では、現地から直輸入した日本でもめずらしいワインを数多く取り揃えている。取扱い商品の種類や豊富さ、高い品質が好評で、国内におけるワイン通販売上シェア調査では、14年連続1位を獲得している(2008年度~2021年度)。
日本酒も6年連続1位となっているほか、おせち料理の23/3期年間販売台数は32万台となっている。

(同社資料より)

 

①-4 ナース関連事業
看護師向けのナースウェアやシューズ、ナースグッズを取り揃え、看護師の毎日をフルサポートしている。
リーズナブルな価格が強みの「ナースリー」と、豊富な品ぞろえと他社ブランドとのコラボレーション商品が魅力の「アンファミエ」の2つのブランドを展開し、看護師向け通販市場では圧倒的なシェアを有している。
看護師転職支援サービスの「ナースキャリアネクスト」「JOB STUDIO」も展開している。

 

(同社HPより)

 

①-5 データベース活用事業
封入同送サービス、通販代行サービス、ファイナンス事業で構成されている。

 

封入同送サービス
ベルーナが保有する膨大な顧客データベースを活用する「ベルーナダイレクト」では、クライアント企業のチラシやサンプルなどの販促物を商品やカタログと一緒に送る封入同梱サービスを展開している。クライアント企業のニーズに合わせて対象をセグメントし、ターゲットを絞り込むこともでき効果的なプロモーションが期待できる。

 

通販代行サービス
通信販売を行う企業に対して、ベルーナのインフラとノウハウを含む一連の機能を受託する。物流倉庫でのストックやコールセンターでの対応、顧客への発送までトータルに請け負う。これにより、通販事業に新規参入する企業でも、自前のインフラを備える必要がなく、スピーディかつ安価に商品やサービスを提供することが見込める。

 

ファイナンス事業
通販で培ったデータベースを活用した消費者金融事業。子会社の株式会社サンステージにて展開している。通販の主力ターゲットであるミセス層が多いのが特徴。また、通販の利用履歴を活用した与信能力も強み。

(同社HPより)

 

②呉服関連事業
着物や和装関連商品を販売する店舗をショッピングセンターやショッピングモールに出店している。
大学生の卒業式用袴レンタルも行っている。

 

「BANKAN」及び「わものや」に加え、2018年6月には、「さが美グループホールディングス株式会社」を連結子会社とした。
さが美グループホールディングスは、「さが美」と「東京ますいわ屋」の2ブランドで店舗を運営しており、着物の文化や取り扱いに関する知識やノウハウが豊富で、着付けのスキルも高い点が特長。
着物を持たない若い女性を、啓蒙活動を通じて顧客に育成することにも取り組んでいる。

 

(同社HPより)

 

③プロパティ事業
オフィスビル、商業施設などの賃貸、バリューアップ型の不動産再生・開発を手がける不動産事業、及びホテル事業を展開している。

(同社HPより)

 

④その他の事業
商品企画のノウハウを活用し、百貨店や生協などに向けた卸売事業を子会社のフレンドリー株式会社で行っている。保険事業も展開している。

 

【1-4 特長と強み】

➀約40年の通販事業で培ったミセス層を中心とした顧客データベースやノウハウ
事業内容の項で触れたように、同社の2,200万人を超す登録会員のうち、約8割が40代以上の女性、ミセス層。
ミセス層の中心年代である65歳~69歳の女性会員数を日本の人口と比較すると、3人に1人以上、39.0%がベルーナの登録会員である。

 

約40年にわたる通販事業で培った強力な顧客データベースやノウハウは、同社企業価値創造の源泉であり、大きな特徴である。中核事業の通信販売事業においては、販売実績、購買行動、アンケートを通じた顧客の要望などをベースに、ニーズに合致した商品を提案することでミセス層の顧客から強い支持を得ている。
また、ファイナンス事業ではまさにデータベースを活用して安定的に売上、利益を生み出しており、データベース活用事業においては、顧客データベースやノウハウ、インフラを外部に提供することで新たな事業機会を創出している。

 

②新たなる成功モデルの構築、チャレンジ
挑戦を重んじる企業風土の下、現状に満足することなく、新しい成功モデルの構築に取り組み、実績を積み上げている。

 

足下ではホテル事業の成長が注目される。23/3期は日本国内における移動制限の影響や外国人の入国規制の影響が縮小したことに加え、前期に新規開業したホテルの稼働率向上により、大幅な増収増益となった。今期も国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復、新規開業及びM&Aで取得したホテルの貢献もあり、更なる成長を見込んでいる。
中でも、21年5月に取得し、8月にリニューアルオープンした道内最大級(647室)のスパ・リゾートホテル「定山渓ビューホテル」は、国内外からの顧客の増加が見込まれる北海道で多数の賞を受賞する等同事業を大きく牽引するものと同社では考えている。

 

③ポートフォリオ経営による安定的な収益性と成長性
同社を特徴づけるもう一つの側面が、通信販売で培った経営資源を有効活用し多角的に事業を展開することで、安定的な成長性、収益性を実現する「ポートフォリオ経営」というビジネスモデル。
これによって、社会情勢や経済動向といった環境変化のリスクを分散しつつ、それぞれの事業が一つ一つの柱としてその強みを発揮するとともに、事業間の相乗効果を生み出して安定した収益性、成長性を実現している。

 

【1-5 サステナビリティ】

社内横断的な検討・推進組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置した。同委員会を中心に、対応すべき課題を明確にし、持続可能な社会の実現に向けた活動を加速する。
また、7つの主要実践項目を設置し、従業員をはじめとしたステークホルダーが協力してサステナビリティに関連する取り組みを実行する。

 

(同社資料より)

 

【1-6 株主還元】

業績の状況および中期的な成長のための戦略的な投資を勘案した上で、配当を決定している。23年3月期の配当額は20円/株。前年より1.0円増配した。24年3月期は0.5円増配の20.5円/株を予定している。また、以前より株主優待制度を実施し、毎年3月末・9月末の100株以上保有株主に対して、年2回贈呈しているが、株主に対する感謝の意を表するとともに更なる株主の満足度向上、同社株式の中長期的保有を促すことを目的として、2022年9月、株主優待制度の一部変更(拡充)を発表した。選択できるグルメ商品数を2種から4種に拡充したほか、ホテル宿泊優待券を同社グループが運営及び提携するホテル、飲食店、ゴルフ場の優待割引券に変更した。利用可能な施設も2ホテルから19ホテル、5飲食店、1ゴルフ場に拡充した。2022年9月末基準日分より変更した。

 

*変更(拡充)後の優待内容

 

100株以上

500株未満

500株以上

1,000株未満

1,000株以上

「通信販売優待割引券」

「ネット専用優待クーポン」

「自社取扱商品(食品またはワインまたは日本酒)」

1,000円分

3,000円分

5,000円分

ベルーナグループが運営及び提携するホテル、飲食店、ゴルフ場の優待割引券(券面額 1,000 円)

2 枚

6枚

10枚

*ホテルでの宿泊・ディナー(ランチや日帰り温泉は使用不可)、飲食店でのディナー(ランチは使用不可)、小幡郷 GC の土・日曜日のプレーフィーに使用可能。一部施設について優待割引券対象外となる可能性がある。

 

【1-7 ROE分析】

 

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

23/3期

ROE (%)

4.4

7.0

10.9

10.8

5.8

10.3

8.8

6.1

 売上高当期純利益率(%)

2.69

3.97

5.98

5.82

3.26

5.34

4.64

3.49

 総資産回転率(回)

0.84

0.86

0.86

0.87

0.81

0.87

0.89

0.79

 レバレッジ(倍)

1.97

2.06

2.12

2.13

2.22

2.21

2.14

2.21

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

第5次経営計画の最終年度となる25年3月期にROE8.0%を目標とする。

 

2.2023年3月期決算概要

【2-1 連結業績概要】

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

計画比

売上高

220,128

100.0%

212,376

100.0%

-3.5%

-1.2%

売上総利益

129,305

58.7%

125,701

59.2%

-2.8%

-

販管費

115,478

52.5%

114,484

53.9%

-0.9%

-

営業利益

13,827

6.3%

11,217

5.3%

-18.9%

-19.9%

経常利益

14,537

6.6%

12,459

5.9%

-14.3%

-16.9%

当期純利益

10,204

4.6%

7,417

3.5%

-27.3%

-25.8%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

減収・減益、計画を下回る
売上高は前期比3.5%減の2,123億円。プロパティ事業がホテル稼働率の向上により同15.6%増収となるなどしたものの、主力のアパレル・雑貨事業では収益性確保を優先したことにより、同10.1%の減収となった。
営業利益は同18.9%減の112億円。粗利率は0.5ポイント改善し、販管費も同0.9%減少したが、減収を補えなかった。
22年10月に修正した会社予想に対して、売上・利益とも下回った。

 

【2-2 セグメント別動向】

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

予想比

売上高

 

 

 

 

 

 

アパレル・雑貨事業

98,247

44.6%

88,314

41.6%

-10.1%

+0.2%

化粧品健康食品事業

16,049

7.3%

14,792

7.0%

-7.8%

-2.4%

グルメ事業

30,116

13.7%

32,306

15.2%

+7.3%

-1.5%

ナース関連事業

16,005

7.3%

14,076

6.6%

-12.1%

-1.4%

データベース活用事業

15,276

6.9%

15,752

7.4%

+3.1%

-3.5%

通販事業小計

175,696

79.8%

165,242

77.8%

-6.0%

-0.9%

呉服関連事業

24,017

10.9%

23,865

11.2%

-0.6%

-5.4%

プロパティ事業

17,296

7.9%

19,986

9.4%

+15.6%

+0.1%

その他事業

4,019

1.8%

4,149

2.0%

+3.2%

-7.1%

調整

-901

-

-867

-

-

-

合計

220,128

100.0%

212,376

100.0%

-3.5%

-1.2%

営業利益

 

 

 

 

 

 

アパレル・雑貨事業

2,092

2.1%

930

1.1%

-55.5%

-30.1%

化粧品健康食品事業

1,829

11.4%

588

4.0%

-67.8%

-48.9%

グルメ事業

2,268

7.5%

1,763

5.5%

-22.3%

-22.0%

ナース関連事業

1,021

6.4%

237

1.7%

-76.8%

-63.0%

データベース活用事業

5,691

37.3%

5,700

36.2%

+0.2%

-0.9%

通販事業小計

12,903

7.3%

9,221

5.6%

-28.5%

-17.2%

呉服関連事業

594

2.5%

1,246

5.2%

+109.7%

-1.9%

プロパティ事業

867

5.0%

1,366

6.8%

+57.6%

-36.2%

その他事業

-99

-

-92

-

-

-

調整

-437

-

-523

-

-

-

合計

13,827

6.3%

11,217

5.3%

-18.9%

-19.9%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

(同社資料より)

 

◎アパレル・雑貨事業
減収減益。
通販においては新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化傾向となった。また、急激な円安進行や原材料価格の高騰、資材価格の高騰を受け3Qより商品価格の見直しや紙媒体における発行量の抑制を行い、収益性確保を優先した事業運営を行った。

 

◎化粧品健康食品事業
減収減益。
化粧品販売事業においては、台湾における新型コロナウイルス感染拡大の影響による苦戦及び上期における国内の新規顧客獲得数の減少により減収となった。また、TVCM実施等により広告宣伝費が増加した。
健康食品通販事業においては、新規顧客獲得を強化した一方で既存顧客の売上が減少し、減収となった。

 

◎グルメ事業
増収減益。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化傾向となったが、おせち販売の拡大やネット広告等による新規顧客獲得の拡大により増収となった。また、新規顧客獲得拡大により広告宣伝費が増加した。

 

◎ナース関連事業
減収減益。
1QにおいてTVCM等の積極的な広告宣伝を行った一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、前期に特需のあったマスクやパルスオキシメーター等の医療雑貨・消耗品需要が縮小した。顧客レスポンスの鈍化を受け、4Qより紙媒体における発行量の抑制を行った。

 

◎データベース活用事業
増収増益。
封入・同送サービスにおいては、アパレル・雑貨事業における成長鈍化の影響により減収となった。ファイナンス事業においては、新規顧客獲得の拡大により増収となった。

 

◎呉服関連事業
減収増益。
衣裳レンタル事業においては、大学卒業式の袴レンタルの拡大により増収となった。和装販売事業においては、1Qより来店顧客数が回復傾向となったが、3Q以降は来店顧客数が減少傾向となった。また、さが美、東京ますいわ屋における構造改革が浸透し、収益力が向上した。

 

◎プロパティ事業
増収増益。
ホテル事業においては、行政機関による日本国内における移動制限の影響や外国人の入国規制の影響が前期と比較し縮小した。加えて、前期に新規開業したホテルの稼働率向上により、大幅な増収増益となった。
一方で、前期には大規模な海外不動産の売却があり、大幅な減収減益影響が出ている。

 

◎その他の事業
増収、損失幅縮小。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が縮小したことにより、飲食店事業・宿泊予約事業などが大幅な増収となった。一方で、アパレル卸売事業が苦戦した。

 

【2-3 財務状態とキャッシュ・フロー(CF)】

◎主要BS

 

22年3月末

23年3月末

増減

 

22年3月末

23年3月末

増減

流動資産

118,133

122,664

+4,531

流動負債

64,904

64,587

-317

現預金

28,591

32,111

+3,520

仕入債務

22,303

19,165

-3,138

売上債権

10,666

10,397

-269

短期借入金

17,909

20,346

+2,437

たな卸資産

27,961

29,927

+1,966

固定負債

70,229

94,568

+24,339

固定資産

136,045

162,928

+26,883

長期有利子負債

65,642

90,482

+24,840

有形固定資産

103,342

129,495

+26,153

負債合計

135,134

159,155

+24,021

無形固定資産

10,278

10,574

+296

純資産

119,044

126,436

+7,392

投資その他

22,424

22,857

+433

利益剰余金

103,131

108,663

+5,532

資産合計

254,178

285,592

+31,414

負債純資産合計

254,178

285,592

+31,414

単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

現預金、たな卸資産の増加等により資産合計は前期末比314億円増加の2,855億円となった。長期有利子負債の増加等で負債合計は同240億円増加の1,591億円。利益剰余金の増加などで純資産は同73億円増の1,264億円。この結果、自己資本比率は前期末から2.6ポイント低下し43.9%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

22/3期

23/3期

増減

営業CF

7,154

8,241

+1,087

投資CF

-17,033

-29,924

-12,891

フリーCF

-9,879

-21,683

-11,804

財務CF

8,652

23,527

+14,875

現金同等物残高

29,569

31,828

+2,259

単位:百万円。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

有形固定資産の取得による支出の増加を主因に投資CFおよびフリーCFのマイナス幅は拡大した。
長期借入れによる収入などで財務CFのプラス幅は拡大。キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2024年3月期業績見通し

【3-1 通期業績予想】

 

23/3期

構成比

24/3期(予)

構成比

前期比

売上高

212,376

100.0%

219,000

100.0%

+3.1%

営業利益

11,217

5.3%

14,000

6.4%

+24.8%

経常利益

12,459

5.9%

14,700

6.7%

+18.0%

当期純利益

7,417

3.5%

9,400

4.3%

+26.7%

*単位:百万円。予想は会社側発表。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

24/3期は3.1%増収、24.8%営業増益を予想
24/3期は、売上高が前期比3.1%増の2,190億円、営業利益は同24.8%増の140億円を見込む。第5次経営計画の2年目となり、通信販売総合商社の成熟に向け、土壌づくりを進める考え。
通信販売業界では、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛や接触回避の影響が弱まったものの、幅広い顧客層からの通販利用需要の拡大が継続している。また、通販事業においては、原材料価格や海上運賃の高騰により商品原価が上昇する傾向にある。こうした環境下、通販事業を中心に消費者の需要変化を機会と捉え、新たな価値を生む商品及びサービスの投入を進め、新たな顧客満足を創出することによる顧客数拡大・事業成長の実現を目指す。また、呉服関連事業・プロパティ事業においては、国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復等、外部環境の変化に対応した新たなサービス・集客手法の開発及び実施により事業成長・収益確保を目指す。
配当予想は、前期比0.50円/株増の20.50円/株(うち上期末10.25円)。予想配当性向は21.1%。

 

以下、セグメント別の予算。
プロパティ事業が増益を牽引する予算。国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復等によりホテル稼働率の改善を見込む。また、新規開業ホテルとM&Aで取得したホテルの貢献も加わり、セグメント全体で大幅な増収増益を見込む。

 

 

23/3期

構成比

24/3期(予)

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

アパレル・雑貨事業

88,314

41.6%

78,920

36.0%

-10.6%

化粧品健康食品事業

14,792

7.0%

15,800

7.2%

-6.8%

グルメ事業

32,306

15.2%

34,650

15.8%

+7.2%

ナース関連事業

14,076

6.6%

13,440

6.1%

-4.5%

データベース活用事業

15,752

7.4%

16,450

7.5%

+4.5%

通販事業小計

165,242

77.8%

159,260

72.7%

-3.6%

呉服関連事業

23,865

11.2%

24,580

11.2%

+3.0%

プロパティ事業

19,986

9.4%

31,280

14.3%

+56.5%

その他事業

4,149

2.0%

4,400

2.0%

+6.0%

調整

-867

-

-520

-

-

合計

212,376

100.0%

219,000

100.0%

+3.1%

営業利益

 

 

 

 

 

アパレル・雑貨事業

930

1.1%

370

0.5%

-60.2%

化粧品健康食品事業

588

4.0%

810

5.1%

+37.7%

グルメ事業

1,763

5.5%

1,850

5.3%

+4.9%

ナース関連事業

237

1.7%

700

5.2%

+195.3%

データベース活用事業

5,700

36.2%

5,320

32.3%

-6.7%

通販事業小計

9,221

5.6%

9,050

5.7%

-1.9%

呉服関連事業

1,246

5.2%

1,510

6.1%

+21.2%

プロパティ事業

1,366

6.8%

3,610

11.5%

+164.3%

その他事業

-92

-

40

0.9%

-

調整

-523

-

-200

-

-

合計

11,217

5.3%

14,000

6.4%

+24.8%

*単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

【3-2 各セグメントの状況と取り組み】

通販事業

23/3期実績と24/3期予算

(同社資料より)

 

 

新たな価値を生む商品及びサービスの投入を進め、顧客数拡大・事業成長の実現を目指す。

 

稼働顧客数

既存顧客レスポンスが鈍化、紙媒体発行量の抑制により新規顧客獲得ボリュームが減少し、稼働顧客数は減少。

受注単価

グルメ事業は単品受注比率の増加により受注単価は減少傾向。今期は、原材料価格・資材単価の高騰による商品価格への転嫁により、受注単価は上昇を見込む。

EC比率

21/3期及び22/3期のコロナ特需からの反動もあり横ばい傾向だが、ネット強化を推し進め拡張を見込む。

 

①アパレル・雑貨事業
23/3期実績と24/3期予算

(同社資料より)

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響一巡による既存顧客のレスポンス率が鈍化傾向となった。また、原材料、資材価格の高騰を受け3Qより商品価格の見直しや紙媒体の発行量抑制を行い、収益性確保を優先した。
今期についても同環境下で収益性確保を優先した予算設計となる。再成長に向けた土壌づくりを進める。

 

今期の取り組み

  • メンズの更なる強化(ゴルフウェア、インナー等のカテゴリ拡充)
  • 中価格帯商品の投入
  • レスポンス改善の施策としてのビジュアルの刷新
  • ブランディングの推進、ネット強化
  • ブランドの世界観での『らしさ』の追求

     

    (同社資料より)

     

    ②化粧品健康食品事業
    23/3期実績と24/3期予算

    (同社資料より)

     

    台湾における新型コロナウイルス感染拡大の影響や国内のネット広告規制による新規顧客獲得の苦戦により減収。健康食品事業においては、新規顧客獲得を強化したが既顧客売上が苦戦し、減収。
    今期は販促における新たな勝ちパターンづくりに注力する。

     

    今期の取り組み

  • 23年4月より若年層向けブランド「Bab²(バブバブ)」を立ち上げ、販売開始。
  • 08年より販売するオールインワンジェル「ローヤルゼリーもっちりジェル」が世界累計販売数1,300万個突破。
  • 越境EC(香港・シンガポール・中国)の拡大。台湾に続く新たな海外展開の柱を構築する。

    (同社資料より)

     

    ③グルメ事業(ワイン、日本酒を含む)
    23/3期実績と24/3期予算

    (同社資料より)

     

    新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、既存顧客のレスポンスが鈍化する一方で、食品事業においておせち販売の拡大やネット広告等による新規顧客獲得を強化し、増収。
    今期は原価・資材コストの上昇に対応しつつ、増収増益を見込む。

     

    今期の取り組み

  • グルメ事業は、冷凍惣菜を中心とした単品系が継続拡張を見込む。
  • システム刷新によるサービスレベル向上により、顧客のファン化を図る。
  • 高級ワイン専用サイト「ELEVIN(エレヴァン)」の展開を開始。
  • ワイン通販事業20年以上の実績と経験を基に、プリムールや希少なワインを提供。
  • 今期は、ELEVIN(エレヴァン)の成長を中心に増収増益を見込む。

     

    (同社HPより)

     

    ④ナース関連事業
    23/3期実績と24/3期予算

    (同社資料より)

     

    1QにTVCM等の積極的な広告宣伝を行った一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響が一巡し、前年同時期に特需のあったマスクやパルスオキシメーター等の医療雑貨・消耗品需要が縮小。
    今期はネット比率の向上を進めるとともに、収益性を改善させるため、カタログ発行の最適化に継続して取組む。

     

    ⑤データベース活用事業
    23/3期実績と24/3期予算

    (同社資料より)

     

    ファイナンス・・・新型コロナウイルス感染拡大の一巡に加え、営業強化、サービスレベル向上により増収増益となった。
    ベルーナダイレクト・・・アパレル・雑貨事業の成長鈍化の影響により減収。
    BBS・BGL・・・営業強化によりクライアント数が増加し増収。
    レーベル・・・3PL(物流代行)事業等を展開。22年8月にM&Aにて取得。

     

    ⑥呉服関連事業
    23/3期実績と24/3期予算

    (同社資料より)

     

    さが美、東京ますいわ屋における構造改革が浸透し黒字化を達成。マイムにおける衣裳レンタル事業は大学卒業式の袴レンタルの拡大により増収増益。
    今期は、ブランド力の強化、人材育成の強化を軸に増収増益を見込む。

     

    ≪呉服関連事業の成長モデル≫

  • 大催事販売から店舗販売への切り替え
  • 店内販売を可能とする教育
  • 不採算店舗のスクラップ
  • コスト削減策→さが美、東京ますいわ屋の構造改革が進み、前期黒字化を達成。

     

    呉服関連事業は、第5次経営計画(25年3期末)で売上高266億円、営業利益18億円を目指している。

     

    ⑦プロパティ事業
    23/3期実績と24/3期予算

    (同社資料より)

     

    ホテル事業においては、日本国内における移動制限の影響や外国人の入国規制の影響が縮小したことに加え、前期に新規開業したホテルの稼働率向上により、大幅な増収増益。
    一方で前年同時期に海外不動産の売却があり、大幅な減収減益影響があった。
    今期は国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復、また、新規開業及びM&Aで取得したホテルの貢献もあり、更なる成長を見込む。

     

    ≪新規稼働施設≫
    ①GRANBELL SQUARE開業
    23年9月のグランドオープンに先駆け、4月よりスパサウナ施設「SPA&SAUNA コリドーの湯」、ホテル施設「GINZA HOTEL by GRANBELL(全102室)」がオープン。その他飲食店、ルーフトップレストラン、シンガポール大手と組んだナイトクラブ等も順次オープンを予定。

(同社資料より)

 

②洞爺サンパレス リゾート&スパ、ザ・レイクスイート湖の栖取得
北海道・洞爺湖にあるリゾートホテル「洞爺サンパレス リゾート&スパ(全324室)」および「ザ・レイクスイート湖の栖(全80室)」を取得。

(同社資料より)

 

③ニュー阿寒ホテルの運営受託開始
北海道・阿寒湖のほとりにあるリゾートホテル「ニュー阿寒ホテル(全370室)」の運営受託を開始。

(同社資料より)

4.経営方針と取り組み

売上高3,000億円、営業利益300億円を通過点に通信販売総合商社の熟成を目指すことを中長期方針としている。

 

【4-1 事業環境について】

外部環境としては、「ネットの伸長」「円安進行、原材料・資材の高騰」「用紙、印刷費の値上がり」「アフターコロナ消費活動の活発化」、内部環境としては、「収益体制の強化」「全員参加型経営」「メリハリのある価格を意識」「他者活用のバージョンアップ」といったポイントを重視し、変化に対応していく。

 

【4-2 第5次経営計画】

2023年3月期から2025年3月期までの3年間の第5次経営計画の最終年度目標は以下の通り。
23年3月期実績を踏まえ、「売上高2,610億円、営業利益226億円」を修正した。売上高の成長率は9.2%から4.1%に引き下げられ、利益成長率は22.8%から23.1%に引き上げられた。

 

2025年3月期目標

売上高

2,300億円

CAGR4.1%

営業利益

170億円

CAGR 23.1%

ROE

8%以上

-

 

(同社資料より)

 

第5次経営計画の考え方
以下4点に注力する。

 

1.ゲーム化の推進
2.収益に対するこだわり
3.SNSを含むネット化の推進
4.ホテル事業の収益化推進

 

【4-3 好調事業】

(1)グルメ事業
圧倒的な商品開発力を武器に、継続成長を実現。今後も市場シェア拡大を目指す。

 

(同社資料より)

 

(2)呉服関連事業
19/3期にさが美グループをM&A取得。21/3期よりコロナウイルス感染拡大の影響により逆風となるも、さが美グループの構造改革により、前期は過去最高益を達成。

 

(同社資料より)

 

(3)定山渓ビューホテル
21年5月に取得し、8月にリニューアルオープンした道内最大級(647室)のスパ・リゾートホテル。将来的に国内外からの顧客の増加が見込まれる北海道で多数の賞を受賞する等、成長中。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

23/3期はプロパティ事業が好調、呉服関連事業も増益となったものの、アパレル・雑事業や化粧品健康食品事業が苦戦したことにより減収減益となった。24/3期は再び22/3期並みの利益水準を目指す1年となる。アパレル・雑貨事業で収益性確保を優先した戦略をとる考えで、その進展をまずは注視したい。好調に推移するグルメ事業においても利益率の更なる改善に期待したい。呉服関連事業では、さが美・東京ますいわ屋における構造改革が浸透し、収益力が向上しており、23/3期は黒字化を実現させたが依然として利益水準は低く改善余地がありそうだ。こうした中、軌道に乗ってきたのがプロパティ事業。国内外における行動規制の緩和やインバウンド需要の回復が後押しし、新規開業施設も寄与しそうである。訪日外国人は月を追うごとに増加しており、想定以上の収益貢献も期待できそうだ。データベース活用事業の展開も注目したい。同事業の営業利益率は他の事業と比較して圧倒的に高い。同事業の24/3期は4.5%増収予想だが、21年7月より連結対象となったBGLや22年8月より連結対象となったレーベルを含めトップラインの更なる拡大に期待したいところである。これらをPBR1倍を大きく割り込んだ株価の水準訂正につなげたいところである。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査等委員

3名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年6月30日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、取締役会が決定した方針のもと、執行役員が担当業務を執行する権限と責任を持つことで迅速化を図るとともに、経営の公正性及び透明性を高めることによりコンプライアンス体制、効率的な経営体制の確立を実現することにあります。また、社外の有識者も参加するコンプライアンス委員会を設置し、権限を付与することによって第三者の視座が経営判断に反映される体制を構築しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則について、全て実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
2021年6月の改訂後のコードに基づき記載しております。

 

原則

開示内容

【原則1-4】

当社は、取引先株式の政策保有については、取引先との良好な取引関係を構築し、事業の円滑な推進を目的とし、主として取引先からの保有要請を受け、保有することがあります。

なお、取引関係の強化によって得られる当社グループの利益やリスク、投資額等を総合的に勘案して投資可否については判断しております。なお、当社グループが保有する取引先の株式につきましては、個別銘柄ごとに当初の株式取得目的と現在の取引金額及び取引内容等の経済合理性を検証し、その結果、当該株式の保有意義が希薄化した場合には、当該企業の状況を勘案したうえで売却により縮減を図ります。また議決権行使については提案されている議案について株主価値の毀損につながるものではないかを確認し、投資先企業の状況等を勘案し、決定しております。

《補充原則2-4-①》

女性管理職比率 18.3%(2023年3月末時点)

中核人材については、ジェンダー、国籍、新卒・中途採用によらず有能な人材を登用するようにしております。

人材育成に対する考え方や女性の活躍等を当社ホームページに記載しております。

人材育成における考え方 https://www.belluna.co.jp/csr/employee/#emp01

女性の活躍を応援 https://www.belluna.co.jp/csr/employee/#emp02

《原則3-1》

(ⅰ)経営理念、事業戦略、経営計画等を当社ホームページや決算説明資料に掲載しております。

経営理念 https://www.belluna.co.jp/company/policy/

事業戦略 https://www.belluna.co.jp/irinfo/policy/manage/

(ⅱ)コーポレート・ガバナンスの基本方針を当社ホームページおよび有価証券報告書に記載しております。

コーポレート・ガバナンスの基本方針

https://www.belluna.co.jp/irinfo/policy/governance/

(ⅲ)取締役の報酬等については、株主総会で決議されたそれぞれの報酬総額の限度内で、監査等委員を除く取締役については、個々の取締役の職責および実績をベースに、経営内容や経済情勢等を勘案し、独立社外取締役を委員長とし、過半数が独立社外取締役により構成される指名報酬委員会の答申を踏まえて決定して参ります。また、監査等委員である取締役については監査等委員である取締役の協議によって決定しております。

(ⅳ)社外取締役の選任については、社外役員の独立基準を参考にして決めており、その基準は有価証券報告書にて開示しております。また、取締役候補者の選任については、経営判断能力や経営執行能力に優れていること、法令および企業倫理の遵守に徹する見識を有すること等を総合的に判断して決定しております。経営陣幹部の解任の方針と手続について、経営陣幹部がその機能を十分発揮していないと認められる場合、独立社外取締役に対して取締役会に先立ち解任理由等の説明を行い、適切な助言を得たうえで取締役会にて決議し、株主総会に付議することとしております。

(ⅴ)新任候補者、社外取締役候補者の選解任理由については株主総会招集通知にて開示しております。

《補充原則3-1-③》

当社は、「お客様の衣食住遊を豊かにする」という経営理念の下、事業活動を通じてお客様の生活と幸せの向上に貢献できる企業を目指して参ります。

そのために、当社グループでは社内横断的な検討・推進組織として「サステナビリティ推進委員会」を設置しました。今後、この委員会を中心に、対応すべき課題を明確にし、持続可能な社会の実現に向けた活動を加速して参ります。

サステナビリティについての取組み内容及びTCFDに基づく開示の詳細は、当社ホームページにて開示しております。

https://www.belluna.co.jp/csr/environment03/

【原則5-1】

当社は、株主や投資家からの面談申込みは積極的に受け入れております。またこれ以外にも年2回の決算説明会の実施と資料の開示、また株主構成を鑑み、個人投資家向け会社説明会、海外カンファレンスへの参加を実施しております。

 

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