ブリッジレポート
(5162) 株式会社朝日ラバー

スタンダード

ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー 2023年3月期決算

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渡邉 陽一郎 社長

株式会社 朝日ラバー(5162)

 

 

企業情報

市場

東証スタンダード市場

業種

ゴム製品(製造業)

代表取締役社長

渡邉 陽一郎

所在地

埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2

決算月

3月

HP

https://www.asahi-rubber.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

556円

4,536,363株

2,522百万円

4.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.6%

23.37円

23.8倍

1,077.92円

0.5倍

*株価6/2終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*EPS、DPS、BPS、ROEは、2023年3月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

EPS

配当

2020年3月(実)

7,489

325

346

126

27.91

30.00

2021年3月(実)

6,487

-92

18

113

25.06

10.00

2022年3月(実)

7,024

291

313

238

52.56

20.00

2023年3月(実)

7,205

185

194

203

44.75

20.00

2024年3月(予)

7,195

157

150

106

23.37

20.00

*2020年3月期の内訳は、普通配当20円、記念配当10円。
*単位:百万円、円。

 

(株)朝日ラバーの2023年3月期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2023年3月期決算概要
4.2024年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 23/3期は前年比2.6%の増収、同37.8%の経常減益。売上面では、自動車向けのASA COLOR LEDが、半導体不足など部材調達難の影響を受けて減少したものの、医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの受注が大きく増加したことにより増収となった。一方、利益面では、エネルギーコストの上昇と営業活動の販売力と技術サービス力向上を推進する人員強化により販管費が増加したことにより営業利益が減少した。

     

  • 24/3期の会社計画は、前期比0.1%の減収、同23.0%の経常減益。上期は半導体不足による受注調整の影響が続き、自動車用ゴム製品の受注が低下する見通しのため、前期比で微減収減益となる見込みである。材料価格高騰に対する販売価格転嫁の効果が出始めるものの、昨年12月からの電力料上昇も影響する。配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定。

     

  • 前中期経営計画中に育成した新製品が今後徐々に花開くステージとなっている。光学事業では、機能性照明や殺菌用途での新製品の拡大が期待される。また、医療用ゴム製品では、ARチェックバルブの拡大が期待される。更に、機能事業では、F-TEMの拡大などが期待される。これら新製品の今後の販売状況が注目される。

     

1.会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

 

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社Asahi Crosslink Corporation、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。

 

事業系統図

 

(同社決算説明会資料より)

 

生産拠点

(同社決算説明会資料より)

 

 

(同社ウェブサイトより)

 

連結業績の推移

 

【中期事業分野】

事業分野

主要製品

方針

光学事業

ASA COLOR LED

ASA COLOR LENS

白色シリコーンインキ

「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明に向けた技術開発と提案を進める。

医療・ライフ

サイエンス事業

プレフィルドシリンジ用ガスケット

採血用・薬液混注用ゴム栓

ARチェックバルブ

診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。

機能事業

自動車スイッチ用ゴム

卓球ラケット用ラバー

F-TEM(フレキシブルサーモ

エレクトリックモジュール)

ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。

通信事業

RFIDタグ用ゴム製品

やわらか保護カバー

自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

 

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、23/3期の売上構成比は、それぞれ83.0%、17.0%。今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。

 

◎ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、青色LEDに蛍光体を配合したキャップを被せた高品質LED。シリコーンゴムキャップ内の蛍光体を調合する事で多彩な色度を創りだすことができる。色度座標をはじめ、相関色温度、色温度偏差で色度規格を設定し、顧客の要望に沿った規格を提案している。すべて日本国内で生産しており、販売開始から19年で売り上げ数23億個を突破。これまで自動車メーカー 計19社(日本9社、欧州7社、北米3社)、150車種以上に採用されている。高品質な色合わせ技術が武器で、①実機を元に、最適な色と明るさのLED選定を手伝う「色合わせ」サービス、②実機の発光面周辺の塗装色や発光面積を加味した、目視による色合せ、③顧客の設計スケジュールに合わせたスピーディーな対応が可能である。LEDを波長ランクごとに分類・選別しており、ランクに合わせた色のキャップを被せることで色・光度のばらつきを低減。自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。

 

ASA COLOR LEDのイメージ

同社決算説明会資料より

 

ASACOLOR LEDは、主に自動車の内装に採用されている。用途としては、スピードメーター照明・ナビコントロール関連・スイッチ関連・オーディオ関連となっている。

(同社ウェブサイトより)

 

◎医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。

 

プレフィルドシリンジ向けガスケット(左)とARチェックバルブ

(同社決算説明会資料より)

 

・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。 ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。

 

RFIDタグ用ゴム製品のイメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・卓球ラケット用ラバーのイメージ
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

 

(同社決算説明会資料より)
*同社では、製造委託のみを行っており、卓球ラケット用ラバーの販売は行っていない。

 

【コア技術と事業領域】
同社は、独自の競争力の源泉である「色と光のコントロール技術」「表面改質及びマイクロ加工技術」「素材変性技術」の3つのコア技術に、「制御と感性」を成長のキーワードを追加し、人の健康を含めた環境問題の解決に役立つ商品、新たなグリーン市場を創出する画期的な商品にとって、なくてはならないパーツを創り、顧客の期待にクオリティと経済性で応えている。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【強み】
同社は、固有の技術力をさらに深化させ、組み合わせることで更なる特徴を生み出すと同時に、市場の広がりと顧客ニーズを分析し、製品の将来性を考慮した市場ターゲット戦略と価格戦略を組み立て、最も効率の良い生産体制を整えている。

 

(同社ウェブサイトより)

 

【サステナビリティビジョン2030】

同社は、「ゴムが持つ無限の可能性で未来を創り持続可能で明るく快適で豊かな社会の実現に貢献します」とするサステナビリティビジョン2030を定めた。ゴムには無限の可能性が秘められている。同社はさまざまなパートナーとともにその可能性をさらに追求していくことで、社会課題を解決し、人々の生活を豊かにするような価値を生み出す会社であり続ける。

 

(同社ウェブサイトより)

 

また、SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定め、SDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。
また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。そして、「サステナビリティビジョン2030」実現のため、環境・社会に関する各種基本方針の下、取り組むべき環境・社会目標、KPIを設定した。目標、KPIに関する進捗は毎年報告する。

 

◎環境環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

 

(同社ウェブサイトより)

 

◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

 

(同社ウェブサイトより)

 

◎SDGsへの貢献
同社は、「AR-2030VISION」で掲げたビジョン「社会に貢献する企業として成長し続ける」ために、まず社会ニーズを認識し事業の方向性を定めることが必須と考えている。サステナビリティビジョン2030を策定するにあたり、同社が得意とするコア技術で期待されるイノベーションが、どのSDGsに貢献できるかを整理した。そしてさまざまなステークホルダーとの対話やパートナーとして事業を推進することで価値を共創していく。

 

(同社ウェブサイトより)

 

2.中期経営計画

同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。

 

【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける

 

【経営基盤】
SDGs/ESG経営へ ―グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進しますー

 

【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること

 

【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。

 

【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。

 

前中期経営計画(第13次三ヵ年中期経営計画)の振り返り
23/3期を最終年度とする第13次三ヵ年中期経営計画は、売上高目標80~90億円が実績72億円、営業利益率目標8%以上が実績2.6%と残念ながら未達成に終わった。

 

【4事業の振り返り】

光学事業  23/3期目標売上高 40億円⇒実績 26億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向けのASA COLOR LEDの売上高が減少したが、2022年前半は世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆2022年後半から半導体不足等の影響を受けて受注が減少し、中期最終年度で未達となった。

医療・ライフサイエンス事業  23/3期目標売上高 15億円⇒実績 14.8億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向けのASA COLOR LEDの売上高が減少したが、2022年前半は世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆2022年後半から半導体不足等の影響を受けて受注が減少し、中期最終年度で未達となった。

機能事業  23/3期目標売上高 21億円⇒実績 24.7億円

◆新型コロナの影響を受け、自動車向け製品の受注が減少したが、 2022年から世界的な市場回復で増加傾向となった。

◆卓球ラケット用ラバーの市場回復傾向に加え、顧客の新製品の受注を獲得しさらに増加傾向が続く。

通信事業  23/3期目標売上高 12億円⇒実績 6.3億円

◆新型コロナの影響を受け、RFIDタグ用ゴム製品の受注が減少、一時期回復の兆しがあるもコロナ前の水準には戻っていない。

・開発案件の中止、延期などの影響から実績が計画から乖離したが、新たな案件への取り組みが進行中。

 

新中期経営計画(第14次三ヵ年中期経営計画)
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、第2のステージの2026年3月期までの2024年4月~2026年3月を第14次中期三ヵ年として、中期経営計画を策定した。中期経営方針、テーマ、スローガン、中期経営戦略、及び数値目標は、以下の通りである。

 

<中期経営方針:魅力を高めて新たな価値を提供しよう>
<テーマ:後継・Well-being>
<スローガン 「新しいカタチ」に向かって 挑戦>

 

<中期経営戦略>
①事業活動の深化・進化・新化
②スマートファクトリーの実績
③Well-beingを高める
④地域社会貢献

 

<26/3期数値目標>

売上高

85億円以上

営業利益率

5%以上

 

また、第14次三ヵ年中期経営計画では、エンゲージメント強化により、EX(従業員体験)を通じて従業員やステークホルダーの価値向上を図るとともに、とCX(顧客体験)を通じて顧客の価値向上を実現する。更に、単品からモジュールへ、更には完成品へ売上構成の転換を図り、生産のみを行うOEM企業から設計・生産まで行うODM企業への進化を図る。自らが価値「価格」をコントロールすることが目的であり、同社の独自の技術による付加価値を、ゴム単品の配合・成形からモジュールや完成品を提供できるように進化させることで、「弾性無限」の可能性を製品に表現した新たな価値をもって市場参入機会を増やし、社会に貢献していく。

 

 

(同社決算説明会資料より)

 

(1)重事業分野の取り組み

◎光学事業  23/3期の連結売上高約26億円に対し、26/3期の売上高は30億円を計画
「再構築と挑戦」をキーワードに光の可能性を追求した高付加価値向上で市場に貢献する。
◆車載照明のみならず、通信・セキュリティ、機能性照明、殺菌用途などで標準製品の付加価値向上と複合モジュールの開発を展開する。

 

◎医療・ライフサイエンス事業  23/3期の連結売上高約15億円に対し、26/3期の売上高は20億円を計画
「第二の柱へ成長させる」 をキーワードに、同社らしさで世界の医療現場と患者のQOL向上に貢献する。
ODM設計・複合デバイスやシステム機器へ挑戦する。また、診断・治療機器を製造販売する企業を目指し、診断治療機器と診断治療デバイスへ貢献するとともに、新事業を開拓する。

 

◎機能事業  23/3期の連結売上高約25億円に対し、26/3期の売上高は29億円を計画
「新たな柱を創る」をキーワードに、ラストワンマイルを安心・安全につなぐ制御で貢献する。
◆サーモモジュールの開発を推進し、フェローテックマテリアルテクノロジーズとの販売連携活動を進める。
<F-TEMの事業展開>
サーモモジュールは、ペルチェ素子、または熱電素子とも呼ばれる半導体の電子部品で、コンパクトなヒートポンプ部品として機能する。同社では、サーモモジュールに使用される素子をゴムで覆うことで、“やわらかく曲げられる”サーモモジュールを開発・販売している。従来のサーモモジュールは固いセラミックスを使用しており、曲げることができなかった。市場が変化する中で、「曲げることができれば良いのに」という顧客の声を受け、F-TEMの開発が始まった。同社は、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社と販売特約店契約を締結し、今後F-TEMを製造するとともに、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社製サーモモジュールの販売を行う。
◆風力発電分野において、施設や設備の完工後に、保守操業を実施するO&M(Operation and Maintenance)を事業化する。

 

◎通信事業  23/3期の連結売上高約6億円に対し、26/3期の売上高は6億円を計画
「基礎基盤を固める」をキーワードに、伝える・伝わる価値でつながる社会に貢献する。
「モノ・センサ・通信規格・情報処理アプリケーション」を駆使して新たな社会価値への取り組みに参画してスマート社会の発展に貢献する。病院向けでは施設内のIoT機器などを、交通インフラ向けでは保護・施工管理などを、環境センシングでは農業スマート化などを、環境センシングでは発電設備の故障検知などを対象とする。

 

(2)EX(従業員体験)の取り組み

EXの推進により、成長基盤を構築し、社員全員で「好きのカタチ」を築く。

成長エンジン  

<スマートファクトリーの実践>

◆ものづくりの自動化・合理化・省人化

◆内外作政策の促進

◆設計技術、生産技術の強化

◆知的財産力を高める

地球と太くつながる  

<地域社会貢献>

◆地域の方々との交流

◆地域活性化への支援

来たくなる会社  

<well-beingの向上>

◆従業員の声を聞き反映させていく環境と体制整備

◆ワークライフバランスの向上●健康、福利厚生活動の充実

◆ITを利用した業務改善と働く環境整備

無形固定資産の向上  

<非財務情報の向上・開示>

◆人材育成計画に基づく活動

◆労働環境の整備

◆温室効果ガス削減活動

◆コンプライアンス実行力を高める

 

3.2023年3月決算概要

(1)連結業績

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

売上高

7,024

100.0%

7,205

100.0%

+2.6%

売上総利益

1,691

24.1%

1,758

24.4%

+4.0%

販管費

1,400

19.9%

1,573

21.8%

+12.4%

営業利益

291

4.1%

185

2.6%

-36.4%

経常利益

313

4.5%

194

2.7%

-37.8%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

238

3.4%

203

2.8%

-14.9%

*単位:百万円 

 

前期比2.6%の増収、同37.8%の経常減益
売上高は、前期比2.6%増の72億5百万円。売上面では、工業用ゴム事業の売上高が前年同期比1.1%減少した。卓球ラケット用ラバーなどの受注が回復したものの、自動車向け製品が半導体をはじめとした部品不足の長期化の影響を受けたことが影響した。一方、医療・衛生用ゴム事業の売上高は同20.6%増加した。プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓が、新型コロナウイルス感染症の影響がなくなり回復した。
利益面では、経常利益が前期比37.8%減の1億94百万円となった。工業用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の減少に加え、材料費や電力料の高騰の影響等により前期比24.4%の減益となった。一方、医療・衛生用ゴム事業のセグメント利益は、売上高の増加が寄与し同26.4%の増益となった。これにより、営業利益は同36.4%減の1億85百万円となった。生産性改善の取り組みなどにより、売上総利益率は、24.4%と前期比0.3ポイント上昇した。営業活動の販売力と技術サービス力向上を推進するために人員強化を図り販管費が同12.4%増加し、売上高販管費率が同1.9ポイント上昇した。この結果、売上高営業利益率は2.6%と同1.5ポイントの低下となった。また、営業外損益は、営業外費用で為替差損が発生したことやコミットメントフィーが増加したことなどが変動要因の大きなものであり、経常利益の減益率は営業利益の減益率よりも若干拡大した。その他、特別利益で関係会社株式売却益8百万円と受取保険金9百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期期純利益は営業利益の減益率よりも改善した。

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。
*費用項目の▲は費用の増加を表す。

 

四半期業績の推移

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23/3期第4四半期(1-3月)は、前年同期比で、減収減益となった。また、前四半期(10-12月)との比較でも減収減益となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

工業用ゴム事業

5,830

83.0%

5,765

80.0%

-1.1%

医療・衛生用ゴム事業

1,193

17.0%

1,439

20.0%

+20.6%

連結売上高

7,024

100.0%

7,205

100.0%

+2.6%

工業用ゴム事業

529

84.3%

400

76.2%

-24.4%

医療・衛生用ゴム事業

98

15.7%

124

23.8%

+26.4%

全社費用

-337

-

-340

-

-

連結営業利益

291

100.0%

185

100.0%

-36.4%

*単位:百万円 

 

事業別売上高(中期事業分野別)

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

光学事業

3,103

44.2%

2,607

36.2%

-16.0%

医療・ライフサイエンス事業

1,232

17.6%

1,483

20.6%

+20.4%

機能事業

2,155

30.7%

2,474

34.3%

+14.8%

通信事業

532

7.6%

639

8.9%

+20.2%

売上高合計

7,024

100.0%

7,205

100.0%

+2.6%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

光学事業は、半導体不足による自動車生産減少の影響によりASA COLOR LEDの受注が減少した。医療・ライフサイエンス事業は、一部製品の在庫調整の影響が解消し、製品全般で受注が増加した。機能事業は、スイッチ用ゴムなど自動車向けの受注が市場の回復により増加した。また、卓球ラケット用ラバーの受注も増加した。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注徐々に回復傾向となった。

 

国内・海外別売上高

 

22/3期

構成比

23/3期

構成比

前期比

国内

5,314

75.7%

5,402

75.0%

+1.7%

海外

1,710

24.3%

1,802

25.0%

+5.4%

アジア

1,581

22.5%

1,675

23.3%

+6.0%

北米

118

1.7%

116

1.6%

-1.5%

欧州

10

0.1%

10

0.1%

+2.0%

合計

7,024

100.0%

7,205

100.0%

+2.6%

*単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

国内売上高は前期比1.7%増加した。海外売上高は規模の大きいアジアの増加が寄与し同5.4%の増加となった。

 

(3)主力製品の売上推移移

 

22/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

23/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

ASA COLOR LED

761

754

677

669

608

630

646

502

医療用ゴム製品

283

301

289

305

330

357

365

370

卓球ラケット用ラバー

90

93

114

122

149

166

144

163

RFIDタグ用ゴム製品

94

100

32

85

72

115

123

75

*単位:百万円

 

ASA COLOR LEDの年間売上高は、前期比16.6%減の23億88百万円となった。当期前半の中国のロックダウンや半導体不足による受注減の影響は、ある程度底打ちしつつあったものの、自動車生産の本格的な回復は見通せず、先行きは不透明で一部タイプの受注が減少した。医療用ゴム製品の年間売上高は、同20.6%増の14億23百万円となった。当期より、一部製品の在庫調整が終息したため、売上高の回復傾向が鮮明となった。第3四半期に引き続き、第4四半期も四半期ベースで過去最高を更新した。卓球ラケット用ラバーの年間売上高は、同48.1%増の6億25百万円となった。競技再開と円安による顧客の海外市場での競争優位性向上から受注が増加傾向となった。第3四半期は生産体制拡張準備のため一時的に減少したものの、第4四半期から回復し増加傾向が続いた。RFIDタグ用ゴム製品の年間売上高は、同23.9%増の3億86百万円となった。最終ユーザーの北米市場において、7月以降、市場回復から受注が増加したものの、第4四半期に再び在庫調整があり、先行き不透明な状況に変わりはない。

 

(4)連結子会社の動向

子会社の動向

 

(株)朝日FR研究所

Asahi Crosslink Corporation

 

 

ゴム・プラスチック等の研究開発

1987年4月設立

工業用ゴム製品の販売

1999年6月設立

 

 

23/3期

前期比

22/12期

前期比

 

 

研究収入/売上高

173,650

-4.1%

124,000

+3.6%

 

 

経常利益

791

-54.5%

-2,265

-

 

 

当期純利益

277

-73.8%

-1,209

-

 

 

円換算レート

-

1米ドル=132.09円

 

 

 

朝日橡膠(香港)有限公司

東莞朝日精密橡膠制品有限公司

朝日科技(上海)有限公司

 

工業用ゴム製品の販売

2005年11月設立

工業用ゴム製品の製造・販売

2010年7月設立

工業用ゴム製品の開発・設計・販売

2012年1月設立

 

22/12期

前期比

22/12期

前期比

22/12期

前期比

研究収入/売上高

335,910

+4.1%

973,729

+21.5%

314,305

-2.9%

経常利益

-26,454

-

87,211

+339.9%

38,193

-7.0%

当期純利益

-26,454

-

76,059

+283.7%

36,771

-3.9%

円換算レート

1香港ドル=16.86円

1人民元=19.50円

1人民元=19.50円

*単位:千円 
*連結子会社のARI INTERNATIONAL CORPORATIONは、2023年4月1日付でAsahi Crosslink Corporationに社名を変更した。

 

円安が寄与したものの、中国のロックダウンや半導体不足などの影響を受けた。

 

(5)財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

 

22年3月末

23年3月末

 

22年3月末

23年3月末

現預金

2,427

1,988

仕入債務

337

275

売上債権

1,537

1,641

短期有利子負債

955

790

棚卸資産

1,125

1,151

流動負債

2,526

2,367

流動資産

5,377

5,073

長期有利子負債

1,471

1,111

有形固定資産

3,434

3,353

固定負債

2,517

2,129

無形固定資産

75

63

純資産

4,676

4,889

投資その他

832

897

負債・純資産合計

9,720

9,387

固定資産・繰延資産

4,342

4,313

有利子負債合計

2,427

1,902

*単位:百万円。有利子負債=借入(リース債務含まず)

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

23年3月末の総資産は前期末3億33百万円減の93億87百万円。資産サイドでは、売上債権、棚卸資産が主な増加要因となり、現預金、建物及び構築物、機械装置及び運搬具などが主な減少要因となった。負債・純資産サイドでは、当期の利益計上に伴う利益剰余金、為替換算調整勘定が主な増加要因となり仕入債務、電子記録債務、短期と長期の借入金などが主な減少要因なった。23年3月末の自己資本比率は、52.1%と前期末から4ポイント上昇した。

 

キャッシュ・フロー

 

22/3期 

23/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー

435

432

-3

-0.8%

投資キャッシュ・フロー

-214

87

302

-

フリー・キャッシュ・フロー

221

520

298

+134.8%

財務キャッシュ・フロー

-761

-619

142

-

現金及び現金同等物の四半期末残高

956

890

-65

-6.8%

* 単位:百万円

 

*株式会社インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

CFの面から見ると、税金等調整前当期純利益が減少したもののたな卸資産の増加額の減少などにより、営業CFは前期並みのプラスとなった。また、定期預金の払戻による収入や関係会社株式の売却による収入の増加などにより投資CFがプラスへ転じ、フリーCFのプラス幅も拡大した。その他、長期借入金の返済額の減少などにより財務CFのマイナスが縮小した。以上により、期末のキャッシュ・ポジションは前期比6.8%減少した。

 

(6)設備投資と減価償却費

連結ベースの23/3期の設備投資額は3億39百万円、減価償却費は4億20百万円。

事業分野

設備投資額

内訳

光学事業

17

LED生産設備効率化、透明レンズの生産設備など

医療・ライフサイエンス事業

80

回路製品の生産設備導入など

機能事業

200

卓球ラケット用ラバーの生産設備導入など

通信事業

27

RFIDタグ用ゴム製品生産設備改良など

その他

15

-

合計

339

 

*単位:百万円

 

23/3期は、卓球ラケット用ラバーの生産設備導入などによる機能事業における設備投資の支出が多かった。なお、2月10日時点の設備投資の予定額3億80万円との差額は、主に納期や検収の遅れによるもの。

 

4.2024年3月期業績予想

(1)連結業績

 

23/3期

構成比

24/3期

構成比

前期比

売上高

7,205

100.0%

7,195

100.0%

-0.1%

売上総利益

1,758

24.4%

1,739

24.2%

-1.1%

販管費

1,573

21.8%

1,582

22.0%

+0.5%

営業利益

185

2.6%

157

2.2%

-15.2%

経常利益

194

2.7%

150

2.1%

-23.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

203

2.8%

106

1.5%

-47.8%

*単位:百万円

 

23/3期は、前期比0.1%の減収、同23.0%の経常減益予想
24/3期の会社計画は、売上高が前期比0.1%減の71億95百万円、経常利益が同23.0%減の1億50百万円。
売上面では、期前半の自動車製品の受注減の影響から微減収となる見込みである。工業用ゴム事業は、前期比1.5%減の予想。自動車向け製品の新製品の量産化や受注情報の変動に応じて安定供給を行う。また卓球ラケット用ラバーは活況が継続していることから受注の増加が見込まれる。RFIDタグ用ゴム製品は、引き続き最終ユーザーである海外市場の動向をみた対応を進める。また、研究開発においては、風力発電関連製品や熱電モジュールの量産化に向けた活動を推進する。一方、医療・衛生用ゴム事業は、同5.4%増の予想。プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の受注増加を見込む。また、同社独自製品である回路製品の市場投入を本格化させ、さらなる受注拡大に向けて活動を活性化させる。研究開発においては、理化学機器分野への貢献を目指して超親水性処理技術を生かした製品開発に注力する。利益面では、売上高の減少に加え、材料価格高騰に対する販売価格転嫁の効果が出始めるものの、昨年12月からの電力料の上昇が影響する。売上総利益率は、前期比0.2ポイント低下の24.2%、売上高対販管費率は、同0.2ポイント上昇の22.0%の予定。この結果、営業利益は前期比15.2%減の1億57百万円となる見込みである。売上高営業利益率は、前期比0.4ポイント低下の2.2%の予想。その他、営業外損益と特別損益において大きな計上の予定はなく、前期に計上した補助金収入、関係会社株式売却益、受取保険金などの減少を見込み経常利益と当期純利益の減益率は営業利益の減益率よりも拡大する見込みある。
また、配当予想は、前期と同額の1株当たり年20円(上期末10円、下期末10円)の予定。連結配当性向は85.6%となる。

 

24/3期決算見通しの上期下期比較

 

上期見通し

(23年4月~9月)

下期見通し

(23年10月~24年3月)

通期見通し

(23年4月~24年3月)

 

会社

計画

構成比

前年

同期比

会社

計画

構成比

前年

同期比

会社

計画

構成比

前年

同期比

売上高

3,431

100.0%

-4.1%

3,764

100.0%

3.8%

7,195

100.0%

-0.1%

売上総利益

802

23.4%

-9.5%

937

24.9%

7.3%

1,739

24.2%

-1.1%

営業利益

28

0.8%

-79.3%

129

3.4%

158.1%

157

2.2%

-15.2%

経常利益

27

0.8%

-81.2%

123

3.3%

141.5%

150

2.1%

-23.0%

当期純利益

17

0.5%

-84.9%

89

2.4%

-1.3%

106

1.5%

-47.8%

 

ASA COLOR LEDなど自動車関連は、自動車メーカーの生産、販売が回復してきているものの、サプライチェーンでの在庫調整の影響から、上期は厳しい見通しである。一方下期は、自動車関連の製品の受注が回復する見込みであり、医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの好調も継続する見込みであることから業績が回復する見通しである。また、材料価格高騰に対する販売価格転嫁の効果が今期から出始めるものの、昨年12月以降の電力料アップが利益の押し下げ要因として働く。

 

セグメント別売上高(中期事業分野別)の見通し

 

23/3期

実績

構成比

24/3期

会社計画

構成比

前期比

光学事業

2,607

36.2%

2,577

35.8%

-1.2%

医療・ライフサイエンス事業

1,483

20.6%

1,530

21.3%

+3.1%

機能事業

2,474

34.3%

2,496

34.7%

+0.9%

通信事業

639

8.9%

592

8.2%

-7.5%

売上高合計

7,205

100.0%

7,195

100.0%

-0.1%

*単位:百万円

 

光学事業は、上期の自動車生産調整の影響を受け、通期でも売上高が減少する見込みである。医療・ライフサイエンス事業は、製品全般で回復基調となり、更に新製品も貢献し増加する見込みである。機能事業は、スイッチ用ゴムなど自動車向けの一部製品に受注の不透明感がある。一方、卓球ラケット用ラバーの受注は好調が継続する見込みである。通信事業は、RFIDタグ゙用ゴム製品の受注が前期並みとなる見込みである。

 

主要製品の売上見通し

 

23/3

実績

24/3

会社計画

前提・方針

ASA COLOR LED

2,388

2,323

◆自動車市場は回復傾向にあるものの、上期の受注は回復が遅れる見込みである。

◆一方下期は、サプライチェーンの正常化に伴い、受注が回復する見込みである。

医療用ゴム製品

1,423

1,495

◆一部の用途の製品の在庫調整は解消し、コロナ後の増加傾向が続く見込みである。

◆新規製品のARチェックバルブの市場投入を進める。

卓球ラケット用ラバー

625

667

◆市場の需要回復により、更に受注が拡大する見込みである。

◆既存製品の受注増加と新製品の生産スタートで売上高が増加の見込みである。

RFIDタグ用ゴム製品

386

371

◆半導体不足の影響は緩和されつつあるものの、市場環境の不透明さが続く見込みである。

*単位:百万円

 

5.今後の注目点

主力ASA COLOR LEDの売上高が減少傾向にあるのは気がかりながら、ディスポーザブル用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーの受注が好調に推移していることは朗報である。これまで、ASA COLOR LEDの売上高比率が高く、ASA COLOR LEDの好不調に業績が大きく左右される同社の業績であったが、今後はその影響が薄まり業績の安定性が増すものと期待される。こうした中、前中期経営計画中に育成した新製品が今後徐々に業績へ寄与するステージとなっている。光学事業では、機能性照明や殺菌用途での新製品の拡大が期待される。また、医療用ゴム製品では、ARチェックバルブの拡大が期待される。更に、機能事業では、フェローテックマテリアルテクノロジーズ社との販売提携によるF-TEMの拡大などが期待される。これら新製品の今後の受注状況が注目される。
また、今期より新たな中期経営計画がスタートした。同社は新中期経営計画の中で、OEMからODMヘの進化を推進する。単品からモジュールへ、更には完成品へ売上構成の転換を図り、生産のみを行う企業から設計・生産まで行う企業への転換を図る。自らが価値「価格」をコントロールすることが可能となり、今後の収益性の向上につながる可能性が高い。また、脱炭素社会の実現に向け現在急拡大している風力発電分野においてはO&M(施設や設備の完工後に、保守操業を実施)の事業化を計画している。好不況の影響を受けないストックビジネスの獲得につながる可能性が高い。これら新中期経営計画で打ち出された戦略の進捗状況にも期待を込めて注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年6月24日

 

<基本的な考え方>
当社及び当社グループのコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、「継続的な成長を通して、企業価値を高めていくという経営の基本方針を実現するために、経営の透明性・健全性を高め、コンプライアンス経営を徹底する」であり、経営上の重要な課題のひとつと位置付けております。

 

【実施をしないコード:そのおもな原則と理由】

原則

実施しない理由

【補充原則1-2④】

当社の株主構成で機関投資家また外国人株主の比率が低いため、議決権電子行使プラットフォームや決算資料および招集通知の英訳は実施しておりません。それぞれ一定程度の株主構成比率になった場合または要望が多くなった場合に検討いたします。

【補充原則2-4①】

当社では、必要に応じて適材適所での人員配置とすることを基本方針としているため、女性、外国人等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方等は定めておりませんが、今後も、従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に努め、意欲と能力のある従業員を育成し、適性のある人材を管理職として登用していく方針であります。

【補充原則3-1②】

海外投資家、外国人投資家の株主構成比率は少ないため、英語での決算情報など開示資料の公開は行っておりません。

【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】

女性取締役や外国人取締役は在籍しておりません。当社では女性の管理職が6名、また現場でのリーダーは26名でございます。いろいろな考え方を尊重して、多様性を高めた人事を進めていきたいと考えています。当社では、出産や育児のあとも短時間勤務制度を利用しながら継続して働いている女性社員が増えてきており、こうした方たちが、将来、活躍できるように体制を整えてまいりたいと考えております。財務・会計に関する十分な知見を有している取締役は1名で、旧大蔵省での財務・会計業務を長年にわたって携わられてきたことによる豊富な知識と弁護士としての幅広い見識を、当社の監査業務やコンプライアンス活動等に活かしていただくため、社外取締役に指定しております。

 

【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】

原則

開示をしている主な原則

【原則1-4.政策保有株式】

方針として、中長期的な企業価値向上を図ることを基本とし、その保有の合理性を得られない場合は保有いたしません。政策保有株式の目的は取引関係の強化、情報収集などが主な目的であり、それぞれの目的が効果をあげているかの状況等を検討して、適宜判断しております。 当社が保有している法人の株式については、その簿価と株価とを比較し、また当該会社の事業状況等も踏まえて、保有するか売却するかの判断を行っております。

特に定量的な数値指標はございません。取引状況、情報収集状況、また相手先の会社の経営状況等を総合的に判断して、議決権を行使してまいります。

【原則2-6.企業年金のアセットオーナーと

しての機能発揮】

当社は、確定給付型の制度として規約型企業年金制度を採用しております。企業年金の積立及び運用に関して、外部の資産管理運用機関と契約を締結し、安全かつ効率的な資産運用を旨とし、必要とされる総合収益を長期的に確保することを運用の目的としています。運用状況については、定期的に管理部門がモニタリングしております。なお、議決権行使については、委託機関に一任することで、企業年金の受益者と会社の間で利益相反が生じないようにしております。2019年4月から運用を開始し、投資教育について、従業員への資産運用への教育の取り組み内容をお知らせいたします。また外部の資産管理運用機関と教育業務委託契約を締結しております。

【原則3-1.情報開示の充実】

ⅰ)会社の社訓、経営基本方針を会社ホームページにて開示しております。また中期経営計画を策定し、説明会を開催して公表して会社ホームページにて開示しております。

ⅱ)当社は、当社グループ全体の企業価値の最大化を図るためにはコーポレート・ガバナンスの強化が重要であると認識しており、経営の透明性と健全性の確保、適時・適切な情報開示を行うことに努めています。また、「内部統制システムに係る基本方針」に基づき、当社および子会社の内部統制システムを整備し運用しております。

ⅲ)当社の取締役の報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としております。決定の手続きについては、他社水準及び対従業員給与とのバランスを考慮しながら総合的に勘案して、取締役会で了承された方法により決定いたします。

ⅳ)取締役候補者の選任について、当社の持続的な発展と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人物を役員とすることを基本方針とし、経営の意思決定および業務執行の監督に携わる者としてふさわしい経歴、能力、リーダーシップ、中長期的視野および高い倫理観を持つ者の中から、人格、経験を総合的に勘案し、取締役候補者といたします。その手続きは、候補者を代表取締役社長が監査等委員会に提案し、監査等委員会で確認後、取締役会で候補者を決定し、取締役の選任に関する議案を株主総会に提出いたします。執行役員の選解任については、代表取締役社長が取締役会に提案し、取締役会でその提案について審議し、決定いたします。

ⅴ)役員等の候補者選定の手続きについては、管理部門が候補者の経歴書、推薦書等の資料を準備し、監査等委員会にて面談を実施し、審議、取締役会への答申内容を決定し、取締役会で審議結果を答申し決定いたします。

【原則4-9.独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】

当社は、独立役員の資格を充たす社外役員を全て独立役員に指定しております。独立役員とは、当社の一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外役員といたします。金融商品取引所が定める独立性基準を、当社の社外役員の独立性基準とし、当社経営陣から著しいコントロールを受け得る者である場合や、当社経営陣に対して著しいコントロールを及ぼし得る者である場合は、一般株主との利益相反が生じるおそれがあり、独立性はないと判断いたします。

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】

IR活動を強化し、頻度をあげております。外部からの意見もいただきながら、問い合わせ窓口を広げてまいります。今後も株主の皆様や投資家の皆様のご意見をいただきながら、体制を整備していきたいと考えております。

 

 

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