ブリッジレポート
(3608) 株式会社TSIホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(3608)TSIホールディングス 23年2月期決算

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下地 毅 社長

株式会社TSIホールディングス(3608)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

繊維製品(製造業)

代表取締役社長

下地 毅

所在地

東京都港区赤坂8-5-27

決算月

2月

HP

https://www.tsi-holdings.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

618円

90,144,093株

55,709百万円

3.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

15.00円

2.4%

41.54円

14.9倍

1,168.69円

0.5倍

*株価は4/17終値。各数値は23年2月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

19年2月

165,009

2,280

3,902

-185

-1.93

17.50

20年2月

170,068

70

1,851

2,181

23.42

17.50

21年2月

134,078

-11,843

-10,359

3,861

42.64

0.00

22年2月

140,382

4,440

5,834

1,022

11.32

5.00

23年2月

154,456

2,329

3,859

3,063

35.21

10.00

24年2月(予)

162,000

4,700

5,500

3,500

41.54

15.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

株式会社TSIホールディングスの23年2月期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画「TSI Innovation Program 2025」
3.2023年2月期決算概要
4.2024年2月期業績予想
5.今後の注目点
<参考1:サステナビリティ>
<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 50を超えるブランドを展開するアパレル企業。ブランドごとにターゲット(性別、年齢、嗜好など)を明確に定め、幅広い顧客層に対し、製品を提供している。中期経営計画「TSI Innovation Program 2025(以下:TIP25)」を推進中で、ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出すことをパーパスに掲げている。

     

  • 23年2月期の売上高は前期比10.0%増の1,544億円。リアル店舗、海外事業は年間通して堅調に推移。ECが低調なものの前期を上回り、修正予想通りの着地となった。営業利益は同47.5%減の23億円。前期の助成金計上と特別損失への振り替え、当期の本社移転経費の計上で前期を下回ったが、特殊要因を除外した上での営業利益は同14.6%の増益。適切な販売歩留・在庫コントロールと販管費の抑制により収益性は改善した。当期純利益は同199.6%増の30億円。外貨建て資産における為替差益や投資有価証券売却益を計上した一方、減損損失を計上した。2023年2月期の配当額を従来予想の7.00円/株から10.00円/株に修正した。

     

  • 24年2月期の売上高は前期比4.9%増の1,620億円、営業利益は同101.8%増の47億円と増収増益を予想。新型コロナウイルス感染症における行動規制緩和により、徐々に経済活動の正常化がみられる一方、ロシア・ウクライナ情勢や為替変動及び物価高騰の影響についてのリスクを認識している。売上高は一定の回復を見込むとともに、EC、アスレジャーなどの成長分野のほか、収益性の高い販促に対しても重点的に投資を行なっていく。前期までの取り組みで収益性が改善したことに加え、各取り組みの遂行で収益性は更に上昇すると見ている。配当は前期から5.00円/株増配の15.00円/株を予定。予想配当性向は36.1%。

     

  • 増収減益ではあったが、22年2月期の助成金計上、23年2月期の本社移転費用など特殊要因を除くと営業増益で収益性も改善した。売上高がコロナ禍前を超え過去最高を更新するのは来期となる見込みだが、営業利益は今期ピーク利益を更新する予想だ。

     

  • 一方で収益性は改善しているものの、ROEは3%台での推移となっている。1倍を割れたPBR向上に向け、一段の収益性向上を図ることができるか注目したい。

1.会社概要

50を超えるブランドを展開するアパレル企業。ブランドごとにターゲット(性別、年齢、嗜好など)を明確に定め、幅広い顧客層に対し、製品を提供している。「環境・社会」「市場」「生活者」の観点から、変革を進め、アパレルonly企業から脱し、社会へのバリューを 企業成長に繋げながら、ファッションがもたらすエンターテインメントで、プロダクト提供にとどまることなく独創的な提供価値を創出する「ファッションエンターテインメント創造企業」を目指している。中期経営計画「TIP25」を推進中。

 

【1-1沿革】

アパレル業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、株式会社東京スタイルと株式会社サンエー・インターナショナルが互いの強みを活かし持続的な成長を図るべく、2011年6月、株式移転により株式会社TSIホールディングスを設立。東京証券取引所に株式を上場した。2022年4月、市場再編に伴い東証プライム市場に移行した。

 

【1-2 経営理念】

以下のような、経営理念、ビジョン、パーパス、グループ行動基準を掲げている。

 

経営理念

私たちは、ファッションを通じて、人々の心を輝かせる価値を創造し、明日を生きていく歓びを、社会と共に分かち合います。

ビジョン

時代の流れを先取りする、最高のクリエーションとライフスタイル提案を通じて、世界で最も愛されるグローバルグループを目指します。

パーパス

ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す。

グループ行動基準

1.公正・公平の精神と誠実さを大切に、情熱と責任を持って仕事に取り組みます。

2.常に問題意識を持ち、自己研鑚に努め、柔軟な発想で積極的にチャレンジします。

3.一人ひとりの個性を尊重し、コミュニケーションに努め、自分の役割を実行してチームに貢献します。4.心からのおもてなしで、お客様に感動と歓びをお届けし、お客様満足の向上に努めます。

5.ステークホルダーそれぞれの立場を尊重して相互利益の実現を図り、持続的な会社の成長に貢献します。

6.社会と自然環境に心から感謝し、事業を通じて社会の発展に貢献します。

 

【1-3 事業内容】

持株会社である同社、連結子会社27社及び持分法適用会社1社でグループを構成。
「アパレル関連事業」では、主に衣料品の企画、製造、販売、ライセンスブランド事業及び生産・物流事業を、「その他の事業」では、販売代行及び人材派遣事業、合成樹脂関連事業、店舗設計管理事業及び飲食事業等を行なっている。

 

 

 

◎ブランド
現在50を超えるブランドを展開。ブランドごとにターゲット(性別、年齢、嗜好など)を明確に定め、幅広い顧客層に対し、製品を提供している。
売上高上位10ブランドの売上高構成比は約6割。粗利率は約50-70%。

 

◎主要ブランド概要

ブランド

対象

コンセプト

ナノ・ユニバース

 

女性・男性

「ジャパン・メイド・トラディショナル」「モダン・ヴィンテージ」「シーズナル・ワードローブ」 3ラインと、ブランドセレクトからなるマルチレーベルストアを展開し、生活に役立つファッションや情報を知恵として提案することを活動とする。

パーリーゲイツ

 

女性・男性

OUT ON THE WEEKEND(週末は都市を離れて)

「もっと気軽にもっと楽しくゴルフをしよう」というコンセプトのもと、 年齢や性別など、あらゆる枠組みを超えた、ちょっとオシャレなゴルフウェアを提案。

 

 

マーガレット・ハウエル

 

女性・男性

シンプル&ベーシックを基本姿勢に、着心地や機能性を追求し、性別や年齢にとらわれないタイムレスでモダンなデザインを発信。

ナチュラルビューティーベーシック

 

女性

「Comfortable(着心地の良さ)」をキーワードに、着る人のライフスタイルの充実を幅広い層に向けて提案。

 

ハフ

 

男性

レジェンドスケーターのキース・ハフナゲルが2002年にオープンしたショップのオリジナルブランドから、今やアパレルのみならずフットウエアまで展開するライフスタイルブランド ”HUF”。

キースのバックグラウンドであるスケートとストリートをベースに、独自のスタイルやアート感をアメリカン・クラシックに落とし込んだプロダクトは、NY、LA、SF、東京、ロンドンなど世界中のファッション主要都市で注目されている。

 

 

◎販売チャネル
リアル店舗とECを通じて国内・海外でアパレル商品の販売を行っている。

 

リアル店舗数は23年2月期末で811店舗(海外含む)。うちアパレルが767店舗。
事業構造改革に伴い不採算店舗の閉鎖を進めているが、「ファッションエンターテインメント企業」として、ブランドの世界観を発信し、顧客を楽しませる、わくわくさせるための拠点としてのリアル店舗の重要性に変わりはないと考えており、スクラップ&ビルドを進めながら顧客支持の高いブランド中心に店舗を展開。大型店舗や一等地への魅力的な出店により、店舗事業の収益構造を改革する。
2025年2月期までに100店舗出店(純増35店舗)を計画している。(2023年2月期で出店43店舗、退店121店舗)

 

国内EC売上高に占める自社サイト比率は着実に上昇し、高い収益性を維持している。2021年2月期はコロナによる店舗休業があったため、EC化率が大きく上昇している。

 

 

【1-4 特長・強み・競争優位性】

下地社長によれば、時代性を伴ったカテゴリーやブランドの発見・発掘、育成は同社の得意分野であるということだ。
アスレジャー、ウェルネス、アウトドア、ストリートといった分野が、コロナ禍に伴うアウトドア志向や健康志向の流れもあり、大変好調で、「PEARLY GATES」はゴルフウェアブランドとして、国内トップクラスの売上実績を上げている。
同社では、アメリカ、イギリスなどでブランドを発掘した実績があり、ここ10年では、新しいブランドを導入し、成功に結びつけているのは同社を含め、数少ない。
リスクを取る土壌・経験と、育成するノウハウ・実績が同社の競争優位性の源泉である。

 

【1-5 ROE分析】

 

18/2期

19/2期

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期

ROE (%)

2.9

-0.2

2.2

4.0

1.1

3.1

 売上高当期純利益率(%)

2.07

-0.12

1.28

2.88

0.73

1.98

 総資産回転率(回)

0.95

0.93

0.99

0.85

0.95

1.12

 レバレッジ(倍)

1.47

1.68

1.76

1.64

1.52

1.41

 

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

中期経営計画「TIP25」では、2025年2月期 ROE 5.3%以上を目標としている。収益性の向上をいかに実現するかがカギとなる。

2.中期経営計画「TSI Innovation Program 2025」

同社グループでは、2021年2月期に中期での成長戦略を描いた「TSI Innovation Program 2024(TIP24)」を策定・公表したが、コロナ禍により1年間の改革停滞を余儀なくされた。
そこで、2022年4月、TIP24を2025年に向けた新たな中期経営計画「TSI Innovation Program 2025(TIP25)」へ更新した。

 

【2-1 TIP25策定方針】

以下、3つの方針の下、TIP25を策定した。

(同社資料より)

 

【2-2 変革の方向性、パーパス】

◎環境認識
市場に求められていない量の衣服を、環境に負荷をかけながら大量生産し、同質化した競合ブランドと競争しながら、価格を下げて売り捌くというビジネスモデルは限界を向かえ、アパレル業界の常識は崩れ去ったと同社では考えている。

 

◎決意
そこで同社では、これまでのアパレルビジネスの常識・既成概念を捨て、人と環境のために真の価値を提供する企業として新しい一歩を踏み出し、誰もが夢を描くことのできる企業へと生まれ変わると決意した。
キーワードは「Regeneration:再生・新生」。

 

◎変革の方向性
「環境・社会」「市場」「生活者」の観点から、変革を進め、アパレルonly企業から脱し、社会へのバリューを 企業成長に繋げながら、ファッションがもたらすエンターテインメントで、プロダクト提供にとどまることなく独創的な提供価値を創出する「ファッションエンターテインメント創造企業」を目指す。

 

(同社資料より)

 

◎パーパスとWILL
パーパス:社会的存在意義
ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す。

 

WILL:実現すべきもの
すべてのステークホルダー(社会・環境・顧客・株主・社員)にとって世界一幸せなファッションカンパニーを目指します。

 

【2-3 事業計画】

(1)目標値と施策
2025年2月期、売上高1,896億円、営業利益80億円、売上高営業利益率4.3%を計画している。翌期26年2月期には売上高2,000億円超えを掲げている。
また、25年2月期、EBITDA9%以上、ROE5.3%以上、EC化率40%以上も目標としている。

 

目標達成のための中心的な施策は以下の3点。

1.我々の成長領域を明確に定義し、集中的な投資を行う

 

事業ドメイン(ディビジョン)を設定し、成長領域に向けた積極的な投資を実施。

特にウェルネス事業とストリート事業を3カ年の売上拡大領域とする。

デジタルジェネレーションへは将来を見据えた投資を行い、次世代顧客価値を開発。

2.エンターテインメントの追求による顧客獲得を目指す

 

アパレルに限らないファッションエンターテインメントを創出。

オフィス拠点集約時にプレスルームを統合し、メディア基地化。

顧客へ向けた様々なコンテンツを直接顧客に向けて発信。

3.Eコマース事業の大幅拡大に向けた企業構造改革

 

全ての業務をECとデジタル優先へ組み替える。

CRM構造、内部サービス開発へ大型投資を検討し、大型販促と連動した売上拡大を目指す。

 

【2-4 事業投資】

注力する投資領域を「A:ECの飛躍的拡大」「B:収益力の強化」「C:新たな体験価値のクリエーション」「D:成長事業領域への投資」としている。

 

「A:ECの飛躍的拡大」
EC/デジタルを最優先とした戦略・業務体制に全社をシフトさせる。
市場の期待値を上回る商品、サービス、コミュニケーションを開発する組織体制の進化に投資する。

 

*EC売上高760億円、EC化率40%への飛躍
現在、売上高430億円、構成比30%のECを、売上高760億円、EC化率40%に引き上げる。
そのために、サービスを継続的に利用したくなる成長の仕組みをデザインする。
店舗事業とEC事業のリソース構造見直しによるブランド事業の収益性向上が急務と認識しており、生産性・利益率の観点からEC/デジタルを最優先とした戦略・業務にシフトする。

 

企画段階からEC販売を念頭に置いた商品・在庫・販促・オペレーションの設計に取り組む。
また、低収益店舗は顧客をECにシフトさせながら、EC売り上げの伸長を加味した撤退判断を下す。
エンターテインメントコンテンツを質量とも拡充する。

 

*1,500万人会員プラットフォームの構築
ブランド個々の戦いから事業領域ごとの戦いへ移行。コンテンツ強化を軸に、領域ごとの顧客母数を飛躍的に拡大する。
プロダクトのみでなく、「衣食住働遊宇」の5つをテーマとした体験価値を提供し、各種施設やメディアでの情報発信、スタッフやユーザー同士のコミュニティなどを展開する。
CRMの活用、物販以外のビジネスモデルの創出なども大きなカギとなる。

 

*エンターテインメントコンテンツの強化
「ファッションエンターテインメント創造企業」としての新たなコミュニケーション手法の開発に注力する。
エンゲージメントの高いコンテンツとユーザーの深い知識を組み合わせることでプラットフォームパートナーに価値の高いリーチを提供する。コストよりバリューを重視した販促戦略を志向する。
ファンコミュニティの熱量をもとに、投げ銭やNFT(※)等で新たな経済圏を創出する。

 

※NFT (Non-Fungible Token、ノンファンジブルトークン)
代替不可、つまり「一つしかないことが証明されているデジタルデータ」のこと。アート・ゲーム・音楽・スポーツ等、様々な分野でデジタルの資産化が進んでいる。

 

「B:収益力の強化」
リアル店舗の魅力を再興する。同社では、ブランドの世界観を体現できる贅沢な価値提供の場としてのリアル店舗の価値を重視している。
顧客ロイヤルティ向上の場として、店舗の在り方を再構築し、収益力を向上させて行く。

 

*収益構造の改革と魅力的な店舗開発
退店を計画していた国内店舗のうち95%の退店が完了し、前構造改革による不採算店撤退フェーズは終了した。今後は再度顧客支持の高いブランド中心に攻めのフェーズにシフトする。
大型店舗や一等地への再出店で、アフターコロナの新しい店舗の在り方を示す。
魅力的な出店により、店舗事業の収益構造を改革する。
2025年2月期までに100店舗出店(純増35店舗)を計画している。

 

*大型店舗での体験価値を向上させ、継続的に足を運びたくなる「ここだけ体験」を提供
店舗を、ブランドの世界観を体現できる贅沢な価値提供の場とする。
大型化に伴い商品カテゴリや商品数の充実を図るほか、イベントの実施やシミュレーション施設による新たな店舗体験を提供。これにより集客力の向上・顧客の滞在時間増加を実現し、客単価やブランドロイヤルティ向上を目指す。
坪数が増加すると、坪当り売上は減少するが、コスト削減効果も顕著である。大型化に伴う人員数削減と合わせ、利益率改善を図る。

 

*低収益事業の見直し・撤退を行い、成長領域へシフト
成長余力、ファッションエンターテインメントとの合致性、収益性、存在意義、事業規模、EC化率、顧客ロイヤルティーの指標に基づき、見直し・撤退事業を判断する。
同時に、M&Aを含めた施策で常に成長領域を捕捉し、ポートフォリオの入れ替えを続けていく。

 

「C:新たな体験価値のクリエーション」
プロダクトにとどまることないクリエーションで、ファッションがもたらすエンターテインメントを価値として提供していく。

 

*モノ・コト・イミを提供するPRチームのエンタメ化
BtoB主体だったプレス業務を改革し、自らコンテンツを開発し、自らメディアとして顧客に直接アプローチするエモーショナルなPRチームへと再編成する。
9月に移転した新本社のプレスルームは、エンターテインメントと体験と共感を創出する新しいワークスタジオとする。

 

*想像を超える顧客体験をデザインする
人生がより楽しく、健やか、安全、生産的で意義あるもののなるよう貢献する。
顧客の背景にある潮流を理解し、「社会と顧客」の関係を捉えた顧客体験を創出する。

 

*非アパレル事業の展開と事業間シナジー
非物質的価値以上の本質的なライフスタイル体験を、社会と顧客を起点にデザインする「ファッションエンターテインメント企業」となる。
そのために、既存アセットを核に、周辺・異業種(飛び地ではない)との事業シナジーを創出し、出資、アライアンス、M&Aにより新たな経済圏を創出する。

 

一例として、オーガニックコットンの栽培を手掛けるアグリテック事業を23年2月期からスタートさせた。カーボンクレジットの創出にも取り組む。

 

「D:成長事業領域への投資」
流動的で多様化する市場・価値観・ニーズに対して成長領域を明確に定義して投資を行う。

 

(1)事業領域
4つの事業ドメイン(ディビジョン)を設定し、各ドメインにおいて事業運営を円滑に実行するために機構改革を実施した。

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

1.ウェルネス&ライフスタイル
魅力的なコミュニティを創り上げる。
アパレルブランドからコミュニティブランドへの昇華を目指すほか、ライフスタイルに寄り添うエンターテインメントビジネスを展開する。

 

◎事業ディビジョン構成
「ウェルネス事業ディビジョン」
ゴルフ事業に留まらず、スポーツ、フィットネス領域を切り口にコミュニティを形成しながら事業展開するグループ

 

「ライフスタイル事業ディビジョン」
確立したブランドとしての軸を維持しながら、従来のアパレルに留まらない体験を提供できる、新しい事業デザインを構築するグループ

 

◎施策・取り組み
ブランドと顧客のコミュニティを形成し、熱狂を作り出す。コミュニティへの新たなブランド提案などで経済圏を拡大する。
ゴルフコミュニティを立ち上げたほか、スポーツとファッションのハイブリッドD2Cブランドをローンチするなど、ゴルフブランドの顧客アセットを活かした取り組みも進めている。
遊び・エンターテインメントの要素を統合した幅広い体験を主軸とした新たな遊び方が潮流となっていることに注目し、顧客の人生に寄り添い、TSIの様々なブランドからアパレルにとどまらない新たな価値を提案する。
アウトドアブランドのギア展開のほか、商業施設以外へのカフェ出店を開始した。

 

2.ストリート&カルチャー
ストリート精神に根差した遊びのプラットフォームを構築する。
「遊び」というキーワードに拡張することで、周辺のライフスタイルへの染み出しや、ギアの再発明、新たな体験の構築等の展開へ広げる。

 

◎事業ディビジョン構成
「ストリート&カルチャー事業ディビジョン」
遊びの文化をベースに本格的なウエア&ギア、セレクト業態のブランド協業や MIX を通じてカルチャーを発信し、イベント体験や新たなブランドとの出会いの中でコミュニティ形成を含め、顧客価値を創造するグループ

 

◎施策・取り組み
ストリート、スケート、スノーボード事業でグローバル売上高400億円プロジェクトを組成する。
「本物」「遊び」「文化」というキーワードに拡張することで、周辺のライフスタイルへの染み出しや、ギアの再開発、新たな体験の構築などを手掛け、グローバルで事業を展開する。
HUF・TACTICSを中心に世界の有力都市で旗艦店を出店する。

 

2020年にM&Aしたスケートボード・スノーボードのECサイト「TACTICS」については、米国の新しいスケートのカルチャーを日本に定着させるべく、日本上陸プロジェクトを展開する。
集合型スケートボードパークの開設やOMOの実施などを通じて、物販にとどまらない様々な体験を提供し、コミュニティを形成。顧客ロイヤルティを向上させる。

 

同社では昨今、セレクトショップの同質化が進み、価値が薄れてきたと認識しており、次世代に向けた新しいセレクトショップの在り方を開発する。
性別やジャンルに縛られない自由な店内レイアウトやコミュニティを生み出すポップアップスペースの常時設置、自由な時間を提供するカフェやフリースペースの設置などにより、これまでにない価値を生み出すセレクトショップを創出する。

 

3.ファッションキャピタル
常にトレンドと変化に対応するサービスを提供する。
軽やかに変化し続ける柔軟さを持ち、顧客のなりたいを叶え、幸せを連鎖させる。

 

◎事業ディビジョン構成
「ファッションキャピタル事業ディビジョン」
高感度なアパレルを中核とし、トレンドと変化に対応しながらお客様とのエンゲージメントを獲得するために、百貨店・SC・EC の役割を再定義し、リアル店があることの強みを最大化していくグループ

 

◎施策・取り組み
顧客との距離を縮めるためのOMOを構築する。
ニュー・ノーマルの時代に対応し、店舗・販売員がこれまでとは違った形態で、顧客のエンゲージメント獲得に繋げることのできる販売形態を構築する。
ネット上でのコンテンツやサービスの拡充を図るほか、SNSを通じた顧客との繋がりを図り、販促のほか、商品開発にも反映させる。
また、販売スタッフのオンラインでの活躍を促進するため新たな評価制度や育成制度も導入する。よりタレント的な要素、つまり担保やSNSでの顧客支持の状況も重視した評価や育成を行う。

 

OMOによる顧客サービス強化に向け、実店舗の役割や機能を再定義し、ECとの一体を図り、新たな店舗の形・新たな総客の形を構築する。
ブランドの世界観を五感で体感できるのはリアル店舗のみであるとの認識に変化はなく、リアル店舗の強みを活かす戦略を追求する。
新エリアや新施設への出店を進めるほか、顧客が接客スタッフを指名できる仕組みを導入する。

 

4.デジタルジェネレーション
次世代を取り込むコンテンツを構築する。
有形から無形まで、無制限に拡がるコンテンツで共感と熱狂を創り上げていく。

 

◎事業ディビジョン構成
「デジタルジェネレーション事業ディビジョン」
デジタルネイティブ世代(Z 世代)に向け、多彩なスタイルの提案や同世代の共感、パルス型消費にフレキシブルに対応できる仕組みと仕掛けを創り、次世代のコミュニティと商圏を構築するグループ

 

◎施策・取り組み
現在は、認知から購入までにかけていた時間が極限まで短縮したパルス型消費時代であり、垂直的な入口と出口を実現するコンテンツイノベーションにより、新たなクリエイティブの形を追求する。

 

D2Cコングロマリットを構築する。
ディレクターやコンテンツをベースとした多彩な事業やブランド、コンテンツを複数生み出す仕組み・仕掛けを創出する。
2025年2月期までに、「ETRE TOKYO」「MECRE」「ECコスメ」「F2C(※)ブランド」などの新規事業含め、売上高35億円を目指す。

 

※F2C
工場から直接顧客に届ける小売のスタイル。消費者が店舗などで採寸を行い、そのデータを工場へ送ると工場で生地の裁断、縫製が行われ、完成後、工場から消費者の下に製品が送られる。消費者は短期間にオーダーメイド製品を入手できる。メーカーは在庫リスクがゼロとなる。

 

全く新しい感性のデジタル事業を立ち上げる。
優れた縫製技術を有する連結子会社である株式会社TSIソーイングの優位性を戦略的に活用し、F2Cモデルとして「ブランド×工場×デジタルによる新しい販売」に挑戦する。

 

顧客の感情の盛り上がりを逃がさず購入前後の体験を緻密に設計する仕掛けを創るとともに、希少価値や話題性のある高利益率の限定商品やコラボ商品を販売することで、F2Cを魅力あるものとする。

 

顧客の共感や熱狂を生むチームを組成し、働き方と環境を更に整備する。
Z世代の生活者はテイストよりもスタイルを重視する。決められたテイストに固執せず、誰と、どこで、何をするかによって相応しい自分のスタイルを使い分けており、こうした状況に対応すべく、同世代のクリエーターの採用・育成を進めており、彼らが新しい事業を生み出していく。
また、社内では3Dサンプル、アバターとリアルサンプル、試着を織り交ぜたハイブリッドの企画会議を実施しており、顧客と同年代の女性社員が「自分が欲しいと思える服」を徹底的に議論して商品化を進めている。

 

Z世代の女性に向けたブランドポートフォリオを再構築する。
第一弾としてJILLSTUART、JILL by JILLSTUARTの2ブランドの再定義プロジェクトを推進中である。
「自己実現への欲求の高まり」「女性らしさの変化」などが強まる中、人の数だけある生活者の価値観やインサイト(直感)をリアルタイムで把握し、商品や体験に落とし込む。
特に、ブランドポートフォリオの中で、従来よりも若年層にリーチすることのできるブランドが必要であると考えている。

 

(2)最終年度数値目標(※)
各事業領域の数値目標は以下のとおりである。

 

売上高

CAGR

営業利益

営業利益率

EBITDAマージン

EBITDA

ウェルネス&ライフスタイル

752.9

13.2%

42.3

5.6%

8.8%

66.5

ストリート&カルチャー

405.9

5.3%

18.3

4.5%

8.6%

35.1

ファッションキャピタル

200.2

13.7%

15.1

7.5%

12.7%

25.5

デジタルジェネレーション

202.9

10.2%

13.7

6.7%

11.9%

24.2

単位:億円。CAGRは22年2月期からの年平均成長率。
(※) 組織やブランドの再組み換えを行うため、ディビジョン間の変動可能性あり。その他事業の売上は含まないので、4ディビジョンの売上合計は連結売上高の合計と一致しない。

 

 

【2-4 投資計画】

中期経営計画達成のためには、新規事業を中心に積極的な投資が必要と考えている。
手元資金150億円に借入調達150億円を加え、最大で300億円程度の投資を検討している。
投資実行に際し、以下の点を考慮している。

 

(同社資料より)

3.2023年2月期決算概要

【3-1業績概要】

 

22/2期

構成比

23/2期

構成比

前期比(1)

修正予想比

前期比(2)

売上高

140,382

100.0%

154,456

100.0%

+10.0%

+0.3%

+4.2%

売上総利益

76,826

54.7%

84,901

55.0%

+10.5%

-

-

販管費

72,386

51.6%

82,572

53.5%

+14.1%

-

-

営業利益

4,440

3.2%

2,329

1.5%

-47.5%

+29.4%

-44.0%

経常利益

5,834

4.2%

3,859

2.5%

-33.8%

+16.9%

-31.1%

当期純利益

1,022

0.7%

3,063

2.0%

+199.6%

+27.6%

+215.0%

*単位:百万円。23年2月期より収益認識基準を適用。前期比(1)は旧基準適用の22年2月期と新基準適用の23年2月期との前期比較。前期比(2)は23年2月期を旧基準適用した際の前期比較。修正計画は22年10月発表の修正予想に対する比率。

 

前期比増収減益。売上高はほぼ計画通り、利益は計画を上回る。
(*前年同期比は新基準適用数値による)
売上高は前期比10.0%増の1,544億円。リアル店舗、海外事業は年間通して堅調に推移。ECが低調なものの前期を上回り、修正予想通りの着地となった。
営業利益は同47.5%減の23億円。前期の助成金計上と特別損失への振り替え、当期の本社移転経費の計上など特殊要因を除外した上での営業利益は同14.6%の増益。適切な販売歩留・在庫コントロールと販管費の抑制により収益性は改善した。
当期純利益は同199.6%増の30億円。外貨建て資産における為替差益や投資有価証券売却益を計上した一方、減損損失を計上した。
2023年2月期の配当額を従来予想の7.00円/株から10.00円/株に修正した。

 

【3-2 チャネル別動向】

 

21/2期

22/2期

23/2期

前期比

 百貨店

12,481

13,820

19,555

+41.5%

 非百貨店

56,745

60,736

67,022

+10.4%

 国内EC

40,681

39,286

38,843

-1.1%

 国内その他

15,504

15,434

16,115

+4.4%

国内合計

125,411

129,276

141,537

+9.5%

海外

8,666

11,104

12,918

+16.3%

合計

134,078

140,382

154,456

+10.0%

*単位:百万円。21/2期、22/2期は旧基準、23/2期は新基準。
*非百貨店:ファッションビル、駅ビル、アウトレット等、 その他:卸や社販等のその他アパレル事業、グループ会社の非アパレル事業。米国でECサイト「タクティクス」を中心に運営するEfuego Corp社が、2021年第2四半期から連結対象となり、海外売上高に計上。

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

 

21/2期

22/2期

23/2期

前期比

国内EC

40,681

39,286

38,843

-1.1%

 自社サイト

17,871

17,842

18,111

+1.5%

 その他

22,809

21,443

20,732

-3.3%

海外EC

3,238

3,694

3,975

+7.6%

EC合計

43,919

42,980

42,819

-0.4%

*単位:百万円。21/2期2Q、22/2期2Qは旧基準、23/2期2Qは新基準。

 

大手百貨店の売上高回復や、インバウンドの需要回復などを受け、リアル店舗は前期比16.1%増と復調した。今後、好調事業の積極的な出店などで更なる成長を目指す。

自社ECは、上期、サプライチェーンの乱れもあり苦戦したが下期は、SNSを中心としたOMO施策や、コンテンツの拡充・拡張・増加などで回復した。第4四半期(12-2月)は前期比7.9%増と好調。

その他ECは、過度な値引の抑制や専売品強化などにより、粗利率は7.6%上昇し収益性が大きく改善し、全社営業利益計画達成の大きな要因となった。今後は収益性を保ちつつ売上を拡大する。

 

【3-3 店舗数、ブランド概況】

◎店舗数

 

(同社資料より)

 

引き続き国内アパレル店舗のスクラップを進めた。

 

◎ブランド別売上高・粗利率

 

(同社資料より)

 

売上TOP10ブランドの中でも6ブランドが2桁成長と大きく躍進した。

HUFはブランドの好調に加え、国内店舗数の拡大で売上成長が加速した。創設20周年のアニバーサリーイヤーは国内・海外ともに好評のうちに終了した。

human womanは継続的に実施してきたOMO施策の成果が表れ、EC売上が全社を大きく上回って成長した。百貨店の復調が後押ししリアル店売上も拡大した。

大型ブランドの好調・回復が全社売上の牽引役となった。

主力のレディースアパレル事業・ストリート事業を中心に伸長して全社売上を底上げすると同時に、今後の更なる成長に向けた足掛かりを築いた。

 

◎国内 全店・既存店売上高

 

 

【3-4 事業トピックス】

ファッションエンターテインメント創造企業を目指し、以下のような取り組みを進めた。

 

アリババクラウド、JPGAMESとのメタバース共同プロジェクトのPoC(Proof of Concept:概念実証)を開始した。

新たなブランド体験提供の実現に向けて、メタバース領域に参画し、商品づくりで蓄積された3 D データを活用し、エンターテインメントを創出。想像を超える顧客体験のデザインを目指す。

エンターテインメントコンテンツの強化に注力している。

従来からのアパレルプロダクト(=モノ)に特化したクリエーションの域を脱し、“遊び”・“体験”・“共感”を創出するエンターテインメントコンテンツを提供する。

ファンの期待を上回る商品、サービス、コミュニケーション手法を開発していく。

本社移転に伴い、イベント等に活用できるエンタメエリアを併設した。

今まで交わることの無かったブランド間のコラボレーションによる合同展示会や、ライブ体験、XRなどのデジタルコンテンツを取り入れた展示会の開催など、新たな体験の場を創出し、ブランド × 自由な空間による魅力を発信する。

新オフィスでは、組織間連携・事業シナジー構築が自然誘発的に行われる、フリーアドレス・レイアウト設計を取り入れた。部門の壁を取り払った「 ONE TABLE」による働き方を促進するための環境設計と啓発活動を実施している。「 ONE JILLプロジェクト」においては、クロスファンクショナルなワンチーム体制によるリブランディングを実行した。

農営ベンチャー企業 シンコムアグリテック社と “ 自社オーガニックコットン開発と綿花生産性改革の研究”をテーマに業務委託契約を締結した。

途上国であるインドのタミルナドゥ州で、地元農家と共に、環境負荷を低減する素材開発に向け、TSI独自の綿花の試験栽培を実施中である。コットンの収穫が2月に完了し、ジニングや紡績のトライアルを行い、収穫したコットンを使用した試作の糸が4月中に日本に到着する予定で、品質検査、番手や改善点の確認、適した衣類の分析などの検討を併せて実施し製品化を目指す。

 

【3-5 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

22年2月末

23年2月末

増減

 

22年2月末

23年2月末

増減

流動資産

75,547

71,837

-3,710

流動負債

28,375

26,239

-2,136

 現預金

39,258

32,205

-7,053

 仕入債務

10,595

11,407

+812

 売上債権

10,378

10,731

+353

 短期有利子負債

6,337

4,758

-1,579

固定資産

64,893

63,589

-1,304

固定負債

14,329

10,309

-4,020

 有形固定資産

6,544

6,136

-408

 長期有利子負債

9,839

5,014

-4,825

 無形固定資産

9,265

8,946

-319

負債合計

42,704

36,549

-6,155

 投資その他の資産

49,083

48,506

-577

純資産

97,736

98,878

+1,142

資産合計

140,440

135,427

-5,013

負債純資産合計

140,440

135,427

-5,013

*単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

現預金の減少などで資産合計は前期末比50億円減少し1,354億円。
有利子負債の減少などで負債合計は同61億円減少の365億円。
純資産は同11億円増の988億円。
自己資本比率は前期末比3.5pt上昇し72.7%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

22/2期

23/2期

増減

営業CF

1,380

1,326

-54

投資CF

-3,981

-110

+3,871

フリーCF

-2,601

1,216

+3,817

財務CF

-8,960

-9,589

-629

現金同等物

38,503

30,721

-7,782

*単位:百万円

 

*同社資料を基に㈱インベストメントブリッジで作成

 

投資有価証券の取得による支出の減少等で投資CFのマイナス幅が縮小し、フリーCFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

【3-6 TIP25の進捗】

中期経営計画「TIP25」における各部門の進捗は以下のとおりである。

 

(1)事業領域ごとの取り組み
1.ウェルネス&ライフスタイル
魅力的なコミュニティを創り上げる。
アパレルブランドからコミュニティブランドへの昇華を目指すほか、ライフスタイルに寄り添うエンターテインメントビジネスを展開する。
2023年2月期の売上高は前期比16.5%増の475億円。

 

◎施策・取り組み
①「さぁ、TSI」のコーポレートTVCMを放送
主力ブランド「PEARLY GATES」の契約アンバサダーである上田桃子選手と原英莉花選手を起用したTVCMを放映した。
全国6エリアで2023年2月期に2週間放映したところ、TSIの認知度が 6.7pt 上昇、PEARLY GATESの好感度が 7.0pt 上昇という好結果が生まれた。

 

②「and wander」 新しい購入体験の提供
様々な道具が必要でハードルの高いアウトドアだが、アウトドアブランド「and wander」は初心者でも気軽に体験することができるよう、一部商品でのレンタルサービスを開始した。そのままの購入も可能で「商品価値を実際に感じてもらい、納得して購入してもらう」という新たなユーザー体験を提供する。

 

③「PEARLY GATES」車いすバスケチームにウェア提供
「PEARLY GATES」が車いすバスケチームNO EXCUSEとユニフォームロゴスポンサード契約を締結した。
ゴルフウェアで培った技術とユニバーサルデザインをかけ合わせ、選手1人1人が快適にスポーツに向き合えるウェアを開発した。

 

2.ストリート&カルチャー
ストリート精神に根差した遊びのプラットフォームを構築する。
「遊び」というキーワードに拡張することで、周辺のライフスタイルへの染み出しや、ギアの再発明、新たな体験の構築等の展開へ広げる。
2023年2月期の売上高は前期比4.5%増の586.2億円。

 

◎施策・取り組み
①「Schott」今年110周年の歴史的ブランドが再注目
消費者の志向がコロナ禍で高品質で長く使える商品を求める本物志向へ変化するなか、今年110周年を迎える歴史的ブランド「Schott」がニーズにマッチし、注目されている。
昔からレザージャケットの老舗として認知している層から、これまで手にしたことのない若年層まで幅広い年代にアプローチすることができた。
伝統的な米国製のモデルだけでなく、トレンドのサイズ感やデザインを取り入れた日本企画のモデルにも注力しており、クオリティは同等ながら米国製より低価格で、エントリーモデルの役割も果たしている。
前年以上に好調で、さらなる成長を見込んでいる。

 

②「BAIT」唯一無二のアメリカ発カルチャーストア
ファッションやスニーカーとアニメやマンガがMIXしているカルチャーストアの「BAIT」では、決してギーク(オタク)な雰囲気はなく、誰でも気軽に着用でき、なおかつファッション性も高い商品が好調で売上高は前期比59.0%増と大きく伸長した。
特に渋谷パルコ店は、アートやカルチャーとの親和性が高く、若者や外国人が多数来店している。

 

3.ファッションキャピタル
常にトレンドと変化に対応するサービスを提供する。
軽やかに変化し続ける柔軟さを持ち、「顧客のなりたい」を叶え、幸せを連鎖させる。
2023年2月期の売上高は前期比15.1%増の340.3億円。

 

◎施策・取り組み
①「LE PHIL」 ブランド創設以来3期連続大幅増収
2019年春夏シーズンにデビューした「LE PHIL」は、ECを中心に売上を拡大してきたが、コロナ感染症対策の緩和に合わせて積極的にリアル店舗でのPOP UPストアを開催し、全国に知名度とファンを拡大した。23年2月期の売上高は前期比92.4%増の9億円と大きく躍進。20年2月期から23年2月期までのCAGRは6.5%増となった。
2023年3月には3店舗目となる常設店を名古屋タカシマヤに開店し、北海道初となるPOP UPも開催した。秋には更なる常設店舗の開店も計画しており、より一層攻勢を強めていく。

 

②「ADORE」ファッションを通して芸術をサポート
「360度美しい」を提案する「ADORE」と美の表現者であるバレエダンサーの上野水香さんがコラボレーションした。
異なるアプローチの組み合わせによる相乗効果で新たな価値の創造を目指している。
23年2月期の売上高は前期比45.5%増となった。
売上の一部は芸術支援団体に寄付し、芸術の発展に貢献する。

 

4.デジタルジェネレーション
次世代を取り込むコンテンツを構築する。有形から無形まで、無制限に拡がるコンテンツで共感と熱狂を創り上げていく。
2023年2月期の売上高は前期比6.0%増の125.7億円。

 

◎施策・取り組み
①「hueLe Museum」OMO推進に向けた取り組み
「hueLe Museum」ではLIVE配信を重点的に強化しており、インフルエンサーやパーソナルスタイリストを積極的に起用している。
これによって配信のクオリティ向上と新たな顧客獲得に繋がっている。
取り扱いブランドの1つである「STUMBLY」ではOMO施策の1つとして、バーチャル試着機能を試験導入した。
細かい質感の表現や、設定した体型に合わせてサイズ感を表現できるため、実店舗と遜色ない購買体験を提供可能にする。

 

②「CHAROL」LIMITED STOREがOPEN
人気インフルエンサーであるHINANOがクリエイティブディレクターを務める「CHAROL」では、2022年秋冬シーズンのデビュー以来オンライン中心で展開してきたが、ルミネ新宿に期間限定ショップをオープンした。ブランドの認知拡大と新たな顧客獲得を目指す。

 

4.2024年2月期業績予想

【4-1 業績予想】

 

23/2期

構成比

24/2期(予)

構成比

前期比

売上高

154,456

100.0%

162,000

100.0%

+4.9%

販管費

82,572

53.5%

86,100

53.1%

+4.3%

営業利益

2,329

1.5%

4,700

2.9%

+101.8%

経常利益

3,859

2.5%

5,500

3.4%

+42.5%

当期純利益

3,063

2.0%

3,500

2.2%

+14.3%

*単位:百万円。予想は会社側予想。23/2期より収益認識基準を適用。

 

増収増益を予想
売上高は前期比4.9%増の1,620億円、営業利益は同101.8%増の47億円の予想。
新型コロナウイルス感染症における行動規制緩和により、徐々に経済活動の正常化がみられる一方、ロシア・ウクライナ情勢や為替変動及び物価高騰の影響についてのリスクを認識している。
売上高は一定の回復を見込むとともに、EC、アスレジャーなどの成長分野のほか、収益性の高い販促に対しても重点的に投資を行なっていく。
前期までの取り組みで収益性が改善したことに加え、各取り組みの遂行で収益性は更に上昇すると見ている。
配当は前期から5.00円/株増配の15.00円/株を予定。予想配当性向は36.1%。自己株式の取得も2023年9月まで取得中。

 

5.今後の注目点

増収減益ではあったが、22年2月期の助成金計上、23年2月期の本社移転費用など特殊要因を除くと営業増益で収益性も改善した。売上高がコロナ禍前を超え過去最高を更新するのは来期となる見込みだが、営業利益は今期ピーク利益を更新する予想だ。
一方で収益性は改善しているものの、ROEは3%台での推移となっている。1倍を割れたPBR向上に向け、一段の収益性向上を図ることができるか注目したい。

 

<参考1:サステナビリティ>

同社では22年4月に「サステナビリティ ・ ストーリーブック」を開示した。
https://www.tsi-holdings.com/pdf/220413TSI_SUSTAINABILITY%20BOOK_fnl2.pdf

 

アパレル業界における課題、同社が特定したマテリアリティ、主な取り組みなどは以下のとおりでる。

 

(1)アパレル業界における課題
主要な課題は以下の4点。

CO2排出

アパレル産業におけるC O 2排出量は、2015-2030年で60%以上増加し、約20億トンに達すると予予測されている。これは、2.3億台の乗用車から排出される年間CO2に匹敵し、地球温暖化の促進要因となっている。

大量生産・大量廃棄

年間約9,200万トンの繊維が破棄され、2030年には更に5,700万トン増加すると見られる。日本における衣類の3R(リユース・リサイクル・リペア)率は約26%と低水準にとどまる。

水資源

服1枚の生産に浴槽約11杯分の水を使用しているほか、綿花栽培にも大量の水を消費している。淡水汚染の20%は染色工程での化学物質使用が原因と言われている。

海洋マイクロプラスチック約1,300万トンの6割が化学繊維医療を選択する際に発生するといわれている。

人権

バリューチェーンにおいて強制労働・違法条件での労働が横行しているといわれている。

 

(同社資料より)

 

(2)TSIのマテリアリティ
3つの重要領域において、9つのマテリアリティを特定している。

 

(同社資料より)

 

(3)各領域・マテリアリティにおける取組・目標など
・3-1 地球環境

マテリアリティ

コミットメント

①気候変動

カーボンニュートラルを実現します。

②原材料

原材料のトレーサビリティを高めると共に、環境負荷を考慮した素材の選択を行います。

③廃棄物

廃棄物を極力出さない循環型モデルを構築します。

④水資源

水使用量を抑えます。

 

①気候変動
「カーボンニュートラルゼロへのチャレンジ」を推進する。
2025年2月期までに30%排出量削減、2050年カーボンニュートラル実現を目標としている。

(同社資料より)

 

*アクション

アクション

概要

再生可能エネルギーリソースの電力への切り替え

電力契約の選択権のある路面店・事業所/オフィス・工場に対して、環境価値が付随する電力契約や炭素排出ゼロの契約に切り替える。新規出店については契約時点で考慮する。

ゼロエミッションに向けた施策の実施

受注生産やサンプル制作のデジタル化、D2Cブランド強化、デジタルファッション強化など、生産量の適正化に資する取り組みを実施する。

スコープ3におけるCO2排出量可視化推進のための組織体制整備

23年2月期中にスコープ3の排出量算出に向けた仕組みを構築する。購入した製品についてはSACのHiggインデックスに基づき、素材の違いも考慮した形で可視化を図る。

 

②原材料/④水資源
CO2排出削減に加え、水使用量の抑制に向け、「サステナブルコットン」などの環境負荷の低い素材への切り替えや、子会社であるトスカバノックが開発した生分解性プラスチックを使用したタグファスナーのような素材の開発にも取り組んでいく。

 

(同社資料より)

 

③廃棄物
ファッションロスゼロを実現する。

(同社資料より)

 

*アクション

アクション

概要

生産量の適正化

デジタルツールの活用により製造プロセスを見直し、必要なタイミング・サイクルで、必要な量を、適正な価格で、必要とする顧客に届ける仕組みを構築する。

廃棄になり得るモノの再活用

リユース率、リサイクル率、アップサイクル/再生販売率の向上を図る。

 

現在は、商品包装・下げ札・ハンガーカバー・ショッパーなどの環境配慮型副資材への転換など、SCM部内で実施・完結が可能な範囲から取り組みを進めている。
今後はSCM部にとどまらず、各ブランド事業部とも連携し、事業戦略・SDGs戦略にも紐づいた、より全社的なアクションを展開することを検討している。

 

・3-2人間

マテリアリティ

コミットメント

⑤ダイバーシティ

ダイバーシティあふれる誰もが活躍できる環境を整えます。

⑥健康・安全

価値創造の源泉である従業員の身体的・精神的な健康を守ります。

➆従業員幸福度

従業員の経済的な満足・精神的な充足・自己実現/成長にも繋がる価値創造を実現します。

⑧公正な労働

私たちの価値創出に資するサプライチェーン上のすべての人間の人権を尊重します。

 

⑤ダイバーシティ
多様性と柔軟性を兼ね備えたワークライフ実現に向けて環境を整備する。
主要KGIと目標は以下のとおり。

 

(同社資料より)

 

⑥健康・安全
法令に基づく体制整備に加え、従業員の生活を守るために臨機応変に様々な施策を実施している。
国内すべてのオフィスでテレワークを推奨し、労働時間の削減を達成した。

 

(同社資料より)

 

⑤ダイバーシティ/⑥健康・安全
身体的・精神的な健康の担保と、ダイバーシティ&インクルージョンの実現に取り組んでいる。

(同社資料より)

 

➆従業員幸福度
従業員一人ひとりが多様性を活かして柔軟に業務に取り組める環境を構築するため、従業員満足度調査(eNPS)を実施している。
調査結果を踏まえ、各事業で労務環境改善のための施策を推進している。

 

(同社資料より)

 

⑧公正な労働
公正な労働の実現に向け、2022年1月に、取引先行動規定を改訂し、サプライヤーへの周知活動を進めている。
今後は対象を広げるとともに、管理運用体制を構築し、継続して価値を創出するパートナー/工場の人権を守る取り組みを推進する。

 

(同社資料より)

 

・3-3 社会

マテリアリティ

コミットメント

⑨地域コミュニティ

自社の技術やノウハウを活かして地域社会や地球環境の保全に寄与し、次世代に繋ぐ活動を推進します。

 

地域の様々なパートナーと連携・協力しながら、ビジネス展開を通じてその地域の課題解決、活性化、発展に取り組んでいる。
北海道上川町とは、新たな価値を生む地域づくりを目指す包括連携協定を締結した。

 

(4)CSR
CSR基本方針

「私たちは、ファッションを通じて、人々の心を輝かせる価値を創造し、明日を生きていく歓びを、社会と共に分かち合います」という経営理念の下、事業活動を通じて、あらゆるステークホルダーと共に持続可能な未来社会を築いていきます。

 

この基本方針の下、以下のような活動を行っている。
*JILL by JILLSTUART×国際NGOプランインターナショナルによる「Happiness For All」プロジェクト
貧困や差別のない社会を実現するために世界70か国以上で活動する同NGOと展開するプロジェクト。対象製品購入に応じた寄付を実施した。

 

*ジャパンハートソーシャルネットワークを活用した豪雨被害地・熱海市避難所への衣類支援
2021年7月に発生した熱海市の豪雨災害において避難所にTシャツやタンクトップなどの衣類支援を行った。

 

*ウクライナ人道支援
日本赤十字社の「ウクライナ人道危機救援金」を通じて1,000万円の寄付を実施した。
このほか、マグカップの製作・販売、チャリティプリントTシャツプロジェクトなどを展開し、寄付を行っている。

 

(5)経営体制
グローバルに展開するアパレル企業にふさわしい事業運営体制の構築に向け、健全性・透明性の保持と迅速な意思決定のための体制整備、コンプライアンスの徹底、リスク管理を含めた内部統制の強化を図っている。
こうした取り組みを通じてステークホルダーとの良好な関係を築くとともに、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指している。

 

*コーポレート・ガバナンス体制
組織体制は監査役設置会社を採用している。取締役は7名でうち3名が社外取締役。3名とも独立役員である。監査役は4名で社外監査役が3名。3名とも独立役員である。
現時点では最適な体制と考えているが、今後の状況を鑑みて適宜体制の改善を検討していく。

 

*SDGs体制
SDGs推進室を設置し、対応方針案の策定や関係部門への周知を図っている。
重要な案件については、社内取締役を中心に構成されるサステナビリティ委員会で討議の上、取締役会で決定する。

 

 

<参考2:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

7名、うち社外取締役3名(うち独立役員3名)

監査役

4名、うち社外監査役3名(うち独立役員3名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2023年6月12日

 

<基本的な考え方>
当社は、「私たちは、ファッションを通じて、人々の心を輝かせる価値を創造し、明日を生きていく歓びを、社会と共に分かち合います」という経営理念のもと、グローバルに事業展開するファッションアパレル企業にふさわしい事業運営体制の構築に向け、健全性、透明性が高く、迅速な意思決定を可能とする体制を整備するともに、コンプライアンスの徹底やリスク管理を含めた内部統制の強化を図っております。これらの取組みを通じて、各ステークホルダーとの良好な関係を築くとともにコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指し、当社の経営の基本方針である企業価値の継続的な増大に努めてまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則1-4.政策保有株式】
 当社は円滑な事業運営、取引関係の維持・強化などを目的として、中長期的な経済合理性や将来見通しを総合的に勘案したうえで、企業価値向上に資する場合には株式を政策的に保有しております。
 政策保有株式については、定期的に保有の意義を検証し、取締役会において報告することとし、効果が薄れて来た株式については、配当等対象企業の状況を勘案した上で保有株式の縮減を図ってきております。
 議決権行使にあたっては、政策保有の目的に合致しているか、保有対象企業の企業価値及び株主価値の維持・向上に資するかといった観点から、議案ごとに総合的に賛否を判断しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題】
[補充原則2-3-1]
【原則3-1.-情報開示の充実】
[補充原則3-1-3]
【原則4-2. 取締役会の役割・責務(2)】
[補充原則4-2-2]
(1) 自社のサステナビリティについての取組み
 当社は、サステナビリティステートメントとして、「ファッションエンターテインメントでサステナブルな未来をつくる - 美しい地球 あかるい社会 幸せな暮らしを」を掲げ、グループが事業活動を通じて長期的かつ持続的に幸せを創出していく基盤となるマテリアリティとKGIを設定しています。
2021年9月にSDGs推進室を発足し、サステナビリティ活動を推進するとともに、社内体制の構築や社員に対する意識啓発に積極的に取り組んでおります。
具体的な活動報告については「SUSTAINABILITY STORY BOOK」をご覧ください。

 

「SUSTAINABILITY STORY BOOK」
https://www.tsi-holdings.com/pdf/220413TSI_SUSTAINABILITY%20BOOK_fnl2.pdf

 

また、当社のTCFDへの対応及び人権方針につきましては、当社ホームページにおいて開示しております。

 

 「TCFDに基づく情報開示」 https://www.tsi-holdings.com/pdf/221012_TCFD.pdf

 

 「TSIホールディングス グループ人権方針の策定について」

  https://www.tsi-holdings.com/pdf/230215_Human%20Right.pdf

 

(2) 人的資本や知的財産への投資等
(i) 人的資本に対する投資について
 私たちの事業活動における価値の源泉であり、最大の資産は”人間”です。
共に働くすべての仲間が、身体的にも精神的にも"幸せ"な状態で活躍できるように、ダイバーシティ、従業員幸福度、健康・安全、公正な労働については、重要なマテリアリティとして設定し、環境の改善に努めてまいります。
 また、変化の時代に対応するために人材の教育と開発に投資していきます。「多能工人材」を育成するために、ジョブローテーション、研修制度・自己啓発制度の拡充等必要なスキルを取得するための制度を整備していきます。
(ii) 知的財産に対する投資について
 ブランドビジネスを営んでいる当社にとって、商標権や著作権をはじめとする知的財産は経営上極めて重要な意味を持っております。当社が中期経営計画であるTSI Innovat-ion Program 2025 (TIP25) においてパーパスとして定めた「ファッションエンターテインメントの力で、世界の共感と社会的価値を生み出す」を達成するにあたり、知的財産はお客様に提供するべき独創的な価値の根幹をなします。
単純にすぐれたデザインやブランドの開発のみに留まらず、お客様の想像を超える顧客体験を提供するべくビジネスモデルやコミュニケーション設計などのノウハウにも積極的に投資を行ってまいります。

 

【原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】
[補充原則2-4-1]
(1) 多様性の確保について
TSIグループでは、「みんながみんならしく、ワークライフに多様性と柔軟性を」を実現するための取り組みを積極的に推進し、ダイバーシティあふれる誰もが活躍できる環境を整えます。

 

(2) 多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標、その状況について

 

(i) 女性の管理職への登用等
当社の2023年2月末日時点の女性管理職比率は24.3%ですが、2025年2月末までに40%とする目標を設定しています。
(ii) 外国人の管理職への登用等
外国人の管理職への登用等に係わる目標は定めておりませんが、引き続き社内で検討を進めて参ります。

(iii) 中途採用者の管理職への登用等の自主的かつ測定可能な「目標」と「その状況」
中途採用者の管理職への登用等に係わる目標は定めておりませんが、組織風土・文化の異なる各社を統合したTSIグループの個性に対応するため、多様な勤務制度(フレックス勤務制度、時短勤務、副業制度等)と、多様な研修制度を設定しています。社内公募やジョブローテーションも導入し、職務・職種・職歴の多様性を柔軟に受け止めながら、人事制度の適正な運用を図っています。

 

(3) 多様性の確保に向けた人材育成方針および社内環境整備方針、その状況について

 

(i) 多様性の確保に向けた人材育成方針
中核人材の登用等における多様性の確保については、性別や年齢、国籍等によらない個人の能力のみに基づく評価及び登用を進めることとしております。
採用にあたっては新卒採用に加えて、他業種からの人材を含めたキャリア採用も積極的に実施しております。また、女性の管理者への登用についても、既に全グループ管理職の25%以上が女性となっているものの、これを更に拡大するべく積極的な取り組みを進めてまいります。
外国籍社員についても、グループ全体では海外子会社を中心に既に100名以上の社員が在籍しておりますが、今後の海外進出拡大を視野に置きながら、更に優秀な人材を確保するべく積極的な採用を行っていく方針としております。
(ii) 多様な人材の更なる活躍に向けた環境整備
当社グループ各社においては、多様な人材が自らのライフスタイルに応じてその能力をいかんなく発揮してもらうべく、勤務時間・勤務形態の柔軟化、給与水準の見直し、店頭着用服に関する負担軽減等福利厚生面での制度充実、などの施策を実施するとともに、今後も継続して施策の拡充に取り組んでいく方針としております。
(iii) 「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進
性別、年齢、国籍、心身の状態など、様々な違いを持つ社員一人ひとりに、それぞれの個性や能力、状態に応じて活躍していただくべく、多様性を尊重する風土と、多様な社員が成長しやりがいを持って活躍できる環境づくりに向け、社員一人ひとりの意識改革に取り組んでいく方針としております。
(iv) 多様性の確保に向けた取り組み状況
社員の属性による多様性の確保に向けては以下のような取り組みを推進しております。

 

◎女性の活躍推進
当社の2023年2月末日時点の女性管理職比率は24.3%ですが、2025年2月末までに40%とする目標を設定し、またより高位の役職者における女性管理職比率の向上についても意識しながら社員の採用・登用を進めております。

 

◎外国人雇用の促進
外国人の雇用は年々増加しており、今後に向けてより計画的に外国人雇用を推進していくべく取り組んでいる状況となります。

 

◎経験と実績を持つ高齢者の活用
65歳までの雇用継続を積極的に推進しておりますが、年齢を問わない活用・登用をさらに進めており、65歳以上の社員が活躍している事例が増加している状況となります。

 

◎障害者の活躍推進
グループの特例子会社を中心に従来より積極的な取り組みを進めており、2023年2月末日時点の障碍者雇用率はグループで2.58%となっており、今後より事業に直結した形でやりがいを生み出すことに取り組んでおります。

 

◎LGBTへの理解促進
従来よりLGBT、夫婦別姓、事実婚などに対しての理解度は高い風土であり、慶弔金規定=結婚祝い金など各種制度の対応をより広範囲に見直すことで、性差による区別の払しょくを進めている状況となります。

 

さらに社員の属性だけでなく、働き方の多様性の観点からは、以下のような取り組みを進めている状況となっております。

 

◎時短勤務、在宅勤務など多様な働き方制度の整備
30分毎4時間までの時短勤務制度、始業時間を8:00から13:00まで変更できるスライド勤務制度、フレックス勤務制度、副業解禁など、様々な勤務体系の整備、テレワーク環境の整備補助など、従来より多様な働き方の実現のためのルール・制度を整備しており、今後に向けても見直しや新規策定などに取り組んでおります。

 

◎妊娠・出産・子育てしやすい職場環境や制度づくり
上記の30分毎4時間までの時短勤務制度、育児短時間勤務の対象期間を小学校6年生卒業までとするなどの手厚い施策、復職時の丁寧なコミュニケーションにより、育児休業取得率 100%、育児休業復職率 98.2%を実現しており、こうした状況を維持・推進すべく弛まぬ改善を進めております。

 

◎介護と仕事を両立できる制度づくり
法定では93日までの介護休業通算取得日数を最大365日までとする、通院休暇の柔軟な運用など、今後増加が想定される、介護や通院・治療による就労制限に対応すべく取り組んでおります。

 

【原則5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
  当社は、株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針として、株主との対話全般については、IR、総務、財務を統括する代表取締役が担当し、対話を補助する社内の関連部門間での情報共有を確実に実施するなど積極的な連携を図ります。また、株主との建設的な対話を促進するため、個別の対話を行う機会を設けるだけでなく、説明会の開催等を実施します。株主との対話に際しての重要事項の管理として、社内においては「内部情報及び内部者取引管理規程」の周知・徹底を図ることでインサイダー情報の漏洩防止にも努めます。

 

【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・公表】
 当社は自社の資本コストを把握した上で、経営戦略を策定し、概要を株主総会や決算説明会等で開示・説明するとともに、その実現に向けた設備投資等の各種施策等についても重要な判断材料としております。

 また、東京証券取引所が2023年3月31日に発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を受け、東証の要請する水準を下回っているPBRについて改善を図ることが当社の経営上、重要な課題と認識しており、近い将来、株価水準を引き上げるための具体的な方策について開示し、実行する予定です。

 

 

[補充原則5-2-1]
 中期経営計画 TSI Innovation Program 2025 (TIP25) において、事業ポートフォリオに関する基本的な方針を含めた同プログラムの全体を開示しております。

 

「中期経営計画 TSI Innovation Program 2025」
https://www.tsi-holdings.com/pdf/TIP_%E4%B8%AD%E6%9C%9F%E7%B5%8C%E5%96%B6%E8%A8%88%E7%94%BB_20220414.pdf

 

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