ブリッジレポート
(3538) 株式会社ウイルプラスホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(3538)ウイルプラスホールディングス 2023年6月期第2四半期決算

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成瀬 隆章社長

株式会社ウイルプラスホールディングス(3538)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

小売業(商業)

代表取締役社長

成瀬 隆章

所在地

東京都港区芝5-13-15 芝三田森ビル8階

決算月

6月

HP

https://www.willplus.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,102円

10,004,160株

11,024百万円

19.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

41.17円

3.7%

183.00円

6.0倍

923.02円

1.2倍

*株価は3/14終値。発行済株式数、DPS、EPSは23年6月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

19年6月(実)

29,860

1,118

1,115

730

78.36

13.80

20年6月(実)

35,068

1,160

1,196

802

85.32

14.00

21年6月(実)

40,776

2,290

2,301

1,533

161.47

28.26

22年6月(実)

39,696

2,366

2,377

1,550

162.84

34.90

23年6月(予)

44,363

2,687

2,686

1,750

183.00

41.17

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

株式会社ウイルプラスホールディングスの会社概要、中長期戦略、23年6月期第2四半期決算概要などをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中長期戦略
3.成長戦略
4.2023年6月期第2四半期決算概要
5.2023年6月期業績予想
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • JEEP、BMW、MINI、VOLVOなど10ブランドを取り扱う輸入車ディーラー4社を連結子会社とする持株会社。顧客満足度の向上に注力し、マルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略による成長を追求している。M&Aにおける事業再生能力に大きなアドバンテージを有する。EV化の進展を始めとした自動車を取り巻く大きな環境変化を好機ととらえ、更なる成長を目指している。

     

  • 社会的課題解決に向けた企業の社会的な存在意義や企業価値向上への取り組みが強く問われている今日、新たな中長期戦略を実行中である。「社会的価値向上」と「企業価値向上」の両立、すなわち、社会課題の解決と企業の成長の同時実現を目指す。具体的には、「M&A」を通じて、「新規エリア」、「新規ブランド」の獲得を目指し、事業拡大に積極的に取り組む。同時に「事業の最大化」を進めながら、「店舗のグリーン化」を実施し、「GHG排出量削減の最大化」を追求し続けることをコミットする事で「気候変動問題解決」を「機会」と捉えている。

     

  • 23年6月期第2四半期の売上高は前年同期比3.5%増の206億61百万円。新車供給は改善が見られながらも、同社取り扱いブランドの一部では供給不足が継続している。単価上昇により、新車売上高は、前年並みを確保した。整備事業・保険事業のストック型ビジネスは堅調。営業利益は同28.6%減の9億73百万円。新車売上高の減少に伴う影響や、中古車市場活況による仕入原価上昇に加え、ブランドメーカーのインセンティブ(販売奨励金)確定に一部遅れが発生し、インセンティブを計上しなかったため、売上総利益が同3.4%減少した。加えて、インフレ手当の支給、電気料金を中心とした水道光熱費の増加、中長期戦略推進のための投資等、販管費が同8.1%増加した。なお、確定が遅れていたインセンティブの過半が確定し2月20日に入金されたため、第3四半期業績に反映する予定である。

     

  • 23年6月期の業績予想に変更は無い。売上高は前期比11.8%増の443億63百万円、営業利益は同13.6%増の26億87百万円の予想。下期からの新車供給回復を見込んでいる。ストック型ビジネスは引き続き、堅調な利益・粗利の伸びを予想。売上高は2期ぶり、営業利益は3期連続で過去最高を更新する見込み。配当は41.17円を予想。予想配当性向は22.5%。中長期的にROE15%以上を目標とし、「適正資本の維持」及び「株主還元の更なる拡充」を同時に実現していくために、2026年度までに、配当性向を30%まで段階的に引き上げる。2027年度以降は、引き続き配当性向30%を配当方針としながら、配当の下限はDOE4.5%を目安に、安定的かつ継続的な利益還元の維持・向上に努める考えだ。

     

  • 上期進捗率は売上高46.6%、営業利益36.2%。売上高はほぼ例年水準だが営業利益はインセンティブの確定が遅れたことから低水準にある。しかしながら、過半のインセンティブが確定し2月20日に入金されたため、第3四半期業績に反映する予定とのことで、第3四半期終了時点での進捗率を見てみたい。また、新車供給は回復傾向にあるということだが、第3四半期、第4四半期と通期予想達成に向け、どれだけ上積みが進むのかも期待したい。

     

  • 「社会的価値向上」に向けた環境課題に対する取り組み、進捗は着実に進展している。特に、初回答ながらCDPにおいて「B」を取得したことは大きな実績と評価できよう。

     

     

     

1.会社概要

JEEP、BMW、MINI、VOLVOなど10ブランドを取り扱う輸入車ディーラー4社を連結子会社とする持株会社。顧客満足度の向上に注力し、マルチブランド戦略、ドミナント戦略、M&A戦略による成長を追求している。M&Aにおける事業再生能力には大きなアドバンテージを有する。EV化の進展を始めとした自動車を取り巻く大きな環境変化を好機ととらえ、更なる成長を目指している。

 

【1-1沿革】

1997年1月、福岡県北九州市で代表取締役社長成瀬隆章氏の実父が輸入車販売会社「株式会社さんふらわあシージェイ」を設立。同社は西日本地区で最初のCHRYSLERの正規ディーラーであった。
2004年10月、成瀬社長が同社株式を全株取得し、ウイルプラスグループとしての事業活動を開始した。
成瀬社長はじめとしたスタッフ数名の小規模なディーラーながらCHRYSLER車の販売で全国的にも優秀な成績を上げ高い評価を受けたことで、2005年には東京都大田区にあったCHRYSLER直営店を譲受して東京へ進出。2006年には福岡県久留米市にも店舗を開設。東京、福岡でのドミナント戦略を開始した。
経営資源の最適配置や迅速な経営意思決定によってディーラー買収を機動的に実行することを目指し、2007年10月、株式会社ウイルプラスホールディングスを設立。
持株会社体制の下、積極的に業容を拡大し、2016年3月に東証JASDAQに上場し、2017年9月、東証2部への市場変更を経て、2018年2月、東証1部に指定となった。
2022年4月、市場再編に伴い、東証プライム市場へ移行した。

 

 

【1-2  経営理念】

以下のような存在意義、コア・バリューを掲げている。

 

我々の存在意義(MISSION STATEMENT)

 

我々は輸入車のある生活を提案し、より多くの皆様と豊かさ・楽しさ・喜びを分かち合い、関わるすべての人々を温かい笑顔に変えていく挑戦を続ける。

コア・バリュー

 

・車を愛し、仲間を愛し、誇りを持って働く。

・常に挑戦し、自らの限界を打ち破る。

・チームプレーで大きな結果を出す。

・必ず期限までに目標にたどり着く。

・最後まで諦めない、できるまでやる。

・豊かさ、楽しさ、喜びを提供する。

・誠実さと感謝の気持ちを忘れない。

 

【1-3 同社を取り巻く環境】

同社を理解するうえで重要なポイントとなる事業環境は以下のとおりである。
同社の成長ドライバーであるM&A戦略に関する事業環境については「2.中長期戦略」を参照。

 

◎輸入車のシェアアップが続く国内乗用車市場、輸入車の国内保有台数は堅調な伸び
少子高齢化の進行、自動車の性能向上による保有期間の長期化、消費スタイルや嗜好の変化(=いわゆる若年層の「車離れ」)などにより国内自動車市場は縮小傾向にある。

 

(同社資料より)

 

そうした中、輸入車の新車登録台数は下のグラフで見られるようにリーマンショック以降、増加傾向にあり、国内輸入車市場は拡大が続いている。国内乗用車市場(軽自動車を除く)における輸入車シェアは上昇傾向にある。

 

 

 

(同社資料より)

 

輸入車メーカーは、ハイブリッド車、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、ディーゼルなど多様な環境対応技術や、ユニークで優れたデザインなど、魅力ある製品を多数投入している。
また、国産メーカーが縮小する市場の中でミニバンやワゴンなど人気車種に開発・販売を集中させラインアップに偏りが出てしまっている一方で、輸入車メーカーは価格、サイズ、車種・タイプにおいて幅広いラインアップを提供していることが、多様性やより魅力的な自動車を求めるユーザーの支持を勝ち得てきたものと見られる。また、販売ネットワークの整備や拡充など日本における積極的な投資もシェアアップに繋がっている。

 

◎同業他社比較

コード

社名

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

ROE

時価総額

PER

PBR

3184

ICDAHLD

28,100

-1.2

1,173

-23.9

4.2%

13.9

5,722

7.4

0.8

3538

ウイルプラスHLD

44,363

+11.8

2,687

+13.6

6.1%

19.0

11,024

6.0

1.2

7593

VTHLD

260,000

+9.3

12,500

+22.6

4.8%

25.5

59,571

7.7

1.1

8291

日産東京販売HLD

140,000

+1.2

5,500

+24.8

3.9%

4.6

22,389

8.3

0.5

9856

ケーユーHLD

145,000

+10.6

9,000

+8.4

6.2%

11.4

64,291

7.8

0.9

*単位:百万円、%、倍。売上高、営業利益は今期会社側予想。ROEは前期実績。時価総額は直近の四半期末株式数×2023年3月14日終値。PER(予)、PBR(実)は2023年3月14日終値ベース。

 

2桁の増収増益率予想は同社のみ。M&Aにおける事業再生能力の高さや配当性向を30%まで引き上げ、利益成長を上回る配当成長を目指す積極的な株主還元方針についての市場の評価が進めばvaluationの水準も異なったものとなるであろう。

 

【1-4  事業内容】

◎概況
持株会社である(株)ウイルプラスホールディングスの下、連結子会社4社において輸入車の新車及び中古車の販売、車輌整備、損害保険の代理店業務などを展開している。取扱ブランド数は10ブランド。取扱うブランドごとにインポーター(日本国内で輸入車を取り扱う業者)と正規ディーラー契約を締結している。

 

(同社資料より)

 

◎品目(業務内容)
新車及び中古車の販売のほか、車輌整備、損害保険販売なども手掛けている。

 

(同社資料より)

 

 

 

品目

内容

 

新車

各社が正規ディーラーとして、各インポーターから仕入れたブランドの全ての新車を販売している。

中古車

各ブランドの高年式低走行の認定中古車を中心に販売している。商品の仕入は、新車販売時の下取、買取、オートオークションにより行っている。

業販

下取した他社ブランドの中古車をオートオークションで販売している。また、他社ディーラーからの依頼を受け、当社グループ内で保有している新車・中古車を販売することがある。

車輌整備

販売した車輌を中心に整備、修理や車検を主なサービスとしている。一部店舗を除き、ショールームと併設する形でサービス工場を設置している。

その他

損害保険会社の代理店として自賠責保険や任意保険等の販売を行っている。インポーターからの新車販売等に係るインセンティブ収入も含まれる。

 

 

新車販売が事業の柱ではあるが、中古車販売にも注力していることに加え、車輌整備、自動車保険販売など自動車購入後に顧客が必要とするサービスを提供して顧客との関係性を強化することを重視している。
車輌整備に関しては販売後、メンテナンスパッケージを提供することで整備入庫を確実に確保している。保険販売に関しては、保険商品についてのきめ細かい情報提供などが評価され業界平均を上回る加入率・高い継続率を実現している。

 

このように、「販売台数増=フロー型収益の拡大」が、「車輌整備件数増、保険加入件数増」というストック型収益の拡大に結び付いている。

 

◎店舗数
2022年12月末の店舗数は、福岡15店舗、東京・神奈川16店舗、山口2店舗、宮城1店舗、福島1店舗の計35店舗。

 

【1-5 特長・強み・競争優位性】

(1)M&Aにおける事業再生能力
「時間を買う」という観点から現在多くの企業が成長戦略の柱として掲げるM&A戦略であるが、M&Aを成功させるには、「優良な案件の発掘」、「適切な価格での実行」が重要であることは論を待たないが、より重要なのが想定した通りのシナジー効果を生み出すためのM&A後のプロセス「PMI(Post Merger Integration)」であると言われている。
M&Aを行っても、統合阻害要因等に対する事前検証の不足や企業文化の違いをマネジメントできず失敗に終わるケースは枚挙に暇がない。

 

そうした中、投資家が注目すべきは同社の「事業再生能力」であろう。
2007年10月のウイルプラスホールディングス設立以降、現在まで10件のM&Aを実施してきた。直近となる23年2月のM&Aをを除く9件については買収時には、赤字もしくは極めて低収益であったが、全ての案件で黒字化を達成している。

 

「顧客満足度向上の追求」を始めとした理念の共有、「チャレンジを最大限に尊重する」といった評価軸の明確化がM&A成功の要諦で、これを実行すれば会社は確実に大きく変えることができると同社では考えており、自社の事業再生能力には大きな自信を持っている。

 

(2)輸入車の正規ディーラーをメインとする唯一の上場企業
輸入車の正規ディーラーであっても、中古車販売がメインである企業が多い中、同社は新車販売をメインとしている唯一の上場企業である。
輸入車の新車登録台数はリーマンショック以降、増加傾向にあり、国内輸入車市場は拡大が続いている。国内乗用車市場(軽自動車を除く)における輸入車シェアは9%台で推移しており、国内保有台数の6年平均成長率(2021年時点)は乗用車(軽自動車含む)が0.35%であるのに対し、輸入車(乗用車)は3.54%と堅調に増加している。
市場自体が成長する中、M&A戦略によりシェアの拡大を進めることで、収益の一段の拡大が期待される。

2.中長期戦略

社会的課題解決に向けた企業の社会的な存在意義や企業価値向上への取り組みが強く問われている今日、同社では、基本となる成長戦略(マルチブランド戦略・ドミナント戦略・M&A戦略)をベースに、中長期戦略を実行中だ。

 

【2-1 ウイルプラスグループ方針】

「社会的価値向上」と「企業価値向上」の両立、すなわち、社会課題の解決と企業の成長の同時実現を目指す。

 

社会的価値向上とは、「国内自動車産業における脱炭素社会の実現」である。
具体的には輸入車正規ディーラーのありたい姿として、以下の3つを掲げている。

気候変動問題解決のリーディングカンパニー:GHG(温室効果ガス)排出量削減

ブランドメーカーから選ばれるディーラー:M&A加速、店舗エリア、ブランドの拡大

お客様から信頼されるディーラー:店舗収益性、店舗再生力強化

 

「気候変動問題解決」を「機会」と捉え、「M&A」を通じて、「新規エリア」、「新規ブランド」の獲得を目指し、事業拡大に積極的に取り組む。同時に「事業の最大化」を進めながら、「店舗のグリーン化」を実施し、「GHG排出量削減の最大化」を追求し続けることをコミットしている。

 

また、企業価値向上に向けては後述する成長戦略を推進し、持続的成長を通じて中長期的な企業価値向上を目指す。

 

【2-2 目標】

気候変動問題解決のリーディングカンパニーを目指す同社は、以下のようなGHG排出削減目標を掲げている。

 

2030年度 Scope1+Scope2のGHG排出量を2021年度比較で、50%削減する。
*社用車(試乗車含む)の低炭素自動車比率 2030年度 80%以上
*再生可能エネルギー導入率目標 2025年度 全店舗導入

 

【2-3 同社グループの取り組み】

社会課題の解決と企業の成長の同時実現に向けた取り組みは以下のとおりである。

 

(1)店舗グリーン化による脱炭素社会実現への貢献
ブランドメーカーは、自身のサプライチェーンを含めたGHG排出削減を進める中で、正規ディーラーの店舗オペレーションにおけるGHG排出量の正確な把握及び削減目標の設定、そのための具体的な取り組み(デモカーのEV比率、再生可能エネルギー導入率、廃棄物のリサイクル率)を求めてきている。

 

同社では上記の削減目標設定に加え、店舗エリアにおけるEV普及促進に対応した設備投資などを実施し、輸入車ディーラーとして、いち早く店舗のグリーン化を推進し、店舗エリアの脱炭素化、国内自動車産業の脱炭素化に貢献していく考えで、2022年12月期末まで以下のような実績を示している。

 

(同社資料より)

 

2022年6月末との比較では、新車販売に占める低炭素自動車比率は、3.2%から5.7%へ上昇。
EV充電器は59台で変わらず。
再生可能エネルギー導入店舗数は、17店舗から、今期に入り新たに東北・中国エリアの3店舗、さらに神奈川エリアの1店舗が21店舗となった。今期は消費電力ベースでは、年間電力量の60%以上が再生可能エネルギーになる見通しである。
再生可能エネルギー導入率目標は、基準年を2021年度とし、2025年6月期末までに全店舗への導入を目指している。

 

(2)M&Aの推進による「社会的価値向上」「企業価値向上」
新たなエリアへの進出、新たなブランドの獲得、既存ブランドのシェア拡大をスピーディーに遂行するための重要な施策がM&Aである。飽和状態にある国内自動車市場においては、顧客獲得、早期の投資回収、収益確保という観点からM&Aが最も適切かつ優先すべき戦略であると考えている。

 

①M&A推進に関する事業環境
同社の調査によれば、2022年末現在日本全国で、輸入車ディーラー729社が事業を行っており、新車販売拠点は合計1,743拠点。1事業会社あたり平均2.4店舗を運営しており、全体の約9割が3店舗以下を運営する中小企業である。
ブランドごとで店舗展開に差が見られ、ブランドによっては資本の集約が進む傾向にある。
また、日本の中小企業に共通の課題である後継者難に悩んでいるディーラーも多数存在する。

 

 

 

(同社資料より)

 

こうした輸入車ディーラーにとって、自動車の「CASE」、そのうち、「Electric(電気自動車)」と「Connected(コネクテッド)」への対応は今後の重要な経営課題となっている。
「CASE」はConnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)の頭文字を取ったもの。従来の「クルマ」の概念を大きく変え、それぞれの領域において、新たな需要・市場を創出している。

 

◎環境意識の高まりとEV化の進展
地球温暖化に対する危機意識の高まりを受け、温暖化ガス排出削減、脱炭素社会実現へ向けた取り組みが急速に進展している。
自動車の排出ガス削減はその最も大きなテーマの一つであり、各国は2050年のカーボンニュートラル実現に向けた規制を打ち出しており、自動車メーカーは生き残りをかけ、従来のガソリン車、ディーゼルエンジン車からEV(電気自動車)への転換を進めている。
特に元より環境意識の高い欧州を拠点とするメーカーは極めて積極的にEV化に取り組んでいる。

 

同時に、前述のように、ブランドメーカーは自社のサプライチェーン全体の排出量の把握及び削減への取り組みにコミットする必要があるため、ディーラーに対し、現在の排出量の把握に加え、EVの仕入れ拡大、急速充電機の導入など気候変動問題への適切な設備投資や対応、排出削減目標の開示などを強く求めるようになっている。
しかし資金面、人材面などの制約から十分な対応が難しいディーラーも多く、こうした要求に適切に対応できるディーラーへの集約・再編がブランドメーカー主導によって進むのではないかという観測も浮上している。

 

 

 

(同社資料より)

 

◎Connected(コネクテッド)化、EV化に伴う車輌整備の複雑化
Connected(コネクテッド)とは、クルマに通信機を搭載し、常に外部との情報を交換することを指す。クルマの状態や道路状況、クルマ同士やクルマとインフラの情報交換など、さまざまなデータを収集分析してサービスに活用する。
Connected(コネクテッド)化によりクルマはスマートフォンのようなデバイスとなり、利便性が急速に向上するが、一方で故障や車検などの際の整備作業も一段と複雑化する。
加えて前述のEV化も車輛整備に大きな影響を与える。EVの普及に伴い、高電圧バッテリーや発電機の故障が増え、車輛整備においては高電圧システムを取り扱う必要があり、安全性強化に向け、設備投資に加え、高電圧に関する特別教育なども不可欠である。このようにConnected(コネクテッド)化及びEV化によりハード・ソフト両面における投資が追加的に発生するため、輸入車の整備業務は投資余力が十分な正規ディーラーや大手資本に集約されていくものと見られる。

 

②M&Aに対する同社の方針
EV化とコネクテッド化への対応が輸入車ディーラーにとって急務となる中、同社では、ブランドメーカーから選ばれる店舗作りを進め差別化を図るとともに、対応が困難なディーラーをM&Aすることで、新エリアや新ブランドを獲得して自社の成長・企業価値向上を図り、また店舗グリーン化を通じて社会課題の解決に貢献する考えだ。
加えて、店舗のグリーン化、当該エリアの脱炭素化にとどまらず、店舗などの資産・資源の再利用、人的資本の再教育、業務フローのDX化による生産性の向上など、既存の各種社会資本の活性化にも繋げていく。

 

輸入車ディーラーの後継者難という課題と共に、今後、気候変動問題への対応が一層重視される中、同社の重要戦略であるM&Aも加速することが予想される。

 

(3)ストック型ビジネスによる安定成長基盤の強化
【1-3 同社を取り巻く環境】で触れたように、国内保有台数は乗用車(軽自動車含む)がほぼ横ばいであるのに対し、輸入車(乗用車)は堅調に増大している。また、経済状況の変化・環境意識の高まりなどから自動車の平均使用年数は増加傾向にあり、必然的にメンテナンスの重要性が増している。加えて「CASE」の進展により、整備作業は一段と複雑化し、輸入車の整備業務は正規ディーラーに集約されていくと予想されている。
こうしたことから、同社では車輌整備事業の収益機会は今後ますます拡大すると考えており、メンテナンスパッケージや新車延長保証を付加することで整備入庫率の向上を図り、同事業の基盤強化を図る。

 

また、毎期2桁で伸長している保険手数料収入に関しても、スタッフの保険に関する知識のブラッシュアップを継続して顧客満足度の更なる向上を目指しており、保険販売と車輌整備のストック型ビジネスの安定成長基盤の一段の強化に取り組んで行く。

 

 

 

(同社資料より)

 

(4)社会課題の解決と企業の成長のための財務戦略
店舗のグリーン化と積極的なM&Aの実行を事業戦略とする同社は、財務戦略においても、サステナブルファイナンスによる資金調達の比率を高め、グリーン化を進めている。

 

同社が積極的に活用しているのが、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)というスキームで、借り手のサステナビリティ戦略と整合したサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を設定し、貸出条件とSPTsの進捗業績を連動させて、環境的・社会的に持続可能な経済成長を促進するもの。
設定したSPTsの達成を目指すことで、サステナビリティ経営の推進へと繋げていく。
同社では、SLL実施にあたり、グループ目標に基づいた「サステナビリティ・フレームワーク」を策定しており、その適合性について株式会社格付投資情報センター(R&I)よりセカンドオピニオンを取得している。

 

直近、以下3件のSLL を実施した。

実施日

サステナビリティ・

コーディネーター

契約期間

借入金額

KPI

SPT

2022年11月30日

三井住友銀行

5年

10億円

①GHG排出量の削減(Scope1+Scope2)

②店舗が使用する電力についての再生可能エネルギーの導入

①2025 年度の店舗当たりの GHG 排出原単位を 2021 年度比 22%削減

②2025 年度末までに全店舗の購買電力を再生可能エネルギーに切り替える

2023年1月30日

みずほ銀行

10年

20億円

CDP気候変動スコア

融資期間中に「A-」以上の取得

2023年2月28日

福岡銀行

5年

10億円

①GHG 排出量(Scope1+Scope2)の削減

②店舗が使用する電力についての再生可能エネルギーの導入

①2026 年 6 月期末までに店舗当たりの GHG 総排出量を 2021 年度比 27.5%削減

②2025 年 6 月期末までに全店舗の購買電力を再生可能エネルギーに切り替える

 

SLL実施により、サステナブルファイナンスの比率は上昇。今後もさらに借入金に対するサステナブルファイナンスの比率を高める方針。
今後のM&Aに伴う運転資金増加に備え、2023年1月末で60%となっている長期有利子負債の比率も高める考えだ。

 

【2-4 中長期株主還元戦略】

上場来連続で増配を行ってきた同社は、新たに以下のような方針を打ち出した。

 

中長期的にROE15%以上を目標とする(前期19.0%)。

「適正資本の維持」及び「株主還元の更なる拡充」を同時に実現していくために、2026年度までに、配当性向を30%まで段階的に引き上げる。

2027年度以降は、引き続き配当性向30%を配当方針としながら、配当の下限はDOE4.5%を目安に、安定的かつ継続的な利益還元の維持・向上に努める。

 

2022年6月期の配当は予想通り34.90円/株を維持し、配当性向は21.4%まで引き上げ、2期連続で利益成長を上回る配当成長を達成した。
今期2023年6月期は配当性向を更に22.5%まで引き上げ、配当予想を41.17円/株としている。

 

株主資本コストを大きく上回るROEを実現し、配当性向を段階的に引き上げ、今後4年間は利益成長を上回る配当成長を目指しており、極めて積極的な利益成長方針と株主還元姿勢を打ち出している。

 

(ROE分析)

 

16/6期

17/6期

18/6期

19/6期

20/6期

21/6期

22/6期

ROE (%)

16.8

19.4

18.2

14.3

13.9

22.5

19.0

 売上高当期純利益率(%)

2.34

3.16

3.16

2.44

2.29

3.76

3.91

 総資産回転率(回)

2.84

2.73

2.49

2.30

2.24

2.43

2.23

 レバレッジ(倍)

2.54

2.25

2.31

2.54

2.71

2.46

2.18

 

 

総資産回転率、レバレッジは低下傾向の一方、収益性の改善によりROEは上昇傾向にある。

 

3.成長戦略

同社の成長を支えていくのが「マルチブランド戦略」、「ドミナント戦略」、「M&A戦略」の3戦略である。

 

(同社資料より)

 

【3-1 マルチブランド戦略:収益の拡大と販売サイクルの平準化】

特定のブランドに依存することなく複数のブランドを取り扱うことによりブランド間の新型モデル投入時期の差異による販売サイクルへの影響の平準化を図っている。
現在10ブランドを扱っているが、M&A戦略も合わせてブランド数の拡大も目指している。

 

 

(同社資料より)

 

【3-2 ドミナント戦略:同一商圏のシェア向上と利益の最大化】

人口100万人規模の都市とその周辺都市を特定地域と位置付けて集中的な出店を進め、同一商圏にて集客を図ることによる市場シェアの向上、店舗間の効率的な人員配置による生産性の向上、利益の最大化を図っている。
現在は輸入車(乗用車)の新車登録台数および保有台数で国内上位の東京、神奈川、福岡が中心だが、M&A戦略によるエリアの拡大も目指している。

 

【3-3 M&A戦略:スピードアップ】

新たなエリアへの進出、新たなブランドの獲得、既存ブランドのシェア拡大をスピーディーに遂行するための重要な施策がM&Aである。
2007年10月のウイルプラスホールディングス設立以降、現在まで10件のM&Aを実施してきた。M&Aによりまとまった店舗、商圏、新ブランドを獲得したのち、周辺に新店を出店して商圏を補完し更なる業容の拡大を進めている。
Mercedes-Benz、VW、Audiなど同社がターゲットとしているブランドは10以上あり、M&Aを通じた新ブランド獲得による成長余地は大きい。
案件の発掘は、同社から先方への直接アプローチ、先方から同社への直接の連絡のほか、インポーターからの紹介、金融機関やM&A仲介会社からの紹介など。
社内で今後の成長性やシナジーを中心に検討したのち、同社の投資回収基準に沿った案件のみデューデリジェンスを実施し、交渉を進めていく。

 

4.2023年6月期第2四半期決算概要

【4-1業績概要】

 

22/6期2Q

(累計)

構成比

23/6期2Q

(累計)

構成比

前年同期比

売上高

19,968

100.0%

20,661

100.0%

+3.5%

売上総利益

4,321

21.6%

4,173

20.2%

-3.4%

販管費

2,958

14.8%

3,199

15.5%

+8.1%

営業利益

1,362

6.8%

973

4.7%

-28.6%

経常利益

1,367

6.8%

977

4.7%

-28.5%

四半期純利益

892

4.5%

633

3.1%

-29.0%

*単位:百万円。

 

増収も、一過性要因で減益
売上高は前年同期比3.5%増の206億61百万円。
新車供給は改善が見られながらも、同社取り扱いブランドの一部では供給不足が継続している。単価上昇により、新車売上高は、前年並みを確保した。整備事業・保険事業のストック型ビジネスは堅調。

 

営業利益は同28.6%減の9億73百万円。
新車売上高の減少に伴う影響や、中古車市場活況による仕入原価上昇に加え、ブランドメーカーのインセンティブ(販売奨励金)確定に一部遅れが発生し、インセンティブを計上しなかったため、売上総利益が同3.4%減少した。加えて、インフレ手当の支給、電気料金を中心とした水道光熱費の増加、中長期戦略推進のための投資等、販管費が同8.1%増加した。
なお、確定が遅れていたインセンティブの過半が確定し2月20日に入金されたため、第3四半期業績に反映する予定である。

 

 

第2四半期(10‐12月)の売上高は前年同期比、前期比(第1四半期比)とも増収。新車供給の緩やかな回復と単価上昇により高水準である。

 

*市場環境
10‐12月の新車登録台数(普通・小型)の前年比は、国内乗用車が105.5%なのに対し、外国メーカー乗用車は117.4%。外国メーカー乗用車の回復が鮮明になっている。同社取り扱いブランドに限ると同101.4%と回復モメンタムに遅れが見える。

 

同社の主力ブランドである、AlfaRomeo、Jeepの新車登録台数前年比は第2四半期にそれぞれ76.6%、63.2%と前年を大きく下回っていたが、23年1月は両ブランドとも前年を上回っており、急回復を見せている。
一方、外国メーカー乗用車、同社取り扱いブランドメーカー乗用車ともコロナ禍前(2019年)水準には回復しておらず、アップサイドは大きい。

 

【4-2  商品品目別動向】

 

22/6期2Q

(累計)

構成比

23/6期2Q

(累計)

構成比

前年同期比

 新車

10,237

51.3%

9,776

47.3%

-4.5%

 中古車

5,046

25.3%

6,238

30.2%

+23.6%

 業販

1,931

9.7%

1,658

8.0%

-14.1%

車輛小計

17,214

86.2%

17,674

85.5%

+2.7%

車輛整備

2,527

12.7%

2,729

13.2%

+8.0%

その他

225

1.1%

257

1.2%

+14.2%

合計

19,968

100.0%

20,661

100.0%

+3.5%

*単位:百万円。

 

*新車販売
商品入荷の遅れ等による影響が一部にあったものの、2022年8月に新規オープンした「ジープ大田」が売上高に寄与したほか、新車供給が正常化に向かいつつあるブランドの高額車輌を中心とした新車販売が底堅く推移し、微減収にとどめることができた。

 

*中古車
新車供給の停滞の影響により需要が高まり、中古車相場は上昇傾向となった。同社では、中古車販売を新車販売同様に重点戦略と位置付けているが、これまで以上に下取り率を高めるなど、商品確保に努め、2桁の増収となった。

 

*ストック型ビジネス
車輛整備事業は、店舗数が増加したことに加え、継続取引の顧客の蓄積が進み堅調に推移した。
損害保険代理店事業は、手数料、総件数とも新車供給が遅れる中でも堅調に積み上がった。

 

【4-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

22年6月末

22年12月末

増減

 

21年6月末

22年12月末

増減

流動資産

11,374

12,061

+686

流動負債

8,254

8,100

-154

 現預金

5,538

4,323

-1,214

 仕入債務

1,793

1,821

+28

 たな卸資産

4,882

6,675

+1,793

 短期借入金

3,549

3,560

+10

固定資産

7,255

7,375

+120

固定負債

1,545

2,141

+595

 有形固定資産

6,274

6,430

+156

 長期借入金

1,066

1,634

+567

  建物及び構築物

3,664

3,705

+41

負債合計

9,800

10,242

+441

 無形固定資産

174

137

-36

純資産

8,829

9,195

+365

 投資その他の資産

806

807

+0

 利益剰余金

7,566

7,912

+345

資産合計

18,630

19,437

+807

負債純資産合計

18,630

19,437

+807

*単位:百万円。

 

新車・中古車ともに下期販売予定の商品を確保したため、たな卸資産が増加したことなどから資産合計は前期末比8億円増加し194億円。サステナビリティ・リンク・ローンの実施等による長期借入金の増加などで負債合計は同4億円増加の102億円。
利益剰余金の増加などで純資産は同3億円増加し91億円。
自己資本比率は前期末から0.1ポイント低下し47.3%となった。

 

◎CF

 

22/6期2Q

23/6期2Q

増減

営業CF

783

-1,341

-2,125

投資CF

-93

-183

-89

フリーCF

689

-1,525

-2,214

財務CF

876

310

-566

現金・現金同等物

4,943

4,323

-619

 

税金等調整前四半期純利益の減少等で営業CF、フリーCFはマイナスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

【4-4 トピックス】

(1)「ジープ大田」をオープン
同社では、商圏の拡大、既存エリアの補完、既存ブランドの業容拡大に向け新規店舗のオープンを進めているが、22年8月には新たに最新のCIに準拠した「ジープ大田」をオープンした。

 

(2)子会社がMINI ディーラー事業を譲受
23年2月、子会社ウイルプラスモトーレン株式会社が、福岡県久留米市に本社を置き、輸入車販売・自動車整備・不動産賃貸・損害保険代理店等を手掛ける株式会社フィールドモーターの MINI ディーラー事業を譲受すると発表した。フィールドモーターが運営する「MINI久留米」に係る一部有形固定資産及び従業員が対象。4年ぶり10件目のM&Aとなる。譲受予定日は23年4月1日。

 

今回の譲受により、ウイルプラスモトーレンは福岡県内におけるすべてのMINI正規ディーラーを請け負うこととなり、更なる業
容拡大及び収益基盤の強化を見込んでいる。加えて、ウイルプラスホールディングスグループの福岡県下におけるドミナント戦略、及びマルチブランド戦略にも合致する等、多くのメリットを期待している。

 

(3)2022年CDP「気候変動」質問書でBスコアを取得
世界中の機関投資家・購買企業の要請を受けて、企業の環境情報開示を促進する国際団体CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)が実施している気候変動質問書に初めて回答した結果、Bスコアを取得した。

 

CDP質問書は、ESG情報の「E」に関するグローバルスタンダードとして、組織の環境開示をA~Fで評価するもので、2022年時点では世界の時価総額の半数に相当する18,700以上の企業と1,100強の自治体を含む20,000以上の組織が、CDPを通して環境情報の開示をしており、世界中の機関投資家・購買企業が、意思決定に活用している。日本ではプライム上場企業1,000社以上を含む1,700超の企業・団体が回答した。

 

Bスコアは世界全体の回答対象企業のうち、上位約24%に相当し、東証プライム上場の同社関連企業の中ではトップ。
本田技研工業、伊藤忠商事、セブン&アイHD、オリックスなど日本を代表する企業群と同等の評価を得ている。

 

同社では、2026年までに世界上位約0.08%にあたる「AまたはA-」評価を取得することを目標としている。

 

(4)BMW・MINIの10拠点にてエコマーク認定を取得
22年12月、BMW・MINIブランドを取り扱う、ウイルプラスモトーレンの全拠点(MINI久留米を除く)の店舗運営についてエコマーク認定を取得した。

 

エコマークとは公益財団法人日本環境協会が実施するエコマーク事業によって一定の基準を満たした商品に認定される、「ISO14024」に基づいた第三者認証の環境ラベル。
今回取得した「小売店舗」認証は、環境配慮商品を幅広く揃え、店舗の運営における環境配慮や消費者が参加するエコ活動の見える化を実施するなど、消費者と一体となって環境に配慮した活動を推進している店舗に認定されるもの。
ウイルプラスモトーレンの行っている、「EV等次世代車両の試乗会、展示会の実施」「環境配慮商品の使用(BMW水性塗料、木製マドラー、ソイインク等)」「省エネ型機器の導入」「廃棄物の計量、管理 」等が評価された。

 

(5)人財戦略における取組
①従業員持株会における奨励金の引き上げ
22年8月より、従業員への福利厚生の充実及び自社経営への参加意識の向上を目的に、持株会奨励金(会社負担分)を1口1,000円あたり(上限10口まで)10%から50%、100円から500円に引き上げた。
持株会制度を導入している上場企業約3,200社の96.5%が奨励金を設定しているが、奨励金設定企業の90%以上が会社負担10%以下としており、拠出金1,000円当たりの平均支給額は88.4円となっている。
50%以上負担しているのは16社のみで、同社は上場企業の中でもトップクラスの条件を設定した。

 

②信託型ストックオプションの導入
2022年12月、従業員へのインセンティブの一環として、株式報酬制度を導入し、2023年1月16日付で新株予約権を発行した。
経営への参加の意識づけの他、従業員定着率の向上や、採用力の強化を目的としている。

 

 

5.2023年6月期業績予想

【業績予想】

 

22/6期

構成比

23/6期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

39,696

100.0%

44,363

100.0%

+11.8%

46.6%

営業利益

2,366

6.0%

2,687

6.1%

+13.6%

36.2%

経常利益

2,377

6.0%

2,686

6.1%

+13.0%

36.4%

当期純利益

1,550

3.9%

1,750

3.9%

+12.9%

36.2%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

業績予想に変更無し。2桁の増収増益、売上高・営業利益とも過去最高更新へ
業績予想に変更は無い。売上高は前期比11.8%増の443億63百万円、営業利益は同13.6%増の26億87百万円の予想。
下期からの新車供給回復を見込んでいる。ストック型ビジネスは引き続き、堅調な利益・粗利の伸びを予想。
売上高は2期ぶり、営業利益は3期連続で過去最高を更新する見込み。

 

6.今後の注目点

上期進捗率は売上高46.6%、営業利益36.2%。売上高はほぼ例年水準だが営業利益はインセンティブの確定が遅れたことから低水準にある。しかしながら、過半のインセンティブが確定し2月20日に入金されたため、第3四半期業績に反映する予定とのことで、第3四半期終了時点での進捗率を見てみたい。また、新車供給は回復傾向にあるということだが、第3四半期、第4四半期と通期予想達成に向け、どれだけ上積みが進むのかも期待したい。
「社会的価値向上」に向けた環境課題に対する取り組み、進捗は着実に進展している。特に初回答ながらCDPにおいて「B」を取得したことは大きな実績と評価できよう。

 

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

10名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名)

監査等委員

5名、うち社外取締役4名(うち独立役員4名)

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2022年9月29日

 

<基本的な考え方>

 

当社におけるコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方は、企業価値の最大化を図るにあたり、社会のめまぐるしい変化に対応し、効率的かつ、法令等を遵守する健全な経営体制を構築することであります。そのために、各ステークホルダーと関係強化及び経営統治機能の更なる充実を図ることにより、透明性のある経営を確保するとともに、適正かつ迅速なディスクロージャーに努めてまいります。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
■補充原則3-1③・補充原則4-2②【サステナビリティを巡る課題】
当社は、企業活動を通じて持続可能な社会の実現・企業価値向上に向けて、当社グループ全体のサステナビリティへの取組と主体的なリスクマネジメント基盤を強化するとともに、成長戦略推進による業容拡大や自動車産業を取り巻くEV化等の技術革新への対応、DX化の推進を重点的に図るため、サステナビリティ基本方針を制定し、サステナビリティ委員会並びにリスクマネジメント委員会を設置しております。これらの委員会を中心とした具体的な取組み事項につきましては、決算説明資料等で開示しております。 (https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01236/078770bd/f7ea/4bc2/872b/e27b99a6bb7b/140120220824523428.pdf)
また、気候変動問題への取組につきましてはCDPを通じて開示しております。
中長期的企業価値の向上にむけた人的資本や知的財産についての投資につきましては、経営執行会等にて審議中であり、今後取締役会にて基本的方針を策定するとともに、開示してまいります。

 

■補充原則2-4①【中核人材の登用等における多様性の確保】
<多様性の確保についての考え方>
当社では、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、長く働き続けられる環境の提供を目指しており、人材の登用等においては性別・国際性・中途採用か否かに関わらず能力・実績により登用することを基本方針としております。
<多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標>
中核人材の多様性の確保についての測定可能な目標は設定しておりませんが、中期的な企業価値の向上に向けた人材戦略とともに目標設定についても検討してまいります。
<多様性の確保の状況>
女性従業員の割合・・2022年6月期 18.2%
専門職の外国人の雇用・・2022年6月期 雇用率 0.8%
中途入社者の管理職割合・・2022年6月末現在 93.2%

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
■原則1-4 【政策保有株式】
(1)政策保有株式に関する方針
当社は政策保有株式を保有しておりません。取引先との資本提携、協業のために関係維持・強化が必要であり、中長期的な観点からビジネス上のメリットがリスクや資本コストに見合っていると判断した場合以外は、政策保有株式は保有しない方針であります。
(2)政策保有株式にかかる検証の内容及び政策保有株式にかかる議決権行使の基準
政策保有株式を保有することが適切であると判断した場合には、継続保有の合理性の検証方法並びに当該政策保有株式の議決権行使の具体的な基準を策定いたします。

 

■原則5-1【株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針】
当社は、株主や機関投資家との積極的かつ建設的な対話(面談)を通じ、経営方針や成長戦略を明確に説明し、理解を深めていただくことが、当社の中長期的な企業価値の向上に資すると考えております。
株主や機関投資家との対話は、経営戦略本部IR室を窓口とし、代表取締役、IR担当者が合理的な範囲で訪問、来社、電話等により行っております。個別面談以外にも、多くの投資家と直接対話できる機会を設けるべく、代表者自らが説明を行う投資家、アナリスト向け決算説明会や個人投資家向け説明会を開催し、当社、投資家双方の理解促進の場として活用しております。さらに、説明会の模様を動画配信若しくは資料をホームページに掲載するなどし、広く情報発信を行っております。
対話に際しては、未公表の重要情報につきまして漏洩等が発生しないよう、十分に留意のうえ、臨んでおります。

 

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