ブリッジレポート
(2935) 株式会社ピックルスホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(2935)ピックルスホールディングス 2023年2月期第3四半期決算

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影山 直司 社長

株式会社ピックルスホールディングス(2935)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

食料品(製造業)

代表者

影山 直司

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

https://www.pickles-hd.co.jp

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,142円

12,858,430株

14,684百万円

13.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

22.00円

1.9%

98.77円

11.6倍

1,288.57円

0.9倍

*株価は1/10終値。発行済株式数、DPS、EPSは(株)ピックルスホールディングスの23年2月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは(株) ピックルスコーポレーションの前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年2月

40,670

1,409

1,561

920

71.94

14.00

2020年2月

41,417

1,871

1,973

1,290

100.83

15.00

2021年2月

46,020

2,711

2,829

1,832

142.96

17.50

2022年2月

45,006

2,942

3,068

2,128

165.59

20.00

2023年2月(予)

40,000

1,800

1,910

1,270

98.77

22.00

* 実績は(株) ピックルスコーポレーション、予想は(株)ピックルスホールディングスによる会社予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。EPS、DPSは2021年9月1日付で実施した1:2の株式分割を遡及して調整。23年2月期第1四半期から収益認識に関する会計基準(以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用。

 

 

(株)ピックルスホールディングスの2023年2月期第3四半期決算概要、2023年2月期業績予想などをご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年2月期第3四半期決算概要
3.2023年2月期業績予想
4.今後の主な施策
5.今後の注目点
_<参考:コーポレート・ガバナンスについて>_

 

今回のポイント

  • 23年2月期第1四半期から収益認識会計基準等を適用。23年2月期第3四半期の売上高は収益認識会計基準等の適用、新型コロナウイルス感染症の感染者数減少に伴う巣ごもり需要の反動減や、原材料価格高騰による食料品の各品目における値上げに伴う節約志向の影響を受け減収(収益認識会計基準等の影響を受けているため、増減率は記載していない)。営業利益は前年同期比47.6%減の14億7百万円。天候が比較的順調に推移したことで、原料野菜の価格は安定したが、減収や原材料費、光熱費、物流費などの高騰により減益となった。

     

  • 23年2月期の売上高は400億円の予想。今期から適用する収益認識会計基準等が影響するほか、巣ごもり需要の反動、消費者の節約志向により減収を見込む(収益認識会計基準等の影響を受けているため、増減率は記載していない)。営業利益は前期比38.8%減の18億円の予想。減収および原材料価格高騰により売上総利益が約3割減少。販管費の削減も進めるが6期ぶりの減益を予想している。

     

  • 配当予想を修正した。2022年9月1日付で持株会社体制へ移行したことを記念するとともに、株主に感謝の意を込め、2.00円/株の記念配当を実施する。期末配当予想を20.00円/株(普通配当 20.00円/株)から、22.00円/株(普通配当 20.00円/株、記念配当2.00円/株)に修正。予想配当性向は22.3%。

     

  • 第3四半期の進捗率は売上高78.0%、営業利益78.2%。売上高はほぼ例年並みも、営業利益は下回る。外部環境は引き続き厳しいが、重点戦略の展開で、どこまで積み上げていくことができるかを注目したい。

1.会社概要

持株会社として、浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行う(株) ピックルスコーポレーションを中心に、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等のグループ会社により全国的な製造・販売ネットワークを構築している。
「野菜の元気をお届けします。」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約80%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

【1-1 経営理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、食品安全の規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
こうした経営理念をベースとして「SDGs」や「ESG経営」にも注力しており、ESGに関する取り組み・課題と、企業価値向上に向けたストーリーを伝えるためにESGレポートを作成している。

 

「ESG Bridge Report」
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2022/04/220405_2925.html

 

【1-2 事業内容】

2022年2月期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が65.8%(浅漬・キムチ41.9%、惣菜22.8%、ふる漬1.1%)、連結子会社(株)フードレーベル製品や他社仕入商品(自社工場以外での生産)売上が34.2%。

 

 

(製品・商品概要)
◎浅漬・キムチ
サラダ感覚で食べられる浅漬を野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供している。近年は、消費者の健康志向の高まりにより、従来製品より低塩な「減塩浅漬」なども販売。
「安全・安心」な食品の提供を重視する同社グループとして、主要原料の白菜、キュウリは国産を使用。保存料・合成着色料は一切使用していない。

 

2009年10月に販売を開始した主力商品「ご飯がススムキムチ」は、キムチは辛いという従来の基本概念を捨てて、主婦層が家族に食べさせたいキムチというコンセプトを打ち出し、日本人の嗜好に合わせて、甘みやうま味を際立たせるオリジナルの味として開発した。また、300~400グラムの容量が多いキムチ商品の中で、家族で食べ切れるようにと200 グラムに設定し、買いやすい量目と価格に設定。さらに、冷蔵庫内に収まりやすいスリムな形状とするとともに、赤やオレンジ色のデザインが多かったキムチ売場で、黒をメインカラーとしたパッケージデザインを採用した。この結果、当初の狙い通り女性や子供を中心に支持を集めている。
また、キャラクターや食品メーカーとのコラボレーション商品も開発するなど、ラインナップを充実させている。
現在、浅漬とキムチの漬物市場における構成比は約50%。漬物市場全体は縮小傾向にあるものの、浅漬やキムチの市場は安定している。
浅漬・キムチは野菜を主原料としており、食物繊維が豊富な低カロリー食品として見直され、今後の需要の伸びが期待されている。

 

 

 

 

ご飯がススムキムチ

叙々苑ポギキムチ

4種のぬか野菜

(同社資料より)

 

◎惣菜
2002年8月から惣菜の取扱いを開始し、着実に売上高を拡大している。近年は、消費者が節約志向を強めて外食を控え、惣菜を買って家庭内で食事をする中食の傾向が強まっているほか、高齢者・単身者世帯や共働き世帯の増加により食事のスタイルが変化しており、惣菜の需要は今後も拡大が見込まれている。
同社グループでは強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、ナムルなどが好調。また、野菜の品種にこだわった製品を展開したり、サラダのドレッシングを自社開発したりするなど、惣菜にオリジナリティ・付加価値をつけ開発している。このほか、製品のpHコントロールによる緑色野菜の変色防止などの技術を活用している。

 

 

 

 

4種のナムルセット

棒棒鶏サラダ

オクラのおひたし

(同社資料より)

 

(販売先)
全国の量販店、小売店、卸などが販売先であり、販路別構成(22年2月期)は、量販店・問屋等74.5%、コンビニ16.7%、外食・その他8.8%となっている。

 

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

【1-3 特長・強み・競争優位性】

同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。

 

(1)漬物業界でトップシェア
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングでは、同社は連結売上高450億円で、2位以下を大きく引き離し、シェア14.2%のトップである。以前から掲げている15%達成を目指しており、M&Aを含めてシェアアップを図っていく考えだ。

 

(同社資料より)

 

(2)独自性の高い商品開発力
製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している。
野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進している。
基礎研究を担う研究開発室は、独自に開発した植物由来の乳酸菌Pne-12(以下「ピーネ乳酸菌」とする)をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っている。

 

(3)全国をカバーする生産・物流体制
(株)ピックルスコーポレーションを中心としたグループ会社で全国を網羅。漬物業界で唯一、製造、物流、開発、営業機能の全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬・キムチや惣菜の提供が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントにもなっている。
製造においては、食品安全の規格であるFSSC22000やJFS-Bを導入し、より安全・安心な製品を供給する体制を整えている。

 

(同社資料より)

 

(4)販売先に密着した提案型営業
全国に展開する販売拠点では、それぞれの地域・販売先に密着した提案型営業を実施している。
主力の浅漬、キムチをはじめ、惣菜売場向けの商品ラインナップの充実を進め、営業担当が販売方法を提案し、売場づくり・漬物フェアの開催など、消費者への様々なアプローチを販売先とともに考えている。加えて販売先とのコミュニケーションから得た情報を社内にフィードバックし、消費者動向を商品開発等に役立てている。

 

(5)販売先のニーズに対応するベンダー機能
浅漬、キムチ、惣菜等を自社で製造するメーカーとしての機能と、自社工場で製造できない梅干等の商品を全国各地の漬物メーカーから仕入れて販売する卸売機能の二つの機能を有している。自社製品、他社商品を同時に提供することができるベンダー機能を活かし、販売先のニーズに合わせたトータルな売場づくりを提案することが可能である。

 

【1-4 ROE分析】

 

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

21/2期

22/2期

ROE(%)

6.5

8.6

8.0

10.4

13.3

13.7

 売上高当期純利益率(%)

1.53

2.32

2.26

3.11

3.98

4.73

 総資産回転率(回)

2.02

1.90

1.88

1.79

1.83

1.73

 レバレッジ(倍)

2.10

1.95

1.89

1.88

1.83

1.67

 

 

 

*(株)インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

持続的な収益性改善によりROEは上昇。3期連続で10%を超えている。

2.2023年2月期第3四半期決算概要

【2-1 連結業績】

概要

 

22/2期3Q

構成比

23/2期3Q

構成比

前年同期比

(適用有)

参考

(適用無)

参考

(前年同期比、適用無)

売上高

34,920

100.0%

31,206

100.0%

-

33,241

-4.8%

売上総利益

9,815

28.1%

6,685

21.4%

-

8,634

-12.0%

販管費

7,128

20.4%

5,278

16.9%

-

7,245

+1.6%

営業利益

2,687

7.7%

1,407

4.5%

-47.6%

1,390

-48.3%

経常利益

2,782

8.0%

1,490

4.8%

-46.4%

1,473

-47.1%

当期純利益

1,915

5.5%

978

3.1%

-48.9%

-

-

* 単位:百万円。22年2月期3Qは(株) ピックルスコーポレーション、23年2月期3Qは(株)ピックルスホールディングスの決算短信より。23年2月期第1四半期から収益認識会計基準等を適用。これに伴い売上高、売上総利益及び販管費は増減率を記載していない。売上高、売上総利益、販管費、営業利益及び経常利益の適用無の前年同期比は、開示資料を基に、インベストメントブリッジが計算した参考値。

 

減収減益
売上高は収益認識会計基準等の適用、新型コロナウイルス感染症の感染者数減少に伴う巣ごもり需要の反動減や、原材料価格高騰による食料品の各品目における値上げに伴う節約志向の影響を受け減収。
営業利益は前年同期比47.6%減の14億7百万円。天候が比較的順調に推移したことで、原料野菜の価格は安定したが、減収や原材料費、光熱費、物流費などの高騰により減益となった。

 

【2-2 財政状態】

◎財政状態

 

22年2月末

22年11月末

増減

 

22年2月末

22年11月末

増減

流動資産

10,864

11,142

+278

流動負債

7,345

7,110

-235

 現預金

6,034

5,852

-182

 仕入債務

2,828

3,294

+466

 売上債権

4,205

4,407

+202

 短期有利子負債

1,893

1,863

-30

 たな卸資産

578

799

+221

固定負債

1,989

1,565

-424

固定資産

15,227

15,061

-166

 長期有利子負債

1,055

608

-447

 有形固定資産

13,588

13,435

-153

負債合計

9,334

8,676

-658

 無形固定資産

571

498

-73

純資産

16,757

17,527

+770

 投資その他

1,066

1,126

+60

負債・純資産合計

26,091

26,204

+113

資産合計

26,091

26,204

+113

自己資本比率

63.5%

65.9%

+2.4p

* 単位:百万円。22年2月末は(株) ピックルスコーポレーション、22年11月末は(株)ピックルスホールディングスの決算短信より。増減は(株)インベストメントブリッジが計算。有利子負債にはリース債務を含む。

 

*(株)インベストメントブリッジが開示資料を基に作成。

 

売上債権及びたな卸資産の増加等で総資産は前期末比1億13百万円増の262億4百万円。有利子負債の減少等で負債合計は同6億58百万円減少し86億76百万円。利益剰余金の増加等で純資産は同7億70百万円増加の175億27百万円。
自己資本比率は前期末より2.4ポイント上昇し65.9%。

 

【2-3 トピックス】

◎株主優待制度の内容を決定
2023年2月28日(基準日)現在、同社株式を 100 株(1単元)以上保有する株主を対象とした株主優待制度の優待内容を決定した。
同社グループの商品詰め合わせセット(ピーネセット、八幡屋セット、ピーネ・八幡屋セットの3つのうち1つ)、または同社指定の団体への寄付から選択した1つを贈呈する。
詳細は同社リリースを参照。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS93462/1877e55f/590d/4b8f/9788/05d551e8b9c3/140120221227584157.pdf

 

3.2023年2月期業績予想

【連結業績予想】

主要損益計算書

 

22/2期 

構成比

23/2期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

45,006

100.0%

40,000

100.0%

-

78.0%

売上総利益

12,466

27.7%

8,764

21.9%

-

76.3%

販管費

9,523

21.2%

6,963

17.4%

-

75.8%

営業利益

2,942

6.5%

1,800

4.5%

-38.8%

78.2%

経常利益

3,068

6.8%

1,910

4.8%

-37.7%

78.0%

当期純利益

2,128

4.7%

1,270

3.2%

-40.3%

77.0%

* 単位:百万円。22/2期は(株)ピックルスコーポレーション、23/2期(予)は(株)ピックルスホールディングス。今期から収益認識会計基準等を適用。これに伴い売上高、売上総利益及び販管費は増減率を記載していない。

 

減収減益を予想
売上高は400億円の予想。今期から適用する収益認識会計基準等が影響するほか、巣ごもり需要の反動減、消費者の節約志向により減収を見込む。
営業利益は前期比38.8%減の18億円の予想。減収および原料価格高騰により売上総利益が約3割減少。販管費の削減も進めるが6期ぶりの減益を予想している。
配当予想を修正した。2022年9月1日付で持株会社体制へ移行したことを記念するとともに、株主に感謝の意を込め、2.00円/株の記念配当を実施する。期末配当予想を20.00円/株(普通配当 20.00円/株)から、22.00円/株(普通配当 20.00円/株、記念配当2.00円/株)に修正。予想配当性向は22.3%。

 

◎品目別売上高計画

 

22/2期 

構成比

23/2期(予)

構成比

製品

29,631

65.8%

26,840

67.1%

 浅漬・キムチ

18,858

41.9%

16,360

40.9%

 惣菜

10,264

22.8%

10,000

25.0%

 ふる漬

508

1.1%

480

1.2%

商品

15,374

34.2%

13,160

32.9%

売上高合計

45,006

100.0%

40,000

100.0%

* 単位:百万円。22/2期は(株)ピックルスコーポレーション、23/2期(予)は(株)ピックルスホールディングス。今期から収益認識会計基準等を適用。
これに伴い増減率を記載していない。

 

◎販路別売上高計画

 

22/2期 

構成比

23/2期(予)

構成比

量販店・問屋等

33,530

74.5%

30,600

76.5%

コンビニ

7,536

16.7%

5,940

14.9%

外食・その他

3,938

8.8%

3,460

8.7%

売上高合計

45,006

100.0%

40,000

100.0%

* 単位:百万円。22/2期は(株)ピックルスコーポレーション、23/2期(予)は(株)ピックルスホールディングス。今期から収益認識会計基準等を適用。これに伴い増減率を記載していない。

 

◎販管費計画

 

22/2期

対売上比

23/2期(予)

対売上比

販管費合計

9,523

21.2%

6,963

17.4%

物流費

4,677

10.4%

2,140

5.4%

人件費

3,104

6.9%

3,135

7.8%

広告宣伝費

196

0.4%

131

0.3%

その他

1,544

3.4%

1,556

3.9%

売上高

45,006

100.0%

40,000

100.0%

* 単位:百万円。22/2期は(株)ピックルスコーポレーション、23/2期(予)は(株)ピックルスホールディングス。今期から収益認識会計基準等を適用。これに伴い増減率を記載していない。

 

4.今後の主な施策

※前回レポートを再掲

 

【4-1 今後の戦略】

自社の強みを活かし、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略を推進し業容拡大を図る。

 

①製品開発強化
*漬物・キムチ
(市場環境)
食品新聞記事を基に同社が作成した漬物業界における売上ランキングをみると、連結売上高450億円の同社がトップで、以下、東海漬物234億円、秋本食品130億円、備後漬物118億円、山本食品工業101億円となり、売上高が100億円を超えるのは、この5社のみである。
漬物市場全体は2000年の4,800億円から2021年には3,160億円まで縮小し、企業数も減少が続き集約が進んでいる。
2位以下を大きく引き離す同社のシェアは14.2%(2021年)で、以前から掲げている15%達成を目指している。
食生活の変化や米飯の需要減等の影響はあるが、キムチ等の好調により市場全体としては下げ止まっている。新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要等による需要拡大の後、今期は反動減となっているが、漬物の生産量も2019年の742千tから2020年の777千t、2021年の816千tへと増加した。引き続き商品開発を強化し、シェアアップを図る。

 

(商品開発事例)
<キムチ>
主力の「ご飯がススムキムチ」は、2023年2月期の売上高は71億円を計画している。
家族で楽しめるおいしさに加え、ピーネ乳酸菌を配合し健康志向需要を取り込んでいる。
牛角とのコラボ製品「牛角キムチ」では、従来の50g×3個パックを40g×4個パックにリニューアルし、より使い勝手の良い食べきりサイズに変更した。賞味期限が延びたことでフードロスにも配慮している。
2022年11月にご飯がススムキムチの20グラム増量キャンペーンを実施した。

 

<浅漬>
「毎日食べたい浅漬」をブランドコンセプトに、様々な浅漬をラインアップしている。

 

定番品

漬物本来の食シーンで活躍、個食から大容量品まで

旬のおいしさ

四季を味わう期間限定商品

おつまみ

伸長カテゴリー、おつまみ需要に対応

手軽に健康・発酵

発酵・減塩・食物繊維・たんぱく質が摂れる等、トレンドの健康を軸にした製品

創作野菜

調味料の代わりになるタレ、野菜スイーツ等

こだわり逸品

国産・保存料着色料不使用

 

大入生姜白菜や大入焙煎ごま白菜の使い方として、なべ料理のアレンジレシピなどを紹介している。

 

*惣菜
(市場環境)
同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2021年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆1,663億円(2019年1兆508億円、2020年1兆575億円)。
単身世帯増加、高齢化、女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズを反映して拡大が続いている。
この分野では、フジッコ(売上高550億円、純利益21億円)、ケンコーマヨネーズ(売上高756億円、純利益12億円)、エバラ食品(売上高433億円、純利益27億円)といった上場企業や、デリア食品(キユーピーグループ)、イニシオフーズ(日清製粉グループ)といった上場企業の子会社等と競合している。

 

同社グループは後発ではあるが(2003年参入)、きめ細かい営業と、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしており、22/2期は102億円と初めて100億円を突破し、23/2期も100億円を計画している。

 

(商品開発事例)
今後は、「既存商品(ナムル、サラダ、ピリ辛胡瓜等)の見直し」「家飲み需要に合致した商品の開発」「健康志向を考慮したドレッシングを使用したサラダの開発」に取り組む。

 

ドライ商品として、「牛角にんにく塩ドレッシング」「牛角濃厚ごまドレッシング」を発売した。
前者は、にんにくと黒コショウがやみつきになる、旨みたっぷりの万能ドレッシングで、食シーンをより想起しやすいパッケージ写真に変更した。味が伝わりやすいように商品名も変更した。
後者は、濃厚なごまの風味と隠し味のにんにくをおいしさの決め手とし、こちらも前者同様、パッケージ写真及び商品名を変更した。

 

②販売エリア拡大
関東地区における売上が全体の50.9%を占め、西日本エリア(近畿、中国・四国、九州・沖縄)の構成比は約25%。
西日本エリアの地域別人口比率が約38%であることを考えると、販売拡大余地は大きく、西日本エリアでの販売拡大により30%以上に引き上げることを目標としている。
佐賀工場の稼働で生産余力のできた(株)ピックルスコーポレーション関西・広島工場や増築・改修が完了した(株)手柄食品の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。
業界で唯一の全国ネットワークを有する強みを活かして市場開拓を進める。

 

③販売先拡大
コンビニエンスストアや量販店の漬物・惣菜売場や外食などでのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや、量販店において、漬物売場・惣菜売場のみでなく、豆腐売場、納豆売場、たれ・ドレッシング売場、加工商品売場、冷凍食品売場など既存分野以外の売場への商品展開に注力する。高齢者向け等の配食事業者の開拓にも力を入れる。
今秋・冬には新たに冷凍焼きいもを販売する。
既存売場以外への商品展開は、営業効率・物流効率の改善にもつながるため積極的に取り組んでいく。

 

④新規事業
2019年3月に設立した子会社(株)OHは、2020年10月に発酵・健康の複合施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(埼玉県飯能市)において外食事業及び小売事業を開始した。
テイクアウトメニュー等の商品開発、体験教室の種類拡充・能仁寺との各種企画(座禅、写経)などイベントの企画・実施、また、OH!!!で扱う商品をECサイトでも購入できるようにするため、2022年9月にECサイトをリニューアルした。これにより、「ピーネオンラインショップ」と「八幡屋オンラインショップ」の2つを1サイトに統合している。
2022年2月期の実績は売上高2億23百万円、営業損失82百万円。今期は売上高2億38百万円、営業損失46百万円を見込んでいる。

 

2022年3月、子会社(株)ピックルスファームを設立し、埼玉県内で農業事業を開始した。
所沢工場やOH!!!向けの小松菜やさつまいもを生産しており、安定調達や農業を通じた地域活性化を目指している。
具体的にはJGAP(※)に沿った運営、農家の収穫作業等の受託、定植・収穫体験の実施(社内研修・子ども食堂)、野菜残渣を利用した循環型農業の実現、などに取り組んでいく。
現在38名がJGPAの指導員資格を取得しており、今後も増員をめざす。
※JGAP:日本の法律や生産環境、社会環境を考慮し、農場運営、食品安全、環境保全、労働安全、人権・福祉の視点から適切な農場管理の基準を定めた認証。同社グループの工場でもJGAPで管理された原料野菜の仕入れを行っていく。

 

【4-2 各種取り組み】

その他、生産面、ESG・SDGsなどについての取り組みは以下の通り。

 

①生産・管理など
コスト削減・効率化を図り、野菜調達の見直し(地域毎の調達等)、不採算アイテムの見直し及びアイテムの集約化、省力化機械の導入(白菜の芯取り機、キムチの自動化ライン)、ラベル検査機の導入等による製品検査の強化及び効率化を進める。
カップからスタンドパックへの容器の見直しも行う。コストの低減に加え、廃プラスチックの削減にも寄与する。

 

新型コロナウイルス感染症対策として、出勤前及び出勤時の検温、業務時間中のマスク着用・手指消毒、時差勤務・在宅勤務、ワクチン接種者に対する見舞金の支給を行っている。

 

②ESG、SDGs
「子ども食堂への支援」「オリジナルエコマークの導入」「サプライチェーンの管理・原材料調達」「教育制度の拡充」などに取り組んでいる。
2022年3月にサステナビリティサイトを公開し今後の方針や取り組みを紹介している。
https://www.pickles-hd.co.jp/sustainability/

【4-3 中期経営目標】

 

22/2期

構成比

23/2期

(計画)

構成比

24/2期

(計画)

構成比

25/2期

(計画)

構成比

売上高

45,006

100.0%

40,000

100.0%

41,500

100.0%

42,000

100.0%

売上総利益

12,466

27.7%

8,763

21.9%

9,750

23.5%

9,900

23.6%

販管費

9,523

21.2%

6,963

17.4%

7,200

17.3%

7,300

17.4%

営業利益

2,942

6.5%

1,800

4.5%

2,550

6.1%

2,600

6.2%

経常利益

3,068

6.8%

1,910

4.8%

2,680

6.5%

2,730

6.5%

当期純利益

2,128

4.7%

1,270

3.2%

1,800

4.3%

1,830

4.4%

* 単位:百万円。22/2期は収益認識会計基準等の適用なし。以降は適用あり。23/2期(計画)は2022年9月27日の修正後の数値。

 

 

22/2期

25/2期

(計画)

CAGR

浅漬・キムチ

18,858

17,663

+1.1%

惣菜

10,264

10,121

+2.8%

ふる漬

508

487

+0.2%

商品

15,374

13,728

+1.4%

売上高

45,006

42,000

+1.6%

* 単位:百万円。22/2期は収益認識会計基準等の適用なし。以降は適用あり。CAGRは23年2月期から25年2月期までの2年間の年平均成長率、(株)インベストメントブリッジが計算。

 

今期予想の修正もあり、今後の状況を見ながら、数値の見直しが必要か否かを検討していく考えだ。

 

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期(計画)

24/2期(計画)

25/2期(計画)

設備投資

1,769

1,409

718

1,400

1,900

2,700

減価償却

838

931

963

1,007

1,026

1,022

* 単位:百万円

 

今後3年間で60億円の設備投資を計画している。
主なものは、「23/2期 設備更新等」「24/2期 キムチ専用工場(関東)、設備更新等」「25/2期 工場新築(関西)、設備更新等」。省人化のための機械化投資を強化するほか、北陸地方を含めた西日本への販路拡大に向けた製造拠点増強にも取り組む。
キムチに関しては、大幅な人件費低減が可能と見ている。
原材料費高騰などの影響による竣工遅れの可能性も認識している。
M&Aに関しては、調味料、冷凍食品など、幅広い対象を視野に入れて検討を進める。

 

5.今後の注目点

第3四半期の進捗率は売上高78.0%、営業利益78.2%。売上高はほぼ例年並みも、営業利益は下回る。外部環境は引き続き厳しいが、重点戦略の展開で、どこまで積み上げていくことができるかを注目したい。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2022年9月1日)

 

基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則 1-4.政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

 

【補充原則2-4①】
当社は、年齢、国籍、性別等を区別することなく、意欲と能力のある従業員を管理職(部長職以上)へ登用しております。管理職の登用について、管理職に占める女性の割合は8.3%であり、今後は、増加させてまいります。外国人については従業員に占める割合が小さいため目標を定めておりません。中途採用者については、経験・能力等を総合的に判断し、管理職に登用しているため、目標を定めておりません。
社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢の醸成に努めており、自己啓発支援制度、資格取得報奨金制度などを導入しております。また、働きやすい職場環境作りを重要な経営課題と認識しており、リフレッシュ休暇、ノー残業デー、時差出勤などを導入しております。

 

【補充原則3-1③】
当社は、サステナビリティについて、環境、 安全・安心などを重要課題と認識し、取り組みを行っております。また、人的資本への投資は、教育制度、従業員の働きやすさなどに、知的財産への投資は、乳酸菌の研究などを行っております。これらはホームページのサステナビリティサイトや、ESGレポート、IR資料を通じで公表しております。
国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示について、今後検討してまいります。 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則 5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令及び金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会についても適宜実施しており、個別取材にも可能な限り代表取締役社長及び広報・IR室が対応しております。
また、IRの担当部署として、広報・IR室を設置するとともに、ディスクロージャーポリシーを当社ホームページに掲載しております。

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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