ブリッジレポート
(8130) 株式会社サンゲツ

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ブリッジレポート:(8130)サンゲツ 2023年3月期第2四半期決算

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安田 正介 社長

株式会社サンゲツ(8130)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場・名証プレミア市場

業種

卸売業(商業)

代表取締役社長執行役員

安田 正介

所在地

愛知県名古屋市西区幅下1-4-1

決算月

3月

HP

https://www.sangetsu.co.jp/

 

株式情報

株価

期末発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,110円

59,200,000株

124,912百万円

0.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

80.00円

3.8%

204.56円

10.3倍

1,497.21円

1.4倍

*株価は11/25終値。発行済株式数、DPS、EPSは23年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

160,422

5,895

6,699

3,579

57.28

56.50

2020年3月(実)

161,265

9,268

9,844

1,432

23.56

57.50

2021年3月(実)

145,316

6,701

7,042

4,780

78.97

58.00

2022年3月(実)

149,481

7,959

8,203

276

4.66

70.00

2023年3月(予)

170,000

17,500

18,000

12,000

204.56

80.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、同様)。
*2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用。

 

 

株式会社サンゲツの2023年3月期第2四半期決算概要などをご紹介致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年3月期第2四半期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】の進捗
5. 今後の注目点
<参考1:長期ビジョン【DESIGN 2030】と中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】>
<参考2:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 23年3月期第2四半期の売上高は前年同期比16.8%増の817億円、営業利益は同232.6%増の89億円。原材料価格の高騰や物流コストの上昇等を背景に2021年9月より実施した商品取引価格の改定(第1次値上げ)に続き、2022年4月1日受注分より再度の取引価格改定(第2次値上げ)を行い、インテリア事業における収益性の改善を進め大幅な増益となった。2014年以降進めてきた、商品力や調達力の強化、物流・施工を含めたソリューション提供機能の拡充といった施策を通じ、基礎収益力が向上した成果と会社側は考えている。収益認識基準適用無しのベースで、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、四半期純利益ともに、第2四半期の過去最高を更新。売上・利益とも期初予想を上回った。

     

  • 好調だった上期決算を踏まえ、加えて下期も更に原料価格の高騰やエネルギーコストの上昇が見込まれるものの、インテリアセグメントにおいて2022年10月1日受注分より第3次値上げを実施したことなどから業績予想の上方修正を行った。売上高は前期比13.7%増の1,700億円、営業利益は同119.9%増の175億円の予想。中期経営計画【D.C. 2022】の定量目標「23年3月期 売上高1,620億円、営業利益120億円、当期純利益85億円」を達成する見通しである。配当予想も修正した。中間配当、期末配当をそれぞれ5.00円/株、4.00円/株増配。年間配当予想を期初予想比9.00円/株増配、前期比10.00円/株増配の80.00円/株とした。予想配当性向は39.1%。

     

     

  • 中期経営計画【D.C. 2022】の最終年度となる今期は定量目標を達成する見通しであり、同社では現在次期中期経営計画について社内での議論を続けている。安田社長によれば「スペースクリエーション能力のさらなる強化」が中心テーマの一つとなるということだ。長期ビジョン【DESIGN 2030】では、目指す姿として「現在有するモノや商品のデザイン力、営業力、物流力をベースに、新たにスペースや空間を構想・デザインし、提案する能力を獲得して、新たなスペースや空間を創造する」スペースクリエーション企業を掲げている。

     

  • 単にモノを売るのではなく、空間をデザインし、そのスペースを構築、施工していく能力を磨き上げていくことにより、モノ売りを上回る事業規模を、国内外で追求していく考えで、ここ数年で建築士、施工技能工、施工管理技士の増強を図っているが、さらに強化することが必要と考えているとのことだ。今期決算で売上・利益をどれだけ積み上げていくのかと共に、来年公表する予定の次期中期経営計画で、その道筋がどのように具体的に示されるのかを注目したい。

     

     

1.会社概要

壁紙、床材、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。
2022年3月末現在、グループ企業に、沖縄地区でのインテリア商品の販売を担う「株式会社サンゲツ沖縄」、カーテン専門の販売会社「株式会社サンゲツヴォーヌ」、エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、中国・香港での事業展開の拠点「Goodrich Global Limited」、米国の非住宅向けを中心とした壁装材製造販売会社「Koroseal Interior Products Holdings,Inc.」、東南アジアにおける内装材料販売会社である「Goodrich Global Holdings Pte., Ltd.」、施工能力の強化を通じて更なる受注獲得を目指す「フェアトーン株式会社」、国内最大手のビニル壁紙製造メーカーである「クレアネイト株式会社(旧株式会社ウェーブロックインテリア、22年1月社名変更)」の8社を有する。

 

【1-1沿革】

1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社山月堂商店として株式会社化。1970年代後半以降、東京、大阪、福岡をはじめ全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。
2014年4月、安田正介氏が初めて創業家以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。
2022年4月、市場再編に伴い、東証プライム市場・名証プレミア市場に移行した。

 

【1-2 企業理念】

新たなステージに臨む同社では、変革のチャレンジを進める上で、2016年2月、新ブランド理念を含めた企業理念を再構築した。以下の、「社是」、「企業使命」に新しい「ブランド理念」を合わせ、企業理念としている。
加えて、2020年に策定した「Sangetsu Group 長期ビジョン 【DESIGN 2030】」において、目指す姿を「スペースクリエーション企業」とした。(詳細は「参考1:長期ビジョン【DESIGN 2030】と中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】」を参照)

 

<社是>
誠実

 

<企業使命>
インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与します。

 

<ブランド理念>
ブランドステートメント「Joy of Design」を掲げ、ブランドパーパスとして「私たちは、新しい空間を創りだす人々にデザインするよろこびを提供します。」と謳っている。

 

インテリア商品の作り手と使い手、同社に関連する全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合うことを目指す考えだ。

 

 

【1-3市場環境】

◎概観
同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。

 

 

(同社資料より)

 

 

一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数は低水準で推移しているのに対し、同社売上高は2020年3月までは過去最高を連続して更新してきた。21年3月期は新型コロナウイルスの影響もあり11期ぶりの減収となったが、2022年3月期は再度増収に転じている。

 

 

 

これは、M&Aに加え、民間住宅以外に非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。

 


 

国土交通省発表の「令和3年度 建設投資見通し」によれば、民間住宅建築投資、民間非住宅建築投資ともにリーマンショック後は回復途上にあったが、民間住宅建築投資は2017年度以降頭打ち、2000年レベルを上回っていた民間非住宅建築投資も新型コロナウイルスの影響もあり、横這いで推移している。
事務所及び店舗(新設)の床面積合計は、減少傾向にあったが、2021年度は事務所、店舗ともに前年度を上回った。

 

また、一般財団法人 建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2022年10月7日発表)によれば、名目民間非住宅建築投資の対前年度伸び率は、2017年度11.8%増、2018年度0.6%増、2019年度(見込み)0.6%増の後、2020年度(見込み)9.2%減とコロナ禍で大きく減少するも、2021年度(見通し)2.9%増、2022年度(見通し)10.2%増、2023年度(見通し)2.0%増と回復に転じる見通し。

 

着工床面積
*事務所
2021年度は34.6%増とコロナ禍の影響を受けた前年度から大幅に回復するも、2022年度はその反動で20.5%減と大幅減少の見通し。23年度は3.7%増と堅調な予想。「引き続き建設資材価格高騰の影響などの懸念材料はあるものの、首都圏や各地方の都市部を中心に大型再開発案件が控えていることから、当面は堅調に推移するとみられる」とのことである。

 

*店舗
19年度20.5%減、20年度2.0%減とマイナスが続き、2021年度は 3.4%増と回復したが、2022年度(見通し)0.6%増、2023年度(見通し)0.0%と前年並みが続く見通し。「仕入価格などのコストの高止まりがみられ、投資への不透明さはあるものの、卸売・小売業などの建設投資動向は改善しており、業績好調な小売業の継続投資による下支えもあり、安定して推移する」と述べている。

 

 

 

民間建築補修(改装・改修)
「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2022年10月7日発表)では、「国土交通省『建築物リフォーム・リニューアル調査』によると、2021年度の民間建築物の改装・改修工事の受注高は、前年度比12.4%増となっており、コロナ禍で投資が慎重になっていた民間非住宅分野だけでなく、新しい生活様式に合わせた空間利用のニーズが引き続き高まると予想される住宅分野においても市場が回復していくものと考え、2022年度、2023年度ともに増加と予測する」と述べている。

 

以上のように、足元は新型コロナウイルスの影響の反動もあり、非住宅市場はやや持ち直しの兆しがある。
また、非住宅市場においては、リニューアル需要は堅調に推移しているため、サンゲツでは市場開拓部およびコントラクト営業部を中心に需要取り込みを図っている。加えて海外事業の育成にも取り組み、他社にはない強みを強化、更なる成長を追求している。

 

◎同業他社
インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の8社が挙げられる。

 

コード

企業名

売上高

増収率

営業利益

営業増益率

営業利益率

時価総額

PER

PBR

ROE

3501

住江織物

89,000

8.9%

1,700

-

1.9%

14,096

23.2

0.4

1.0%

4206

アイカ工業

237,000

10.5%

21,500

5.7%

9.1%

224,738

16.0

1.5

9.4%

4215

タキロンシーアイ

150,000

5.7%

8,200

-5.2%

5.5%

51,118

9.4

0.6

7.6%

4224

ロンシール工業

19,800

9.2%

750

-41.4%

3.8%

5,652

10.2

0.3

5.5%

5956

トーソー

21,500

3.1%

600

-23.6%

2.8%

4,890

10.4

0.3

4.1%

7971

東リ

94,500

6.8%

1,850

110.7%

2.0%

14,167

10.6

0.3

1.9%

7989

立川ブラインド工業

42,310

2.6%

4,620

1.4%

10.9%

23,255

7.5

0.5

7.0%

8130

サンゲツ

170,000

13.7%

17,500

119.9%

10.3%

124,912

10.3

1.4

0.3%

9827

リリカラ

33,790

-

1,670

215.2%

4.9%

8,331

8.0

1.2

5.0%

*単位:百万円、倍。業績は今期会社予想。時価総額、PER、PBRは2022年11月25日終値ベース。ROEは前期実績。

 

【1-4 事業内容】
壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業も展開している。米国、中国/香港、シンガポールの子会社3社により海外事業も展開している。

 

事業セグメントは、インテリアセグメント、エクステリアセグメント、海外セグメント、スペースクリエーションセグメントの4セグメント。

 

 

 

①「インテリアセグメント」
◎主な取扱商品

壁紙

同社の主力商品。住宅から非住宅分野まで幅広く利用される壁装材。近年では汚れ防止や消臭、キズが付きにくいなどの性能を持つ機能性壁紙も人気。抗ウイルス壁紙などもラインアップ。また、部屋の一面あるいは一部だけ色やデザインの異なる壁紙を使う「アクセントクロス」は住空間の魅力を高め、一般住宅、賃貸住宅でも採用が進んでいる。

クッションフロア

住宅用と店舗用のタイプがあり、アパートやマンションなどでも多く利用されているシート系床材。木目・石目など豊富なデザインとクッション性が特長の幅広い用途を持つアイテム。

長尺塩ビシート

 

医療・福祉施設や商業スペース、教育施設などに多く利用されるシート系床材。安全、衛生面に配慮した機能のほか、ワックスがけ不要などの優れたメンテナンス性による管理維持コストの削減、環境負荷の低減にも繋がる性能を持つアイテムなどがある。

フロアタイル

商業施設や教育施設、また戸建やアパート、マンションにも利用される幅広い用途をもつ、タイル状の塩ビ床材。ウッドやストーンなどモチーフとなる素材を高い印刷技術と精緻なエンボス加工で表現した意匠性の高さも特長。

カーペット

 

住宅から商業施設、ホテル、旅館まで幅広い用途で利用される繊維系床材。多彩なデザインと高い機能性を備える。物件に応じたオリジナルデザインの提案も行う。

カーペットタイル

主に、オフィス、ホテル、商業施設、教育施設などに使用される50センチ角のタイル状カーペット。貼り替えも手軽な上、メンテナンス性にも優れている。

カーテン

同社が取扱うのはすべてオーダーカーテン。好みや部屋の条件に合ったデザイン、サイズで窓まわりを装飾できるのが特長。デザイン性豊かな厚手のカーテンのほか、外から室内が見えにくいミラー調レースや遮熱などの機能性アイテムも人気。

 

商品数は約12,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。
主力の壁紙で商品数は約4,300点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見本帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で30~40%程度。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積により効率と鮮度のバランスを取っている。

 

◎営業体制
名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、50か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として8か所のショールームを有している。
 

(同社資料より)

 

最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。
住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーが関わっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。
そのため、同社では見本帳、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、市場開拓部およびコントラクト営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約710名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。

 

◎物流体制・配送体制
物流効率化を目指し、ロジスティクス体制の整備を進めており、より広範囲なエリアの在庫バックアップと地域の在庫拠点を兼ねる「旗艦ロジスティクスセンター」を2カ所、所在地域の在庫拠点である「地域ロジスティクスセンター」を6カ所、より地域に密着した「サテライトセンター」を2カ所保有している。
東・名・阪・福はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.9%となっている。周辺の物流センターから即座にカバーする事で、納期待ちを依頼する事はほぼない。内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。仕入先は約270社と広範囲に亘っている。

 

また、配送については、物流コストが増加するのに対応し、自社配送体制の拡充を進めている。
東北において地域配送体制を整備したのに続き、他地域でも地域配送体制を構築すると同時に、重量物の配送も大都市圏を中心に整備していく。2022年9月30日付で、九州全域における配送事業を行う「有限会社クロス企画」を買収。九州地区での小口配送業務の強化を図る。

 

 

②「エクステリアセグメント」
2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売・施工している。新中期経営計画では、首都圏を中心とした景観ビジネスにも注力する。

 

③「海外セグメント」
北米・Koroseal Interior Products Holdings,Inc.、東南アジア ・Goodrich Global Holdings Pte. Ltd.、中国/香港・Goodrich Global Limitedを中心に、事業を展開している。

 

④「スペースクリエーションセグメント」
サンゲツのスペースクリエーション事業部および子会社であるフェアトーン株式会社で構成される。
サンゲツのデザイン力およびフェアトーンの内装仕上げに関する施工能力をベースに、新たに、スペースデザイン力・発想力・構想力・提案力・コンサル力などのソフトパワー、木工・照明・電気なども対象とした総合的な施工力を付加、施工管理力を強化し、顧客にとって最適な空間を創造・提供する。

 

【1-5 資本政策・株主還元】

資本政策の主要方針として「自己資本を900-950億円の範囲内で維持」「3年間総額の総還元性向 ほぼ100%」を掲げ、自己株式の取得を積極的に進めてきた同社だが、2021年12月に公表した株主還元方針では、自己株取得よりも配当の比重を高め、安定的な増配を行い、自己株取得はその時々の状況を勘案し、機動的に実施する方向への修正を公表した。

 

(同社資料より)

 

【1-6 ROE分析】

 

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

21/3期

22/3期

ROE (%)

4.6

3.7

5.6

6.0

4.2

3.5

1.5

5.1

0.3

 売上高当期純利益率(%)

4.14

3.33

4.77

4.84

2.89

2.23

0.89

3.29

0.19

 総資産回転率(回)

0.93

0.91

0.95

0.88

0.91

0.94

0.96

0.90

1.01

 レバレッジ(倍)

1.20

1.21

1.24

1.41

1.60

1.67

1.74

1.73

1.69

 

中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】では2023年3月期の目標を9%としている。
収益性向上のための取り組みが必須である。

 

【1-7 特徴と強み】

「商品企画・製造・調達」「空間デザイン提案・商品提案」「内装施工・総合施工」「在庫・出荷・配送」の4つからなるバリューチェーン全体を連続性のある複合的な機能でカバーする製販一体のビジネスモデルは、他社には真似のできないサンゲツグループならではの特徴・強みであり、強力な競争優位性の源泉である。
各機能の概要、特徴は以下のとおりである。

 

(同社 統合報告書「SANGETSU REPORT 2022」より)

 

(1)商品企画・製造・調達
建設における最終段階の工程であるインテリア・エクステリアは、空間を彩る商品として、高いデザイン性とともに、品切れのない迅速な安定供給体制が求められる。
同社グループでは、市場起点の顧客ニーズに応じた商品開発のみならず、従来の発想に縛られない新しい商品を市場に供給するべく、商品デザイン人材の拡充や外部・海外デザイナーとの取り組みも交えながら、商品デザイン力の向上に努めている。
毎年、主要見本帳30冊のうち約1/3を更改に向け開発し、約12,000 点のオリジナル商品を販売している。
この多種多様な商品群を安定的に供給するために、インテリア事業で約270 社、エクステリア事業で約150 社と取り引きを行っており、2021年3月には日本最大の壁紙生産量を誇るクレアネイト株式会社をグループ会社化し、製販一貫体制による事業の強化・効率化を図っている。
主要商品である量産壁紙製造の内製化と合わせて、各仕入先とのアライアンスの強化・連携をさらに強め、サステイナブルな安定供給体制の構築に取り組んでいる。

 

 

<主要リソース等>

商品デザイン人材 約70名

サプライヤー インテリア事業:約270社、エクステリア事業:約150社

国内最大の壁紙製造設備(クレアネイト株式会社)

最新鋭の壁紙製造設備(Koroseal社)

見本帳リサイクルセンター

 

(2)空間デザイン提案・商品提案
ライフスタイルの多様化、働き方の柔軟性など、コトの経済的価値の拡大が進む中、空間創造におけるデザインの必要性は年々高まっている 。
同社グループでは、内装インテリア事業において培ったコーディネート提案力をもとに、エクステリアとの融合、さらには家具や照明などシーンを彩るさまざまな商品を含めた総合的な空間提案能力を事業に活かしている。
それぞれの顧客のニーズに沿った、的確で質の高いソリューションを提供すべく、空間デザイン人材の拡充とともに、能力開発も積極的に進めている。
空間デザイン提案は付加価値の源泉であり、人々の暮らしの快適性の追求とともに、その重要性も高まることが予想されるため、今後もデザイン経営のもと、グループ全体でのデザイン力の強化・拡大を進めていく。

 

<主要リソース等>

レジデンシャルデザイン人材(住宅市場を中心に提案) 30名

コントラクトデザイン人材(非住宅市場を中心に提案) 40名

スペースクリエーションデザイン人材(非住宅市場を中心に設計・施工のトータル提案) 11名

国内インテリア営業 4社、40事業所、710名

国内エクステリア営業 15事業所、90名

海外営業 7ヵ国、210名

 

(3)内装施工・総合施工
施工はデザインを具現化する手段として非常に重要な機能だが、建設業界における人手不足は業界全体の重要課題である。
施工には、元請け工事、一次・二次下請け工事がある。同社では従来より二次下請け施工(内装業者の施工応援業務)を行ってきたが、2014年に発表した中期経営計画「Next Stage Plan G」の重点施策として、施工力強化を改めて明示し、現在はスペースクリエーション事業とフェアトーン株式会社を核として、グループ各社で二次施工のみならず、一次・元請け工事を含む総合内装施工機能の強化と、その領域拡大を進めている。
空間創造に必須となる施工力がサステイナブルな機能となるよう、今後も体制強化を図っていく。

 

(同社 統合報告書「SANGETSU REPORT 2022」より)

 

<主要リソース等>

一級・二級建築士 30名

インテリア施工技能工 1,250名

エクステリア施工技能工 290名

施工管理技士 90名

 

 

(4)在庫・出荷・配送
インテリア事業においては1日6万点の商品出荷と4万点のサンプル出荷を行っており、この確実な出荷体制、および日本全国各地への配送体制は、内装工事の工期変動への柔軟な対応や内装デザイン・仕様のスムーズな検討を可能にしている。
同社では、各エリアの在庫拠点となる地域ロジスティクスセンター(LC)を6カ所、巨大なスペースで各地域LCの在庫バックアップ機能を持ち、所在エリアの在庫拠点も兼ねる旗艦LCを2カ所、有している。さらに、よりきめ細かな配送網を構築するためのサテライトセンターの設置を各地で進めている。
また、ノウハウの蓄積による持続性強化の考えから、出荷業務や配送業務を社員で行うべく、専門職掌を設けてロジスティクス業務に特化した人材の採用・育成を進めている。2021年1月に新設・統合した関西LCでは、昨今問題となっている人手不足や高齢化を見据え、徹底した自動化・省人化を実現した 。
安定した在庫とタイムリーな出荷体制、きめ細かな配送体制は、事業体制の維持・強化に必須であり、今後も積極的に各種施策を展開していく。

 

<主要リソース等>

専門職掌および業務委託先 800名

旗艦/地域LC  8拠点、23.6万㎡

国内トラック 500台/日

 

(同社 統合報告書「SANGETSU REPORT 2022」より)

 

 

2.2023年3月期第2四半期決算概要

(1)業績概要

 

22/3期2Q

構成比

23/3期2Q

構成比

前年同期比

期初予想比

売上高

69,955

100.0%

81,726

100.0%

+16.8%

+4.8%

売上総利益

18,413

26.3%

26,168

32.0%

+42.1%

+17.9%

販管費

15,707

22.5%

17,169

21.0%

+9.3%

+2.6%

営業利益

2,705

3.9%

8,998

11.0%

+232.6%

+65.1%

経常利益

2,796

4.0%

9,267

11.3%

+231.4%

+59.8%

四半期純利益

1,611

2.3%

6,238

7.6%

+287.2%

+68.6%

*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。2022年3月期末において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2022年3月期第2四半期に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させている。

 

基礎収益力向上により大幅な増収増益、期初予想を上回る
売上高は前年同期比16.8%増の817億円、営業利益は同232.6%増の89億円。原材料価格の高騰や物流コストの上昇等を背景に2021年9月より実施した商品取引価格の改定(第1次値上げ)に続き、2022年4月1日受注分より再度の取引価格改定(第2次値上げ)を行い、インテリア事業における収益性の改善を進め大幅な増益となった。2014年以降進めてきた、商品力や調達力の強化、物流・施工を含めたサービス機能の拡充といった施策を通じ、基礎収益力が向上した成果と会社側は考えている。収益認識基準適用無しのベースで、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、四半期純利益ともに、第2四半期の過去最高を更新。売上・利益とも期初予想を上回った。

 

 

四半期ベースでも売上高、営業利益とも過去最高を記録した。

 

(2)決算のポイント

今回の上期決算のポイントは以下のとおり。

 

2021年9月、2022年4月の2度の値上げとも順調に浸透し、サンゲツ単体の売上高総利益率は前年同期から5.8%改善し40.3%(収益認識基準適用無し)。

小ロット・小口取引メインの住宅向け、商業・飲食等の小規模非住宅向けで、機能・サービスの強みを発揮した。

同社の場合1日平均約6万点を出荷しているが、品切れを起こさないよう在庫を確保している。このほか、10㎝単位・1枚単位のきめ細かい受注体制、受注即出荷するクイックデリバリー、代理店との密な協業、きめ細かな配送体制・全国配送網、施工支援、ショールーム・デザイナーによるデザイン提案など、発注者に大きなメリットを提供しており、こうした他社にはない差別化要因・優位性が、値上げ浸透の背景となっている。

価格がより重視される中大口取引では、競合の安値攻勢により、一部商品を除いて数量が減少しシェアはわずかに低下したが、健全な範囲と会社側は考えている。

発刊見本帳が少ない期であるため発刊コストは減少したが、業績連動賞与が大幅に増加し、販管費は増加した。

 

(3)セグメント別動向

 

22/3期2Q

23/3期2Q

前年同期比

期初予想比

売上高

 

 

 

 

 

 インテリアセグメント

57,857

66,571

+15.1%

+4.8%

+3,071

  壁装材事業

29,764

34,820

+17.0%

-

-

  床材事業

21,428

23,991

+12.0%

-

-

  ファブリック事業

3,828

4,547

+18.8%

-

-

  その他

2,835

3,211

+13.3%

-

-

 エクステリアセグメント

2,823

2,895

+2.6%

-3.5%

-105

 海外セグメント

7,391

9,422

+27.5%

+2.4%

+222

 スペースクリエーションセグメント

2,703

3,580

+32.5%

+8.5%

+280

 調整額

-820

-744

-

-

+256

合計

69,955

81,726

+16.8%

+4.8%

+3,726

営業利益

 

 

 

 

 

 インテリアセグメント

3,118

9,326

+199.1%

+55.4%

+3,326

 エクステリアセグメント

253

169

-33.1%

-32.1%

-81

 海外セグメント

-624

-600

-

-

+300

 スペースクリエーションセグメント

-34

127

-

+27.5%

+27

 調整額

-7

-23

-

-

-

合計

2,705

8,998

+232.6%

+65.1%

+3,548

*単位:百万円。ファブリック事業は、カーテンと椅子生地を合わせたもの。22/3期2Qのセグメント情報は、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額により開示。

 

➀インテリアセグメント
増収増益。売上・利益とも予想を上回る。
壁装事業、床材事業、ファブリック事業、各事業において原材料価格の高騰に伴う仕入コスト上昇の影響があったものの、4月1日受注分より実施した取引価格改定が浸透した。

 

<壁装材>
増収。
住宅市場において量産壁紙見本帳「SP」の売上が堅調に推移したほか、非住宅リニューアル市場の回復傾向に伴い、粘着剤付化粧フィルム「リアテック」が好調に推移した。
また、6月に発刊したガラスフィルム見本帳「クレアス」では、商品開発部門と営業部門との連携した販促活動強化により、脱炭素社会の実現に向けた低環境負荷商品「クリエイシア90」や、高いデザイン性を持つ「Fog(フォグ)」シリーズが市場に浸透し売上が伸長した。

 

<床材>
増収。
住宅・非住宅で幅広く使用できるビニル床タイル見本帳「フロアタイル」の売上が引き続き堅調に推移した。非住宅リニューアル市場においては、オフィス市場を中心にカーペットタイル「NT700」が好調に推移したほか、置敷き帯電防止ビニル床タイル「OT」も、ラインアップの拡充により市場から高い評価を受けた。
医療・福祉施設分野の回復により、各種施設向けフロア見本帳「Sフロア」の売上が拡大した。

 

<ファブリック>
増収。
新設住宅着工戸数における持家の減少の影響もあり、オーダーカーテン市場全体に縮小傾向が見られた中でも、カーテン見本帳「ストリングス」は好調に推移した。また、ワンプライスによる選びやすさを追求したカーテン見本帳「シンプルオーダー」では、商品ラインアップの拡充と新たに掲載したロールスクリーンが市場から高い評価を受け、売上が伸長した。
株式会社サンゲツヴォーヌでは、B to C事業の強化策として、EC事業におけるWEBサイト専用のオリジナル商品の拡大や、ユーザビリティの向上を図った。
カーテン販売を中心としたビルダーサービスを行うJoyplus事業においては、広島・九州で事業を開始するなど、営業拠点の拡大を進めた。

 

<その他>
施工代や接着剤を含むその他の売上を含んでいる。

 

➁エクステリアセグメント
増収減益。人材拡充に伴い販管費が増加した。売上・利益とも予想を下回った。
住宅市場では新設住宅着工戸数における持家の減少や、前期末における価格改定後の反動減により、全体的に停滞傾向であった一方、物置やガレージにおいては、8月の価格改定を前にした駆け込み需要の影響もあり堅調に推移した。
非住宅市場では、株式会社サングリーンのスペースクリエーション事業本部によるエクステリアの空間提案活動が奏功し、医療施設やオフィスなどの物件を獲得した。さらに、サングリーンではスペースクリエーション事業の拡大に向けて、専門人材の拡充や事業体制の整備等の施策を実行している。

 

③海外セグメント
増収、損失縮小。売上・利益とも予想を上回る。
海外セグメントでは2022年1月から6月までの各社実績を23年3月期第2四半期の業績に算入している。

 

<北米市場>
経済全体が回復傾向にある中で、事業と関わりの深い非住宅建設市場にも復調が見られ、主要マーケットであるホテル市場をはじめ、オフィス・医療分野での売上が伸長した。また、原材料価格等のコスト上昇に対する販売価格転嫁の浸透、自社製造壁紙における継続的な新商品の発売による売上拡大、不採算事業の撤退により、収益性が改善、第2四半期(4-6月)は一時的費用を除くと黒字化した。

 

<東南アジア市場>
一部で人の移動や観光業の回復に課題は残るものの、全体としては経済活動の再開が見られた。こうした状況下、主力のホテル市場をはじめ、以前より開拓市場として注力していた住宅市場や医療・福祉市場での売上が伸長した。
第2四半期(4-6月)はほぼ収支均衡となった。

 

<中国・香港市場>
新型コロナウイルス感染症の再拡大により観光客の制限及び各地での厳格なロックダウンが実施されるなど、厳しい状況が継続し、損失は拡大した。
こうした中、新規顧客の獲得に向けた営業活動や人材体制の整備を行い、事業基盤の強化に努めた。

 

④スペースクリエーションセグメント
増収、黒字転換。売上・利益とも予想を上回る。
主に施工部門を担うフェアトーン株式会社においては、非住宅市場におけるオフィスリニューアルの需要拡大を背景に大型案件を獲得し、売上が伸長。サンゲツと連携した営業活動により、ホテル市場においても売上が拡大した。
成長戦略の一環として、9月にフェアトーン株式会社のグループ会社である株式会社壁装が新たに東京支店を開設するなど、施工力の地理的拡大に努めた。

 

主にデザイン部門を担うサンゲツのスペースクリエーション事業部においては、幅広い分野への営業活動が奏功し、主軸であるオフィスをはじめ、レジデンシャル物件など多様な物件の改修工事が増加した。
また、専門人材の獲得など事業領域の拡大を目指した施策を実行したほか、グループの総合力でスペースクリエーション企業を具現化した新オフィス「関西支社センターオフィス」が、第35回日経ニューオフィス賞「近畿ニューオフィス 奨励賞」および2022年照明施設賞「関西支部照明施設奨励賞」を受賞した。

 

 

(4)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

22/3月末

22/9月末

増減

 

22/3月末

22/9月末

増減

流動資産

87,525

93,161

+5,636

流動負債

40,758

51,183

+10,425

 現預金

18,347

20,614

+2,267

 仕入債務

27,791

28,950

+1,159

 売上債権

50,176

50,152

-24

 短期借入金

2,077

9,813

+7,736

 有価証券

300

300

0

固定負債

18,857

12,296

-6,561

 棚卸資産

17,722

21,362

+3,640

 長期借入金

8,018

1,231

-6,787

固定資産

60,417

60,240

-177

負債合計

59,616

63,480

+3,864

 有形固定資産

35,285

35,051

-234

純資産

88,326

89,921

+1,595

 無形固定資産

4,058

3,809

-249

 利益剰余金

54,537

58,718

+4,181

 投資その他の資産

21,073

21,379

+306

 自己株式

-907

-850

+57

資産合計

147,943

153,401

+5,458

負債純資産合計

147,943

153,401

+5,458

 

 

 

 

自己資本比率

59.4%

58.6%

-0.8pt

*単位:百万円。売上債権は、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権の合計。仕入債務は、支払手形及び買掛金、契約負債、電子記録債務の合計。借入金にはリース債務を含む。

 

現預金の増加、棚卸資産の増加等により、資産合計は前期末に比べ54億円増加。
仕入債務、短期借入金の増加等で負債合計は同38億円増加。
利益剰余金の増加等で純資産は同15億円増加。これらの結果、自己資本比率は前期末から0.8ポイント低下し58.6%となった。長短借入金残高は同9億円増加し110億円となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

22/3期2Q

23/3期2Q

増減

営業CF

2,535

7,067

+4,532

投資CF

-602

267

+869

フリーCF

1,933

7,334

+5,401

財務CF

-3,900

-4,883

-983

現金同等物残高

23,286

19,601

-3,685

*単位:百万円。

 

税金等調整前当期純利益の増加等で営業CF、フリーCFのプラス幅は拡大。
キャッシュポジションは低下した。

 

◎CCC

 

(同社資料より)

 

売上拡大に伴い、CCCは前年同期末に比べ12.3日上昇した。

 

3.2023年3月期業績予想

(1)業績予想

 

22/3期

構成比

23/3期(予)

構成比

前期比

修正率

進捗率

売上高

149,481

100.0%

170,000

100.0%

+13.7%

+6.9%

48.1%

売上総利益

39,962

26.7%

54,000

31.8%

+35.1%

+21.3%

48.5%

販管費

32,002

21.4%

36,500

21.5%

+14.1%

+5.8%

47.0%

営業利益

7,959

5.3%

17,500

10.3%

+119.9%

+75.0%

51.4%

経常利益

8,203

5.5%

18,000

10.6%

+119.4%

+68.2%

51.5%

当期純利益

276

0.2%

12,000

7.1%

+4,239.0%

+71.4%

52.0%

*単位: 百万円。

 

業績予想を上方修正
好調だった上期決算を踏まえ、加えて下期も更に原料価格の高騰やエネルギーコストの上昇が見込まれるものの、インテリアセグメントにおいて2022年10月1日受注分より第3次値上げを実施したことから業績予想の上方修正を行った。
売上高は前期比13.7%増の1,700億円、営業利益は同119.9%増の175億円の予想。
中期経営計画【D.C. 2022】の定量目標「23年3月期 売上高1,620億円、営業利益120億円、当期純利益85億円」を達成する見通しである。
配当予想も修正した。中間配当、期末配当をそれぞれ5.00円/株、4.00円/株増配。年間配当予想を期初予想比9.00円/株増配、前期比10.00円/株増配の80.00円/株とした。予想配当性向は39.1%。

 

 


 

(2)セグメント別動向

 

22/3期

23/3期(予)

前期比

修正率

進捗率

売上高

 

 

 

 

 

インテリアセグメント

123,042

138,000

+12.2%

+7.0%

48.2%

エクステリアセグメント

5,823

6,000

+3.0%

0.0%

48.3%

海外セグメント

15,930

20,000

+25.5%

+5.3%

47.1%

スペースクリエーションセグメント

6,579

7,500

+14.0%

+7.1%

47.7%

調整額

-1,893

-1,500

-

-

-

合計

149,481

170,000

+13.7%

+6.9%

48.1%

営業利益

 

 

 

 

 

インテリアセグメント

9,097

17,800

+95.7%

+61.8%

52.4%

エクステリアセグメント

541

500

-7.6%

0.0%

33.8%

海外セグメント

-1,821

-1,100

-

-

-

スペースクリエーションセグメント

139

300

+114.7%

+50.0%

42.3%

調整額

2

-

-

-

-

合計

7,959

17,500

+119.9%

+75.0%

51.4%

*単位: 百万円。

 

*インテリアセグメント
住宅新築・リフォーム市場は回復基調にあるが、数量は控え目の前提としている。
上期に発生した売上原価増分に対応する10月1日付の第3次値上げ(7%~12%)は順調に浸透しているが、メーカーからは更なる原材料値上げ要求がある。
販管費は業績連動賞与により増加を想定。

 

*エクステリアセグメント、スペースクリエーションセグメント
エクステリア市場全体は前期並みと見ている。スペースクリエーションセグメントは事業拡大を見込んでいる。

 

*海外セグメント
米国市場は回復基調が続き、第3四半期(7-9月)は営業黒字を見込んでいる。
東南アジア市場は、緩やかに回復し、第3四半期の営業利益は若干のマイナスも、第4四半期は営業黒字を予想している。
中国・香港市場は、厳しい状況が続くと見ている。
第4四半期にかけては、北米市場、中国・香港市場において不透明感が強まると想定している。

 

4.中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】の進捗

中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】では、インテリア事業における注力点として、「デザイン力」「戦略的調達」「サービス機能の拡充と高度化」を挙げ、海外事業の強化も重要な課題と認識している。
それぞれの進捗状況は以下のとおりである。

 

(1)インテリア事業:デザイン力の発展的強化と戦略的調達の推進

①低環境負荷商品の拡充
ペットボトル由来の再生材料を使用したガラスフィルム「クリエイシア90」、100%リサイクル糸(エコニール)を使用したカーペットタイル「NT 700 Fiber Eco vol.2」、リサイクル樹脂やもみ殻など、環境に配慮した素材を用いた壁紙「MEGUReWALL」などが、環境課題への対応をアピールしたい大手不動産会社などから評価されている。

 

②デザインの外部評価
床材「NT double eco」、壁紙「MEGUReWALL」、ガラスフィルム「クリエイシア 90」の低環境負荷商品および子どもの安全につながる「CSロールスクリーン」の合計4商品が2022年度 グッドデザイン賞 を受賞した。
壁紙・床材・ファブリックでの同時受賞は同社初である。
加えて、隈 研吾氏との共同開発デザイン「KAGETOHIKARI」がiFデザインアワードを受賞した。

 

前述の通り、グループの総合力でスペースクリエーション企業を具現化した新オフィス「関西支社センターオフィス」が、第35回日経ニューオフィス賞「近畿ニューオフィス 奨励賞」および2022年照明施設賞「関西支部照明施設奨励賞」を受賞した。

 

③壁紙の新工場建設
国内最大手の塩ビ壁紙製造メーカーであるクレアネイト株式会社が広島に新工場を建設することを決定した。
延床面積は14,000㎡で投資予定額は土地・建物・設備含み約85億円。2024年7月の竣工を予定している。

 

新工場建設の目的は以下のとおりである。
*持続的な安定供給体制の構築
現在日本における量産壁紙の総出荷量は年間4.5億メートル。現在稼働中のクレアネイト一関工場は年間約9,000万メートル生産しており、広島新工場では追加生産能力年間約8,000万メートルを計画している。
量産壁紙需要拡大への対応が新工場建設の目的ではあるが、サンゲツでは当面は広島工場におけるフル生産を予定しておらず、生産余力の創出による安定的な製造・供給体制構築を第一義としている。

 

*環境負荷低減に向けた取り組み
新工場では、原材料調達や製品配送の距離削減を図るとともに、メイン燃料を従来の重油からLNGに転換するほか、太陽光パネルを設置するなど、積極的なGHG排出量削減に取り組む。

 

*働きやすい労務環境の整備
上記の生産余力の創出によって土日完全週休2日制を実現し、安定的な人材確保を図る。

 

④九州の配送体制を整備
22年9月30日、九州地区での小口配送業務を強化することを目的に、九州全域における配送事業および内装材料出荷における庫内作業を手掛ける有限会社クロス企画(福岡県)の株式を100%取得した。
これまで静岡、北陸、四国など、全国各地で進めてきた配送体制整備の一環である。

 

(2)環太平洋地域での事業強化

Koroseal社が初のグループ共通ブランド「TAKUMI」を発表した。
日本の伝統工芸を壁紙として表現したコレクションであり、ハイエンドレジデンシャル市場、ホスピタリティ、オフィスなどをターゲットとする。Goodrichも含めた海外グループ各社で販売していく。

 

5.今後の注目点

中期経営計画【D.C. 2022】の最終年度となる今期は定量目標を達成する見通しであり、同社では現在次期中期経営計画について社内での議論を続けている。
安田社長によれば「スペースクリエーション能力のさらなる強化」が中心テーマの一つとなるということだ。
長期ビジョン【DESIGN 2030】では、目指す姿として「現在有するモノや商品のデザイン力、営業力、物流力をベースに、新たにスペースや空間を構想・デザインし、提案する能力を獲得して、新たなスペースや空間を創造する」スペースクリエーション企業を掲げている。

 

単にモノを売るのではなく、空間をデザインし、そのスペースを構築、施工していく能力を磨き上げていくことにより、モノ売りを上回る事業規模を、国内外で追求していく考えで、ここ数年で建築士、施工技能工、施工管理技士の増強を図っているが、さらに強化することが必要と考えているとのことだ。
今期決算で売上・利益をどれだけ積み上げていくのかと共に、来年公表する予定の次期中期経営計画で、その道筋がどのように具体的に示されるのかを注目したい。

 

<参考1:長期ビジョン【DESIGN 2030】と中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】>

<Sangetsu Group 長期ビジョン【DESIGN 2030】>
安田社長が創業家以外初の経営トップに就任した2014年以降、経営体制、ガバナンス体制、仕事のやり方、社外とのかかわり方など、様々な変革に取り組み、同社は大きく変化・変容してきた。
しかし、事業そのものは、内装材料の販売という事業モデルから変化しておらず、この事業モデルそのものの変革が必要であると認識している。
そのためには、目指すビジョンを明確にし、未来の目標を明確に意識しながら、確実に諸施策を実行していく必要があると考え、「Sangetsu Group長期ビジョン【DESIGN 2030】」を設定した。

 

【DESIGN 2030】は2030年のありたい姿をデザインするという意味。
DESIGNのそれぞれのアルファベットが、目指すべき仕事の内容を表している。

 

(同社資料より)

 

(1)目指す姿:「スペースクリエーション企業」

現在有するモノや商品のデザイン力、営業力、物流力をベースに、新たにスペースや空間を構想・デザインし、提案する能力を獲得して、新たなスペースや空間を創造する企業を目指していく。

 

(2)長期ビジョン達成に向けて

長期ビジョンの達成に向けては、経営の基本を「デザイン経営」とし、デザインによるブランド価値の向上と事業転換を目指す。また、経営・事業の基盤に、「多様性のある専門人材」と「事業関連データの連携と活用」を位置付け、「現場力と多様性ある専門人材が活躍する組織」、「DATAによる事業の効率化と転換」を実現させる。
主要機能としては、従来のモノを売る機能から、サービスを売る機能への完全な転換を目指す。
また、事業のエリアは、北米、日本、中国、東南アジアを中心とした環太平洋地域とする。
こうしたアプローチにより、「スペースクリエーション企業」へ転換し、同時に社会的価値の実現にも取り組んでいく。

 

(同社資料より)

 

(3)デザイン経営

デザイン経営の考え方は以下の通り。

 

『サンゲツグループは、デザインによる提供価値の拡大・向上を実現し、事業を転換することを目指します。

 

商品・空間自体の美しさや機能、コーディネーションを追求するだけでなく、さまざまな空間での人々の過ごし方、生活・体験・行動を考え、人と空間とのかかわりを構想し、デザインし、提案します。

 

モノのデザイン、空間のデザインに加え、コトのデザインを考え、提案することにより、ブランド価値を向上し、従来のモノを売る会社から、空間を創造しコトを提案・実現する会社へ転換することを目指します。』

 

(4)実現を目指す社会的価値

実現を目指す社会的価値を「Inclusive(みんなで)、Sustainable(いつまでも)、Enjoyable(楽しさあふれる)社会の実現に貢献します」としており、Inclusive、Sustainable、EnjoyableのそれぞれにおいてSDGsの目標を掲げている。

 

平等で健康的なインクルーシブな社会の実現

 

サンゲツグループは、健康で快適な空間の創造を通じ、ジェンダーの多様性が尊重される、格差のない平等で健康的でインクルーシブな社会の実現に貢献します。

 

地球環境を守るサステイナブルな社会の実現

 

サンゲツグループは、サプライチェーン全体の環境負荷を低減し、長く使い続けられる空間の創造を通じ、ストック建築物の有効活用と共に、地球環境を守るサステイナブルな社会の実現に貢献します。

 

より豊かでエンジョイアブルな社会の実現

 

サンゲツグループは、公平・安全・安心・効率的で人権を尊重する働き方により、さまざまな文化・生活に応じた空間の創造を通じ、よりエンジョイアブルな社会の実現に貢献します。

 

 

3つ目のEnjoyable については、SDGsの基本的な理念「誰も取り残さない」を踏まえ、自社の事業を考慮し、一歩進んで、より豊かでエンジョイアブルな社会の実現を社会的価値の一つとして挙げることとした。

 

(5)数値目標

10年後の2030年3月期「売上高2,250億円、営業利益185億円」を目指す。

 

中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】
この長期ビジョン達成に向けたファーストステップが3ヵ年の中期経営計画「Design & Creation D.C. 2022」である。
以降の実績、目標数値に関する記述は、収益認識基準適用無しの場合。

 

(1)前中期経営計画「PLG 2019」のレビュー

 

最終2020年3月期は、売上高1,612億円と過去最高を更新し、営業利益は前期比57.2%増92.6億円と大幅増益であった。一方で、海外事業での減損損失計上により連結純利益は同6割減の14.3億円。営業利益増、CCC改善によりROICは改善したがROEは低迷した。

前中期経営計画で定めた諸施策である「商品調達・営業・ロジスティクス等の強化」「海外事業展開」「人材関連施策」「ESG施策」等は着実に実行した。

セグメント毎の振り返りは以下の通り。

*インテリアセグメント

壁紙、住宅・店舗用床材、廉価版カーテンは、見本帳改善、代理店協業、受注・出荷・配送サービス強化によりシェアアップ。非住宅用床材、リアテック、ガラスフィルムは地域・市場・商品営業組織によるスペック営業の実行が不十分でシェアは横這い・縮小。要改善。市場・顧客・商品・出荷・配送に関する膨大なDATAを活用できていない。

 

*エクステリアセグメント

17/3期から13億円の増収となったが、施工力と配送力の質・量両面での不足、事業領域の限定、首都圏におけるプレゼンスが課題である。

 

*海外セグメント

Koroseal社の不振を中心に、各国・個別市場での経営体制、ビジネスモデル、ブランディングが脆弱である。

海外事業の収益化、事業拡大は重要課題である。

 

*スペースクリエーションセグメント

2021年3月期の新設セグメント。2017年1月に買収したフェアトーンでは、関西・東京事業の拡大、中部地域におけるサンゲツの施工部門との連携、デザイナー採用、総合工事力の強化に取り組んだ。2019年4月にサンゲツスペースクリエーション事業部を設立した。緒に就いたばかりであり、専門能力の強化や規模の拡大が課題。

事業基盤、事業能力、機能は整備、強化、拡充されたが、前中期経営計画中の営業利益増はほぼ日本市場での価格改定によるもので、量的拡大は限定的であった。施策効果は道半ば。

従来の施策を更に徹底実行することに加えてデータの活用や、より広い業態での事業の拡大が課題である。

GHGガス排出削減率の目標(35%)達成、離職率(入社3年以内)の低下、女性管理職比率向上およびワーキングマザー数増加、健康経営のための施策実行、ESG評価レーティング向上、障がい者雇用の推進など、ESG関連のKPIは着実に向上している。

減損損失計上により期末自己資本は目標金額を割込んだ。一方、3年間の総還元額は248億円で、総還元性向は260.5%であった。期中に600万株以上の自己株式の取得を行い、全株消却した。

 

*定量目標の達成状況

 

2019年度中計目標

2019年度実績

概要

売上高

1,650億円

1,612.6億円

若干未達も過去最高を更新

当期純利益

80~100億円

14.3億円

米国Koroseal社関連の減損損失計上

ROE

8~10%

1.5%

財務レバレッジ、総資産回転率は改善も、純利益低迷

CCC

75~60日

72.4日

売上債権回転期間短縮、仕入債務回転期間長期化、棚卸資産回転期間は長期化

ROIC

-

7.9%

16年度の7.2%を上回る。

EBITDA

-

134.9億円

16年度の112.0億円を上回る。

資本政策

 

 

 

自己資本

1,050~1,000億円

932.4億円

17/3期末の1,103.7億円からの削減

成長投資

100~250億円

62億円

未達。M&A案件未成立。

株主還元

250~330億円

248億円

ほぼ計画通り

期末現金

250~300億円

368億円

成長投資未達により計画を上回る。

 

(2)中期経営計画(2020-2022)【D.C. 2022】の概要

①位置付け・基本方針
【D.C. 2022】は、長期ビジョン【DESIGN 2030】の最初のステップである3年間の役割を担う中期経営計画。
スペースクリエーション企業への転換を目指す3年間であり、「基幹事業の質的成長による収益の拡大」「基幹事業のリソースに基づく次世代事業の収益化」「経営・事業基盤の強化」「社会的価値の実現」の4つを基本方針とし、「基幹事業の収益拡大」と「次世代事業の収益化」による成長を目指す。

 

(同社資料より)

 

②売上・利益の数値目標※「収益認識に関する会計基準」等適用無しの場合

 

「2023年3月期 売上高1,720億円、営業利益120億円」としている。
セグメント別には、量的には引続きインテリアセグメントが中心となるが、海外セグメントの底入れ・回復、新セグメントであるスペースクリエーションセグメントの立ち上がりがカギとなる。

 

 

2020/3期

2023/3期

CAGR

売上高

1,612.6

1,720.0

+2.2%

  インテリア

1,220.9

1,270.0

+1.3%

  エクステリア

160.8

170.0

+1.9%

  海外

198.0

210.0

+2.0%

  スペースクリエーション

41.6

70.0

+19.0%

営業利益

92.6

120.0

+9.0%

  インテリア

93.2

105.0

+4.3%

  エクステリア

6.4

8.0

+7.7%

  海外

-9.3

4.0

黒字転換

  スペースクリエーション

1.8

3.0

+4.9%

*単位:億円。CAGR(年平均成長率)はインベストメントブリッジが計算

 

③各基本方針の概要
③-1 基幹事業の質的成長による収益の拡大
◎インテリアセグメント
*市場環境
住宅市場(新築、リフォーム)、非住宅市場(新築)とも、ほぼ横ばい状態にあり今後も量的な拡大は大きく望めないが、非住宅のリニューアル市場はストック物件増加に伴い工事は拡大すると見込んでいる。

 

*4市場における基本戦略

市場

基本戦略

重点施策

住宅:新築

量の縮小の中、利益率改善による総利益額の拡大を目指す。

代理店協業深化、売れる見本帳開発、受注・出荷・配送サービスの拡充・高度化、商品デザイン力強化、戦略的調達強化

住宅:リニューアル

シェア向上、利益率改善を目指す。

代理店協業深化、スペースデザイン力の強化、受注・出荷・配送サービスの拡充・高度化

非住宅:新築

シェア向上、利益拡大を目指す。

経営資源の重点配分、戦略的調達強化、デザイン力の発展的強化

非住宅:リニューアル

数量増を目指すと同時に、高価格商品投入により、利益率も改善させる。

経営資源の重点配分、コトのデザイン力強化

 

*3つの施策
(1)デザイン力の発展的強化と戦略的調達の推進
◎デザイン力の発展的強化
従来の商品デザイン力の強化に加え空間デザイン力の強化とコトのデザイン力強化を進める。
3つのデザイン力の相互作用を通じて、総合的なデザイン力を発展的に強化させる。

 

デザインに関してはこれまでも、各事業部の商品開発課の商品デザイン、コントラクトデザイン室の非住宅関係の空間デザインの提案、ショールームにおける住宅関連を中心としたコーディネーション提案を行っているが、加えてスペースクリエーション事業部では様々な形でスペースのデザイン提案を行っている。またフェアトーンでも、デザイナーを採用し、デザイン力を持った施工工事の拡大に努めている。
営業組織においても、設計会社、デザイナー、インテリアコーディネーターとデザインに関する議論を行っており、情報も収集されている。このように社内の各部署で、デザインを重要な課題として捉え、デザイン力の強化に複合的に取り組んでいくが、そのベースとして全社のデザイン戦略を明確にし、市場の求めるデザイン・機能・コストも含めてデザイン戦略を立てた上で、デザイン力全体を発展的に強化していく。

 

◎戦略的調達
同社の商品は、商品数・デザイン数の多少、取引ロットの大小など多様な商品から構成されている。
このうち、商品デザインの数の多い商品、取引ロットの小さい商品は、デザインの多様性を重視し、仕入れ先の分散を進め、多様な仕入れ先からデザイン提案等を受けることが重要である。
一方、デザイン数・商品数が少なく、取引ロットの大きい商品は、コスト競争力を強化していくこと、特定のメーカーや仕入先とのアライアンスをさらに強化していくことが重要であると考えており、商品の特性・状況に応じて調達の方針を明確にし、戦略的調達を推進する。

 

(2)サービス機能の拡充と高度化
同社での受注・出荷・発送の流れは
受注(内装施工業者から代理店を経由) → 出荷(代理店向け) → 配送(代理店から施工現場、もしくは同社が直接配送)

 

となっており、受注から出荷までの時間差は、一般的に2時間から4時間で、この間に10センチメーターもしくは枚数単位で商品を用意して出荷している。この出荷に基づいて、内装施工業者や顧客が発注してから、当日中ないし翌日までに商品を届けるクイックデリバリーを実行している。
一方、同社が仕入先(メーカー)に発注して、メーカーが生産を仕上げるまでには、数週間から数カ月かかる。

 

このような状況の下で、素早く受注し、素早く出荷・配送するというサービスが重要な機能となっているが、一方で施工において、顧客である内装施工業者の施工仕事量は、季節における変動が大きく、施工力の過不足も発生する。
施工がタイトな時期には、施工応援の要請があり、これに応じて代理店、また同社が直接、施工の支援を行うことも多く、これも重要な機能と位置づけている。
こうした受注、在庫・出荷、配送、施工、全体のサービスを、人手不足の中でも拡充・強化することが同社サービスの強化、事業の強化につながると位置づけ、今回の中計期間中も、各種施策の実行が必要である。

 

(受注)
受注における社員関与率は前中期経営計画中にBPO導入によって78.7%から大幅に低下し、その後もEDIでの受注比率の拡大、オンライン受注の拡大に伴って、社員関与率は13.3%へと、BPO比率も46.4%まで低下している。
今中期経営計画中にオンラインの比率を40.3%から62%まで引き上げると同時に、BPO比率を32%まで、社員関与率を6%まで低下させる。AIの活用も検討している。

 

(出荷)
前中期経営計画中には全国の出荷設備の更新、新設・統合を行った。
2021年1月、新関西LC(ロジスティクスセンター)が稼働を開始した。同社にとってはいままでにはない無人化・省人化設備を導入した。在庫・出荷に関しての持続性を確保するために、今後さらに首都圏および中部圏においても省人化設備を導入する計画である。

 

(配送)
前中期経営計画中には、東北を中心として配送体制の整備を進めた。
今後も、北関東、静岡、北陸、関西、九州などで地域配送体制を拡充すると同時に、重量物の配送も、大都市圏を中心に整備していく。

 

(施工)
フェアトーン社で、約650人の施工技能者が施工に従事。この他、サンゲツ単体で依頼している施工技能者、パートナーの施工事業者等を合わせると、現在、約1,000人の内装施工技能者を有している。
今中計中にさらに内装施工力を強化・拡充すると同時に、総合施工力の向上、施工ネットワークの拡充にも努める。

 

(3)代理店との協業深化と営業体制の強化
代理店経由の販売比率が、16年3月期の57.7%から21年3月期には67.2.%へと上昇している。
代理店との協業強化は、効率化および量的拡大の上で重要であり、代理店との協業を量的・質的に強化し、最終23年3月期までに代理店経由の販売数量を70%とする計画だ。
また、情報・DATAの共有・活用による効率化と分業もさらに推進していく。

 

課題と認識している営業体制については、営業人員数を850~890名とほぼ現在の人員数を維持したまま、非住宅市場でのスペック活動に社員を重点的に投入し、非住宅市場でのスペック力強化を図る。
デザイン力を活用した営業強化にも取り組む。
非住宅顧客へのデザイン営業の拠点であるコントラクトデザイン室が、非住宅を中心としたスペースデザイン及び特注デザインを提案するほか、ビルダー・ハウスメーカー・リフォーム事業者へのデザイン営業の拠点であるショールームは、住宅を中心としたデザインコーディネーション提案に注力する。

 

◎エクステリアセグメント
川下市場の営業展開を強化し、首都圏での事業拡大を行うと同時に、景観工事へ進出する。
また、既存事業の機能として、重量物を中心とした配送体制、また施工の強化にも取り組む。

 

③-2 基幹事業のリソースに基づく次世代事業の収益化
*海外セグメント
各国において、強固な経営基盤の構築を行うと同時に、最適モデルの追求と徹底した現地化、ブランディングとプロダクトポートフォリオの強化を図る。

 

◎強固な経営基盤の構築
前期減損を計上したKoroseal社、巨大な東南アジア市場攻略の拠点となるGoodrich社中心に新経営陣の招請、人員強化、新拠点設立を進める。

 

(同社資料より)

 

◎最適モデルの追求と徹底した現地化、ブランディングとプロダクトポートフォリオの強化
最適モデルを追求すると同時に、内装材料ビジネスにはローカルの力が重要なため、徹底した現地化を進める。
また、プロダクトポートフォリオ強化については、各国市場の要求する商品を強化すると同時に、ブランディングもさらに強化する。
ブランディングに関しては、米国においてはKoroseal、カナダにおいてはMetro、中国においてはサンゲツとGoodrichの2ブランド、香港においてはGoodrich、ベトナム、タイにおいてはGoodrichとサンゲツ、マレーシア、シンガポールにおいてはGoodrichブランドを強化する。

 

(同社資料より)

 

*スペースクリエーションセグメント
スペースクリエーション企業を目指すにあたり、スペースクリエーションセグメントが先鋒となるが、同セグメントに限らず全社を挙げて、スペースクリエーション企業を目指す。
サンゲツには顧客基盤(ホテル・宿泊・オフィス・商業・福祉など)、非住宅の空間デザインを提案するコントラクトデザイン室の約60名のスタッフおよび社外インテリアデザイナーとの連携によるデザイン力、フェアトーンの内装仕上げ施工力など、既存の基幹事業において豊富な知見と強みを有している。
これに、スペースデザイン力・発想力・構想力・提案力・コンサル力、木工・照明・電気を対象とする総合的な施工力、施工管理力の強化といった専門能力の獲得・強化を進め、顧客にとって最適な空間を創造・提供し、スペースクリエーション事業を拡大していくのが、スペースクリエーションセグメントの役割である。

 

③-3 経営・事業基盤の強化
◎業務執行の能力強化と効率化
教育研修の拡充、高度専門人材の採用拡大、現場力と専門能力の強化、多様性に富んだ雇用推進などで業務執行の能力強化を図るとともに、業務改革・テレワークの常時実施・社内での定期的かつ密接な意思疎通による業務執行の効率化も進める。
これら現場力と専門能力強化のために職責内容を重視した人事制度・給与制度への変更にも着手する。
また、引き続き健康経営の推進、エンゲージメントの向上、インクルージョンある雇用促進にも取り組む。

 

◎DATAの高度活用体制の整備
同社では、多数・多様な顧客から多数・多様な商品の発注を受け、大量の出荷を行っており、多様かつ膨大なDATAが日常的に発生している。
これらは「受注関連DATA」「出荷・配送関連DATA」「営業関連DATA」に分けられるが、このうち、「受注関連DATA」「出荷・配送関連DATA」は、現在、代理店などとの連携により入手しているが、代理店の出荷・配送関連DATAは未入手である。また、営業関連のDATAに関しても構造化されていない。
そこで、将来的にDATAを活用した業務の可視化や効率化、効果的なマーケティングの展開、各事業における事業転換を可能にするためには、未入手DATAをさまざまな努力を通じて入手して構造化DATAとすることおよび、非構造化DATAである営業DATAを質的DATA・定性DATAとすることによって、DATAを連携・分析することが必須である。
今回の中期経営計画期間中に少しずつでも着実にDATAの高度活用体制整備を進めていくことを目標としている。

 

 

③-4 社会的価値の実現
ESG課題として、地球環境、人的資本、社会資本、ガバナンスの4グループに分けて課題を抽出し、マテリアリティを明確にした上で諸施策を立て、実行していく。
ESGの諸課題抽出、諸施策の実行にあたっては、長期ビジョンで定めた「社会的価値の実現」「Inclusive、Sustainable、Enjoyable」「みんなで いつまでも 楽しさあふれる」という3つの価値の実現とリンクさせた上で、実行する。

地球環境

「地球環境への負荷低減」

①事業活動における環境負荷の低減

・GHG排出量の削減

・エネルギー使用量の削減

・廃棄物総廃棄量の削減

・リサイクル率向上

 

②サプライチェーンにおける環境負荷の把握と低減

・サプライヤーごとのGHG原単位の把握と、調達活動での考慮

 

③ロングライフ商品の拡充

・高耐久性商品の開発

・長期継続品の拡充

 

④見本帳の回収・リサイクルの拡大

・回収リサイクル体制の構築と拡大

人的資本

「多様な人材が活躍する組織」

①社員の健康と能力開発

・社員の健康・安心・安全の確保

・業務変革による働き方改善の推進

・きめ細やかな人事マネジメントに基づく能力開発

・社員エンゲージメントの向上

 

②ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・女性活躍推進

・障がい者雇用の拡大

・グループ内での人材交流を含む外国籍人材の増員

社会資本

「サプライチェーンの安心・安全・魅力の向上」

「コミュニティ参画」

①商品安全性の向上

・原料の見直し

 

②品質安定性の向上

・商品クレームの削減

 

③環境・人権・労働安全衛生を考慮した調達活動の推進

・調達先との長期安定的な取引関係の構築

 

④取引先と一体となった働き方の改善

・バリューチェーンを通じての業務体制の変革・改善

 

⑤コミュニティへの積極的な参画

・児童養護施設リフォームでのスペースクリエーション

・発展途上国の子どもたちに向けた支援活動

・社員の積極的な参加

 

⑥インテリア文化の向上と芸術支援

・サンゲツ壁紙デザインアワードの継続開催

・各種芸術イベント支援

ガバナンス

「コーポレートガバナンスの強化」

①取締役会の実効性強化

・取締役会の多様性推進

・取締役会の独立性確保

 

②指名・報酬委員会の実効性強化

・時間軸かつ明示された資格要件に基づく指名の検討

・報酬決定プロセスの客観性確保と内容開示

 

③コンプライアンスの徹底

 

④ステークホルダーとの責任ある対話の実施

 

③-5 定量目標 

 

経済的価値、社会的価値、資本政策の3点について定量目標(KPI)を掲げている。

 

(1)経済的価値:2023年3月期目標

連結売上高

1,720億円

連結営業利益

120億円

連結純利益

85億円

ROE

9.0%

ROIC

9.0%

CCC

65日

 

(2)社会的価値:2023年3月期目標

1.地球環境

事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減

①GHG排出量

 

SBT:WB 2度水準達成(※)

カーボンニュートラル

※2021年5月22日 当初目標を変更して公表

*2031年3月期目標

②エネルギー使用量

4.0%削減(2018年度比)

③廃棄物総廃棄量

4.0%削減(2018年度比)

④リサイクル率

83.0%以上

2.人的資本

(1)社員の健康と能力開発

①特定保健指導実施率、がん検診受診率、有所見率、メタボ率の改善

②非喫煙率80.0%以上

(2)ダイバーシティ&インクルージョンの推進

①女性管理職比率

20.0%以上

②障がい者雇用率

4.0%以上

3.社会資本

コミュニティへの参画

①児童養護施設リフォームでのスペースクリエーション

年間30件

②社員の積極的な参加

マッチングギフト:13,000 S-mile

※2021年5月17日 当初目標を変更して公表

※:世界の気温上昇を産業革命前より2°Cを十分に下回る水準(Well Below 2°C:WB2°C)に抑え、また1.5°Cに抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年〜15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標。

 

(3)資本政策
◎資本政策

1.自己資本を900〜950億円の範囲で維持する。

2.3年間の総額で総還元性向を、ほぼ100%とする。

3.自己株式取得および配当に関しては、安定増配を念頭に、新型コロナウイルス感染症の業績に与える影響を見極め都度決定する。

 

◎資本配分政策・未定としていた資本配分に関して、3年間の業績見通しが明確になり、2021年5月に決定。

 

中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]期間中の資本配分政策

資金創出・調達

資金配分

2020年3月末 保有現金同等物 ※

368億円

成長投資 ※

200~260億円

3年間の営業キャッシュ・フロー

280~300億円

株主還元

170~190億円

3年間の借入金

△50~100億円

2023年3月末 期末現金

250~300億円

※現預金と株式以外の有価証券

※M&A、マイナー投資(アライアンス強化)、設備投資(物流・DXなど)

 

 

<参考2:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2022年6月23日

 

<基本的な考え方>
当社は、「誠実」を社是とし、企業価値の向上を図るため全てのステークホルダーとの良好な関係を築き、持続的に発展していくことを目指しています。
その実現のため、経営の透明性、迅速性、効率性を基盤としたコーポレートガバナンスの強化が重要な経営課題であると認識しています。
当社は、社外取締役の経営参加による取締役会の監査・監督機能を強化することをねらいとして、監査等委員会設置会社へ移行しています。
このガバナンス体制のもと、更なる企業価値の向上に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
2021年6月の改訂後のコーポレートガバナンス・コード(プライム市場向けの内容を含む)に基づいて記載しています。
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。

<各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

【原則1-4. いわゆる政策保有株式】

1.政策保有に関する方針、保有の適否に関する検証内容

事業戦略上、新たに関係を強化すべき企業、また、取引先として継続して関係を強化すべき企業などの観点から総合的に判断して中長期的に保有する政策保有株式を決めております。保有株式については毎年、保有にかかるコストとリターンを確認し、中長期的にも保有意義がなくなったと判断した場合には株式の売却を行う方針であり、それに基づいた運用をしております。取締役会における検証の結果、保有継続を決定した銘柄については、有価証券報告書の「株式の保有状況」欄で開示します。

2.議決権行使の考え方

投資先企業の経営方針を尊重した上で、様々なチャンネルを通じた対話やコミュニケーションを行い、その企業の中長期的な企業価値の向上、株主還元姿勢、コーポレートガバナンスやCSRへの取組みなどを総合的に判断するとともに、議案の内容が当社の保有目的に適合するか、又、当該企業の価値向上につながるかを個別に精査した上で賛否の判断をしています。

【原則2-4 女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保】

補充原則2-4① 中核人材の登用等における多様性の確保

(1)多様性の確保についての考え方

サンゲツグループ人権方針、サンゲツグループダイバーシティ基本方針を掲げ、性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無、性自認および性的指向などにかかわらず、従業員一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進しています。

 

(2)多様性の確保の自主的かつ測定可能な目標、及び多様性の確保の状況

・女性の管理職への登用

当社の正社員の女性社員比率は37.0%で、両立支援制度の拡充など性差問わず働き易い環境を整備してきたことにより年々増加しています。また、リーダー層(係長クラス)での女性比率は38.3%、管理職での女性比率は17.9%です。当社では2022年までに女性管理職比率を20%とする目標を掲げており、2017年度からの女性管理職比率の推移を当社ウェブサイトで開示しています。

https://www.sangetsu.co.jp/company/sustainabilit y/social/divercity_policy.html

 

女性活躍を支援するために、女性社員及び上司に対するキャリア形成支援と支援スキル向上研修、女性活躍支援健康セミナー等も実施しています。

・中途採用者の管理職への登用

経営人材、情報システム、デザイナー等の専門人材を確保するため、2016年より中途採用者の採用を積極的に行っております。執行役員については7名のうち中途採用者は3名で、その割合は4割を超えています。執行役員以外の管理職比率は、2022年4月1日時点で7.6%です。当社では専門人材、プロ人材については社内での育成と共に中途採用を積極的に推進しており、毎年管理職として数名を採用し、また、非管理職として採用した人材についても他の正社員と同様に公正な管理職登用を行っています。中途採用者の定着を図り活躍を支援するために、入社後の研修等も実施しています。

・外国籍人材の管理職への登用

サンゲツ単体は主として国内市場をターゲットにしていますが、グループでの海外事業展開を始めた2015年より外国籍人材の採用を行っております。これらの人材は今後国籍の区分なく能力と業務パフォーマンスを基準に平等に管理職へ登用していきます。なお、グループの海外事業会社では、事業の中核を担う役員ポストのうち59%が外国籍人材です。

(3)多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況

背景や感性、価値観などの違いによる新たな視点や発想を、豊かな創造性につなげる「ダイバーシティ・マネジメント」を経営の中核に据え、多様化する市場の要請を捉えながら、成長実現に向けた重要施策として取り組んでいます。ダイバーシティ&インクルージョン目標として、外国籍人材の積極採用、障がい者雇用の拡大、及び女性管理職登用支援を掲げています。この他にも、有給休暇取得率の向上、長時間労働の是正、及びLGBTQに関する取組み等を行っています。

補充原則3-1③

・サステナビリティについての取組み

長期ビジョン【DESIGN 2030】において、SDGsで示される17の目標の内、10を当社グループ目標内に入れています。また中期経営計画【D.C. 2022】において、基本方針の一つに「社会的価値の実現」を掲げています。具体的な施策としては、①環境負荷の低減について具体的な数値目標の設定、②サプライチェーンにおける環境負荷の把握を促進(将来的には調達活動の判断基準の一つとする予定です)、③高耐久性のあるロングライフ商品の開発、環境対応商品の開発、④見本帳リサイクルがあります。④については、sangetsu見本帳リサイクルセンターを2021年3月に開設、業務を開始しております。

・人的資本への投資

当社は、社員の多様性、人格、個性を尊重し、一人ひとりが経営の主人公として能力を最大限発揮できる人事制度の運営を目指しており、これらの制度については、当社ウェブサイトで開示しています。

https://www.sangetsu.co.jp/company/sustainability/social/divercity_policy.html

 

人的資本への投資としては、社員の育成・能力開発、エンゲージメントの向上、働きやすい環境整備などがあげられますが、当社はこの全てに積極的に取り組んでいます。このうち育成・能力開発については、新たに導入した人事制度と連動させて高い専門性への教育投資やリスキリングなどへ、費用対効果を計りながら増額させていく予定です。さらに、当社では健康経営方針『健康に働き、人生を送る「従業員が生き生きと働くために」』を掲げており、従業員が生き生きと働くために、安全・健康・快適で働きやすい職場環境の確保と、心身の健康づくりに向けた推進体制の充実を図り健康の保持・増進活動に取組んでおり、これらの活動についても、当社ウェブサイトで開示しています。

https://www.sangetsu.co.jp/company/sustainability/social/health_management.html

 

・知的財産への投資

長期ビジョン【DESIGN 2030】において、商品・空間自体の美しさや機能、コーディネーションを追求するだけでなく、空間と人とのかかわりを構想・デザインすることでブランド価値を向上する「デザイン経営」を経営の基本としています。デザイン経営を実現するため、デザイン戦略担当部門を設置し、デザイン人材の採用拡大、育成を通じた商品・空間デザイン提案力強化、さらに知的財産権、特に商標及び意匠の創造及び保護を積極的に行うことで、ブランド価値の向上を図っております。その他、従業員の職務発明に対しては、職務発明取扱いに関する社内規定に従い適切な報奨金を支払い、知的財産の創造を促進しております。

・気候変動が事業活動に与える影響

2022年6月発刊の有価証券報告書に気候変動リスクを記載し、統合報告書42~45ページでは地球環境保全について、事業活動における環境負荷の状況をまとめています。事業活動やサプライチェーン全体での負荷低減の取組みを記載しています。当社ウェブサイトでは、「気候変動に関する考え方、重要課題」について、グラフや表を多用して説明しています。

https://www.sangetsu.co.jp/company/sustainability/environment/climat echange.html

「気候変動によるリスクと機会」についても、表を用いて説明しています。

https://www.sangetsu.co.jp/company/sustainability/envir onment/risk.html

また、2022年度より、社長を委員長とするリスク管理委員会において、「気候変動リスク部会」を新たに設置して、より組織的なリスク管理体制での対応と監視を行い、リスクと機会の特定と対応についてレビューと再検討を進めています。

なお、当社はTCFDに賛同するとともに、TCFD開示項目4要素(戦略、ガバナンス、リスク管理、指標と目標)を概ね開示していますが、今後、更なる質と量の充実を進めてまいります。

【原則5-1. 株主との建設的な対話に関する方針】

 

・IR活動に関しては社長自らが統括し、IR面談、決算説明会も対応しています。海外投資家にも直接説明するなど投資家との積極的な対応を行っています。また、定期的に全社外取締役を含む監査等委員と機関投資家のミーティングを実施しています。  

・株主との対話を合理的に推進し且つ機動的なIR活動を実践するために、総務部広報IR課を設置しています。

・国内・海外機関投資家、アナリストとの対話は要望に応じて社長執行役員、担当役員、総務部広報IR課が面談しています。

・IR活動は広報IR課を専門部局としますが、各事業本部、財務経理部、社長室経営企画課などの各部門が連携し、より実効性の高い情報提供に努めています。

・決算発表のほか、機関投資家向けには、決算説明会、経営戦略説明会、ロジセンター見学会等のイベントを開催、個人投資家向けには、証券取引所主催の個人投資家向けIRイベントへの参画のほか、株式情報誌への出稿やウェブサイトの拡充など積極的な情報開示を実施しています。

・2017年より当社品川ショールームにおいて株主向け会社説明会を実施し、主に関東地区の個人株主様への会社説明の機会を設けています。本説明会には取締役全員が出席し、社長執行役員が会社説明を行っています。(2020年度・2021年度は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため未実施)

・各イベント等で使用した説明用資料や対話の様子をウェブサイトで開示しており、必要に応じて英語版も開示しています。

・各年度において統合報告書を作成し、当社ウェブサイトで日本語版と英語版を開示しています。

https://www.sangetsu.co.jp/company/ir/library/report.html

・直接的な対話、ウェブサイト上の資料、決算説明会の動画、及び株主総会の動画の公開を通じて、株主に対し当社の経営戦略、事業環境、事業進捗、財務情報などに関して理解を深めて戴ける活動を実践しています。

・株主や投資家との対話を通じて得られたご意見は広報IR課を通じて経営の改善に役立てています。

・インサイダー情報の管理の取扱いについては、内部者取引等管理規定(インサイダー取引防止規定)に基づき、未公表の重要事実の管理を徹底し、適切に対応しています。

 

 

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