ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

プライム

ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション 2023年2月期第1四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

影山 直司 社長

株式会社ピックルスコーポレーション(2925)

 

 

企業情報

市場

東証プライム市場

業種

食料品(製造業)

代表者

影山 直司

所在地

埼玉県所沢市東住吉7-8

決算月

2月

HP

https://www.pickles.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,112円

12,859,200株

14,299百万円

13.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

1.8%

136.93円

8.1倍

1,288.57円

0.9倍

*株価は7/7終値。発行済株式数、DPS、EPSは23年2月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2019年2月

40,670

1,409

1,561

920

71.94

14.00

2020年2月

41,417

1,871

1,973

1,290

100.83

15.00

2021年2月

46,020

2,711

2,829

1,832

142.96

17.50

2022年2月

45,006

2,942

3,068

2,128

165.59

20.00

2023年2月(予)

40,700

2,500

2,630

1,760

136.93

20.00

* 予想は会社予想。単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。EPS、DPSは2021年9月1日付で実施した1:2の株式分割を遡及して調整。23年2月期第1四半期から収益認識に関する会計基準(以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用。

 

 

(株)ピックルスコーポレーションの2023年2月期第1四半期決算概要などをご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2023年2月期第1四半期決算概要
3.2023年2月期業績予想
4.今後の主な施策
5.今後の注目点
_<参考:コーポレート・ガバナンスについて>_

 

今回のポイント

  • 23年2月期第1四半期から収益認識会計基準等を適用。売上高は同基準の適用、新型コロナウイルス感染症の感染者数減少に伴う巣ごもり需要の反動減や、原材料価格高騰による食料品の値上げによる節約志向の影響を受け減収(収益認識会計基準等の影響を受けているため、減少率は記載していない)。営業利益は前年同期比49.3%減の6億72百万円。天候が比較的順調に推移したことで、原料野菜の価格は安定したが、減収により減益。

     

  • 業績予想に変更は無い。23年2月期の売上高は前期比9.6%減の407億円の予想。巣ごもり需要の反動減のほか、今期から適用する収益認識会計基準等が影響する。営業利益は同15.0%減の25億円の予想。減収計画などにより売上総利益が同23.0%減少。販管費の削減も進めるが6期ぶりの減益を予想している。配当は前期と同じ20.00円/株を予想。予想配当性向は14.6%。(収益認識会計基準等適用前の22年2月期の売上高及び売上総利益に対する前期比はインベストメントブリッジが計算した参考値)

     

  • 第1四半期の進捗率は売上高、営業利益とも、例年に比べやや低水準となっている。23年2月期から収益認識会計基準等を適用していることもあり、通期で6期ぶりの減益を予想しているが、第2四半期以降、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」といった重点戦略を展開し、売上・利益をどのように積み上げていくのかを注目したい。

     

     

1.会社概要

浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行っており、(株)ピックルスコーポレーション札幌、(株)ピックルスコーポレーション関西、(株)フードレーベル等の連結子会社18社、持分法適用関連会社3社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします。」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約80%が契約栽培)が中心で、保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、5S活動への取り組み、更にはFSSC22000やJFS-Bの認証取得等、「安全な食へのこだわり」は強い。

 

【1-1 経営理念】

経営理念は「おいしくて安全、安心な商品を消費者にお届けし、同時に地球環境に配慮した企業経営を目指します」。その上で、①安全でおいしい製品を作るための品質管理、②地球環境に配慮した企業経営、③従業員のモラルアップと安全・健康を第一とした職場づくり、を経営方針として掲げている。この方針に則り、食品安全の規格であるFSSC22000、JFS-Bや環境管理の国際規格であるISO14001に取り組んでいる他、人事制度や教育制度等の充実を図る等で従業員教育にも力を入れている。
こうした経営理念をベースとして「SDGs」や「ESG経営」にも注力しており、ESGに関する取り組み・課題と、企業価値向上に向けたストーリーを伝えるためにESGレポートを作成している。

 

「ESG Bridge Report」
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2022/04/220405_2925.html

【1-2 事業内容】

2022年2月期の品目別売上構成は、製品(自社工場で生産)売上が65.8%(浅漬・キムチ41.9%、惣菜22.8%、ふる漬1.1%)、連結子会社(株)フードレーベル製品や他社仕入商品(自社工場以外での生産)売上が34.2%。

 

(製品・商品概要)
◎浅漬・キムチ
サラダ感覚で食べられる浅漬を野菜の旬の時期に合わせたラインナップで提供している。近年は、消費者の健康志向の高まりにより、従来製品より低塩な「減塩浅漬」なども販売。
「安全・安心」な食品の提供を重視する同社として、主要原料の白菜、キュウリは国産を使用。保存料・合成着色料は一切使用していない。

 

2009年10月に販売を開始した主力商品「ご飯がススムキムチ」は、キムチは辛いという従来の基本概念を捨てて、主婦層が家族に食べさせたいキムチというコンセプトを打ち出し、日本人の嗜好に合わせて、甘みや旨みを際立たせるオリジナルの味として開発した。また、300~400グラムの容量が多いキムチ商品の中で、家族で食べ切れるようにと200 グラムに設定し、買いやすい量目と価格に設定。さらに、冷蔵庫内に収まりやすいスリムな形状とするとともに、赤やオレンジ色のデザインが多かったキムチ売場で、黒をメインカラーとしたパッケージデザインを採用した。この結果、当初の狙い通り女性や子供を中心に支持を集めている。
また、キャラクターや食品メーカーとのコラボレーション商品も開発するなど、ラインナップを充実させている。

 

現在、浅漬とキムチの漬物市場における構成比は約50%。漬物市場全体は縮小傾向にあるものの、浅漬やキムチの市場は安定している。
浅漬・キムチは野菜を主原料としており、食物繊維が豊富な低カロリー食品として見直され、今後の需要の伸びが期待されている。

 

 

 

 

ご飯がススムキムチ

叙々苑ポギキムチ

4種のぬか野菜

(同社資料より)

 

◎惣菜
2002年8月から惣菜の取扱いを開始し、着実に売上高を拡大している。近年は、消費者が節約志向を強めて外食を控え、惣菜を買って家庭内で食事をする中食の傾向が強まっているほか、高齢者・単身者世帯や共働き世帯の増加により食事のスタイルが変化しており、惣菜の需要は今後も拡大が見込まれている。
同社ではその強みである「野菜」をキーワードに開発を行っており、現在は、ナムルなどが好調。また、野菜の品種にこだわった製品を展開したり、サラダのドレッシングを自社開発したりするなど、惣菜にオリジナリティ・付加価値をつけ開発している。このほか、製品のpHコントロールによる緑色野菜の変色防止などの技術を活用している。

 

 

 

 

4種のナムルセット

棒棒鶏サラダ

オクラのおひたし

(同社資料より)

 

(販売先)
全国の量販店、小売店、卸などが販売先であり、販路別構成(22年2月期)は、量販店・問屋等74.5%、コンビニ16.7%、外食・その他8.8%となっている。

 

(同社資料基に㈱インベストメントブリッジ作成)

 

【1-3 特長・強み・競争優位性】

同社は、以下のような特長・強み・競争優位性を有している。

 

(1)漬物業界でトップシェア
食品新聞記事を基に同社が作成した売上ランキングでは、同社は連結売上高460億円で、2位以下を大きく引き離し、シェア14.1%のトップである。以前から掲げている15%達成を目指しており、M&Aを含めてシェアアップを図っていく考えだ。

 

(同社資料より)

 

(2)独自性の高い商品開発力
製品開発を迅速かつ柔軟に実現するため、コンビニエンスストア、量販店、外食産業など、取引先ごとに開発担当と営業担当によるチーム体制を構築し、顧客の意見を反映することで他社とは違うオリジナリティあふれる商品を開発している。
野菜、調味料などの素材選びから、加工方法、味、パッケージなど、多面的に開発を推進している。
基礎研究を担う研究開発室は、同社が独自に開発した植物由来の乳酸菌Pne-12(以下「ピーネ乳酸菌」とする)をはじめとした乳酸菌に関する研究など、将来を見据えた取り組みを行っている。

 

(3)全国をカバーする生産・物流体制
直営工場と物流センター、子会社、関連会社で全国を網羅。漬物業界で唯一、製造、物流、開発、営業機能の全国ネットワークを構築している。このため全国展開している顧客の各店舗に同一の浅漬・キムチや惣菜の提供が可能であり、営業上の大きな訴求ポイントにもなっている。
製造においては、食品安全の規格であるFSSC22000やJFS-Bを導入し、より安全・安心な製品を供給する体制を整えている。

 

(同社資料より)

 

(4)販売先に密着した提案型営業
全国に展開する同社の販売拠点では、それぞれの地域・販売先に密着した提案型営業を実施している。
主力の浅漬、キムチをはじめ、惣菜売場向けの商品ラインナップの充実を進め、営業担当が販売方法を提案し、売場づくり・漬物フェアの開催など、消費者への様々なアプローチを販売先とともに考えている。加えて販売先とのコミュニケーションから得た情報を社内にフィードバックし、消費者動向を商品開発等に役立てている。

 

 

(5)販売先のニーズに対応するベンダー機能
浅漬、キムチ、惣菜等を自社で製造するメーカーとしての機能と、自社工場で製造できない梅干等の商品を全国各地の漬物メーカーから仕入れて販売する卸売機能の二つの機能を有している。自社製品、他社商品を同時に提供することができるベンダー機能を活かし、販売先のニーズに合わせたトータルな売場づくりを提案することが可能である。

 

【1-4 ROE分析】

 

17/2期

18/2期

19/2期

20/2期

21/2期

22/2期

ROE(%)

6.5

8.6

8.0

10.4

13.3

13.7

 売上高当期純利益率(%)

1.53

2.32

2.26

3.11

3.98

4.73

 総資産回転率(回)

2.02

1.90

1.88

1.79

1.83

1.73

 レバレッジ(倍)

2.10

1.95

1.89

1.88

1.83

1.67

 

持続的な収益性改善によりROEは上昇。3期連続で10%を超えている。

 

2.2023年2月期第1四半期決算概要

【2-1 連結業績】

①概要

 

22/2期1Q 

構成比

23/2期1Q 

構成比

前年同期比

(適用あり)

参考

(適用無し)

参考

(前年同期比、適用無し)

売上高

12,067

100.0%

10,517

100.0%

-

11,130

-7.8%

売上総利益

3,687

30.6%

2,436

23.2%

-

3,061

-17.0%

販管費

2,360

19.6%

1,763

16.8%

-

2,406

+1.9%

営業利益

1,326

11.0%

672

6.4%

-49.3%

655

-50.6%

経常利益

1,361

11.3%

699

6.6%

-48.6%

682

-49.9%

当期純利益

928

7.7%

476

4.5%

-48.7%

-

-

* 単位:百万円。23年2月期第1四半期から収益認識会計基準等を適用。これに伴い売上高、売上総利益及び販管費は減少率を記載していない。適用なしの前年同期比は、開示資料を基に、インベストメントブリッジが計算した参考値。

 

減収減益
売上高は収益認識会計基準等の適用、新型コロナウイルス感染症の感染者数減少に伴う巣ごもり需要の反動減や、原材料価格高騰による食料品の各品目における値上げによる節約志向の影響を受け減収。
営業利益は前年同期比49.3%減の6億72百万円。天候が比較的順調に推移したことで、原料野菜の価格は安定したが、減収により減益。

 

 

【2-2 財政状態とキャッシュ・フロー】

◎財政状態

 

22年2月

22年5月

増減

 

22年2月

22年5月

増減

流動資産

10,864

11,127

+263

流動負債

7,345

7,420

+75

 現預金

6,034

5,578

-456

 仕入債務

2,828

3,483

+655

 売上債権

4,205

4,762

+557

 短期有利子負債

1,893

1,863

-30

 たな卸資産

578

728

+150

固定負債

1,989

1,882

-107

固定資産

15,227

15,149

-78

 長期有利子負債

1,055

949

-106

 有形固定資産

13,588

13,535

-53

負債合計

9,334

9,303

-31

 無形固定資産

571

557

-14

純資産

16,757

16,973

+216

 投資その他

1,066

1,056

-10

負債・純資産合計

26,091

26,276

+185

資産合計

26,091

26,276

+185

有利子負債合計

2,948

2,812

-136

* 単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

現預金減少、売上債権増加などで総資産は前期末比1億85百万円増の262億76百万円。仕入債務増、長短有利子負債減等で負債合計は同31百万円減少し93億3百万円。利益剰余金増で純資産は同2億16百万円増加の169億73百万円。
自己資本比率は前期末より0.3ポイント上昇し63.8%。

 

3.2023年2月期業績予想

【3-1 連結業績予想】

①主要損益計算書

 

22/2期 

構成比

23/2期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

45,006

100.0%

40,700

100.0%

-9.6%

25.8%

売上総利益

12,466

27.7%

9,600

23.6%

-23.0%

25.4%

販管費

9,523

21.2%

7,100

17.4%

-25.4%

24.8%

営業利益

2,942

6.5%

2,500

6.1%

-15.0%

26.9%

経常利益

3,068

6.8%

2,630

6.5%

-14.3%

26.6%

当期純利益

2,128

4.7%

1,760

4.3%

-17.3%

27.0%

* 単位:百万円。今期から収益認識会計基準等を適用。適用前の22年2月期との売上高の前期比はインベストメントブリッジが計算した参考値。

 

業績予想に変更なし。減収減益を予想
業績予想に変更はない。売上高は前期比9.6%減の407億円の予想。巣ごもり需要の反動のほか、今期から適用する収益認識会計基準等が影響する。
営業利益は同15.0%減の25億円の予想。減収計画および例年並みの原料価格により売上総利益が同23.0%減少。販管費の削減も進めるが6期ぶりの減益を予想している。
配当は前期と同じ20.00円/株を予想。予想配当性向は14.6%。

 

◎品目別売上高計画

 

22/2期 

構成比

23/2期(予)

構成比

前期比

製品

29,631

65.8%

27,345

67.2%

-7.7%

浅漬・キムチ

18,858

41.9%

17,283

42.5%

-8.4%

惣菜

10,264

22.8%

9,575

23.5%

-6.7%

ふる漬

508

1.1%

485

1.2%

-4.5%

商品

15,374

34.2%

13,354

32.8%

-13.1%

売上高合計

45,006

100.0%

40,700

100.0%

-9.6%

* 単位:百万円。今期から収益認識会計基準等を適用。適用前の22年2月期との前期比はインベストメントブリッジが計算した参考値。

 

◎販路別売上高計画

 

22/2期 

構成比

23/2期(予)

構成比

前期比

量販店・問屋等

33,530

74.5%

30,599

75.2%

-8.7%

コンビニ

7,536

16.7%

6,639

16.3%

-11.9%

外食・その他

3,938

8.8%

3,460

8.5%

-12.1%

売上高合計

45,006

100.0%

40,700

100.0%

-9.6%

* 単位:百万円。今期から収益認識会計基準等を適用。適用前の22年2月期との前期比はインベストメントブリッジが計算した参考値。

 

◎販管費計画

 

22/2期

対売上比

23/2期(予)

対売上比

前期比

販管費合計

9,523

21.2%

7,100

17.4%

-25.5%

物流費

4,677

10.4%

2,118

5.2%

-54.8%

人件費

3,104

6.9%

3,211

7.9%

+3.4%

広告宣伝費

196

0.5%

270

0.6%

+37.8%

その他

1,544

3.4%

1,498

3.7%

-3.0%

売上高

45,006

100.0%

40,700

100.0%

-9.6%

* 単位:百万円

 

 

4.今後の主な施策(前回レポートを再掲)

【4-1 今後の戦略】

自社の強みを活かし、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」「新規事業」の4つの戦略を推進し業容拡大を図る。

 

①製品開発強化
*漬物・キムチ
(市場環境)
食品新聞記事を基に同社が作成した漬物業界における売上ランキングをみると、連結売上高450億円の同社がトップで、以下、東海漬物221億円、秋本食品133億円、備後漬物112億円となり、売上高が100億円を超えるのは、この4社のみである。
漬物市場全体は2000年の4,800億円から2020年には3,200億円まで縮小する中、企業数も2,000社から800社へと集約が進んでいる。
2位以下を大きく引き離す同社のシェアは14.1%(2020年)で、以前から掲げている15%達成を目指している。

 

食生活の変化や米飯の需要減等の影響はあるが、キムチ等の好調により市場全体としては下げ止まり、前期は、新型コロナウイルス感染症による巣ごもり需要などにより、業界全体として好調に推移。漬物の生産量も2019年の742千tから2020年の777千tへと増加した。引き続き商品開発を強化し、シェアアップを図る。

 

(商品開発事例)
主力の「ご飯がススムキムチ」は、2023年2月期の売上高は前期比10.6%減の78億円を計画している。
家族で楽しめるおいしさに加え、ピーネ乳酸菌を配合し健康志向需要を取り込んでいる。
2022年2月にご飯がススム辛口キムチ・カクテキをリニューアルした。
辛口キムチは魚介の濃厚さはそのままに、辛さとにんにく感を強め、おつまみにも合う味わいとした。カクテキはかつおの風味はそのままに、すっきりとした甘さとアクセントに辛さを加え絶妙な甘辛さが後を引く味わいとした。
また、包装パッケージのインキをバイオマスインキに切り替えた。CO2排出量は従来のインキと比較して10~20%減少する(インキメーカー算出による参考値)。バイオマスマークを表示し周知を図る。容器の素材にもリサイクル原料を使用するなど、環境に配慮した素材を使用している。

 

*惣菜
(市場環境)
同社の資料によると(日本チェーンストア協会調べ)、2021年の惣菜市場(和・洋・中華惣菜、弁当、サンドウィッチ等の惣菜類)の市場規模は1兆1,663億円(2019年1兆508億円、2020年1兆575億円)。
単身世帯増加、高齢化、女性の社会進出、健康や栄養バランス等の食への関心の高まり、更には家事の簡便化や時間短縮ニーズを反映して拡大が続いている。
この分野では、フジッコ(売上高642億円、純利益34億円)、ケンコーマヨネーズ(売上高685億円、純利益14.5億円)、エバラ食品(売上高513億円、純利益25億円)といった上場企業や、デリア食品(キユーピーグループ)、イニシオフーズ(日清製粉グループ)といった上場企業の子会社等と競合している。

 

同社は後発ではあるが(2003年参入)、きめ細かい営業と、健康志向にマッチした野菜を使った惣菜にフォーカスする事で売上を伸ばしており、22/2期は102億円と初めて100億円を突破した。

 

(商品開発事例)
今後は、「既存商品(ナムル、サラダ、ピリ辛胡瓜等)の見直し」「家飲み需要に合致した商品の開発」「健康志向を考慮したドレッシングを使用したサラダの開発」に取り組む。

 

ドライ商品として、「重慶飯店監修 叉焼のたれ」「本格焼肉専門店トラジのサラダドレッシング ごま風味」を発売した。
前者は、豚ブロック肉をセットし、電子レンジで加熱するだけで手軽に本格叉焼を作ることができる。中華料理の代表的なミックススパイスである五香粉が効いた中華の名店こだわりの味を再現している。パッケージ裏面に記載したウェブサイトでアレンジレシピを紹介している。
後者は、ほのかな酸味とごま油の風味がマッチした香り豊かなドレッシングで、本格焼肉専門店「焼肉トラジ」のゴマサラダのドレッシングの味わいを再現している。肉や冷奴など様々なメニューに使うことができる。

 

②販売エリア拡大
同社は、関東地区における売上が全体の50.7%を占め、西日本エリア(近畿、中国・四国、九州・沖縄)の構成比は約25%。
西日本エリアの地域別人口比率が約38%であることを考えると、販売拡大余地は大きく、西日本での販売拡大により30%以上に引き上げることを目標としている。
佐賀工場の稼働で生産余力のできた(株)ピックルスコーポレーション関西・広島工場や増築・改修が完了した(株)手柄食品の供給力を活かして、近畿地区、中国・四国地区、九州地区での生産・販売を強化する。

 

③販売先拡大
コンビニエンスストアや量販店の漬物・惣菜売場や外食などでのシェアアップと共に、食料品を強化しているドラッグストアや、量販店において、漬物売場・惣菜売場のみでなく、豆腐売場、納豆売場、たれ・ドレッシング売場、加工商品売場といった既存分野以外の売場への商品展開に注力する。高齢者向け等の配食事業者の開拓にも力を入れる。
既存売場以外への商品展開は、営業効率・物流効率の改善にもつながるため積極的に取り組んでいく。

 

④新規事業
「ピーネオンラインショップ」(ピーネ乳酸菌を活用した商品)と「八幡屋オンラインショップ」(本格漬物)の2つのECサイトによるピーネ関連製品や漬物の販売、子会社(株)OHによる外食・小売事業に加え、子会社(株)ピックルスファームにより農業事業にも参入した。

 

「ピーネオンラインショップ」と「八幡屋オンラインショップ」の2つのECサイトは2018年4月にオープン。
「ピーネオンラインショップ」は、ピーネ乳酸菌を活用した商品を展開し、「八幡屋オンラインショップ」では国産の主原料をじっくり漬け込んだ漬物を展開している。ピーネ乳酸菌の関連商品は2019年4月に工場が完成し、6月に出荷を開始した。工場の稼働により、糀甘酒等の製品を冷蔵品から常温品として扱えるようになった。2022年夏頃にリニューアルを予定している。

2019年3月に設立した子会社(株)OHは、2020年10月に発酵・健康のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」(埼玉県飯能市)において外食事業及び小売事業を開始した。
テイクアウトメニュー等の商品開発、体験教室の種類拡充・土地所有者である能仁寺との各種企画(座禅、写経)などイベントの企画・実施、SNSを活用した認知度向上、旅行会社のツアー活用、EC事業との連動などに取り組んでいる。
2022年2月期の実績は売上高2億23百万円、営業損失82百万円。
今期は売上高2億75百万円、営業損失60百万円を見込んでいる。

 

子会社(株)ピックルスファームは2022年3月に設立され、埼玉県内で農業事業を開始した。
所沢工場やOH!!!向けの小松菜やさつまいもを生産しており、安定調達や農業を通じた地域活性化を目指している。
具体的には特殊原料や試験品種の検証、定植・収穫体験の実施(社内研修・子ども食堂)、野菜残渣を利用した循環型農業の実現、JGAP(※)に沿った運営などに取り組んでいく。
※JGAP:日本の法律や生産環境、社会環境を考慮し、農場運営、食品安全、環境保全、労働安全、人権・福祉の視点から適切な農場管理の基準を定めた認証。同社工場でもJGAPで管理された原料野菜の仕入れを行っていく。

 

【4-2 各種取り組み】

その他、広告宣伝、生産、ESG・SDGsなどについての取り組みは以下の通り。

 

①広告宣伝
認知度向上のため、屋外看板などの広告宣伝、SNSによる情報発信などを行った。

 

②生産・管理など
コスト削減・効率化を図り、野菜調達の見直し(地域毎の調達等)、不採算アイテムの見直し及びアイテムの集約化、省力化機械の導入(白菜の芯取り機、キムチの自動化ライン)、ラベル検査機の導入等による製品検査の強化及び効率化を進める。

 

新型コロナウイルス感染症対策として、出勤前及び出勤時の検温、業務時間中のマスク着用・手指消毒、時差勤務・在宅勤務、ワクチン接種者に対する見舞金の支給を行っている。

 

③ESG、SDGs
新たに、「社会や地域に対する貢献活動」「地球温暖化対策及び資源の有効活用」「サプライチェーンとの共同での取り組み強化」「従業員の多様性や個性を尊重した能力開発を行い、働き甲斐のある職場づくり」などのマテリアリティを特定し、ESG・SDGsに関する取り組みを強化している。
2022年3月にサステナビリティサイトを公開し今後の方針や取り組みを紹介している。
https://www.pickles.co.jp/sustainability/

 

【4-3 中期経営目標】

 

22/2期

構成比

23/2期

(計画)

構成比

24/2期

(計画)

構成比

25/2期

(計画)

構成比

売上高

45,006

100.0%

40,700

100.0%

41,500

100.0%

42,000

100.0%

売上総利益

12,466

27.7%

9,600

23.6%

9,750

23.5%

9,900

23.6%

営業利益

2,942

6.5%

2,500

6.1%

2,550

6.1%

2,600

6.2%

経常利益

3,068

6.8%

2,630

6.5%

2,680

6.5%

2,730

6.5%

当期純利益

2,128

4.7%

1,760

4.3%

1,800

4.3%

1,830

4.4%

* 単位:百万円。22/2期は収益認識会計基準等の適用なし。以降は適用あり。

 

 

22/2期

23/2期

(計画)

25/2期

(計画)

CAGR

浅漬・キムチ

18,858

17,283

17,663

+1.1%

惣菜

10,264

9,575

10,121

+2.8%

ふる漬

508

485

487

+0.2%

商品

15,374

13,354

13,728

+1.4%

売上高

45,006

40,700

42,000

+1.6%

* 単位:百万円。22/2期は収益認識会計基準等の適用なし。以降は適用あり。CAGRは23年2月期から25年2月期までの2年間の年平均成長率、インベストメントブリッジが計算。

 

 

20/2期

21/2期

22/2期

23/2期(計画)

24/2期(計画)

25/2期(計画)

設備投資

1,769

1,409

718

1,400

1,900

2,700

減価償却

838

931

953

1,007

1,026

1,022

* 単位:百万円

 

今後3年間で60億円の設備投資を計画している。
主なものは、「23/2期 設備更新等」「24/2期 キムチ専用工場(関東)、設備更新等」「25/2期 工場新築(関西)、設備更新等」。省人化のための機械化投資を強化するほか、北陸地方を含めた西日本への販路拡大に向けた製造拠点増強にも取り組む。
キムチに関しては、大幅な人件費低減が可能と見ている。

 

5.今後の注目点

第1四半期の進捗率は売上高、営業利益とも、例年に比べやや低水準となっている。23年2月期から収益認識会計基準等を適用していることもあり、通期で6期ぶりの減益を予想しているが、第2四半期以降、「製品開発強化」「販売エリア拡大」「販売先拡大」といった重点戦略を展開し、売上・利益をどのように積み上げていくのかを注目したい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2022年5月30日)

 

基本的な考え方
当社は、法律と社会倫理に基づいて行動し、経営方針を実現し、継続的な成長をするため、コーポレート・ガバナンスが経営の重要課題であると考えております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由(抜粋)>
【原則 1-4.政策保有株式】
当社は、上場株式については保有しないことを原則としております。しかしながら、取引関係の維持・強化等経営上の合理的な目的に基づき保有する場合には、その目的に応じた保有であることを定期的に確認しております。
なお、個別の政策保有株式の保有の適否の検証及びその内容の開示方法については、今後、検討してまいります。
政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたしますが、当社及び投資先企業の中長期的な企業価値向上に資するものか等を総合的に判断し適切に行使しております。

 

【補充原則2-4①】
当社は、年齢、国籍、性別等を区別することなく、意欲と能力のある従業員を管理職(部長職以上)へ登用しております。管理職の登用について、管理職に占める女性の割合は8.3%であり、今後は、増加させてまいります。外国人については従業員に占める割合が小さいため目標を定めておりません。中途採用者については、経験・能力等を総合的に判断し、管理職に登用しているため、目標を定めておりません。
社員一人ひとりの能力向上を目指し、自ら学ぶ姿勢の醸成に努めており、自己啓発支援制度、資格取得報奨金制度などを導入しております。また、働きやすい職場環境作りを重要な経営課題と認識しており、リフレッシュ休暇、ノー残業デー、時差出勤などを導入しております。

 

【補充原則3-1③】
当社は、サステナビリティについて、環境、 安全・安心などを重要課題と認識し、取り組みを行っております。また、人的資本への投資は、教育制度、従業員の働きやすさなどに、知的財産への投資は、乳酸菌の研究などを行っております。これらはホームページのサステナビリティサイトや、ESGレポート、IR資料を通じで公表しております。
国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示について、今後検討してまいります。 

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示(抜粋)>
【原則 5-1.株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主・投資家の皆様が当社を正しく理解できるよう、透明性、公平性、継続性を基本とした迅速な情報開示に努めております。
金融商品取引法などの関係諸法令及び金融商品取引所の定める適時開示規則に基づく情報開示を行うとともに、当社の理解のために有効と思われる情報についても適切な方法により積極的な情報開示に努めております。
具体的には、決算説明会を年2回、個人投資家向け説明会についても適宜実施しており、個別取材にも可能な限り代表取締役社長及び広報・IR室が対応しております。
また、IRの担当部署として、広報・IR室を設置するとともに、ディスクロージャーポリシーを当社ホームページに掲載しております。

 

 

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