ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ 展示会訪問レポート『FOOMA JAPAN2022』
小國 勇 代表取締役社長兼CEO | オプテックスグループ株式会社(6914) |
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企業情報
市場 | 東証プライム市場 |
業種 | 電気機器(製造業) |
代表取締役社長兼CEO | 小國 勇 |
所在地 | 滋賀県大津市におの浜4-7-5 |
決算月 | 12月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(期末) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
2,068円 | 37,735,784株 | 78,037百万円 | 11.2% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
36.00円 | 1.7% | 129.50円 | 16.0倍 | 987.36円 | 2.1倍 |
*株価は6/10終値。発行株式数、DPS、EPSは2022年12月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2018年12月 | 40,113 | 4,989 | 5,038 | 3,775 | 104.85 | 30.00 |
2019年12月 | 37,517 | 2,856 | 2,876 | 2,197 | 60.02 | 32.50 |
2020年12月 | 34,846 | 2,098 | 2,176 | 1,395 | 38.59 | 30.00 |
2021年12月 | 45,866 | 4,630 | 5,130 | 3,762 | 104.18 | 30.00 |
2022年12月(予) | 53,000 | 6,000 | 6,100 | 4,600 | 129.50 | 36.00 |
*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及修正。
展示会訪問レポート オプテックスグループ株式会社の連結子会社である、工場用センサーの開発・販売を手掛けるオプテックス・エフエー株式会社が出展した「FOOMA JAPAN 2022(2022国際食品工業展)」(開催日 2022年6月7日~10日)を訪ねましたので、その内容についてご報告します。
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目次
1.オプテックス・エフエー㈱ 会社概要
2.「FOOMA JAPAN 2022」の出展内容
3.中島社長との質疑応答
1.オプテックス・エフエー株式会社 会社概要
(会社概要) 2002年1月、オプテックス株式会社からの事業分社により設立。現在は、オプテックスグループ株式会社の100%子会社。 工場におけるモノづくりの製造工程で使用されるFA用センサーを開発・販売している。「お客様の満足、会社の成長、社員の幸福を実現する」を企業理念に掲げる。 代表者は、代表取締役社長 中島 達也氏。 オプテックス・エフエー株式会社のウェブサイトはこちら
| 売上高推移(同社ウェブサイトより)
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(事業内容)
主な取り扱い製品は、工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサー、変位センサー、画像センサー、LED照明等。
国内では食品・医薬品業界を中心とした幅広い業界における生産ラインの品質管理に用いられている。海外では産業用センサーのトップシェアを誇るSICK AG社(独)との技術提携により、ヨーロッパ全域でOEM販売を行っている。
自社ブランドでは国内・アジア・北米と幅広い地域で販売されている。
(製品アプリケーション事例)
変位センサー
| 画像センサー
| 光電センサー
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(オプテックス・エフエー ウェブサイトより)
(特徴・強み)
変位センサー | 高さ・厚みの測定、反りや歪み・振れの測定、ある位置から他の位置へ移動した際の変位量の測定、幅・蛇行制御、段差判別などをミクロン単位で行う。新開発のイメージセンサーを搭載し、レーザー光による、非接触で高精度・高速・安定測定が可能。 |
画像センサー | 賞味期限やバーコードなどの印字検査において、高度な画像処理技術を活用し、あらゆる検査ニーズに応える。パターンマッチング・文字認識に特化したマルチカメラタイプや、低価格を実現したオールインワンタイプをラインナップしている。 |
光電センサー | 通過、到着検出から微小体検出など、様々なアプリケーションに応じた幅広いラインナップを備える。 |
2.FOOMA JAPAN 2022
FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)は、一般社団法人 日本食品機械工業会が主催する展示会で、『食品機械・装置および関連機器に関する技術ならびに情報の交流と普及をはかり、併せて食品産業の一層の発展に寄与することとし、「食の安全・安心」に関心が高まる中、食品機械の最先端テクノロジー、製品、サービスを通して、「食の技術が拓く、ゆたかな未来」を提案する』ことを目的としている。
FOOMA JAPAN2022のウェブサイトはこちら
2022年で45回目の開催となり、出展社数874社、来場者数は4日間で92,717名だった。
オプテックス・エフエーは、2021年12月期にグループ入り(2022年12月期より連結対象)したミツテック株式会社と共同出展を行った。オプテックス・エフエーでは、業界No.1の出荷数を誇る印字検査をはじめ、熱画像検査やAI外観検査を、ミツテックは、ラベル検査、AI具材検査など中食*向けソリューションを展示した。
*中食(なかしょく):家庭以外で調理された食品を持ち帰り、家で食べること。
同社展示ブースの様子(FOOMA ウェブサイトより)
(1)主な出展製品
◎印字検査用画像センサーGVS-OCRシリーズ
(印字検査について)
食品には賞味期限・消費期限の表示をする「印字」がなされている。正確性が第一の印字ではあるが、公表されている食品事故の中で、食品表示にかかわる事故が最も多く発生しており、そのうち印字事故(期限表記の誤記)は食品事故全体の約20%を占めている。特に設定期限を超えた日付の誤表記は健康被害が生じる可能性も高まるため、数日の違いであっても対外的に公表される傾向にある。
事故が公表されると、信用問題につながるため、食品メーカーは「印字事故」の発生を抑制する必要に迫られているが、高額な初期投資と高度な専門性が壁となり、目視検査から印字検査機による検査への移行は進んでいない。
(製品概要・特徴)
こうした状況に対し、オプテックス・エフエーでは、「従来の1/3~1/5の投資額」というローコスト機を目指し、また包装機やラインへの後付けのしやすさ、誰でも設定変更ができる簡易さを20年近く追求してきた。 こうした点がユーザーに評価され、カメラを使った印字検査市場において、同社の印字検査機年間出荷台数は世界1となっている(同社調べ)。 |
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(オプテックス・エフエー ウェブサイトより)
印字検査用画像センサーGVS-OCRシリーズは、これまで同社が蓄積してきた印字検査のノウハウを基に、操作性や使い勝手を最優先に開発した製品である。
印字検査専用機としての基本性能を向上させトレーサビリティやリモート管理など、食品製造現場の最新課題やニーズに応える機能を搭載した。
*主な特徴
簡易な操作性 | 専用モニタからはタッチパネルで直感的に操作できる。 |
トレーサビリティに対応 | 期限表示、製造番号などの情報を正しく検査し、検査結果の解析・保存が可能。 |
ネットワーク化・リモート管理 | 業界初となるWEBサーバを搭載。WEBブラウザ上で操作でき、専用パソコンソフトは 不要。ネットワークに接続することで、工場間での検査結果や画像を共有することも可能。 |
これらの様々な性能が高く評価され、当製品は第24回(2021年)日食優秀食品機械賞を受賞。
また、本展示会の第1回FOOMAアワードにおいて、874社の中から13社のみ選ばれる審査委員会賞を受賞した。
FOOMAアワード
(食品業界での製品アプリケーション事例)
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(オプテックス・エフエー ウェブサイトより) |
◎ラベル検査システム HVS-CVシリーズ
(ラベル検査について)
弁当や惣菜に貼付される食品表示ラベルには、「商品名」「売価・重量」「消費期限」「原材料名・アレルゲン表示」「バーコード」など様々な情報が表示されている。どれも商品管理の上で間違いの許されない情報である。
そのため、ラベルの貼り忘れ、貼り間違い、消費期限のミス・印字欠けの検査は極めて重要である。
(製品概要・特徴)
ラベル検査システム HVS-CVシリーズは、高解像度500万画素のOCRカメラを搭載しており、安定した文字読取能力によるラベル検査が可能で、例えば、商品が回転していても正確にラベル内容を読み取ることができる。また、印刷ミスによる左右・上下の印字切れにもNGを出すなど、高精度な印字検査を実現する。
*主な特徴 注:同製品は、2022年4月1日に、ミツテック株式会社に事業移管を行っている。
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簡易な操作性 | タッチパネルで直感的に操作が可能で、品種追加が3分以内で行える。 | ||
トレーサビリティに対応 | 最大800万枚の全画像保存が可能。全検査結果をCSV形式で保存できる。 | ||
拡張性 | 工場事務所から検査状況把握や品種データの調整及び他ラインへのコピーが可能。 | ||
(ミツテック ウェブサイトより) |
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(ラベル検査システムの製品ラインナップ)
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(ミツテック ウェブサイトより)
◎熱画像検査システム
(ホットメルトについて)
段ボールの固定・組み立てや食品のシール材として使用されるのがホットメルト接着剤である。ホットメルトは引火の心配の
ある有機溶剤は一切含まない不燃性の接着剤で、毒性がないため、食品の容器やシール材にも使用されている。
(製品概要・特徴)
熱画像検査システムは、ホットメルト接着剤が正しく塗布できているかを検査するシステム。 赤外線サーモグラフィを使って撮影すると、通常のカメラでは見えない塗布不足などの欠陥を、温度分布により可視化できる。さらに画像処理システムと連携させれば、良否を高精度に自動判定することが可能である。 X線検査装置のような大規模なライン改造は不要で、ローコストで検査システムを導入することができる。 |
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(オプテックス・エフエー ウェブサイトより)
*主な用途
ダンボールのホットメルト塗布検査 | ディスペンサーの詰まり、接着剤の温度異常などが塗布形状に影響を与える。 サーモグラフィであれば目では見えにくい接着剤の形状を可視化でき、不良を検出できる。 |
食品パッケージのシール不良検査 | シール工程で加熱不足により不良が発生することがあるが、サーモグラフィであれば温度分布を可視化でき、高精度な検査が可能。 |
(食品・医薬品・包装業界での製品アプリケーション事例)
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(オプテックス・エフエー ウェブサイトより)
3.質疑応答
展示会見学後、オプテックス・エフエー株式会社の中島社長にお話を伺った。
オプテックス・エフエー株式会社
代表取締役社長 中島達也氏
Q. 前期(2021年12月期)の業績、ファクトリーオートメーション業界の現状について
A. 業績面では、21年12月期は売上・利益共に過去最高を記録した。利益は高収益製品の売上増が寄与し大幅に拡大した。業界の動向については、現在、ファクトリーオートメーション業界における自動化の需要は依然として底堅い。コロナ禍による影響もあるが、それ以上にEV、5G、IoTといった需要がグローバルで着実に増大している。特に近年、当社が業績を伸ばしている中国では、スマートフォン関連から二次電池関連へと需要がシフトしてきている。
Q. 中期目標、戦略について
A. 中期目標は、営業・開発・生産面で質・量共に充実を図り、一人当たり売上高を現在の4-5倍に引き上げることを目指している。そのために、国内外で営業マンの増員とCRM(顧客管理システム)を充実させることで、新規顧客・休眠顧客の開拓を積極的に行い、取引社数の増加を狙う。海外市場においては、提携先のドイツSICK AG(ジック社)との協業体制の活用はもちろん、注力製品である変位センサー、光電センサーの自社ブランド品の更なるラインナップ強化も進める。
Q. 半導体・電子部品不足について
A. 部品需給の逼迫に伴う原価の上昇に加え、物流費のコストアップの影響も受けている。お客様の要望納期に応えるべく、生産継続を最優先しつつ、販売価格の適正化も慎重に精査して検討していく方針である。
編集後記
同社では、企業理念として「顧客満足」を第一に掲げており、利益中心の競合他社に対して「顧客満足最優先のソリューション営業力」と「顧客の期待を超える高機能商品群を適正価格」で提供する戦略で業績を大きく伸ばしている。近年は代理店経由から直接営業へのシフトを行い、現場のニーズを的確に収集していることが「変位センサーCDXシリーズ」等、業績を牽引するヒット商品の開発に繋がっているようだ。尚、主力の変位センサーのシェアは、対前年で10%程度上がっていると推察する。
今後の注力商品の「IO-Linkシリーズ」についても説明を受けた。オプテックスグループでは、中期成長戦略として「製品単体のモノ売り」から「コト売り(ソリューション販売)」への変革を推進している。主力のIA事業(FA関連)の中心であるオプテックス・エフエーも「IO-Linkシリーズ」を軸としたソリューション販売を進めている。IO-Linkの最大のメリットは、「予知保全」ができることである。IO-Linkの市場は、「生産現場の見える化」を進める顧客での採用が期待できる。「IO-LinkマスターURシリーズ」は、今後の業界スタンダードになり得る期待の新製品とのこと。営業開始した当初より、市場規模が想定以上に拡大しているという。IO-Linkシリーズ
海外、特に中国、アメリカ、アジアでの拡大も重要な目標と考え、変位センサー、光電センサーを戦略商品と位置付け自社ブランドでの展開も目指している。
大きな強みの一つであるオプテックスグループ会社間のシナジーを活かして更なる成長を目指す同社の今後を注目していきたい。
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