ブリッジレポート
(4371) 株式会社コアコンセプト・テクノロジー

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ブリッジレポート:(4371)コアコンセプト・テクノロジー 2021年12月期決算

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金子 武史 社長CEO

株式会社コアコンセプト・テクノロジー(4371)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

情報・通信

代表取締役社長CEO

金子 武史

所在地

東京都豊島区南池袋 1-16-15 ダイヤゲート池袋11階

決算月

12月

HP

https://www.cct-inc.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

9,050円

3,903,500株

35,326百万円

30.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00

-

154.22円

58.7倍

502.32円

18.0倍

*株価は3/17終値。各数値は21年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年12月(実)

3,371

133

132

95

27.87

0.00

2019年12月(実)

4,766

165

183

117

34.32

0.00

2020年12月(実)

5,534

180

188

124

35.53

0.00

2021年12月(実)

7,801

546

546

410

112.17

0.00

2022年12月(予)

10,400

852

868

602

154.22

0.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。2020年11月11日付で1:1,000株の株式分割を実施。EPSは遡及して調整。

 

株式会社コアコンセプト・テクノロジーの会社概要、業績動向、金子社長へのインタビューなどをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年12月期決算概要
3.2022年12月期業績予想
4.金子社長へのインタビュー
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 「DX支援サービス」と「IT人材調達支援サービス」を通じて国内システムインテグレーション業界の構造問題を打開し、「IT産業の次世代」を創出し、新しい価値を提供するITベンダーを目指している。ものづくりに関する知見と先端IT技術、DX導入における提案力、IT人材調達力などが競争優位性。産業領域の拡大と産業内横展開、開発パートナーの対象エリア拡大などで成長を目指す。

     

  • 21年12月期の売上高は前期比41.0%増の78億1百万円。DX支援、IT人材調達支援とも大幅な増収。新型コロナ禍の影響は未だ残るものの、成長率が鈍化した20年12月期から成長率は大きく回復した。DX支援実績を背景とした積極的な提案活動により、売上高1,000億円以上の大企業との取引が拡大した。既存顧客との継続的な取引拡大により大口取引先数が増加傾向にある。営業利益は同202.1%増の5億46百万円。外注費、人件費などコストも増加したが、増収効果で吸収し大幅な増益となった。

     

  • 22年12月期の売上高は前期比33.3%増の104億円、営業利益は同56.1%増の8億52百万円の予想。変異型ウイルスの感染拡大による国内経済への影響をはじめ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続くが、DX関連投資及びIT人材調達の需要は共に増加基調で推移すると見ている。売上原価、販管費とも増加するが増収で吸収し、今期も大幅増益を見込んでいる。売上総利益率、営業利益率とも上昇する。

     

  • 今期の取り組みとしては、DX支援においては、製造業は新規顧客への拡販、建設業は取引を開始したスーパーゼネコンからの受注拡大を図る。IT人材調達支援においは、既存大手SIerとの着実な取引拡大と新規顧客開拓に取り組む。幹部層を中心とした社員の採用にも注力し、マネジメント及びデリバリー体制を強化する。人材採用費は前期実績 47百万円に対し、今期は2億円を計画している

     

  • 金子武史社長に、企業理念、自社の競争優位性、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。「まだまだ微力な当社ですが、存在感を十分に発揮して社会的な課題の解決をしながら、投資家のお役にも立っていきたいと思っています。対話通じて、株主・投資家の皆様と一緒に目指す姿を実現したいと考えておりますので是非当社を応援していただきたいと思います」とのことだ。

     

  • 殆どの企業が今後の取り組みで言及しているのが「DXの推進・導入」である。ただ、具体的に何を行うのかは曖昧で、自社にとって必要なDXとは何かが具体的にイメージできている企業は、決して多くないのが実情のようだ。そうした状況下では、金子社長がインタビューの中で触れているように、「人間は頭の中でイメージできていないものに対して決断できるはずはない」わけで、一定のコストをかけてDX導入に踏み切る企業はまだまだ少ないとは言える。

     

  • 同社は成長戦略において、各産業のピラミッドの上位20%を当面のターゲットとしている(自動車業界では約800社が該当)。金子社長が新卒入社した製造業に強みを持つ企業変革を支援する企業でさえも顧客企業50社程度で日本トップクラスであったということであり、未開拓の巨大市場がコアコンセプト・テクノロジーの目の前には広がっている。その強みである「ものづくりに関する知見と先端IT技術」「DX導入における提案力」を武器に、どのようなスピードで日本企業のDX推進を支援していくのか注目していきたい。

     

     

1.会社概要

「DX支援サービス」と「IT人材調達支援サービス」を通じて国内システムインテグレーション業界の構造問題を打開するとともに、「IT産業の次世代」を創出し、新しい価値を提供するITベンダーを目指している。ものづくりに関する知見と先端IT技術、DX導入における提案力、IT人材調達力などが強み、競争優位性。

 

【1-1 上場までの沿革】

ITの可能性に強く惹かれていた金子武史氏(現 株式会社コアコンセプト・テクノロジー 代表取締役社長CEO)は、大学で情報工学を学んだ後、製造業をデジタルで変革することを標榜するベンチャーに入社。新卒ながら入社直後から即戦略としてプロジェクトをいくつも担当し、ハードワークも苦にせずやりがいを持って成長していった。
その後、別の成長機会を見出すべく会社を離れ、別の企業でコンサルタントとしてITによる企業の変革支援にさらに磨きをかけていく。
そうした中、リーマンショックにより新卒で入社したベンチャー企業が民事再生を選択することとなった。
民事再生とはなったものの、そのベンチャーが有していた製造業の企業変革のための知識やノウハウを活用し、加えて、世の中に新たな価値を創出したいという想いから、2009年9月、かつての同僚数名と共に、IT技術を活用し、顧客の事業改革を支援することを目指して株式会社コアコンセプト・テクノロジーを設立した。
顧客との接点を増やし、受注した案件には誠心誠意対応して成果を残すという基本動作を繰り返すことで着実に実績を積み上げるとともに、製造業・建設業といった「ものづくり」におけるDX支援に関するノウハウを蓄積し、現在のビジネスモデルを構築していく。
ち密な計算の下に立てた事業計画を毎期達成して業容を拡大させ、2021年9月、東証マザーズに上場した。
ちなみに、金子氏が2015年7月に代表取締役CEO就任時に立てた計画は「2021年11月に年商50億円、社員数250人でマザーズ市場に上場」というもの。実際には「上場月は11月ではなく9月、社員数は250ではなく243、売上高は50億円ではなく55億円」という正確さであった。

 

【1-2 理念】

以下のミッション、ビジョン、行動指針を掲げ、新しい価値を提供するITベンダーを目指している。

ミッション

「IT産業の次世代」を創出する

ビジョン

Right AI , Right DX.

私たちはIT企業として、お客様の真なるデジタル化(DX)を支援/推進し、来るAI時代の企業競争力強化を実現するために、価値ある役割を果たしてまいります。

行動指針

Think Big , Act Together.

常識や固定概念を取り去って、自由に発想をぶつけよう。

意志を持って進めていけば、世界が求める新しい価値に気づくことができるはず。

 

私たちは、お客様にも社員にもそして多くの関係者にも支えられている。

その理解を日々の行動に結びつけるため、Act Together の精神を貫く。

 

世界の進化につながる着想・概念を、価値あるかたちとして実現するために。

 

【1-4 市場環境・業界構造】

国内民間企業IT市場規模は約12~13兆円程度で推移している((株)コアコンセプト・テクノロジー有価証券報告書より)。
そのうち大半を大手SIer(システムインテグレーター)が1次請けとして受注し、その下に2次請け、3次請けが連なるピラミッド型の多重請負構造となっている。
中小IT企業の多くはシステム開発の一部を担う人材供給元としての役割に留まり、結果として「中間マージンの介在による非経済性」「IT人材調達の非効率性(手間や時間がかかる)」「大手SIerと中小IT企業間のエンジニアの所得格差」といった課題が生じている。

 

また、2018年に公表された経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」で指摘されているように、あらゆる産業において競争力維持・強化のためにDXを推進することが喫緊の課題となっている一方、DXを推進することのできる人材が大手SIerやコンサルティングファームに集中しているため、事業会社が自らDXを自立的かつ継続的に実現することができず外部のITベンダーに依存せざるを得ないという深刻な経営課題が生じている。

 

加えて、「IT人材需給に関する調査(経済産業省、2019年4月)」によれば、2030年にはIT人材の需給ギャップは中位モデルで約45万人に拡大する可能性があると試算されており、ITベンダーにとってはもちろん、事業会社においてもエンジニアの調達力が競争力を大きく左右する状況となっている。

 

(同社資料より)

 

【1-5 事業内容】

(1)コアコンセプト・テクノロジーの目指す姿
同社は、上記のような国内システムインテグレーション業界の構造問題を打開し、ミッションに掲げているように、「IT産業の次世代」を創出し、新しい価値を提供するITベンダーを目指している。

 

具体的には、以下のような目標を掲げている。

DX後のあるべき姿の策定から技術検証、システム構築、運用・保守、内製化まで一気通貫で伴走支援することにより、事業会社が自立的かつ継続的にDXを実践できる状況にする。

T業界の多重請負構造を解消し、事業会社が直接的にIT人材調達を行える状況にする。

それによって中小IT企業のエンジニアの活躍の場が広がり待遇が向上する。

当社の顧客企業や開発支援パートナー企業の競争力、ひいては我が国全体のIT競争力の向上を実現する。

 

(2)サービス内容
目指す姿実現に向けて、コンサルティング力とAI技術の融合による主に製造業・建設業のDX実現を支援するサービスを主軸に、卸売業・小売業・情報通信産業などのその他の産業の支援、デジタイゼーション支援やSalesforceのカスタマイズ導入支援、ITエンジニア調達支援などを幅広く手掛けている。

 

事業セグメントは、DX関連事業のみの単一セグメント。中心サービスは「DX支援サービス」と「IT人材調達支援サービス」の2つ。

 

(同社資料より)

 

①DX支援サービス
同社独自のDX実現手法「CCT-DX Method」や、仕組みの構築・運用を効率化するDX開発基盤かつIoT/AIソリューション「Orizuru」を活用し顧客企業のDXを支援している。
多様な業種を経験した専門性の高いコンサルタントが、DX後のあるべき姿の策定から技術検証、システム構築、運用・保守、内製化まで一気通貫で顧客を伴走支援する。

 

◎独自のDX実現手法「CCT-DX Method」
DX実現を一気通貫で伴走支援するための独自手法である「CCT-DX Method」を活用し、顧客企業のDX実現を支援している。
「CCT-DX Method」は以下4段階のプロセスから成り、それぞれの概要、特長は以下の通りである。

①「目指す姿の策定」

(概要)

DX実現のグランドデザインを「DX-ToBeダイジェスト」という形式で示す。

 

(特長)

DX実現後に事業はどういう姿になるか、現場業務はどう変わるか、どの程度効果があるか等をわかりやすいビジュアルで示す。

②「技術検証」

(概要)

DX実現後の業務が最初から最後まで実現できるか、そしてスムーズに流れるかを検証する。

 

(特長)

机上やツールで部分的に概念検証するのが一般的だが、同社では実システムを組み上げ、実データで検証する。

③「仕組み構築」

(概要)

段階的に、開発期間を短縮する「アジャイル形式」でシステム開発を進める。

 

(特長)

顧客企業と一体となり短期間での開発サイクルを繰り返すため、その後の内製化を見据えた顧客企業のIT人材育成にも寄与する。

④「運用・内製化支援」

(概要)

顧客企業が自立的かつ継続的にDXを実践できる体制を構築する。

 

(特長)

一連のプロセスを通して顧客企業のDX人材の育成を行い、内製化後には同社のIT人材調達プラットフォーム「Ohgi」(後述)を利用し必要なITエンジニア調達業務もサポートする。外部のITエンジニアを直接調達する機会を提供することで、IT人材調達支援サービスでの取引が拡大すると考えている。

 

※DXの実例
製造業の場合、例えば、ある部品を生産し納入するにあたっては、図面を引き、工場の稼働状況などを勘案しながら生産方法を考え、金額及び納期を見積ることになるが、一般的には長年の経験を積んだベテラン社員でなくてはこなすことのできない複雑な属人的業務である。
発注側が仮に3社購買を行うとなると、ベテラン社員が数日、場合によっては1-2週間かけてその複雑な作業を経て見積もりを作成しても、3社中2社は失注することになるという、複雑ではあるが極めて生産性の低い業務となっている。
このベテラン社員が担っている付加価値の高い作業・判断をAI・アルゴリズムによって代替することができれば、属人に頼ることなく、持続的・全社的に見積もり能力を維持・向上させていくことが可能である。

 

同社では、「CCT-DX Method」及び製造業・建設業のDX開発基盤「Orizuru」(後述)によって、契約締結前の営業段階で、DX導入によって自社の事業や業務にどのような変化が生まれ、収益性がどのように向上するかを動的なビジュアルを用いて明確に示すことができる。加えて、全体の約7割にあたる部分は標準化されているため都度個別に開発する必要が無いことからコストも抑えることができるため、DX導入に対するハードルを大きく引き下げている。こうした点が評価され、高い受注確率に結び付いている。

 

また、顧客企業が内製化に成功すると同社の直接的なDX支援ビジネスは終了するが、「運用・保守によって顧客企業を囲い込む」という従来型ITベンダーの発想と一線を画し、同社は真に顧客企業の競争力を高めることを目的としている点も顧客からの信頼に繋がっている。これも、他社との大きな差別化要因である。

(同社WEBSITEより)

 

◎製造業・建設業のDX開発基盤「Orizuru」
「Orizuru」は「製造業向けDX開発基盤」「建設業向けBIM/CIMの開発基盤」から成り、「Orizuru OPC UA」と「Orizuru 3D」という2つの特徴的な機能群で構成されている。

 

*「Orizuru OPC UA」
DX実現のために必要となる元データの収集や各種工程の自動化を実現する通信基盤。現場の設備・装置の状態を自動で取得、数値で把握し、その解析結果に基づき設備・装置に自動的に指示を出すハブとしての役割を果たす。

 

*「Orizuru 3D」
低スペックPCの標準的なブラウザ上でも3次元CADデータを軽量表示することが可能な「Orizuru 3D Viewer」と、過去の設計データやベテラン技術者のノウハウ(見積、製造、不具合情報)等の膨大なデータの中からAIによって類似性を高精度で検索し活用することにより、業務効率化や製造原価の自動見積を実現する「Orizuru 3D 類似検索」で構成されている。

 

こうした「設備・装置からのデータ収集と指示伝達の自動化」「3Dモデルによる可視化」「類似検索」という「Orizuru」の標準機能をベースとして、顧客企業のニーズに応じたカスタマイズを行うことで、顧客企業のDXをスピーディかつ低コストで実現することが可能である。
今後は、製造業・建設業以外の他産業においても標準的に必要な機能を順次拡張していく予定である。

 

(同社資料より)

 

◎DX支援の顧客企業
製造業・建設業を中心に幅広い業種に対して支援を行っている。

(同社資料より)

 

②IT人材調達支援サービス
プロジェクト推進やチームマネジメントに関するノウハウ、広範なIT開発支援パートナーシップや人材調達プラットフォーム「Ohgi」活用によるIT人材調達力を活かし、様々な事業会社・大手SIer・コンサルティングファーム等の人事部門・調達部門・プロジェクトマネージャーなどの機能の一部をワンストップで支援している。

 

顧客企業におけるシステム開発の各フェーズに必要なIT人材をパートナー企業から調達。コアコンセプト・テクノロジーのプロパー社員がプロジェクトリーダーとなり、チームとして支援する。この人材調達・マッチングにおいて、自社開発した人材調達プラットフォーム「Ohgi」を使用している。
現在は自社使用にとどまるが、今後は多重請負構造の解消実現に加え、同社成長に貢献するプラットフォームとして育成していく考えである(詳細は、【1-6 成長戦略】で後述)。

(同社資料より)

 

◎IT人材調達支援の顧客企業
事業会社のみでなく、大手SIerの人材調達も支援している。

(同社資料より)

 

◎IT開発支援パートナー
様々な分野の技術者を抱えているパートナー会社と連携している。
優秀な外注先を拡大させるため、常時ポートフォリオの見直し、入れ替えを行っている。
現在は東京都内のIT企業が中心だか、今後は首都圏及び大阪・福岡・名古屋などエリアの拡大に取り組んでいく。

 

(3)受注経路
同社の受注経路は、事業会社からの1次請けが約5割、大手SIerやコンサルティングファームからの2次請けが約5割。
ものづくりに関する知見と工場管理や建設関連のIT技術の蓄積が強みであるため、製造業・建設業については1次請けが中心であるが、その他の産業についても事業領域を広げ安定的な受注を確保するために、2次請け案件にも積極的に対応している。大手SIerやコンサルティングファームとはDX案件受注で競合することもあるが、コアコンセプト・テクノロジーの技術力や人材調達力を評価されるケースも多いため、「競合ではなく協業」を意識し、協力しながら顧客企業のDX推進に取り組んでいる。

 

(4)顧客企業の属性
顧客企業の規模別売上高構成比は売上高1,000億円以上が約4割、売上高100億円以上1,000億円未満が約3割と、大企業・中堅企業が中心である。
エンドユーザーの業種別では製造業・建設業・卸売業・小売業・情報通信業で7~8割を占めている。

(同社資料より)

 

【1-6 成長戦略】

【1-4 市場環境・業界構造】で触れた国内システムインテグレーション業界の構造問題を打開し、ミッションである「IT産業の次世代」を創出し、新しい価値を提供するITベンダーを目指す同社の成長戦略は以下の通りである。

 

(1)3つの戦略
以下の3つの戦略のシナジーを追求する。

 

戦略①:顧客企業がDX実現・内製化できる「再現性のあるDX方法論+DX機能基盤」 を提供
DX実現・内製化までの方法論である 「CCT-DX Method」に更に磨きをかける。
また、各産業別のDX機能を備えた 「Orizuru」の機能拡張によりDX支援領域を、現在の製造業・建設業から、流通・物流、医療、食品など、順次、横展開がしやすい業種に拡大する。

(同社資料より)

 

戦略②:事業会社がIT人材を直接調達できる仕組みを提供
人材調達プラットフォーム「Ohgi」を顧客企業に提供し、プラットフォーム化する。
発注側、受注側双方の課題を解決する「Ohgi」の課金モデルを確立する。

 

◎人材調達プラットフォーム「Ohgi」
顧客企業におけるシステム開発案件と同社の開発支援パートナー企業に所属するIT人材をマッチングするプラットフォーム。
もともとは、同社が自社のために活用していたシステムであるが、外部ユーザーも使える状態にすべく、案件登録機能、ユーザー間でやり取りするためのチャット機能、各種条件での人材・案件検索機能等を追加し、IT人材調達プラットフォームとして2021年2月にリリースした。

 

多重請負構造においては、一次請から二次請、二次請から三次請へと人材調達を依頼し、今度はその依頼に対する提案を三次請から二次請、二次請から一次請へと上げていくと、「マッチング」には平均して3日から1週間の時間が必要となる。
これに対し、「Ohgi」を利用すれば、「マッチング」は10分程度で可能であり、すぐに打合せ調整の工程に移行することができる。
事業会社や大手SIer等の発注者に対しては発注にかかる時間の大幅短縮とコスト削減効果を、受注者である中小IT企業に対しては案件受注とエンジニアの稼働率向上というメリットを提供する。
同社は、「成約月額×手数料率×契約月数」を課金する。純粋なストックビジネスではないが、Ohgi上で成約数が拡大していくと、Ohgi全体では準ストック化し、安定収益となる。
国内IT産業の課題である多重請負構造の解消を実現するためのプラットフォームでもある。

 

(同社資料より)

 

戦略③:Ohgi登録企業の母集団となるIT開発支援パートナーの拡大
現在東京に集中しているIT開発支援パートナーのエリアを、神奈川・埼玉・千葉など首都圏へ、更には大阪・福岡・名古屋・仙台へと拡大する。

 

これら3戦略を展開することで、売上高は1,000億円規模まで伸長させることが十分可能であると、同社では考えている。

 

【1-7 特長・強み・競争優位性】

(1)ものづくりに関する知見と先端IT技術
同社は、創業時から有する製造業の現場におけるものづくりに関する知見、形状認識や3Dグラフィックス、解析・シミュレーション、AI、IoT、CAD・CAM、PLM、BIM/CIM等の技術を深化させるとともに、理系大学院で高度な数学(線形代数、幾何学等)を修めたIT技術者を中心に採用・育成し、ものづくりに関する知見と先端IT技術を有するエンジニアの増員に努めてきた。

 

製造現場において発生するシステム以外のさまざまな物理的な事象やオペレーションを理解していない状態で、高度なAIやIoT等の技術を組み込んだシステムを開発しても、製造現場のオペレーションに馴染まなかったり、かえって無駄な工数が発生したりする等の問題が生じる。
また、いわゆるインダストリー4.0で先行した欧州企業が提供するスマートファクトリーソリューションは、カスタマイズの範囲が限定されているため、日本の多くの製造工場に存在する既存の古い設備との自動連携対応が不可能であったり、システムに合わせる形でのオペレーションの大幅変更が必要であったりするため、ベテラン技術者が有する各企業独自のノウハウが活かせない等の課題がある。

 

こうした課題に対し同社は、「先端IT技術を使うことはDXの目的ではなく手段である」と考えている。加えて、製造業の現場に精通したエンジニアを多数有しているため、「AIを活用すべき業務と活用しない方が良い業務の峻別ができる」「各企業独自のノウハウをどのようにAIによって活用するかを長年の経験則から熟知している」「各企業が持つ多様なメーカー設備へのカスタマイズについても、知見者をアサインして柔軟に対応できる」といった能力を有しており、これらが同社の競争優位性であると考えている。

 

こうした「ものづくりに関する知見×AI/IoTの技術力×各設備等へのカスタマイズ対応力」という総合力によって、「各企業独自のノウハウを継承しつつ現場ですぐに使える実効性が高いスマートファクトリーソリューション」を提供することが可能である。
こうした「製造業=ものづくり」に関する優位性は、同じくものづくりである建築・建設業においても活かすことができるためBIM/CIM構築も同社の得意分野となっている。

 

(2)DX導入における提案力
前述のように、同社では、「CCT-DX Method」及び製造業・建設業のDX開発基盤「Orizuru」によって、契約締結前の営業段階で、DX導入によって自社にどのような変化が生まれのかを明確に示すことができる。加えて、DX開発基盤「Orizuru」の標準化機能の実装によりコストも抑えることができるため、DX導入に対するハードルを大きく引き下げている。
顧客に内容とコストで十分納得感を持ってもらえるDX導入の提案ができる点が評価され、高い受注確率に結び付いている。
こうした提案ができるのは同社のみであり、強力な競争優位性となっている。

 

(3)独自のポジショ二ング
「総合コンサルと並ぶ事業変革観点からのビジョン構築能力」と「特定アプリケーションベンダーと並ぶ高度なテクノロジーでの実装能力」を武器に、独自のポジションを構築している。

(同社資料より)

 

(4)IT人材調達力
同社は自前で構築した広汎な開発支援パートナーを積極活用しており、売上高に占める外注費比率は55~60%程度と比較的高水準である。外部リソースの活用によって事業レバレッジを実現するとともに、事業環境が悪化し売上高が減少した場合にも外注費を削減することによって赤字となるリスクを回避できる財務レジリエンスを保持している。

 

2.2021年12月期決算概要

【2-1業績概要】

 

21/12期

構成比

22/12期

構成比

前期比

予想比

売上高

5,534

100.0%

7,801

100.0%

+41.0%

+2%

売上総利益

1,119

20.2%

1,797

23.0%

+60.6%

-

販管費

938

17.0%

1,250

16.0%

+33.3%

-

営業利益

180

3.3%

546

7.0%

+202.1%

+2.1%

経常利益

188

3.4%

546

7.0%

+189.7%

+2.1%

当期純利益

124

2.3%

410

5.3%

+228.8%

+11.5%

*単位:百万円。予想比は21年11月公表の修正予想に対する比率。

 

大幅な増収増益
売上高は前期比41.0%増の78億1百万円。DX支援、IT人材調達支援とも大幅な増収。新型コロナ禍の影響は未だ残るものの、成長率が鈍化した20年12月期から成長率は大きく回復した。
DX支援実績を背景とした積極的な提案活動により、売上高1,000億円以上の大企業との取引が拡大した。既存顧客との継続的な取引拡大により大口取引先数が増加傾向にある。
営業利益は同202.1%増の5億46百万円。外注費、人件費などコストも増加したが、増収効果で吸収し大幅な増益となった。

 

 

【2-2 サービス分野別動向】

 

20/12期

構成比

21/12期

構成比

前期比

DX支援

2,747

49.6%

3,503

44.9%

+27.5%

IT人材調達支援

2,786

50.3%

4,297

55.1%

+54.2%

売上高

5,534

100.0%

7,801

100.0%

+41.0%

DX支援

765

27.8%

1,201

34.3%

+57.0%

IT人材調達支援

354

12.7%

595

13.8%

+68.1%

売上総利益

1,119

20.2%

1,797

23.0%

+60.6%

*単位:百万円。売上総利益の構成比は、売上総利益率。

 

①DX支援
増収増益。
DX関連投資に積極的な企業への提案活動が奏功し新規顧客から大口案件を受注した。売上総利益率は前期比6.5pt上昇。

 

②IT人材調達支援
増収増益。
既存顧客との取引拡大に加え新規顧客開拓が進展した。売上総利益率は前期比1.1pt上昇。

 

【2-3 財務状態とキャッシュ・フロー】

◎主要BS

 

20年12月末

21年12月末

増減

 

20年12月末

21年12月末

増減

流動資産

1,488

3,031

+1,543

流動負債

1,218

1,617

+399

 現預金

307

1,341

+1,034

 仕入債務

361

615

+253

 売上債権

1,092

1,489

+396

固定負債

249

194

-55

固定資産

696

741

+45

負債合計

1,467

1,811

+343

 有形固定資産

269

272

+2

純資産

716

1,961

+1,245

 無形固定資産

72

59

-13

 利益剰余金

566

977

+410

 投資その他の資産

353

409

+55

負債純資産合計

2,184

3,773

+1,589

資産合計

2,184

3,773

+1,589

長短有利子負債

422

127

-295

*単位:百万円。長短有利子負債にはリース債務を含む。

 

増資による現預金増などで資産合計は前期末比15億89百万円増加し37億73百万円。仕入債務の増加、長短有利子負債の減少などで負債合計は同3億43百万円増加の18億11百万円。
増資による資本金及び資本準備金の増加、利益剰余金の増加などで純資産は同12億45百万円増加の19億61百万円。
自己資本比率は前期末から19.3%上昇し、52.0%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/12期

21/12期

増減

営業CF

136

581

+445

投資CF

-112

-67

+45

フリーCF

23

514

+491

財務CF

-103

519

+622

現金同等物残高

307

1,341

+1,034

*単位:百万円。

 

株式の発行による収入増で財務CFはプラスに転じた。
キャッシュ・ポジションは上昇した。

 

【2-4 トピックス】

◎株式分割を実施
2022年2月25日、1:2の株式分割の実施を発表した。
基準日は2022年3月31日。
投資単位当たりの金額を引き下げることにより、同社株式の流動性を高め、流通株式時価総額及び時価総額の増大と投資家層の更なる拡大を図る。

 

3.2022年12月期業績予想

【3-1 業績予想】

 

21/12期

構成比

22/12期(予)

構成比

前期比

売上高

7,801

100.0%

10,400

100.0%

+33.3%

売上総利益

1,797

23.0%

2,464

23.7%

+37.2%

販管費

1,250

16.0%

1,612

15.5%

+28.9%

営業利益

546

7.0%

852

8.2%

+56.1%

経常利益

546

7.0%

868

8.3%

+59.1%

当期純利益

410

5.3%

602

5.8%

+46.7%

*単位:百万円。予想は会社側予想。22/12期の販管費は同社資料からインベストメントブリッジが計算。

 

今期も大幅な増収増益
売上高は前期比33.3%増の104億円、営業利益は同56.1%増の8億52百万円の予想。
変異型ウイルスの感染拡大による国内経済への影響をはじめ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続くが、DX関連投資及びIT人材調達の需要は共に増加基調で推移すると見ている。
売上原価、販管費とも増加するが増収で吸収し、今期も大幅増益を見込んでいる。売上総利益率、営業利益率とも上昇する。

 

【3-2 主な取り組み】

DX支援においては、製造業は新規顧客への拡販、建設業は取引を開始したスーパーゼネコンからの受注拡大を図る。
IT人材調達支援は、既存大手SIerとの着実な取引拡大と新規顧客開拓に取り組む。
幹部層を中心とした社員の採用に注力し、マネジメント及びデリバリー体制を強化する。人材採用費は前期実績 47百万円に対し、今期は2億円を計画している。

 

4.金子社長へのインタビュー

金子武史社長に、企業理念、自社の競争優位性、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

 

Q:「まず御社が掲げている企業理念、ミッション、社会的な存在意義、解決すべき社会課題などについてお話しください」

 

企業が社会的な存在感を持ち、勝ち抜いていくためにはデジタルは不可欠な強力な武器であると思い続けています。
そのために我々はDX支援を提供しているのですが、単にお客様に言われたことに対応するだけではなく、産業の競争力向上に寄与していかなくてはならないと考えています。
当社ではビジョンに「Right AI, Right DX」を掲げていますが、AIは道具、DXは企業変革そのものです。AIという道具を上手に使ってDXを進め、結果にコミットできる・成果を出せる組織でありたいと考えており、同時に企業や産業の付加価値向上に貢献する事業としてDX支援を行っています。こうした貢献を行うことこそ、当社の存在意義と言えるでしょう。

 

もう一つは、IT業界の従事者に対する貢献です。
コンサルタントやエンジニアにとっては、お客様に喜んでもらうだけではなく、自身の成長を実感出来たり、しっかりとやりがいを感じたりすることが大切です。そのためには、IT業界自身が更に輝かしいものとなる必要がありますし、一方で、労働集約型の下請ピラミッド構造における弊害、例えば、ある程度年齢・キャリアを積んでも結局は下請けから脱することができない、給与が低水準のままであるといった問題がありますが、これはIT業界が大きくなるにつれ益々顕著になっており、こうした課題を解消していく必要があると考えています。
IT人材調達支援は、IT業界の従事者が安心して業界の発展に寄与できる環境創りに繋がっています。
しっかりとしたキャリアパスを歩み、自身をより豊かにしていく、当社社員はもちろんですが、我々にご協力いただいているパートナー企業の従事者の皆さんの環境を改善していくことも当社の社会的な存在意義であると考えています。

 

今お話ししたように、DX支援においては企業や産業の競争力向上、IT人材調達支援においてはITに関わる人々にとっての輝かしい世界や未来の創出、この2つこそが、当社が社会に提供していく価値であると考えています。

 

Q:「行動指針である「Think Big, Act Together」についてもその意味をお話しください。また、現在の社員約240名に、理念、ミッション、行動指針といった社長の想いをどのように浸透させているのかについても伺いたいと思います」

 

「Think Big」は、常識や固定概念を取り去って、自由に発想をぶつけて新しい価値を見出そうということで、まさにDXです。
「Act Together」は、我々は常にお客様、社員、多くの関係者にも支えられていることを理解し、日々の行動に結びつけるための心構えです。

 

この2つは、より良い未来を創造するための行動指針です。
人間は自身のイメージできたことの範囲内でしか物理的に実現できないと私は思っています。ですから、より良いものを産み出そうと思えば常に構想は大きなものでなければならない。これが「Think Big」です。
ただ、構想を実現するにはある程度の労力や時間が必要です。我々は大規模な組織ではなくベンチャーですから、その点ではハンデがありますが、常に上を目指している集団として、どうするかと考えた場合、個々ではなく集団で戦おう、お客様に共鳴していただき、協力会社に賛同してもらい、最近では競合先も巻き込んで目指す未来を創り上げようとしています。これが「Act Together」です。

 

当社では、この「Think Big, Act Together」をもう1段ブレークダウンし、日常の行動に落として込んだ「CCT WAY」を策定しています。
「CCT WAY」では、「オーナーシップ」「カスタマーズルール」「ロジックパッション」という3つのキーワードを規定し、集団研修などで全社員への浸透を図っています。

 

「オーナーシップ」は、お客様のところに伺う際はご用聞きではなくて、しっかりと自分が発想し、自分が主体者として働きかけてくというプロアクティブな行動を促しています。
一方で、この弊害は押し付けになりかねないことですので、「カスタマーズルール」が重要です。相手が決める、相手が評価する、つまり、ルールは相手方にあることを理解し、顧客志向が原点であるということを確認させます。相手が決めるけれど、受け身ではなくプロアクティブになろうということです。個人の行動としての指針を、この2つで規定しています。
一方で、集団での成果を「Act Together」で追求する会社なので、集団の中での自分の心がけも意識しておく必要があります。
第三者に共鳴してもらうためにはロジカルに伝えないと意図が理解してもらえません。しかし、仮に意図を理解してもらえたとしても、相手にはそれぞれの立場がありますから、同じ内容でも社長と管理部長と営業部長ではOKとなるかそうではないのか、判断が分かれることもあります。ロジカルに伝えるのだけれど、相手の気持ちや立場を理解して、伝える内容に微修正を加えて提案することも集団の中では必要になる。これが「ロジックパッション」です。
「オーナーシップ」「カスタマーズルール」「ロジックパッション」、この3つをもって「Think Big, Act Together」を意識した行動を徹底させています。

 

「Think Big, Act Together」は設立3年目に、会社も安定軌道に乗ったので立派な会社を目指そうと上場も視野に入れ策定しました。
「CCT WAY」の策定は3年ほど前です。若手社員も随分増えてきたので、「Think Big, Act Together」をもっとかみ砕いて、日常ベースに落とし込む必要があると考え策定しました。

 

Q:「続いて、御社の強み、競争優位性について教えてください」

 

当社がお客様に高くご評価いただいているのは、ご契約いただく前の営業段階で、当社がDX導入を支援した3年後の姿を動的なビジュアルを用いて明確にお見せすることができる点です。
DX導入は、そのお客様にとっては現時点では実現していないものに対するイノベーティブな取り組みです。私は、人間は頭の中でイメージできていないものに対して決断できるはずはないと思っています。まさに百聞は一見に如かずです。
また、現在、提案というと一般的には紙ベースで説明するという訴求方法が中心ですが、これも不完全な現実、つまり未来からすれば極めて貧弱で訴求力の弱い手法です。人間は五感で体感し、その良さを実感したものに対し笑顔になり、導入を決断するものだと思いますので、いまだ現実にはないものを期待してもらうには、質感をいかにわかりやすく伝える努力をするかが大切であり、それには視覚に訴えるのが最も重要だと考えています。
実際のシステムを動かし、実際のデータを使用して、契約前段階でお見せする。この努力を他のどの企業よりも常に重ねているのが当社です。

 

契約する前から3年後の姿を目の前に具現化できれば、それが欲しいものか、必要なものかという具体的な判断が可能になります。
DXをこのように導入するとこういう問題を解決し、今の業務をこういう姿に変えて利益を上げていくことができる、そういうシステムであることをご説明します。
すると、現時点でその実務を担当されている方であればイメージがある程度掴めるので、いただくご意見が変わってきます。
「こんなことができるのか」とか、「自社で今このあたりが課題になっていて、属人的にベテランしか見積もりが出せない」とか、「工場と常に相談しながら生産計画を決めているが、御社のシステムだったらこういったこともできるのか」など、こちらから的確な情報をお出しすると、実はやりたいと考えているが、まだ実現されてない具体的なニーズを聞き出すことができるのです。

 

すると解決したい課題の輪郭が、比較的初回のミーティングから引き出すことができる。そこで我々は当社の自社製品を用いて、現在の課題を解決する提案を行います。
これまでに積み上げてきた当社の実績によって自社製品「Orizuru」に標準機能として実装されている部分、約7割はお客様に追加的な負担なく労力をかけずに実現できます。
残りの3割、そのお客様に対してカスタマイズする必要がある部分は、差分の工数についてコストをご提案するわけですが、お客様としてはできあがった姿がある程度見えているので、納得感を持った上で判断することができます。

 

このように、独自のDX実現手法「CCT-DX Method」とDX開発基盤「Orizuru」を用いて、お客様に十分納得感を持っていただける内容とコストでDX導入の提案ができるのは我々以外にはないでしょう。こうした提案スタイルが今の時代にフィットし、高確率での受注に繋がっています。
これが当社最大の競争優位性であると考えています。

 

Q:「続いて御社の成長戦略について伺います。将来の売上高大幅拡大を目指すうえで、最も重要なポイントはなんでしょうか?」

 

まずDX支援は、産業別に再構成、拡張を進めます。
製造業DX、建設業DX、流通業DXというように、産業別に、ある程度の事例が固まってきたものから分けていき、産業別に特化したプロジェクトを進めていきます。「Orizuru」をそれぞれの産業に特化した標準機能に再構成することで、その産業内における横展開をスムーズかつスピーディーに進めていきます。

 

ピラミッドの上位20パーセント、例えば日本でいうと自動車業界の上位20パーセントは約800社が該当します。
建設業界での上位20パーセントは、スーパーゼネコン6社の下の、約200社のゼネコンがターゲットになります。
流通業界ですと、ヤマト運輸、佐川急便を筆頭に売上高が1兆超の企業が4社で、数千億の会社が数十社あります。
その次は医療と、こうやって産業の面を広げながら、ある程度事例が固まったものに対して、その産業内で横展開を進めていく。
この2軸を重ね合わせると、事業規模を現在の数十倍に伸ばしていくことができます。

 

次のIT人材調達事業ではエリア戦略を推進します。今は東京都の約半分を押さえていますが、首都圏にはまだ広げることができていないですし、それ以外の地域、大阪と福岡に拠点はありますが、人材ネットワーク作りはほぼ未着手に近い状態です。
それでも、当社は現状で多くの人材を集めることができています。東京都はまだ半分が残っています。神奈川、埼玉、千葉など首都圏にも大きな市場がある。次は大阪、福岡、名古屋。ここまででおおよそ日本全体の50パーセントぐらいを占めてます。そのあとは仙台、北海道、広島。
このエリア拡大戦略で、エンジニアネットワークも現在の数十倍に広げていきます。
また、IT人材調達事業では人材調達プラットフォーム「Ohgi」の収益化も図ります。

 

このように、DXは産業領域の拡大と横展開の2軸戦略でのグロス成長、人材ネットワークではエリアを全国に拡大。それぞれ数十倍のポテンシャルがあり、さらにその予測には合理性、整合性がありますから、売上高の大幅な拡大余地は極めて大きいと考えています。

 

Q:「では最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします」

 

先程お話しした「Think Big, ,Act Together」のTogetherの対象には、株主・投資家というステークホルダーが当然ながら入ってきます。
我々は投資家を意識しながら経営をしていきます。また、資本主義の力学やルールを明確に理解、認識しながら、それを活用して自社も成長し、社会に貢献する会社でありたいと思っています。そのためにも、株主・投資家との対話は非常に重要な取り組みであると認識しています。

 

まだまだ微力な当社ですが、存在感を十分に発揮して社会的な課題の解決をしながら、投資家のお役にも立っていきたいと思っています。
対話通じて、株主・投資家の皆様と一緒に目指す姿を実現したいと考えておりますので是非当社を応援していただきたいと思います。

 

5.今後の注目点

ブリッジレポートを執筆するために様々な企業の説明資料を参照するが、今後の取り組みを説明する中でほぼ100%言及されるのがM&A戦略と並んで「DXの推進・導入」である。経済産業省のレポートで指摘されているように、あらゆる産業において競争力維持・強化のためにDXを推進することが喫緊の課題となっているため当然ではある。ただ、具体的に何を行うのかというと、曖昧で輪郭さえも外からは理解できないケースが少なくない。自社にとって必要なDXとは何かが具体的にイメージできている企業は、決して多くないのが実情のようだ。
そうした状況下では、金子社長がインタビューの中で触れているように、「人間は頭の中でイメージできていないものに対して決断できるはずはない」わけで、一定のコストをかけてDX導入に踏み切る企業はまだまだ少ないといえる。

 

同社は成長戦略において、各産業のピラミッドの上位20%を当面のターゲットとしている(自動車業界では約800社が該当)。金子社長が新卒入社した製造業に強みを持つ企業変革を支援する企業でさえも顧客企業50社程度で日本トップクラスであったということであり、未開拓の巨大市場がコアコンセプト・テクノロジーの目の前には広がっている。
その強みである「ものづくりに関する知見と先端IT技術」「DX導入における提案力」を武器に、どのようなスピードで日本企業のDX推進を支援していくのか注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

8名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年9月22日

 

<基本的な考え方>
当社は、「持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を目指し、株主の利益を最大化することを目標とする」との基本的認識とコンプライアンスの重要性をコーポレート・ガバナンスの基本的な考え方として、株主の権利を重視し、また、社会的信頼に応え、持続的成長と発展を遂げていくことが重要であるとの認識に立ち、コーポレート・ガバナンスの強化に努めております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施しております。

 

 

本レポートは、情報提供を目的としたものであり、投資活動を勧誘又は誘引を意図するものではなく、投資等についてのいかなる助言をも提供するものではありません。また、本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、当社は、本レポートに掲載されている情報又は見解の正確性、完全性又は妥当性について保証するものではなく、また、本レポート及び本レポートから得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用又は損害等の一切についても責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は、当社に帰属します。なお、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申し上げます。

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