ブリッジレポート
(9698) 株式会社クレオ

スタンダード

ブリッジレポート:(9698)クレオ 2022年3月期第2四半期決算

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柿﨑 淳一 社長

株式会社クレオ(9698)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

情報・通信

代表者

柿﨑 淳一

所在地

東京都品川区東品川4-10-27 住友不動産品川ビル

決算月

3月

HP

https://www.creo.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,052円

8,185,988株

8,611百万円

12.2%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

39.00円

3.7%

97.73円

10.8倍

811.44

1.3倍

*株価は11/5終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*BPS、ROEは21年3月期実績。数値は四捨五入。
*DPSとEPSは22/3期の会社予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

12,268

410

457

305

36.79

15.00

2019年3月(実)

13,526

670

706

664

80.05

25.00

2020年3月(実)

14,624

1,044

1,095

731

88.49

35.00

2021年3月(実)

14,745

1,131

1,195

776

94.90

38.00

2022年3月(予)

15,500

1,260

1,275

800

97.73

39.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

(株)クレオの2022年3月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期第2四半期決算概要
3.2022年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/3月期第2四半期は、売上高が前年同期比6.1%増の71億63百万円、営業利益が同15.2%増の4億75百万円となった。売上高の面では、受託開発事業及びサポートサービス事業で若干減少したものの、収益認識基準の適用の影響があった他、ソリューションサービス事業とシステム運用・サービス事業で好調に推移したことが寄与した。営業利益面では、システム運用・サービス事業における売上高増加が寄与した。

     

  • 第2四半期が終わり、通期会社計画に変更なし。22/3期の会社計画は、売上高が155億円、営業利益が12億60百万円の予想。受注環境は引き続き良好な状況が続いている。こうした環境下、レガシーから置き換える製品(人事給与)とビジネス変革のための製品開発(共創型受託開発)を中心に事業の拡大を目指す。ソリューションサービス事業をはじめ全てのセグメントにおいて、前期比で売上高と営業利益が増加する見込みである。また、配当も前期比1円増配の39円/株の期初予定を据え置き。

     

  • 同社はクラウドに対応した企業のDXに貢献する製品の投入を強化している。他ベンダと連携した「つながる」プラットフォームでは、2021年11月に調達・購買クラウド製品のリリースを予定している。自社のクラウド製品の販売拡大は収益性の大幅な改善に繋がることが多く、今後の販売状況が注目される。

     

1.会社概要

多様なソリューションを提供するシステムインテグレーター。2,000社を超える企業ユーザーを誇る業務用パッケージ「ZeeMシリーズ」(人事・会計・資産管理等を網羅するERP)や業務効率の向上・コスト削減に寄与するBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)「BIZ PLATFORM」等の業務ソリューション、官公庁・自治体・公益法人・大企業向けシステム開発、国内大手ポータルサイト事業者向けWebシステム開発・運用、更には優良顧客を有するコールセンターサービス等を手掛ける。
グループは、(株)ココト、(株)ブライエ、(株)アダムスコミュニケーションの連結子会社3社。アマノ(6436)とZホールディングス(4689)が、それぞれ同社株式の30.6%、12.7%を保有し、同社はアマノ(株)の持分法適用関連会社に当たる。

 

【ロゴに込めた3つの思い】

 

「感動」を生むこと

期待を超え、驚きを提供する姿がロゴのエクスクラメーションマークに託されている。

「創造」し続けること

球体はクレオ自身を示し、人財、製品、サービスが生まれ育つ姿を表現している。

「永遠(とわ)」に寄り添うこと

クレオ自身である球体が、顧客や社会、株主に寄り添うイメージを表現している。

 

【同社の強み】
同社の強みは、プロダクトビジネスと受託ビジネスという特性の異なる事業を長く続けた歴史と経験であり、国内SI業界の中でバランスよく両方を備えている企業は少ない。また、主力のソリューションサービス事業において、プロダクトビジネスと共創型受託ビジネスの双方を抱えている点も強みとなっている。共創型受託開発では、パッケージカスタマイズに柔軟に対応し、自社製品開発では、自社製品開発ノウハウを他社製品の開発受託にも横展開している。このどちらしかやらない企業、或いは、どちらしかできない企業との差別化が図られている。

 

(1)事業セグメント

同社は、2021年4月より組織変更を行いカンパニー制から事業部制へ変更した。21/3期のソリューションサービスカンパニー、西日本カンパニー、ネクストソリューションカンパニーを、エンタープライズDX事業本部、ビジネスアクセラレーション事業本部、事業戦略本部、社会システム事業本部へ再編した。なお、開示セグメントである4つの報告セグメントに変更はない。

 

ソリューションサービス事業(22/3期上期売上高構成比36.9%)
2,000社以上のユーザー企業を抱える人事給与・会計・資産管理ERP「ZeeMシリーズ」や業務効率の向上やコスト削減に寄与するBPM「BIZ PLATFORM」等のパッケージソフトの提供とカスタマイズ、顧客企業が法人企業や消費者に提供するソフトウエアやクラウドサービスの開発(顧客企業と共に開発するビジネスであり、同社社内で「共創型受託ビジネス」、或いは「共創型開発」と呼んでいる)、更にはERPとBPMのノウハウと、ホワイトカラーの定型的な作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)技術を組み合わせたサービスであり、人とロボットが混在した業務プロセスを実現するRPAソリューション等を提供している。
近年、人事給与パッケージ「ZeeM」とアマノ社の勤怠管理ソリューション「TimePro」の連携により、「働き方改革」需要の取り込みに成功しており、案件規模が大型化している。
担当事業本部:エンタープライズDX事業本部、ビジネスアクセラレーション事業本部(22/3期より)

 

受託開発事業(22/3期上期売上高構成比16.0%)
大企業向けシステムの受託開発、官公庁・自治体向けのシステム、新聞社の組版システム、公営競技のオッズシステム等、信頼性と実績が重視される案件が多い。また、富士通経由の案件が多い事も特徴であり、短期的なぶれはあるが、安定成長が期待できる事業である。協力会社を含めた「人」の確保がポイントになる。
担当事業本部:社会システム事業本部

 

また、22/3期に新設された事業戦略本部は、ソリューションサービス事業と受託開発事業の共通部門となっている。

 

システム運用・サービス事業(22/3期上期売上高構成比16.4%)
主に国内大手ポータルサイト事業者とそのグループ企業に対して、ポータルサイトやWebサービスの基盤となるサーバシステムの開発、保守、ハッキング対策等も含めた運用サービスを提供している。従来、持株会社傘下の複数のグループ企業で対応してきたが、2016年4月に設立した(株)ココトに集約された。これにより営業・開発面でグループ力を発揮できるようになり、ポータルサイト事業者のグループ企業に取引が広がっている。ポータルサイト事業者の深堀とグループ企業の開拓で事業を拡大させていく考え。
担当事業体:(株)ココト(22/3期も変更なし)

 

サポートサービス事業(22/3期上期売上高構成比30.7%)
ヘルプデスクやテクニカルサポートを中心としたサポート&サービス、及び選挙の出口調査、社会調査、市場調査等、インバウンド・アウトバウンド両対応のコールセンターサービスを提供している。技術系では富士通系とNEC系にサービスを提供する等、優良顧客をバランス良く抱えている事が当事業の強み。安定成長が期待できる事業だが、課題は「人」の確保。このため、外国人採用にも力を入れている。
担当事業体:(株)ブライエ(22/3期より合併により商号変更)、(株)アダムスコミュニケーション

 

(2)中期経営計画(21/3期~23/3期)

2024年には創業50周年を迎えるが、その先の50年も全てのステークホルダーに魅力的な企業として存在し続ける「100年企業」を目指して中長期的な視点で事業運営を進めている。この一環として、持続的な成長と企業価値向上を可能にする「仕組み作り」をキーワードとする中期経営計画が、45周年を迎えた21/3期にスタートした。
中期経営計画のビジョンと3つの取り組み
前中計からの継続課題と今後の外部環境の変化を踏まえて、新中計のビジョンを「持続的成長・企業価値向上の仕組み作り」と定めた。このビジョンの下、「事業構造・事業ポートフォリオの転換」、「持続的成長に向けた人財育成・活用」、及び「変化・リスクに対応できる柔軟な組織・業務プロセスへの変革」に取り組んでいく。経営指標としては、営業利益率を重視する。過去3年間の取り組みの成果として、受注・売上高は拡大基調にあるが、コロナウイルス感染拡大による影響がどの程度相殺してしまうか、正確に予想することは難しい。仮に増収のスピードがある程度鈍化したとしても、生産性・収益性(営業利益率)の向上により利益成長を実現していく。

 

「事業構造・事業ポートフォリオの転換」
経営資源をソリューションサービス事業に集中させ、既存事業の維持と拡大を図りつつ、グループ力を結合し今後の成長領域であるクラウドサービス(ZeeM人給・会計・BP・SMK)、DXサービス、顧客製品ビジネスサポート(開発・導入サポート)において拡大を目指す。

 

【ソリューションサービス事業の戦略】
売上高向上のため、共創型受託開発を拡大する。顧客の市場競争力の維持拡大を支援するシステム、サービスの企画開発、運用を拡大するとともに、顧客の経営基盤の持続的安定化を支援する基幹システム、製品などの開発運用を拡大する。
利益向上のため、短中期的な視点に立ち、アマノ社との連携強化、製品のバージョンアップ、HR製品ラインナップの拡充、導入設定の自動化などを通じて統合型HRソリューションを強化する。また、中長期視点に立ち、受注機会を増やし、ストック率を向上させることでクラウドサービスを加速させるとともに会計データ分析(データ利活用)と業務効率アップを実現するためDXサービスを開始する。

 

「持続的成長に向けた人財育成・活用」
「将来世代のリーダー育成」、「グローバル人財の育成」、及び「技術者のレベルアップ」をキーワードに人財の育成にも取り組んでいく。この取り組みを成功させるためには社員の意欲を高めることがポイントであり、様々な領域で異なる強み、能力を発揮する多様な人財を評価し報いていく。また、各種の人事制度も多様性を許容するものである必要があるため、制度の改定、新設も進める。「将来世代のリーダー育成」は、任せて、育てるがキーワード。経営幹部候補から部門リーダーレベルまで、持続的な事業の継承と拡大を可能にするため、非技術面の「ビジネス」「マネジメント」スキルのレベルアップを図る。「グローバル人財の育成」は、行かせて、育てるがキーワード。海外パートナーとの人財交流を促進し、環境や文化の違いを吸収し多様性を受容できる人財を育てる。「技術者のレベルアップ」は、特化させて、育てるがキーワード。AI、IoT、5Gなどの新技術活用、
アジャイル、DevOps などのDX開発手法に対応できる人財を確保、養成する。

 

「変化・リスクに対応できる柔軟な組織・業務プロセスへの変革」
グループ再編の第二弾を進めると共に、「生産性の向上」と「BCP」の両面から業務プロセスを変革する。グループ再編の第二弾については、20/3期から、より収益性の高い事業に人財をシフトさせる施策が始まっているが、単にシフトさせるだけなく、グループ内でより柔軟に、素早く人財の配置やスキルの転換が行える体制を構築していく。業務プロセスの変革では、テレワークのためのインフラを整備し運用を開始した。再びコロナ禍のような事態が発生して働き方が大きく変わったとしても、高い生産性を維持していくことが可能となる。

 

投資
新たに投資委員会を設置した。同委員会は、各事業からの投資計画を「評価」「承認」するだけでなく、逆に委員会が自ら投資機会を探索し、実行を促す。委員会のメンバーは各担当領域を持ち、新規事業投資、開発投資、人財投資、設備投資を中心に投資を推進していく。グループ全体での投資額の規模は今中計期間中で5億円程度という目安を設けているが、投資機会と結果を見ながら柔軟に判断する。

 

経営目標
今中計の最終となる23/3期の目標は、売上高180億円(年率7.2%成長、前中計8.1%成長)、営業利益18億円(同19.9%成長、同39.0%成長)。前期までの増収・増益のペースに比べるとやや鈍化するが、コロナ禍を踏まえて保守的に見積もっていること、及び各種の投資を強化することが要因である。また、今中計では、様々な「仕組み作り」による「質」の転換を最重要視しているため、その推移を示す指標として営業利益率を重視し、10%以上の水準への引き上げを目指している。

 

財務・資本政策、還元方針
前中計からの変更はなく、「株主還元」、「財務安定性」、「投資」の3点の最適バランスを方針としている。永続的な成長のための「投資」を従来よりも拡大するが、営業利益率の向上により事業活動によって投資の原資を生み出しながら実施していく。このため、「財務安定性」の規律を損なうことはない。還元方針については「連結配当性向40%」の目標を継続する。

2.2022年3月期第2四半期決算概要

(1)2022年3月期第2四半期連結業績

 

21/3期 2Q

構成比

22/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

6,748

100.0%

7,163

100.0%

+6.1%

売上総利益

1,574

23.3%

1,677

23.4%

+6.5%

販管費

1,161

17.2%

1,201

16.8%

+3.4%

営業利益

413

6.1%

475

6.6%

+15.2%

経常利益

459

6.8%

494

6.9%

+7.7%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

264

3.9%

255

3.6%

-3.2%

(単位:百万円)
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期比6.1%の増収、同15.2%の営業増益
22/3期第2四半期は、売上高が前年同期比6.1%増の71億63百万円となった。売上高の面では、受託開発事業及びサポートサービス事業で若干減少したものの、収益認識基準の適用の影響があった他、ソリューションサービス事業とシステム運用・サービス事業で好調に推移したことが寄与し、前年同期比で4億14百万円増加した。
営業利益は、同15.2%増の4億75百万円となった。ソリューションサービス事業やサポートサービス事業で前年同期を下回ったものの、システム運用・サービス事業の売上高の増加が寄与し前年同期比で62百万円増加した。売上高総利益率が23.4%と前年同期比0.1ポイント上昇したことに加え、売上高対販管費比率が16.8%と同0.4ポイント低下したことが寄与し、売上高営業利益率は6.6%と同0.5ポイント上昇した。その他、受取補償金の減少などにより経常利益は同7.7%増加した一方、事務所移転費用やソフトウェア評価損の計上により親会社株主に帰属する四半期純利益は同3.2%減少した。
なお、期初の会社計画との比較では、売上高が36百万円下回り、営業利益が25百万円上回った。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

21/3期 2Q

構成比・

営業利益率

22/3期 2Q

構成比・

営業利益率

前年

同期比

ソリューションサービス事業

2,341

34.7%

2,640

36.9%

+12.7%

受託開発事業

1,158

17.2%

1,150

16.0%

-0.7%

システム運用・サービス事業

967

14.3%

1,174

16.4%

+21.3%

サポートサービス事業

2,280

33.8%

2,198

30.7%

-3.6%

連結売上高

6,748

100.00%

7,163

100.00%

+6.1%

ソリューションサービス事業

459

19.6%

449

17.0%

-2.2%

受託開発事業

171

14.8%

183

15.9%

+6.7%

システム運用・サービス事業

84

8.7%

142

12.1%

+69.4%

サポートサービス事業

169

7.4%

154

7.0%

-8.9%

本社費用及び利益

-471

-

-453

-

-

連結営業利益

413

6.1%

475

6.6%

+15.2%

*単位:百万円 
*連結子会社が運営する「システム運用・サービス事業」、「サポートサービス事業」以外の2事業は、営業利益の算出に
あたり、本社経費等の配賦を行っていない。

 

【ソリューションサービス事業】
◎主に、人事給与・会計ソリューション「ZeeM」をはじめとするソリューションサービスを提供。
売上高は26億40百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益は4億49百万円(同2.2%減)となった。人事給与ソリューションを中心とするソリューションサービスの受注が堅調に推移したことに加え、収益認識基準の適用の影響などにより、売上高は前年同期比で2億98百万円増加した。一方、クラウドサービス化に向けた製品開発・PR投資及び一部の不採算プロジェクトにより、営業利益は同10百万円減少した。

 

【受託開発事業】
◎主に、富士通グループ、アマノ株式会社をはじめとする大手企業に対して、システム受託開発サービスを提供。
売上高は11億50百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は1億83百万円(同6.7%増)となった。西日本地域の受注減の影響を東京地域の受注により補いつつ回復し、売上高は前年同期比で7百万円減少し、営業利益は同11百万円増加した。

 

【システム運用・サービス事業】
◎主に、国内大手ポータルサイト事業者に対してシステム開発・保守・運用サービスを提供。
売上高は11億74百万円(前年同期比21.3%増)、営業利益1億42百万円(同69.4%増)となった。主要顧客向け案件の受注が堅調に推移し、売上高は前年同期比で2億6百万円増加し、営業利益は同58百万円増加した。

 

【サポートサービス事業】
◎主に、ヘルプデスク、テクニカルサポートを中心としたサポート&サービス及び、社会調査、市場調査などのコールセンターサービスを提供。
売上高は21億98百万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は1億54百万円(同8.9%減)となった。予定していた調査系サービスの受注減などにより、売上高は前年同期比で82百万円減少し、営業利益は同15百万円減少した。

 

(3)四半期業績の推移

第2四半期(7-9月期)の連結売上高と営業利益の推移

第2四半期(7-9月期)の売上高と営業利益は概ね毎年増加傾向にある。こうした中、22/3期第2四半期(7-9月)は営業利益が過去と比べ高水準となった。

(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

 

21年3月

21年9月

 

21年3月

21年9月

現預金

3,927

3,993

仕入債務

693

613

売上債権

3,203

2,975

賞与引当金

577

557

たな卸資産

365

262

流動負債

2,541

2,400

流動資産

7,697

7,467

固定負債

153

200

有形固定資産

314

322

負債

2,694

2,601

無形固定資産

609

671

純資産

6,642

6,575

投資その他

714

716

負債・純資産合計

9,336

9,176

固定資産

1,638

1,709

有利子負債合計

0

0

*単位:百万円

 

21/9月末の総資産は前期末比1億60百万円減少の91億76百万円。資産サイドでは、現預金が増加したものの、売上債権やたな卸資産などが減少した。負債・純資産サイドでは、仕入債務、未払金や配当金の支払い等が主な減少要因となった。総資産の約81%を流動資産が占める等、資産の流動性が高い。自己資本比率も71.6%と、高水準を維持している。

 

キャッシュ・フロー

 

21/3期 第2四半期

22/3期 第2四半期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

270

605

+335

+124.1%

投資キャッシュ・フロー

-213

-210

+3

-

フリー・キャッシュ・フロー

57

395

+338

+593.0%

財務キャッシュ・フロー

-292

-328

-36

-

現金及び現金同等物の四半期末残高

3,892

3,993

+101

+2.6%

*単位:百万円 

 

CFの面から見ると、賞与引当金の減少額の縮小やたな卸資産の増加額の縮小や法人税等の支払額の減少などにより営業CFのプラス幅が拡大した。投資CFのマイナス幅が前年同期並みとなり、フリーCFのプラス幅も拡大した。その他、配当金の支払額の増加などにより財務CFのマイナス幅は拡大した。以上により、第2四半期末のキャッシュ・ポジションは拡大した。

 

3.2022年3月期業績予想

(1)2022年3月期連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期 予想

構成比

前期比

売上高

14,745

100.0%

15,500

100.0%

-

営業利益

1,131

7.7%

1,260

8.1%

-

経常利益

1,195

8.1%

1,275

8.2%

-

親会社株主に帰属する当期純利益

776

5.3%

800

5.2%

-

*単位:百万円
*22/3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の業績予想は当該会計基準等を適用した後の金額となっており、前期比の増減率は記載していない。

 

22/3期の業績予想は、売上高が155億円、営業利益が12億60百万円
第2四半期が終了し、22/3期の会社計画は、売上高が155億円、営業利益が12億60百万円の期初予想から変更なし。
同社が属するICTサービス市場の中でも企業の経営資源を管理する分野では引き続きICTの活用による経営管理の促進、クラウド技術への対応拡大など、今後のデジタル時代に必要な経営基盤への更なる投資が旺盛であると予想される。こうした環境下、同社が注力しているERP(基幹系情報システム)においては、レガシーから置き換える製品(人事給与)とビジネス変革のための製品開発(共創型受託開発)の両面において事業拡大を推進する。また、メインターゲットである中堅以上の企業規模の会社のオンプレミス需要を取り込むとともに、中堅以下の企業規模の会社向けにクラウド製品の販売を拡大する。これらにより、22/3期はソリューションサービス事業、受託開発事業、システム運用・サービス事業、サポートサービス事業の全ての事業において、前期比で増収増益となる計画である。また、プロジェクト利益率の改善などにより、売上高営業利益率は、8.1%と前期比0.4ポイント向上する見込みである。
1株当たりの配当も、前期末から1円増配の39円の予定を据え置き。同社の配当性向の目標である40%を維持する方針である。

 

22/3期のセグメント別売上高・営業利益(会社計画)

 

21/3期

実績

構成比・

営業利益率

22/3期

会社計画

構成比・

営業利益率

前期比

ソリューションサービス事業

5,617

38.1%

5,950

38.4%

+5.9%

受託開発事業

2,525

17.1%

2,580

16.6%

+2.2%

システム運用・サービス事業

2,041

13.9%

2,220

14.3%

+8.8%

サポートサービス事業

4,561

30.9%

4,750

30.6%

+4.1%

連結売上高

14,745

100.0%

15,500

100.0%

+5.1%

ソリューションサービス事業

1,128

20.1%

1,305

21.9%

+15.7%

受託開発事業

426

16.9%

460

17.8%

+8.0%

システム運用・サービス事業

216

10.6%

260

11.7%

+20.4%

サポートサービス事業

320

7.0%

340

7.2%

+6.3%

本社費用及び利益

-959

-

-1,105

-

-

連結営業利益

1,131

7.7%

1,260

8.1%

+11.4%

*単位:百万円 

通期会社計画に対する進捗率

 

22/3期

通期会社計画

22/3期

第2四半期実績

進捗率

ソリューションサービス事業

5,950

2,640

44.4%

 

受託開発事業

2,580

1,150

44.6%

システム運用・サービス事業

2,220

1,174

52.9%

サポートサービス事業

4,750

2,198

46.3%

連結売上高

15,500

7,163

46.2%

ソリューションサービス事業

1,305

449

34.4%

受託開発事業

460

183

39.9%

システム運用・サービス事業

260

142

54.7%

サポートサービス事業

340

154

45.4%

連結営業利益

1,260

475

37.8%

同社は、業績の平準化を目指し経営管理を進めているものの、下期偏重の業界特性の影響を受ける。今期の会社計画の達成に向け順調に推移しているものと思われる。

 

(2)顧客環境の変化と課題認識

ソリューションサービス事業

・主力製品である人事給与の受注は堅調に推移している。

・更なる製品導入の高回転化とリソースの確保を行う。

・PMO強化を継続する(先行管理、PM育成)。

・繋がるクラウドサービスの訴求力を高める。

受託開発事業

・関西と関東の連携により案件の共有化を図るとともに、開発能力の向上に役立てる。

・主要顧客(社会基盤システム)との取引深耕を図る。

システム運用・サービス事業

・既存サービスの受注は堅調に推移している。

・ヘルスケア系など新たな顧客開拓も進んでいる。

サポートサービス事業

・既存事業を維持継続する。

・在宅でのコールセンター業務を可能にする。

 

成長戦略【情報とサービスが繋がるクラウドサービスの拡大】

(同社2022年3月期第2四半期決算説明会資料より)
同社は、ソリューションサービス事業で提供している製品群を人事部門、会計部門、情報システム部門のツールとしてだけでなく「経営に対するソリューション」と再定義し、今後顧客への積極的な提案を行う。

(3)働き方改革の実施

同社は、中計の基本サマリーとして、「持続的成長・企業価値向上の仕組み作り」を掲げている。その達成に向け、①事業構造、事業ポートフォリオの転換、②持続的成長へ向けた人財育成・活用、③変化、リスクに対応できる柔軟な組織、業務プロセスへの変革への投資を強化している。その実現に向け欠かせないのが働き方改革(ワークスタイル改革)である。
同社では、①感染症対策の継続、テレワークの対応強化によるスマートワーク、②フリーアドレス化、安心安全で働きがいのある場づくりによるオフィス改革、③コミュニケーションの多層化、社内ベンチャー制度の準備、エンゲージメントの向上による企業風土改革をいち早く推進した。同社の働き方改革は、ひとりひとりが生活と仕事を両立させ、健康でやりがいを持って働き、成長し続けられる環境作りを目的としており、限られた時間の中でステークホルダーへの付加価値を高める方法を考え行動する社員の育成に結ぶつくものと期待される。

 

【新ワークスタイル向けた仕組みつくりの例】

(同社2022年3月期第2四半期決算説明会資料より)

 

4.今後の注目点

同社の第2四半期(7-9月期)決算は、売上高、営業利益ともに過去数年の中で高水準となった。ソリューションサービス事業では、主力製品である人事給与の受注が堅調に推移していることが確認された。また、システム運用・サービス事業においても既存サービスの好調な受注に加え、ヘルスケア系など新たな顧客開拓が進展していることも確認された。通期の会社計画の達成に向けて期待の高まる内容であったと言えよう。同社の稼ぎ時は第4四半期(1-3月期)であるが、下期の会社計画の達成に向けてどれ位の貯金を作ることができるのか、続く第3四半期(10-12月期)の業績動向が注目される。
また、同社は中計において、来期の売上高営業利益率10%の目標を掲げている。現状の収益性ではその達成に向けて少しハードルが高いと言わざるを得ない。しかし、同社はクラウドに対応した企業のDXに貢献する製品の投入を強化している。他ベンダと連携した「つながる」プラットフォームでは、2021年11月に調達・購買クラウド製品のリリースを予定している。自社のクラウド製品の販売拡大は収益性の大幅な改善に繋がることから今後の販売動向が注目される。新たに発売予定の調達・購買クラウド製品において市場の期待を上回る販売拡大を達成できるのか、またこれら新製品の販売拡大が収益性の改善にどの様に結び付くのか期待を込めて注目したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年6月23日)
基本的な考え方
当社は適正なコーポレート・ガバナンス体制を構築し、不断の向上に努めることが経営の透明性・公正性を高め、企業価値の向上に寄与するものと考えております。特にコーポレートガバナンス・コードを遵守することが当社のより良いガバナンスの確立に寄与するとの基本的な考え方に基づき、基本5原則以外の原則、補充原則についても順次自主的に実施していくことを方針とし、既に実施しているものについてその内容を本報告書に記載しております。

 

<各原則を実施しない理由>
当社は、JASDAQ上場会社として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則のすべてを実施しております。基本原則以外の原則、補充原則のうち、開示が求められ、当社が既に対応を行っている原則については、下記の「コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示」にその概要を記載しております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は現在政策保有株式に該当する株式の保有を行っておりません。

 

【補充原則4-1 ① 取締役会の役割・責務】
当社は取締役会および取締役会が意思決定の一部と業務執行を委任する経営会議について、それぞれの決議事項の範囲、委任の範囲を取締役会規程および経営会議規程で定めております。その概要は以下の通りです。

 

・取締役会
法令上取締役会決議事項と定められた事項のほか、取締役会規程により、主に以下の事項について決議を行う。
1) 1億円以上または経営上重要な投資、出資、契約締結等に関する事項
2) 資本政策にかかわる事項
3) 執行役員の選解任
4) 中期経営計画の決定
5) 単年度の事業計画の決定

 

・経営会議
経営会議規程および職務権限基準表にもとづき、主に以下の事項について決議を行う。
1) 中期経営計画および単年度の事業計画の立案
2) 人事、組織、採用等に係る計画の決定
3) その他、取締役会に付議する事項の事前審議

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は株主との建設的な対話を通じて、株主との協働により株主価値の向上を図ることを目指します。
これを実現するため、以下の体制を構築し、各施策を実施しております。

 

1) 株主との対話は主にIR部門が担当するほか、決算説明会、個人投資家向け説明会、スモールミーティング等に代表取締役社長をはじめとする役員が出席、説明を行い、質疑応答にも対応することなどにより、株主と経営陣との直接対話の場を設けております。
2) 当社のIR部門は、株主との対話において得られた意見を適宜経営陣にフィードバックし、中長期の経営方針の検討に活かしております。

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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