ブリッジレポート
(5162) 株式会社朝日ラバー

スタンダード

ブリッジレポート:(5162)朝日ラバー 2022年3月期第1四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

渡邉 陽一郎 社長

株式会社 朝日ラバー(5162)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

ゴム製品(製造業)

代表取締役社長

渡邉 陽一郎

所在地

埼玉県さいたま市大宮区土手町2-7-2

決算月

3月

HP

https://www.asahi-rubber.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

618円

4,536,363株

2,803百万円

2.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

3.2%

52.02円

11.9倍

990.87円

0.62倍

*株価8/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期実績。BPSは直近四半期末実績。
*EPSとDPSは今期の会社予想。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

EPS

配当

2018年3月(実)

7,534

561

589

459

101.98

20.00

2019年3月(実)

7,706

483

508

352

77.97

20.00

2020年3月(実)

7,489

325

346

126

27.91

30.00

2021年3月(実)

6,487

-92

18

113

25.06

10.00

2022年3月(予)

7,252

321

311

236

52.02

20.00

*2020年3月期の内訳は、普通配当20円、記念配当10円。
*単位:百万円、円

 

(株)朝日ラバーの2022年3月期第1四半期決算の概要等をブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.新中期経営計画
3.2022年3月期第1四半期決算
4.2022年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/3期第1四半期は前年同期比25.7%の増収、82百万円の経常利益(前年同期は9百万円の経常損失。医療用ゴム製品の在庫調整やRFIDタグ用ゴム製品の受注減少が続くものの、工業用ゴム製品のうちASA COLOR LEDなどの自動車向けゴム製品の受注が大きく増加したことにより、前年同期比で増収増益となった。

     

  • 22/3期の会社計画は、前期比11.8%増収、3億11百万円の経常利益(前期は18百万円の経常利益)。工業用ゴム事業の卓球ラケット用ラバーが回復基調にあることや、自動車向けゴム製品の受注見通しが好調なことから、上期と通期の業績予想が上方修正された。配当予想は、1株当たり10円増加の年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。

     

  • 新型コロナウイルス感染症拡大により抑制されていた個人消費の回復、半導体の不足の影響により減産していた自動車生産の適正化、在庫水準が低下した自動車メーカーによる在庫積み増しの動きなど、顧客である自動車メーカーによる自動車生産の拡大が期待される。ASA COLOR LEDやスイッチ用ゴムなど自動車関連製品の今後の受注動向が注目される。

     

     

1.会社概要

小型電球やLEDに被せる事で様々な発色を可能にする被覆用ゴム製品を主力とする。自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている。シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能。また、医療・衛生用ゴム製品や硬質ゴムと軟質ゴムの複合製品等も配合技術を活かしてそれぞれの用途にあったゴム質を実現している。

 

グループは、同社の他、ゴム・プラスチック等の研究開発を行う(株)朝日FR研究所、米国の販売会社ARI INTERNATIONAL CORP.、及び工業用ゴム製品の販売を手掛ける朝日橡膠(香港)有限公司、10年7月に設立した工業用ゴム製品の製造・販売を手掛ける東莞朝日精密橡膠制品有限公司、及び12年1月に設立した工業用ゴム製品の開発・設計・販売を手掛ける朝日科技(上海)有限公司の連結子会社5社からなる。

事業系統図

(同社決算説明会資料より)

 

生産拠点

(同社HPより)

 

海外拠点

(同社決算説明会資料より)

 

連結業績の推移

 

【事業内容と主要製品】

事業は、自動車のスピードメーターや内装照明の光源向けの「ASA COLOR LED」や各種センサ向けのレンズ製品「ASA COLOR LENS」、或いは弱電製品に使われる応用製品、更にはスポーツ用ゴム製品(反発弾性、高摩擦抵抗等を追及した高品質の卓球ラケット用ラバー)等の工業用ゴム事業、点滴輸液バッグ用ゴム栓や真空採血管用ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケット等、使い捨てのディスポーザブル用ゴム製品の医療・衛生用ゴム事業に分かれ、22/3期第1四半期の売上構成比は、それぞれ84.1%、15.9%。 今後は、RFIDタグ用ゴム製品、ASA COLOR LENS、医療回路製品用ゴム部品などの販売拡大が期待される。

 

・ASA COLOR LED
ASA COLOR LEDとは、LEDの光と色のばらつきを解消する商品。青色LEDに蛍光体を配合したシリコーン製キャップを被せることで、自動車内装照明用に10,000色以上の均質な光を提供。顧客に要求される均一な色を実現している。
ASA COLOR LEDのイメージ

同社決算説明会資料より

 

ASA COLOR LEDの採用例

(同社会社説明会資料より)

 

(同社会社説明会資料より)

 

・医療用ゴム製品
点滴輸液バッグ用ゴム栓、真空採血管ゴム栓、薬液混注ゴム栓、プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)向けガスケットなど、医療現場で用いられるディスポーザブル商品に使用される。安全性の高い材料を開発し、独自のコーティング技術で“漏れない”と“滑る”を両立し、注射速度の微妙な調節が可能。素材変性技術による安全性の高い材料と表面改質技術による摺動性の向上により、医療ミス防止などの安全性向上に貢献している。

 

プレフィルドシリンジ向けガスケットのイメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・RFIDタグ用ゴム製品
RFIDタグ用ゴム製品は、溶剤を使わずに接着させる“分子接着・接合技術”を応用し、IC チップやアンテナ部をゴム素材で覆い、折り曲げに強く、耐水性、耐熱性に優れた、柔らかい小型のRFIDを提供。取り付ける対象がどのようなものかを記憶し、認識させる機能で、今後成長が期待される認証・認識ビジネスに対応。 ゴムという弾性体の特徴を生かして、RFIDが使用できなかった用途への利用が可能に。さらに応用し市場拡大を進める。

 

RFIDタグ用ゴム製品イメージ

(同社決算説明会資料より)

 

・卓球ラケット用ラバー
球を高速で弾く反発弾性、強烈なスピンをかける高摩擦抵抗などを追及した高性能、高品質の製品。

(同社HPより)

 

【コア技術と事業領域】
オープンイノベーションで事業領域深耕につながる研究を加速するとともに、製品化に向けた実証研究を強化する。

(同社HPより)

 

・色と光のコントロール技術
シリコーンゴムに着色剤や蛍光体を配合し、様々な色と光を出すことのできる色調管理技術を有し、ばらつきを調整し、顧客が望む細かい色調を実現。また、透明なシリコーン樹脂を材料とし、耐熱性、対紫外線性に優れ、集光・拡散といったレンズ機能を実現。ASA COLOR LEDなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、自動車内装、照明分野とコア技術を応用したスイッチ分野の拡大を図る方針。

 

・表面改質及びマイクロ加工技術
接着剤を使わずに、ゴムとゴムや金属、樹脂を接着させる分子接着・接合技術を有する。接着させる表面を改質処理し、化学反応で結合。これにより、有害な溶剤の廃棄処理が不要となり、耐熱性、耐水性もクリア。耐水性、耐候性に優れており、RFIDタグ用ゴム製品やマイクロ流体デバイスでこの技術が生かされている。また、数十ミクロンから数ミクロン単位の表面加工を行うマイクロ加工技術を確立。医療用ゴム製品である薬液混注ゴム栓の薬液注入口の形成と薬液漏れの防止や、充電して使用できる二次電池の内圧管理にもこのマイクロ加工技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、高性能製品や新たな分野を開拓する方針。

 

・素材変性技術
ゴムをはじめとするソフトマテリアルは、素材に添加物を配合することで求める機能を持たせることができる。更に、ナノ・分子レベルで成形することによりその機能をパワーアップすることも可能。卓球ラケット用ラバーなどにこの技術が生かされている。今後もこれら技術を活用し、医療分野を支える製品を提供する方針。

 

【強み】
同社は、固有の技術力をさらに深化させ、組み合わせることで更なる特徴を生み出すと同時に、市場の広がりと顧客ニーズを分析し、製品の将来性を考慮した市場ターゲット戦略と価格戦略を組み立て、最も効率の良い生産体制を整えている。

(同社HPより)

 

【ESGへの取り組み】

SDGs/ESGへの関心が高まるなか、改めて社会における自社の存在意義を見直した。その結果、会社は社会のためにあるべきものであり、「人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社」という将来像を見据えた、2030年までの長期ビジョン「AR-2030VISION」を定め、SDGs/ESGを経営の軸に置くことをより明確にした。
また、世界共通の目標であるSDGs達成のためにはさまざまなパートナーとの共創が不可欠と考え、「ステークホルダー・エンゲージメントを高める」という行動指針を定めた。

 

長期ビジョン「AR-2030VISION」の下、「サステナビリティビジョン2030」に沿って、グローバルな社会課題の解決に挑戦する企業を目指す。

 

「サステナビリティビジョン2030」実現のため、環境・社会に関する各種基本方針の下、取り組むべき環境・社会目標、KPIを設定した。目標、KPIに関する進捗は毎年報告する。

 

◎環境環境(方針・実績/KPI)
環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境にやさしいものづくり」をスローガンとして、地球環境保全と社会への貢献を目指して活動する。

(同社ウェブサイトより)

 

◎社会(方針・実績/KPI)
働きがいのある職場環境で従業員一人ひとりが生き生きと活躍することで、顧客が満足できる製品を提供し続ける。

(同社ウェブサイトより)

 

 

 

2.新中期経営計画

同社は、中期経営計画を策定するにあたり、「私たちは人を豊かにしてグローバル社会貢献度が高い技術会社になる」ことを未来に通ずる姿とし、朝日ラバーらしい価値を磨き、独自の新製品開発による成長を描くため、2030年を見据えたビジョンを「AR-2030VISION」を定めた。具体的な内容は、以下の通り。
【AR-2030VISION】
弾性無限の創造で持続的な価値向上がつながる社会に貢献する企業へと成長し続ける。弾性無限への挑戦。
【経営基盤】
CSR/ESG経営を重視し、グローバルな社会課題に挑戦する企業へと邁進します。
【行動指針】
ステークホルダー・エンゲージメントを高めること。
【技術基盤】
制御&感性へ -ゴムが有する無限の可能性に感性技術を加えてQOL向上を目指します-
独自の競争力の源泉となるコア技術は、色と光のコントロール技術、素材変性技術、表面改質およびマイクロ加工技術としている。それらコア技術に対して新たに感性技術を融合させ、現実世界・サイバー空間がシームレスにつながる世界において、それぞれの事業分野における「人と機械(システム)のつながり」を成長の視点と捉え、新たな価値の創造をもって社会課題の解決に挑む。
【事業基盤】
重点4事業分野へ -事業価値を高め続けて10年後にありたい姿の実現を目指します-
これまでの重点3事業分野(車載・照明事業、医療・ライフサイエンス事業、その他事業)について社会が求める 2030年の環境から見つめ直すとともに、将来に「実装化」が想定されるテクノロジーを見通しながら、光学事業、医療・ライフサイエンス事業、機能事業、通信事業の重点4事業分野に集中して10年後にありたい姿の実現を目指す。

 

第13次三ヵ年中期経営計画
同社は、AR-2030VISIONの実現に向けて、最初のステージの2023年3月期までの2020年4月~2023年3月を第13次中期三ヵ年として、中期計画および単年度計画を策定した。中期経営方針 として「誠実で機敏な対応力で岩盤を築き質的に成長する」を掲げ、中期経営戦略 として、①事業が貢献する機会を増やして密着し、素早く課題を解決する技術で経験と実績を積み上げる、②CSR/ESG経営へ進化させると定め、最終年度である23/3期に、数値目標である連結売上高80~90億円、連結営業利益率8%以上を目指す。環境の変化による影響を考慮しながら成長を続ける目標とするため、売上高目標は範囲を持って設定するとともに、利益については、売上高に影響を及ぼす市場環境の変化に対応しながらも、質的成長を目指すことから、連結営業利益率を目標指標とした。 また、設備投資計画は、21/3期~23/3期累計で約10億円。20/3期までに進めてきた設備投資や環境整備による生産体制充実と、更に新製品・開発製品に注力し、案件を早期に立ち上げるための開発投資も進める予定である。

 

(1)重点事業分野の取り組み

光学事業(主要製品:ASA COLOR LED、シリコーン製レンズ、白色シリコーンインキ、カラーフィルター、蛍光体応用製品など)
20/3期の連結売上高約35億円に対し、23/3期の売上高は40億円を計画。「感性、共感」をキーワードに、色と光を制御する技術と感性技術を磨き、自動車の内装照明市場から外装照明、またアンビエント照明※に向けた技術開発と提案を進める。また、海外の顧客へのアプローチをさらに進めていくため、自動車産業向けの品質マネジメントシステムである IATF16949の認証を白河工場で2020年11月に取得した。
※アンビエント照明とは、室内の環境照明、または全般照明の総称。

(同社中期経営計画資料より)

 

医療、ライフサイエンス(主要製品:採血用・薬液混注用ゴム栓、AR超薄膜シリコーンシート、ARチェックバルブ、プレフィルドシリンジ用ガスケット、マイクロ流体デバイスなど)20/3期の連結売上高約12億円に対し、23/3期の売上高は約15億円を計画。診断・治療分野、理化学機器分野、介護・予防分野に向けて制御技術と感性技術を磨き、世界の医療現場と患者のQOL(Quality of Life)向上に貢献する。また、医療機器産業に向けた提案力を高めるため、医療機器の品質管理システム構築のための国際標準規格であるISO13485の認証について、白河第二工場においてこの中期経営計画中の取得を目指す。

(同社中期経営計画資料より)

 

機能事業(主要製品:車載スイッチ用ラバー、感圧ラバーセンサ、F-TEM※、卓球ラケット用ラバー、気流制御電極など)
20/3期の連結売上高約18億円に対し、23/3期の売上高は21億円を計画。ビークル分野、エネルギー分野、環境発電分野、スポーツ分野において制御技術と触覚・熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、将来のライフスタイルの実現への貢献に向けて、弾性無限で人に優しい感性価値を提供する。
※F-TEM(Flexible Thermos Electric Module)とは、ゴムならではの柔軟性を持った同社独自のペルチェデバイス。

 

(同社中期経営計画資料より)

 

通信事業(主要製品:RFIDタグ用ゴム製品、ビーコン、コネクタ、伸縮配線、ラバーファントムなど)
20/3期の連結売上高約9億円に対し、23/3期の売上高は12億円を計画。自動認識分野、通信機器分野、センシング分野において、伝える・伝わるセンシング技術、触覚・ 熱・振動・光関連の技術、感性技術を磨き、ゴムだからこそ実現できる価値を提供する。

(同社中期経営計画資料より)

 

(2)海外展開

同社グループは、顧客の要望に応えるため最適なロケーションとして、アメリカと中国に販売子会社と生産子会社を設置している。 重点事業分野に向けて同社の価値をこれまでよりも広く認知してもらうため、積極的に海外市場へのアプローチを進めて、価格競争ではなく、顧客に密着した活動により独自の価値を提供して、顧客満足度の向上を図り販売拡大に結び付ける方針である。

 

(同社HPより)

 

その他、同社は新中期経営計画の経営戦略に掲げる「CSR/ESG経営に進化させる」の達成に向け、サステイナビリティビジョン2030を2020年中に策定する予定である。今後もステークホルダーとの対話を通じて企業価値の向上を目指す方針である。

 

3.2022年3月第1四半期決算

(1)連結業績

 

21/3期

第1四半期

構成比

22/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

売上高

1,430

100.0%

1,797

100.0%

+25.7%

売上総利益

293

20.5%

417

23.2%

+42.3%

販管費

320

22.4%

339

18.9%

+5.8%

営業利益

-27

-

78

4.3%

-

経常利益

-9

-

82

4.6%

-

親会社株主に帰属する当期純利益

-20

-

61

3.4%

-

*単位:百万円 

 

前年同期比25.7%の増収、82百万円の経常利益
売上高は、前年同期比25.7%増の17億97百万円。売上面では、工業用ゴム事業の売上高が前年同期比36.8%増加。前年同四半期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けていたASA COLOR LEDなどの自動車向け製品全般の売上高が回復した。医療・衛生用ゴム事業の売上高は同11.9%の減少となった。プレフィルドシリンジガスケット製品が、前期下期より引き続き新型コロナウイルス感染症の影響で医療診断の変化等による在庫調整の影響を受け受注が減少した。
利益面では、経常利益が82百万円の経常利益(前年同期は9百万円の経常損失)となった。売上高が増加した工業用ゴム事業は、同2,939.2%の増益となった一方、売上高が減少した医療・衛生用ゴム事業は同47.6%の減益となった。こうした中、78百万円の営業利益(前年同期は27百万円の営業損失)となった。収益性の高い自動車向け製品の売上高の増加等が寄与し、売上総利益率は、23.2%と同2.7ポイント上昇した。合理化により販管費の増加を抑制したことにより、売上高販管費率も3.5ポイント低下した。また、営業外収益で補助金収入5百万円計上があったことなどにより、経常利益は82百万円(前年同期は9百万円の経常損失)となった。その他、特別損益な大きな計上はなかった。

 

四半期業績の推移

22/3期第1四半期(4-6月)は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前年同期を売上高、営業利益ともに大幅に上回った他、回復傾向を強めた前四半期(1-3月)並みの高水準の売上高、営業利益を維持した。
※15/3Qと4Qは、取締役2名逝去による役員退職慰労引当金繰入額等の特殊要因が影響。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

21/3期

第1四半期

構成比

22/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

工業用ゴム事業

1,105

77.3%

1,511

84.1%

+36.8%

医療・衛生用ゴム事業

325

22.7%

286

15.9%

-11.9%

連結売上高

1,430

100.0%

1,797

100.0%

+25.7%

工業用ゴム事業

4

8.7%

134

84.6%

+2,939.2%

医療・衛生用ゴム事業

46

91.3%

24

15.4%

-47.6%

全社費用

-78

-

-81

-

-

連結営業利益

-27

-

78

100.0%

-

*単位:百万円

 

事業別売上高(中期事業分野別)

 

21/3期

第1四半期

構成比

22/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

光学

540

37.8%

822

45.8%

+52.2%

医療・ライフサイエンス

324

22.7%

291

16.2%

-10.5%

機能

408

28.6%

530

29.5%

+30.2%

通信

155

10.9%

152

8.5%

-2.2%

連結売上高

1,430

100.0%

1,797

100.0%

+25.7%

*単位:百万円 

 

光学事業は、ASA COLOR LEDの受注が自動車市場の需要増加により増加したことが寄与し売上高が増加した。医療・ライフサイエンス事業は、医療用ゴム製品の一部製品で在庫調整が続き売上高が減少した。機能事業は、卓球ラケット用ラバーの受注の減少が継続したものの、スイッチ用ラバーなどの自動車向けゴム製品の受注が大きく増加したことから売上高が増加した。通信事業は、RFIDタグ用ゴム製品の受注の減少が北米市場での新型コロナウイルス感染症拡大による影響で継続したことから売上高が若干減少した。

 

国内・海外別売上高

 

21/3期

第1四半期

構成比

22/3期

第1四半期

構成比

前年同期比

国内

1,094

76.5%

1,381

76.9%

+26.2%

海外

335

23.5%

416

23.1%

+24.1%

アジア

298

20.9%

384

21.4%

+28.9%

北米

33

2.4%

26

1.5%

-20.5%

欧州

2

0.2%

4

0.2%

+59.8%

合計

1,430

100.0%

1,797

100.0%

+25.7%

*単位:百万円

 

国内売上高は前年同期比26.2%増加、海外売上高も規模の大きいアジアの増加が寄与し同24.1%増加した。

 

主力製品の売上推移

 

20/3期

3Q

4Q

21/3期

1Q

2Q

3Q

4Q

22/3期

1Q

前年同期比

ASA COLOR LED

815

801

501

582

779

849

761

+51.9%

医療用ゴム製品

309

293

322

292

274

248

283

-12.0%

卓球ラケット用ラバー

88

104

98

51

67

92

90

-7.8%

RFIDタグ用ゴム製品

130

172

113

126

133

103

94

-17.0%

*単位:百万円

 

ASA COLOR LEDは、前期第4四半期に比べて減少しているが、売上計上のタイミングによるものであり、受注回復傾向は継続している。医療用ゴム製品は、一部製品の在庫調整が続いているものの受注が回復傾向にある。卓球ラケット用ラバーは、昨年後半の受注減少から受注が回復基調にある。RFIDタグ用ゴム製品は、最終顧客である北米市場において新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け需要が低迷し、受注の減少傾向が継続している。

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

 

21年3月

21年6月

 

21年3月

21年6月

現預金

2,903

2,863

仕入債務

437

492

売上債権

1,706

1,616

短期有利子負債

1,099

1,045

たな卸資産

821

928

流動負債

2,898

2,985

流動資産

5,706

5,705

長期有利子負債

1,992

1,746

有形固定資産

3,707

3,623

固定負債

3,011

2,769

無形固定資産

86

83

純資産

4,430

4,484

投資その他

840

837

負債・純資産合計

10,341

10,250

固定資産・繰延資産

4,634

4,544

有利子負債合計

3,091

2,792

*単位:百万円。有利子負債=借入(リース債務含まず)

 

21年6月末の総資産は21年3月末比91百万円減の102億50百万円。資産サイドではたな卸資産などが増加したものの、現預金、売上債権、有形固定資産などが減少した。負債・純資産サイドでは、仕入債務、電子記録債務などが増加したものの、短期と長期の有利子負債などが減少した。21年6月末の自己資本比率は、43.9%と期末から1.1ポイント上昇した。

 

(4)上期業績予想の上方修正と上期業績予想に対する第1四半期実績の進捗状況

22/3期

第2四半期

5月13日時点

8月6日時点

見通し

構成比

見通し

構成比

増減率

売上高

3,531

100.0%

3,578

100.0%

+1.3%

売上総利益

778

22.0%

831

23.2%

+6.8%

営業利益

74

2.1%

127

3.6%

+71.6%

経常利益

75

2.1%

123

3.4%

+64.0%

四半期純利益

54

1.5%

90

2.5%

+66.7%

*単位:百万円。

 

第1四半期実績と現時点での見通しから第2四半期の見通しが上方修正された。

 

 

22/3期 第1四半期

22/3期 上期会社予想

進捗率

売上高

1,797

3,578

50.2%

売上総利益

417

831

50.2%

営業利益

78

127

61.4%

経常利益

82

123

67.4%

四半期(当期)純利益

61

90

68.0%

*単位:百万円。

 

22/3期第1四半期は、上期の会社計画に対して、売上高で50.2%、売上総利益で50.2%の進捗率であるものの、営業利益は61.4%、経常利益は67.4%の高い進捗率となっている。自動車向けの好調は続く見込みであるものの、保守的な第2半期の計画となっている。

4.2022年3月期業績予想

(1)連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

売上高

6,487

100.0%

7,252

100.0%

+11.8%

売上総利益

1,254

19.3%

1,753

24.2%

+39.7%

販管費

1,347

20.8%

1,432

19.7%

+6.3%

営業利益

-92

-

321

4.4%

-

経常利益

18

0.3%

311

4.3%

+1,602.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

113

1.8%

236

3.3%

107.4%

*単位:百万円

 

22/3期は、前期比11.8%の増収、同1,602.8%の経常増益予想
同社は、8月6日に22/3期の会社計画の上方修正を行った。新しい会社計画は、売上高が前期比11.8%増の72億52百万円、経常利益が同1,602.8%増の3億11百万円。売上面では、ASA COLOR LEDをはじめとする自動車用ゴム製品の売上高増加に加え、卓球ラケット用ラバーの受注も回復する見込み。工業用ゴム事業で前期比14.0%増加する計画。また、医療・衛生用ゴム事業も医療用ゴム製品の一部製品の在庫調整が緩やかに回復傾向となる見込みで同1.4%の増加を予想している。
利益面でも、売上高が増加する工業用ゴム事業が営業利益の増加を牽引する見込みである。売上総利益率は、前期比4.9ポイント上昇の24.2%、売上高対販管費率は、同1.1ポイント低下の19.7%の会社前提。この結果、営業利益は3億21百万円(前期は92百万円の営業損失)となる見込み。売上高営業利益率は、4.4%の予想。その他、営業外損益と特別損益において大きな計上の予定はない。
配当予想は、1株当たり10円増加の年20円(上期末10円、下期末10円)の予定を据え置き。連結配当性向は38.4%となる。

 

セグメント別売上高(中期事業分野別)

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前年同期比

光学

2,890

44.6%

3,212

44.3%

+11.1%

医療・ライフサイエンス

1,206

18.6%

1,182

16.3%

-2.0%

機能

1,759

27.1%

2,271

31.3%

+29.1%

通信

631

9.7%

586

8.1%

-7.1%

連結売上高

6,487

100.0%

7,252

100.0%

+11.8%

*単位:百万円

 

光学事業は、ASA COLOR LEDの受注増加が牽引し売上高の増加が続く見込み。医療・ライフサイエンス事業は、医療用ゴム製品の一部製品の在庫調整は緩やかに回復傾向となる見込み。機能事業は、自動車市場の回復を受けてスイッチ用ゴムなどの受注が増加することに加え、卓球ラケット用ゴムラバーの受注も徐々に回復する見通し。一方、通信事業は、RFIDタグ゙用ゴム製品の受注の減少が継続する前提。

 

主要製品の売上計画

 

21/3

実績

22/3

(当初計画)

22/3

(修正計画)

前提・方針

ASA COLOR LED

2,712

3,119

2,999

・自動車市場の回復傾向に伴い、受注が回復

する見通し。

・今年度は、自動車市場のグローバル動向の

先行きに不透明感がある。

医療用ゴム製品

1,138

1,115

1,055

・採血用・薬液混注用ゴム栓の受注は堅調に

推移。

・一部の用途の製品の在庫調整は下期から

徐々に回復する見込み。

卓球ラケット用ラバー

309

356

381

・競技の再開により徐々に受注は回復傾向。

・東京五輪開催による効果が見込めるものの

新型コロナウイルス感染症の状況で不透明感

がある。

RFIDタグ用ゴム製品

476

362

384

・北米市場の回復が見通せず、受注は低水準で推移する見通し。

・収益認識基準の変更により、売上高が前期比で約1億円減少する見込み。

*単位:百万円

 

設備投資計画

 

20/3 実績

21/3 実績

22/3 会社計画

設備投資

948

266

280

減価償却費

497

507

470

*単位:百万円

 

設備投資計画は、2億80百万円(前期2億66百万円)の予定。事業分野別内訳は、光学事業95百万円(同59百万円)、医療・ライフサイエンス事業55百万円(同75百万円)、機能事業1億円(同54百万円)、通信事業30百万円。光学事業は、ASA COLOR LEDの工法開発とシリコーンレンズの生産設備増強を計画。機能事業は、自動車用ゴム製品の受注増加に対応する生産設備の増強を計画している。また、法人別では、同社単体で2億円40百万円(全事業)、東莞朝日精密橡膠制品40百万円(機能事業)の予定。

 

 

(2)通期業績予想の上方修正と通期業績予想に対する第1四半期実績の進捗状況

22/3期

通期

5月13日時点

8月6日時点

見通し

構成比

見通し

構成比

増減率

売上高

7,181

100.0%

7,252

100.0%

+1.0%

売上総利益

1,711

23.8%

1,753

24.2%

+2.5%

営業利益

283

3.9%

321

4.4%

+13.4%

経常利益

281

3.9%

311

4.3%

+10.7%

四半期純利益

210

2.9%

236

3.3%

+12.4%

*単位:百万円。

 

工業用ゴム事業の卓球ラケット用ラバーは回復基調にあることや、自動車向けゴム製品の受注見通しが好調なことから、同社は8月6日に通期の会社計画の上方修正を実施した。

 

 

22/3期 第1四半期

22/3期 通期会社予想

進捗率

売上高

1,797

7,252

24.8%

売上総利益

417

1,753

23.8%

営業利益

78

321

24.3%

経常利益

82

311

26.7%

四半期(当期)純利益

61

236

25.9%

*単位:百万円。

 

22/3期第1四半期は、通期の会社計画に対して、売上高、各段階利益ともに25%前後となっている。自動車向けは好調が続くものの、下期以降の見通しに不透明感があることから保守的な通期予想となっている。

 

 

(3)22/3期の経営方針と経営戦略

【経営方針】
みんなにうれしさをお届けしよう。

 

【経営戦略】
①事業の魅力を高めて出口をつかむ。
②気づきを高めて課題を解決する。
③ESG経営を推進する。

 

5.今後の注目点

主力ASA COLOR LEDやスイッチ用ゴムなど自動車関連製品の回復が勢いを増している。今後も新型コロナウイルス感染症拡大により抑制されていた個人消費の回復、半導体の不足の影響により減産していた自動車生産の適正化、在庫水準が低下した自動車メーカーによる在庫積み増しの動きなど、顧客である自動車メーカーによる自動車生産の拡大が期待される。しかし、同社では下期以降の見通しの不透明さを考慮し保守的な会社計画を策定している。自動車業界を取り巻く外部環境を考えると果たして下期にそのような厳しい状況になるのか疑問ではあるが、上方修正された通期予想が再度上方修正される可能性が残されている。同社の顧客である自動車メーカーの今後の生産動向に加え、ASA COLOR LEDやスイッチ用ゴムなど自動車関連製品の受注動向が注目される。
一方、好調な自動車関連製品の受注とは裏腹に医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーやRFIDタグ用ゴム製品は受注の回復が遅れている。医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーについて回復の芽が出てきているようであるが、今後の回復の勢いに不透明さが残る。RFIDタグ用ゴム製品においては北米市場の回復が見通せず、低水準の受注が予想されている。収益性の高い医療用ゴム製品や卓球ラケット用ラバーやRFIDタグ用ゴム製品の受注がいつの時期から本格的な回復に転じるのか注目される。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2021年6月30日

 

「当社は、JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】

 

年二回行っている社内での方針説明会、また毎月全社員を対象に行っている月例報告会で、健全な事業活動倫理を尊重する精神について、様々な角度と表現で伝えています。また、地域の経済同友会などに加盟し、他企業と交流を深めることで情報収集を行い、社内に展開しております。

特に重視しているのは社内のオープンなコミュニケーションです。いろいろな意見を出せる環境、聞く環境を整えていくことで、ステークホルダーを尊重する企業風土を醸成していけると考えております。

【株主との対話】

 

当社WEBサイトで中期経営計画をわかりやすく公開しています。また、個人投資家向けのページでは、会社の目指す方向やトップメッセージなどを紹介しています。決算説明会は当社の重点施策について社長が直接説明し、当日の状況はWEBサイトにて動画配信しております。

なお、2021年3月期確定決算の説明会は、新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、オンライン配信のみといたしました。

 

 

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