ブリッジレポート:(3667)enish 2021年12月期上期決算
安徳 孝平 社長 | 株式会社 enish (3667) |
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企業情報
市場 | 東証1部 |
業種 | 情報・通信 |
代表者 | 安徳 孝平 |
所在地 | 東京都港区六本木6-1- 20 六本木電気ビルディング4F |
決算月 | 12月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
579円 | 13,841,960株 | 8,014百万円 | - | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
- | - | - | - | 71.63円 | 8.1倍 |
*株価は8/5終値。
非連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2017年12月(実) | 4,382 | -914 | -911 | -982 | -125.99 | - |
2018年12月(実) | 5,449 | -716 | -712 | -719 | -81.06 | - |
2019年12月(実) | 3,959 | -1,456 | -1,462 | -1,469 | -142.97 | - |
2020年12月(実) | 4,073 | -596 | -641 | -1,044 | -83.05 | - |
2021年12月(予) | - | - | - | - | - | - |
* 業績予想は非開示。単位:百万円、円。
* 2021年12月期の業績予想は、現時点で合理的な業績予想の算定ができないことから非開示。
(株) enishの2021年12月期上期決算の概要と今後の取り組みについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2021年12月期上期決算概要
3.今後の取り組み
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 21/12期上期は前年同期比15.3%の増収、1億79百万円の営業利益(前年同期は5億59百万円の営業損失)。前事業年度にリリースした『五等分の花嫁』初のゲームアプリ「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」(以下、ごとぱず)が好調に推移したことが大幅増収に寄与。また、リリース後11年目を迎えた「ぼくのレストランⅡ」「ガルショ☆」についても、11周年施策やコラボレーション施策等が効き、好調に推移。広告宣伝費などのコスト圧縮施策の成果もあって、特に第2四半期単体では営業利益が大きく増加しての着地に。
- 21/12期予想は非開示。同社は、「エンターテインメント事業を取り巻く環境は変化が激しく、当社の事業も短期間に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い業績予想数値を算出することが困難」として、業績予想を開示していない。既存タイトルの売上高の維持と効率的な運営体制の見直しを行い収益力の強化を図るとともに、売上収益の拡大を目的に新規で年間1~2タイトルをリリースする方針である。
- 今第1四半期(1-3月)の営業黒字転換から、失速することなく、第2四半期(4-6月)でさらに増益のモメンタムが加速している。長らく業績の苦戦が続いていた同社にとって、この点は企業体質の明確な変化として、ポジティブに評価することができる。なお、6月からは「ごとぱず」の韓国語版の配信がスタートしている。同アプリを手掛かりとして、集客・ローカライズ・KPI特性のノウハウを蓄積することで、今後も続く同社アプリの海外展開の成功率を高めることに繋がる。そういった意味で、動向を的確に追っていく必要があるだろう。
1.会社概要
レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストランⅡ」やアパレルショップの経営シミュレーションゲーム「ガルショ☆」等の人気作品を有するモバイルゲームの企画・開発・運営会社。「Link with Fun」というスローガンの下、「世界中にenishファンを作り出す」事をミッションとして掲げている。
基本方針は、ゲーム事業に注力し、既存タイトルの売上高の維持・拡大を図りつつ、新規タイトルを投入していく。新規タイトルについては、オリジナル・IP・パブリッシングなどタイトル展開を多様化すると共に、海外展開・海外タイトルの国内展開および展開地域の拡大を進める。
【経営理念 : 世界中にenishファンを作り出す】
同社は「Link with Fun」というスローガンのもと「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとし、より多くのユーザーに楽しんでもらえる魅力的なサービスの提供に取り組んでいる。
enish(エニッシュ)という社名は、人と人との縁(えん、えにし)に由来しており、繋がりやコミュニケーションを大切にする会社・スタッフでありたいという想いを表している。ロゴマークは、entertainmentの「e」とGameの「G」を組み合わせ、「日」や「一」という日本の漢字や家紋のイメージを盛り込み、日本から世界へ発信していくという想いを表している。
「Link with Fun」というスローガンは、Fun(楽しさ)を次々と生み出す事で、人と人、世界を繋げたいという想いを表している。その結果enishのFan(ファン)がどんどん増えていく。社名の由来である「縁」にも繋がっていく、というのが同社の考え。
【事業の内容】
同社は、インターネットを通じたソーシャルアプリの企画・開発・提供を行うモバイルゲーム事業を主たる事業としている。提供するサービスは、主に「AppStore」、「GooglePlay」上においてサービスを提供するネイティブアプリケーション(注1)の配信を中心としている。また、ソーシャルゲームプラットフォーム(注2)を通じてもサービスを提供しており、ユーザーへの課金、料金の回収は当該ソーシャルゲームプラットフォーム事業者に委託するとともに、その対価としてシステム利用料等を支払っている。
*(注1)ネイティブアプリケーションとは、特定のコンピューターの機種やOS上で直接実行可能なプログラムで構成されたアプリケーションソフトウェアのこと。
*(注2)プラットフォームとは、ソフトウェアやハードウェアを動作させるために必要な基盤となるハードウェアやミドルウェア等のこと。また、それらの
組み合わせや設定、環境などのこと。
【主要タイトル】
ブラウザタイトル
ぼくのレストラン Ⅱ
| 「ガルショ☆」
| ||
サービス開始 | 2010年6月(11年2ヶ月経過) | サービス開始 | 2010年11月(10年9ヶ月経過) |
ジャンル | レストラン経営シミュレーション | ジャンル | アパレルショップシミュレーション |
プラットフォーム | GREE Mobage mixi d-game Ameba mobcast コロプラ hangame ヤマダ ゲーム TSUTAYA ゲソてん | プラットフォーム | REE Mobage mixi d-game Ameba コロプラ hangame ヤマダゲーム TSUTAYA ゲソてん |
会員数 | 170万人 | 会員数 | 130万人 |
ネイティブタイトル(プラットフォームはいずれも、App Store/Google Play)
HiGH&LOW THE GAME ANOTHER WORLD
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サービス開始 | 2019年10月開始(1年10ヶ月経過) |
ジャンル | アクションRPG |
ダウンロード | 60万人 |
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2021年1月21日、1周年記念キャンペーン開催 | |
セレモニー装備やアイテム、素材を展開 | |
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五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。
サービス開始 | 2020年10月開始(10ヶ月経過) | |
ジャンル | ラブコメパズル | |
ダウンロード | 555万人 | |
著作権表記 | ©春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁∬」製作委員会 ©G Holdings Co.,Ltd. ©enish,inc. |
展開エリアを日本から、香港・台湾・マカオ、韓国まで拡大。
(同社資料より)
2.2021年12月期上期決算概要
2-1 非連結業績
| 20/12期 上期 | 構成比 | 21/12期 上期 | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 1,967 | 100.0% | 2,268 | 100.0% | +15.3% |
売上総利益 | 26 | 1.3% | 582 | 25.7% | +2,091.7% |
販管費 | 586 | 29.8% | 402 | 17.7% | -31.3% |
営業利益 | -559 | - | 179 | 7.9% | - |
経常利益 | -579 | - | 161 | 7.1% | - |
当期純利益 | -907 | - | 150 | 6.6% | - |
* 単位:百万円
前年同期比15.3%の増収、1億79百万円の営業黒字に転換
売上高は前年同期比15.3%増の22億68百万円。前事業年度にリリースした『五等分の花嫁』初のゲームアプリ「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」(以下、ごとぱず)が好調に推移したことが大幅増収に寄与。出演する人気声優を起用した公式放送を行い、番組とゲームで連動した企画を実施するなど、ファンの心をくすぐる魅力的な施策も奏功している。また、リリース後11年目を迎えた「ぼくのレストランⅡ」「ガルショ☆」についても、11周年施策やコラボレーション施策等が効き、好調に推移。
損益面では、営業損益が前年同期の5億59百万円の赤字から、1億79百万円の黒字に転換。広告宣伝費などのコスト圧縮施策の成果もあって、特に第2四半期単体では営業利益が大きく増加。また、オフショア(中国/ベトナム)活用強化による労務費・外注費の圧縮効果も寄与した。
営業費用(概算値)
| 20/12期 上期 | 構成比 | 21/12期 上期 | 構成比 | 増減額 | 増減率 |
労務費・人件費 | 522 | 20% | 440 | 21% | -82 | -15.7% |
外注加工費 | 377 | 14% | 197 | 9% | -180 | -47.7% |
広告宣伝費 | 278 | 11% | 174 | 8% | -104 | -37.4% |
支払手数料 | 664 | 26% | 759 | 36% | +95 | +14.3% |
その他 | 682 | 27% | 513 | 24% | -169 | -24.7% |
合計 | 2,523 | 100% | 2,083 | 100% | -440 | -17.4% |
* 単位:百万円
テレワーク(在宅勤務)制度導入と本社移転
コロナ禍による在宅勤務実施以降、恒久的在宅勤務に向け試行を続けた結果、テレワーク(在宅勤務)においても生産性向上が図られ、場所を問わずチーム体制が有効に機能することが確認され、運用に支障がないことが証明された。また、通勤時間が不要になり、ワーク・ライフ・バランスが図られるなど従業員のニーズも相応にあることから、2020年6月25日にテレワーク(在宅勤務)制度の導入を決定した。これまで、六本木ヒルズ森タワーを本店とし、サテライトオフィスとしてラピロス六本木(共に東京都港区)を利用し事業を進めてきたが、テレワーク(在宅勤務)制度の導入・活用により、ラピロス六本木に集約できると判断し、2020年6月25日に六本木ヒルズ森タワーを閉じ、ラピロス六本木へ本社を移転した。更に、より小さなオフィスで対応することが可能と判断し、2021年1月29日に、ラピロス六本木から六本木電気ビルへ本店を移転することを決定し、2021年4月1日に移転した。
テレワーク(在宅勤務)制度の概要
テレワーク(在宅勤務)制度は、在宅勤務の利便性・合理性を軸としつつ、face-to-faceによるチームビルディングも考慮されている。具体的には、「原則は全員在宅勤務」とし、一部希望者はオフィス勤務を許可すると共に、業務内容によりオフィス勤務を指示する。
2-2 第2四半期(4-6月)非連結業績
| 20/12-1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 21/12-1Q | 2Q |
売上高 | 1,031 | 935 | 858 | 1,247 | 1,213 | 1.055 |
売上総利益 | 16 | 9 | 14 | 294 | 292 | 290 |
販管費 | 331 | 254 | 178 | 166 | 237 | 164 |
営業利益 | -314 | -244 | -164 | 127 | 54 | 125 |
経常利益 | -322 | -256 | -183 | 120 | 45 | 116 |
当期純利益 | -324 | -583 | -193 | 56 | 36 | 114 |
* 単位:百万円
体質改善が本格化、営業利益の黒字を達成
第2四半期(4-6月)は「ごとぱず」が引き続き好調に推移したことに加え、ブラウザタイトルにおいても引き続き安定した水準を維持したものの、『欅のキセキ/日向のアユミ』のサービス終了告知などもあって、売上高は10億55百万円と前四半期比13.1%減少した(前年同期比では12.7%増)。コストは、外注加工費や広告宣伝費が抑えられたことで、全体では同19.8%減少(前年同期比21.2%減)するなど、収益構造の改善が続いている。その結果第2四半期(4-6月)は、前期比、前年同期比ともに増益となり黒字化を達成。
営業費用
| 20/12-1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 21/12-1Q | 2Q |
労務費・人件費 | 271 | 251 | 247 | 268 | 215 | 225 |
外注加工費 | 205 | 172 | 205 | 184 | 144 | 53 |
広告宣伝費 | 169 | 109 | 57 | 47 | 125 | 49 |
支払手数料 | 346 | 318 | 295 | 417 | 405 | 354 |
その他 | 354 | 328 | 216 | 203 | 268 | 245 |
合計 | 1,345 | 1,180 | 1,022 | 1,119 | 1,158 | 929 |
* 単位:百万円
タイトル別動向
ブラウザタイトルでは、11周年を迎えた「ぼくのレストランⅡ」及び「ガルショ☆」共に、他社IPとのコラボレーション施策等(「カナヘイの小動物」コラボ、和心ECサイト「The Ichi」コラボ)により、引き続き安定して推移した。
ネイティブタイトルでは、欅坂46・日向坂46公式ゲームアプリ「欅のキセキ/日向のアユミ」のサービスが8月31日をもって終了。HiGH&LOWシリーズ初となる「HiGH&LOW THE GAME ANOTHER WORLD」は、売上高を維持。「De:Lithe(ディライズ)~忘却の真王と盟約の天使~」は、新ジョブの追加、ジョブLv上限の解放、ストーリーの新章追加などの施策を打った他、効率化運営をさらに推進した。コミック累計1,450万部突破のアニメ『五等分の花嫁』初のゲームアプリ「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」(ごとぱず)は、6月に韓国語版の配信をスタートさせるなど、展開が加速している。
2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態
| 20年12月 | 21年6月 |
| 20年12月 | 21年6月 |
現預金 | 1,113 | 895 | 買掛金 | 183 | 123 |
売掛金 | 444 | 426 | 未払金 | 69 | 66 |
流動資産 | 1,724 | 1,576 | 有利子負債 | 435 | 435 |
有形・無形固定資産 | - | 7 | 負債 | 1,206 | 1,003 |
投資その他 | 322 | 410 | 純資産 | 840 | 991 |
固定資産 | 322 | 418 | 負債・純資産合計 | 2,047 | 1,995 |
* 単位:百万円
21/6月期末の総資産は前期末との比較で52百万円減の19億95百万円。資産サイドでは、現金及び預金の減少が主なマイナス要因。なお、こちらは今後の大型IP獲得(2件)に伴うライセンサーへのIP許諾費用支払いに伴うもので、ネガティブ視する必要はない。負債・純資産サイドでは、買掛金や移転損失引当金の減少、四半期純利益などが主な影響要因。期末の自己資本比率は49.5%と前期末の38.1%から改善した。
キャッシュ・フロー(CF)
| 20/12期 上期 | 21/12期 上期 | 前年同期比 | |
営業キャッシュ・フロー(A) | -655 | -173 | 481 | - |
投資キャッシュ・フロー(B) | -21 | -45 | -23 | - |
フリー・キャッシュ・フロー(A+B) | -676 | -218 | 457 | - |
財務キャッシュ・フロー | 1,031 | -10 | -1,041 | - |
現金及び現金同等物期末残高 | 1,039 | 885 | 154 | -14.8% |
* 単位:百万円
主に税前四半期純利益の計上と移転損失引当金の影響により営業CFのマイナス額が縮小した。敷金及び保証金の差入による支出及び貸付による支出の影響で若干ながら投資CFのマイナス額が拡大したものの、フリーCFのマイナス額は縮小。また、前年同期に発生した新株予約権の行使による株式の発行による収入の増加が消えたことで、財務CFは小幅にマイナスとなった。以上により、期末のキャッシュポジションが低下した。
継続企業の前提に関する重要な疑義
同社は、20/12期まで6期連続となる営業損失及び7期連続となるマイナスの営業CFを計上している。これにより、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。こうした継続企業の前提に疑義を生じさせる状況を解消するべく、同社は事業基盤及び財務基盤の安定化に取り組んでいく方針である。
【事業基盤の安定化】
既存タイトルについて、各タイトルの収益状況に応じた人員配置を行うなど運営体制の見直しを継続的に行うことによりコスト削減を図るほか、その中においても収益が見込めない既存タイトルについては、事業譲渡・配信終了も視野に対応する方針。
また、他社IPタイトルとのコラボレーションを実施するなど、他社IPの協力を得ることによりユーザーのログイン回数や滞留時間の増加を図り、売上収益の拡大を進めていく。今後の新規タイトルについては、運営にオフショア(中国/ベトナム)を活用することにより、日本チームが新規開発に特化できる体制を構築。人員体制及び協力企業の制作力・技術力を踏まえ、過去事例を参考に慎重に工数を見積もることで、開発スケジュールの遅延等による開発費の増加が生じないよう努める方針だ。また、IPの価値と経済条件を踏まえ収益性が高く見込まれるタイトルに対して優先的に開発・運営人員を配置することにより、収益改善を図る予定。
【財務基盤の安定化】
財務基盤の安定化のため、複数社の取引金融機関や協業先と良好な関係性を築いており、引き続き協力を得るための協議を進めている。売上高やコスト等の会社状況を注視し、必要に応じてすみやかな各種対応策を実行していく方針である。
3.今後の取り組み
3-1 21/12期業績予想は非開示
モバイルゲーム事業を取り巻く環境の変化が激しく、同社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、信頼性の高い業績予想数値を算出することが困難との判断のもと、同社では決算業績及び事業の概況の速やかな開示に努め、業績予想については非開示としている。
既存タイトルの売上高の維持と効率的な運営体制の見直しを行い収益力の強化を図る。また、売上収益の拡大を目的に、新規で年間1~2タイトルをリリースしていく方針である。今後の新規タイトルは、自社開発と共同開発の分散とともに、運営に海外を活用することにより、日本チームが新規開発に特化できる体制を構築することで、開発の長期化や開発費の高騰など各種リスクの低減を図りながら、開発費の増加が生じないよう努めつつ、高品質なIPタイトルの開発を行っていく方針である。
3-2 基本方針 : ゲーム事業に注力し、新規タイトルを年1~2本ペースでリリースし利益を積み上げる
ゲーム事業に注力し、既存タイトルの効果的な運用を行いつつ、新規タイトルの投入により売上収益の拡大を図るとともに、海外展開を推進する方針である。
既存タイトルの効果的な運用については、売上高を維持させるとともに、効率的な運営体制とコストコントロールの徹底により
収益力の向上を図る。また、他社IPタイトルとのコラボレーションを積極的に行う。『De:Lithe ~忘却の真王と盟約の天使~』は、2021年1月21日に1周年記念キャンペーンが開催され、セレモニー装備やアイテム、素材を展開する。また、「ごとぱず」においては、オリジナルストーリーイベントやTVCMが実施された。
新規タイトルの投入により売上収益の拡大については、当面IPタイトルに集中し優良案件の確保を図る。また、運営の海外活用により、日本チームが新規開発に特化できる体制を構築するとともに、各タイトルの品質を高めヒット確率を向上させる。
海外展開の推進については、香港/台湾/マカオ・中国・韓国を中心に展開し売上の拡大を図るとともに、集客・ローカライズ・KPI特性のノウハウを蓄積する。
3-3 新規タイトル
今後の継続した成長に向け優良IP案件を開発する。パイプラインは常に3~4本が走っている。全てが21/12期中にリリースされるわけではないが、各パイプラインの進捗・情報は、情報開示が可能になったタイミングで公表する予定である。そのうちの1本であり、期待値の高い「彼女、お借りします ヒロインオールスターズ」は2021年9月配信予定となっている。
4.今後の注目点
今第1四半期(1-3月)の営業黒字転換から、失速することなく、第2四半期(4-6月)でさらに増益のモメンタムが加速している。長らく業績の苦戦が続いていた同社にとって、この点は企業体質の明確な変化として、ポジティブに評価することができる。なお、6月からは「ごとぱず」の韓国語版の配信がスタートしている。同アプリを手掛かりとして、集客・ローカライズ・KPI特性のノウハウを蓄積することで、今後も続く同社アプリの海外展開の成功率を高めることに繋がる。そういった意味で、動向を的確に追っていく必要があるだろう。また、2021年9月配信予定となっている「彼女、お借りします ヒロインオールスターズ」も前評判は上々だ。こちらも息の長いコンテンツとなるよう、リリース前後の同社のかじ取りを含めて注視したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 5名、うち社外1名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年3月26日)
基本的な考え方
当社は、企業価値を継続的に高めていくためには、迅速な意思決定や適切な業務執行と共に、経営の健全性と透明性を高める経営監視システムを強化し、機能させることが極めて重要だと認識し、ステークホルダーの信頼維持のため、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。
<実施しない主な原則とその理由>
■補充原則1-2-4 株主総会の権利行使における環境作りについて
当社は、スマートフォンを使って株主総会での議決権を行使できる電子投票システムを導入しておりますが、当社の外国人株主構成比率が相対的に低い状況であることを踏まえ、招集通知の英文開示等は行っておりません。今後、海外投資家等の比率やニーズを踏まえ、英語での情報開示を検討してまいります。
■補充原則3-1-2 英語による情報の開示・提供について
現状の資本構成で、英語での開示の早急性は低いと考えておりますが、今後ニーズが高まれば対応を検討してまいります。
■原則4-8 独立社外取締役の有効な活用
当社は、取締役会における議論が一層活性化し適切な意思決定が行われることや、その監督機能を強化することなどを目的として、独立社外取締役を1名選任しております。しかしながら、変化の激しい事業環境の中、事業規模を鑑みながら、今後、コーポレート・ガバナンスをさらに充実させるため独立社外取締役が複数名となるよう候補者の検討を行っております。
■補充原則4-11-3 取締役会全体の実効性の分析・評価について
取締役会の実効性の分析・評価については、取締役会又は取締役間において随時議論又は意見交換等が行われているところではありますが、今後、より具体的な評価手法を定めて分析・評価を行っていくことを検討してまいります。
■原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表
モバイルゲーム事業を取り巻く環境の変化が激しく、当社の業績も短期的に大きく変動する可能性があること等から、具体的な数値目標を算出することが困難となっているため、決算業績及び事業の概況のタイムリーな開示に努め、具体的な数値目標については開示を見合わせます。
<開示している主な原則>
■原則3-1 情報開示の充実
(i)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画
当社は、「Link with Fun」というスローガンのもと、「世界中にenishファンを作り出す」ことをミッションとして掲げ、ゲームデザイナー、エンジニア及びアートデザイナーが付加価値の高いサービスを生み出す会社であるとともに、グローバルマーケットに立てるクリエーター、スペシャリストを生み出す会社でもあり続けたいという経営の基本方針のもと、モバイルゲームを通じて、世界中のユーザーに新たな喜びを提供してまいります。そのため、重要な経営課題及びその進捗状況については、株主総会や四半期ごとの決算発表その他適時に説明を行うこととしております。また、企業価値拡大に向けた取り組み方針については、随時決算説明補足資料等の開示を行っております。詳しくは当社IRページ(http://www.enish.jp/ir/)をご覧ください。当社が属するモバイルゲーム業界につきましては、競争環境が激化しており、当社といたしましては継続的に良質なゲームタイトルを市場に投入することで確固たる収益基盤を確立する必要があると考えております。
■原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針
当社は、株主との建設的な対話を促進するため、IR部門を設置し、アナリストや投資家および株主にタイムリーに情報提供するとともに、お問い合わせに迅速かつ適切に対応するよう努める一方で、対話に際してのインサイダー情報の管理を徹底するよう努めております。なお、株主の意見や懸念につきましては、必要に応じて経営陣幹部や取締役会に報告しております。
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