ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

スタンダード

ブリッジレポート:(2435)シダー 2021年3月期決算

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山崎 嘉忠

会長

 

座小田 孝安

社長

株式会社シダー(2435)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

代表者

山崎 嘉忠、座小田 孝安

所在地

福岡県北九州市小倉北区大畠 1-7-19

決算月

3月

HP

http://www.cedar-web.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

244円

11,475,863株

2,800百万円

26.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

4.00円

1.6%

17.15円

14.2倍

140.23円

1.7倍

*株価は6/29終値。発行済株式数は、直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除し株式分割を反映。ROEは21年3月期実績、EPSは22年3月期予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

12,733

145

-136

-137

-

0.00

2018年3月(実)

13,861

535

250

224

19.52

4.00

2019年3月(実)

14,258

494

218

16

1.43

2.00

2020年3月(実)

15,132

549

257

209

18.28

4.00

2021年3月(実)

15,613

809

674

387

33.77

6.00

2022年3月(予)

16,229

623

354

196

17.15

4.00

(単位:百万円、円)

 

シダーの2021年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期決算
3.2022年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 21/3期は前期比3.2%増収、162.4%経常増益。新型コロナウィルス感染症の流行によりデイサービス事業で利用を控えるなどの影響が発生した。しかし、施設サービス事業や在宅サービス事業は増収を確保した。利益面では売上総利益率が向上、販管費率も低下し営業利益率は前期3.6%から5.2%へ大幅に改善した。6.00円/株の期末配当を実施。

     

  • 22/3期は3.9%増収、47.4%経常減益を計画する。デイサービス事業において新型コロナウィルス感染症の影響を考慮した。施設サービス事業では21/3期と同等の施設稼働率を想定、新規施設の稼働率向上に注力する。利益面では有料老人ホーム2施設を計画しており、出店に係る初期費用が多額に発生することが予想される。

     

  • 21/3期は施設サービス事業が牽引し増収、各利益は大幅な改善となった。「鶴見の郷」をはじめとする施設稼働率の向上が大きく寄与した。22/3期については既に3施設を開設予定、初期費用負担が大きな減益要因となる。介護施設のニーズは今後も右肩上がり、顧客満足度の高いサービスでそのニーズに応えようとする同社の「使命感」と受け止めたい。介護市場の拡大に伴い売上は右肩上がり、投資負担をこなしながらも稼働率向上により、再度過去最高益を更新するのもそれほど遠くはないだろう。3月に開設した「麻生の郷」と7月に開設する「武蔵野の郷」が鍵を握る。

     

1.会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針とする。総勢600名近くに及ぶ職員資格者を有しており、介護サービス事業者の中では出色。

 

【1-1 沿革】

前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期、19/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。

 

 

【1-2 事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】

介護サービス業界では、引き続き超高齢化社会への移行に伴い、介護サービスの利用者数は増加し需要は更に高まっている。その一方で、様々な業種にて人材不足が叫ばれている中、介護サービス業界においても、海外の人材も含め、人材確保に取り組むことは急務であり、有資格者の確保はとりわけ困難な状況となっている。それらを改善するために、業界では、介護事業に従事することが社会において魅力があり、生きがいを持てる環境造りが求められている。

 

そうした中、同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

 

【1-3 同社の介護事業の考え方】

リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
こうした考えから、社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

 

(同社ホームページより)

 

【1-4 事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。21/3期の売上構成比は、それぞれ21.7%、66.0%、5.9%。また、その他事業として、福祉用具事業、障害支援事業及び給食事業を展開する(21/3期の売上構成比は6.3%)。
2021年3月31日時点において、109事業所で展開している。

 

同社決算説明資料より)

 

3月には札幌市に「介護付有料老人ホーム 麻生の郷」を開設。
介護ニーズの高まりに応え、事業所数は伸び続けている。

 

 

デイサービス事業
デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備がある施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっており、リハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。

 

専門スタッフによるリハビリテーション
同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

 

選択できる多彩なサービス
豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等の設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。

 

 

施設サービス事業
有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して預けられる体制が整っている。
1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。
充実のリハビリテーション
「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。
自分好みに部屋をコーディネート
「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。
仲間との楽しいひと時
フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。
美味しく栄養豊富な食事
看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。
季節の催し
季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。
また、11年には施設サービス事業を展開する株式会社パインを子会社化した。
施設サービス事業は同社の収益を支える屋台骨となっている。入居率は21年3月現在95.7%と高い稼働率。前年97.1%から稼働率が低下したのは3月に開設したばかりの「介護付有料老人ホーム 麻生の郷」の稼働率が低いためである。


 

在宅サービス事業
「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。
自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション
医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。
日常生活を支えるホームヘルプサービス
ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。
最適なケアプラン作成
介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

 

【2021年介護報酬改定について】
個別機能訓練加算の統合(案)

(厚生労働省「第199回介護給付費分科会」資料

・デイサービス 基本報酬 平均約1%増
・有料老人ホーム 基本報酬平均約0.3%増

 

新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価

新型コロナウィルス感染症に対応するための特例的な評価として

全サービスについて、21年9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せする。

 

21年度介護報酬改定

通所介護や特定施設入居者生活介護はプラス改定となっている。

それに加えて、新設された加算を積極的に取得できる体制を整えていく。

 

 

加算取得への体制づくり

(厚生労働省「第199回介護給付費分科会」資料

【口腔ケアを継続的に行うことのメリット】
①誤嚥性肺炎になりにくくなる
②口腔機能を良好に保つことで美味しく食事が摂れ、免疫機能が向上することにより他の感染症にかかるリスクも低下する。
③免疫機能が向上することにより、入院日数が減少する
④入院日数が減少するためご本人の入院費用、国全体の医療費用の削減にもつながる
⑤入院日数が減少するため介護施設の収入増加にもつながる

 

歯科医師瀧内博也氏が代表を務める株式会社クロスデンタル(福岡市)と20年10月に業務提携を行い、誤嚥性肺炎ゼロプロジェクト(ゼロプロ)に参加。

約380名の職員が≪口腔ケア初級セミナー≫を受講終了。

ゼロプロを通して入居者様のお口の状況改善による誤嚥性肺炎の予防を目指しつつ、介護加算算定による収益増を同時に進めていく。

新型コロナウィルス感染症に対応するための特例的な評価として全サービスについて、21年9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せする。

 

 

 

【今後シダーの取り組むこと】
介護職員対策について
■介護職員の確保と定着
・文書に負担軽減策等を受け、ICT等の導入検討し、労働環境改善に取り組む。
・介護福祉士等の資格取得支援。
 ((護福祉士資格:21年受験者数84名、内合格者数70名)
■外国人雇用
・国内の労働力減少を見据えて、外国人技能実習生受入継続。
 ⇒21年6月新規受入。合計12名受入(千葉県、神奈川県)
・新たな在留資格『特定技能』を利用した受入も検討。
・英語マニュアル、規定整備の推進。

 

事業展開について
■既存施設の営業強化
・ケアプランセンター増設を行い、デイサービスセンターとの連携強化。
21年5月⇒逆井ケアプランセンター開設
21年6月⇒香住ケ丘ケアプランセンター開設
・20年3月ケアプランセンター:19カ所(76名)
 ⇒21年6月時点ケアプランセンター:23カ所(88名)

 

■事業拡大・管理
・M&Aの検討。
・管理が困難な施設の統合・整理。
・今後も特定施設の公募があれば、積極的に応募予定。

 

2.2021年3月期決算

(1)連結業績

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

11月予想

予想比

売上高

15,132

100.0%

15,613

100.0%

+3.2%

15,630

-0.1%

売上総利益

1,882

12.4%

2,072

13.3%

+10.1%

-

-

販管費

1,332

8.8%

1,263

8.1%

-5.2%

-

-

営業利益

549

3.6%

809

5.2%

+47.3%

879

-8.0%

経常利益

257

1.7%

674

4.3%

+162.4%

599

+12.5%

親会社株主に帰属する四半期純利益

209

1.4%

387

2.5%

+84.8%

385

+0.5%

(単位:百万円)

※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比3.2%の増収、162.3%経常増益
売上高は前期比3.2%増の156億13百万円。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。また、有料老人ホーム1施設及びケアプランセンター2施設を新規開設しており、積極的な施設展開を図ってきた。20年3月以降は、新型コロナウィルス感染症の流行により、デイサービス事業で利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生した。しかし、施設サービス事業や在宅サービス事業は増収を確保した。
営業利益は同47.3%増の8億9百万円。
利益面では、介護職員に係る人件費の増加により売上原価が増加したものの、売上総利益率は前期12.4%から13.3%へ向上した。感染症の流行における情勢のもとでの営業活動や移動自粛となったことに加え、前期に発生した消費税追加計上による租税公課減少もあり販管費が減少、販管費率は前期8.8%から8.1%へ低下した。これらにより、営業利益率は前期3.6%から5.2%へ大幅に改善した。コロナ関連補助金の雑収入を計上し、経常利益は前期比162.4%増の6億74百万円。特別損失として固定資産の減損損失を計上した一方、繰延税金資産の回収可能性を見直した結果、法人税等調整額を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比84.8%増の3億87百万円となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

デイサービス事業

3,630

23.0%

3,601

21.7%

-0.8%

施設サービス事業

10,517

66.5%

10,931

66.0%

+3.9%

在宅サービス事業

913

5.8%

979

5.9%

+7.2%

その他

753

4.8%

1,051

6.3%

+39.6%

全社・消去

-682

-

-949

-

-

連結売上高

15,132

100.0%

15,613

100.0%

+3.2%

デイサービス事業

387

22.2%

337

17.5%

-12.9%

施設サービス事業

1,339

76.8%

1,521

78.9%

+13.6%

在宅サービス事業

-68

-

-69

-

-

その他

86

4.9%

139

7.2%

+61.6%

連結調整

-1,195

-

-1,118

-

-

連結営業利益

549

-

809

-

+47.3%

(単位:百万円)

 

デイサービス事業
売上高は前期比0.8%減の36億1百万円、セグメント利益は同12.9%減の3億37百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてきた。しかし、新型コロナウィルス感染症の流行により、利用を控える利用者が増えるなどの影響が発生した。尚、介護報酬の時限的措置により、利用単価は上昇。

 

施設サービス事業
売上高は前期比3.9%増の109億31百万円、セグメント利益は同13.6%増の15億21百万円。新規及び既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めた。18年3月に開設した「鶴見の郷」の稼働率向上が2億40百万円、既存施設の稼働率向上により1億73百万円。

 

在宅サービス事業
売上高は前期比7.2%増の9億79百万円、セグメント損失は69百万円(前期は68百万円の損失)。利益率改善のため人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力した。訪問看護部門の営業強化による訪問看護件数の増加やケアプラン事業所数の増加が主な増収要因。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年3月

21年3月

 

20年3月

21年3月

現預金

870

825

仕入債務

205

224

売上債権

2,563

2,581

短期有利子負債

3,929

5,013

流動資産

3,640

3,647

長期有利子負債

9,873

9,743

有形固定資産

11,785

12,992

負債

16,913

17,948

無形固定資産

78

128

純資産

1,268

1,610

投資その他

2,677

2,791

負債・純資産合計

18,181

19,559

固定資産

14,540

15,912

有利子負債合計

13,802

14,756

※有利子負債=借入金+リース債務
(単位:百万円)

 

21/3期末の総資産は、前期末比13億77百万円増加して195億59百万円となった。その内訳は、流動資産の増加8百万円、固定資産の増加13億71百万円によるもの。負債は前期末比10億34百万円増加して179億48百万円となった。その内訳は、流動負債の増加10億61百万円、固定負債の減少26百万円によるもの。純資産は前期末比3億42百万円増加して16億10百万円となった。その内訳は、利益剰余金の増加3億41百万円によるもの。
自己資本比率は8.2%(前期末7.0%)となった。

 

キャッシュ・フロー

 

20/3期

21/3期

増減

前期比

営業キャッシュ・フロー

749

1,137

+388

+51.8%

投資キャッシュ・フロー

-95

-2,064

-1,969

-

フリー・キャッシュ・フロー

654

-927

-1,581

-

財務キャッシュ・フロー

-594

881

+1,475

-

現金及び現金同等物期末残高

870

825

-45

-5.2%

(単位:百万円)

 

21/3期末の現金及び現金同等物は、前期末比45百万円減少して8億25百万円となった。
営業CFは11億37百万円の収入。その主な内訳は、収入要因として増収増益となったことによる税金等調整前当期純利益4億64百万円、減価償却費6億59百万円、支出要因としては売上債権の増加額17百万円であった。
投資CFは20億64百万円の支出。その主な内訳は、支出要因として有形固定資産の取得による支出19億40百万円、預り保証金の変換による支出89百万円、収入要因としては預り保証金の受入れによる収入92百万円であった。
財務CFは8億81百万円の収入。その主な内訳は、支出要因として、短期借入金の返済による支出25億30百万円、施設建設に係る長期借入金の返済による支出7億37百万円、収入要因として、短期借入れによる収入36億54百万円、施設建設に係る長期借入れによる収入7億30百万円であった。

 

3.2022年3月期業績予想

(1)連結業績

 

21/3期 実績

構成比

22/3期予想

構成比

前期比

売上高

15,613

100.0%

16,229

100.0%

+3.9%

営業利益

809

5.2%

623

3.8%

-23.1%

経常利益

674

4.3%

354

2.2%

-47.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

387

2.5%

196

1.2%

-49.2%

(単位:百万円)

 

22/3期は3.9%増収、47.4%経常減益を計画
22/3期は売上高が前期比3.9%増の162億29百万円、経常利益は同47.4%減の3億54百万円を見込む。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により先行きが不透明となっている。同社でも、デイサービス事業において、この影響を受け、20年3月下旬より利用者の外出自粛により、利用件数が減少している。21年4月以降、徐々に回復するものの、新型コロナウイルス感染症の収束により利用者数が感染拡大前の水準まで回復するには、23/3期末までの期間を要するものと仮定している。施設サービス事業においては、既存施設では21/3期と同等の施設稼働率を想定した。新規施設では21年3月札幌市東区に開設した「麻生の郷」、21年7月埼玉県所沢市に開設予定の「武蔵野の郷」の稼働率向上に注力する。利益面では、連結子会社において有料老人ホーム2施設を計画しており、新規ホームの早期黒字化を目指すも、出店に係る初期費用が多額に発生することが予想される。新規施設の開設費用が4億84百万円の減益要因となる見通し。

 

今後の事業展開 計画地域

(同社資料より)

 

(2)配当

同社は事業拡大による成長のための投資資金及び内部留保と利益配分とのバランスを念頭に、株主への安定継続した配当に加え業績の伸長に応じた配当を実施することを基本方針としている。
22/3期の配当は、前期比2.0円減配となる4.0円の期末配当を見込む。

 

 

4.今後の注目点

21/3期はデイサービス事業において不透明感が漂っていたものの、施設サービス事業が牽引し増収、各利益は大幅な改善となった。営業活動や移動自粛により販管費が抑えられた面はあったものの、やはり大きく寄与したのは「鶴見の郷」をはじめとする施設稼働率の向上にあった。しかし、22/3期については既に3施設を開設予定、初期費用が大きな減益要因となる。介護施設のニーズは今後も右肩上がりが見込まれ、顧客満足度の高いサービスでそのニーズに応えようとする同社の「使命感」と受け入れたい。介護市場の拡大に伴い売上は右肩上がり、21/3期は過去最高益を更新しており、新規施設への投資負担をこなしながらも稼働率向上により、再度過去最高益を更新するのもそれほど遠くはないだろう。3月に開設した「麻生の郷」と7月に開設する「武蔵野の郷」の稼働率が鍵を握る。また、コロナ禍の中、介護業界の淘汰が進む可能性もあり、こうした面ではM&Aの機会も増えそうだ。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2021年6月30日

 

<基本的な考え方>
当社は、社会的ニーズである介護サービスを中心として、リハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、より人間らしく生きるために積極的な生活支援を行うことにより、社会に貢献することであります。
当社は、これらの企業理念の実現のため、コーポレート・ガバナンスについて、当社の利害関係者と良好な関係を構築するに当たっての重要事項と考えております。当社の意思決定や行動が法令や市場のルールに反していないかという適法性を重視するだけでなく、社会に貢献しているか、社会の要請に反していないかという企業の社会性も重視しています。そして、コーポレート・ガバナンスが適確に機能するためには、徹底した透明性が必要であると考えております。法令等で義務付けられた範囲に限定することなく、株主や投資家をはじめ、従業員、地域社会や顧客に対して積極的に情報開示を行っていく考えです。当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は以下のとおりであります。
取締役会においては、取締役5名のうち社外取締役(非常勤)を1名選任しており、業務執行の迅速な意思決定や透明性を維持する組織を構築しております。
また、当社は、平成30年6月29日現在、会社法第2条第6号に定める大会社には該当しておりませんが、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図ることを目的として、監査役会を設置しております。監査役会においては、監査役の独立性と客観性を確保するため、監査役3名のうち社外監査役(非常勤)を2名選任し、取締役会の業務執行の監督・監視機能を強化しております。
内部監査につきましては、社長の直轄組織として内部監査室(5名)を設置しており、当社各事業部門が関係法令や社内規程を順守し、適切な運営がなされているか監査・指摘・検証を行っております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、JASDAQ上場会社としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

 

 

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