ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(4709)IDホールディングス 2021年3月期決算

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舩越 真樹社長

株式会社 IDホールディングス(4709)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

舩越 真樹

所在地

東京都千代田区五番町12-1 番町会館

決算月

3月末日

HP

https://www.idnet-hd.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,339円

11,426,972株

15,300百万円

8.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

40.00円

3.0%

59.51円

22.5倍

819.24円

1.6倍

*株価は6/1終値。発行済株式数は前期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2018年3月(実)

23,207

1,254

1,274

622

37.89

26.67

2019年3月(実)

26,515

1,667

1,724

1,028

62.10

26.67

2020年3月(実)

26,377

2,073

2,111

1,297

77.81

33.33

2021年3月(実)

25,766

1,372

1,553

747

44.37

33.33

2022年3月(予)

30,000

1,900

1,950

1,020

59.51

40.00

※単位:百万円
※予想は会社予想。
※当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益
※2021年7月1日付で1:1.5の株式分割を実施。DPSとEPSは2018年3月期まで遡及して再計算。

 

 

IDホールディングスの2021年3月期決算概要等についてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画
3.2021年3月期決算概要
4.2022年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/3期の売上高は前期比2.3%減の257億66百万円。サイバーセキュリティ、システム運営管理、およびシステム基盤がそれぞれ堅調に推移したことに加え、買収した子会社の寄与があったものの、ソフトウェア開発及びシステム運営管理などにおいて、大型プロジェクト5件の終了による29億64百万円の反動減があった。営業利益は同33.8%減の13億72百万円。売上高の減少にともなう利益の低下に加え、新型コロナウイルス感染症拡大による、顧客企業のシステム投資計画の見直し等にともなう技術者の稼働率低下や子会社3社取得によるM&A費用の計上などが影響した。

     

  • 22/3期の会社計画は、売上高が300億、営業利益が19億円。売上高面では、新たにグループ化した3社の業績寄与に加えて、既存の事業会社とのシナジー並びにDX関連サービスの拡大が見込まれる。利益面では、グループ化した3社ののれん償却費が増加するものの、現在取り組んでいるサービスの高付加価値化ならびにDX関連技術者の育成等が収益力向上に寄与する。
  • 1株当たり配当予想は、40円の予定。2021年7月1日付で実施する1株につき1.5株の株式分割を考慮すると、実質的に10円の増配となる。

     

  • 20/3期に連結売上高の約21.8%であったDX関連の売上高は、21/3期に約26.0%まで拡大した。更に、22/3期においては、連結売上高の約35.0%まで拡大する見通しとなっている。高付加価値案件が多いDX関連売上高の拡大は、同社の収益性に与える影響も大きそうである。今後のDX関連売上高と収益性の動向が注目される。

     

1.会社概要

金融向けITアウトソーシングに強みを持つ独立系の情報サービス会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントを中核とする持株会社。システム運営管理とソフトウェア開発・保守を二本柱とし、一つの顧客に対し、コンサルティングからソフトウェア開発、システム運営管理等の複数のサービスを提供するBusiness Operations Outsourcing(BOO)戦略を推進しており、好不況の波の大きいIT業界にあって、相対的に業績の変動が小さく、高配当を継続している。尚、2013年12月17日、JASDAQから東証2部に市場変更。2014年9月8日、東証1部に上場し、2019年4月1日、持株会社体制に移行した。

 

【IDグループの強み】

① ストックビジネスであるシステム運営管理が5割弱と高いことから、業績が安定している。
② IT投資の積極的なグローバル大手企業との取引高が7割前後と高いことから、今後も安定的な取引が見込める。
③ 直接契約が7割強と高いことから、顧客ニーズが直接把握でき、的確な提案を行うことができる。

 

【IDグループのサービスの特徴】

◎50年の経験、大手優良企業を中心に実績は1,000社以上
同社は、1969年の会社設立以来、大手金融機関や社会インフラ企業を中心に1,000社以上の企業との取引実績がある。コンサルティングからシステム基盤、ソフトウェア開発、システム運営管理、クラウド、サイバーセキュリティまでワンストップで提供し、顧客の様々な要望に最適な提案で対応することで、顧客より高い評価を得ている。

 

◎国内最大級の運営管理プロフェッショナル集団
同社は、顧客の業務に精通した1,600名以上ものシステム運営管理エンジニアを有し、ソフトウェア開発やシステム基盤との連携を図り、トータルサービスの提供によって、安定したシステム運営と業務効率化を実現している。また、マルチクラウドソリューションサービスを提供し、近年需要の高い顧客のクラウドシフトを強力にバックアップしている。

 

◎ユーザ視点でシステム開発
同社は、長年蓄積した顧客のシステムに関する業務知識やノウハウを持ち、金融機関やエネルギーなど幅広い分野への開発実績がある。また、顧客のニーズに柔軟かつスピーディーに対応できるアジャイル開発も行っており、従来型の手法と使い分けることで、コスト効率の高い、安定したシステムを構築している。

 

◎DXへの対応
RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革(DX)に対するニーズが高まっている。同社はこうした先端技術の調査・研究を行う部門や、DXを推進する専門組織を設置し、顧客の業務変革に貢献する付加価値の高いサービスを提供している。

 

◎世界各国でグローバルな事業をサポート
2004年に中国武漢市に現地法人を設立して以来、東南アジア、北米、欧州に拠点を設立。海外ネットワークを通じ、時差を利用した24時間/365日体制で、グローバルなサービスをスピーディーに提供している。

 

◎コンプライアンスの徹底
同社は、個人情報保護や品質管理、情報セキュリティに関するマネジメント体制を確立するとともに、コンプライアンスハンドブックを全グループ社員の行動規範として活用。経営理念のIDentity にも掲げている通り、つねに「私たちは損か得かで判断するのではなく、正しいか正しくないかで行動する」ことを徹底している。 

 

【サービス別の業績動向】

売上高は、システム運営管理、ソフトウェア開発、システム基盤、サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育、その他に分かれ、サービス別の概要と売上構成比は次のとおり。

 

システム運営管理(21/3期売上構成比46.9%)
金融機関、運輸、エネルギーをはじめとする幅広い分野の顧客へ安定した業務運営に貢献。顧客目線での最適なシステム基盤の構築 「24時間365日システムを動かす」安定したシステム運営管理サービスを提供している。また、オフショアを活用した高品質・廉価な一括受託にも対応している。

 

ソフトウェア開発(21/3期売上構成比32.6%)
金融機関、運輸、エネルギーをはじめとする幅広い分野の顧客へ総合システムビルダーとして多くのソフトウェア開発実績を築いている。グループ内にコンサルティング、オフショア(海外子会社に委託開発)、ニアショア(地方事業所での開発)体制を構築しており、多数の高度な専門技術者が高品質なサービスを実現。国内外の有力先進企業と提携し、顧客の既存ビジネスの強化・拡大、新たな領域への挑戦を支援しており、「Ruby」認定や「ISO9001」認証(受託開発部門)取得など、常に技術・品質の向上に努めている。

 

システム基盤(21/3期売上構成比9.8%)
金融機関、運輸、エネルギーをはじめとする幅広い分野の顧客へシステム運用部門・ソフトウェア開発部門・セキュリティ部門と連携し、高品質なシステム基盤を提供。メーカーソフトやシェルスクリプトなどを駆使し、環境の自動起動からバックアップ取得、更に障害時自動切替などの設計・構築を行うことで、システムの安定稼働やコスト削減・省力化を実現している。また、同社は独立系として、特定のハードやOS・開発言語にとらわれることなく、顧客目線での最適なシステム基盤を構築している。

 

サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育(21/3期売上構成比8.8%)
海外の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供。同社は、様々なベンダーの製品を取り扱っており、特定ベンダーにこだわることなく、顧客の環境、要望、状況に応じて、最適な製品を柔軟に組み合わせ、提案している。

 

その他(21/3期売上構成比1.9%)
システム運営管理、ソフトウェア開発、サイバーセキュリティ環境の構築などに付随した製品販売などがある。

 

 

 

DX関連ビジネスは、クラウド、サイバーセキュリティ、RPA、AI、IoTなどの先端技術を活用した高付加価値業務、ならびにITSM手法等を活用したコンサルティング業務を指す。

 

(同社決算説明資料より)

 

【グローバル展開】

同社グループは2004年に中国(武漢市)に現地法人を設立して以来、シンガポール、アメリカ、ミャンマーに子会社を設立。
これらの拠点及び海外アライアンスパートナーとの協業により、中国(武漢、無錫、上海)、シンガポール、ミャンマー、アメリカ、イギリス、オランダにおいて、海外でも高品質のデータセンターの運用・保守サービスを受けたい、システム開発を高品質かつ短納期で行いたい、サイバー攻撃に備えるセキュリティ対策を万全にしたいという顧客のニーズに対して、グローバルなIT高品質サービスをスピーディーに提供することを目指している。

 

【ビジネスモデルの変遷とこれまでの業績推移】

同社は、2021年5月末現在でこれまで9回のM&Aを実施したが、未来を見据えたビジネスモデルのアップグレードとM&A戦略により業容を拡大してきた。

 

【IDグループの組織図】

ITサービス業界を取り巻く環境は、顧客ニーズの高度化に加え、技術革新スピードの加速化などにより、従来になく変化の激しいものとなっている。こうした環境下、迅速かつ的確な経営判断と業務執行が不可欠と考え同社グループは、2019年4月に持株会社制へ移行した。組織再編は、傘下においた事業会社を大幅に見直すことで、変革を加速し、さらなる企業価値向上と競争力強化を目指すものである。更に同社は、2020年4月1日より、グループ会社の組織再編を実施した。その主な概要は、下記の通り。
①完全子会社である株式会社フェスのITSM事業と、同じく完全子会社である株式会社インフォメーション・ディベロプメントのRPA推進事業を、新設予定の株式会社DXコンサルティングに承継させる会社分割(吸収分割)。
②株式会社インフォメーション・ディベロプメントのシステム運営管理事業の一部をフェス社に承継させる会社分割(吸収分割)を行い、フェス社の商号を株式会社IDデータセンターマネジメントに変更。

 

この他、2020年6月にはアクティブ・ティ株式会社を、同年8月には株式会社GIテクノスを完全子会社化した。なお、2021年1月には完全子会社化により、株式会社システムデザインが同社に仲間入りした。

 

 

(同社決算説明資料より)

 

 

【情報サービス業の動向】

(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」を基に(株)インベストメントブリッジ作成)

 

内閣府が5月18日に発表した21年1-3月の国内総生産(GDP、季節調整済み)1次速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.3%減(年率換算で5.1%減)となった。3四半期ぶりのマイナスとなり、緊急事態宣言の再発令による外出自粛で個人消費が大きく減少した。情報サービス産業との関連性が深い民間企業設備(実質)も前期比1.4%減と、2四半期ぶりにマイナスへ転じた。また、経済産業省発表の「特定サービス産業動態統計調査」(5月20日発表、21年3月分確報値)によると、3月の情報サービス産業売上高は前年同月比3.2%減とマイナス傾向が続いている。一方、同社と関連性の高い受託ソフトウェアの売上高はマイナス幅が縮小し、システム等管理運営受託の売上高も落ち込み幅が小さく、比較的に安定した推移となっている。

 

2.中期経営計画

【中期経営計画「Next 50 EpisodeⅠ覚醒(Awakening)!」(2020年3月期~2022年3月期)】

1.概要
近年、情報サービス業界において、RPA・AIなどのデジタル技術を活用した既存ビジネスの変革(DX【Digital Transformation】)の急速な進展や、システムの「所有」から「利用」への転換、IoT機器の急激な増加、高度化するサイバー攻撃など、ITをとりまく顧客ニーズが多様化し、経営環境が大きく変動している。このような市場の変化を成長機会ととらえ、更なる事業拡大に取り組むべく、同社グループでは、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅰ覚醒 (Awakening)!」を策定した。
「Next 50 Episode Ⅰ覚醒 (Awakening)!」は、3つの基本方針【「未来志向型企業文化の醸成」「デジタルトランスフォーメーション(DX、注1)によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開」「ESG(注2)の推進」】からなり、新中期経営計画の3年間を、新たな50年の飛躍の基盤を作るための期間と位置づけ、将来の成長を見据えた戦略を実行し、企業価値の向上をさせながら、安定的かつ継続的な株主還元を実施する方針。
また、最終年度である2022年3月期の重点数値目標は、当初売上高300億円、営業利益18億50百万円、営業利益率6.2%
であったが、2021年3月31日に売上高300億円、営業利益19億円、営業利益率6.3%へ修正された。売上高は、新型コロ
ナウイルス感染症の影響等の理由により、21/3期の通期業績予想は当初計画よりも下振れた。しかし、新たにグループ化し
た3つの事業会社の業績寄与と既存の事業会社とのシナジーならびにDX関連サービスが堅調に推移することを見込み22/3
期は当初の数値計画が据え置かれた。また、営業利益は、グループ化した3社ののれん償却費は増加するものの、現在取り
組んでいるサービスの高付加価値化ならびにDX関連技術者の育成等が収益力向上に寄与する見込みであり、当初計画が上
方修正された。

 

 

19/3期 実績

22/3期 当初の中計

21/3期 実績

22/3期 修正後の中計

売上高

26,515

30,000

25,766

30,000

営業利益

1,667

1,850

1,372

1,900

売上高営業利益率

6.3%

6.2%

5.3%

6.3%

※単位:百万円
(注1):Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)とは、既存のサービスソリューションに、RPAやAI、IoTなどアドバンスド・テクノロジー(先端技術)を組み合わせることで、既存ビジネスを変革すること。
(注2)ESGとはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字。各分野への適切な対応が企業の長期的成長の原動力となり、持続可能な社会の形成に役立つという考え方。

 

2.基本方針と取組み状況

(同社中期経営計画より)

 

①未来志向型企業文化の醸成
持続的な成長には、人材の多様性およびイノベーションの創出が欠かせないとの考えのもと、多様な人材の採用・育成に取り組むとともに、各自が能力を最大限発揮できるよう、引き続き組織・制度・環境を整備する。また、未来に向けて挑戦する風土の醸成およびイノベーションの創出を進める。
【取組み実績】
・株式会社インフォメーション・ディベロプメント(以下、「ID社」)が、ソフトウェア開発部門において、一括受託型プロジェクトの
管理強化や国内外の各拠点を含めた適正な人員配置を行なうため、グローバルイノベーションセンター(GIC)を新設
・新型コロナウイルスとの共存を見据えた柔軟で効率的な働き方を推進するため、社内改革「ニューノーマル適応プロジェクト」を開始
・ID社が、東京本社の業務分散化をはじめとする業務改革を推進するため、本社機能の一部を移管し、山陰BPOセンターを
新設
・コミュニケーションの活発化や新たなイノベーションの創出を図るため、フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」を開設
・リモートアクセスサービスの利用やサテライトオフィスの活用により、社員の多様な働き方をサポート
・当社グループ全体でアイデアや技術を共有し、新たなビジネスにつなげることを目的とした「ニューノーマル・アイデア提案
表彰制度」を新設
・社内人財(注)に関するデータを一元管理し、柔軟かつ迅速に経営課題に対応した人事戦略を立案するため、人財マネジメン
トシステムを導入
・社員の能力向上を図るため、業務ノウハウや技術スキルの共有が可能な社内向けeラーニングシステム「ID Campus」を
リリース
・当社グループや顧客にとって有益となる提案を募集し、既存の業務や慣習を見直すことを目的とした「これ止めま賞表彰制度」
を新設

 

(注):同社は、社員が会社の重要な財産のひとつであるとの考えから、「人材」を「人財」と表記している。

 

②デジタルトランスフォーメーション( DX )によるUP-GradeされたBusiness Modelの展開
近年の急激なデジタル化の流れを受けて、顧客企業は新たなテクノロジーの導入・活用を積極的に進めている。同社グループは、長年蓄積してきた顧客システムに関する業務知識やノウハウをもとに、既存のサービスソリューションにアドバンスト・テクノロジーを組み合わせることで、顧客ニーズにあった付加価値の高い、UP-Grade されたサービスモデルを提供する。
こうしたサービスモデルの実現に向けて、この3か年は技術者育成に重点をおき、積極的に教育投資を行う。また、従来のサービスをより上流工程へとシフトすることで、人月型ビジネスから成果報酬型ビジネスへ転換を図る。更に、既存事業の拡大に加え、新規領域への積極的な投資を行い、競争優位性を高め、収益性向上を図る方針。
【取組み実績】
・ID社が、鳥取県米子市にIDクラウドマネージドセンターを新設し、クラウド環境の設計および構築、移行後の運用保守までをサポートする「マルチクラウドソリューションサービス ID-Cross」の提供を開始
・ニューノーマル適応に向けた新たなマーケティング戦略の立案や、技術動向等の情報収集、新規商材の発掘や販売の
推進、営業体制の強化を図るため、ID社にエンタープライズ営業部を新設
・株式会社DXコンサルティング(以下、「DX社」)が、国際的な試験機関であるEXIN社の「EXIN BCS Artificial Intelligence(AI)
人工知能 Foundation」資格に対応した認定コースを日本で初めて開講
・ID社が、遠隔作業支援システムIDEye(アイディアイ)に新機能を追加し、作業効率の大幅な向上を実現
・ID社が、高度なセキュリティ製品であるSeceon OTMを活用した「ネットワーク監視&インシデント対応サービスNDR(Network Detection and Response)」の提供を開始
・DX社が、業務支援ツール(ITサービスマネジメントツール等)をリモートでも導入可能な「らくらく導入支援サービス」を開始
・ID社が、次世代のサイバーセキュリティテクノロジーに関する業界最大級のカンファレンス「PALO ALTO NETWORKS DAY 2020 VIRTUAL」にて、バーチャルブースの展示や講演を実施
・株式会社プライドが、顧客のDXにつながる独自の方法論に基づくコンサルティングサービスを評価され、情報システム学会主催の浦昭二記念賞(実践賞)を受賞
・DX社が、マルチベンダ環境下でのITシステムの開発・運用を最適化するフレームワークである、SIAM®(サービス統合管理)の上位コースを開講
・ID社が、官民さまざまな分野の識者が参加し、最新の情報セキュリティトレンドを紹介するMcAfee社主催のカンファレンス「2020 MPOWER Cybersecurity Summit」に協賛、バーチャルブースの展示を実施
・DXの推進に向けた経営ビジョンの策定や事業戦略・推進体制の整備、適切な情報開示などの取り組みが評価され、経済
産業省指針に基づくDX認定を取得
・ID社が、米子工業高等専門学校における「オンラインによるショッピング・リハビリテーション」の実証実験に、遠隔作業支援
システムIDEyeを提供
・ID社が、需要の拡大が続くテレワークやリモート会議等に適した、よりセキュアなリモートアクセスを実現する、クラウドフレア
ジャパンの新プラットフォーム「Cloudflare One」の取扱いを開始

 

(注): デジタルトランスフォーメーションとは、既存のサービスソリューションに、RPAやAI、IoTなどアドバンスト・テクノロジー(先端技術)を組み合わせることで、既存ビジネスを変革すること。

また、同社は、今後M&Aを活用し、サービス型ビジネスモデルへの移行を加速する方針である。その目的は、以下のとおりである。
① 新たな顧客を獲得し、既存分野の事業を拡大する。
② DX技術を取り込み、既存サービスのアップグレードを推進する。
③ 新分野への進出、ならびに人月に頼らない新たな収益の柱を創出する。
対象企業の技術力、顧客基盤、従業員スキルなどを、同社グループの経営資源とかけあわせることで、シナジーの創出を図る予定である。

 

③ESGの推進
同社は情報サービスの提供を通じて社会課題の解決に積極的に取り組むとともに、持続的な成長および社会価値の創造を目指している。ESGの各分野での取組みを強化することで、顧客、株主、従業員などすべてのステークホルダーとともに成長・発展していけるよう努める。
【取組み実績】
・当社グループの内部統制体制の整備・運用状況を定期的に評価し、必要な改善措置を議論・検討することを目的として、グル
ープ内部統制会議を設置
・従業員の健康課題を重点テーマとして取り上げ、生活習慣予防セミナーの開催や、歩行習慣アプリの導入により健康経営へ
の取組みを強化
・従業員の環境意識を強化し、生活環境の維持・向上につなげるため、IDグループ環境強化月間「Happy Earth Challenge」を
実施
・新型コロナウイルス感染拡大により、活動が制限されている芸術家への支援、ならびに医療従事者への感謝をこめて、演奏
動画をホームページにて公開
・「IDグループ献血DAY」を開催し、日本赤十字社により献血サポーターに認定
・慶應義塾大学に対してCOVID-19の研究費を寄付
・未来の情報産業を支える人材の発掘・育成に寄与するため、情報オリンピック日本委員会の活動に協賛
・艾迪系統開発(武漢)有限公司(以下、「ID武漢」)が、中国の華中科技大学に対し新型コロナウイルス感染対策に向けた衛生
用品を寄付
・ID武漢が、中国東湖磨山景区にて従業員による清掃活動を実施
・従業員とその家族の健康に配慮し、新型コロナウイルスの早期収束の一助とするため、グループ全従業員を対象とした「ワク
チン休暇」制度を導入
・昨年に引き続き、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として、「健康経営優良法人 ~
ホワイト500~」の認定を取得
・特例子会社の愛ファクトリー株式会社が、農林水産省主催「令和2年度 中国四国地域未来につながる持続可能な農業推進
コンクール」にて、中国四国農政局長賞を受賞
・当社グループにおける環境保全活動の拡大を図るため、法人会員として公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパン
へ入会
・子どもたちの国際理解や環境問題への関心を高めるため、SDGsをテーマとした絵本を日本国内の児童施設に寄贈

 

3.2021年3月期決算概要

(1)連結業績

 

20/3期

構成比

21/3期

構成比

前期比

売上高

26,377

100.0%

25,766

100.0%

-2.3%

売上総利益

6,409

24.3%

6,380

24.8%

-0.5%

販管費

4,336

16.4%

5,007

19.4%

+15.5%

営業利益

2,073

7.9%

1,372

5.3%

-33.8%

経常利益

2,111

8.0%

1,553

6.0%

-26.4%

当期純利益

1,297

4.9%

747

2.9%

-42.3%

※単位:百万円
※当期純利益は、親会社株主に帰属する四半期純利益

 

前期比2.3%の減収、同33.8%の営業減益。
売上高は前期比2.3%減の257億66百万円。サイバーセキュリティ、システム運営管理、およびシステム基盤がそれぞれ堅調に推移したことに加え、買収した子会社の寄与があったものの、ソフトウェア開発及びシステム運営管理などにおいて、大型プロジェクト5件の終了による29億64百万円の反動減があった。
営業利益は同33.8%減の13億72百万円。売上の減少にともなう利益の低下に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大による顧客企業のシステム投資計画の見直し等に伴う技術者の稼働率低下や子会社3社取得によるM&A関連費用の計上1億90百万円及び3社ののれん償却費93百万円やニューノーマル適応プロジェクトに係る費用の計上などが影響した。売上高総利益率は、前期比0.5ポイント上昇の24.8%、人件費の増加などにより売上高販管費比率は、3ポイント上昇の19.4%となった。また、営業外収益で助成金収入79百万円(前期8百万円)や受取保険金及び配当金50百万円(同5百万円)の計上があったことなどにより、経常利益は前期比26.4%減の15億53百万円と営業利益の減益率よりも改善した。その他、特別利益で有価証券売却益を3億16百万円(前期38百万円)計上したものの特別損失で固定資産除却損を4億39百万円(前期なし)計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は同42.3%減の7億47百万円と減益率が拡大した。

 

サービスごとの業績動向(21/3期)

 

20/3期

21/3期

前期比

増減額

増減率

システム運営管理

売上高

11,974

12,071

+96

+0.8%

売上総利益

2,669

2,808

+139

+5.2%

売上総利益率

22.3%

23.3%

+1.0P

-

ソフトウェア開発

売上高

8,941

8,404

-537

-6.0%

売上総利益

2,456

2,210

-245

-10.0%

売上総利益率

27.5%

26.3%

-1.2P

-

システム基盤

売上高

2,499

2,534

+34

+1.4%

売上総利益

721

751

+29

+4.0%

売上総利益率

28.9%

29.6%

+0.8P

-

サイバーセキュリティ・

コンサルティング・教育

売上高

2,091

2,275

+184

+8.8%

売上総利益

542

598

+56

+10.4%

売上総利益率

25.9%

26.3%

+0.4P

-

その他

売上高

869

481

-388

-44.7%

売上総利益

19

11

-8

-41.0%

売上総利益率

2.3%

2.4%

+0.2P

-

合計

売上高

26,377

25,766

-610

-2.3%

売上総利益

6,409

6,380

-28

-0.5%

売上総利益率

24.3%

24.8%

+0.5P

-

※単位:百万円
システム運営管理の売上高は前期比0.8%増の120億71百万円。金融関連既存顧客における前期大型プロジェクト完了にともなう4億41百万円の減少や要員の削減に加え、医療関連における一部案件の完了や新型コロナウイルス感染症の拡大による新規案件の落込みがあった。しかし、金融関連の既存顧客の体制強化にともなう増員や、当期に買収した子会社の寄与、通信および公共関連の既存顧客における新規案件の獲得などが寄与した。売上総利益率は同1.0ポイント上昇した。

 

ソフトウェア開発の売上高は前期比6.0%減の84億4百万円。当期に買収した子会社の寄与や、既存製造関連プロジェクトへの増員による受注拡大があったものの、公共及び金融関連の既存顧客における前期大型プロジェクト3件の完了にともなう19億37百万円の反動減などがマイナスに影響した。売上総利益率は同1.2ポイント低下した。

 

システム基盤の売上高は前期比1.4%増の25億34百万円。当期に買収した子会社の寄与や、運輸関連の既存顧客におけるDX関連プロジェクトへの増員による受注拡大、公共関連の既存顧客における新規案件の獲得などがプラスに寄与した。売上総利益率は同0.8ポイント上昇した。

 

サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育の売上高は前期比8.8%増の22億75百万円。サイバーセキュリティにおけるオペレーターの増員や製品販売の増加が売上の増加に寄与した。売上総利益率は同0.4ポイント上昇した。

 

その他売上高は前期比44.7%減の4億81百万円。金融関連の一部事業の終了や新型コロナウイルス感染拡大の影響によるライセンス販売の買控えや一部案件の延期、製品販売における前期大口受注の反動減などがマイナスに影響した。売上総利益率は同0.2ポイント上昇した。

営業利益の増減要因

※単位:百万円

 

第4四半期(1-3月)の業績推移

 

21/3期第4四半期(1-3月)は、過去と比較して非常に高水準の売上高となった。一方、人件費の増加などにより過去の第4四半期(1-3月)のピークを上回る営業利益とはならなかった。

 

(2)サービス別受注残高の状況

 

2020年3月末

2021年3月末

増減額

増減率

システム運営管理

3,654

2,242

-1,412

-38.6%

ソフトウエア開発

1,095

1,325

230

+21.0%

システム基盤

680

601

-79

-11.6%

サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育

279

347

68

+24.4%

その他

105

96

-9

-8.6%

合計

5,814

4,614

-1,200

-20.6%

※単位:百万円

 

2021年3月末の受注残高は、2020年3月末比で20.6%減少した。ソフトウェア開発とサイバーセキュリティ・コンサルティング・教育の受注残高は増加したものの、システム運営管理の受注残高の減少が大きくなった。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年3月

21年3月

 

20年3月

21年3月

現預金

4,689

5,016

短期有利子負債

859

3,013

売上債権

4,250

4,823

賞与・役員賞与引当金

1,136

814

たな卸資産

18

47

長期有利子負債

249

434

流動資産

10,116

10,487

退職給付に係る負債

30

142

有形固定資産

1,734

1,437

負債

6,519

7,388

無形固定資産

1,249

2,308

純資産

8,730

9,408

投資その他

2,150

2,563

負債・純資産合計

15,249

16,796

固定資産

5,133

6,309

有利子負債合計

1,109

3,447

※単位:百万円

 

2021年3月末の総資産は前期末比15億46百万円増加の167億96百万円。資産面では現預金、売上債権、3件のM&Aによるのれん及び投資有価証券などが増加要因の大きなものとなった。負債・純資産面ではM&Aにともなう有利子負債、親会社株主に帰属する当期純利益の計上にともなう利益剰余金及びその他有価証券評価差額金などが増加要因の大きなものとなった。有利子負債は、前期末比23億38百万円の増加となった。自己資本比率は55.7%と前期末比1.3ポイント低下した。

 

キャッシュ・フロー

 

 

 

 

20/3期

21/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

3,231

-607

-3,839

-

投資キャッシュ・フロー(B)

-114

-612

-497

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

3,117

-1,219

-4,337

-

財務キャッシュ・フロー

-2,219

1,490

3,710

-

現金及び現金同等物期末残高

4,367

4,671

304

+7.0%

※単位:百万円

 

前期に比べ、賞与引当金や未払消費税等の減少などにより営業CFがマイナスへ転じた。また、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加などにより投資CFのマイナス幅も拡大し、フリーCFもマイナスへ転じた。一方、短期借入金の増加などにより財務CFがプラスへ転じ、期末のキャッシュポジションは前期比高まった。

(4)21/3期のトピックス

今期にグループ入りした3社の概要

買収企業

アクティブ・ティ株式会社

株式会社GIテクノス

株式会社システムデザイン

売上高と従業員数

・売上高 347百万円

(2019年9月期)

・従業員数 43名

(2021年3月31日時点)

・売上高 1,918百万円

(2019年7月期)

・従業員数 202名

(2021年3月31日時点)

・売上高 2,797百万円

(2019年12月期)

・従業員数 171名

(2021年3月31日時点)

狙い

◆大手自動車、官公庁向け

ソフトウェア開発技術者の獲得

◆中部エリアを中心とした

サービス力の向上

◆モバイルアプリケーション開発事業への領域拡大

◆通信キャリア、官公庁を

中心とした顧客基盤の

強化

◆業界最大手の戦略パートナー(大手製造企業)の

獲得

◆グループシナジーを活用した大型案件の獲得、

およびITインフラ・運用

ビジネスへの展開

 

24/3期における業績寄与は、売上高57億円、営業利益4億円の見込み。
※現時点の予想数値であり、今後変更される可能性がある。
※2024年3月期の3社に係わるのれん償却費の合計は202百万円。

 

ニューノーマルへの対応
同社は、新しい働き方を通じた企業価値の向上に向けて、ニューノーマル適応プロジェクトを推進している。

働き方の持続的な変革

◆フリーアドレスオフィス「THE Forest Room」を本社に開設

◆「New Pattern」「New Process」をテーマに、ペーパーレス化および

電子承認取引の導入、社内イベントのオンライン化等を推進

国内地方拠点を活用した業務改革

◆鳥取県米子市にIDクラウドマネージドセンターを開設

◆本社機能の一極集中リスクの回避、管理業務の効率化や生産性向上に向けて

本社機能の一部を移管し、山陰BPOセンターを新設

時差を利用したグローバルITサービスの提供

◆海外拠点との共同開発を推進

◆クラウド技術と国内・海外拠点の時差を活かし、24時間/365日の運用体制の

展開

 

4.2022年3月期業績予想

(1)連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

売上高

25,766

100.0%

30,000

100.0%

-

EBITDA

1,877

7.3%

2,597

8.7%

-

営業利益

1,372

5.3%

1,900

6.3%

-

経常利益

1,553

6.0%

1,950

6.5%

-

当期純利益

1,297

5.0%

1,020

3.4%

-

※単位:百万円
※当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益
※22/3期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の連結業績予想は当該会計基準等を適用した
後の金額となっていることから、対前期増減率については記載していない。

 

売上高300億円、営業利益19億円の計画
22/3期の会社計画は、売上高が300億円、営業利益が19億円。
同社が属する情報サービス業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が懸念されるものの、テレワークを想定
したIT環境の導入・整備や、情報資産のクラウド化の加速などの新たなニーズが生まれ、今後も継続的な需要が期待されている。こうした環境下、売上高面では、新たにグループ化した3社の業績寄与、既存の事業会社とのシナジーならびに現在積極的に推進しているにDX関連サービスの拡大が見込まれる。
また、利益面では、グループ化した3社ののれん償却費が増加するものの、現在取り組んでいるサービスの高付加価値化ならびにDX関連技術者の育成等が収益力向上に寄与する。売上高営業利益率は、前期比1ポイント上昇の6.3%の計画。
また、1株当たり配当予想は、40円の予定。2021年7月1日付で実施する1株につき1.5株の株式分割を考慮すると、実質的に10円の増配となる。

 

(2)同社におけるDX戦略

DX関連ビジネスの領域
システム運営管理、ソフトウェア開発、システム基盤、サイバーセキュリティなどの現行ビジネスに、クラウド、RPA、IoT、AI、リモート、ノーコード、モバイルなどの先端技術を組み合わせ、DX関連ビジネスの展開を図る。

DX関連ビジネスの領域

主な戦略

クラウド

AWSやAzureなどの大手IT基盤を活用し、クラウド環境の構築・移行を支援

セキュリティ・基盤

24 時間体制でのネットワーク監視、インシデント対応、セキュリティ製品の導入

遠隔支援・高度開発

モバイルアプリ開発の拡大、リモートやノーコードを活用した開発の早期化

コンサル・研修

システム運用やセキュリティに関するコンサルティング・研修を実施

自動化・効率化

RPAやAI、スマートグラスを活用し、顧客の業務の自動化・効率化を支援

 

DX関連売上高の目標
DX戦略の推進および顧客基盤の拡大を通じて、収益力の強化を図ることにより、今期に連結売上高の35%となる105億円(21/3期は連結売上高の約26.0%の売上高66億88百万円)のDX関連売上高の達成を目指す。

目標に向けた施策

既存ビジネスのUP-Grade

◆IDクラウドマネージドセンターなどを活用し、ソリューション型ビジネスへ転換

◆自動化/効率化による生産性の向上

◆リモート/分散開発の推進

新規顧客の獲得

◆営業活動の強化を目指し、エンタープライズ営業部を発足

◆新たにグループ入りした子会社3社の顧客に対する提案

500名のDX技術者の育成

◆ITSS(ITスキル標準)を軸としたDX人材の見える化

◆ローテーションによる、実務経験の蓄積

◆外部研修等の積極的な活用

 

ITインフラのDXへのシフト
クラウドを活用したITインフラの設計・構築への移行を推進し、クラウドビジネスの拡大を図る。

(同社決算説明資料より)

 

システム運営管理のDXへのシフト
顧客先常駐型運用から、クラウドを活用したリモート運用への移行に注力し、人月ビジネスからソリューションサービス型ビジネスへのシフトを図る。同社は、顧客データセンターからAWS等のパブリッククラウドへのデータ移行業務、およびデータ移行後のパブリッククラウド上の運営管理業務等を行う。

(同社決算説明資料より)

 

ソフトウェア開発のDXへのシフト
従来の顧客先常駐型の開発にくわえ、国内外拠点の活用、開発手法の適用拡大を積極的に推進し、効率的な開発を実現する。

(同社決算説明資料より)

 

5.今後の注目点

22/3期は中期計画の最終年度となる。同社は、中期計画の数値目標であった22/3期の営業利益18億50百万円を19億円へ引き上げた。同社は、21/3期に3社の買収を実施した。新たな顧客基盤の獲得や、大手ITベンダーとのパートナーシップの強化、既存事業との関連性の高いDX技術者の獲得などがその狙いである。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、旧来の顧客先常駐型ビジネスからの転換を加速し、コンサルティングからシステムの開発、基盤、運用、サイバーセキュリティまでワンストップで行う体制をUP-Gradeした。更に、全社をあげたテレワーク環境の整備や本社におけるフリーアドレスオフィスの新設、本社機能の一部移管によるリスク低減と業務効率化等に取り組み、アフターコロナにおける業務の生産性や効率性の一層の向上を実現すべく環境の整備も行った。これら、コロナ禍での積極的な取り組みが、22/3期にどのような成果をもたらすのか注目される。次期中計のスタート地点にもなる今中計目標を達成するために好調なスタートが切れるのか、続く第1四半期の業績動向が注目される。
また、同社のDX関連の売上高が急拡大している。20/3期に全体の連結売上高の約21.8%であったDX関連売上高は、21/3期に連結売上高の約26.0%まで拡大した。更に、22/3期においては、連結売上高の約35.0%まで拡大させるアグレッシブな計画となっている。高付加価値案件が多いDX関連売上高の比率上昇は、同社の収益性向上にも大きな影響を与えるものと推測される。22/3期の会社計画であるDX関連売上高105億の達成に向け順調な進捗となるのか、また、同社の収益性向上にどの様なインパクトをもたらすのか期待を込めて注目したい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日: 2021年5月25日

 

<基本的な考え方>
当社では、「継続的に企業価値を高める」ことを経営における最重要項目と位置づけ、(1)経営と執行の分離による透明性と健全性の確保、(2)スピーディーな意思決定と事業遂行の実現、(3)アカウンタビリティー(説明責任)の明確化および(4)迅速かつ適切で公平な情報開示を基本方針として、コーポレート・ガバナンスの強化および監視機能の充実に取り組んでいます。なお、当社のコーポレート・ガバナンスに関する考え方を「コーポレートガバナンス・ガイドライン」(以下、「ガイドライン」という)として取りまとめ、当社ウェブサイトにおいて公開しています。(https://www.idnet-hd.co.jp/corporate/policy.html)

 

<実施しない主な原則とその理由>当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則をすべて実施しています。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

(1)事業上の関係を維持・強化し、中長期的な企業価値の向上を図るため、当社グループの取引先等の株式を保有することがある。取締役会は、毎年個別の政策保有株式について、保有目的および保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、その結果を開示するとともに、継続保有の合理性が認められない場合は、適切な時期に当該株式の売却を実施する。

(2)政策保有株式に係る議決権の行使については、投資先企業のコーポレート・ガバナンス体制の整備状況や中長期的な企業価値の向上に資する議案であるかどうか、また、当社への影響などを総合的に判断することを基本方針とする。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

(1)経営理念に掲げる精神のもと、株主との実りある対話を実現するため、双方向のコミュニケーションの充実に努める。

(2)株主との対話に資するため、以下の情報を開示する。

・中長期の戦略シナリオ、ビジネスモデル、企業価値向上の方策

・経営上重視している財務経営指標

・リスク情報

・CSRならびにESGに関する情報

(3)株主とのコミュニケーションの充実を図るため、問い合わせ窓口を設置し、株主との信頼関係を醸成する。

(4)株主との建設的な対話を促進するため以下の方針を定め、実践する。

【株主との建設的な対話を促進するための方針】

株主との建設的な対話が、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう

①株主からの対話(面談)の申込みに対しては、株主の希望と面談の主な関心事を踏まえたうえで、合理的な範囲で社外取締役を含む取締役または経営幹部が臨むことを基本とする。

②IR担当役員は、当社グループの関係各部署と協力し、建設的な対話の実現に努力する。

③IR担当役員は、個別面談のほか、経営説明会等を開催し、IR活動の充実を図る。

④IR担当役員は、対話において把握した株主からの意見・要望について、取締役会および関連する経営幹部へ適時適切にフィードバックするよう努める。

⑤IR担当役員は、未公表の重要な内部情報(インサイダー情報)が外部に漏洩することを防止するため、当社の情報セキュリティースタンダードに基づき、情報管理統括責任者と連携を図り、情報管理を徹底する。

⑥IR担当役員は、株式名簿に基づき、定期的に株主構造の把握を行い、取締役会に報告する。

 

 

 

 

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