ブリッジレポート
(4668) 株式会社明光ネットワークジャパン

プライム

ブリッジレポート:(4668)明光ネットワークジャパン 2021年8月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

山下 一仁 社長

株式会社明光ネットワークジャパン(4668)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

山下 一仁

所在地

東京都新宿区西新宿7-20-1 住友不動産西新宿ビル

決算月

8月

HP

https://www.meikonet.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(期末)

時価総額

ROE(実)

売買単位

600円

27,803,600株

16,682百万円

-18.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

15.00円

2.5%

27.91円

21.5倍

377.67円

1.6倍

*株価は4/26終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年8月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年8月(実)

19,383

2,615

2,806

2,042

76.92

40.00

2018年8月(実)

19,116

1,441

1,558

657

24.74

42.00

2019年8月(実)

19,967

1,775

1,907

958

36.08

30.00

2020年8月(実)

18,218

214

451

-2,232

-85.21

30.00

2021年8月(予)

18,600

630

760

700

27.91

15.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。当期純利益は親会社株主に属する当期純利益。以下、同様。

 

 

(株)明光ネットワークジャパンの2021年8月第2四半期決算概要などをご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年8月期第2四半期決算概要
3.2021年8月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

 

今回のポイント

  • 21年8月期第2四半期の売上高は前年同期比6.5%減の97億44百万円。明光義塾直営事業は増収となったが、明光義塾フランチャイズ事業は地方を中心に回復スピードが緩やかで減収となった。営業利益は同27.4%減の9億30百万円。仕入など売上原価や人件費などが減少したが、FC支援の販促費が増加した。各種コロナ禍対応の継続的な実施により業績回復の兆しが見え始めたため、2021年3月31日に第2四半期業績予想を上方修正した。業績動向を踏まえ、中間配当を5円/株から10円/株に引き上げた。

     

  • 21年8月期の上期業績予想の上方修正に伴い、通期予想も上方修正した。売上高は前期比2.1%増の186億円、営業利益は同193.3%増の6億30百万円の予想。中間配当を5円/株から10円/株に引き上げたことに伴い、年間配当予定も10円/株から15円/株に上方修正した。予想配当性向は53.8%。

     

  • 上期予想及び通期予想を上方修正した。在籍生徒数の前年同月比減少幅は縮小しているなど、直営中心に回復に向かっているようだが、通期予想の修正幅は上期の修正額と大きな差はなく、下期については慎重な見方を変えていない。3度目の緊急事態宣言が発令された中、新年度の生徒募集の動向とともに、通期決算がどういう着地となるか注視したい。

     

  • 一方、中期的な視点からは重点施策の一つである「新規FC事業の強化・拡大」における、AIを活用した個別最適化カリキュラムで学ぶ「自立学習RED」とオールイングリッシュの学童保育「明光キッズe」の進捗がポイントとなる。いずれも収益貢献はこれからといった段階にあるが、拡大のスピードに注目していきたい。また、中学生の成績向上のための補習塾というイメージが強い同社であるが、高校生の有名大学合格者実績も豊富であり、今後は収益拡大に向けて情報発信の強化も検討中ということだ。

     

     

1.会社概要

1984年の創業以来、個別指導のパイオニアとして明光義塾の運営を行う、個別学習塾のトップブランド企業。個別指導は、子どもたちの自立心と自主性、そして創造力を育む手法として高い注目を集めており、同社は、直営及びフランチャイズで明光義塾を全国展開している。また、キッズ事業や、子会社を通しての日本語学校事業、学校支援事業等、教育・文化に関する分野に軸足を置き、幅広く事業展開している。

 

【経営理念・教育理念・基本方針】

「教育・文化事業への貢献を通じて人づくりを目指す」、「フランチャイズノウハウの開発普及を通じて自己実現を支援する」という経営理念を掲げ、「民間教育企業」そして「自己実現支援企業」としての役割を果たす事で社会に貢献し、社会からその存在を認められる社会的存在価値の高い企業に成長していく事を目指している。
また、民間教育企業の一翼を担うものとして、「個別指導による自立学習を通じて、創造力豊かで自立心に富んだ21世紀社会の人材を育成する」という教育理念を定めている。
更に、「教育・文化事業への貢献を通じて顧客・株主・社員の三位一体の繁栄を目指す」という基本方針の下、全社一丸となって『理想の会社』の実現を目指している。

 

 

1-1 事業内容

報告セグメントは、明光義塾直営事業、明光義塾フランチャイズ事業、日本語学校事業の3事業。全学年を対象に生徒一人ひとりの学力に応じた自立学習・個別指導方式による明光義塾を直営事業として展開すると共に、独自のフランチャイズシステムに基づき、フランチャイジー(加盟者)に対して、教室開設の支援、継続的な指導に加え、教室用備品、機器、教材、テスト、グッズ等の商品販売を行っている。日本語学校事業では、連結子会社である(株)早稲田EDUが美術教室を有する「早稲田EDU日本語学校」の運営を、国際人材開発(株)が日本語教師養成講座、在留資格「特定技能」制度における日本語対策講座等を有する「JCLI日本語学校」の運営を行っている。

 

この他、長時間預かり型学習塾「キッズ」事業、高学力層向け個別指導塾「早稲田アカデミー個別進学館」事業、AIを活用した個別最適化カリキュラムで学ぶ「自立学習RED」事業、オールイングリッシュの学童保育「明光キッズe」事業、(株)古藤事務所による大学入試及び大学教育に関する事業、(株)東京医進学院による医系大受験専門予備校事業等である。

 

事業セグメントとグループ企業

セグメント

主な事業内容

報告セグメント

明光義塾直営事業

・個別指導塾「明光義塾」直営教室における学習指導及び教材・テスト等の商品販売

同社、(株)MAXISエデュケーション、(株)ケイライン、(株)ケイ・エム・ジーコーポレーション、(株)One link

明光義塾FC事業

・個別指導塾「明光義塾」フランチャイズ教室における教室開設・経営指導及び教室用備品、教室用機器、教材、テスト、グッズ等の商品販売 : 同社

日本語学校事業

「早稲田EDU日本語学校」の運営 : (株)早稲田EDU

「JCLI日本語学校」の運営 : 国際人材開発(株)

その他

その他事業

・長時間預かり型学習塾「キッズ」事業 : 同社

・高学力層向け個別指導塾「早稲田アカデミー個別進学館」事業 : 同社、(株)MAXISエデュケーション

・AIを活用した個別最適化カリキュラムで学ぶ「自立学習RED」事業 : 同社

・オールイングリッシュの学童保育「明光キッズe」事業 : 同社

・大学入試、大学教育に関する事業 : (株)古藤事務所

・医系大学受験専門予備校事業 : (株)東京医進学院(清算手続き中)

 

* 2021年2月末。上記の他、関連会社 NEXCUBE Corporation, Inc.(韓国:個別指導塾運営)、関連会社 明光文教事業股份有限公司(台湾:個別指導塾運営)。

 

1-2 強み

同社の強みは、「明光義塾のブランド力」と「オーナーとの共存共栄を目指した独自のフランチャイズシステム」。明光義塾は全ての都道府県に展開しており、身近で面倒見のよい学習塾として認知されている。こうした知名度の高さ、ブランド力が強みとなっている。また、同社のフランチャイズシステムは、本部(同社)と加盟オーナーが理念を共有し、全てのオーナーが加入する明光オーナーズクラブと一体となって、定期的な研修会、勉強会を開催して研鑽し、また成功ノウハウを共有する等、共存共栄を実現している。

 

1-3 市場動向

市況動向
調査会社によると、学習塾・予備校の市場規模は20年度予想(2020年9月現在)で9,600億円。このうち同社の主戦場である個別指導塾市場は4,450億円で、学習塾・予備校市場の46.4%を占めており、新規参入も多く、学習塾・予備校市場において個別指導塾市場の比率は高まっている。

 

 

2.2021年8月期第2四半期決算概要

2-1 連結業績

 

20/8期2Q

構成比

21/8期2Q

構成比

前年同期比

予想比

修正額

売上高

10,422

100.0%

9,744

100.0%

-6.5%

+4.8%

+444

売上総利益

3,278

31.5%

2,846

29.2%

-13.2%

-

-

販管費

1,997

19.2%

1,916

19.7%

-4.1%

-

-

営業利益

1,280

12.3%

930

9.5%

-27.4%

+39.4%

+263

経常利益

1,384

13.3%

1,016

10.4%

-26.6%

+47.5%

+327

四半期純利益

791

7.6%

666

6.8%

-15.8%

+100.0%

+333

* 単位:百万円。予想比は2020年10月発表の期初予想に対するもの。

 

減収減益も予想を上回る
売上高は前年同期比6.5%減の97億44百万円。明光義塾直営事業は増収となったが、明光義塾フランチャイズ事業は地方を中心に回復スピードが緩やかで減収となった。
営業利益は同27.4%減の9億30百万円。仕入など売上原価や人件費(一般管理費)などが減少したが、FC支援の販促費が増加した。
各種コロナ禍対応の継続的な実施により業績回復の兆しが見え始めたため、2021年3月31日に第2四半期業績予想の修正を発表した。修正予想と決算実績は同額。上記「予想比」が修正増加率となる。
業績動向を踏まえ、中間配当を5円/株から10円/株に引き上げた。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

20/8期2Q

構成比

21/8期2Q

構成比

前年同期比

明光義塾直営事業

5,679

54.5%

5,877

60.3%

+3.5%

明光義塾FC事業

2,393

23.0%

2,159

22.2%

-9.8%

日本語学校事業

739

7.1%

475

4.9%

-35.7%

その他

1,610

15.4%

1,231

12.6%

-23.5%

連結売上高

10,422

100.0%

9,744

100.0%

-6.5%

明光義塾直営事業

672

11.8%

878

15.0%

+30.7%

明光義塾FC事業

1,003

41.9%

671

31.1%

-33.0%

日本語学校事業

116

15.7%

-71

-

-

その他

75

4.7%

7

0.6%

-90.6%

調整額

-586

-

-556

-

-

連結営業利益

1,280

12.3%

930

9.5%

-27.4%

* 単位:百万円。利益の構成比は売上高利益率。

 

明光義塾直営事業
増収・増益。コロナ禍の影響ありながらも、下記の施策などで緩やかに回復。コロナ禍対応により夏期講習を従来の7‐8月から、7-9月の3か月間に延長実施したことも寄与した。
主な施策としては、教室環境の整備・健康管理等の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対応を徹底しながら、対面での個別指導を中心に実施。また、教室長を対象としたオンライン型研修の実施等により、教室運営の標準化及びノウハウの共有化を図り、効率の向上と顧客ニーズへの対応力の強化を進めた。

 

教室数は405教室(前年同期比2教室増)、在籍生徒数は26,824名(同150名減)となった。

 

明光義塾フランチャイズ事業
減収減益。コロナ禍に伴う前期の生徒数減少の影響を大きく受けた。
主な施策としては、生徒の学習成果を高めるべく、対面での個別指導とともに、ICTコンテンツを効果的に活用することで、最適な学習プランを提供し、目標達成までの進捗管理を徹底した。また、本部からの施策発信、研修・トレーニングの実施とともに、地域ごとの特性に応じた情報共有などFC支援策を積極的に推進。フランチャイズ教室の収益体質の強化に取り組んだ。

 

教室数は1,404教室(同125教室減)、在籍生徒数は75,935名(同9,155名減)となった。

 

日本語学校事業
減収、損失計上。入国制限の緩和は限定的なものに留まっており、生徒数は前年同期比で大幅に減少した。
教室での対面授業とオンラインを併用したハイブリッド型クラス編成による授業を実施した。

 

校舎数は2校(前年同期と変わらず)、在籍生徒数は1,298名(同698名減)となった。

 

その他
減収減益。

 

◎キッズ事業(アフタースクール)
直営スクール「明光キッズ」のほか、民間学童クラブ(助成型)、公設民営、私立小学校・幼稚園からの受託、フランチャイズ加盟等、様々な運営形態を取りながら、顧客満足度の高いサービス提供に取り組むとともに、既存スクールの新年度入会に向けた営業活動や、2021年4月新規オープンに向けた準備・営業活動を進めた。
第2四半期の売上高は248百万円(前年同期比52百万円増)、営業利益0百万円(同変わらず)。

 

スクール数は34スクール(同9スクール増)、在籍スクール生は1,806名(同543名増)となった。

 

◎早稲田アカデミー個別進学館事業
難関校受験向け個別指導ブランドとして、生徒の成績向上と志望校合格の実現に向けた取り組みを進めた。なお、コロナ禍における顧客ニーズに対応し、校舎での対面授業と自宅でのオンライン授業を選択可能な体制とした。
今年度も難関校に多数の合格者を輩出することができた。特に御三家中学(開成中学校・麻布中学校・武蔵中学校・桜蔭中学校・女子学院中学校・雙葉中学校)の合格者数は28名となり、昨年から大きく伸長し、過去最高となった。その他早慶附属高などの合格実績も順調だった。
第2四半期の売上高は307百万円(前年同期比6百万円減)、営業利益27百万円(同18百万円減)。

 

校舎数は52校(同4校舎増)、全校舎の生徒数は、4,195名(同277名増)。

 

◎自立学習RED事業
AIを活用して生徒一人ひとりの学力・特性に応じた、個別最適化された学びを提供するとともに、株式会社スプリックスと連携を取りながら、教室展開を進めた。
第2四半期の売上高は42百万円、営業損失は72百万円。

 

教室数は28教室(同社直営14教室、FC14教室)となった。

 

◎明光キッズe事業
オールイングリッシュの学童保育・プリスクールとして、2020年4月直営2スクールのオープン以来、学童保育の需要拡大と教育改革による幼児英語教育への関心の高まりといった顧客ニーズに対応してきた。2021年2月に3スクール目として、「明光キッズe和歌山駅前」(フランチャイズ)をオープンしたほか、2021年4月の新規オープンに向けた準備・営業活動を進めた。
第2四半期の売上高は38百万円、営業損失は42百万円、スクール数は3スクール(直営2、FC1)となった。

 

◎学校支援事業
受注動向に大きな変動はなく、概ね堅調な業況推移となった。
第2四半期の売上高は414百万円、営業利益は187百万円。

 

◎予備校事業
一人ひとりに徹底的に向き合う指導により、生徒の成績向上に努めたが、医系予備校間の競争激化の影響は大きく、生徒数は低迷した。
第2四半期の売上高は113百万円(前年同期比50百万円減)、営業損失50百万円(前年同期は22百万円の損失)。
同社を解散及び清算することを決議し現在清算手続き中。

 

(明光義塾教室数、明光義塾在籍生徒数及び明光義塾教室末端売上高等の推移)

 

20/8期2Q

前年同期比

21/8期2Q

前年同期比

同社直営教室数

223

-8

208

-15

MAXIS教室数

94

-

93

-1

ケイライン教室数

43

+1

41

-2

KMG教室数

43

+43

42

-1

One link教室数

-

-

21

+21

明光義塾直営教室数計

403

+36

405

+2

同 FC教室数

1,529

-124

1,404

-125

明光義塾教室数合計(単位:教室)

1,932

-88

1,809

-123

同社直営在籍生徒数

15,070

-514

14,315

-755

MAXIS在籍生徒数

7,078

+530

6,824

-254

ケイライン在籍生徒数

2,598

-154

2,694

+96

KMG在籍生徒数

2,228

+2,228

2,159

-69

One link教室在籍生徒数

-

-

832

+832

明光義塾直営在籍生徒数計

26,974

+2,090

26,824

-150

同 FC在籍生徒数

85,090

-7,330

75,935

-9,155

明光義塾在籍生徒数合計(単位:名)

112,064

-5,240

102,759

-9,305

明光義塾直営事業売上高

5,679

+405

5,877

+198

明光義塾FC事業売上高 *1

2,393

-174

2,159

-233

日本語学校事業売上高

739

+64

475

-264

その他事業売上高

1,610

+34

1,231

-378

売上高合計(単位:百万円)

10,422

+329

9,744

-677

明光義塾直営教室売上高

5,679

+405

5,877

+198

同 FC教室末端売上高

14,950

-1,099

13,424

-1,525

明光義塾教室末端売上高合計(単位:百万円) *2

20,629

-694

19,302

-1,326

*1 明光義塾FC事業売上高は、ロイヤルティ収入及び商品売上高等を記載。
*2 明光義塾教室末端売上高合計は、直営教室の授業料、教材費、テスト料等とFC教室の授業料等の合計。FC教室の教材費、テスト料等は含まず。

 

2-3 財政状態とキャッシュ・フロー

◎財政状態

 

20年8月

21年2月

増減

 

20年8月

21年2月

増減

流動資産

8,848

10,297

+1,448

流動負債

3,847

4,768

+921

現預金

7,015

8,493

+1,477

仕入債務

119

167

+48

売上債権

845

693

-152

短期借入金

-

1,000

+1,000

固定資産

5,192

4,990

-201

固定負債

720

722

+1

有形資産

1,142

1,184

+41

資産除去債務

346

342

-4

無形資産

545

475

-70

負債合計

4,568

5,490

+922

投資その他の資産

3,504

3,330

-173

純資産

9,473

9,797

+324

投資有価証券

2,120

2,014

-106

利益剰余金

10,140

10,430

+290

資産合計

14,041

15,288

+1,247

負債純資産合計

14,041

15,288

+1,247

*単位:百万円

 

期末総資産は前期末比12億47百万円増加の152億88百万円。現預金が同14億77百万円増加した。
負債合計は同9億22百万円増加の54億90百万円。短期借入金が10億円増加した。利益剰余金の増加などで純資産は同3億24百万円増加の97億97百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より3.4ポイント低下し64.1%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

20/8期2Q

21/8期2Q

増減

営業CF

1,031

588

-443

投資CF

-310

365

+676

フリーCF

721

953

+232

財務CF

-404

623

+1,028

現金・現金同等物

7,761

8,343

+581

*単位:百万円

 

税金等調整前四半期純利益の減少などで営業CFのプラス幅は縮小したが、投資CFがプラスに転じフリーCFはプラスを維持。短期借入により財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは上昇した。

 

2-4 トピックス

(1)外国人雇用をトータルに支援するサービス「MEIKO GLOBAL」を発表
2021年3月、外国人の雇用を行う企業に対し、採用支援から外国人への研修・日本語教育、外国人人材管理者に向けたマネジメント研修など、外国人雇用をトータルに支援するサービス「MEIKO GLOBAL」の提供を開始した。

 

(「MEIKO GLOBAL」概要)
コンセプトは「海外人材の最大の課題である日本語教育と法令遵守を徹底し、安心・安全な雇用を実現する究極のワンストップサービス」。
外国人を雇用する企業に向けた人材紹介・研修サービスを展開する。
MEIKO GLOBALの人材紹介サービスは、顧客のニーズをヒアリングした後に、 最適な在留資格を提案して、その後に人材を紹介する。

 

(サービスの特長)

全ての在留資格での人材紹介が可能

全ての在留資格での人材紹介が可能で、顧客にとって最適な在留資格を提案する。

全世界から、企業にとって最適な国を提案

指定の国、もしくは、必要となる人材要件などについてヒアリングした内容を受けて、最適な国を提案する。

日本語によるコミュニケーション力を徹底的にケア

日本語コミュニケーション力の診断と日本語教育を提供することで、企業が不安に感じている日本語によるコミュニケーション課題を解決する。

スキルチェックで人材のレベルを担保

紹介する人材が持つスキルをチェックし、正確に伝達する。入社後の伸びしろも予測するので、採用の判断に利用できる。

専任の行政書士による在留資格申請代行

専任の行政書士が在留資格申請を代行する。更新手続きもサポートする。

法律顧問団による法的問題の解決

法的問題が生じた場合、明光ネットワークジャパンの法律顧問団が対応する。

 

(2)医療・介護分野での外国人雇用の採用支援・研修サービスを活かした就職支援プログラムを提供開始
2021年3月、社会医療法人 愛仁会(大阪市)との包括的業務提携により、医療・介護分野での外国人雇用の採用支援・研修サービスを活かした就職支援プログラムの提供を開始した。外国人雇用をトータルに支援するサービス「MEIKO GLOBAL」の提供開始に伴う、具体的なアクションである。

 

(業務提携の背景)
現在、コロナ禍において特に国内に在住する外国人の就業状況が悪化している。厚生労働省のデータによると、新型コロナウイルス感染症の影響で、外国人新規求職者数は前年比1~2割程度増加している。
一方で、超高齢社会の進展に伴い、看護師のサポートをおこなう看護助手(看護補助者)や介護施設の介護職員は慢性的な人材不足にある。今回のコロナ禍により、更に現場での人材不足がひっ迫し、十分な質のケアを提供することが難しくなっている。

 

(包括的業務提携の概要)
こうした「コロナ禍による国内在住の外国人の就職難」と「慢性的な人材不足に悩む医療・介護業界」の2つの課題解決に向けて、医療・介護業界に就職を希望する人材に対する国内外での教育プログラムでの連携や、キャリア教育・進路指導を含めたワンストップサービスの体制構築を目指す。
業務提携第一弾として、介護職員としての就職を支援する「KAIGO Smile Project」を開始する。

 

(「KAIGO Smile Project」概要)
日本国内の外国人を主な対象に、医療・介護業界で働く為の基礎知識や社会マナー、就業体験としてのアルバイト機会、アルバイトとして働きながら社員を目指す為のステップアッププログラムをワンストップで提供する就職支援プログラム。
在留資格の関係上、特定技能介護及びJFT-Basicの試験の受験が必要な外国人には、無償で明光ネットワークジャパンがオンライン教材と学習サポートサービスを提供する。
プロジェクト参加者はアルバイトを通じ医療・介護施設で働くことについての理解を深めながら、特定技能資格の取得や専門知識・スキルを獲得し、医療・介護施設への社員としての就労を目指す。
現時点で募集期間の終了時期は未定。日本人参加も可能である。

 

(3)ベトナムにおける外国語教育トップクラスであるハノイ大学と協力連携協定を締結
2021年4月、ベトナムにおける外国語教育トップクラスであるハノイ大学と、「人材交流とベトナム国内における日本語教育の充実に関する協力連携協定(MOU:Memorandum of Understanding)」を締結した。

 

外国人雇用支援サービス「MEIKO GLOBAL」において、ハノイ大学と連携して、日本企業に対するベトナム内での日本語教育の強化や優秀なグローバル人材の育成に取り組む。

 

(協力連携協定締結の背景)
ベトナムは、成長著しい東南アジア新興国の中でも特に今後の経済発展が期待されている国の一つ。拡大する市場性や生産コストの安さ、そして豊富で優秀な人材を求めて、1,900社を超える多くの日本企業がベトナムに進出している。
さらに、昨今の新型コロナウイルス禍においても、ベトナムは感染の抑え込みに成功したこともあり、引き続き海外展開先として注目を集めている。
一方、日本国内においても、2020年12月末時点のベトナム人の全在留人数は44.8万人を数え、中国に次ぐ2番目の多さとなっており、日本の労働市場を支えている。日本、ベトナム両国内において、ベトナム人材の日本企業での活躍は今後さらに期待される。
しかし、ベトナム人の雇用については、日本語によるコミュニケーション力が主な障壁となり、十分な採用活動が展開されていなかったり、適切なマッチングに至っていなかったりするケースが少なくない。
そこで、外国人人材紹介と日本語教育のノウハウを持つMEIKO GLOBALと、ベトナム国内における外国語教育最高峰のひとつであるハノイ大学は、日本企業におけるベトナム人の日本語教育や人材育成を目的として、協力連携協定を締結した。

 

(ハノイ大学概要)
1959年にハノイ外国語大学(現 ハノイ大)として設置された語学教育で有名な国立大学。現在は語学教育だけでなく、ITや経済などの学部も持つ総合大学である。ハノイ大学日本語学部では、JLPTと言われる日本語能力試験3のN2(日本語上級、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)取得が卒業の要件であり、多くの学生が日本への留学を経験するなど、高いレベルの日本語教育を実践しており、卒業時にはN1(最高レベル、幅広い場面で使われる日本語を理解することができる)を取得している生徒もいる。こうしたことから、ベトナム現地の日本企業への就職だけに留まらず、日本国内への就業者を多く輩出している。

 

(協力連携協定締結の内容)

人材育成と人材交流の支援

日本で働くことに興味を持っている現地の優秀なベトナム人に向けて、高レベルな日本語教育を提供し、グローバル人材の育成を行う。またMEIKO GLOBALにおいては、日本国内の企業の求人情報にマッチする優秀なベトナム人材を紹介し、人材交流の促進に取り組む。

日本語教育プログラムの共同開発

日本人教師による教育やそのノウハウといった明光ネットワークジャパンの強みと、ベトナム人向けの日本語教育メソッドやベトナム語での日本語教育といったハノイ大学の強み、さらに明光ネットワークジャパンが実施しているオンライン教育のノウハウを融合した「ベトナム人向けの最高レベルの日本語教育プログラム」の作成に取り組む。

日本語教育の普及と学習者の成果発表の場としてのコンテストの共同開催

日本語学習を行うベトナム人の発表機会を設けるべく、ベトナム国内で日本語学習の成果を発表するコンテストを、共同で開催する。

留学希望者の留学先支援

日本への留学を希望するベトナムの学生に向けて、日本への留学を支援する。

 

(4)仮処分命令申立ての却下決定
株式会社明光ネットワーク九州及び株式会社明光義塾九州より、株式会社明光ネットワークジャパンに対してなされた地位確認等仮処分命令の申立てについて、2021年3月25日付で東京地方裁判所より本申立てを却下する旨の決定を受領した。(経緯は前回ブリッジレポートを参照)

 

(今後の見通し)
業績に与える影響は軽微と認識しているが、公表すべき事項が生じた場合には、速やかに開示する考えだ。

 

3.2021年8月期業績予想

3-1 連結業績

 

20/8期 実績

構成比

21/8期 予想

構成比

前期比

修正比

修正額

売上高

18,218

100.0%

18,600

100.0%

+2.1%

+1.6%

+300

営業利益

214

1.2%

630

3.4%

+193.3%

+138.6%

+366

経常利益

451

2.5%

760

4.1%

+68.2%

+138.2%

+441

当期純利益

-2,232

-

700

3.8%

-

+159.3%

+430

*単位:百万円

 

業績予想を上方修正
上期業績予想の上方修正に伴い、通期予想も上方修正した。
売上高は前期比2.1%増の186億円、営業利益は同193.3%増の6億30百万円の予想。
中間配当を5円/株から10円/株に引き上げたことに伴い、年間配当予定も10円/株から15円/株に上方修正した。予想配当性向は53.8%。

 

(足元の状況及び今期の重点施策に関するアップデートなど)
*生徒数の動向
在籍生徒数の前年同月比増減数は依然マイナスではあるものの、その幅は着実に減少している。
また、TVCMの放映やWEB広告の強化にも取り組んだ結果、1-3月のWEB経由での問い合わせ件数はコロナ禍前の2019年水準まで回復している。
問い合わせ増を確実に入会に結び付けられるかが鍵となる。

 

*新規FC事業の強化・拡大
同社ではAIを活用した個別最適化カリキュラムで学ぶ「自立学習RED」およびオールイングリッシュの学童保育「明光キッズe」を中心に新規FC事業の強化・拡大を目指している。

 

「明光キッズe」については和歌山県でFC第1号が開校し、4月には武蔵小杉(神奈川県)にFC第2号がオープンした。直営スクール(現在3スクール)で運営ノウハウを蓄積し、今後のFC展開を加速させる。単なる英語塾ではない点、および他の英語学童とは異なり、英語に加え第2外国語習得によるグローバル人材育成というコンセプトの訴求及び浸透が鍵となる。

 

「自立学習RED」は2021年2月末28教室(直営14、FC14)を、2021年8月末には41教室(直営16、FC25)まで拡大させる計画だ。
AIを活用した個別最適化カリキュラムにより従来レベルの講師を確保する必要が無いこと、そのためリーズナブルな料金体系で学びを提供することが可能な点などを訴求ポイントとし、講師人材が不足している地方を中心にFC教室開校ペースを加速させる。
異業種からのFC加盟希望の引き合いも多く、今後法人営業を強化していく。

 

*DXの推進
DX推進室を設け、データに基づいたビジネスプロセスの自動化および再構築を進める。
全事業共通のマーケティング統合基盤としてMA(マーケティングオートメーション:マーケティング活動の自動化)/CRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント:顧客と良好な関係を構築する手法・ツール)による顧客一元管理を図るほか、効率的なデジタルアプローチから入塾までのプロセスをデジタルによる可視化を目指す。また、DXを推進するための各種セキュリティガイドラインの遵守・徹底にも取り組む。

 

4.今後の注目点

上期予想及び通期予想を上方修正した。通期は2.1%増収、193.3%営業増益を予想している。在籍生徒数の前年同月比減少幅は縮小しているなど、直営中心に回復に向かっているようだが、通期予想の修正幅は上期の修正額と大きな差はなく、下期については慎重な見方を変えていない。3度目の緊急事態宣言が発令された中、新年度の生徒募集の動向とともに、通期決算がどういう着地となるか注視したい。

 

一方、中期的な視点からは重点施策の一つである「新規FC事業の強化・拡大」における、AIを活用した個別最適化カリキュラムで学ぶ「自立学習RED」とオールイングリッシュの学童保育「明光キッズe」の進捗が重要なポイントとなる。
いずれも収益貢献はこれからといった段階にあるが、拡大のスピードに注目していきたい。
また、中学生の成績向上のための補習塾というイメージが強い同社であるが、高校生の有名大学合格者実績も豊富であり、今後は収益拡大に向けて情報発信の強化も検討中ということだ。

 

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年4月12日)
基本的な考え方
当社では、新たな時代に適応したスピーディかつ透明な経営組織を構築するために、経営構造改革を絶え間なく推進してまいります。また、経営の透明性、健全性、公正性の確保、リスク管理の徹底並びにアカウンタビリティの向上を図り、株主価値を重視したコーポレート・ガバナンスをより一層強化する方針であります。
また、当社グループの持続的成長と、独自の付加価値を発揮する事業モデルの高度化、グループ各社の連携による収益力強化により、株主をはじめとする全てのステークホルダーにとって企業価値の最大化を図るとともに、経営の透明性・効率性を向上させることを基本方針としています。このため、経営の監督と業務の執行体制のバランスを取りつつ、迅速かつ効率的な経営・執行体制の確立を図り、社外取締役の参加による透明性の高い経営の実現に取り組んでおります。
なお、当社におけるコーポレートガバナンス・コードの各原則に対する取り組み状況や取り組み方針を明確にすること、ならびに受託者責任・説明責任を果たすことを目的として「明光ネットワークジャパングループ コーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定し、当社インターネットホームページで公開しております。

 

https://www.meikonet.co.jp/investor/governance/index.html

 

<各原則を実施しない理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しております。

 

<開示している主な原則>
原則1-4【いわゆる政策保有株式】
投資目的以外の目的で保有する株式は、業務提携、取引の維持・強化及び株式の安定等の保有目的で、政策保有株式として、取引先の株式を保有しております。同株式の縮減の要否は、当社の成長に必要かどうか、他に有効な資金活用はないか等の観点で、取締役会による検証を適宜行っております。また、同株式に係る議決権行使は、その議案の内容を所管部門において精査し、投資先企業の状況や当該企業との取引関係等を踏まえた上で、議案に対する賛否を判断いたします。

 

原則1-7【関連当事者間の取引】
当社では、取締役及び取締役が実質的に支配する法人との競業取引及び利益相反取引は、取締役会での審議・決議を要することとしています。また、取引条件及び取引条件の決定方針等については、株主総会招集通知や有価証券報告書等で開示しています。当社役員、取締役が実質的に支配する法人及び主要株主が当社顧客として取引を行う場合、会社に不利益とならない体制を整えています。

 

原則5-1【株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、経営企画部をIR担当部署としています。株主や投資家に対しては、決算説明会を半期に1回開催するとともに、逐次、個別面談を実施しています。

 

 

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