ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

スタンダード

ブリッジレポート:(7590)タカショー 2021年1月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

高岡 伸夫 社長

株式会社 タカショー(7590)

 

 

会社情報

市場

東証一部

業種

卸売業(商業)

社長

高岡 伸夫

所在地

和歌山県海南市南赤坂20-1

決算

1月20日

HP

https://takasho.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

770円

14,578,329株

11,225百万円

10.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

2.6%

61.74円

12.5倍

646.41円

1.2倍

*株価3/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは21/1期実績、DPS、EPSは22/1期予想。数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2016年1月(実)

17,853

722

597

240

19.63

17.00

2017年1月(実)

17,223

503

322

152

12.39

6.00

2018年1月(実)

17,489

607

571

228

18.59

10.00

2019年1月(実)

17,759

514

333

338

25.04

10.00

2020年1月(実)

17,357

531

469

203

13.93

10.00

2021年1月(実)

18,486

1,156

1,152

952

65.36

20.00

2022年1月(予)

19,680

1,195

1,190

900

61.74

20.00

*予想は会社予想。単位:百万円

 

 

タカショーの2021年1月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.事業展開
3.2021年1月期決算
4.2022年1月期業績予想
5.今後の事業展開と中長期計画
6.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 21/1期は前期比6.5%増収、145.7%経常増益。国内ではプロユース部門で施工現場の停滞などの影響があったが1.2%減収に抑えた。一方、ホームユース部門では、新型コロナの影響による外出自粛に伴い、量販店やe-コマースにおけるガーデニング用品の売上拡大により18.2%増収と伸長した。海外についても、新型コロナの影響によりガーデニング需要が高まり、特にe-コマースにおける売上高が前期比28.2%増と大幅に伸長した。利益面では、採算性の高いe-コマース売上増に伴い売上総利益率が改善し、大幅増益となった。前期比10.0円増配となる20.0円の期末配当を実施する。

     

  • 22/1期は6.5%増収、3.3%経常増益を見込む。引き続き新型コロナの経済活動への影響を懸念した前提を置いた。こうした経営環境下、22/1期においても同社が提唱する「5th ROOM」に基づき、庭でのライフスタイルメーカーとしてのブランド力の向上を図る。国内においては、リアルとネットを融合したハイブリット型ショールームの展開を推進する。グローバル展開においては、欧州地域を中心に自社生産品における新商品の導入を推進する。また、エクステリア商品の拡販を進める目的とし、同商品の販売が順調に推移している韓国、豪州および欧州地域に対する売上拡大に努める。さらに、中国の製造部門において、工場増築により生産量を拡大し、欧州、アジア、オセアニア、北米地域への販売活動の強化を図る。配当は、20.0円/株の期末配当を見込んでいる。

     

  • 21/1期は新型コロナ感染拡大に伴う巣ごもり消費をフォローとし、飛躍の1年になったといえるだろう。国内外でEC比率が増加したことにより、利益率が大幅に改善した。コロナ前から取り組んで来た生産・販売体制の構築が花を開いた。特に海外の大幅な伸長に注目したい。海外各地は大幅増収ながら金額では少額にとどまり、今後の拡大余地は大きい。また、海外は利益額についても少額にとどまっており、欧州の販売体制の見直しやECの拡大により今後の売上増は増益にも大きく貢献するだろう。好業績を受け株価は昨年安値の2倍水準に達し、かなり見直された。それでもPERは12倍と低い。今後の海外の改善余力や中長期計画で掲げる利益水準も考慮すると割安感は強いといえそうだ。

     

     

1.会社概要

「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、ガーデンエクステリア商品を手掛けている。戦後、素材から業種型、そして業態産業へと移行、同社はより良い庭くらしのライフスタイルメーカーとして成長してきた。心身の健康と家族の笑顔ある暮らしの提供を目指す。また、常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く都市環境庭文化に貢献するグローバルなオンリーワン企業を目指している。ミッションとして「より良い庭での暮らしをグローバルに提供する企業」を掲げている。
製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、オセアニア、アメリカへも展開。商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けるグループ力を強みとし、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」のリーディングカンパニーとして期待されている。グループ会社は国内5社、海外12社。1998年に9月にジャスダックに上場、2012年、2013年の増資を経て2017年10月19日より東証二部へ、2018年7月9日には東証一部へ市場変更している。

 

会社概要

設立日

1980年8月

上場日

1998年9月(ジャスダック)

2017年10月より東証二部

2018年7月より東証一部

資本金

18億2,086万円

従業員数

760名(連結)

グループ

国内5社、海外12社

 

基本理念とミッション

(同社資料より)

 

ヒストリー

国内では設計・施工が必要なハウスメーカーや工務店向け「プロユース事業」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース事業」を販売ルート別に展開してきた。海外は今世紀に入り本格展開している。近年は国内ではプロユース向けが大きく伸びてきたが、新型コロナ感染拡大を機に国内外でホームユース向けが急速に拡大している。

(同社資料より)

 

ビジネスセグメント

巣ごもり消費拡大に伴い、ビジネスセグメントも細分化された。①戸建(新築、リフォーム)、ハウスメーカー向けに提案する「PROガーデンエクステリア分野」、②公共事業、商業施設等の非住宅向けに提案する「コントラクト分野」、③ホームセンター、専門店向けに提案する「ホームセンター、GMS分野」、④Webサイトからのネット販売を展開する「e-コマース」、⑤プロユース、ホームユースの事業を海外展開する「国際」に分けられる。

 

 

 

(同社資料より)

マーケット

同社が主軸とする国内PRO市場とDIY市場の市場規模ははそれぞれ7,000億円。国内コントラクトや、現在急速に伸ばしている海外市場は10兆円を超える規模である。ポテンシャルは大きい。

(同社資料より)

 

 

2.事業展開

ビジネス展開

自社製品工場ではこれまで5年間で45億円を投資してきた。自社ソフト工場では「タカショーGLD–LAB.Soft-Factory鳥取」が4月に開設予定。

(同社資料より)

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)展開

DX展開に積極的に取り組んでいる。特に新型コロナ感染拡大の影響で外出を控えることが多くなってからはDXへの取り組みが力を発揮させている。

(同社資料より)

 

パッケージの提案

国内には総住宅戸数が5,366万戸、空き家が876万戸あるとされている。同社としては庭のパッケージを提案し、総住宅戸数の1%×庭(30万円)→約1,600億円の市場を狙う。Withコロナにより住まいが変化。もっと自分らしく、楽しく、やすらぐ・・・を目的にDIYライフスタイル市場の需要も拡大することを見込む。
様々な年代、価値、地域、趣味趣向に対応したパッケージを提案する。

(同社資料より)

 

ホームユースの特徴

ホームユースは国際的に事業展開する。中国の九江で生産し、国内を含めてグローバルに販売する。従来の20,000坪の工場に加え、5,000坪の新工場も立ち上がる。販売ルートはネットとリアルを絡めたブランド戦略を採っている。

(同社資料より)

 

ホームユースの取り組み

STAY HOMEの影響で、庭で暮らす需要が伸長。花と緑と庭暮らし、家庭菜園、生活の価値が変化。

(同社資料より)

 

時代の大きな変化とタカショーが提供するバリュー

時代は大きく変化、物を持つ物質文明中心の「地の時代から」目には見えない情報や知識、伝達、教育が重視される「風の時代」へ。換言すれば、「文明の時代」から「文化の時代」へ、消費は「モノ消費」から「コト消費」へと移行する。そこでキーワードとなるのが、「健康」、「環境」、「文化」。タカショーはガーデンセラピーで「健康」を、情緒やアートを通じて「文化」を、緑や自然、SDGsを通じて「環境」を提供する。

 

時代の大きな変化

 

(同社資料より)

タカショーが提供するバリュー

 

(同社資料より)

SDGsの取り組み

タカショーは常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く都市環境庭文化づくりに貢献する、という理念の元、持続可能な開発目標で社会に貢献する。

(同社資料より)

 

3.2021年1月期決算

(1)連結業績

 

20/1期

構成比

21/1期

構成比

前期比

会社予想

予想比

売上高

17,357

100.0%

18,486

100.0%

+6.5%

18,400

+0.5%

売上総利益

7,547

43.5%

8,259

44.7%

+9.4%

-

-

販管費

7,015

40.4%

7,103

38.4%

+1.3%

-

-

営業利益

531

3.1%

1,156

6.3%

+117.7%

1,010

+14.5%

経常利益

469

2.7%

1,152

6.2%

+145.7%

910

+26.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

203

1.2%

952

5.2%

+369.2%

640

+48.9%

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比6.5%の増収、145.7%の経常増益
売上高は前期比6.5%増の184億86百万円。
国内プロユース部門の売上高は前期比1.2%減。家と庭をつなぐ中間領域である「5th Room」のコンセプトに基づく基軸商品の「オールグラスポーチ」とその周辺アイテムの売上拡大と新築外構工事におけるファサードエクステリアのデザイン性向上のための様々な顧客サポートを行った。これにより、施工現場の停滞などの影響があったが、減収を抑えることができた。ホームユース部門の売上高は前期比18.2%増。新型コロナの影響による外出自粛に伴い、ガーデニングの需要が高まったことから、販売先である量販店での売上拡大やe-コマースにおけるガーデニング用品の売上拡大により伸長した。
海外についても、新型コロナの影響によりガーデニングの需要が高まり、特にe-コマースにおけるガーデニング用品の売上高が前期比28.2%増と大幅に伸長した。
さらに、子会社が運営するガーデン・エクステリア業界の情報に特化したWebプラットフォーム『Garden Story』は、ガーデンニングシーズンの最盛期とコロナ禍の「STAY HOME」による影響が重なった20年5月に過去最高のページビュー・ユニークユーザーを達成した。以降も家庭菜園や季節の植物に関わる記事へのアクセスが勢いを持ったまま推移した。特に検索流入においては前期比900%以上を持続しており、“ガーデニングや家庭菜園とともにある暮らし”の定着が表れる結果となった。このような状況を好機と捉え、DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みを一気に加速させ、6月15日よりWebショールームを開設した。さらに10月22・23日に自社展示会「タカショーガーデン&エクステリアフェア2020」をリアルとオンラインを融合したハイブリッド型で開催し、今後の新しい生活様式における提案やVR・ARなどを使用した動画ソフトパッケージの提案も行い、営業活動の強化に努めている。
営業利益は前期比117.7%増の11億56百万円。
利益面では、自社生産品の販売構成比の増加や生産性向上により売上総利益率が前期43.5%から44.7%に改善した。販管費においては、営業活動の自粛に伴い営業スタイルの変化による営業経費の減少や販促費用の見直し等により販促・広告費が減少、販管費率は前期40.4%から38.4%に改善した。為替差損の縮小や支払利息の減少などにより経常利益は前期比145.7%増の11億52百万円。有限会社タカショーヨーロッパ及び天津高秀国際工貿有限公司の清算手続きが決了したことから、特別利益に為替換算調整勘定取崩益74百万円を計上、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比369.2%増の9億52百万円となった。
期末配当(年間配当も同額)は前期末(同)比10.0円増配の20.0円を実施する。

 

主要販管費

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

20/1期

売上比

21/1期

売上比

前期比

人件費

2,812

16.2%

2,924

15.8%

+4.0%

発送費

1,108

6.4%

1,176

6.4%

+6.1%

販促・広告

621

3.6%

555

3.0%

-10.6%

支払手数料

518

3.0%

513

2.8%

-1.0%

旅費交通費

228

1.3%

105

0.6%

-54.0%

販管費合計

7,015

40.4%

7,103

38.4%

+1.3%

 

 

報告セグメント別売上高・利益

 

 

(単位:百万円)

 

20/1期

構成比

21/1期

構成比

前期比

日本

15,495

89.3%

15,857

85.8%

+2.3%

欧州

438

2.5%

753

4.1%

+71.9%

中国

894

5.2%

1,058

5.7%

+18.3%

韓国

120

0.7%

154

0.8%

+27.8%

米国

268

1.5%

402

2.2%

+49.8%

その他

139

0.8%

259

1.4%

+85.6%

連結売上高

17,357

100.0%

18,486

100.0%

+6.5%

日本

569

149.8%

809

76.6%

+42.3%

欧州

-329

-

-99

-

-

中国

188

49.6%

314

29.8%

+66.9%

韓国

-22

-

-9

-

-

米国

-14

-

23

2.2%

-

その他

-11

-

17

1.7%

-

連結調整

151

-

100

-

-

連結営業利益

531

100.0%

1,156

100.0%

+117.7%

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

 

20年1月

21年1月

 

20年1月

21年1月

現預金

2,790

3,942

仕入債務

2,872

3,001

売上債権

2,868

3,212

短期有利子負債

5,167

4,416

たな卸資産

4,778

4,354

流動負債

9,282

8,823

流動資産

11,099

12,187

長期有利子負債

437

1,129

有形固定資産

5,683

5,556

固定負債

657

1,350

無形固定資産

331

414

純資産

8,693

9,516

投資その他

1,519

1,533

負債・純資産合計

18,634

19,691

固定資産

7,534

7,503

有利子負債合計

5,605

5,546

*単位:百万円
*有利子負債は借入金+リース債務

 

21/1期末の総資産は、前期末比10億56百万円増加し、196億91百万円となった。流動資産は10億87百万円増加し、121億87百万円となった。主な要因は、現預金が39億42(前期末比11億52百万円増)、受取手形及び売掛金が26億40百万円(同3億28百万円増)、商品及び製品が28億26百万円(同4億53百万円減)となったこと等によるもの。固定資産は前期末比30百万円減少し、75億3百万円となった。主な要因は、有形固定資産が55億56百万円(前期末比1億27百万円減)と無形固定資産が4億14百万円(同83百万円減)となったこと等によるもの。
負債合計は前年同期2億33百万円増加し、101億74百万円となった。流動負債は前期末比4億58百万円減少し、88億 23百万円となった。主な要因は、支払手形及び買掛金が30億1百万円(前期末1億28百万円増)、1年以内返済予定長期借入金が3億56百万円(同1億90百万円増)、未払消費税が2億20百万円(同1億18百万円増)、短期借入金が39億43百万円(同9億48百万円減)となったこと等によるもの。固定負債は前期末比6億92百万円増加し13億50百万円となった。主な要因は、新型コロナが業績に与える影響を考慮し、資本の増強を図ったことにより長期借入金が7億71百万円(前期末比7億9百万円増)となったこと等によるもの。
純資産合計は前期末比8億22百万円増加し、95億16百万円となった。主な要因は、利益剰余金が54億27百万円(前期末比8億7百万円増)となったこと等によるもの。
自己資本比率は47.9%(前期末46.2%)となった。

 

コロナ禍に伴う緊急対策資金として10億円を調達した。
実質借入残高は前期末比で10億55百万円減少している

 

使途別借入金

 

(単位:百万円)

 

20年1月

21年1月

増減額

22年1月予想

運転資金

4,948

4,896(3,896)

-52

4,511

設備資金

76

126

50

147

出資・買収

97

48

-49

3

貸付金

5

-

-5

-

合計

5,126

5,071(4,071)

-55

4,661

*( )内は、コロナ対策資金を除く実質残高

 

キャッシュ・フロー

 

 

(単位:百万円)

 

20/1期

21/1期

前期比

営業キャッシュ・フロー

987

1,899

+912

+92.4%

投資キャッシュ・フロー

-783

-438

+345

-

フリー・キャッシュ・フロー

203

1,461

+1,257

+617.5%

財務キャッシュ・フロー

-606

-307

+299

-

現金及び現金同等物上期末残高

2,790

3,942

+1,152

+41.3%

 

21/1期末における現金及び現金同等物は、前期末比11億52百万円増加し、39億42百万円となった。
営業CFは18億99百万円の増加(前期は9億87百万円の増加)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益が12億18百万円(前期は4億67百万円)、売上債権の増減額が3億20百万円の減少(前期は2億98百万円の増加)となったこと等によるもの。
投資CFは4億38百万円の減少(前期は7億83百万円の減少)となった。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が2億68百万円(前期は6億21百万円の支出)、無形固定資産の取得による支出が1億70百万円(前期は85百万円の支出)となったこと等によるもの。
財務CFは3億7百万円の減少(前期は6億6百万円の減少)となった。主な要因は、新型コロナが業績に与える影響を考慮し、資金の増強を図ったことによる長期借入れによる純収入8億99百万円(前期は2億13百万円の純支出)と短期借入による純支出9億41百万円(前期は1億51百万円の純支出)等によるもの。

 

 

 

4.2022年1月期業績予想

連結業績

 

21/1期 実績

構成比

22/1期 予想

構成比

前期比

売上高

18,486

100.0%

19,680

100.0%

+6.5%

売上総利益

8,259

44.7%

8,770

44.6%

+6.2%

販管費

7,103

38.4%

7,575

38.5%

+6.6%

営業利益

1,156

6.3%

1,195

6.1%

+3.3%

経常利益

1,152

6.2%

1,190

6.0%

+3.3%

親会社株主に帰属する当期純利益

952

5.2%

900

4.6%

-5.6%

*単位:百万円

 

前期比6.5%の増収、同3.3%の経常増益予想
22/1期は売上高が前期比6.5%増の196億80百万円、経常利益は同3.3%増の11億90百万円を計画する。引き続き新型コロナウイルス感染症に対する有効的な手段が確立されておらず、経済活動への影響が長期化することが懸念される。また、海外の一部の国々においてワクチン接種が開始されており明るい兆しが見られるものの、ワクチンの効果が顕在化しない場合は経済活動が長期停滞する恐れがあり、同社を取り巻く経営環境は予断を許さない状況が続くとの考え。
こうした経営環境下、22/1期においても同社が提唱する「5th ROOM」に基づき、庭でのライフスタイルメーカーとしてのブランド力の向上を図る。また、国内においては、withコロナを背景にWebならびにVRによるショールームやARアプリ「メタバガーデン」により施工後のイメージを提案するなど、デジタル化を推進するとともに、リアルとネットを融合したハイブリット型ショールームの展開を推進する。さらに、庭空間におけるガーデンシミュレーションアプリや庭空間パッケージ動画等の制作を中心としたソフト工場の稼働を目的にタカショーGLD–LAB.Soft-Factory鳥取(4月開設予定)の新設ならびにタカショーガーデンライフデザインラボフィリピン株式会社(8月設立予定)の設立により販売活動の強化を図る。販管費においては、業務効率を改善し生産性向上の強化を図るため、AI・AI-OCRならびにRPAの運用推進により経費削減に努める。また、グローバル展開においては、欧州地域を中心に自社生産品における新商品の導入を推進するとともに、主力商品である「エバーアートウッド」を中心としたエクステリア商品の拡販を目的とし、同商品の販売が順調に推移している韓国、豪州および欧州地域に対する売上拡大に努める。さらに、中国の製造部門において、工場増築により生産量を拡大し、欧州、アジア、オセアニア、北米地域への販売活動の強化を図る。
配当は20.0円/株の期末配当を見込んでいる。

 

 

5.今後の事業展開と中長期計画

事業展開

成長するエクステリアガーデンではNo.1

オンリーワンからNo.1G&EX総合メーカー

 

◇物づくり工場 さらなる稼働率向上
◇ソフト工場 空間提案 AR、VRの仮想空間デザイン制作専門チームの新設
●体感型ショールーム名古屋に新設 東・名・阪・東北・広島に設置
GEMSの展開 ガーデンのIoT化ローボルトのライト、カメラ、サウンドをアプリと連動
ガーデンサービスネットワーク
ガーデンストーリー 掲載記事2,600本、PV数3,700万を突破

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

中長期計画

中長期計画では25/1期に売上高247億円、経常利益20億50百万円を目指す。また、売上高は30/1期に500億円、50/1期に1,000億円を目指す。利益についても売上増に見合う形で増加を見込む。

 

(同社資料より)

 

 

21/1期 実績

22/1期 計画

23/1期 計画

24/1期 計画

25/1期 計画

売上高

18,486

19,680

21,310

22,800

24,700

営業利益

1,156

1,195

1,391

1,660

2,110

経常利益

1,152

1,190

1,350

1,610

2,050

親会社株主に帰属する当期純利益

952

900

972

1,159

1,476

*単位:百万円
*21/1期には特別損益66百万円が含まれる。特別損益控除後の親会社株主に帰属する当期純利益は8億86百万円となる。

 

6.今後の注目点

21/1期は新型コロナ感染拡大に伴う巣ごもり消費をフォローとし、飛躍の1年になったといえるだろう。国内外でEC比率が増加したことにより、利益率が大幅に改善した。コロナ前から取り組んで来た生産・販売体制の構築が花を開いた。特に海外の大幅な伸長に注目したい。売上高は欧州が前期比71.9%増の7億53百万円、米国は同49.8%増の4億2百万円と大幅増収ながら金額では少額にとどまる。その他の地域も含めて今後の拡大余地は大きい。また、欧州で損失を大幅に縮小させるなど21/1期の増益に貢献したが、利益額についても少額にとどまっている。欧州の販売体制の見直しやECの拡大により今後の売上増は増益にも大きく貢献するだろう。今期の会社予想は6.5%増収、3.3%経常増益にとどまったことはやや残念な印象だが、特需ともいわれるガーデニング需要の定着化が進めば2桁増収増益も視野に入るのではないだろうか。
好業績を受け株価は昨年安値の2倍水準に達し、かなり見直された。それでもPERは12倍と低い。今後の海外の改善余力や中長期計画で掲げる利益水準も考慮すると割安感は強いといえそうだ。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成>

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年4月17日

 

<基本的な考え方>
同社は、健全で透明性が高く、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応するための経営の意思決定の効率性を確保したコーポレート・ガバナンスの構築が重要課題と認識し取り組んでいる。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2-4】

議決権の電子行使プラットフォーム導入や招集通知の英訳につきましては、現在機関投資家や海外投資家の比率が比較的低いため、採用しておりません。今後、株主構成の変化等の状況に応じて検討して参ります。

【補充原則3-1-2】

英語での情報開示につきましては、人員・コスト面から費用対効果を鑑み、海外投資家の比率が比較的低いため、採用しておりません。今後、株主構成の変化等の状況に応じて検討して参ります。

【補充原則4-8-1】

現在、独立社外取締役のみを構成員とする定期的な会合等は実施しておりませんが、各取締役や監査役とも意見交換を行い、取締役会では、積極的に議論に参加し発言を行うなど、独立社外取締役としての役割・責務を十分に果たしていただいているものと認識しております。

 

<開示している主な原則>

原則

その理由

【原則1-4 政策保有株式】

(1)政策保有に関する方針 

営業上の取引関係の維持・強化に繋がるか、事業活動の円滑な推進等を通じて当社の中長期的な企業価値の向上に結びつくか等を総合的に判断し、保有できるものとします。政策保有株式のうち、主要なものについては、保有する上での中長期的な経済合理性や取引先との総合的な関係の維持・強化の観点からの保有効果等について検証し取締役会において報告を行います。保有の意義が必ずしも十分でないと判断される銘柄については、縮減を図ります。

(2)政策保有株式に係る議決権行使の基準 

当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、投資先企業の株主総会議案の内容を精査し、議決権を行使することとしております。

【原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】

当社は確定給付企業年金制度を採用しており、企業年金の管理・運用に関してスチュワードシップ活動の受け入れを表明している資産管理運用機関と契約を締結しています。総務人事部門内に担当者を配置し、運用の健全性について委託している運用機関から定期的に報告を受け、関連部門において適宜モニタリングを行っております。

【原則4-8 独立取締役の有効な活用】

当社では、社外取締役を2名選任し、その2名が独立社外取締役という構成となっており、取締役会において独立、中立の立場での意見を踏まえた議論を可能にしております。今後も、高い専門性と豊富な経験をもった複数名の独立社外取締役が選任できるように候補者の選定に努めて参ります。

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】

当社は、様々な経営環境の変化に、的確かつ迅速に対応すべく、知識・経験・能力のバランスを考慮し、多彩なバックグランウンドを有する人材を取締役に選任しております。特に、社外取締役は、業界の知見、経営に対する経験、専門的な能力などを考慮し、各分野で見識の高い人材を選任し、バランス、多様性に配慮しております。また、当社では、企業規模等を勘案し、定款において取締役の員数を15名以内と定めておりますが、現在、6名の取締役(うち社外取締役2名)を選任しております。

 

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