ブリッジレポート
(4319) TAC株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4319)TAC 2021年3月期第3四半期決算

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多田 敏男 社長

TAC株式会社(4319)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長

多田 敏男

所在地

東京都千代田区神田三崎町3-2-18

決算月

3月末日

HP

https://www.tac-school.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

268円

18,504,000株

4,959百万円

1.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

5.00円

1.9%

22.16円

12.1倍

295.67円

0.9倍

*株価は2月10日の終値。発行済株式数、DPS、EPSは21年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

20,440

713

692

490

26.49

4.00

2018年3月(実)

20,951

833

735

442

23.93

5.00

2019年3月(実)

20,474

340

409

309

16.74

8.00

2020年3月(実)

20,331

162

260

103

5.58

5.00

2021年3月(予)

20,350

690

684

410

22.16

5.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。数値は発生ベース。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

TACの2021年3月期第3四半期決算概要等についてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年3月期第3四半期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 21年3月期第3四半期は前年同期比減収増益。現金ベース売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響及び前年の消費税導入による駆け込み需要の反動もあり、第3四半期は前年同期比6.2%減の147億90百万円。出版事業以外は減収。発生ベース売上高は同4.9%減の146億94百万円。売上原価が同5.1%減、販管費も同4.4%減にとどまったため、発生ベース営業利益は同3.6%増の5億41百万円となった。営業外では受取保険金95百万円の減少があったものの、助成金収入の1億49百万円の寄与もあり、経常利益は同13.0%増の7億1百万円となった。前年同期に計上した特別功労金1億55百万の特別損失がなくなったことで当期純利益は同64.6%増の4億77百万円となった。

     

  • 通期業績予想に変更は無い。21年3月期通期の現金ベース売上高は、前期比0.2%減の203億50百万円、発生ベース売上高は同0.1%増の203億50百万円、営業利益は同325.6%増の6億90百万円を予想。売上高は前期並みも、コスト削減により大幅増益を見込んでいる。配当は前期と同じく5.00円/株を予定。予想配当性向は22.6%。

     

  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響に関して、足元では2回目の緊急事態宣言が発令されるなど注意が必要。ただ、現金ベース売上高を見る限り、第1四半期、第2四半期とも前年同期を下回ったものの、第3四半期は前年同期を5四半期ぶりに上回った。また、会社予想に対する第3四半期までの業績進捗率は売上高で会社予想を若干下回るペースで推移しているが、営業利益以下は会社予想を上回って推移している。特に経常利益、当期純利益は第3四半期で既に会社予想を超過達成している。

     

  • 「売上前期並・大幅増益」という通期予想達成に向け、WEBを中心とした通信形態による講座の充実、オンラインやeラーニング研修需要の取り込み、インターネット経由での書籍売上の増加など、同社が想定の下で取り組んでいる施策がどれだけ効果を生み出すのかを注目したい。中でも、電験三種に続き今期には3つの理系講座(第二種電気工事士、電験二種、一級建築施工管理技士)をスタート。これらの収益貢献に期待したい。

1.会社概要

「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。

 

企業グループ(連結子会社9社、持分法適用関連会社1社、非連結・持分法非適用子会社1社)

会社区分

セグメント

会社名

業務内容

連結子会社

個人教育事業

(株)TAC総合管理

太科信息技術(大連)有限公司

(株)オンラインスクール

教室用ビルの契約・メンテナンス業務等

大連オペレーションセンター(事務・教材視聴チェック等)

インターネットを通じての会員制教育事業

法人研修事業

(株)LUAC

保険関係の企業研修事業

出版事業

(株)早稲田経営出版

(株)TACグループ出版販売

「Wセミナー」ブランドの出版事業

出版事業に関する営業・宣伝等

人材事業

(株)TACプロフェッションバンク

人材紹介・派遣・求人広告事業

(株)医療事務スタッフ関西

医療事務系労働者派遣、レセプト作成業務

(株)クボ医療

レセプト点検業務、レセプト整理業務など

持分法適用関連会社

 

(株)プロフェッションネットワーク

実務家向けWeb情報誌の発行

非連結・持分法非適用子会社

 

泰克現代教育(大連)有限公司

日本式簿記・情報処理教育の企業研修

*2021年1月末。

 

【1-1沿革】

1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種(現・国家総合職)・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙い、M&Aを実施。

 

【1-2強み】

(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み、高い生産性を実現していることも強みとなっている)。

 

(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。

 

【1-3 ROE分析】

 

13/3期

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

20/3期

ROE(%)

35.5

21.9

4.9

4.8

10.3

8.6

5.7

1.9

 売上高当期純利益率(%)

4.66

3.98

1.06

1.07

2.40

2.11

1.51

0.51

 総資産回転率(回)

1.17

1.16

0.98

0.93

0.94

0.96

0.95

0.97

 レバレッジ(倍)

6.59

4.79

4.68

4.81

4.60

4.27

4.00

3.81

 

収益性およびレバレッジの低下でROEは3期連続の低下となった。今期の売上高当期純利益率は2.0%に上昇し、ROEは7.3%まで回復すると同社では見込んでいる。

 

2.2021年3月期第3四半期決算概要

売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。

 

季節的特徴について
同社の四半期毎の業績推移は次のとおり。なお、現金ベース売上高(前受金調整前売上高)は受講申し込み金額を集計した売上高を、発生ベース売上高(前受金調整後売上高)は受講申し込み金額を教育サービス提供期間に対応して配分した後の売上高を、それぞれ表している。
同社が扱う公認会計士や税理士などの主な資格講座の本試験が春から秋(第1~第3四半期)に実施されることや、公務員講座など大学生が主な顧客となる講座の申し込みは春から夏(第1~第2四半期)に集中する等の特徴があるため、第4四半期は申し込み(現金ベース売上高)がその他の四半期に比べて少なくなりやすい傾向がある。一方、賃借料や講師料、広告宣伝費などの営業費用は毎月一定額が計上されるため四半期ごとの偏重は無い。

 

(1)連結業績

 

20/3期3Q

構成比

21/3期3Q

構成比

前年同期比

現金ベース売上高

15,773

102.1%

14,790

100.7%

-6.2%

発生ベース売上高

15,448

100.0%

14,694

100.0%

-4.9%

売上総利益

6,185

40.0%

5,954

40.5%

-3.7%

販管費

5,662

36.7%

5,412

36.8%

-4.4%

営業利益

523

3.4%

541

3.7%

+3.6%

経常利益

620

4.0%

701

4.8%

+13.0%

四半期純利益

290

1.9%

477

3.2%

+64.6%

*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

減収、増益
現金ベース売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響及び前年の消費税導入による駆け込み需要の反動もあり、第3四半期は前年同期比6.2%減の147億90百万円。出版事業以外は減収。発生ベース売上高は同4.9%減の146億94百万円。売上原価が同5.1%減、販管費も同4.4%減にとどまったため、発生ベース営業利益は同3.6%増の5億41百万円となった。営業外では受取保険金95百万円の減少があったものの、助成金収入の1億49百万円の寄与もあり、経常利益は同13.0%増の7億1百万円となった。前年同期に計上した特別功労金1億55百万の特別損失が無くなったことで当期純利益は同64.6%増の4億77百万円となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別現金ベース売上高

 

20/3期3Q

構成比

21/3期3Q

構成比

前年同期比

個人教育事業

9,306

59.0%

8,628

58.3%

-7.3%

法人研修事業

3,486

22.1%

3,125

21.1%

-10.4%

出版事業

2,542

16.1%

2,671

18.1%

+5.1%

人材事業

489

3.1%

403

2.7%

-17.6%

内部売上高または振替高

-51

-

-38

-

-

連結売上高

15,773

100.0%

14,790

100.0%

-6.2%

*単位:百万円

 

セグメント別現金ベース営業利益

 

20/3期3Q

利益率

21/3期3Q

利益率

前年同期比

個人教育事業

91

1.0%

-273

-

-

法人研修事業

914

26.2%

800

25.6%

-12.5%

出版事業

561

22.1%

904

33.9%

+61.2%

人材事業

116

23.9%

61

15.2%

-47.6%

内部売上高または振替高

-835

-

-854

-

-

連結営業利益

848

5.4%

638

4.3%

-24.8%

*単位:百万円

 

【個人教育事業】
減収・営業赤字

減収

公務員(国家一般・地方上級)講座、税理士、中小企業診断士、社会保険労務士等

 

新型コロナウイルスの感染拡大により、収束時期が見通せないどころか12月あたりから再び感染学が拡大している。このような状況下で公認会計士や公務員、情報処理、宅地建物取引士、司法試験、司法書士など各種試験・検定等向け講座に関する本試験が一部延期や中止、試験実施方法の変更が生じ、受講申込みについても受講開始時期の後ろ倒し等といった影響がでた。一方で、教室受講という形態からオンライン受講へ受講スタイルを切り替えて学習を開始あるいは再開する動きになっており、各種講座における通信形態での受講申し込みは前年度に比べ増加している。
コスト面では、教室での講義を4-5月の一定期間中止したことに伴い講師料が減少、賃借料の減少などもあり、営業費用は前年同期比3.4%減。

 

【法人研修事業】
減収・減益

減収

大学内セミナー、コンテンツ提供、提携校等

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、研修内容の縮小や実施時期の延期 ・中止が発生。一方で収束時期が不透明な状況から従来の対面での研修からWEB会議システム等を利用したオンライン研修へ切り替える企業が増加。
講師料、営業のための人件費などの営業費用は前年同期比9.6%減。

 

【出版事業】
増収・増益

増収

宅地建物取引士、行政書士、FP、電験、マンション管理士等

 

新型コロナウイルスの感染拡大によりECサイトを通じた書籍購入が増加したことで増収。
制作費用が減少し、返品調整引当金の純繰入額も減少したことで営業費用は同10.8%の減少。

 

【人材事業】
減収・減益
会計系人材事業は、人材派遣が前期並み。人材紹介が減少。広告は、第2四半期から前期並みで推移しているが、第1四半期の低調が響き減収。医療系人材事業は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い歯科やクリニック等の利用減少によりレセプト作成等の業務量が減少したが、2年に1度行われる診療報酬の改定に伴って発生する業務の依頼や営業強化に取り組んだことにより増収。

 

(3)分野別動向

分野別発生ベース売上高

 

20/3期3Q

構成比

21/3期3Q

構成比

前年同期比

財務・会計分野

2,867

18.6%

2,865

19.5%

-0.1%

経営・税務分野

2,483

16.1%

2,273

15.5%

-8.5%

金融・不動産分野

3,430

22.2%

3,449

23.5%

+0.5%

法律分野

1,086

7.0%

991

6.7%

-8.7%

公務員・労務分野

3,476

22.5%

3,346

22.8%

-3.7%

情報・国際分野

1,160

7.5%

1,046

7.1%

-9.8%

医療・福祉分野

183

1.2%

192

1.3%

+5.4%

その他

760

4.9%

528

3.6%

-30.5%

連結売上高

15,448

100.0%

14,694

100.0%

-4.9%

*単位:百万円

 

【マーケット概要】
同社が取り扱う各種資格試験の2019年申込者は251万2千人と、前年の251万4千人を下回り、3年連続の減少。20年の申込者数は第三四半期まで前年同期比1.4%減となっているが、2010年から2014年までの大幅な減少後は、安定的に推移している。

 

【分野別概況】
(財務・会計分野)
簿記検定講座は6月の日商簿記試験が中止。11月試験以降は実施したが、一部では定員制による人数制限。3級・2級については12月からネット試験方式(CBT)が開始。1級については試験が中止、代替として2月に実施。受講開始の様子見や、ステップアップ申し込み時期の後ろへのずれ込み及び人数減。公認会計士講座は試験の実施が延期や中止もあり、講座申し込みの後ろへのずれ込み。

 

(公務員・労務分野)
国家試験は6月から8月に延期。多くの自治体が採用試験を6月以降に延期したこともあり、申し込みが後ろへのずれ込み。

 

(情報・国際分野)
情報処理技術試験は、春期が4月から10月に延期(一部ではCBT方式へ移行)。秋期は見送り春期となるなど、受講開始の様子見や申し込みが後ろへのずれ込み。

 

(医療・福祉分野)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い歯科やクリニック等の利用減少によりレセプト作成等の業務量が減少したが、2年に1度行われる診療報酬の改定に伴って発生する業務の依頼や営業強化に取り組んだことにより増収。

 

(4)受講者数の動向

 

20/3期3Q

構成比

21/3期3Q

構成比

前年同期比

個人受講者数

105,615

61.2%

97,617

57.3%

-7.6%

法人受講者数

67,022

38.8%

72,638

42.7%

+8.4%

合計

172,637

100.0%

170,255

100.0%

-1.4%

*単位:人

 

分野別受講者数

 

21/3期3Q 受講者数

構成比

前期比

財務・会計分野

26,693

15.7%

-6.5%

経営・税務分野

19,053

11.2%

-13.9%

金融・不動産分野

50,773

29.8%

9.6%

法律分野

8,411

4.9%

-7.5%

公務員・労務分野

39,576

23.3%

-7.2%

情報・国際/医療・福祉/その他分野

25,749

15.1%

+7.6%

合計

170,255

100.0%

-1.4%

 

講座別(個人・法人合算)動向
<増加>
公認会計士講座、マンション管理士講座、FP講座、証券アナリスト講座等。

 

<減少>
簿記検定講座、中小企業診断士講座、社会保険労務士講座、公務員(国家一般・地方上級)講座等。

 

法人受講者は、通信型研修が増加した一方、大学内セミナー、提携校、委託訓練は減少。

 

(5)財政状態

◎主要BS項目

 

20年3月末

20年12月末

 

20年3月末

20年12月末

現預金

4,287

5,551

仕入債務

495

579

売上債権

3,860

3719

返品調整・廃棄損失引当金

813

589

たな卸資産

865

828

前受金

6,176

6,374

流動資産

9,716

10,693

資産除去債務

693

705

有形固定資産

4,746

4,705

有利子負債

5,187

5,090

無形固定資産

300

244

負債

14,775

14,880

投資その他

5,489

5,114

純資産

5,478

5,878

固定資産

10,536

10,065

負債・純資産合計

20,253

20,758

*単位:百万円

現預金の増加等で流動資産は前期末比9億76百万円増加。投資その他の資産の減少などで固定資産は同4億71百万円減少。資産合計は同5億5百万円増加し207億58百万円。
有利子負債が減少するも前受金や資産除去債務の増加などで負債合計は同1億5百万円増加の148億80百万円。
利益剰余金の増加等で純資産は同3億99百万円増加の58億78百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より1.3%上昇し28.3%となった。

 

3.2021年3月期業績予想

(1)連結業績予想

 

20/3期 実績

構成比

21/3期 予想

構成比

前期比

現金ベース売上高

20,398

100.3%

20,350

100.0%

-0.2%

発生ベース売上高

20,331

100.0%

20,350

100.0%

+0.1%

差引売上総利益

7,750

38.1%

8,210

40.3%

+5.9%

販管費

7,588

37.3%

7,520

37.0%

-0.9%

営業利益

162

0.8%

690

3.4%

+325.6%

経常利益

260

1.3%

684

3.4%

+162.3%

当期純利益

103

0.5%

410

2.0%

+296.8%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

業績予想に変更無し。売上は前年並みも大幅増益を予想
業績予想に変更は無い。現金ベース売上高は、前期比0.2%減の203億50百万円、発生ベース売上高は前期比0.1%増の203億50百万円、営業利益は同325.6%増の6億90百万円を予想。
売上は前期並みも、コスト削減により粗利率は2.2%改善し販管費率も0.3%低下。大幅増益を見込んでいる。
配当は前期と同じく5.00円/株を予定。予想配当性向は22.6%。

 

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う校舎の短縮営業や企業研修・学内セミナーの一部延期・中止等による業績への影響を反映していない。今後、新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後に新たな業績予想値を集計した結果、業績予想及び配当予想の修正が必要となった場合には、改めて公表する予定である。

 

 

4.今後の注目点

新型コロナウイルス感染拡大の影響に関して、足元では2回目の緊急事態宣言が発令されるなど注意が必要だが、現金ベース売上高を見る限り、第1四半期、第2四半期とも前年同期を下回ったものの、第3四半期は前年同期を5四半期ぶりに上回った。
また、会社予想に対する第3四半期までの業績進捗率は現金ベース売上高が72.7%、発生ベース売上高72.2%、営業利益78.5%、経常利益102.5%、当期純利益116.4%。売上高では会社予想を若干下回るペースで推移しているが、営業利益以下は会社予想を上回って推移している。特に経常利益、当期純利益は第3四半期で既に会社予想を超過達成している。
「売上前期並・大幅増益」という通期予想達成に向け、WEBを中心とした通信形態による講座の充実、オンラインやeラーニング研修需要の取り込み、インターネット経由での書籍売上の増加など、同社が想定の下で取り組んでいる施策がどれだけ効果を生み出すのかを注目したい。中でも、電験三種に続き今期には3つの理系講座(第二種電気工事士、電験二種、一級建築施工管理技士)をスタート。これらの収益貢献に期待したい。

 


<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日:2020年6月29日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、少数の取締役による迅速な意思決定の重視という点にあり、当社の社内取締役は、現在6名となっております。一方で、社外取締役を2名配置し、パブリック・カンパニーとして求められる企業統治ないし法令遵守体制について適切に整備するとともに有効に機能するように運用しております。

 

わが国は、成熟した工業社会から急速に知識社会へシフトしつつあります。知識社会ではさまざまな分野ごとに知識専門家(プロフェッション)が要求され、活躍の場を広げています。プロフェッション(profession)とは英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパ社会では神に誓いを立てて従事する職業として、神父・医師・会計士・教師等の知識専門家を指していました。当社は公認会計士を養成するビジネスを始めて以来、大学に代わって、現代に求められる多くのプロフェッションの養成を担当してまいりました。

 

当社グループは、「社会が必要とするプロフェッションを養成する」及び「個人の成長に深く関わる」ことを経営理念として、拠点とメディアを通して顧客(大学生・社会人・法人企業)の幅広い支持を受け、教育サービスおよび人材育成・供給市場での一強となることを目指してまいります。ステークホルダーとしての顧客の支持基盤を有してこそ、「株主価値の増大」という株式会社に求められる最も基本的な命題も達せられると考えております。

 

当社グループのコーポレート・ガバナンスにはこうしたプロフェッションとしての自己規律が組織風土として働いており、当社の取締役自身も「経営のプロフェッション」たらんと律しております。取締役の任期は定款上1年と定め、毎期、株主総会において「経営のプロフェッション」であったかどうか株主によって判定されます。また、取締役報酬も比較的低額に抑えております。委員会設置等設置会社や指名委員会等設置会社は機能分化による統制が効く反面、相当程度の人数が必要となるため、当社の現状の事業規模・収益力を鑑みると、監査役会設置会社が適切であると判断しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

補充原則1-2(4)

当社の株主構成はその大半が国内の個人株主であり、機関投資家や海外の投資家の割合は限定的なものとなっております。そのため、現時点では議決権電子行使プラットフォームの利用等や招集通知の英訳は実施しておりません。しかしながら、今後、機関投資家や海外の投資家の割合が高まってきた際には、それらを進めていくことを検討してまいります。

原則1-4、補充原則1-4(1)(2)

当社は、現時点において政策的な目的で保有する上場株式(以下、「政策保有株式」)は保有しておりません。そのため、政策保有株式に係る議決権の行使について適切な対応をするための基準は策定しておりません。

但し、今後、政策保有株式として上場株式を保有する状況になった場合には、政策保有に関する方針の開示、株主総会における政策保有株式に関する説明、政策保有株式に係る議決権の行使に関して、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ適切に対応いたします。

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

原則5-1

株主を含む投資家の方々からの問い合わせ等に対応するため、専門の部署(IR室)を設置しております。問い合わせ事項に関しては、インサイダーに抵触する恐れが高いと判断される情報を除き、適切に対応することとしております。

 

 

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