ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

スタンダード

ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム 2021年3月期第2四半期決算

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谷井 剛 社長

株式会社 フォーバルテレコム(9445)

 

 

会社情報

市場

東証2部

業種

情報・通信

代表取締役社長

谷井 剛

所在地

東京都千代田区神田錦町 3-26 一ツ橋SIビル2F

決算月

3月

HP

https://www.forvaltel.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

349円

16,693,195株

5,825百万円

-43.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

17円

4.9%

28.75円

12.1倍

93.98円

3.7倍

※株価は1/18終値。時価総額は1/18終値×発行済株式数(百万円未満切捨て)。
※ROEとBPSは2020年3月期実績、EPSとDPSは2021年3月期の会社予想。
※数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年3月(実)

15,049

695

700

462

27.68

15.00

2018年3月(実)

15,683

699

720

484

29.05

15.00

2019年3月(実)

18,347

888

800

589

35.33

17.00

2020年3月(実)

21,279

1,002

965

-960

-57.56

17.00

2021年3月(予)

21,500

800

700

480

28.75

17.00

*単位は百万円、円。

 

 

フォーバルテレコムの2021年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.主要なサービスの概要
3.2021年3月期第2四半期決算
4.2021年3月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 21/3期第2四半期決算は前年同期比3.1%の増収、同25.0%の経常減益。売上面は、新規獲得件数が順調に増加したユーティリティ・ビジネスと大口保険契約の獲得及びシステム開発受託等が寄与したコンサルティング・ビジネスで増加した。利益面では、インターネット接続サービスの大口卸販売先の破産手続き開始決定に伴い契約数が減少したIP & Mobileソリューション・ビジネスなどで減少した。

     

  • 上期が終わり、21/3期会社計画は、前年同期比1.0%増収、同27.5%経常減益から変更なし。売上高面ではユーティリティ・ビジネスとコンサルティング・ビジネスの拡大が寄与するものの、利益面では大口卸販売先の破産手続き開始決定の影響が大きくIP & Mobileソリューション・ビジネスなどで減少する見込み。21/3期の配当予想は、前期と同額の1株当たり17円(上期末7円、期末10円)の前回予想を据え置き。

     

  • 同社は例年下期偏重の決算であるが、今期は既に上期で約64%の営業利益の進捗率となっている。下期のがんばりによっては前期比で増益に転じるのではないかとの期待が膨らむ。その鍵は、現在注力中のモバイルソリューションと電力事業が握っていそうである。今後のElenova、どこでもホン、モバイルルーターの新規契約獲得の状況が注目される。

     

1.会社概要

中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(20/3期はフォーバルの連結売上高の41.7%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社。

 

【事業内容と企業グループ】

同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「どこでもホン」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心にオン・デマンド印刷・印刷物のプランニング・デザイン等を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」、小売電気事業者として電力を提供する「ユーティリティ・ビジネス事業」に分かれる。また、同社は、「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている持分法適用非連結子会社(出資比率100%)(株)であったホワイトビジネスイニシアティブを、2018年9月30日付で同社へ吸収合併した。これは、グループとして経営資源の集中と効率化を図り、グループの競争力強化を目的としたものである。

 

 

 

2.主要なサービスの概要

(1)フォーバルテレコム単体の事業マップ

 

(同社決算説明会資料より)

(2)フォーバルテレコム単体の事業(継続サービス)

Smartひかり
1社占有型の光ファイバーを使用している為、安定した回線速度を有したIP電話サービスを実現。これまで個別に契約していた各種通信サービスをシンプルに一本化した。 これにより問い合わせサポート窓口や月々の支払いもまとまり、わかりやすくなった。

 

(同社HPより)

 

iSmartひかり
NTT東日本・西日本が提供する光コラボレーションモデルを受け、同社がオリジナル料金で提供している光回線サービス。①バックボーンはNTTのフレッツ網を利用しているため品質が安定している、②請求の一本化ができるというメリットを持つ。おまか請求やワンビリングサービスで培われた請求一本化のノウハウが武器となっている。

 

(同社HPより)

 

 

 

(同社HPより)

 

iSmart接続
法人向けの高品質なインターネット接続サービスを個人ユーザー向けに価格・内容を最適化したフレッツ光(光コラボ)専用プロバイダサービス。

(同社HPより)

 

おまか請求
請求書・支払通知書・納品書をWeb化でコスト削減するツールを提供。顧客登録・受注登録・料金計算、請求書発行(WEB公開)・収納代行・督促支援業務などを含んだ請求代行サービス。請求に関する業務を代行し、顧客の請求コストの削減と業務負担の軽減を図る。また、おまか請求ではユーザーがクラウドサービスを安全に利用できるよう各種セキュリティ対策を実施している。

 

(同社HPより)

 

セキィリティ本舗
PマークやISMSなど各種ISOの認証取得・更新のコンサルティングを提供。認証取得支援から、運用支援、更新支援、規格改訂支援、各種セミナーなど、Pマークや各種ISOに関わるサポートを行っている。

 

(同社HPより)

 

 

3.2021年3月期第2四半期決算

(1)連結業績

 

20/3期

第2半期

構成比

21/3期

第2四半期

構成比

前年同期比

売上高

10,334

100.0%

10,655

100.0%

+3.1%

売上総利益

3,312

32.0%

2,995

28.1%

-9.6%

販管費

2,796

27.1%

2,483

23.3%

-11.2%

営業利益

515

5.0%

512

4.8%

-0.7%

経常利益

486

4.7%

365

3.4%

-25.0%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

332

3.2%

261

2.5%

-21.3%

*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
*単位:百万円

 

前年同期比3.1%の増収、同25.0%の経常減益
売上高は前年同期比3.1%増の106億55百万円。売上面は、新規獲得件数が順調に増加したユーティリティ・ビジネスと大口の保険契約の獲得及びシステム開発受託等などが寄与したコンサルティング・ビジネスで増加した。一方、インターネット接続サービスの大口卸販売先の破産手続き開始決定に伴い契約数が減少したIP & Mobileソリューション・ビジネスと新型コロナウイルス感染症の影響で、各種セミナー・イベント印刷物作成の中止等が影響したドキュメントソリューション・ビジネスで減少した。
営業利益は同0.7%減の5億12百万円。売上高が増加したユーティリティ・ビジネスとコンサルティング・ビジネスで増加したものの、売上高が減少したIP & Mobileソリューション・ビジネスやドキュメントソリューション・ビジネスで減少した。売上総利益率は、28.1%と前年同期比3.9ポイント低下。前払販売奨励金の償却の減少等により販管費が同11.2%減少し、売上高対販管費比率は23.3%と前年同期比3.8ポイント低下した。この結果、売上高営業利益率が4.8%と前年同期比0.2ポイント低下した。その他、営業外費用において貸倒引当金繰入額が1億52百万円(前年同期は21百万円)発生したことなどにより、経常利益は同25.0%減の3億65百万円と営業利益を上回る減益率となった。また、特別損益の大きな計上はなく、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比21.3%減の2億61百万円となった。

 

連結売上総利益の内訳

 

20/3期

第2四半期

21/3期

第2四半期

前年同期比

売上高

10,334

10,655

+3.1%

 個別

7,891

8,108

+2.7%

 子会社

2,442

2,546

+4.3%

売上総利益

3,312

2,995

-9.6%

 個別

2,307

2,050

-11.2%

 子会社

1,004

945

-5.9%

売上総利益率

32.0%

28.1%

-3.9P

 個別

29.2%

25.3%

-4.0P

 子会社

41.1%

37.1%

-4.0P

*単位:百万円

 

個別売上総利益の内訳

 

20/3期

第2四半期

21/3期

第2四半期

前年同期比

売上高

7,891

8,108

+2.7%

 ストック収益(通話系)

4,782

4,387

-8.3%

 ストック収益(ネット系他)

2,022

1,317

-34.9%

ストック収益(電力)

347

1,700

+388.9%

 一時収益

738

703

-4.7%

売上総利益

2,307

2,050

-11.2%

 ストック収益(通話系)

698

611

-12.4%

 ストック収益(ネット系他)

1,344

781

-41.9%

 ストック収益(電力)

32

412

+1,159.7%

 一時収益

232

245

+5.4%

売上総利益率

29.2%

25.3%

-4.0P

 ストック収益(通話系)

14.6%

13.9%

-0.7P

 ストック収益(ネット系他)

66.4%

59.3%

-7.1P

 ストック収益(電力)

9.4%

24.2%

+14.8P

 一時収益

31.5%

34.8%

+3.3P

*単位:百万円

 

連結の売上総利益は前年同期比3億16百万円の減少、売上総利益率は同3.9ポイントの低下となった。個別ベースの売上総利益は、大口卸販売先の破産手続き開始決定の影響が出たネット系他のストック収益の減少などが影響し、全体として2億57百万円減少した。電力事業の売上高と利益が大幅に増加した。また、子会社の売上総利益は、同58百万円の減少となった。

 

販管費の内訳

 

20/3期

第2四半期

21/3期

第2四半期

増減

主な増減要因

販管費合計

2,796

2,483

-312

 

 

うち主要項目として

 

 

 

 

 

販売費

139

120

-18

 

 

  販売促進費

26

18

-7

フォーバルテレコム-8 ほか 

 

貸倒引当金繰入額

94

87

-7

フォーバルテレコム-7 ほか

人件費

1,020

1,018

-2

 

 

役員報酬

78

85

+6

フォーバルテレコム+2 保険ステーション+2  ほか

給与・賞与

655

635

-19

フォーバルテレコム+17タクトシステム-11

保険ステーション-27ほか

賞与引当金繰入額

99

103

+3

 

法定福利費

122

125

+2

 

 

経費

1,636

1,344

-291

 

 

旅費交通費

39

29

-10

 

 

交際費

20

7

-13

 

 

支払手数料

954

617

-337

フォーバルテレコム-338 前払販売奨励金の償却の減少 ほか

 

委託業務費

241

280

+39

フォーバルテレコム+42 ユーティリティビジネス拡大による各種業務費の増加 ほか

情報処理費

90

118

+28

フォーバルテレコム+20 再卸事業の開発費償却の増加、ユーティリティビジネス関連費用の増加 ほか

*単位:百万円

 

販管費は、前年同期比で3億12百万円減少した。主にIP&Mobileソリューション事業におけるネット系ストック収益(ISPサービス)の獲得に伴う前払販売奨励金の償却費に加え、子会社の給与や旅費交通費や交際費等が減少した。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

20/3期

第2四半期

構成比

21/3期

第2四半期

構成比

前年同期比

 IP&Mobileソリューション・ビジネス

7,868

76.1%

6,652

62.4%

-15.5%

 ユーティリティ・ビジネス

347

3.4%

1,700

16.0%

+388.9%

 ドキュメントソリューション・ビジネス

788

7.6%

666

6.3%

-15.5%

 コンサルティング・ビジネス

1,329

12.9%

1,636

15.4%

+23.1%

連結売上高

10,334

100.0%

10,655

100.0%

+3.1%

 IP&Mobileソリューション・ビジネス

396

77.0%

268

52.5%

-32.2%

 ユーティリティ・ビジネス

-26

-5.2%

104

20.4%

-

 ドキュメントソリューション・ビジネス

22

4.3%

-12

-2.4%

-

 コンサルティング・ビジネス

123

23.9%

150

29.5%

+22.3%

 その他

0

-

0

-

-73.5%

連結営業利益

515

100.0%

512

100.0%

-0.7%

*単位:百万円
*今第1四半期より「IP & Mobileソリューション・ビジネス」「ユーティリティ・ビジネス」「ドキュメントソリューション・ビジネス」「コンサルティング・ビジネス」の4つの報告セグメントに変更となった。前第1四半期のセグメント情報は、変更後の区分方法により作成された数値。

 

IP&Mobileソリューション・ビジネス 売上高66億52百万円(前年同期比15.5%減)、セグメント利益2億68百万円(同32.2%減)
主にVoIPサービス、モバイルサービス等の情報通信サービス全般を提供。インターネット接続サービスの大口卸販売先の破産手続き開始決定に伴い契約数が減少したこと等により売上高・利益が減少した。前年同期比で売上総利益が6億9百万円減少したことにより経費が4億81百万円減少したもののセグメント利益は1億27百万円減少した。売上高対セグメント利益率は4.0%と前年同期比1ポイント低下した。

 

ユーティリティ・ビジネス 売上高17億円(前年同期比388.9%増)、セグメント利益1億4百万円(前年同期はセグメント損失26百万円)
電力を提供。新規獲得件数が順調に伸びたこと等により、売上高・利益が大幅に増加した。前年同期比で売上総利益が3億79万円増加したことにより経費が2億47百万円増加したもののセグメント利益は1億31百万円増加した。売上高対セグメント利益率は6.1%と前年同期比13.9ポイント上昇した。

 

ドキュメントソリューション・ビジネス売上高6億66百万円(前年同期比15.5%減)、セグメント損失12百万円(前年同期はセグメント利益22百万円)
主に普通印刷、印刷物のプランニング・デザイン等を行う。新型コロナウイルス感染症の影響で、各種セミナー・イベント印刷物作成の中止等があり、前年同期比で売上高・利益が減少した。前年同期比で売上総利益が68百万円減少したことにより経費が34百万円減少したもののセグメント利益は34百万円減少した。売上高対セグメント利益率は-1.8%と前年同期比4.7ポイント低下した。

 

コンサルティング・ビジネス 売上高16億36百万円(前年同期比23.1%増)、セグメント利益1億50百万円(同22.3%増)
主に経営支援コンサルティング、保険サービス及びセキュリティサービス等を行う。大口の保険契約の獲得及びシステム開発受託等により売上高・利益が増加した。前年同期比で売上総利益が横ばい、経費が28百万円減少したことによりセグメント利益は27百万円増加した。売上高対セグメント利益率は9.2%と前年同期比0.1ポイント低下した。

(3)財政状態及びキャッシュフロー(CF)

財政状態

 

20/3期末

20/9月末

 

20/3期末

20/9月末

 現預金

1,030

1,447

 仕入債務

2,395

2,246

 売上債権

3,443

3,334

 短期有利子負債

3,956

4,328

 有形固定資産

115

107

 長期有利子負債

90

60

 無形固定資産

841

822

負債合計

10,234

10,208

 投資その他

2,904

2,730

純資産合計

1,580

1,675

資産合計

11,814

11,883

負債純資産合計

11,814

11,883

*有利子負債=借入金
*単位:百万円
20/9月末の総資産は、20/3期末比69百円増の118億83百万円。資産サイドでは現預金、たな卸資産等が主な増加要因で売上債権、長期前払費用等が主な減少要因。負債・純資産サイドでは、短期借入金等が主な増加要因で、仕入債務、未払金、未払法人税等が主な減少要因となった。20/9月末の自己資本比率は14.0%と20/3期末の13.3%から0.7ポイント上昇した。

 

キャッシュ・フロー

 

 

 

 

20/3期

第2四半期

21/3期

第2四半期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

-666

356

1,023

-

投資キャッシュ・フロー

-107

-114

-7

-

フリー・キャッシュ・フロー

-773

242

1,016

-

財務キャッシュ・フロー

175

175

-0

-0.1%

現金及び現金同等物四半期末残高

886

1,447

561

+63.4%

*単位:百万円

 

CFの面では、売上債権や未収入金や長期前払費用(前払販売奨励金ほか)の減少に加え、前払費用の増加幅縮小などにより営業CFがプラスへ転じた。無形固定資産の取得による支出の増加などにより投資CFのマイナスが拡大したものの、フリーCFもプラスへ転じた。その他、財務CFプラスは横ばいとなり、2020年9月末のキャッシュポジションが増加した。

 

(4)報告セグメントの変更

同社は従来「IP & Mobileソリューション・ビジネス」「ドキュメントソリューション・ビジネス」「コンサルティング・ビジネス」の3つの報告セグメントであったが、今第1四半期より、「IP & Mobileソリューション・ビジネス」「ユーティリティ・ビジネス」「ドキュメントソリューション・ビジネス」「コンサルティング・ビジネス」の4つの報告セグメントに変更した。これは、従来、「IP & Mobileソリューション・ビジネス」に集計されていた電力供給事業を、経済的特徴の相違・金額の重要性の観点から、報告セグメントを「ユーティリティ・ビジネス」にすることが望ましいと判断したものである。

 

 

4.2021年3月期業績予想

1)連結業績

 

20/3期 実績

構成比

21/3期 予想

構成比

前期比

売上高

21,279

100.0%

21,500

100.0%

+1.0%

営業利益

1,002

4.7%

800

3.7%

-20.2%

経常利益

965

4.5%

700

3.3%

-27.5%

親会社株主に帰属

する当期純利益

-960

-4.5%

480

2.2%

-

*単位:百万円

 

21/3期の業績予想は、前期比1.0増収、同27.5%の経常減益
上期が終わり21/3期会社計画は、売上高が前年同期比1.0%増の215億円、経常利益が同27.5%減の7億円から変更なし。
売上高面ではユーティリティ・ビジネスやコンサルティング・ビジネスの増加が寄与するものの、利益面ではIP & Mobileソリューション・ビジネスにおいて収益性の高いインターネット接続サービスの大口卸販売先の破産手続き開始決定に伴い契約数が減少することなどが影響する。売上高営業利益率は3.7%と前年同期比で1ポイント低下する見込み。営業外費用で貸倒引当金繰入額が増加することから経常利益の減益率は営業利益の減益率を上回る予定。
また、21/3期の配当予想は前期と同額の1株当たり17円(上期末7円、期末10円)を据え置き。同社は、成長事業を中心とした販売促進と基幹システム投資に内部留保を活用する一方で、業績に連動した利益還元の双方バランスに配慮して連結配当性向50%程度を目安に配当を実施するとの配当政策の基本方針を掲げている。

 

(2)21/3期下期の取り組み
モバイルソリューションの拡大-【どこでもホン】
どこでもホンは以下の4つの特徴を有するなど、働き方改革に不可欠なツール。
①外出先から会社の番号を通知できる。
②会社にかかってきた電話を事務所でも外出先でもどこでも受けられる(ビジネスチャンスを逃さない)。
③外出先のスマホと内線通話が可能(パケット定額で通話無料)。
④外線ボタン搭載 (ページ切替で24ボタンまで表示)。

どこでもホンが求められる理由

人手不足解決

外にいる人も会社宛の電話に出れる

生産性向上解決

会社の電話番号通知ができるので、事務所に戻る必要がない

長時間労働解決

顧客に通知するのは会社の番号

働きやすい職場

スマートフォン(iPhone)で、テレワークや働き方改革の強い味方

 

(同社決算説明会資料より)

 

モバイルソリューションの拡大-【モバイルルーター】
総務省情報通信統計のデータによるとモバイルルーターは、全国契約件数が今年6月と昨年6月との比較において約7%増加するなど順調に成長している。テレワークの拡大という追い風の中、今後も契約件数の拡大が期待される。同社のモバイルルーターは、下り最大988Mbpsの高速通信に対応し、3,000mAhの大容量バッテリーで約12時間の電池持ちという優れた商品特性を持つ。更に月額4,300円(税別)という競争力のある料金体系を提供している。

モバイルルーターの特徴

工事不要でスピード開通

契約して10日以内に使用開始で、工事の業者が家に来ることもない。

家でも外でも利用が可能

家の中でも、外でも手軽にインターネットが楽しめる。

配線なし

配線いらずで家の中がすっきり、わずらわしい配線なしで簡単にインターネットが利用可能。

複数と端末と接続可能

複数のWi-Fi対応機器で同時にインターネットが楽しめる。

 

(同社決算説明会資料より)

 

電力事業の拡大-【Elenova(エレノバ)】
Elenovaとは、電力自由化に伴い、同社が小売電気事業者となって、オリジナル料金で提供している電力サービス。
Electric(電気の)+nova(新星 新しい)+value(価値)から作成した新語。すべての人に、あらたな価値をもたらす電気事業の意味が込められている。
Elenovaは、電力自由化に伴い、同社が小売電気事業者として顧客に電力を提供する新電力サービス。従来電力は、地域指定の電力会社に供給されていたため、法人・個人を問わず電力会社を自由に選ぶことはできなかったが、2016年4月に電力が全面自由化されたことにより、企業、一般家庭共に電力会社を選ぶことが可能となった。現在は小売電気事業者ごとに「低価格設定」や「環境への配慮」など、様々な形態で電力が供給されている。こうした環境下、様々な小売電気事業者が誕生しているが、同社のように全国規模で中小法人を対象に事業を運営している小売電気事業者は少ない。
一般社団法人エネルギー情報センター統計情報(新電力ネット)のデータによると新電力低圧全国契約口数は、魅力的な料金を提供している小売電気事業者の契約口数の拡大が予想される。

 

(同社決算説明会資料より)

 

 

5.今後の注目点

同社の上期決算は、前年同期比で若干の営業減益となったものの、大口卸販売先の破産手続きの開始決定による一時的な要因があったことを考慮すれば大健闘の決算であった。これは、ユーティリティ・ビジネスの売上高が、新規獲得件数の拡大により17億と前年同期の3億47百万円から急拡大したことに加え、大口保険契約の獲得とシステム開発受託等によりコンサルティング・ビジネスも好調に推移したことが寄与したものである。また、前年同期比で減収減益となったIP&Mobileソリューション・ビジネスも大口卸販売先の破産がなければ着実に成長していた。現在注力しているどこでもホンやモバイルルーターの契約獲得が順調に進んでいる証と言える。同社は、例年下期偏重の決算であるが、今期は既に上期で約64%の営業利益の進捗率となっている。通期会社計画の営業利益は約20%の減益予想の前提であるが、下期のがんばりによっては前期比で増益に転じるのではないかとの期待が膨らむ。その鍵は、現在注力中のモバイルソリューションと電力事業が握っていそうである。続く第3四半期においてもElenova、どこでもホン、モバイルルーターで高水準の新規契約を獲得することができるのか注目される。
こうした一方で、上期に営業外費用にて貸倒引当金繰入額を1億52百万円(前年同期は21百万円)計上したことは非常に残念であった。これは、顧客のモバイルルーターの早期解約により代理店から受取れる違約金の回収率が悪化したものである。モバイルルーターの契約件数を積極的に伸ばしている局面であり、致し方ない費用の増加ではあるものの、今後も契約件数の増加とともに貸倒引当金繰入額が一定割合増加するのかチェックが必要である。今後いかに違約金収入の回収率改善を図るのか、その対応策が注目される。また、2020年12月後半から続いている、JEPXの市場価格高騰の影響が出るかチェックが必要である。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役(監査等委員含む)

8名、うち社外2名

監査等委員

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
最終更新日 : 2020年8月4日

 

<基本的な考え方>
当社では、取締役会を唯一の経営意思決定機関として位置付けております。
定例取締役会を毎月開催するほか、重要案件が生じる都度臨時取締役会を機動的に開催し、迅速かつ的確な経営判断を行っております。
また、企業経営情報の積極的な開示を目的として、適時に当社のホームページにおいて財務情報に限定されないディスクロージャーを行っております。
当社は、監査等委員設置会社形態を採用しており、同形態により十分にガバナンスが機能していると認識しております。

 

<コーポレート・ガバナンス・コード各原則の実施について>
実施をしないコード:8項目、そのおもな原則と理由

原則

実施しない理由

(原則3-1 情報開示の充実)

(1)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画

会社の目指すところ(経営理念等)は、「社是」であり、「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み社会価値創出を通してそれぞれに幸せを分配することを目指す」を基本理念に中期経営計画を策定しております。

しかし当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、現在、中期経営計画は公表をしておりません。

なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営戦略・経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

(2)本コードのそれぞれの原則を踏まえた、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針

コーポレート ガバナンスに関する基本的な考え方と基本方針は、コーポレート・ガバナンスに関する報告書「1.基本的な考え方」に記載しております。

(3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続

取締役の報酬等を決定する方針については、会社業績との連動性を確保し、職責と成果を反映させた体系としています。特に賞与(決算賞与)については各期の当期純利益をベースとし、配当、社員への賞与水準、過去の支給実績などを総合的に勘案し、取締役会が決議しております。

(4)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続

取締役候補の指名にあたっては、当社の社是を理解し、的確かつ迅速な意思決定、適切なリスク管理、業務執行の監視および会社の各機能と各事業部門をカバーできるバランスを考慮し、適材適所の観点より総合的に検討し、取締役会で決議しております。

(5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明

取締役候補者の指名理由は、「株主総会招集ご通知」の参考書類に記載しております。

(補充原則4-1-2 中期計画達成状況の株主説明)

会社の目指すところ(経営理念等)は、「社是」であり、「社員・家族・顧客・株主・取引先と共に歩み社会価値創出を通してそれぞれに幸せを分配することを目指す」を基本理念に、中期経営計画を策定しております。

しかし当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、中期経営計画は公表をしておりません。

なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営戦略・経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

(補充原則4-2-1 中長期的な業績と連動する報酬体系)

当社は、経営陣の報酬については、毎年定時株主総会後の取締役会において、会社の業績や経営内容、経済情勢等を総合的に考慮して個別の報酬額を決定しております。

中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合については、検討してまいります。

(補充原則4-10-1 任意の仕組みの活用)

当社の取締役会は独立社外取締役2名を含む総勢8名と少人数で構成されており、指名・報酬等に係る重要事項の審議についても、現行の仕組みで独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることができると考えております。

(原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表)

当社は、中期経営計画を策定しておりますが、当社の事業環境における経営状況の変化は激しいため、柔軟な対応が阻害されないよう、中期経営計画は公表をしておりません。

なお、公表はしておりませんが中期経営計画の目標に対する実績分析は毎回実施し、毎年度の経営計画に反映させるとともに、次期中期経営計画に反映しております。

 

<開示している主な原則>

原則

開示している主な原則

(原則1-4 政策保有株式)

当社では政策保有株式は現在保有しておりません。また、今後も原則として政策保有は行わない方針です。

(原則2-6 企業年金のアセットオーナーとして機能発揮)

当社には、企業年金基金制度はありません。

(原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質)

当社は、会社法及び東京証券取引所が定める独立性基準を満たしていることに加え、誠実な人柄、高い見識と能力を有し、当社の経営に対し真摯かつ建設的に助言できる経験を重視しております。

(補充原則4-11-3 取締役会の実効性の分析評価)

当社は、取締役会の実効性を評価するため、すべての取締役に対し「取締役会評価のための自己評価アンケート 」を実施し、その回答を分析・評価しました。

その結果、取締役会の構成員の多様性や中長期の戦略討議等に課題があるものの当社の取締役会は概ね適切に運営されていることを確認いたしました。

今後も、評価結果を次年度に生かしつつ引き続き取締役会の実効性の向上に努めてまいります。

 

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