ブリッジレポート
(7042) 株式会社アクセスグループ・ホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(7042)アクセスグループ・ホールディングス 2020年9月期決算

ブリッジレポートPDF

 

木村 勇也 社長

株式会社アクセスグループ・ホールディングス(7042)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

代表者

木村 勇也

所在地

東京都港区南青山1-1-1 新青山ビル東館15F

決算月

9月

HP

https://www.access-t.co.jp/index.html

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

830円

1,193,700株

990百万円

-29.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

-7.38円

-

716.36円

1.2倍

*株価は12/01終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年9月(実)

4,505

163

152

121

132.10

1,000.00

2018年9月(実)

4,598

202

183

117

127.56

24.80

2019年9月(実)

4,560

58

38

2

1.82

29.50

2020年9月(実)

3,789

-171

-189

-310

-258.79

0.00

2021年9月(予)

4,100

20

-6

-9

-7.38

-

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。2018年7月に1株を100株に分割(EPSのみ遡及修正)。

 

(株)アクセスグループ・ホールディングスの2020年9月期決算の概要と2021年9月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年9月期決算概要
3.2021年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/9期は前期比16.9%の減収、1.7億円の営業損失(前期は58百万円の利益)。ノベルティ商品を取り扱う協力会社との連携による、マスク・アルコールジェル・フェイスシールド・検温器等、商機を捉えた衛生商材ビジネスの拡大はあったものの、各事業、特に採用広報事業と学校広報事業では売上ピーク期と緊急事態宣言が重なり、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。損益面では、プロモーション事業のWeb商材拡大による原価率改善に加え、販管費の削減も進んだが、減収の影響をカバーできなかった。

     

  • 21/9期予想は前期比8.2%の増収、営業利益20百万円。売上面では、下半期からの本格的な回復を想定しており、利益面では、オフィス移転による一定期間の地代家賃重複や移転費用を織り込んだため販管費が増加するものの、連合企画・高利益率商品の増加と不採算案件の削減による売上総利益の増加で吸収する。当期より株主優待制度を導入する。

     

  • 同社の3事業は成長要因を有している。プロモーション事業では「デジタル広告とそれを下支えするアウトソーシング業務の拡大」、採用広報事業では「企業が求める資質やスキルと求職者の経験・希望のマッチングニーズの拡大」、学校広報事業では「少子化に伴う学生確保の広報強化、及び外国人留学生向け広報ニーズの拡大」である。21/9期は回復する需要に対応すると共に、潜在需要を掘り起こし起こしつつ、生産性を高めていくことになる。今後の展開に期待したい。

     

1.会社概要

「人と社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造する」ことを理念とし、広報戦略から運営支援に至るまで、様々な形で企業や教育機関を支援している。事業は、セールスプロモーション及び業務アウトソーシングのプロモーション事業、新卒・若年者・外国人採用広報、人材紹介・派遣、及び採用業務アウトソーシングの採用広報事業、学生・生徒の募集支援や学校運営に係る各種サポートの学校広報事業の3事業に分かれる。グループは同社の他、プロモーション事業を手掛ける(株)アクセスプログレス、採用広報事業・学校広報事業を手掛ける(株)アクセスネクステージの子会社2社。

 

【特徴】

大学・教育機関との取引基盤

採用広報での大学キャリアセンターとの取引や、新聞企画をきっかけとした大学入試広報部門との取引で、連携イベントなど、学校・学生向け事業基盤を築く。

豊富なイベント実績と業務代行受託

採用・進学分野における豊富なイベント実績。オンライン化にも対応。対面型は感染対策も徹底。実績に基づき、クライアント主催イベントや、広告広報に関する業務代行、官公庁案件も受託。

自社スペース「アクセスフォーラム」

東京(渋谷)、大阪(梅田)、名古屋駅前にイベントスペースを保有。イベントを多数開催できる独自の収益モデル。運営の効率化にも寄与。

外国人留学生・外国人材向けビジネス

2009年より日本在住の外国人留学生を対象とした大学・専門学校進学説明会を開催。就職支援や紹介事業も展開。海外現地の外国人材向けの事業も視野に。

 

【経営戦略】

(1)安定収益基盤の構築と連合企画・個別案件の複合的アプローチによる新規クライアントの開拓
(2)アナログ・デジタルを融合したフレキシブルな提案力の拡大
(3)イベントノウハウの蓄積とフォーラムスペースの保有
(4)グループの総合力を結集した外国人留学生向けビジネスの拡大

 

【連合企画と個別案件】

連合企画

(同社資料より)

 

個別案件

(同社資料より)

 

 

1-1 事業内容

事業は、(株)アクセスプログレスの事業であるプロモーション事業、(株)アクセスネクステージの事業である採用広報事業及び学校広報事業に分かれる。

 

プロモーション事業 : (株)アクセスプログレス
情報管理から発送、キャンペーン、テレマ等をワンストップで提供し、提携先を含め、全てのプロモーションに対応できる連携体制を構築している。

 

同社が属する「マスメディア以外」の市場(売上高)は、緊急事態宣言で一時的に前年同月の70%を割り込んだが、その後は減少幅が縮小し、回復傾向にある。

 

(同社資料より)

 

採用広報事業 : (株)アクセスネクステージ
新卒学生や転職を希望する若年層の社会人に対する採用情報の提供や合同企業説明会・セミナー等のイベント開催により、クライアント企業から広告・出展収入を得ている。テーマ型の学生向け就活イベントが最大の収益源となっており、業界別限定、職種別限定等、様々な切り口での開催を特徴とする。また、自社主催イベントのノウハウを基に、会社説明会、大学キャリアセンター主催イベント、オンラインイベント等の受託や、入社案内、採用HP、DVD、VR映像、採用ノベルティ等、各種ツールの制作も行っている。

 

新卒採用支援サービス市場はコロナの影響を受けているが、市場規模は依然高い水準にある。今後の景気動向により変化する可能性があるものの、同社が2020年10月に実施した調査では、2022年の新卒採用は、7割の企業が2021年卒並み、またはそれ以上の採用を予定していると言う。

 

(同社資料より)

 

学校広報事業 : (株)アクセスネクステージ
採用広報事業とも連携し、大学の入口から出口までをトータルサポートしており、学校だけでなく、教育に関わる機関とも、広く取引・連携を拡大中である。連合企画の商品化を中心に、クリエイティブ(学校案内・学校HP等)制作・印刷・発送の個別案件の受託、オープンキャンパスや入試支援等のイベント運営支援、更には教育機関のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用を支援等のサービスを提供している。

 

専門学校を含む高等教育機関への進学率は増加基調にあり、学校間の学生獲得競争も加速している。このため、同社ではアウトソーシングニーズが根強く続くと考えている。

 

(同社資料より)

2.2020年9月期決算概要

【新型コロナウイルスの影響】

ウイルス対策衛生用品の取扱高拡大等、プラス面もあったが、売上がピーク期となる第2四半期(1-3月)後半~第3四半期(4-6月)に大きな影響を受けた。第4四半期(7-9月)は復調傾向にあり、最悪期は既に脱している。ただ、同社は、本格的な受注回復は2021年春以降となるとみている。

 

プラス面
・協力会社のルートを開拓し、ウイルス対策衛生用品(マスク・アルコールジェル・検温器等)を受注。
・衛生用品の実績から、アナログ・デジタルに加え、「モノ」の取扱いを拡大し、レンタル事業に発展。
・従来の販促手法に代えて、デジタル商材等の受託が拡大。
・オンライン型セミナーや位置情報活用型DSP広告、VRキャンパスツアーを販売開始。
・「防災・衛生」「オンライン」「非対面」をテーマにした営業活動で、新たなニーズの掘り起こしや販路開拓も実現。この領域での受注や案件の引き合いが高まる。
・フォーラムは、ソーシャルディスタンスを意識した衛生対策を徹底した結果、4Qは復調傾向。

 

マイナス面
・第2四半期後半~第3四半期を中心に、フォーラム利用案件や会社説明会関連案件のキャンセルが発生。
・緊急事態宣言発出を受け、クライアントの在宅勤務や営業規模縮小による案件延期や中止が発生。
・同社主催の採用・進学の対面型企画を、6月以降に延期(6月以降、衛生対策を徹底して開催)、一部中止。
・住宅・不動産、旅行、外食・小売分野を中心に、販促を中断するクライアントが発生。

 

 

2-1 連結業績

 

19/9期

構成比

20/9期

構成比

前期比

8月予想

予想比

売上高

4,560

100.0%

3,789

100.0%

-16.9%

3,800

-0.3%

売上総利益

1,882

41.3%

1,589

42.0%

-15.6%

- 

-

販管費

1,823

40.0%

1,761

46.5%

-3.4%

- 

-

営業利益

58

1.3%

-171

-

-

-180

-

経常利益

38

0.8%

-189

-

-

-200

-

親会社株主帰属利益

2

0.0%

-310

-

-

-300

-

* 単位:百万円

 

前期比16.9%の減収、1.7億円の営業損失(前期は58百万円の利益)
売上高は前期比16.9%減の37.8億円。3事業共にコロナ禍の影響を受け、プロモーション事業が同28.9%減と落ち込む中、採用広報事業が同4.8%、学校広報事業が同14.8%、それぞれ減少した。

 

プロモーション事業は5.3億円の減収となったが、コロナ禍の影響(約2億円の減収要因)以上に、当初から織り込んでいたキャンペーンの景品取扱い変更の影響やWeb商材の切り替えに伴う郵送物取扱い案件の減少の影響が大きかった(合計で約3億円の減収要因)。採用広報事業は、売上構成比が最も大きい個別案件が増収となったことやライブ配信型セミナーへのシフトで小幅な減収にとどまり、学校広報事業は入試広報以外の案件の売上が増加した。また、3事業そろって衛生商材の売上を伸ばした。

 

営業損益は1.7億円の損失。キャンペーンの景品取扱い変更や郵送物取扱い案件に代わり利益率の高いWeb商材への切り替えが進んだプロモーション事業を中心に原価率が改善すると共に、経営合理化費用(青山フォーラム閉鎖に伴う原状回復費用等)を吸収して販管費の圧縮も進んだが、限界利益率が高い採用広報事業での連合企画の減少が響いた。最終損失が3.1億円に拡大したのは、減損損失等で特別損失66百万円を計上したこと及び繰延税金資産の取崩しによる。

 

最終損失となったことから、期末配当は無配とする。

 

四半期業績の推移

 

19/9-1Q

2Q

3Q

4Q

20/9-1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

899

1,320

1,301

1,038

750

1,193

983

862

営業利益

-96

122

100

-66

-143

67

-39

-55

経常利益

-106

117

96

-68

-147

64

-46

-59

親会社株主帰属利益

-104

55

89

-37

-129

21

-60

-141

* 単位:百万円

 

第1四半期は、不採算企画を中止し、第2・第3四半期の企画を増やす計画だったため前年同期比減収及び損失の増加は想定通り。
第2・第3四半期は、採用広報事業及び学校広報事業の売上ピーク期であるが、第2四半期後半と第3四半期の売上・利益が、コロナ禍で剥落した。
第4四半期は、延期された企画の実施等で売上が想定を上回り、かつ前年同期比増収。コスト圧縮も想定以上に進み、営業損益も上振れし、前年同期比でも改善した。

 

2-2 セグメント別動向

 

19/9期

構成比・利益率

20/9期

構成比・利益率

前期比

プロモーション事業

1,845

40.5%

1,311

34.6%

-28.9%

採用広報事業

1,641

36.0%

1,563

41.3%

-4.8%

学校広報事業

1,072

23.5%

914

24.1%

-14.8%

連結売上高

4,560

100.0%

3,789

100.0%

-16.9%

プロモーション事業

0

0.0%

-57

-

-

採用広報事業

58

3.6%

-88

-

-

学校広報事業

-17

-

-78

-

-

調整額

17

-

53

-

-

連結営業利益

58

1.3%

-171

-

-

* 単位:百万円

 

プロモーション事業
売上高13.1億円(前期比28.9%減)、セグメント損失57百万円。テレワーク関連の需要の取り込みで、ケーブルテレビ、自治体・公的機関・共済分野が堅調に推移した他、衛生商材の売上も伸びた。加えて、第4四半期に広告代理店分野のキャンペーン事務局が復調傾向をたどったものの、キャンペーン景品の取扱方法の変更(広告代理店分野)・郵送物取扱い案件の減少、及びコロナ禍の影響を吸収できなかった。コロナ禍の影響では、マンションモデルルーム来場者の抑制に伴う新規販促の停滞による住宅・不動産の落ち込みが大きかった他、外食・小売、旅行・宿泊関連も影響を受けた。

 

顧客業種別売上高は、広告代理店2.7億円(前期比47.5%減、構成比20.6%)、住宅・不動産2.0億円(45.2%減、15.4%)、ケーブルテレビ2.0億円(5.1%増、同15.8%)、その他6.3億円(17.7%減、48.2%)。

 

損益面では、キャンペーン景品の取扱方法の変更及び郵送物取扱い案件の減少の影響は軽微だったが、コロナ禍による住宅・不動産等の売上減少の影響が大きかった。郵送物取扱い案件に代わり、利益率の高いWeb商材への切り替えが進んだことで原価率が大きく改善する中、販管費の圧縮も進んだため、売上の減少幅に対し、利益の減少幅は限定的だった。

 

採用広報事業
売上高15.6億円(前期比4.8%減)、セグメント損失88百万円(前期は58百万円の利益)。衛生商材、個別案件、ライブ配信(オンライン型)型セミナーの売上が増加したものの、緊急事態宣言発出に伴う4・5月の対面型採用イベント(連合企画)の延期の影響が大きかった。四半期ベースでは、売上がピークを迎える第2四半期後半から第3四半期の売上が大きく落ち込んだが、第4四半期は前年同期比増収となった。
尚、ライブ配信(オンライン型)型セミナーのノウハウの蓄積が進み、21/9期の自社企画や受託イベントに発展している。

 

収益モデル別売上高は、連合企画(イベント)5.4億円(前期比25.3%減、構成比34.9%)、同(イベント以外)52百万円(35.8%減、3.4%)、個別案件9.6億円(16.3%増、61.7%)。

 

損益面では、限界利益率の高い対面型イベントの回数減に伴う売上の減少や社員増による販管費の増加に加え、衛生商材取扱いに伴う原価率の上昇もあり、売上の減少幅以上に利益の減少幅が拡大した。

 

学校広報事業
売上高9.1億円(前期比14.8%減)、セグメント損失78百万円(前期は17百万円の損失)。入試広報以外の案件は売上が増加したものの、入試広報の売上が減少した。入試広報では、緊急事態宣言発出に伴う対面型進学企画の延期(一部中止)や受託済の大型案件の中止の影響に加え、大学等の休校で案件検討が長引き、連合企画の参画も想定を下回った。四半期ベースでは、第3四半期の売上が大きく落ち込んだが、第4四半期は前年同期比増収となった。
一方、入試広報以外では、フォーラムのCBT(Computer Based Testing:PCを使った資格等の試験)会場化で新案件の獲得に成功した。

 

収益モデル別売上高は、連合企画(イベント)69百万円(前期比29.6%減、構成比7.6%)、同(イベント以外)2.0億円(30.0%減、22.3%)、個別案件6.4億円(6.4%減、70.1%)。

 

損益面では、販管費の圧縮が進んだものの、回数減に伴う限界利益率の高い対面型イベントの売上減少や衛生商材取扱いによる原価率の上昇で、セグメント損失となった。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年9月

20年9月

 

19年9月

20年9月

現預金

1,272

2,794

仕入債務

244

200

売上債権

577

385

短期有利子負債

768

2,344

たな卸資産

58

36

流動負債

1,144

2,738

流動資産

2,017

3,339

長期有利子負債

0

104

有形固定資産

110

85

固定負債

264

328

無形固定資産

78

58

純資産

1,231

855

投資その他

434

435

負債・純資産合計

2,641

3,922

固定資産

623

579

有利子負債合計

768

2,448

* 単位:百万円

 

短期借入金を中心に手元流動性を高めた結果、期末総資産は39.2億円と前期末との比較で12.8億円増加した。21/9期予想売上高ベースでの手元流動性比率は8.2ヶ月と極めて高い水準にある。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/9期

20/9期

前期比

営業キャッシュ・フロー

-233

-6

+227

-

投資キャッシュ・フロー

-20

57

+77

-

財務キャッシュ・フロー

496

1,603

+1,106

+223.0%

現金及び現金同等物期末残高

669

2,324

+1,655

+247.4%

* 単位:百万円

 

減収による運転資金の減少で営業CFが改善した。投資CFは定期預金の払い戻しの増加によるもので、財務CFは手元流動性の積み増しを目的としての借り入れによる。

 

2-4 トピックス

官公庁・自治体との連携事例、受託案件
横浜市・和歌山県・大阪府で、小学生向け防災情報媒体を発行した。地域の企業から協賛を募り、自治体監修の下、防災ハンドブックや地域新聞を発行し、小学生に配布するもので、社会貢献性と事業性を兼ね備えている。このため、他の自治体にも展開していく考え。また、文部科学省委託事業「専修学校グローバル化対応推進支援事業」に伴う各種業務を受託した他、独立行政法人日本学生支援機構より、「2020年度JASSO主催日本留学オンラインフェア及び外国人学生のためのオンライン進学説明会実施に係る業務委託」を受託した。

 

(同社資料より)

 

大学との連携事例、受託案件
桜美林大学より、外国人留学生の日本語能力判定のためのオンライン試験会場運営業務を受託し、実施した他、オンライン面接試験の業務負荷を軽減する新システム開発を受託し、「AeOS」(イオス)を開発した。また、位置情報活用型DSP広告サービス「A・P・P」(Access Pin-Point)を活用して北海学園大学のWebオープンキャンパスをサポートした。同社は、「A・P・P」の拡販に取り組んでいる。

 

自社企画・商品の新たな取り組み
(株)スポキャリとの連携で、アスリート人材の採用支援を開始した他、特定分野でNo.1を取得した企業限定の採用イベントを開始した(第三者機関からのNo.1の認証も支援する)。この他、大学・専門学校のVR導入と受験生への告知をまとめてサポートする、「VRキャンパスツアー導入サービス」の提供を開始した。

 

 

3.2021年9月期業績予想

3-1 連結業績

 

20/9期 実績

構成比

21/9期 予想

構成比

前期比

売上高

3,789

100.0%

4,100

100.0%

+8.2%

売上総利益

1,589

42.0%

1,829

44.6%

+15.0%

販管費

1,761

46.5%

1,809

44.1%

+2.7%

営業利益

-171

-

20

0.5%

-

経常利益

-189

-

-6

-

-

親会社株主帰属利益

-310

-

-9

-

-

* 単位:百万円

 

前期比8.2%の増収、営業利益20百万円
売上高は前期比8.2%増の41億円。上期はプロモーション事業・採用広報事業を中心に前年同期比減収を想定しているものの、下半期は本格的な回復に転じるとみている。

 

営業損益は大幅に改善し、20百万円の利益確保が見込まれる。オフィス移転による一定期間の地代家賃重複や移転費用を織り込んだ結果、販管費が同2.7%増加するものの、連合企画・高利益率商品の増加と不採算案件の削減による売上総利益の増加(同15.0%増)で吸収する。コロナ禍における運転資金確保を目的とした借入金の積み増しによる支払利息(26百万円)の増加等で営業外損益が悪化するため、最終損益は9百万円の損失が見込まれるものの、減損損失等がなくなるため大幅な改善が見込まれる。

 

 

3-2 グループ重点分野

グループ重点分野として、(1)大学との取引深化による進学・就職領域の事業拡大、(2)イベントのオンライン化の推進、(3)他社との業務提携による新規・既存事業の拡大、(4)多様化する採用広報ニーズや公的施策への対応、(5)業務代行機能の効率化と拡大、の5つを挙げており、取り組みを進めていく。

 

(1)大学との取引深化による進学・就職領域の事業拡大
進学・就職の両面での豊富な取引実績を基にした大学とのパイプは他社の追従を許さない。近年では、学園全体のブランディングや国際部門等、入試広報以外の部門からの問い合わせが増えており、コロナ禍の影響を受けた20/9期も、この分野の売上は増加した。引き続き、大学入試広報部門、キャリアセンター、国際部門等、全部門・学園全体への提案を強化すると共に、教育に関連した周辺機関や企業にも取引を拡大していく。

 

(2)イベントのオンライン化の推進
コロナ禍をきっかけにニーズが急拡大しているオンラインイベントへの対応を本格化する。オンラインでの会社説明会や合同企業説明会の運営について、クライアント企業や大学からの相談も増えていると言う。20/9期はオンラインイベントの実績を重ね、ノウハウの蓄積も進んだ。21/9期からは、個別案件でのサポートも含めて戦略企画化に取り組んでいく。

 

(3)他社との業務提携による新規・既存事業の拡大
他社との業務提携を積極的に進めることで、シナジーの創出と既存事業の拡大を図る。既に、ディーエムソリューションズ(株)とのキャンペーン事務局運営の営業機会拡大と相互支援を目的とした提携を開始している他、エイトレント(株)とのレンタル事業での協業もグループ全体で開始している。この他、外国人留学生・外国人材分野でも複数社と連携して協業を開始する予定である。これら実績を積み重ねていくことで、同社グループの収益基盤安定化とブランド力強化につなげていく。

 

(4)多様化する採用広報ニーズや公的施策への対応
就職活動早期化、コロナ禍による採用市場の構造変化、更には採用活動のオンラインシフトが加速している。こうした動きに対応するべく、既存イベントを対面型・オンライン型の両面で、サービスの採算性・サービス性を追求していく。(株)スポキャリとの連携によるアスリート人材特化型企画の展開、インターンシップ企画の拡充、更には、新卒・中途・外国人留学生・外国人材の人材紹介の強化にも取り組んでいく。また、景気の落ち込みに伴い、官公庁や公的機関、大学による就職・転職支援施策の増加も予想されるが、こうした施策の運営サポートは同社グループが強みを有することから積極的に対応していく。

 

(5)業務代行機能の効率化と拡大
近年、運営事務局代行やキャンペーン事務局代行等の業務代行機能を組み合わせたトータル提案のニーズが増加している。これをチャンスととらえて受託機会の拡大を図る考えだが、一方で、業務も複雑化してきている。このため、工数を要する作業の見直しを行うと共に、デジタルツールを導入して作業を効率化することで受託の効率化を図り、業務代行案件の拡大につなげていく。

 

上記に加え、アクセスフォーラムの規模適正化やオフィス移転等、経営合理化策による経費削減に努めていく。

 

 

3-3 株主還元

配当
「新型コロナウイルス感染の拡大や経済情勢が不透明である」として、未定とした。配当予想の公表が可能となった段階で改めて公表する考え。
同社は株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つであると認識しており、長期的な観点から、将来の事業展開、財務体質の強化などバランスを勘案しながら実施する方針。

 

株主優待
株主への日頃の支援に感謝すると共に、同社株式への投資の魅力を高めること及び中長期保有株主の増加を目的に、21/9期に株主優待制度を導入する。具体的には、毎年3月末の保有株式数に応じて、「プレミアム優待倶楽部」のポイントを進呈する(ポイントは商品との交換や寄付が可能)。毎年3月末に3単元(300株)以上保有の株主を対象とするもので、中長期保有の株主に積極的に還元するべく、2年目以降の還元をより多くする。
同社の株主の大半は個人投資家であることから、先ずは個人株主への魅力を高める。中長期的には、株主優待のプラットフォームを活かして株主との対話も強化していく考え。

 

株主優待ポイント表(1ポイント≒1円)

保有株式数

初年度

2年目以降

贈呈時期

300株~499株

3000ポイント

3500ポイント

5月中旬

500株~799株

6000ポイント

7000ポイント

800株~999株

10000ポイント

12000ポイント

1000株~

15000ポイント

18000ポイント

※ 2年目以降のポイント表は、2022年3月末を権利確定日とするポイント付与分より適用される。

 

4.今後の注目点

20/9期は売上ピーク期と緊急事態宣言期間が重なったことで業績が悪化したが、足元の受注は緩やかに回復傾向にある。同社の3事業は、それぞれ成長要因を有している。具体的には、プロモーション事業では「デジタル広告とそれを下支えするアウトソーシング業務の拡大」、採用広報事業では「企業が求める資質やスキルと、求職者の経験・希望を適切にマッチングするニーズの拡大」、学校広報事業では「日本の18歳人口の減少に伴う学生確保の広報強化、及び外国人留学生向けの広報へのニーズの拡大」である。
20/9期に同社サービスのオンライン対応が急速に進んだことは、同社にとって不幸中の幸い。21/9期は回復する需要やオンライン化に対応すると共に、潜在需要を掘り起こし起こしつつ、生産性を高めていくことになる。今後の展開に期待したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

7名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年04月01日)
基本的な考え方
当社グループは、法令・企業倫理・社会規範等の遵守が当社グループの経営の根幹であるとの認識の下、健全で透明性の高い経営を行うとともに、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応し、企業価値を高めることを、コーポレート・ガバナンスの基本方針としております。また、株主をはじめとする全てのステークホルダーに対して適時に適切な情報開示を行い、社会的信頼に応えながら持続的成長を遂げるため、コーポレート・ガバナンスの充実と強化に努めております。

 

<コーポレート・ガバナンスコードの各原則を実施しない理由>
当社はコーポレート・ガバナンスコードの基本原則をすべて実施しております。

 

<コーポレート・ガバナンスコードの各原則に基づく開示>
当社が実施しているコーポレート・ガバナンスコードは基本原則のみとなるため、記載はしておりません。

 

 

 

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