ブリッジレポート
(9416) 株式会社ビジョン

プライム

ブリッジレポート:(9416)ビジョン 2020年12月期第3四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

佐野 健一 社長

株式会社ビジョン(9416)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表者

佐野 健一

所在地

東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー

決算月

12月

HP

https://www.vision-net.co.jp/ir/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,151円

47,079,756株

54,188百万円

21.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

-

-

226.80円

5.1倍

*株価は12/1終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年12月(実)

14,843

1,290

1,298

812

16.70

-

2017年12月(実)

17,554

1,788

1,795

1,208

24.76

-

2018年12月(実)

21,503

2,484

2,499

1,529

31.40

-

2019年12月(実)

27,318

3,325

3,358

2,226

46.05

-

2020年12月(予)

16,700

58

167

-1,226

-

-

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。2019年10月、1株を3株に分割(EPSを遡及修正)。

 

(株)ビジョンの2020年12月期第3四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第3四半期決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/12期3Q(累計)は前年同期比36.2%の減収、同98.0%の営業減益。グローバルWiFi事業はテレワークや「GIGAスクール構想」関連の需要取り込みで国内Wi-Fiレンタルの売上が過去最高を更新したものの、2Q以降、アウトバウンド及びインバウンドのレンタル需要が消失状態にあり、同55.5%の減収。一方、情報通信サービス事業は、OA機器関連が減少したものの、コスト削減商材や移動体通信機器の好調でわずかな減収にとどまった(同2.5%減)。利益面では、変動費も含め、売上原価及び販管費の大幅な圧縮に成功し営業利益を確保。3Q(7-9月)の四半期営業損益は2Q(4-6月)の△5.0億円から0.7億円に大幅に改善した。

     

  • 通期予想は前期比38.9%の減収、同98.3%の営業減益。売上面では、グローバルWiFi事業の売上を上方修正したが、ストック型ビジネスへの移行で一時的に売上の伸びが鈍化している情報通信サービス事業の見通しを引き下げた。ただ、損益予想は両事業共に上方修正しており、4Qに実施する来期以降の成長に向けた先行投資を吸収する。

     

  • ビジネス渡航等の入国制限の段階的な解除が進められているものの、欧米で感染が再拡大する等、先行きは依然として不透明だ。このため、業績予想を保守的に据え置いた。ただ、コロナ禍による需要増を取り込んで国内Wi-Fiレンタル事業が拡大しており、情報通信サービス事業ではストックビジネス化の取り組みが進捗している。厳しい事業環境が続いているものの、業績が回復過程にあることを踏まえて、第4四半期は守りを固めつつ、攻めに転じる考え。

     

     

1.会社概要

「世の中の情報通信産業革命に貢献します」と言う経営理念の下、世界200以上の国と地域で利用可能な定額制Wi-Fiルーターのレンタルを行うグローバルWiFi事業と、情報通信関連のディストリビューターとして、固定通信、移動体通信、ブロードバンド等の事業活動に必要な通信インフラ環境やオフィス機器を扱う情報通信サービス事業を展開している。

 

国内外の連結子会社18社とグループを形成しており、国内子会社は、請求業務の代行や固定電話サービスの加入取次ぎ等を行う(株)メンバーズネット、ブロードバンドサービスの加入取次ぎを手掛けるベストリンク(株)など6社。海外は、グローバルWiFi事業の海外拠点となる、韓国、ハワイ(米国)、香港、シンガポール、台湾、英国、上海(中国)、フランス、イタリア、カリフォルニア(米国)、ニューカレドニアの現地法人とシステム開発及びデータベース構築のオフショア拠点であるベトナムの現地法人の計12社。

 

【ビジョングループ経営理念- 世の中の情報通信革命に貢献します -】
私達は、世の中の情報通信産業革命を積極的に推進し個人のライフスタイル、そして企業のビジネススタイルをイノベーションし、クライアント企業様とエンドユーザー様を効率的、効果的につなぐディストリビューター企業として、永久にベンチャースピリットを忘れず従業員の無限なる向上心や夢・思いがステークホルダーに貢献できているか確認しあい妥協しない集団であり続け、人類と社会の進歩発展に貢献します。

 

1-1 事業内容

グローバルWiFi事業
海外の通信会社と提携して、海外への渡航者に現地のインターネットサービスを安価で利用できるWi-Fiルーターをレンタルする「グローバルWiFi」及び訪日外国人等へ日本国内で利用できるWi-Fiルーターをレンタルする「NINJA WiFi」といったサービスを提供しており、進出先(韓国、台湾、カリフォルニア)において、海外to海外の渡航者向けサービスにも取り組んでいる。
Wi-Fiルーターについては、クラウド上でSIMを管理する次世代型の通信技術(クラウドWiFi)を搭載したWi-Fiルーターの期末レンタル数がレンタルされている端末全体の90%以上を占めている(通信キャリアによっては対応できない国もあり90%程度が上限)。

 

(同社資料より)

 

強み ①割安な定額制、②最多エリア、③快適、④安心・安全、⑤サポート拠点、及び法人営業力 ⇒ No.1クラスの顧客数
「グローバルWiFi」及び「NINJA WiFi」のサービス上の強みは、①国内携帯会社の海外パケット定額プランとの比較で最大89.9%のコストメリット(渡航先によっては1日のレンタル料金が300円から)を有し、②カバレッジは業界最多クラスの200以上の国と地域。また、③世界中の通信事業者との提携による高速通信、④セキュア24時間365日世界47の拠点、⑤業界最多クラスの空港カウンター設置拠点数。また、事業としては、安定した需要が見込める法人の利用が約30%~40%を占めている事も強みであり、この結果、シェアナンバーワンクラスの利用者数を誇る。

 

店舗スマート化戦略(テンスマ)と超直前オンライン受注体制の整備
国内では有人カウンターの拡充に加え、①自動受渡しロッカー(Smart Pickup)、②多言語対応・決済機能のセルフレジKIOSK端末(Smart Entry)、更にはQRコード活用受付カウンターである③即時お客様識別カウンター(Smart Check)の設置による店舗スマート化戦略を進めている。レンタル件数(受渡件数)やオプションサービス(補償サービス、付帯品等)の増加への対応強化はもちろんだが、海外へ渡航する日本人・訪日外国人旅行客にとって、より便利に、より快適で、より安心して利用できる店舗への進化に向けた取り組みの一環でもある。

 

(同社資料より)

 

同社においては、店舗スマート化戦略により、ユーザータッチポイントの強化やユーザーに応じサービスレベルの最適化が可能になる(リピーター層等の説明が不要なユーザーの待ち時間をなくし、説明が必要なユーザーには空港スタッフが応対する)。空港カウンターの増設や拡張が難しい中、自動受渡しロッカー(Smart Pickup)の増設により人員を増やすことなく、限られたスペースを有効活用してスループットの向上とコスト削減につなげていく考え。

 

尚、店舗スマート化戦略、クラウドWiFi、及び顧客データベースを連携させる事で「“超”直前オンライン受注体制」が整備され、出発当日客へのサービス提供が可能になった(データベースと連携させる事で空港カウンター店舗目の前でのWEB申込への即時対応が可能になった)。

 

情報通信サービス事業
新設法人、ベンチャー企業、及び外食チェーン等の多店舗展開企業を主要ターゲットとして、連結子会社ベストリンク(株)を中心に、全国15か所の営業所、及びパートナー企業との連携の下、ビジネスフォン、固定電話・加入電話・ヒカリ電話の取次ぎ、法人携帯、OA機器・セキュリティ製品(UTM)等の販売・保守、ホームページ制作、更には事業者向け新電力サービスの取次ぎ等のサービスを提供している。

 

主要ターゲットでもある新設法人(設立後6ヶ月以内の企業)の開拓に強みを有し、法務省のデータ(2019年全国法人登記件数118,532社)を基にすると、国内で新規設立される法人の約10社に1社と取り引きがある計算。独自のWebマーケティング(インターネットメディア戦略)で集客し、CRM(顧客関係・取引継続)戦略により、継続的収益の最大化(ストックビジネス化)、高生産性追加販売(アップセル・クロスセル)につなげている。

 

例えば、回線の取次であれば、サービスが解約されない限りキャリアから手数料を受け取る事ができ、複写機等であれば継続的に保守料を得る事ができる。そして、カスタマー・ロイヤリティ・チームが継続的にフォローしていく事で、顧客の成長と共に増加する回線や機器の需要取り込み、成長ステージに応じた最適なサービスの提供(アップセルやクロスセルによる生産性の高い追加販売)で収益が積み上がっていくストック型ビジネスモデルを確立している。ターゲット層を、成長予備軍から、成長過程の企業へも展開させつつ、ストック型ビジネスモデルを進化させていく。

 

2.2020年12月期第3四半期決算概要

2-1 第3四半期(累計)連結業績

 

19/12期 3Q(累計)

構成比

20/12期 3Q(累計)

構成比

前年同期比

売上高

20,547

100.0%

13,108

100.0%

-36.2%

売上総利益

11,970

58.3%

6,824

52.1%

-43.0%

販管費

9,000

43.8%

6,765

51.6%

-24.8%

営業利益

2,970

14.5%

58

0.4%

-98.0%

経常利益

3,011

14.7%

167

1.3%

-94.4%

親会社株主帰属利益

1,986

9.7%

-1,226

-

-

* 単位:百万円

 

前年同期比36.2%の減収、同98.0%の営業減益
売上高は前年同期比36.2%減の131.0億円。グローバルWiFi事業は、テレワークや「GIGAスクール構想」関連の需要取り込みで国内Wi-Fiレンタルの売上が過去最高を更新したものの、第2四半期以降、アウトバウンド及びインバウンドのレンタル需要が消失状態にあり、同55.5%の減収となった。情報通信サービス事業は、テレワークの影響でOA機器関連が減少したものの、コスト削減商材や移動体通信機器の好調で同2.5%減と小幅な減収にとどまった。

 

利益面では、グローバルWiFi事業における従量課金制の海外通信原価の大幅な減少と、人件費、広告費、及びその他経費の削減による販管費の減少で58百万円(同98.0%減)の営業利益を確保した。
助成金収入1.0億円の計上で営業外損益が改善したものの、グローバル WiFi 事業での資産の減損処理13.9億円や投資有価証券評価損1.8億円など特別損失15.9億円を計上したため、12.2億円の最終損失となった。
尚、原価率の上昇は情報通信サービス事業での移動体通信機器(仕入が発生する)の販売増によるもの。人件費の減少は業績連動給与の減少や労働者派遣契約(出荷・空港カウンタースタッフ等)の期間満了に伴うもので、広告費の減少はWeb広告費用(リスティング費用等)の削減による。これらに加えて、各種費用の見直し・圧縮効果や、売上減少に連動した費用の減少(荷造運送費、旅費交通費、消耗品費、支払手数料等)があった他、2020年8月に(株)プロドライバーズの全株式の譲渡が完了したことで関連する法人及び事業維持コストが減少した。

 

(同社資料より)

 

2-2 セグメント別動向

 

19/12期 3Q(累計)

構成比・利益率

20/12期 3Q(累計)

構成比・利益率

前年同期比

グローバルWiFi事業

13,269

64.6%

5,906

45.0%

-55.5%

情報通信サービス事業

6,840

33.3%

6,666

50.9%

-2.5%

その他

443

2.2%

538

4.1%

+21.5%

調整額

-5

-

-3

-

-

連結売上高

20,547

100.0%

13,108

100.0%

-36.2%

グローバルWiFi事業

2,870

21.6%

-48

-

-

情報通信サービス事業

1,174

17.2%

1,184

17.8%

+0.9%

その他

-219

-

-355

-

-

調整額

-855

-

-722

-

-

連結営業利益

2,970

14.5%

58

0.4%

-98.0%

* 単位:百万円

 

グローバルWiFi事業
売上高59.0億円(前年同期比55.5%減)、セグメント損失48百万円(前年同期は28.7億円の利益)。アウトバウンド及びインバウンドの事業を一時的に縮小する一方、国内Wi-Fiレンタル事業において、テレワークや「GIGAスクール構想」を背景とする通信需要の取り込みに力を入れた。また、同事業では、2010年より国内でのWi-Fiルーターレンタルを手掛けている実績・ノウハウ・商品力(高品質で豊富なラインナップ、商品在庫数、ニーズに対応した通信プラン)を強みに、引越時の代替、入院時、出張、自宅回線との併用、更には各種イベント等、各種利用ニーズの取り込みも進んだ。
この結果、セグメント売上高が大幅に減少したものの、国内Wi-Fiレンタル事業の売上高は第3四半期累計期間の過去最高を更新した。
尚、四半期売上高は、第1四半期(1-3月)33.4億円、第2四半期(4-6月)12.8億円、第3四半期(7-9月)12.7億円だが、第2、第3四半期は、ほぼ国内Wi-Fiレンタル事業のみの売上である。

 

損益面では、空港や物流関連における業務委託の縮小、業績連動給与の減少及び労働者派遣契約の期間満了に伴う人件費の減少、更には一部従業員の需要が見込める他事業への配置転換等でコスト削減が進んだことに加え、レンタル件数に応じて変動する費用(通信原価、発送配達費用、クレジットカード決済手数料等)の減少や、レンタル資産をはじめとする関連資産の減損処理(約12億円)による減価償却費の大幅な減少もあり、黒字化目前にまで回復した。四半期セグメント損失は、第2四半期(4-6月)の3.4億円から27百万円に縮小した。

(同社資料より)

 

情報通信サービス事業
売上高66.6億円(前年同期比2.5%減)、セグメント利益11.8億円(同0.9%増)。売上面では、テレワークへのシフトでOA機器関連が減少したものの、新型コロナウイルス感染症拡大下における企業のコスト削減ニーズ(通信料金及び電力料金等)やテレワーク対応のニーズを捉えた移動体通信機器等の営業活動が奏功し、小幅な減少にとどめた。

 

コスト削減商材はいずれも初期導入費用を抑えたSaaSモデル(サブスクリプション型)のサービスであり、来期以降も継続的に収益計上(ストック収益)が期待できる。通信料金や電力料金等の増加に加え、新たにサービスを開始した月額制ホームページ制作サービス「「Vision Crafts!(ビジョクラ)」の顧客獲得も進んだ。
尚、「Vision Crafts!」は低価格(月額3,980円~)で作れるホームページ制作サービスであり、ホームページ作成サービス「ホームページ.com」での月100件以上のサイト制作経験が活かされている。

 

売上がわずかに減少する中で利益が増加したのは、ストック収益の増加と、工事やホームページ制作の内製化による原価低減、及び不要不急の費用支出抑制等が要因である。

 

売上総利益構成

(同社資料より)

2-3 財政状態

 

19年12月

20年9月

 

19年12月

20年9月

現預金

8,485

6,079

仕入債務

1,203

666

流動資産

11,792

8,689

未払法人税等

634

35

有形固定資産

1,200

346

流動負債

4,222

2,271

無形固定資産

666

185

固定負債

46

58

投資その他

1,514

1,826

純資産

10,905

8,716

固定資産

3,381

2,357

負債・純資産合計

15,173

11,046

* 単位:百万円

 

第3四半期末の総資産は前期末との比較で41.2億円減の110.4億円。売上の減少や損失の計上で流動資産が減少した他、減損処理により有形固定資産も減少した。現預金は前期末との比較では減少したものの、第2四半期末との比較では3.4億円増加した。自己資本比率78.7%(前期末71.7%)。

 

3.2020年12月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

19/12期 実績

構成比

20/12期 予想

構成比

前期比

2Q時予想

予想比

売上高

27,318

100.0%

16,700

100.0%

-38.9%

16,700

+0.0%

売上総利益

15,690

57.4%

8,888

53.2%

-43.4%

8,883

+0.1%

販管費

12,365

45.3%

8,830

52.9%

-28.6%

9,203

-4.1%

営業利益

3,325

12.2%

58

0.3%

-98.3%

-320

-

経常利益

3,358

12.3%

167

1.0%

-95.0%

-213

-

親会社株主帰属利益

2,226

8.1%

-1,226

-

-

-1,601

-

* 単位:百万円

 

前期比38.9%の減収、同98.3%の営業減益予想
第3四半期決算を踏まえて通期の利益予想を上方修正した。売上面では、グローバルWiFi事業の売上を上方修正する一方、情報通信サービス事業の売上を下方修正した。情報通信サービス事業の下方修正は、OA機器販売の受注減少や初期の売上は少ないが、長期にわたり売上が分割計上されるサブスクリプション型ビジネスの好調を反映したものであり、フローからストックへのビジネスモデルの転換に伴う一時的な売上の伸び悩みが要因である。

 

損益面では、2.3億円とみていたグローバルWiFi事業の損失予想を54百万円に上方修正すると共に、サブスクリプション型ビジネスの増加で利益率が高まっている情報通信サービス事業の利益予想を14.0億円から15.1億円に引き上げた。

 

尚、第4四半期(10-12月)は、グローバルWiFi事業、情報通信サービス事業共に第3四半期(7-9月)比増収が見込まれるが、来期以降の成長に向けた先行投資に伴い、営業損益は均衡(プラスマイナスゼロ)するとみている。

 

 

セグメント別売上高・利益

 

19/12期実績

構成比・利益率

20/12期予想

構成比・利益率

前期比

2Q時修正予想

予想比

グローバルWiFi

17,732

64.9%

7,293

43.7%

-58.9%

6,971

+4.6%

情報通信サービス

8,955

32.8%

8,812

52.8%

-1.6%

9,079

-2.9%

その他

637

2.3%

598

3.6%

-6.1%

661

-9.5%

調整額

-7

-

-4

-

-

-11

-

連結売上高

27,318

100.0%

16,700

100.0%

-38.9%

16,700

+0.0%

グローバルWiFi

3,301

18.6%

-54

-

-

-234

-

情報通信サービス

1,363

15.2%

1,511

17.1%

+10.8%

1,400

+7.9%

その他

-266

-

-405

-

-

-413

-

調整額

-1,073

-

-994

-

-

-1,072

-

連結営業利益

3,325

12.2%

58

0.3%

-98.3%

-320

-

* 単位:百万円

 

 

3-2 20/12期の取り組み(ウィズコロナ・アフターコロナを見据えた成長戦略)

グローバルWiFi事業では、国内Wi-Fiの積極販売と、今後予想される海外渡航需要の段階的な回復下でのローコストオペレーション体制の確立に取り組んでいく考えで、この取り組みを単月黒字につなげていく。また、次世代通信規格及び技術への対応(5G及びe-sim等)も進めていく。
一方、情報通信サービス事業では、成長を加速させるべく、新設法人獲得の強みを活かした事業・サービスを展開すると共に、来期以降の収益基盤となるSaaS系商材の販売を強化する。加えて、企業文化、組織体制、取引先、顧客資産を最大限活用して新規事業及び新商材・サービスの開発を進め、グローバルWiFi事業や情報通信サービス事業の既存顧客に対して商材・サービスをクロスセルで提供していく。

 

グローバルWiFi事業
年内及び来年以降も海外渡航者が回復しないことを前提に、最少コストでの事業運営を継続していく。また、海外渡航者回復後も、最少人員での稼動に耐えうる、組織化、オペレーションの効率化、及び利便性向上に取り組み、利益率の更なる向上と利用シェア拡大につなげていく。
具体的な取り組みとして、国内Wi-Fi強化、人員、出荷センター、空港カウンター、コスト削減、及び新サービスを挙げている。

 

 

国内Wi-Fi強化
提供価格、豊富なラインナップ、商品在庫数、ニーズに則した各種の通信プラン、障害時等の遠隔サポート、マーケティング力、ブランド力(グローバルWiFi)、更には顧客基盤を武器に利用ニーズの獲得を進める。テレワーク用Wi-Fi、オンライン学習「GIGAスクール構想」の下での需要が見込める教育機関&自治体向けWi-Fi、及び社内常備型「グローバルWiFifor Biz」の国内プランオプションの拡販に取り組んでいる。自治体向けでは、大阪府で3,300台が導入された他、他地域の教育委員会等ともオンライン授業向けの交渉を進めている。

 

人員
グローバルWiFi事業では国内Wi-Fiの拡販に集中し、余剰人員については、情報通信サービス事業等へのジョブローテーションにより稼働率を高めている。また、雇用調整助成金(新型コロナ特例)の活用や一部人員の雇用調整(休業)も実施している。

 

出荷センター
情報通信サービス事業等の他事業の出荷センターとして活用することでグループ全体の外注費削減につなげている。

 

空港カウンター
一部店舗休止及び営業時間短縮や、店舗スマート化戦略(スマートピックアップ+SIM自販機の無人店舗の増設等)の前倒しによりコスト削減を進めている。この他、新たな受渡し方法(コンビニ)を追加した他、体制の大幅なスリム化(固定費圧縮)も進めた。

 

コスト削減
固定費用の発生するSIMの休止及び解約(従量課金制のSIMは固定費用なし)や広告費削減に加え、Zoom商談への切替えによる営業交通費及び移動時間の削減にも努めている。

 

新サービス
「通訳吹替.com」の提供を開始した。このサービスは、オンライン・オフライン商談、会議通訳、更には動画、の翻訳・吹替を行うサービスである。Zoom等を利用した海外企業との商談・会議や投資家とのリモートでのIR面談等での利用に加え、海外投資家向け英語版吹替動画、英語や中国語等の外国語の吹替動画の作成、海外現地法人の従業員等との会議や懇親会等での利用が可能だ。様々なビジネスシーンで活用できる通訳・翻訳・吹替サービスをリーズナブルな価格で提供していく。

 

情報通信サービス事業
働き方の変化に対応した商品・サービスの提供(テレワーク支援商材の企画・販売)、ロケーションにとらわれない営業スタイルの確立、一人当たり生産性の最大化、更には安定成長の下支えとなるストック収益の積み上げに取り組んでいる。

 

テレワーク支援商材の企画・販売
ビジョンウェブサービス「VWSシリーズ」、ビジネス向けSNS「JANDIWEB」、会議・オンライン商談システム「Meet in」、電話代行サービス「テレレ」等、自社内で運用及び改修したサービスを随時企画・販売している。

 

ロケーションにとらわれない営業スタイル・営業エリア拡大・営業コスト削減
テレワークの積極推進、オンラインセールスの強化、インサイドセールスの強化、更には訪問営業最小化等、ロケーションにとらわれない営業スタイルを推進する一方、営業エリア拡大と営業コスト削減(交通費・残業代等)に取り組んでいる。

 

一人当たり生産性の最大化
商談件数最大化(移動時間ゼロ)、15年以上の実績を持つWebマーケティングのノウハウによる商談アポイント獲得、研修の均一化による生産性向上、顧客属性分析の徹底、及びリテンションCRMの強化等の取り組みを進めている。

 

コスト削減商材の拡販
各種通信(固定電話、携帯電話、インターネット回線)料金割引サービス、月額制ホームページ作成サービス「Vision Crafts!(ビジョクラ)」等、初期導入費用の負担を抑えた商品・サービスの販売に力を入れている。

 

ハイブリッドシナジーモデル
「Webマーケティング+CLT(カスタマーセンター)+営業クロスファンクション組織構造」のハイブリッドシナジーモデルによる顧客資産の最大活用とエスカレーション(事業部間連携、顧客紹介)に取り組んでいる。

 

ストック収益拡大
既存のストック収益をベースに、オンライン商材、法人携帯保守サービス(ガラサポ)、ホームページ保守サービス、LED販売の強化等、自社サービスによる積み上げを図っている。また、事業提携による母数の増加にも取り組んでいる。

 

4.今後の注目点

ビジネス渡航等の入国制限の段階的な解除が進められているものの、欧米で感染が再拡大する等、先行きは依然として不透明だ。このため、業績予想を保守的に据え置いた。ただ、コロナ禍による需要増を取り込んで国内Wi-Fiレンタル事業が拡大しており、情報通信サービス事業ではストックビジネス化の取り組みが進捗している。厳しい事業環境が続いているものの、業績が回復過程にあることから、第4四半期は守りを固めつつ、攻めに転じる考え。
実際、グローバルWiFi事業、情報通信サービス事業共に今後の見通しは明るい。グローバルWiFi事業では、テレワークや「GIGAスクール構想」関連の需要で国内Wi-Fiレンタル事業の伸びしろが大きく、社内常備型「グローバルWiFifor Biz」も、国内プランオプションの需要取り込みはこれからだ。コスト削減で損益分岐点が下がっているため、国際的な人の往来が戻り、アウトバウンド及びインバウンドのレンタル需要が回復すれば、利益へのインパクトは大きい。一方、情報通信サービス事業は、フロー中心からストック中心へ収益モデルの転換期にあり、この影響で売上が伸び悩んでいるものの、利益面では既にその効果が顕在化しつつある。第4四半期にかけて減収率が縮小する見込みであることから、来期以降、増収に転じ、収益性の改善が一段と進むものと思われる。今後の展開に期待したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年09月07日)
基本的な考え方
当社グループは、お客様の期待を感動に変えるため、常に自らを磨き、理想を実現させるため、ためらうことなく変革への挑戦を続け、常に多くの人々(ステークホルダー)に支えられていることに感謝し、謙虚な気持ちで事業活動を行っております。この行動規範に従って、法令、社内規則、方針を遵守し誠実に取り組み、最適なコーポレート・ガバナンスの構築に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則4-1-3 取締役会の役割・責務(1)(最高経営責任者等の後継者の計画の監督)】
当社では、最高経営責任者等の選定においては、都度変化する経営環境の中、経営理念や経営戦略に沿った形で、候補者の人格、知識、実績等を勘案して相応と認められる者の中から取締役会で選定する等、十分に議論してまいります。後継者の計画の監督については今後の検討課題といたします。

 

<開示している主な原則>
【原則4-8 独立社外取締役の有効な活用】
当社では、取締役6名のうち3名が独立社外取締役であります。独立社外取締役3名は、それぞれWEBマーケティング、インバウンドビジネス、金融業界、グローバルビジネス等に関する豊富な経験及び企業経営者としての経験を活かし、経営を監視いただくとともに、当社の経営全般に助言を頂戴することによりコーポレート・ガバナンス強化に寄与していただけるものと考えております。

 

【原則4-9 独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
会社法及び東京証券取引所が定める基準を参考に選任しております。また、豊富な経験と幅広い見識から、当社の経営全般に助言していただける方を選定しております。

 

【補充原則4-11-1 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件(取締役会の構成・選任に関する方針・手続き)】
当社の取締役会は、当社の事業・業務に精通した人材を内部登用した社内取締役と、豊富な経験と幅広い見識を有した人材を社外取締役とすることで、取締役会全体としての知識、経験、能力のバランスや多様性を確保しております。

 

【補充原則4-11-2 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件(取締役及び監査役の兼任状況)】
取締役及び監査役は、その役割・責務を適切に果たすために必要となる時間・労力を取締役及び監査役の業務に振り向けており、兼職については合理的範囲となっております。なお、兼職の状況については株主総会招集通知の参考書類、事業報告、有価証券報告書にて開示しております。

 

【補充原則4-11-3 取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件(取締役会の実効性に関する分析及び評価)】
当社の取締役会は、社外取締役及び社外監査役を含めた発言や議論の状況等から、その実効性は保たれていると判断しております。また、各取締役を対象として自己評価のアンケートを実施し、その結果を社外監査役にて確認しており、更なる実効性、機能の向上に努めております。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、株主等からの対話の申込みに対しては、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で前向きに対応することとしております。現在のところ、社長またはIR担当役員が出席する説明会を年に2回以上開催しているほか、随時国内外の機関投資家とのミーティングや、年に複数回の個人投資家向け説明会等も実施しております。それらの結果については、適宜、取締役会等で、得られた情報等の共有を図っております。なお、インサイダー情報の漏洩防止を徹底しております。

 

 

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