ブリッジレポート
(7776) 株式会社セルシード

グロース

ブリッジレポート:(7776)セルシード 2020年12月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

橋本 せつ子 社長

株式会社セルシード(7776)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

精密機器(製造業)

代表者

橋本 せつ子

所在地

東京都江東区青海二丁目5番10号 テレコムセンタービル

決算月

12月

HP

https://www.cellseed.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

339円

14,259,265株

4,833百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

-

-

103.21円

3.3倍

*株価は09/02終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績、BPSは第2四半期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年12月(実)

100

-1,413

-1,415

-1,414

-

-

2017年12月(実)

85

-956

-964

-966

-

-

2018年12月(実)

1,026

140

140

129

11.35

-

2019年12月(実)

275

-780

-786

-782

-

-

2020年12月(予)

-

-

-

-

-

-

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

(株)セルシードの2020年12月期第2四半期決算の概要と今後の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第2四半期決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/12期上期は売上高58百万円(前年同期比64.1%減)、営業損失340百万円(前年同期は321百万円の損失)。再生医療支援事業は前年同期と同水準の売上を計上した。温度応答性細胞培養器材等の販売では国内及び海外で第2四半期及び第2四半期累計で国内及び海外で過去最高の売上を達成した一方、再生医療受託サービスにおいては前年同期に台湾MetaTech社への開発データ提供に伴う売上100百万円を計上した売上が1百万円にとどまった。ただ、研究開発費の減少と未消化も含めたその他経費の減少で営業損失はわずかな増加にとどまった。

     

  • 通期業績予想は未定。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、2020年1月に設立した台湾合弁会社への全般的な開発支援が遅れており、中国・台湾を中心としたアジア諸国への新規の事業提携・ライセンシングに向けた活動も制約を受けている。これらの影響により、20/12期通期の連結業績について、「現時点で合理的に算定することが困難」として、2020年2月14日に公表した業績予想を取り下げ、未定とした。

     

  • コロナ禍で台湾MetaTech社による食道再生上皮シートの治験に遅れが生じた他、台湾合弁会社や新規の事業提携・ライセンシングに向けた活動も制約を受けているが、その一方で、明るい話題が出てきた。日本での食道再生上皮シートの追加治験届提出の見通しが立ったことに加え、軟骨細胞シートにおいては、コロナの影響で手術時期が延期したものの先進医療Bの第1号案件の受託製造を完了し、下期に売上が計上される予定であり、今後、受託製造の収益貢献が増えてくるだろう。新株予約権の発行により、13億円弱の資金調達の目途も付けた。少しずつだが、中期的な見通しに明るさが増している。

     

1.会社概要

失われた臓器や損傷あるいは機能が低下した臓器を再生して治療する新たな医療である再生医療。東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授・特任教授が開発した日本発・世界初の「細胞シート工学」を基盤技術とし、この技術に基づいて作製した「細胞シート(シート状の培養細胞)」を用いた再生医療等製品の開発を行う「細胞シート再生医療事業」と細胞シートの基盤ツール(培養器材)である温度応答性細胞培養器材等の開発・製造・販売及び再生医療の研究開発・事業化を支援する再生医療受託サービスを提供する「再生医療支援事業」を二本柱とする。

 

「細胞シート工学」 - 再生医療の基盤技術 -

 

(同社資料より)

「細胞シート工学」は東京女子医科大学岡野光夫名誉教授が発明した日本発・世界初のプラットフォーム技術である。温度によって分子構造を変える性質を持つ温度応答性ポリマーで表面を加工した細胞培養皿で細胞を培養する。細胞培養皿の表目は37℃で細胞が付着できる適度な疎水性(水分を弾く性質)になり、20℃では細胞が付着できない親水性(水分を含む性質)になる。このため、温度を変えるだけで、細胞外マトリックス(接着蛋白質)を保持したまま有機的に結合した「細胞シート」を培養皿から回収することができる。

一般に細胞は細胞外マトリックスを分泌し、自らを固定する事により増殖する性質を持つ。言い換えると、接着蛋白質を分泌しながら自らをどこかに固定しないと増殖できないのだが、従来の培養方法では、培養した細胞をトリプシン等の蛋白質分解酵素を用いて接着蛋白質を分解して回収していた(接着蛋白質を分解する以外に培養細胞の回収方法が無かった)。

 

日本が世界をリードする細胞シート工学
「細胞シート工学」は約30年前に論文が発表され、以来、多くの論文発表や特許出願がなされたが、最近では年間100本を超える論文発表及び特許出願がなされる等、普及が進んでいる。また、その論文や特許出願の大半は日本からのもので、数少ない日本が世界をリードする技術である。

 

(同社資料より)

 

 

1-1 セルシードのビジネスモデル

Mission : 価値ある、革新的な再生医療をリードし、世界の医療に貢献します

 

細胞シートを使った大学の研究成果をシーズとして、同社が治験を行い再生医療製品として製品化し、患者に届けている。

 

(同社資料より)

 

 

1-2 事業内容

細胞シート再生医療事業
現在のパイプラインは、「細胞シート工学」を基盤技術とする「食道再生上皮シート」と膝軟骨の「軟骨再生シート」の2本。「食道再生上皮シート」は国内で20/12期第4四半期に追加治験届の提出を予定している。一方、海外では、17/12期4月に台湾の三顧股有限公司(以下、MetaTech社)と事業提携契約を締結し、同社が2018年12月末に治験届を提出した。「軟骨再生シート」は、東海大学医学部付属病院が申請していた先進医療が2019年1月に承認され、大学病院で治療の開始に向けた準備が進められている。また、MetaTech社への導出も実行され、台湾の法律(日本の先進医療Bに準じた法律)をもとに自己軟骨シートの事業化が進められている。「細胞シート工学」を用いた再生医療製品は様々な分野で臨床研究が行われており、同社は第3の開発品目として、2019年8月に、東京医科歯科大学と「同種歯根膜由来間葉系幹細胞シート(歯根膜細胞シート)の臨床開発の詳細検討に向けた協議の開始を決定した。

 

「食道再生上皮シート」
日本では、年間約22,000人が食道がんと診断され、年間約11,500人が食道がんで死亡している。男性の発症率、死亡率は女性の5倍と高い。また、日本では食道がんの90%が扁平上皮がんであり、5年生存率は男性36%、女性44%と共に低い。治療法として、2008年に保険収載された内視鏡切除手術(ESD)が増加しているが、ESDは手術後の食道狭窄の副作用がある。
しかし、食道再生上皮シートの導入により、食道狭窄の生じる頻度を抑制することができ、QOLの向上が期待できる。東京女子医科大学が開発した治療法である。患者の口腔粘膜から採取した細胞を温度応答性培養器材で約2週間かけて培養し、細胞シートを作成する。細胞シートの培養に合わせて、食道がん切除内視鏡手術を行い、食道潰瘍面に移植する。2008年から2014年にかけて大学で臨床研究が行われ、東京女子医科大学10症例、東京女子医科大学・長崎大学10症例(長距離輸送検証:長崎大学で採取した細胞を東京女子医科大学で培養し、長崎大学で移植手術)、カロリンスカ大学病院(スウェーデン)10症例、の計30症例が既にあり、同社は、東京女子医科大学と開発基本合意契約を締結して同大学の研究成果を事業化に向けて引き継いだ。
16/12期第2四半期に治験届を提出し、19/12期第1四半期に治験を終了したが、統計的な優位性が証明されず追加治験が必要となった。PMDAとの追加治験に関する協議が完了したため、20/12期第4四半期に追加治験の治験届を提出する予定。

 

(同社資料より)

 

「軟骨再生シート」
「軟骨再生シート」は、東海大学整形外科 佐藤正人教授との共同研究であり、スポーツによる損傷や加齢を原因とする軟骨欠損や変形性関節症を適応症とする。

 

変形性膝関節症とは、緩徐に進行する難治性の関節軟骨変性。国内における患者数潜在的に約3,000万人、そのうち自覚症状を有する患者数は約1,000万人と推定されている。また、高齢化により患者数の増加が予測され、国民健康寿命・介護費・医療費の観点から喫緊に対処すべき疾患であると言う。現状では根治する方法がないが、佐藤教授との共同研究は軟骨表面の根本的な再生を目的としている。膝の軟骨は、硝子(しょうし)軟骨と言い、耳や鼻等の軟骨とは異なり、クッション性と対摩耗性に優れた硬い軟骨で再生が難しい。しかし、共同研究を進めている「軟骨再生シート」は、硝子軟骨として膝の軟骨を再生できる事が臨床研究で確認されている。

 

佐藤正人教授は、2010年に自己軟骨シートの臨床研究を開始し8症例を完了した。また、2019年1月には厚生労働省「第71回先進医療会議」において、東海大学医学部付属病院が申請していた「自己細胞シートによる軟骨再生治療」が先進医療Bとして承認された。先進医療として自己細胞シートによる軟骨再生治療の実施に際して、同社が軟骨再生シートの製造を請け負うが、20/12期8月に先進医療Bの第1号患者の手術が完了した。MetaTech社への導出も行い、台湾の法律(日本の先進医療Bに準じた法律)を基に自己軟骨シートの事業化に向けた準備を進めている。また、2019年11月には、佐藤正人教授との共同研究の成果の一つである「細胞培養シート、製造方法及びその利用方法」を米国で東海大学と共同特許出願し成立した。これにより、日米欧で知的財産権が保護された。

 

(同社資料より)

 

同種軟骨シート(患者以外の細胞を基にした細胞シート)による治療の研究開発も進められており、佐藤正人教授が2017年2月に臨床研究(同種軟骨細胞シートの移植手術)を開始し、1症例目を実施した。2020年3月までの3年間で10症例を予定しており、2021年に企業治験を実施する予定である。また、臨床研究と並行して、セルバンクの構築及び細胞シート製造の自動化にも着手する予定。同種軟骨シートによる治療は、AMED「再生医療の産業化に向けた評価化基盤技術開発事業(再生医療シーズ開発加速支援)」に採択されている(事業期間:2018年10月~2021年3月)。

 

 

再生医療支援事業
温度応答性細胞培養器材等の開発・製造・販売、及び細胞シート製品の製法開発・受託製造、施設管理・申請支援、細胞培養技術者教育等の再生医療受託サービスを手掛けている。
細胞シート製品の製法開発・受託製造では、製薬会社・研究機関からの委託を受けて、主に細胞シートの受託開発・製造を行う。日本再生医療学会認定の臨床培養士が所属しており、培養の経験豊富なスタッフによる再生医療等製品の製法開発・製造を特定細胞加工物の製造許可を受けた細胞培養加工施設で行う。尚、軟骨再生シートは東海大学が申請していた先進医療Bが2019年1月に承認された。この先進医療に使用される細胞シートは同社が細胞培養センターで培養(受託加工)する事が決まっている。

 

 

1-3 細胞培養センター

延床面積約763㎡で、自動モニタリングシステムによって、清浄度、室圧、温湿度、機器(培養器や保冷庫等)が自動管理され、監視カメラシステムも完備。また、羽田空港まで車で約20分と至近で空輸にも対応しやすい。2017年3月には「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」第35条第1項の規定に基づく「特定細胞加工物製造許可」(許認可権者:厚生労働省)を取得しており、特定細胞加工物の受託製造も可能。

 

(同社資料より)

 

2.2020年12月期第2四半期決算概要

2-1 上期連結業績

 

19/12期 上期

構成比

20/12期 上期

構成比

前年同期比

売上高

162

100.0%

58

100.0%

-64.1%

売上総利益

133

82.3%

40

69.2%

-69.8%

販管費

454

280.1%

381

653.4%

-16.2%

営業利益

-321

-

-340

-

-

経常利益

-320

-

-341

-

-

親会社株主帰属利益

-319

-

-340

-

-

* 単位:百万円

 

売上高58百万円(前年同期比64.1%減)、営業損失340百万円(前年同期は321百万円の損失)
前年同期比64.1%(104百万円)減の58百万円。再生医療支援事業は前年同期と同水準の売上を計上した。温度応答性細胞培養器材等の販売では国内及び海外で第2四半期及び第2四半期累計で国内及び海外で過去最高の売上を達成した一方、再生医療受託サービスにおいては、前年同期に台湾MetaTech社への開発データ提供に伴う売上100百万円を計上した細胞シート再生医療事業の売上が1百万円にとどまった。
損益面では、売上の減少で売上総利益が同69.8%(93百万円)減少したものの、研究開発費(208百万円→181百万円)の減少と経費の未消化も含めたその他経費(246百万円→199百万円)の減少で販管費が同16.2%(73百万円)減少したため、営業損失は340百万円と19百万円の増加にとどまった。

 

2-2 セグメント別動向

 

19/12期 上期

構成比

20/12期 上期

構成比

前年同期比

再生医療支援事業

57

35.3%

56

96.9%

-1.4%

細胞シート再生医療事業

105

64.7%

1

3.1%

-98.3%

連結売上高

162

100.0%

58

100.0%

-64.1%

再生医療支援事業

-20

-

-7

-

-

細胞シート再生医療事業

-127

-

-185

-

-

調整額

-173

-

-148

-

-

連結営業利益

-321

-

-340

-

-

* 単位:百万円

 

再生医療支援事業
売上高56百万円(前年同期比1.4%減)、営業損失7百万円(前年同期は20百万円の損失)。既存代理店との協業強化及び積極的な販売促進活動を行った結果、国内及び海外で過去最高額の売上げを達成した。前期に続き海外市場でのUpCel販売が伸びたことに加え、提携パートナーであるMetaTech社への器材販売も増加した。
尚、新型コロナウイルス等による感染症に対する研究用細胞を開発及び販売しているマイキャン・テクノロジーズ株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役CEO:宮﨑和雄)に細胞培養器材HydroCell™が採用された。マイキャン・テクノロジーズ(株)は大阪大学ベンチャーキャピタル(株)が運営するOUVC1号ファンドの投資先でもある。同社の事業である「コロナウイルスに対するワクチン開発におけるADE評価等のための細胞開発」はAMEDが公募した「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択されている。

 

 

UpCell®

細胞シート回収用(温度応答性)

・細胞をシート状に回収

・ホモ/ヘテロな細胞シートを重ねる3D培養に

 

RepCell ™

細胞回収用(温度応答性)

・トリプシンに弱い細胞の培養(各種幹細胞、樹状細胞、神経細胞、肝臓、マクロファージ等)

・表面抗原の研究

・フローサイトメトリー解析の前処理として

 

HydroCell ™

超低付着性細胞培養皿

・スフェロイド培養

・ソフト・アガー・アッセイの代替

・ES細胞の胚様体の形成

・マクロファージのシグナル伝達の解析

 

(画像はいずれも同社資料より)

 

 

自社細胞培養センターを活かした再生医療受託事業については、医師主導治験用の歯根膜細胞シートの製造受託の実績があるが(2019年11月完了)、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、共同研究先である東海大学より受託した先進医療にかかる1例目の自己軟骨細胞シートの製造開始が遅れた他、MetaTech社より受託予定だった食道再生上皮シート(台湾での治験用)の製造が中止となった。尚、東海大学より受託した先進医療にかかる自己軟骨細胞シートについては、2020年8月に第1号患者への移植が完了した。

 

 

細胞シート再生医療事業
売上高1百万円(前年同期比98.3%減)、営業損失185百万円(前年同期は127百万円の損失)。食道再生上皮シートでは、PMDAとの追加治験に関する協議が完了し、20/12期第4四半期に追加治験の治験届を提出することとなった。ただ、対象患者を限定したこと及びPMDAから当初の治験よりも多い症例数を求められていることから、製造販売承認申請までには時間を要し、2025年を想定している。このため、今後は、治験期間の短縮に向けて、治療施設の追加等を検討していく。一方、欧州における食道再生上皮シートに関しては、内視鏡治療の欧州での普及が当初想定したよりも進んでいないことから、日本における製造販売承認の取得に注力するため、開発を中止することを2020年7月16日に決定した。自己細胞シートによる軟骨再生治療では、2020年8月に先進医療Bの第1号患者の手術が完了した(同社が受託製造)。
海外では、食道、軟骨以外のパイプライン事業の開発・製造・販売を目的に、同社と台湾MetaTech社が中心となり、1月に合弁会社Up Cell Biomedical Inc(中国名:日生細胞生技股份有限公司)を設立した。

 

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年12月

20年6月

 

19年12月

20年6月

現預金

1,065

1,282

未払金

33

32

流動資産

1,245

1,376

前受金

30

30

固定資産

210

211

負債

110

101

資産合計

1,456

1,588

純資産

1,345

1,487

* 単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で132百万円増の1,588百万円。2019年9月に発行した第18回新株予約権(行使価格修正条項付)の行使が進み(2020年5月25日に全ての行使が完了)、現預金と株主資本が増加した。自己資本比率92.6%(前期末91.1%)。

 

 

キャッシュ・フロー

 

19/12期 上期

20/12期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

-58

-260

-202

-

投資キャッシュ・フロー

-7

-5

+2

-

財務キャッシュ・フロー

-

484

-

-

現金及び現金同等物期末残高

987

1,282

+295

+29.9%

* 単位:百万円

 

3.2020年12月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

19/12期 実績

構成比

20/12期 予想

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

275

100.0%

 -

-

-

310

-

営業利益

-780

-

 -

-

-

-1,020

-

経常利益

-786

-

 -

-

-

-1,020

-

親会社株主帰属利益

-782

-

 -

-

-

-1,020

-

* 単位:百万円

 

通期業績予想は未定
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、2020年1月台湾で設立した合弁会社への全般的な開発支援や、中国・台湾を中心としたアジア諸国への新規の事業提携・ライセンシングに向けた活動に遅れが生じている。これらの影響により、20/12期通期の連結業績について、「現時点で合理的に算定することが困難」として、2020年2月14日に公表した連結業績予想を取り下げ、未定とした。

 

尚、同社は全従業員に対して可能な限り在宅勤務を推奨するガイダンスを発表し、2020年2月27日に在宅勤務推奨期間に入った。在宅勤務推奨期間は現在も続いており、2020年9月30日まで現行の在宅勤務を継続する予定。今後、在宅勤務と出社勤務を併用し、各従業員の環境に対応した多様な働き方を推奨していく考え。

 

 

3-2 第19回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行

2020年8月6日にバークレイズ・バンク・ピーエルシーを割当先とする第19回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、発行価額の総額(3,780,000円)の払込みが完了した。発行した新株予約権数は35,000個(新株予約権1個当たり108円)。新株予約権が全て行使された場合の資金調達額は1,295,780千円(差引手取概算額)。新株予約権の行使期間は1年間(2020年8月7日~2021年8月6日)。資金使途として、研究開発資金、運転資金を予定している。

 

 

3-3 役員及び従業員向けのストックオプション

業績向上に対する貢献意欲及び士気を一層高めることが企業価値向上に資すると判断し、同社取締役に対し有償で第20回新株予約権を発行し、同社従業員に対し無償で第21回新株予約権を発行する。

 

第20回新株予約権(有償ストック・オプション)

新株予約権の割り当て対象者、人数及び割当数

取締役4名(1,200個)

新株予約権の総数

1,200個

新株予約権の株式の種類及び数

普通株式120,000株

 

第21回新株予約権(無償ストック・オプション)

新株予約権の割り当て対象者、人数及び割当数

従業員34名(1,159個)

新株予約権の総数

1,159個

新株予約権の株式の種類及び数

普通株式115,900株

 

3-4 第2回細胞シート工学イノベーションフォーラム開催延期

第2回細胞シート工学イノベーションフォーラムの開催を2020年10月15日に予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から延期を決定した。新しい日程に関しては、決まり次第同社ホームページにて案内する予定。

 

4.今後の注目点

20/12期業績予想が取り下げられ、未定となった。台湾では2018年にMetaTech社が食道再生上皮シートの治験届を提出し、その準備を進めている。本来、台湾の患者の細胞を日本に送り、(株)セルシードが食道再生上皮シートを日本で受託製造する予定だったが、コロナ禍で日本と台湾との間で生体物質のやり取りができなくなったため、急遽、台湾での製造に切り替えた。このため、治験届を再提出する必要が生じ、現在、その準備を進めている。また、(株)セルシードとMetaTech社が中心となり出資し2020年1月に台湾に設立した合弁会社Up Cell Biomedical Inc.. が、食道、軟骨以外のパイプライン事業の開発・製造・販売に取り組む予定だが、事業の立ち上げ向けた全般的な開発支援に遅れが生じた。この他、中国・台湾を中心としたアジア諸国への新規の事業提携・ライセンシングに向けた活動も制約を受けている。
ただ、明るい話題もある。器材製品が第2四半期及び上期で過去最高の売上を達成した。日本での食道再生上皮シートの追加治験届提出の見通しが立ったことに加え、軟骨細胞シートではコロナの影響により手術時期が遅れ、先進医療Bの第1号案件の受託製造については下期にはこの売上が計上される予定であり、今後、収益への貢献が増えてくるだろう。少しずつだが、見通しに明るさが増している。加えて、第19回新株予約権の発行により、13億円弱の資金調達の目途も付けた。手元にも13億円弱の資金を保有しており、向こう数年間、資金面での不安はない。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

4名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年03月31日)
基本的な考え方
当社は、技術革新と創造性を発揮し、質の高い優れた製品とサービスの提供を通じ、人々の健康と福祉に貢献していくことを使命とし、全ての企業活動において品質を高めるべく企業統治の整備を進めています。
今後につきましては、ディスクロージャーの透明性を高めるため一層説明責任を充実するとともに、さらなる経営のチェック機能強化を図ってまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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