ブリッジレポート:(6573)アジャイルメディア・ネットワーク 2020年12月期第2四半期決算
上田 怜史 社長 | アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(6573) |
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企業情報
市場 | 東証マザーズ |
業種 | サービス |
代表取締役社長 | 上田 怜史 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門3-8-21 虎ノ門33森ビル |
決算月 | 12月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
905円 | 2,087.080株 | 1,888百万円 | -31.6% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
0.00 | - | -13.55円 | - | 250.47円 | 3.6倍 |
*株価は8/19終値。発行済株式数、DPS、EPSは2020年12月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2016年12月(実) | 554 | 21 | 20 | 11 | 17.41 | 0.00 |
2017年12月(実) | 734 | 66 | 67 | 63 | 78.21 | 0.00 |
2018年12月(実) | 910 | 90 | 79 | 79 | 40.74 | 0.00 |
2019年12月(実) | 847 | -138 | -144 | -192 | -92.97 | 0.00 |
2020年12月(予) | 1,079 | -23 | -26 | -28 | -13.55 | 0.00 |
*単位:百万円、円。予想は会社側予想。2019年12月期より連結決算。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。
18年9月1日付で1:3の株式分割を実施。EPSは遡及して調整。
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の2020年12月期第2四半期決算概要などをご紹介します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第2四半期決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.今後の成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 20年12月期第2四半期の売上高は前年同期比20.0%減の3億30百万円。新型コロナウイルス感染拡大によりプログラムの解約、新規開設中止、イベント中止など大きな影響を受けた。営業損失は前年同期の67百万円から110百万円に拡大。減収に伴い粗利が減少したことに加え、事業領域拡大のため戦略的な投資を行った。売上、利益ともに期初予想を下回った。アンバサダープログラム導入件数は前期末比11件減の58件。プログラム単価は前年同期比18千円減少の4,593千円。
- 2020年12月期の業績予想に変更は無い。売上高は前期比2億32百万円増の10億79百万円、営業損失は同1億15百万円改善の23百万円の予想。下半期においても新型コロナウイルス感染症の影響は10月まで段階的に続くと想定しており、既存サービスに関しては、上半期と同程度の売上と予想している。
- 一方、アンバサダープログラムを簡易運営できる中小規模企業向け新サービスの開発・メニュー化を終了し、7月から新メニューとして本格投入・拡販を開始したことに加え、コロナ禍において導入が中断されていた「カタパルト」の新サービス投入、非接触を念頭に動画活用の需要を捉えた「PRISM(プリズム)」の拡大や台湾市場でのビジネス環境の復調を想定している。既存サービスにおけるコロナ禍の影響分については、当初予想に見込んでいなかったアンバサダープログラムを簡易運営する新サービスで大半を補えると判断しているため通期予想は据え置いている。
- 新型コロナウイルスの影響は10月程度まで残るものの、新サービスのリリースや「PRISM」による動画需要取り込みで、通期では増収・損失縮小、下期は半期ベースで上場以来最高の売上・利益になると会社側は見込んでいる。将来を見据えた戦略的投資を継続しながらも、下期の急回復を実現できるか、まずは第3四半期における中小規模企業向け新サービスの実績を注目したい。
1.会社概要
「ファンの“好き”を加速する」をテーマに、クライアント企業の商品や製品・サービスのファンである「アンバサダー」を対象にクチコミ(利用体験の発信・購入の推奨)の活性化や購買促進、商品開発を支援する様々なサービスを提供。
得意とする分析テクノロジーと運営ノウハウを核に外部パートナーとのアライアンスも進め、アンバサダー事業の拡大と並行し、カタパルト事業、海外事業への投資により成長のスピートアップと規模拡大を追求する。
【1-1 沿革】
2007年2月設立。インターネットの発達に伴う新しいコミュニケーションの在り方を追求する中で、ブロガーをネットワークした広告配信を開始する。2008年6月にはブログの特長や影響力を分析する分析ツール「ブログチャート」の提供を開始。Twitter、FaceBookなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及・浸透に合わせ2010年6月、SNSを活用したキャンペーン構築システム「ソーシャルタイアップ」を、2012年4月にはソーシャルメディアを横断して影響力を測定する「ユーザーチャート」を相次いでリリースする。
2013年7月に、現在の中心事業である「アンバサダープログラム」をリリース。2016年1月にはアンバサダーの統合管理・分析ツールである基幹システム「アンバサダープラットフォーム」の提供を開始した。SNSでの活動を実際の売上に結び付けたい企業のニーズを取り込み採用実績および収益はともに拡大。2018年3月、東証マザーズに上場した。
【1-2 企業理念】
以下のような、VISION、MISSION、VALUEを掲げている。
VISION | 世界中の好きを加速する。 Ignite Passion all over the world. |
MISSION | 個の力を最大化し、小さな経済を成長させる |
VALUE | 01 迷ったらファン目線。 02 期待以上を目指す。 03 すぐ決めてすぐ動く、何度でも挑戦する。 04 チームで最高の価値を創る。 05 変化を起こし、変化を楽しみ、新しい価値を生み出そう。 06 すべては自分事。 07 目標は実現するもの。 |
特にMISSIONにおいては、不特定多数の「誰か」ではなく「特定少数のファンが求めることは何か」、まだ見ぬ新規顧客ではなく「どうすれば目の前の方がファンになってくれるか」を考え続け、小さな経済の主役である1人ひとりの「人」の「個の力」をテクノロジーと創意工夫で加速させることが役割であると認識している。
上記ビジョンに加え、「新たな変化への対応と、自ら変化を起こす企業であることを再定義する」「過去ではなく、これから実現することに合わせた象徴にする」「当社が大切にする価値観をわかりやすく説明できるようにする」ため、2020年7月6日に
CI(コーポレートアイデンティティ)を刷新し、社名ロゴ及び、自社サイト(https://agilemedia.jp/)を改訂した。
【1-3 同社を取り巻く環境】
◎広告市場の変化
株式会社電通による「2019年 日本の広告費」によれば、下のグラフが示す通り、過去12年間で新聞・雑誌・ラジオ・TVのいわゆるマスコミ四媒体はCAGR(年平均成長率)で2.5%の減少だったのに対し、2005年には3,777億円であったインターネット広告費はCAGR13.1%で拡大を続け、2019年には2.1兆円へと急成長している。
商品・サービス内容が成熟し機能的な差別化が難しくなるのに加え、消費者やユーザーの嗜好が多様化する中で、マスを対象に企業が情報を一方的に伝達しても消費者の購買・利用意欲を喚起することは難しい一方、様々なテクノロジーをベースに、双方向性に優れ、絞り込んだ消費者・ユーザーにリーチできるインターネット広告が費用対効果の面からも企業のニーズを取り込んでいることが見て取れる。
(株式会社電通「2019年 日本の広告費」を元に弊社作成)
また、詳細な金額は明らかではないが、プロモーション(販促)ページ制作費やソーシャルメディアのための広告制作費・制作関連(システム運用)費の増加も同調査においては指摘されている。
広告主の「売上増」に繋がるマーケティングやプロモーションに対するニーズは今後もより一層強まることが予想される。
◎SNS普及に伴う「クチコミ」の影響力増大
同社資料によれば、「信頼されている情報元は何か?」との質問に対し、第1位は「知人のおススメ(クチコミ)」で92%、第2位が「消費者のオンラインレビュー」70%となっており、新聞記事などの編集コンテンツ(58%)、ブランドWebサイト(58%)、許可したEmail(50%)を上回っている。
インターネットを用いた広告やマーケティングが伸長する中で、信頼性という観点からスマートフォンやSNSの普及による「クチコミ」の影響力は増大しており、クチコミ発信に対する企業の関心は日に日に高まっている。
【1-4 事業内容】
同社は、クライアント企業やその製品・ブランドのファンであるアンバサダーのクチコミ(利用体験の発信・購入の推奨)による情報発信力や運営ノウハウを活用して、分析、プロモーション、販売促進活動、商品開発を支援する「アンバサダープログラム」を中心に、テストマーケティングプラットフォーム「カタパルト」、パーソナライズド動画生成ソリューション「PRISM(プリズム)」などを展開している。
セグメントはアンバサダー事業の単一セグメント。
(1)ファン育成・活性化ソリューション「アンバサダープログラム」
プロモーション、販売促進活動、商品開発等を支援するファン育成・活性化ソリューション「アンバサダープログラム」は、クライアント企業の取り組みや製品・サービスの価値を正しく伝えることが難しい時代において、「アンバサダー」を通じて周囲の友人や知人に魅力を伝えることで、クライアント企業のより効果的なマーケティング活動推進に貢献するもの。
(アンバサダーとは?)
「アンバサダー」とは英語で「大使」のこと。
そこから転じて、特定の製品やサービス等の魅力を伝える役割を果たす人のことを指し、有名芸能人やスポーツ選手が著名ブランドのアンバサダーとして活動する事例などを見受けるが、同社では好きな企業、製品やサービスについて自発的にクチコミや推奨するファンを「アンバサダー」と定義した。
同社の「アンバサダー」は、一般の消費者・ユーザーの中から選ばれ、特定のブランドや商品・製品について、自発的に満足を伝えたり推奨を行ったりする(金銭報酬は発生しない)。アンバサダーのクチコミが届く対象はアンバサダーの身近な友人や知人である。
(同社資料より)
(なぜアンバサダーが重要なのか?)
【1-3 同社を取り巻く環境】で触れたように、製品やサービスが高機能化・成熟化する一方、消費者の嗜好も多様化する中で、これまでのTVCM・新聞・雑誌などいわゆる「マス広告」だけでは、自社の製品やサービスの価値を十分に伝えることは困難となっている。
一方、インターネット普及以前から製品やサービスの評判を伝える「クチコミ」は存在し、友人や知人から伝えられる商品に関する満足や推奨は購買選択に影響を与える重要な情報であったが、個人が情報を発信するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及により、個人が「クチコミ」を発信する機会とともにその影響力が増大している。
成熟した市場におけるプロモーションや商品・サービス開発にはファンの存在が不可欠で、価値伝達における身近なアンバサダーによる「クチコミ」の重要性は益々高まっている。
①アンバサダープログラム®
アンバサダーの発見・登録・分析・連絡に使用する基幹システム「アンバサダープラットフォーム」を基盤に、プログラム運用支援やクチコミを促進するための施策の企画・運営支援など、様々なサービスを提供している。
(アンバサダープログラムの標準的な流れ)
①告知 | 企業が保有する会員組織(メールマガジン、eコマース会員、企業の公式SNS登録者など)に登録しているファンにアンバサダープログラムの案内をメールなどで告知する。 |
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②登録 | ファンは同社が設置するアンバサダープログラム登録フォームからアンバサダー登録を行う。登録時に各人のSNSやブログの影響力やクチコミ貢献度を分析する。 |
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③企画募集・選出 | 企画に応募したアンバサダーを分析したデータを元に、熱量が高く貢献度の高いメンバーを選出する。 |
↓ |
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④活性化支援 | アンバサダー限定の機会(限定モニターやイベントへの招待など)を提供し、アンバサダープログラムを推進する。 |
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⑤クチコミ発生 | アンバサダーから直接、SNSを通じて体験の感想や商品の特徴が伝わることで、友人や知人に影響を与える。 |
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⑥効果測定 | 同社ASPサービス「アンバサダープラットフォーム」によるクチコミ(SNSなどの発言内の文字や画像)の分析やアンケート調査により効果測定を行う。 |
(同社資料より)
*企業が保有する会員をベースにアンバサダーを募集するため会員数の多寡により1プログラム当たりのアンバサダー数は1,000人から十数万人と幅はあるが平均は約2,000人。
*後述するように、協業先の企業が保有する会員資産やデータを使用して、趣味やテーマのアンバサダー組織を運営しており、会員組織が小さい企業でもアンバサダープログラムを利用できるような体制を整えている。
また、TwitterやFaceBookからファンを見つけてアンバサダープログラムの存在を知ってもらうための告知も行っている。
*アンバサダーの貢献度は、いわゆるインフルエンサーとは異なり、広く広める影響力だけではない。範囲は決して広くなくても定期的に知人・友人に発信してもらうことも重要であり、同社ではそうしたデータも緻密に収集・分析している。
(基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」とは?)
アンバサダープログラムを効率的、効果的に運営するためのシステムが、同社が自社開発した基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」である。
ASPサービスである「アンバサダープラットフォーム」は、アンバサダーの発見・告知・登録・管理・抽出(条件の抽出やグループ化)、クチコミの分析(登録者一人ひとりのクチコミを断続的に収集)、アンバサダーの分析(一人ひとりの影響力をレベルで判定するほか、クチコミの広がりや友人の反応を把握)、貢献評価(アンバサダー全体の貢献を判定)を行い、このサイクルを回すことで、費用対効果の高いプロモーション活動を可能にしている。
(同社資料より)
企業が自社でTwitterやFaceBookを運営している場合、公開アカウントにおけるフォロワーや「いいね!」といっている友達が何名いて、そのフォロワーや友達には何名のフォロワー・友達がいるかは把握できるが、フォロワーが自身の様々なSNSアカウントで普段どんな発信をしているかは判明できない。
これに対し同社ではTwitter、FaceBook、ブログにおいて、そのフォロワーが「特定のキーワードについてどんな発言をしたか?」、「その発言に対しどのような反応があったか?」までをデータとして収集することができる。
つまり、企業自身では行うことのできない「ひとを軸とした複合的、多面的な情報収集・分析作業」ができるのが基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」の最大の特徴であり、情報収集・分析・検証を通じて企業にとってより適切なファン活性化のプログラムを提供できる点が、クライアント企業に評価されている最大のポイントである。
(クライアント企業におけるメリット)
*ファン・満足・需要・効果の可視化
「アンバサダープログラム」を通じてファンによる商品やサービスのクチコミを活性化することで、4つの可視化を行っている。
ファンの可視化 | どの位の熱量や貢献をしているファンがいるのかを見つけることができる。 |
満足や選択理由の可視化 | アンバサダーが商品やサービスに満足した利用体験や「なぜ選んだのか」という選択理由などを説得力をもって伝えることができる。 |
需要の可視化 | アンバサダーを起点に会話が生まれ、製品を「使ってみたい」、「買いたい」などの友人・知人の需要が可視化できる。 |
成果の可視化 | 施策による成果の予測と効果測定および検証が可能である。 |
例えば、商品サンプリングを行う場合、通常のサンプリングは応募者に対して無作為に当選者を選出し、商品体験をしてもらうが効果測定を行うことはできず、どのような成果が見込めるか、事後どの程度成果があったかは不明である。
これに対しアンバサダープログラムにおいては、クチコミや影響力を指標に候補者を選出することができるほか、商品体験後は貢献度の高いアンバサダーによるクチコミの発信・拡散が期待でき、クチコミ・波及の有無や友人・知人の反応を把握することで効果測定も可能であり、成果の見込みと検証が可能な費用対効果の高い施策となる。
(同社資料より)
*顧客生涯価値(LTV:ライフ・タイム・バリュー※)の向上
「アンバサダープログラム」への参加を通じて、商品選択への信頼・納得や企業への親近感を向上させることで、顧客(アンバサダーやファン)が他の競合商品へ流出するのを軽減することができる。
また、継続した購買により、顧客生涯価値を高めることも可能である。
※顧客生涯価値
顧客が特定の企業やブランドと取引を開始してから終了するまでの期間内にどれだけの利益をもたらすのかを算出したもの。既存顧客重視の観点から注目されており、一般的に熱心な顧客ほど企業にもたらす利益が大きいとされる。
*キャンペーンや商品開発におけるアイデアや改善点の抽出
従来企業単独で実施していた「商品開発」や「改善」への取り組みをアンバサダーと共に推進することで、より利用者視点での商品・サービス開発に繋げることができる。
(アンバサダーのメリット)
アンバサダー限定のイベントやモニタープログラムへの参加 | イベントを通じて企業の担当者と直接話せたり、新商品をいち早く利用したりできる。 |
商品開発プロジェクトや企画会議への参加 | 共同商品開発や販促物開発といった機会に参加することができる。 |
発信したクチコミが多くのファンへ露出される | 発信したクチコミ(ブログ記事やSNSの投稿)が、企業が実施する広告やSNS公式アカウントで紹介・露出されることで貢献が評価される。 |
アンバサダーには金銭報酬は支払われないが、アンバサダーは金銭的な見返りよりも、特別な機会を体験できる点に充足感を得ており、それゆえ情報の信頼性が高い点もアンバサダープログラムの特徴である。
(収益モデル)
同社は、クライアント企業のアンバサダープログラムの企画・導入・運営サービスを提供し、対価を受領している。
提供するサービスは毎月定額で発生する「ベース費用」と、プログラムごとで適切な時期に実施するイベントやキャンペーンなどの「施策費用」に分かれており、おおよそ月額55万円から。半年~1年単位での契約となっている。
「ベース費用」はアンバサダー管理や分析を行うシステムである「アンバサダープラットフォーム利用料」と、問合せ対応窓口などを運営する「プログラム事務局運営費用」で構成される。
「施策費用」の主なサービス内容は以下のとおりである。
アンバサダーイベント | 同社がクライアント企業から運営委託を受けてアンバサダーを会場などに呼び、新商品発表や講習会などを行う。アンバサダーにとっての特別な体験の提供を行うことでアンバサダーを活性化しクチコミを促進する。 |
アンバサダーサンプリング | 多くのアンバサダーに商品を実際に使用してもらうために商品を提供・貸出する。商品の管理・梱包・発送・返却などを同社が代行する。 |
SNS投稿企画 | SNSの利用者が参加できる投稿・投票型のWebキャンペーンをクライアント企業に代わって同社が企画・運営する。アンバサダー自身のSNSアカウントで参加することでキャンペーンが拡散されるため、アンバサダーの投稿(クチコミ)を見た知人・友人が更に参加し、SNS上で話題が拡散することが期待できる。 |
(同社資料より)
(その他のサービス)
アンバサダープログラムをより効果的なモノとするために以下2つのサービスを提供している。
*レビューズ
同社が提供する情報発信者と、商品の魅力を伝えたい企業をマッチングするサービス。
商品訴求やイベントへの参加、コンテンツ制作といった企業の要望に対して、情報発信者それぞれの得意分野から適切な発信者を選定し、企業と情報発信者のやり取りを代行する。ブログ記事やSNS投稿の生成から効果測定を支援している。
*アライアンスサービス
クチコミ分析機能とファン活性化のノウハウを活用し、協業先の企業が保有する会員資産やデータと組み合わせることで付加価値の高いサービスを提供する。
(協業例)
*メディア企業との取り組み
例えばアウトドアやゴルフなど、趣味や属性に特化したファン組織を立ち上げ、企業のプロモーション活動とクチコミの効果測定サービスを提供する。
*マーケティング企業との取り組み
顧客管理システムやデータ分析ツールを提供する企業と協業し、システムやツール利用企業がツール内に保有するデータと同社の分析データを組み合わせることで他にはない付加価値を提供する。
(今後の方向性)
◎SaaS型ツールモデルの販売実をスタート
現状は大手企業向けのカスタマイズモデルによるプログラム運営支援が中心だが、収益源を多様化させるとともに、収益の安定化、収益性の向上をはかるために単体ツール販売を中心としたサブスクリプション課金による「SaaS(※)モデル」の提供を検討してきた。2020年6月よりテスト販売を開始したところ数件の受注に結び付き、7月より新メニューとして本格投入・拡販を開始した。
(同社資料より)
(※)「SaaS」(Software as a Service):ソフトウェアを利用者(クライアント)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するもの。
(2)テストマーケティングソリューション「CATAPULT(カタパルト)」
①背景・課題
テクノロジーの進化、大企業とスタートアップのコラボレーション、ユニークなアイデアを形にするクリエイターやデザイナーの活躍などによって様々な製品が生まれている。
ただ、その一方で、特に新規ブランドや中小規模の企業においては商品やサービスの価値を正しく伝え、購入時に選んでもらうために越えなければならない壁はいくつも存在し、大きな課題となっている。
②「カタパルト」とは?
アンバサダープログラムを通じてこれまでに多くのアンバサダーに対して様々なブランド体験を提供してきた同社が、そのノウハウを生かし、ユーザーの感動体験からブランドストーリーを創造し、新しい購入体験・顧客体験をデザインするためのプラットフォームとして立ち上げたのが「CATAPULT(カタパルト)」である。
上記のような環境下、これから世に出そうと考えている新製品や、まだ価値や魅力が伝わっていない製品を対象に、市場投入への発射台として、リアル店舗向けおよびEC向けそれぞれの施策を提供する。
カタパルトとは空母の飛行機射出機や投石機を指す。まだ世に出ていない、価値が伝わっていない製品やサービスの「発射台」 として、企業とファンが共に盛り上げる場を提供したいと考えて命名した。
③サービス構成・特長
「リアル店舗向け施策」、「EC向け施策」の2パターンを提供している。
◎リアル店舗向け施策
ECが大きな伸長を見せているが、日本における商品全体のECにおける購入割合は依然6%程度であり、圧倒的に大部分は店舗で購入されており、同社では、作り手の想いが伝わりにくい時代においてリアルな顧客接点の体験価値が重要と考えている。またEC業者もリアル店舗を展開するケースも増えており、その重要性はますます増大すると見込んでいる。
そこで、「流通小売の販売連携強化」と「店頭プロモーション・分析支援」を軸に、価値を伝える情報の構築から販売チャネルの提供までを圧倒的なコストパフォーマンスで実現することによって商品の購入を支援する。
[支援内容]
*テスト販売チャネルの提供
*販促コンテンツ制作
*流通小売の販路開拓
*流通小売でのプロモーションや店頭分析
(具体的な取り組み)
鹿児島県・宮崎県エリアでファミリーマートを約400店舗展開する株式会社南九州ファミリーマートと業務提携した。
南九州ファミリーマートが担当する鹿児島県と宮崎県のファミリーマート店舗に来店する顧客を対象に、様々なテストマーケティングが可能なメニューを開発・提供する。
これまでも南九州ファミリーマートは地元TV番組と連動し、鹿児島で人気のラーメン店を一般投票で選出する「鹿児島ラーメン王決定戦」を実施し、上位入賞店のラーメンをカップラーメンとして商品化するなど様々なファン参加型の企画を実現させている。
*流通小売の販売連携強化
そこで、アジャイルメディア・ネットワークが提供するSNSやブログのクチコミが分析可能なツール「アンバサダープラットフォーム」を活用し、
*鹿児島・宮崎エリアにおけるファンの組織化と活性化
*メーカー向けテストマーケティングメニュー開発・提供
*ファン組織を活用したプロモーションメニュー開発・提供
などを展開、流通小売の販売連携を強化する。
(同社資料より)
テストマーケティングの場を提供するとともに、実際の反応を分析できるこのサービスは、商品開発および魅力ある売場づくりという観点から、メーカーにとっては極めて価値の高いソリューションとなる。
*店頭プロモーションおよび分析支援
また、新商品の全国販売前にエリア限定で販売することで売れ行きを調査する他、ファンによるクチコミを元に店舗ごとに売場で提供する情報を変えることなどの施策が可能。
こうした施策により、どの様な顧客層に訴求すると効果が高いかなど商品理解や購買への貢献分析が可能となり、メーカーは本格展開前のプロモーションアイデアを得ることができる。
(同社資料より)
同社では、「売り場」との関係強化によりメーカーへの影響力を高めて、精度の高い店頭マーケティングや、新商品の流通小売向け営業・販促支援活動に貢献することを目指している。
◎EC向け施策
ECにおいて、「納得・共感して買う」といった顧客体験は著しく減っており、消費者の体験に基づいたストーリーをしっかりと構築し、伝えていくストーリーコマースの手法から、ブランドや商品のブランディングを支援する。
ブランディングを通して独自の競争力を伸ばし、ロイヤリティの高い顧客を生み出すだけでなく、「体験」を伝えながら販売することで単なるモノ売りではなくコト(体験)を販売していくことが可能である。
[支援内容]
*ストーリーコマース支援
*EC機能の提供
*ブランディングコンテンツの企画・制作
*コンサルティング
(3)パーソナライズド動画生成ソリューション「PRISM(プリズム)」
2019年7月、ひとりひとりに最適化した動画を自動生成するマーケティングソリューション「PRISM(プリズム)」の開発を行う株式会社クリエ・ジャパンの全株式を取得し、子会社化した。
◎PRISM(プリズム)とは?
(概要)
「PRISM」は、ユーザー情報をもとにサーバ上で自由に動画を組み合わせ合成することで、ユーザーの特性に最適化した動画を大量かつリアルタイムに生成し提供することが可能な動画ソリューション。
今までに80のプロジェクトで50万本超の動画を生成・配信した実績をもち、パーソナライズド動画生成技術で特許を取得している。企業はPRISMを導入することで、自社サービス利用者の登録内容や利用実績などをもとにしたコミュニケーションを行う際、利用者のニーズに沿った動画を活用して行うことが可能になり、購買促進や、解約率の低下といった課題解決を実現することができる。
(同社資料より)
(特長)
一般的に、動画制作サービスとしては1本ずつクリエイターが企画・制作する「単品制作」に加え、最近ではAI等を活用して複数の動画を生成する「パターン制作」サービスが登場している。
動画制作サービスの中でも、「PRISM」はユーザーや顧客のニーズに基づきひとりひとりに最適化した動画をリアルタイムに生成することが可能であるため、その他の動画制作サービスと比較すると個人別のニーズを満たした動画を低コストで大量に生成可能な点が特徴である。
(同社資料より)
*導入実績
採用先 | 導入内容 | 効果 |
保険会社 | 契約更新時の案内に利用者の属性データを元に最適化した特約付帯促進の動画を配信しアップセル | 動画未配信層と比較して継続率が2倍以上に向上 |
ヘアサロン | 新規顧客の再来店促進や休眠利用者へ来店喚起を目的に、スタイリストが担当の顧客に対してメッセージ付き動画を配信しスタイルを提案 | パーソナライズド動画を視聴した顧客の30~50%が再度来店 |
エンターテイメント企業 (ソーシャルゲーム) | ゲームを利用するユーザーの活性化を目的に過去の利用状況やゲームデータを用いてゲームに登場するキャラクターやセリフの内容が変化する動画を提供 | 数万人に向けて配信した結果SNSで多くの二次拡散が行われた |
(クリエ・ジャパン子会社化の背景・意図)
同社資料によれば、日本における2018年の動画広告市場は1,843億円で前年比34%増と急速に拡大している。
さらに2020年からは第5世代移動通信システム(5G)の本格導入が始まることもあり、今後もさらに拡大するものと同社では見込んでいる。
そうした状況下、アジャイルメディア・ネットワークは、クリエ・ジャパンが保有するパーソナライズド動画のノウハウやテクノロジーと、自社が保有するファン活性化のノウハウを組み合わせることで、より効果的なマーケティング支援サービスが展開できると考えた。
(ソリューション強化の取り組みと今後の展開)
同じく2019年7月、動画の制作プラットフォーム「ムビラボ」を運営する株式会社フラッグシップオーケストラと業務提携を行った。フラッグシップオーケストラ社は月間1,000本を超える動画コンテンツの制作実績と豊富な動画反応データの蓄積・分析を強みとしている。
アジャイルメディア・ネットワークが保有するファンによるSNSのクチコミデータを元に、顧客企業が抱える課題やビジネス指標を解決するための動画コンテンツを動画マーケティングの知見をもつフラッグシップオーケストラ社が制作。更にクリエ・ジャパンが持つ「PRISM」の特許技術を活かし、業界や商品に特化したパーソナライズド動画による新しい事業モデルの構築を推進する。
(同社資料より)
上記のような特長や効果から幅広い業種における導入が見込まれ、中期的な業績に大きく寄与すると会社側は考えている。
【1-5 特長と強み】
1人ひとりの情報発信力や企業や製品に対しての興味度合いを分析する「テクノロジー」と、「アンバサダーを活性化するためのノウハウ」が同社最大の差別化要因であり、テクノロジーとノウハウを活かした効果測定により、クライアント企業に今後のマーケティング活動に有用な情報を提供できる点が同社の強みである。
(テクノロジー)
熱量や貢献度の高いアンバサダーの「発見」、アンバサダーによるクチコミの「活性化」、クチコミの成果を把握する「効果測定」において、独自の企画・運営ノウハウと登録・管理・分析が可能な基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」により、クライアント企業に今後のマーケティング活動に有用な情報を提供することができる。
(アンバサダー活性化のノウハウ)
一連のサービスをネット上の参加企画である「オンライン施策(ネット)」だけでなく、イベントや商品開発プロジェクトなど「オフライン施策(リアル)」までワンストップで提供することができる点も他社にはない同社の大きな特長である。
例えば、ファンを招待する「イベント」や商品を試用してもらう「サンプリング」を実施する際に、応募者の中からクチコミの期待値が高いアンバサダーを分析したデータを元に選出することでプロモーションの「成果の見込み」をたてることが可能である。また、実施後には参加者によるSNSやブログによるクチコミの有無、クチコミの拡がりや友人の反応を把握することが可能なため、施策の成果を検証することができる。
2.2020年12月期第2四半期決算概要
(1)損益概況
| 19/12期2Q | 構成比 | 20/12期2Q | 構成比 | 前年同期比 | 期初予想比 |
売上高 | 413 | 100.0% | 330 | 100.0% | -20.0% | -138 |
売上総利益 | 221 | 53.5% | 157 | 47.6% | -28.7% | - |
販管費 | 288 | 69.8% | 267 | 80.9% | -7.2% | - |
営業利益 | -67 | - | -110 | - | - | -64 |
経常利益 | -74 | - | -108 | - | - | -60 |
四半期純利益 | -64 | - | -109 | - | - | -61 |
*単位:百万円。
減収・損失拡大、期初予想を下回る。
売上高は前年同期比20.0%減の3億30百万円。新型コロナウイルス感染拡大によりプログラムの解約、新規開設中止、イベント中止など大きな影響を受けた。
営業損失は前年同期の67百万円から110百万円に拡大。減収に伴い粗利が減少したことに加え、事業領域拡大のため戦略的な投資を行った。
売上、利益ともに期初予想を下回った。
(2)事業動向
アンバサダープログラム導入件数は前期末比11件減の58件。
新型コロナウイルスの影響により解約が増加した。プログラム単価は前年同期比18千円減少の4,593千円。
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(3)財務状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
| 19年12月末 | 20年6月末 |
| 19年12月末 | 20年6月末 |
流動資産 | 311 | 295 | 流動負債 | 156 | 163 |
現預金 | 135 | 163 | 仕入債務 | 9 | 12 |
売上債権 | 156 | 113 | 短期借入金 | 100 | 100 |
固定資産 | 408 | 420 | 固定負債 | 36 | 131 |
有形固定資産 | 17 | 16 | 長期借入金 | 36 | 131 |
無形固定資産 | 346 | 360 | 負債合計 | 192 | 294 |
投資その他の資産 | 44 | 43 | 純資産 | 527 | 421 |
資産合計 | 719 | 715 | 利益剰余金合計 | -216 | -325 |
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| 負債純資産合計 | 719 | 715 |
*単位:百万円。
売上債権が減少し資産合計は前期末比3百万円減少の7億15百万円。
長期借入金が増加し、負債は同1億2百万円増加の2億94百万円。(7月にも2億円の長期借入を実行)
利益剰余金のマイナス拡大で純資産は同1億6百万円減少の4億21百万円。
自己資本比率は前期末の72.6%から14.7%低下し57.9%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 19/12期2Q | 20/12期2Q | 増減 |
営業CF | -15 | -30 | -15 |
投資CF | -116 | -39 | +77 |
フリーCF | -132 | -70 | +61 |
財務CF | 65 | 97 | +31 |
現金及び現金同等物 | 247 | 163 | -84 |
*単位:百万円。
税金等調整前四半期純損失の拡大で営業CFのマイナス幅は拡大。投資による支出減少でフリーCFのマイナス幅は縮小。
キャッシュポジションは低下した。
(4)トピックス
①SNSマーケティングオートメーション「DIGITAL PANDA(デジタルパンダ)」の開発を行う株式会社popteamを子会社化
2020年7月、SNSマーケティングオートメーション「DIGITAL PANDA(デジタルパンダ)」の開発を行う株式会社popteamの全株式を取得し子会社化した。
譲渡日は2020年7月6日。取得価額は非公開。
(株式会社popteam概要)
2019年2月設立。SNSアカウント運営の自動化及び分析を行うSNSマーケティングオートメーションツール「DIGITAL PANDA(デジタルパンダ)」を提供している。
「DIGITAL PANDA」はInstagramやTwitter等のSNSを活用したマーケティング活動を自動化することで、SNSアカウント運営業務を削減するとともに、良質なSNSユーザーを集客することが可能になるSNSマーケティングオートメーションサービス。中小企業から小規模事業者、インフルエンサーなどの個人まで、幅広く活用されており、累計で500社を超える企業に導入されている。
(子会社化の背景)
SNSは、若者を中心にコミュニケーションや情報収集の手段として定着し、その利用者は年々増加傾向にある。また、新型コロナウイルス感染拡大の状況下において様々な取り組みが制限される中、マーケティング投資を拡大した取り組みとして「SNS活用・SNS広告」を挙げる企業が最も多く、改めてSNSの活用が活発化している。
アジャイルメディア・ネットワークでは、業容拡大のためにはクライアント層を大企業のみでなく中小規模の事業者や個人にも広げる必要性があり、中小企業から小規模事業者、個人まで幅広く活用されている「DIGITAL PANDA」を運営するpopteam社を子会社化することとした。
(今後の展開)
アジャイルメディア・ネットワークグループが持つテクノロジーを活用した「DIGITAL PANDA」契約者のSNSアカウント分析の強化、動画合成・生成の特許技術である「PRISM」との連携、両社共同による導入検討企業への販売等により提供サービスの付加価値向上を図り、業容拡大を目指す。
②ITエンジニア向けコミュニティを運営するVH Education Services Private Limited(インド)と業務提携
2020年8月、インドでITエンジニア向けコミュニティを運営する「Skillenza(スキルレンザ)」を提供するVH Education Services Private Limited(以下VHES社)が発行する強制転換条項付転換社債を取得するとともに、VHES社との間でインドにおけるITエンジニア採用市場に向けたパーソナライズド動画のサービス開発・提供に関しての業務提携契約を締結した。
(VHES社概要)
2012年3月設立。インドにおいて」ITエンジニアのスキル評価を行い、求職者と企業を繋ぐHRテック企業。
現在70万人超のITエンジニアがエンジニアコミュニティ「Skillenza」に登録している。
(業務提携の背景)
アジャイルメディア・ネットワークの子会社であるクリエ・ジャパンは動画合成・生成テクノロジー「PRISM(プリズム)」を活用したマーケティング支援を推進しているが、その拡販が重要な課題と認識している。
VHES社との関係強化はPRISMの海外展開を行うためにも有益であることに加え、今後益々需要性が増すインドのITエンジニア採用領域における「Skillenza」を通じた取り組みはPRISMの事業展開を加速させることにつながると判断したため、VHES社が発行する強制転換条項付転換社債の取得及びVHES社との業務提携契約締結を決定した。
(業務提携の内容)
「Skillenza」を利用する求人企業及び、登録するITエンジニアに対して、個別最適化されたPRISM動画の共同開発メニューを提供・販売することで、インドのエンジニア採用市場における体験の向上とマッチング成果の向上を実現する。
主要メニューは以下の通り。
①職務内容を記載した募集要項(job description:JD)の動画化と人材マッチング
②職務経歴書や履歴書の動画生成(ビデオレジュメ)
③エンジニアのスキル状況に最適化した研修プログラムの動画生成・提供
(強制転換条項付転換社債の概要)
発行金額:約21百万円
取得日:2020年8月14日
③AIカメラ分析ソリューション「SkyREC(スカイレック)」が経済産業省「IT導入補助金2020」対象ツールに認定
2020年8月、同社は経済産業省が実施する「IT導入補助金2020」において「IT導入支援事業者」に採択され、同社提供のAIカメラ分析ソリューション「SkyREC(スカイレック)」が補助金対象のITツールとして認定された。
(AIカメラソリューション「SkyREC(スカイレック)」概要)
「SkyREC(スカイレック)」は、世界15ヶ国で110ブランド、2,250店舗以上に導入実績がある小売店舗分析に特化したAIカメラソリューション。
店内・外に設置したカメラの画像分析で、来店者の性別や年齢などの属性分析や店舗内の滞留、導線分析、リピート客把握などの重要指標の分析を行い、その分析データを活用することで、「売れる売場作り」が可能である。
加えて、コロナ禍においては、密集検知、発熱検知、マスク検知、分析情報の共有により、従業員の安全に配慮しながら、管理者や現場責任者が効率的に、新型コロナ対策の実行が可能である。
このように、「攻めの活用:販促支援・分析」と「守りの活用:新型コロナ対策」の両面を、中小企業・小規模事業者に提供するものである。
(「IT導入補助金2020」概要)
業務効率化・売上アップのサポートを目的に、中小企業・小規模事業者を対象にITツール(ソフトウェア・サービス等)導入時の経費を一部補助する制度。
現在、通常枠の「A・B類型」に加え、新型コロナ感染症が事業環境に与えた影響への対策および同感染症の拡大防止に向け、非対面型ビジネスモデルへの転換や、テレワーク環境の整備などに活用するための特別枠「C類型」が設けられている。
同制度を利用すれば、最大補助率1/2~3/4で「SkyREC(スカイレック)」の導入が可能となる。
④第三者割当による新株式及び新株予約権発行による資金調達を実施
2020年7月6日、第三者割当により新株式及び第9回新株予約権を発行した。
(新株式の概要)
発行新株式数:132,700株
払込金額:754円/株
払込金額総額:約1億円
(第9回新株予約権の概要)
予約権総数:3,979個(1個につき100株)
株式数:397,900株
発行価額:580円/株
行使価額:754円/株
調達額:約3億円
割当先はいずれもOakキャピタル株式会社。
資金使途はM&A及び資本業務提携に3.5億円、システム開発投資に0.5億円。
3.2020年12月期業績予想
| 19/12期 | 20/12期(予) | 前期比 |
売上高 | 847 | 1,079 | +232 |
営業利益 | -138 | -23 | +115 |
経常利益 | -144 | -26 | +118 |
当期純利益 | -192 | -28 | +164 |
*単位:百万円。
| 20/12期上 | 20/12期下(予) |
売上高 | 330 | 749 |
営業利益 | -110 | 87 |
経常利益 | -108 | 82 |
当期純利益 | -109 | 81 |
*単位:百万円。
業績予想に変更無し。増収・赤字幅縮小
業績予想に変更は無い。売上高は前期比2億32百万円増の10億79百万円、営業損失は同1億15百万円改善の23百万円の予想。
下半期においても新型コロナウイルス感染症の影響が10月まで段階的に続くと想定され 、既存サービスに関しては、上半期と同程度の売上と予想している。
一方、アンバサダープログラムを簡易運営できる中小規模企業向け新サービスの開発・メニュー化を終了し、7月から新メニューとして本格投入・拡販を開始したことに加え、コロナ禍において導入が中断されていた「カタパルト」の新サービス投入、非接触を念頭に動画活用の需要を捉えた「PRISM(プリズム)」の拡大や台湾市場でのビジネス環境の復調を想定している。既存サービスにおけるコロナ禍の影響分については、当初予想に見込んでいなかったアンバサダープログラムを簡易運営する新サービスで大半を補えると判断しているため通期予想は据え置いている。
4.今後の成長戦略
同社の得意とするクチコミ分析や動画特許テクノロジーを活用して協業と独自サービス開発による成長を加速させ、成果証明を通じて自社製品の導入推進に繋げる好循環を目指す。
(同社資料より)
(1)協業による事業展開
前述のように、インド最大級のITエンジニアコミュニティ「Skillenza」との資本業務提携を行った。
「PRISM」のテクノロジーを既存サービスに組み込むことで新たな商品開発による成長を目指す。
(同社資料より)
(2)独自サービスの開発
2019年4月よりサービスを開始したSNSマーケティングオートメーションサービス「DIGITAL PANDA」は、コロナ禍の中でも順調に成長している。
(同社資料より)
今後はアンバサダープラットフォームのSNS影響力分析や「PRISM」動画テクノロジーなどアジャイルメディア・ネットワークグループが持つテクノロジーを活用して新たな付加価値を提供する。
(同社資料より)
(3)各事業の取り組み方向性
新サービス「DIGITAL PANDA」を含め、各事業の方向性は以下の通り。Withコロナにおける課題の克服、新たな需要の創造、顧客層の拡大などに向け社独自のテクノロジーやサービスを組み合わせることで一段の差別化を図る。
(同社資料より)
5.今後の注目点
新型コロナウイルスの影響は10月程度まで残るものの、新サービスのリリースや「PRISM」による動画需要取り込みで、通期では増収・損失縮小、下期は半期ベースで上場以来最高の売上・利益になると会社側は見込んでいる。
将来を見据えた戦略的投資を継続しながらも、下期の急回復を実現できるか、まずは第3四半期における中小規模企業向け新サービスの実績を注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 3名、うち社外1名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2020年4月1日
<基本的な考え方>
当社は、事業の持続的な成長を通じて、株主、取引先、アンバサダー、従業員、地域社会その他のステークホルダー、ひいては広く社会に貢献していくことを経営目標としております。
持続的な成長をするためには、経営の効率化を図るとともに健全で透明な経営体制を構築する必要があると考えており、コーポレート・ガバナンスの充実は当社における重要な経営課題と位置付けております。
<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。
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