ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ 2020年5月期決算

ブリッジレポートPDF

 

植田 勝典 社長

日本エンタープライズ株式会社(4829)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表者

植田 勝典

所在地

東京都渋谷区渋谷1-17-8

決算月

5月

HP

http://www.nihon-e.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

327円

40,133,000株

13,123百万円

3.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.50円

0.8%

4.98円

65.7倍

124.91円

2.6倍

*株価は07/15終値。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2017年5月(実)

4,838

192

229

99

2.45

2.00

2018年5月(実)

3,892

174

257

166

4.11

2.00

2019年5月(実)

3,413

242

292

97

2.44

2.00

2020年5月(実)

3,588

267

310

176

4.40

2.00

2021年5月(予)

4,000

340

340

200

4.98

2.50

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

日本エンタープライズ(株)の2020年5月期決算の概要と2021年5月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年5月期決算概要
3.セグメント別事業概況
4.2021年5月期業績予想
5.今後の注目点
<参考:CSR・ESG活動>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/5期は前期比5.1%の増収、同10.3%の営業増益。コロナ禍で売上高が約0.8%(0.3億円)、営業利益が約8%(0.2億円)、それぞれ押し下げられた。セグメント別では、ソリューション事業が同1.2%の減収・6.2%の営業減益となったものの、キッティング支援の好調でクリエーション事業が同10.4%の増収・15.9%の営業増益。配当は2円の期末配当を予定している(配当性向45.5%)。

     

  • 21/5期予想は前期比11.5%の増収、同27.2%の営業増益。引き続きキッティング支援の拡大が見込まれるクリエーション事業が増収をけん引。ソリューション事業では、受託開発・業務支援サービスを拡大しつつ、医療介護従事者向けSNS搭載端末レンタル及び次世代ガラスコート「NEコートDX」の販売といった新型コロナウイルス感染症関連の新たな事業を展開する。配当は0.5円増配の期末2.5円を予定している(予想配当性向50.2%)。

     

  • 「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により世界経済全体が下落傾向にあるものの、同時に、社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)がますます加速される環境が予想される」としており、社会全体のデジタル化に対し、既存サービスの強化はもちろん、新サービスの創出に取り組んでいく考え。この一環として、クリエーション事業において、「T-Macss電話会議」及びWeb会議システム「NEEDS」をリリースしており、ソリューション事業では、AI、IoT、セキュリティ関連を中心にコンサルティングから開発、保守・運用までのトータルソリューションに力を入れる。

     

     

1.会社概要

モバイルソリューションカンパニーを標榜。個人向けスマートフォンアプリの開発・提供、企業向けシステム開発、モバイルキッティング、e コマース、AI チャットボット等のサービスを提供しており、事業セグメントは、自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーションやシステムを提供する「クリエーション事業」と企業の業務用ソフトウェアやシステムの開発を請け負う「ソリューション事業」に分かれる。また、新たなサービスの創出に向け、IoTやビジネスソリューション事業にも取り組んでいる。
2001年2月16日に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)へ株式上場。2007年7月10日の東京証券取引所市場第二部への市場変更を経て、2014年2月28日に同市場第一部の指定を受けた。

 

【経営理念】
同社の経営理念は「綱領・信条・五精神」及び「日エン経営原則」に刻まれており、「これを繰り返し学ぶ事で基本理念を永遠に堅持していく」事が同社社員の責務。こうした正しい考えと正しい行動の下にこそ、長い目で見た「株主価値の極大化」、すなわち「資本という大切な“お預かりもの”を1円もムダにせず、最大化していくことが可能である」と言うのが同社を率いる植田社長の考えである。そもそも同社は、「社業を通じて社会のお役に立ちたい」という強い一念から植田社長が興した会社であり、様々なIT機器を通して便利で面白い多種多様なコンテンツを制作し提供する事でユーザーの満足度を高めると共に社会貢献していく事を目指している。こうした植田社長の経営哲学の下、創業初年度の経常利益は、ほぼ全額が日本赤十字社・各地社会福祉協議会・児童養護施設等に寄付され、東日本大震災の折には、被災した方々の支援と東北地方の復興に寄与するべく日本赤十字社に寄付が行われた。

 

1-1企業グループ(連結子会社8社、非連結子会社1社)
連結子会社は、アプリ/WEBサイト企画・開発・運用、業務支援等の(株)ダイブ、交通情報を中心にした情報提供の交通情報サービス(株)、アプリ/システム開発~運用、デバッグ等の(株)フォー・クオリア、音声通信関連ソリューションの(株)and One、スマートフォン向けキッティング支援ツール等の(株)プロモート、アプリ/システム開発、HEMS等の(株)会津ラボ、太陽光発電の(株)スマート・コミュニティ・サポート、電子商取引サービス「いなせり」「いなせり市場」の企画・開発・運営を手掛ける いなせり(株)の国内8社。非連結子会社は、コンテンツ運営等を行うNE銀潤(株)の国内1社。

 

1-2事業概要
事業は、クリエーション事業とソリューション事業に分かれる。

 

クリエーション事業 : 自社IP(Intellectual Property)を活用したアプリケーション・システムの提供
コンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、及び太陽光発電等、自社で保有する権利や資産を活用したサービスを提供している。

 

コンテンツサービス
総合電子書籍サービスやゲーム等のエンターテイメント系のコンテンツ、「ATIS交通情報サービス(交通情報)」、「女性のリズム手帳(ヘルスケア)」、「フリマjp(フリマ)」、更には一般消費者向け魚介ECサイト「いなせり市場」といったライフスタイル系のコンテンツを提供している。

 

エンターテインメント

・話題のコミック・小説を中心に、ビジネス・実用書・雑誌・写真集等、多彩なジャンルをカバーした総合電子書籍サービスやエンターテインメント関連のコンテンツ

ライフスタイル

・渋滞マップなど全国の道路情報の確認や、各種サービスを利用しながら手持ちのスマートフォンで走行状況を撮影できるドライブレコーダー機能を搭載した実用アプリ

・月間20万人のユーザーに向けて、女性のための「美」と「健康」をサポートするアプリや、ブランド品からファッションアイテム、電化製品までオールジャンルの商品を取扱うフリーマーケットアプリ

・一般消費者が、豊洲市場の仲卸の目利きに適った水産物や青果を購入できるECサイト

(同社資料を基に作成)

 

ビジネスサポートサービス
キッティング作業における人的負担の軽減と生産性・正確性を向上させる支援ツール『Kitting-One』の開発・販売及び『Kitting-One』を使ったキッティング作業の代行を行う「キッティングサービス(役務の提供)」、車両動態管理クラウド『iGPS on NET』等の提供も手掛ける「ATIS交通情報サービス」、操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェア『Primus』等の開発・販売を行っている「音声ソリューション」、東京魚市場卸協同組合所属仲卸業者のインターネット水産物販売サイト「いなせり」の運営といったサービスを提供しており、新規事業・サービスの開発につなげるべく、IoT・ブロックチェーン等の実証事業も手掛けている。

 

キッティング

・人的作業の軽減を可能とし「生産性」「正確性」の向上を実現できるキッティング作業支援ツール『Kitting-One』等を開発・販売

ATIS交通情報

・高速・貸切バス等の運送業、運輸・物流業、配送・引越業等の法人向けに、全国の高速・一般道路の渋滞、事故、規制情報等最新の交通事象をマップ上で確認できるクラウド型の交通情報サービス『ATIS on Cloud』の提供

・コミュニティFM等へのデータ配信提供等のストック型ビジネス展開

コミュニケーション

・操作性・柔軟性に優れたビジネスフォン環境を提供するIP-PBXソフトウェア『Primus』の開発・販売。4月に、テレワークを推進する電話会議システム『T-Macss電話会議』を販売開始

・「シンプル&かんたん」をテーマに、画面の切り替えなくチャットも画面共有も一画面で利用できるWeb会議システム『NEEDS』を7月に販売開始

教育・調達・観光

・eラーニング、リバースオークション、観光促進等

いなせり

・飲食事業者向けECサイト『いなせり』を東京魚市場卸協同組合(仲卸)等と連携を図り、水産物や青果の販売サービスを提供

(同社資料を基に作成)

 

その他
再生可能エネルギーによる地域活性化を目指し、「東岐波太陽光発電所(約1.3メガワット)」(山口県宇部市)における発電事業を推進。その他、小中学校体育館の屋根に設置した太陽光発電設備を活用して環境や再生可能エネルギーについて学べる環境を提供している。

 

太陽光発電

・再生可能エネルギーによる地域活性化を推進、小中学校体育館の屋根に設置した太陽光発電設備を活用して、子供たちが環境や再生可能エネルギーについて学べる学習環境の整備を進行

(同社資料を基に作成)

 

ソリューション事業 : 企業の業務用ソフトウェアやシステムの受託開発
システム開発・運用サービスとその他に分かれる。システム開発・運用サービスでは、クリエーション事業で培ったノウハウを活かし、受託開発(スクラッチ開発)を中心としたトータルソリューションサービスに力を入れている他、中古端末買取販売サービスの育成に取り組んでいる。トータルソリューションサービスでは、アプリ開発やサイト構築等の受託に加え、サーバ設計~構築、運用監視、デバッグ、カスタマーサポート、コンサルティング等をワンストップで提供している。

 

一方、中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)は、キッティングサービス(役務の提供)や支援ツール導入の取引先である企業や携帯電話販社を中心に仕入先が順調に拡大しており、端末の安定調達に向けた取り組みが進んでいる。また、取り扱い台数の増加に伴い販売先の新規開拓も進んでいる。

 

電気通信事業法が一部改正され、2019年10月から携帯端末と通信料金の完全分離が実施された。これにより携帯端末価格の値引きが抑制されるため、中古端末の需要拡大が予想される(既に中古端末のマーケットは、スマートフォンを中心に拡大傾向)。

 

システム開発・運用サービス

ソリューションサービス

AI、IoT、セキュリティ関連システムの需要が増大する中、コンサルティングから開発、保守・運用まで、市場のニーズに合わせたトータルソリューションサービスを提供。

中古端末買取販売サービス

中古端末を買い取りバイヤーに販売するサービス。厳正なグレーディング(査定)に加え、リファービッシュの提供を目指す。

新型コロナウイルス感染症対策サービス

抗菌効果でウイルスを不活性化する次世代ガラスコート『NEコートDX』。人体に優しい素材で、利便性と安全性を実現。

その他

広告代理業務等。

(同社資料を基に作成)

2.2020年5月期決算概要

2-1 連結業績

 

19/5期

構成比

20/5期

構成比

前期比

予想

予想比

売上高

3,413

100.0%

3,588

100.0%

+5.1%

3,850

-6.8%

売上総利益

1,557

45.6%

1,545

43.1%

-0.7%

- 

-

販管費

1,314

38.5%

1,278

35.6%

-2.8%

- 

-

営業利益

242

7.1%

267

7.4%

+10.3%

275

-2.8%

経常利益

292

8.6%

310

8.6%

+6.0%

300

+3.4%

親会社株主帰属利益

97

2.9%

176

4.9%

+80.5%

160

+10.4%

* 単位:百万円

 

前期比5.1%の増収、同10.3%の営業増益
売上高は前期比5.1%増の35.8億円。コロナ禍もあり、システム開発・運用サービスが大半を占めるソリューション事業の売上が同1.2%減少したものの、キッティング支援をけん引役にクリエーション事業の売上が同10.4%増加した。

 

利益面では、キッティング支援の増加や業務支援サービスの拡大、更には、コンテンツサービスにおける通信キャリア以外が運営するプラットフォームへのシフト等で原価率が2.5ポイント上昇した。このため、売上総利益が同0.7%減少したものの、貸倒引当金の戻し入れや研究開発費の減少等で販管費が同2.8%減少し、営業利益が2.7億円と同10.3%増加した。補助金収入の減少で営業外収益が減少したものの、税負担率の低下で最終利益は1.8億円と同80.5%増加した。

 

尚、営業活動の停滞で一部の案件が先送りとなる等、コロナ禍が売上高を0.3億円、利益を0.2億円、それぞれ押し下げる要因となった。

 

クリエーション事業

 

19/5期

構成比

20/5期

構成比

前期比

コンテンツサービス

1,291

69.6%

1,241

60.6%

-3.9%

ビジネスサポートサービス

500

27.0%

746

36.4%

+49.0%

その他(太陽光発電)

62

3.4%

60

3.0%

-3.5%

セグメント売上高

1,855

100.0%

2,047

100.0%

+10.4%

セグメント利益

549

29.6%

636

31.1%

+15.9%

* 単位:百万円

 

コンテンツサービスや天候等の影響によるその他(太陽光発電)の減少をキッティング支援の寄与によるビジネスサポートサービスの増加で吸収した。コンテンツサービスは同3.9%の減収となったが、通信キャリア以外のプラットフォームへの展開が成果をあげ、ゲームを中心とするエンターテインメントコンテンツの売上は増加した。

 

 

ソリューション事業

 

19/5期

構成比

20/5期

構成比

前期比

システム開発・運用

1,551

99.6%

1,538

99.9%

-0.8%

その他

6

0.4%

1

0.1%

-72.2%

セグメント売上高

1,558

100.0%

1,540

100.0%

-1.2%

セグメント利益

198

12.7%

186

12.1%

-6.2%

* 単位:百万円

 

AIエンジンを基にしたクラウド型高精度AI在庫管理システム「STOCK STREAMS」(ストックストリームズ)の受託開発等、トータルソリューションサービスで実績をあげたものの、コロナ禍による第4四半期の一部案件遅延もあり、前期比1.2%の減収にとどまった。

 

2-2 第4四半期(3-5月)連結業績

 

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

20/5-1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

775

835

794

1,007

871

888

859

969

売上原価

405

458

456

536

484

502

480

574

販管費

337

332

337

307

304

333

321

319

うち広告宣伝費

29

26

35

41

36

38

34

37

営業利益

32

44

1

163

82

52

57

75

経常利益

43

52

31

164

93

60

78

77

原価率

52.3%

54.9%

57.4%

53.3%

55.6%

56.6%

55.9%

59.3%

販管費率

43.6%

39.8%

42.4%

30.5%

34.9%

37.6%

37.4%

33.0%

* 単位:百万円

 

第3四半期比12.8%の増収、同29.9%の営業増益
売上高は第3四半期比12.8%増の9.6億円。クリエーション事業の売上が第3四半期比2.8%、ソリューション事業の売上が同26.5%、それぞれ増加した。営業利益は同29.9%増の0.7億円。法人向けサービスの増加で原価率が59.3%と3.4ポイント上昇したものの、売上の増加と研究開発費の減少等による販管費の減少で営業利益が大幅に増加した。
ただ、コロナ禍もあり、前年同期比では、売上高・利益共に減少した。

 

 

クリエーション事業

 

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

20/5-1Q

2Q

3Q

4Q

コンテンツサービス

331

309

303

347

322

317

300

301

ビジネスサポートサービス

122

118

106

152

211

156

186

191

その他

19

15

10

17

19

13

9

17

売上高

473

443

420

517

552

487

496

510

セグメント利益

145

125

96

181

178

158

144

155

* 単位:百万円

 

コンテンツサービスでは、「巣ごもり消費」が追い風となり、減収トレンドだったコンテンツサービスが横ばいにとどまった。ビジネスサポートサービスは新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けたものの、キッティング支援の拡大で第3四半期比3.0%の増収となった。

 

 

ソリューション事業

 

19/5-1Q

2Q

3Q

4Q

20/5-1Q

2Q

3Q

4Q

システム開発・運用

300

390

373

487

319

400

362

457

その他

1

2

1

2

0

0

0

1

売上高

301

392

374

489

319

400

362

458

セグメント利益

28

46

32

91

45

49

43

48

* 単位:百万円

 

システム開発・運用サービスは、「受託開発」の年度末需要及び深刻化している人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」で第3四半期比26.5%の増収となった。一方、前年同期比では、コロナ禍もあり、6.4%の減収となった。

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年5月

20年5月

 

19年5月

20年5月

現預金

4,345

4,715

仕入債務

130

105

売上債権

567

449

未払法人税・消費税等

79

127

流動資産

5,154

5,365

退職給付に係る負債

55

61

有形固定資産

372

350

負債

822

873

無形固定資産

334

305

純資産

5,213

5,326

投資その他

174

178

負債・純資産合計

6,035

6,200

固定資産

881

834

有利子負債合計

277

255

* 単位:百万円

 

期末総資産は前期末との比較で1.6億円増の62.0億円。借方では、フリーCFの大幅な増加で現預金が増加し、貸方では好決算を反映して純資産が増加した。自己資本比率80.9%(前期末81.4%)。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/5期

20/5期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

289

632

+342

+118.5%

投資キャッシュ・フロー(B)

-46

-85

-38

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

242

546

+304

+125.6%

財務キャッシュ・フロー

-119

-116

+2

-

現金及び現金同等物期末残高

4,255

4,685

+430

+10.1%

* 単位:百万円

 

税前利益2.9億円(前期2.6億円)、減価償却費1.7億円(1.9億円)、法人税等の支払額△0.7億円(同△1.0億円)、及び運転資金の減少等で6.3億円の営業CFを確保した。投資CFは定期預金の預入・払戻と無形固定資産の取得等によるもので、財務CFは借入金の増減と配当金の支払い等による。

 

 

参考:ROEの推移

 

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

20/5期

ROE

6.44%

1.99%

3.36%

1.99%

3.56%

売上高当期純利益率

5.91%

2.06%

4.27%

2.87%

4.92%

総資産回転率

0.90回

0.79回

0.64回

0.57回

0.58回

レバレッジ

1.21倍

1.22倍

1.23倍

1.22倍

1.23倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ

 

3.セグメント別事業概況

3-1.クリエーション事業
子会社(株)プロモートが大手通信キャリアにキッティング支援サービスを提供しており、実施台数が25万台を超えている(端末初期設定)。足元、法人企業において端末導入に伴う需要が続く中、文部科学省「GIGAスクール構想」による2020年度約800万台の端末需要に対する営業活動を行っている。

 

また、「いなせり」及び「いなせり市場」を展開している子会社いなせり(株)が、社会情勢を踏まえたサービス展開で事業拡大に取り組んでいる。具体的には、「いなせり」(BtoB)では、登録者数の増加と利用社数の拡大に向け、外出自粛により売上が減少した飲食事業者及び仲卸組合への応援企画「送料無料キャンペーン」を実施した。一方、「いなせり市場」(BtoC)では、新型コロナウイルス感染症拡大による一般消費者のEC利用と内食の増加を踏まえて、目利きや魚のさばき方等、一般消費者にもわかりやすく写真や動画で解説する特設サイトを2020年5月に開設した。

 

この他、子会社(株)and Oneが、高品質の通話環境で会議ができる「T-Macss電話会議」の提供を2020年4月に開始した。「T-Macss電話会議」は、2019年10月に(株)クロノスと共同開発したクラウド型コールセンターシステム「T-Macss」を改良したもので、初期設定及び初期費用不要で導入可能。利用者は、付与された共通の電話番号に手持ちの電話から電話するだけで利用できる。テレワーク(在宅勤務)等が増え、トフィックが逼迫してもスムーズな会議を実現できると言う。

 

(同社資料より)

 

上記に加え、2020年7月(21/5期第1四半期)に、日本エンタープライズ(株)が、チャットと画面共有を一画面に集約し、簡単な操作性で利用できるWeb会議システム「NEEDS」(ニーズ)の販売を開始した。「NEEDS」は、「シンプル&かんたん」をテーマに、画面(ウィンドウ)の切り替えなくチャットも画面共有も一画面で利用できるWeb会議システム。参加者の同時画面共有や各種Webサイトへの独自組み込みも可能。2020年8月末まで無料キャンペーンを実施している。2020年9月にはアプリのリリースを予定しており、マルチデバイス対応で顧客の拡大を図る考え。

 

(同社資料より)
3-2.ソリューション事業
AI、IoT、セキュリティ関連を中心にコンサルティングから開発、保守・運用までのトータルソリューションサービスや常駐型業務支援サービスを提供している他、市場ニーズに合わせたサービス提供や他社との協業による医療分野におけるサービス提供も開始した。加えて、2025年には265万台(調査会社予想)とされる市場を見据えて、引き続き中古端末買取販売サービス(端末周辺事業)にも取り組んでいる。

 

AI関連のトータルソリューションサービスの一環として、子会社(株)フォー・クオリアが、(株)トライエッティングが有するAIエンジンを基にしたクラウド型高精度AI在庫管理システム「STOCK STREAMS」(ストックストリームズ)を受託開発した。(株)トライエッティングでは、「STOCK STREAMS」の稼働で在庫回転率を1.5倍に高め、攻めの”在庫生産管理”を目指すと言う。

 

(同社資料より)

 

医療分野では、医療介護連携SNS「メディカルケアステーション(以下、MCS)」を運営するエンブレース(株)、及びオンライン診療サービス「curon(クロン)」を運営する(株)MICINと共に、かかりつけ医等によるオンライン診療用のタブレット端末の提供を開始した。医療介護従事者やその関係者の負担軽減と感染症のリスク軽減へ向けたサービスとして、社会貢献の意味も含めて取り組んでいく。

 

(同社資料より)

 

 

上記に加え、コロナ禍による感染予防の意識の高まりを踏まえ、次世代ガラスコート「NEコートDX」(エヌイー・コート・デラックス)の販売を開始した。「NEコートDX」は抗菌効果でウイルスを不活性化させる次世代ガラスコートである。人体に優しい素材(ケイ素化合物)でありながらウイルスを不活性化させる抗菌効果を有する。安全性に加え、利便性も有し、スマートフォンであれば、わずか5~10分で作業が完了すると言う。様々な製品に使用可能な製品形態を活かし、娯楽施設や医療介護機関等へも販路を拡大させる考え。

 

(同社資料より)

 

 

4.2021年5月期業績予想

4-1 連結業績

 

 

20/5期 実績

構成比

21/5期 予想

構成比

前期比

売上高

3,588

100.0%

4,000

100.0%

+11.5%

営業利益

267

7.4%

340

8.5%

+27.2%

経常利益

310

8.6%

340

8.5%

+9.6%

親会社株主帰属利益

176

4.9%

200

5.0%

+13.3%

 

前期比11.5%の増収、同27.2%の営業増益予想
キッティング支援の拡大が見込まれるクリエーション事業が増収をけん引する。同事業では、コンテンツサービスにおいて、通信キャリア以外のプラットフォームへの展開にも力を入れる。一方、ソリューション事業では、受託開発・業務支援サービスを拡大しつつ、新型コロナウイルス感染症関連の新たな事業展開を推進する。
クリエーション事業、ソリューション事業共に増収が見込まれ、増収効果で利益率の改善も進む見込み。

 

配当は1株当たり0.5円増配の期末2.5円を予定している(予想配当性向50.2%)。

5.今後の注目点

20/5期は法人向けビジネス「ビジネスサポートサービス(クリエーション事業)」及び「ソリューション事業」において、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたものの、その影響が深刻化する前に受注した案件が多く、その兆候が見られてからもキャンセルされた案件や規模が大幅に縮小された案件が少なかったと言う。逆に、利益率の高い一般消費者向け「コンテンツサービス(クリエーション事業)」において “巣ごもり消費” の恩恵を受けたため、全体として新型コロナウイルス感染症拡大の影響は軽微だったようだ。
21/5期も引き続きキッティング支援サービスが好調なクリエーション事業が業績をけん引する。最大手のNTTドコモが既に、同サービスを採用しているが、同社だけでも未だ事業拡大の余地があるようだ。さらに、auやソフトバンクにも採用されるよう営業強化しており、キッティング支援の好調が続く間に、新たな収益の柱を育てることができるか注目していきたい。

 

 

<参考:CSR・ESG活動>

同社は、創業以来の企業理念(「我々は商人たるの本分に徹しその活動を通じ社会に貢献し、文化の進展に寄与することを我々の真の目的とします」)の下、社業を通じて顧客、取引先、株主・投資家、地域社会、従業員等すべてのステークホルダーの物心共の幸せに貢献する事がグループの社会的責任と認識し、CSR・ESG活動の一環として下記の取組みを進めている。

 

環境(E)面では、太陽光パネルによる発電(山口県宇部市)等を通じ持続可能な社会の実現に向けた取組みを進めている。

 

社会(S)面では、新技術創出支援に力を入れており、総務省が実施し、株式会社角川アスキー総合研究所が業務実施機関として運営する、これからの日本を創るInnovator(開拓者)を支援する「異能vationプログラム」に協賛し、新技術の創出を支援している。また、慈善事業・支援活動として、創業初年度の経常利益ほぼ全額を日本赤十字社・各地社会福祉協議会・児童養護施設等に寄付して以来、毎年、最終利益の1%の寄付を行っている。東日本大地震の際は、被災された方々の一日も早い復興を願い、日本赤十字社通じて義援金を拠出した。この他、一般社団法人インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)が認定するDCA資格取得等を通じて、インターネットによる健全な情報発信を推進する等、健全な情報発信にも力を入れている。

 

* 同社資料より

 

ガバナンス(G)面では、顧客満足への取組みとして、「お客様第一主義を貫く」ことを「日エン経営原則」に掲げ、品質・価格・サービスの全てにおいて顧客の要望に真摯に向き合い、顧客満足を追及している。また、品質へのコミットメントとして、「ダントツ品質」をスローガンに顧客の期待を超える価値の提供に努めている他、「カスタマーサポートセンター」を自社で運営し、的確・迅速な顧客の要望への対応や寄せられた要望のサービスや商品への反映による改善・品質向上に取組んでいる。
ステークホルダーに対しては、同社に対する理解を深めてもらうべく、適時かつ適切な経営状況・事業活動状況の開示に努めている。特に株主に対しては、株主総会を株主と直接対話する貴重な場と考え、多くの株主が出席できるよう、毎年8月に東京都内のホテルで開催している事に加え、同社への理解を深めてもらうべく、株主総会会場に同社サービスが実体験できる場を設けている他、映像で案内している。社員に対しては、社員が個々の能力を十分に発揮できるよう、「子育て支援」などワーク・ライフ・バランスに配慮した、職場環境づくりに努めている他、社員の親睦と健康増進を図るため、社内クラブ活動を支援している。
この他、情報保護への取組みとして、「情報セキュリティ基本方針」並びに「個人情報保護方針」を定め、同社が取扱う情報資産の適切な保護・管理に努めている。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO27001認証」を取得している。

 

 

(Webサイトより)

人財育成

「社員ひとり一人の成長が、我々の未来を創る」考えのもと、社長主催の『植田塾』はじめ階層別研修、通信教育、資格取得報奨制度を通じて社員の成長を支援しています。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年08月23日)
基本的な考え方
当社グループは、経営目標の達成の為に取締役会が行う意思決定について、事業リスク回避または軽減を補完しつつ、監査役会による適法性の監視・取締役の不正な業務執行の抑止、また、会社の意思決定の迅速化と経営責任の明確化を実現する企業組織体制の確立により、株主利益の最大化を図ることがコーポレート・ガバナンスと考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
<補充原則4-1-3:CEOなどの後継者計画>
当社は、経営陣幹部向けに「植田塾」を開催し、経営者として求められる「戦略思考」「リーダーシップ」等の資質の醸成を図っておりますが、現在、最高経営責任者等の後継者計画の策定を行っておりません。今後、後継者候補の育成計画の策定及び監督を検討してまいります。なお、計画の策定にあたっては、十分な時間と資源をかけて後継者候補の育成が行われていくよう努めます。

 

<原則4-11:取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件>
当社の取締役会は、取締役は7名以内、監査役は4名以内の規模で構成しております。社外取締役は2名程度、監査役は過半数を社外監査役とすることを基本的な考え方としております。現在、当社の取締役会には、女性若しくは外国人の取締役・監査役は存在しておりませんが、取締役会としての役割・責務を実効的に果たすための多様性と適正規模を両立した形で構成していると認識しております。将来的には、ジェンダー及び国際性の面における多様性の確保に努めてまいります。また、当社は監査役として公認会計士を1名選任しており、財務会計に関する適切な知見を有している監査役を選任しております。

 

<開示している主な原則>
<原則5-1:株主との建設的な対話に関する方針>
 当社では、「IR活動の基本姿勢と開示基準」、「情報開示の方法と情報の公平性」、「将来の見通しについて」、「IR自粛期間について」からなるIR基本方針を策定しており、当社ウェブサイトにて公表しております。
 ●IR基本方針
    URL:https://www.nihon-e.co.jp/ir/management/line.html

 

現在、当社ではこのIR基本方針に基づき、株主との建設的な対話という観点から、以下の取り組みを積極的に実施しております。
(1)当社では常務取締役管理本部長を内部情報管理責任者に指定し、経理部、総務部、人事・広報部等のIR活動に関連する部署を管掌し、日常的な部署間の連携を図っております。
(2)社内各部門の会社情報については、内部情報管理責任者が一元的に把握・管理し、的確な経営判断のもと、有機的な連携に努め、IRに関連する他部署との情報共有を密にすることで、連携強化を図るよう努めております。
(3)広報・IRグループにおいて、株主・投資家からの電話取材やスモールミーティング等のIR取材を積極的に受け付けると共に、アナリスト向けに決算説明会を開催し、社長又は常務取締役が説明を行っております。
(4)IR活動及びそのフィードバック並びに株主異動等の状況については、適宜取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。
(5)投資家と対話をする際は、当社の公表済みの情報を用いた企業価値向上に関する議論を対話のテーマとすることにより、インサイダー情報管理に留意しております。

 

 

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