ブリッジレポート
(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

スタンダード

ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア 2020年2月期決算

ブリッジレポートPDF

 

泉澤 豊 会長

株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

小売業(商業)

代表取締役会長

泉澤 豊

代表取締役社長

上山 富彦

所在地

千葉県千葉市美浜区中瀬1-7-1

決算月

2月

HP

http://www.cvs-bayarea.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

500円

4,936,269株

2,468百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00

4.0%

-

-

1,006.48円

0.5倍

*株価は5/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE・BPSは2020年2月期実績。時価総額は5/29終値×自己株式控除後発行済株式数、数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

営業総収入

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2017年2月(実)

29,452

-33

213

94

19.13

10.00

2018年2月(実)

29,394

13

90

-279

-

20.00

2019年2月(実)

10,916

31

-28

3,801

770.04

30.00

2020年2月(実)

10,427

37

165

-401

-

20.00

2021年2月(予)

-

-

-

-

-

20.00

*単位:百万円、円
*予想は会社予想。
*2016年9月1日付けで10株を1株に株式併合。

 

シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2020年2月期決算と2021年2月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年2月期決算
3.2021年2月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/2期は前期比4.5%減収、経常利益は1億65百万円(前期は28百万円の損失)。20年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の拡大により、ホテル各施設の稼働率が苦戦したことで減収となった。営業利益は売上高の減少などにより、増益ながら会社の予想を下回った。営業外では投資有価証券売却益を計上。緊急事態宣言の発令を踏まえ複数のホテル施設の休業を決定、東京オリンピックの1年延期の決定に伴い、想定していた中長期の収益計画を達成することが困難となり、減損処理を行ったため親会社株主に帰属する当期純損失は4億1百万円となった。

     

  • 21/2期予想は未定とした。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、各事業に影響が出ている。マンションフロントサービス事業では緊急事態宣言を受け一部マンションにてフロントサービスを休止したほか、クリーニング事業ではホテルや商業施設の休業に伴うリネンやテレワークの浸透によりスーツ・ワイシャツのクリーニング需要が減少している。特に、ホテル事業及びコンビニ事業の、事業収益が大きく減少する見込み。新型コロナウイルス感染症により収縮した需要の回復時期の予測が立たないため業績への影響について、現時点で合理的に算出することが困難であることから、一旦未定とした。配当は20.0円(うち上期10.0円)を見込む。

     

  • ホテル事業で新型コロナ感染拡大の影響が大きく、通期の見通しは困難。1Qの業績が厳しいものになることはほぼ確定した。今後は価格戦略の見直しも視野に入れたい。売上構成比の高いマンションフロント事業では採算性重視の戦略をとっているが、今後もその取り組みに期待する。一方、業績動向と株価水準では話が異なる。PBRは0.5倍となっている。時価総額は20億円程度だが、20/2期末の同社の現預金は16億5百万円、投資有価証券10億25百万円と合わせると大幅に下回っている。不透明な環境下ではあるが、バランスシート上の価値から株価は売られすぎと考える。

     

1.会社概要

(1)沿革

1981年2月設立。「日常生活の便利さを提供できる会社になりたい」を企業理念とし、直営店主体のコンビニエンス・ストア(コンビニ)事業をスタート。その後、クリーニング事業及びマンションのフロント(業務)受託事業、ビジネスホテルの運営などに事業を拡大。2009年11月に千葉県市川市ビジネスホテルの1号店となる「CVS・BAY HOTEL」を開業し、ホテル事業を立ち上げた。
2018年3月、会社分割によりコンビニ事業の一部を、企業フランチャイズ契約を締結していた株式会社ローソンおよびローソンが新設する子会社へ譲渡した。マンションフロントサービス事業の事業領域拡大、ホテル事業の更なる強化のほかM&Aなどにより、常にチャレンジを続ける企業文化の下、「選択と集中」により成長企業への回帰を目指す。
2000年12月、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン(現:JASDAQ)市場に株式上場。2006年2月には東京証券取引所市場第一部へ昇格している。

 

(2)19/2期以後の主な事業内容

(同社決算説明会資料より)

 

コンビニ事業を除いた19/2期の売上(事業収入)構成比はトップがマンションフロントサービス事業、2位がホテル事業、3位がクリーニング事業となる。
19/2期以降、主力事業はマンションフロントサービス事業となるが、コンビニ事業も一部継続するほか、ホテル事業の拡大、早期収益化に向けた各種施策の実行による既存ユニット型ホテル施設の早期収益化を図るとともに、新たな施設の開業のほか不動産投資事業やM&Aなどの新事業の創出などにより、数年内に分割対象事業の収益を補完することを目指す。

 

売上高

2017年2月期

2018年2月期

2019年2月期

マンションフロントサービス事業

5,640

5,802

5,775

ホテル事業

1,130

1,405

1,680

クリーニング事業

1,190

1,219

1,248

*単位:百万円

 

①マンションフロントサービス事業
2019年2月以降の主力事業。連結子会社(株)アスクのほか地域運営会社3社が提供。

 

【事業内容】
マンション共有施設の案内や宅急便、クリーニングの取り次ぎ等、マンションのフロント業務を手掛けるマンションフロント(コンシェルジュ)サービス、レジデンスサポート(メンテナンスサポート、ハウスクリーニング事業者紹介等)、ミニショップやカフェの運営、更にはカーシェアリング等を手掛けている。
業界トップのマンションフロントサービスでは、首都圏を中心に926件(2020年2月末時点)の施設などを受託。マンション内の居住者同士のコミュニティ構築支援を目的とした、イベント開催やお祭り開催支援などのサービスも提供し、入居者の満足度向上を目指している。
また、(株)FA24との間で「クリーニング取次ぎ」や「ハウスクリーニング」サービスにおける相乗効果の創出を目指している。

 

②ホテル事業
今後の成長性や事業規模の観点から同社が最も注力しているのがホテル事業である。

 

【事業概要】
ホテル事業は、ビジネスユース及びレジャーユースを対象とし、千葉県市川市及び18年6月より浦安市で運営を行っている「ビジネスホテル事業」と、低価格ながらもより快適な空間を提供することで新たな需要を取り込むことを目指す「ユニット型ホテル事業」によって構成されている。

 

<ビジネスホテル事業>
(概要)
JR京葉線市川塩浜駅前の自社所有地で、コンビニ併設の108室規模(シングル/ダブル66室、ツイン42室)のビジネスホテル「CVS・BAY HOEL」を09年12月に開業した。
JR京葉線 市川塩浜駅は東京駅から8駅22分、東京ディズニーリゾートのある舞浜駅まで2駅6分、幕張メッセがある海浜幕張駅まで14分の好立地。価格競争力も強く、平日はビジネス客、週末はレジャー客と安定した集客を誇る。

 

(同社HPより)

 

近隣テーマパークの入園者や、都心部でのインバウンド顧客の需要増加を背景に近年は稼働率が高まっており、15年12月には隣接する借地においてシングル/ダブル11室、ツイン38室、ファミリー2室、ユニット区画20室(女性専用)、3階建ての新館を開業した。本館よりもやや広いゆとりのある客室空間を提供し、やや高めの宿泊料金で本館と差別化を図っている。
女性専用ユニット区画は安心清潔が好評で高稼働で推移している。

 

「CVS・BAY HOTEL」 新館

 

(同社資料より)

 

<BAY HOTEL浦安駅前>
18年6月9日に千葉県浦安市の東京メトロ東西線「浦安駅」徒歩1分の好立地に長期滞在にも快適なアパートタイプホテル「BAY HOTEL浦安駅前」(ツイン/トリプル48室)を開業した。
お風呂とトイレが別々、キッチン付で複数名での長期滞在可能なアパートタイプホテル。出張などのビジネス客から学生の就職活動、家族やグループ旅行に適している。
同社のホテル事業としては新たな取り組み。

 

Bay Hotel 浦安駅前

 

(同社HPより)

 

<ユニット型ホテル事業>
(背景)
都心部を中心に増加を続ける「宿泊需要」は量だけでなく、質にも大きな変化が生じている。
国内では成田空港へのLCC各社の就航と成田への1,000円バス(高速バス)の拡充、海外からはアジア各国の成長による観光需要の増加とLCC各社の日本路線の新規開設。
これらを背景に国内では都心部の宿泊料金上昇に伴い低価格な宿泊施設への需要が増加。また、海外からの訪日経験者が増えるに従い、気軽な旅行者が増加し、低価格化した交通費と合わせた旅行費用の低予算化が進んでいる。
一方、従来の都心での宿泊事情は、観光客、ビジネス客、女性客がシティホテルやビジネスホテルを利用するのに対して、価格の安いカプセルホテルは仕事や飲酒で終電に乗り遅れた客が利用するもので、「自宅の睡眠替わり」、「安いが汚い」といった芳しくないイメージが定着していた。
こうした中、宿泊需要を獲得するためには若者や女性、外国人観光客など新たな顧客層を獲得するためのイノベーションが不可欠と考えた同社が、より快適で安心な空間を低価格で提供することでこれらの需要を取り込むためにスタートさせたのが「スマートホテル」である。

 

(概要)
「スマートホテル」は、賃借した既存建物をコンバージョンして運営するユニット型ホテル。第1号物件として15年7月に「東京銀座BAY HOTEL」を開業。20年2月末現在、東京都心を中心に6施設の運営を行っている。
「日本らしさ」をコンセプトに内装やユニフォームを統一。また、「共有スペース」や「パブリックスペース」などをゆとりある配置とすることで出張や観光需要にとどまらず女性客や外国人観光客獲得を目指している。

 

15年7月開業

 

東京銀座BAY HOTEL  228ユニット(M156・W72)

東京都中央区銀座7丁目

銀座初のユニット型宿泊施設

4駅6路線が徒歩10分以内で利用できる好立地

15年12月開業

 

東京日本橋BAY HOTEL  168ユニット(M90・W78)

東京都中央区日本橋3丁目

日本橋駅徒歩3分、都内の起点となれる立地

館内は、京町をイメージしたデザイン

15年12月開業

 

東京有明BAY HOTEL  46ユニット(M80・W66)

東京都江東区東雲2丁目

りんかい線東雲駅4分

ビッグサイト利用者に加え、舞浜やお台場の観光客も活用

16年1月開業

 

日本橋室町BAY HOTEL  236ユニット(M142・W94)

東京都中央区本町2丁目

新日本橋駅徒歩4分、三越前駅徒歩3分

福徳神社近隣に、和を感じられる施設として開業

16年5月開業

 

秋葉原BAY HOTEL  130ユニット(W130)

東京都千代田区神田練塀町

いずれの秋葉原駅からも徒歩3分

同社初の女性専用ホテル

16年11月開業

 

田町BAY HOTEL  135ユニット(M80・W55)

東京都港区芝5丁目

都営浅草線三田駅より、羽田空港まで直通最速19分!

山手線田町駅より徒歩3分の好立地

(同社資料、HPよりインベストメントブリッジ作成)

 

2.2020年2月期決算

(1)連結業績

 

19/2期

構成比

20/2期

構成比

前年同期比

11月予想

予想比

営業総収入

10,916

100.0%

10,427

100.0%

-4.5%

10,750

-3.0%

営業総利益

3,987

39.1%

3,780

36.3%

-5.2%

-

-

販管費

3,955

38.8%

3,742

35.9%

-5.4%

-

-

営業利益

31

0.3%

37

0.4%

+18.6%

150

-74.7%

経常利益

-28

-

165

1.6%

-

165

+0.4%

親会社株主に帰属する

四半期純利益

3,801

37.3%

-401

-

-

55

-

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比4.5%の減収、経常黒字に転換
営業総収入は前年同期比4.5%減の104億27百万円。ホテル業界では、20年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、外国人観光客が激減していることに加え、大規模イベントの自粛等により、国内旅行者も大きく減少するなど厳しい市場環境が続いている。マンション業界では、不動産各社は供給戸数に慎重な姿勢を見せ、19年の首都圏全体の販売戸数は3年ぶりの減少に転じた。こうした中、収益拡大に向け各事業における収益性の改善及び次期開業予定のホテル2棟の開業準備などを中心に進めてきたが、1月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の拡大により、ホテル各施設の稼働率が苦戦したことで減収となった。
営業利益は同18.6%増の37百万円。利益面では、売上高の減少に加え、マンションフロントサービス事業における販管費の増加などにより、増益ながらも会社の予想を下回った。営業外で投資有価証券売却益を計上したことなどにより、経常利益は1億65百万円(前年同期は28百万円の損失)となった。また、緊急事態宣言の発令を踏まえ、国内宿泊需要の回復の兆しは夏以降と見られるものの一定水準までの回復は秋以降になると想定し、複数のホテル施設の休業を決定したほか、外国人観光客の宿泊需要の再獲得には1年程度の時間を要すると見込んだ。また、東京オリンピックの1年延期の決定に伴い、前期末に想定していた中長期の収益計画を達成することが困難となった。これらにより、複数のユニット型ホテル施設などにおける固定資産5億48百万円の減損処理を行ったことで、親会社株主に帰属する当期純損失4億1百万円となった。

 

セグメント別収益

 

19/2期

構成比

/利益率

20/2期

構成比

/利益率

前年同期比

ホテル事業

1,680

15.4%

1,639

15.7%

-2.4%

マンションフロントサービス事業

5,775

52.9%

5,587

53.6%

-3.3%

クリーニング事業

1,248

11.4%

1,159

11.1%

-7.2%

コンビニ事業

2,172

19.9%

1,972

18.9%

-9.2%

その他事業

207

1.9%

216

2.1%

+4.3%

消去・全社

-168

-

-148

-

-

営業総収入

10,916

100.0%

10,427

100.0%

-4.5%

ホテル事業

148

8.8%

125

7.6%

-15.6%

マンションフロントサービス事業

326

5.7%

226

4.1%

-30.7%

クリーニング事業

57

4.6%

52

4.5%

-8.7%

コンビニ事業

82

3.8%

88

4.5%

+7.3%

その他事業

8

4.2%

25

11.8%

+190.4%

調整額

-591

-

-479

-

-

セグメント利益

31

0.3%

37

0.4%

+18.7%

*単位:百万円
*売上高は構成比、営業利益は営業総収入利益率
*数値は切捨て、率は四捨五入

 

ホテル事業
事業収入16億39百万円(前期比2.4%減)、セグメント利益1億25百万円(同15.6%減)。
ビジネスホテル施設では、「CVS・BAY HOTEL」及び新館においては、東京ディズニーリゾートを中心とした近隣の大型レジャー施設への観光客や幕張メッセへの出張などの宿泊需要の獲得に努めた。「BAY HOTEL 浦安駅前」では、各客室にキッチンを設けるなど、長期滞在やご家族連れの顧客を中心に需要の獲得を進めてきた。
ユニット型ホテル施設では、都心において、手頃且つ快適な宿泊サービスの提供に努めており、昨年のラグビーワールドカップ開催期間中には、欧州を中心に多くの海外からの顧客の利用があった。また、自社HPからの宿泊予約者向けに事前決済サービスを開始するなど、自社販売比率の増加による収益性改善への取り組みも進めている。ゲームやアニメ、舞台などのメディアコンテンツとのコラボ企画の開催にも継続して注力しており、20/2期は合計で16タイトルとのコラボ企画を実施するなど、新たな宿泊需要の獲得にも精力的に取り組んでいる。
2Q以降、残業や飲食後の当日予約顧客が減少していたことに加え、政治情勢の悪化による韓国人旅行者の減少などを受け、稼働率及び客室単価に弱含みがみられていた。さらに1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、日本を訪れる外国人旅行者が激減した。加えて、大規模イベントの自粛が発生するなど、国内旅行者の需要も大きく減少した影響を受け減収減益となった。

 

マンションフロントサービス事業
事業収入55億87百万円(前期比3.3%減)、セグメント利益2億26百万円(同30.7%減)。
独立系では業界トップである同社は、マンションコンシェルジュによる高付加価値サービスの提供を通じた、ワンランク上のマンションライフの実現に努めている。また、新たな成長領域への取り組みとして、企業やシェアオフィス、公共施設での受付やコンシェルジュ業務の獲得を進めている。また、人材派遣サービスでは、多言語に対応可能な人材の派遣・紹介を行うなど、より優秀な人材に注力したサービスによる競合他社との差別化を図っていくことで、取引先拡大に努めている。
収益性を重視した運営体制構築のため、不採算物件の解約を順次進めており、20/2期末の総受注件数は前期末比66件減の926件となった。総受注件数の減少に伴い売上高が減少したほか、優秀な人材の確保のためパートタイマーの待遇改善を先行して実施した。加えて、システム投資関連費用が増加したことにより、セグメント利益は減益となった。

 

クリーニング事業
事業収入11億59百万円(前期比7.2%減)、セグメント利益52百万円(同8.7%減)。
クリーニング事業は、マンションフロントやコンビニ店舗、社員寮等にクリーニングサービスを提供している。法人向けサービスとしては、マンション内のゲストルームやホテルにおけるリネンサプライのほか、自社工場と商品管理センターによる、ユニフォームのクリーニングからメンテナンス、在庫管理までを一元管理するトータルサービスの拡大を進めている。
リネンサービスにおいて、大口受注先へのサービス提供が19年5月末で終了したことなどにより、減収減益となった。

 

コンビニエンス・ストア事業
事業収入19億72百万円(前期比9.2%減)、セグメント利益88百万円(同7.3%増)。
主力店舗が大規模展示場や観光施設の近隣などの特殊立地に面していることから、同社の強みである独創性を持った店舗作りを目指し、各イベントに対応した独自仕入れ商品の販売を行うなど積極的な販売施策を進めてきた。
入居するビルの建て替えに伴い、19年4月下旬に1店舗の閉店を実施、店舗数は7店舗となり減収となった。一方で、店舗近隣の大規模展示場において、10月下旬から11月上旬にかけて東京モーターショーが開催され、多くの来場者の利用があり、既存店が堅調に推移したことから、セグメント利益は増益となった。

 

その他事業
事業収入2億16百万円(前期比4.3%増)、セグメント利益25百万円(同190.4%増)。
その他事業では、事業用不動産の保有や賃貸管理のほか、ヘアカットサービス店舗の運営など、各種サービスの提供を行っている。19年2月末に東京都内の賃貸不動産を取得し、今期から賃料収入が増加したことで増収。利益面では、19年3月中旬に不採算であったネットカフェ店舗の閉店を実施したことにより増益となった。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

 

19年2月

20年2月

 

19年2月

20年2月

現預金

3,296

1,605

仕入債務

226

217

売上債権

507

480

短期有利子負債

457

1,747

有価証券

607

-

流動負債

3,248

3,064

たな卸資産

79

71

長期有利子負債

2,520

2,489

流動資産

5,013

3,232

長期預り保証金

387

376

有形固定資産

3,512

4,181

固定負債

3,366

3,335

無形固定資産

101

73

純資産

5,548

4,968

投資その他

3,536

3,881

負債・純資産合計

12,163

11,368

固定資産

7,150

8,135

有利子負債合計

2,978

4,237

*単位:百万円
*有利子負債=借入金

 

20/2期末の総資産は、前期末比7億94百万円減少し、113億68百万円となった。現預金が16億90百万円、有価証券が6億7百万円減少したことなどにより流動資産が17億80百万円減少した。一方、建設仮勘定が10億58百万円増加したことなどにより固定資産が9億85百万円増加した。
負債合計は、前期末比2億14百万円減少し、64億円となった。短期借入金が13億50百万円増加した一方、未払法人税等が14億61百万円減少したことなどにより流動負債が1億84百万円減少した。加えて、長期借入金が64百万円減少したことなどにより、固定負債30百万円減少した。
純資産は、前期末比5億79百万円減少し、49億68百万円となった。剰余金の配当を行ったことに加え、親会社株主に帰属する当期純損失を4億1百万円計上した。
自己資本比率は前期末比1.9ポイント減の43.7%となった。

 

キャッシュ・フロー

 

19/2期

20/2期

前期比

営業キャッシュ・フロー

-148

-1,745

-1,597

-

投資キャッシュ・フロー

6,001

-1,013

-7,015

-

フリー・キャッシュ・フロー

5,853

-2,759

-8,612

-

財務キャッシュ・フロー

-4,318

1,068

5,387

-

現金及び現金同等物上期末残高

3,296

1,605

-1,690

-51.3%

*単位:百万円

 

20/2期末の現金及び現金同等物残高は、前期末比16億90百万円減少し、16億5百万円となった。
営業CFは、17億45百万円の支出超過(前期は1億48百万円の支出超過)となった。その主な内訳は、投資不動産により3億35百万円の収入があった一方、法人税等の支払により21億88百万円を支出したことによるもの。
投資CFは、10億13百万円の支出超過(前年同期は60億1百万円の収入超過)となった。その主な内訳は、有価証券の売却により1億4百万円、有形固定資産の売却により1億81百万円のそれぞれ収入があった一方、有形固定資産の取得により14億58百万円、投資有価証券の取得により5億50百万円をそれぞれ支出したことによるもの。
これらにより、フリーCFは86億12万円の支出超過(前年同期は58億53百万円の収入超過)となった。
財務CFは、10億68百万円の収入超過(前年同期は43億18百万円の支出超過)となった。その主な内訳は、短期借入金の純増加額が13億50百万円、長期借入金による収入が3億60百万円あった一方、長期借入金の返済により4億93百万円を支出したことによるもの。

 

3.2021年2月期業績予想

(1)通期連結業績

 

20/2期 実績

構成比

21/2期 予想

構成比

前期比

営業総収入

10,427

100.0%

未定

-

-

営業利益

37

0.4%

未定

-

-

経常利益

165

1.6%

未定

-

-

親会社株主に帰属する

当期純利益

-401

-

未定

-

-

*単位:百万円

 

21/2期予想は未定
21/2期予想は未定とした。
マンションフロントサービス事業では、充実した教育体制による高品質なサービス提供を中核に、イベントやカルチャー教室開催などの付加価値の創造に取り組んで行くことで、住居者のより一層の快適なマンションライフの実現に努めていく。加えて、近年注力している企業やシェアオフィス、公共施設などの非マンション領域での受付サービスの拡大も積極的に進める考え。また、組織体制の見直し及び社内システム整備による業務効率の改善を推進していくとともに、不採算物件の解約を順次進め、収益性の向上を図る。
クリーニング事業では、日本全国でサービス提供が可能なネットワークを活用し、ホテル施設や独身寮などの法人需要の新規開拓を進める。また、マンションフロントでのクリーニング取次サービスや、都心部の高層マンションを中心に需要の拡大が見込まれるお掃除代行サービスのさらなる拡充にも取り組むが、都内の取引先ホテルの休業やリモートワークの浸透により減少しているクリーニング需要の回復には一定の時間を要す見込みである。
また、ホテル事業及びコンビニ事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、事業収益が大きく減少する見込み。
ホテル事業では、同社ビジネスホテルとして都内初進出となる「BAY HOTEL 東京浜松町」の開業を予定しており、同ホテルでは、1階に宿泊者専用のオープンキッチンや囲炉裏などの宿泊者同士のコミュニケーションが自然と生まれる空間を随所に散りばめているほか、屋上には東京タワーを正面に夜景が一望できる贅沢なルーフテラスを設置するなど、付加価値の高い施設運営を行う。さらには、「CVS・BAY HOTEL」の増築棟の開業を予定しており、同エリアで運営する同社ホテルの総客室数が約300室となることで、これまで以上に、多様な宿泊ニーズの獲得を進める。
しかし、1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、都心における宿泊需要は大きく冷え込んでいる。加えて、ビジネスホテル近隣の大型レジャー施設の休園などにより、営業するホテル各施設の売上高は対前年比で2割程度まで落ち込むなど厳しい状況が続いている。さらには東京オリンピックの1年延期が決定したことに伴い、上記ホテルの開業時期を再検討しているほか、緊急事態宣言の発令を受け、都心で運営する全てのユニット型ホテルについて、現在、休業しているが、営業再開時期については宿泊需要の動向を見極めながら、適宜判断する考え。
コンビニ事業においては、主力店舗近隣の大規模展示場において、大小問わず各種イベントが相次いで中止となっていることや、東京オリンピックの開催延期が決定したものの展示場の再開時期が見通せない状況となっている。また、2月下旬以降のテレワーク拡大による都心部の昼間人口の減少により、郊外立地の店舗は好調に推移しているものの、都心部の店舗は大幅な客数減少が続くなど二極化しており、収束が長期化した場合にはさらなる影響が想定される。
これらにより、21/2期の業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症の収束時期の予測が立たないため、当社の業績への影響について、現時点で合理的に算出することが困難であることから、一旦未定としている。
今後、予想が可能となった時点において、速やかに業績見通しを開示する。
配当は20.0円(うち上期10.0円)を見込む。

 

*株主優待制度
17年2月末より「ユニット型ホテル」6施設で使用できる株主優待制度を導入し運用してきたが、19年2月15日に「利用可能施設の追加」、「大口保有優遇制度の導入」、「長期保有優遇制度の導入」等の変更を発表した。

 

株主優待制度の内容

 

 

利用可能施設

 

 

株主数の増加に加え、優待券利用者による「広告宣伝効果」や「再宿泊需要の増加」にも期待している。
なお、春休み、年度末、花見、GWシーズン期間中は、インバウンド客を含め宿泊需要が旺盛で、稼働率が高い期間が続くことなどを考慮して、優待利用可能期間から除外しているとのこと。

 

4.今後の注目点

ホテル事業で新型コロナ感染拡大の影響が大きく、通期の見通しは困難。1Q(3~5月)の業績が厳しいものになることはほぼ確定した。2Q以降は感染拡大の度合いにもよるが、外国人観光客が戻ってくるまでには相当の期間を要するだろう。このため、新型コロナが収束しても当面の稼働率は低迷すると思われる。価格戦略の見直しも視野に入れたい。また、売上構成比の高いマンションフロント事業では採算性重視の戦略をとっているが、今後もその取り組みに期待したい。
一方、業績動向と株価水準では話が異なる。新型コロナ感染拡大後は株価も低調に推移しており、PBRは0.5倍となっている。時価総額は20億円程度で推移しているが、20/2期末の同社の現預金は16億5百万円、投資有価証券10億25百万円と合わせると大幅に下回っている。19/2期にコンビニ事業の売却などで現預金を得たことがここに来て功を奏した形となっている。不透明な環境下ではあるが、バランスシート上の価値から株価は売られすぎと考える。

 

 

今後の開業予定ホテル
BAY HOTEL 東京浜松町: JR浜松町駅 3分、都営線 大門駅2分

 

 

CVS BAY HOTEL 本館ANNWX(仮) JR 京葉線 市川塩浜駅 1分

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役(監査等委員除く)

5名、うち社外取締役 1名

監査等委員

3名、うち社外取締役 3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日 2020年5月29日

 

<基本的な考え方>
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、株主の皆様やお客様、従業員、地域社会などのすべてのステークホルダーと適切な関係を構築し、社会的責任を果たしていくことであると考えております。この考え方は、当社の経営理念として制定している「明日への誓い」のなかで、全てのステークホルダーに対して“より良き明日の実現”を誓い、実践する経営を目指していくことを掲げていることに基づくものです。そのためには、法令遵守のほか、経営の透明性や効率性をより一層高めていくことが不可欠であり、コーポレート・ガバナンスのさらなる充実を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

法令順守においては、企業理念を具現化した「企業行動基準」を定め、同基準を当社グループに横断的に運用しているほか、各従業員に対し、日頃の業務時に振り返ることができるよう、行動指針の要点をまとめた携帯可能なガイド冊子を配布しており、当社グループの全社員が法令および定款などを厳守した行動を行うよう周知を実施しております。

 

当社は監査等委員会設置会社制度を採用しております。これは監査等委員である取締役が、取締役会において議決権を行使することを通じ、取締役会の透明性や監督機能の強化を図ることを目的としております。また、当社の職務執行が適正かつ効率的に行われるよう、社外取締役および監査等委員である社外取締役(独立役員1名含む)の出席のもと、毎月定例で取締役会を開催し、業務執行取締役や業務執行役員および子会社の取締役より職務執行に関する報告を実施しているほか、重要事項の審議・決定を行うことでグループ全体の業務の適正に努めております。

 

<コーポレートガバナンスコードの各原則を実施しないおもな理由>
補充原則1-2-4.議決権行使プラットフォームの利用及び招集通知の英訳
補充原則3-1-2.英語での情報の開示や提供
当社の株主における海外投資家の比率は相対的に低く、現状の議決権行使状況に大きな支障はないものと考えているため、コスト等を踏まえ、議決権電子行使プラットフォームの利用、招集通知の英訳及び英語での情報開示は実施しておりません。今後につきましては株主構成(外国人株主や機関投資家の株式保有比率など)や議決権行使状況、あるいは株主の利便性を考慮の上、検討を進めてまいります。

 

原則1-3.資本政策の基本的な方針
当社は、これまで公募増資や立会外分売を行ってきたことで、経営陣である創業者及びその関係者による持株比率の低下が進んでまいりましたが、現在も創業者及びその関係者が議決権の過半数近くを所持しており、上場企業として、所有と経営の分離のあり方については、今後の検討課題と認識しております。
また、新株発行による資金調達については、既存株主の利益を不当に毀損することがないよう、当社の中長期的な成長を実現し、利益の拡大が見込まれるなど、その必要性や合理性について取締役会で審議・監督してまいります。また、その内容については、株主の皆さまに対し適切に開示、説明を行うこととしております。
収益につきましては、将来の企業価値拡大のための事業投資に備えた内部保留の充実をはかりつつ、株主の皆さまへ安定的かつ継続的な利益還元を行ってまいります。

 

原則3-1.情報開示の充実(1)会社の目指すところや経営戦略、経営計画
補充原則4-1-2.中期経営計画へのコミットメント
2018年3月1日に主力事業であったコンビニエンス・ストア事業の一部を吸収分割契約に基づき他社に承継し、同日以降、店舗数を大幅に縮小したことを受け、今後は新たな事業の創出による収益の確立に努めていく方針であることや、ホテル事業において、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全てのユニット型ホテルが臨時休業を行っていることに加え、本年に開業を予定しております2棟のホテル施設におきましても、開業日を一旦未定とさせていただくなど、今後の収支計画を立てることが現時点において困難であることから、現在、中長期の経営計画の開示を行っておりません。

 

補充原則4-3-2.客観性・適時性・透明性ある手続きによるCEOの選任
補充原則4-3-3.CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続きの確立
当社では、独立した諮問委員会を設置しておりませんが、CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、取締役会において、独立社外取締役の適切な関与・助言を得た上で、CEOの選解任を決議することとしております。

 

補充原則4-10-1.任意の委員会の設置
当社は、機関設計として監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名、監査等委員である取締役4名によって取締役会を構成しており、当社の企業規模などを鑑み、現状の体制が適切であると判断しております。任意の仕組みの活用については、現時点においては設置しておりませんが、企業規模の拡大など、必要に応じ検討いたします。

 

補充原則4-11-1.取締役の選任に関する方針及び手続き
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)の人数は9名以内、監査等委員である取締役は5名以内と定款で定めております。
取締役会は取締役5名(監査等委員である取締役を除く)、監査等委員である取締役3名で構成されており、当社の事業規模、事業内容において、経営の効率性を確保する観点から、現状の規模は適正であると考えております。また、その人選においては、各事業分野に精通した人物を選任し、知識・経験・能力のバランスを確保するよう努めております。取締役会の国際性については、当社の事業範囲が国内に限定されているため、現時点においては検討しておりませんが、ジェンダーの面については、その重要性は認識しております。しかしながら、上場から20年近くを経た2018年3月に大規模な会社分割を行ったことにより、現在は40代後半から50代の社員が数名しかおらず、知識・経験・能力ともに選任要件を満たす社内人材が男女限らず不足していることや、役員報酬の総額についても事業規模に見合った水準に抑えており、多様性を確保するだけに、役員を登用することについては、その必要性を含め今後も取締役会において議論してまいります。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>
原則1-4.いわゆる政策保有株式
当社は、政策保有株式を保有しておりませんが、保有する場合には、「業務提携、取引の維持・強化及び株式の安定等の保有目的の合理性」を検討し取締役会で諮ることとします。また、政策保有株式を保有した場合の議決権行使については、当社と投資先企業双方の持続的成長と、中長期的な企業価値向上に資するかを基準として総合的に判断するほか、政策保有株主との取引については経済合理性が十分か検証したうえで、決定いたします。

 

原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
当社は、企業年金制度は導入しておりません。

 

原則3-1.情報開示の充実
(3)経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続当社の取締役・監査等委員の報酬は株主総会で決議された役員報酬額の範囲内において、その職責や資質、貢献等を基に算出しております。取締役の報酬は独立社外取締役が出席する取締役会、監査等委員の報酬は監査等委員会で協議を行い決定しているほか、取締役の報酬については監査等委員会がその妥当性を監査しております。

 

(4)取締役の選解任及び指名の方針と手続当社取締役会は、経営陣幹部の選任については、それぞれの経験・実績等を分析しながら、その資質や人格を十分に有する者を指名し、社外取締役候補者については、取締役会全体の監督・監視機能の強化を図るべく、多様な知見や豊富な経験を持つ候補者をそれぞれ指名しております。なお、監査等委員である取締役候補者については、監査等委員会の同意を得ることとしております。経営陣幹部の選任にあたっては、上記の選任要件をもとに取締役会が選任した候補者の議案について独立社外取締役が出席する監査等委員会において適切かどうか検討を行ったのち、取締役会において決議します。経営陣幹部の職務執行に重大な法令・規則違反等があった場合や取締役としての資質や職務遂行能力を満たさないと判断した場合は、取締役会において、独立社外取締役が出席することを必須要件として、役付けの罷免を決議することとしております。

 

原則4-2-1 客観性・透明性のある経営陣の報酬制度の設計および具体的な報酬額の決定
経営陣の具体的な報酬を決定するにあたっては、事前に独立社外取締役を含む監査等委員会がその内容を審議することで、客観性・透明性ある手続きを確保してまいります。

 

2020年5月29日開示コーポレートガバナンスの状況より

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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