ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

スタンダード

ブリッジレポート:(7590)タカショー 2020年1月期決算

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高岡 伸夫 代表取締役社長

株式会社 タカショー(7590)

 

 

会社情報

市場

東証一部

業種

卸売業(商業)

代表取締役社長

高岡 伸夫

所在地

和歌山県海南市南赤坂20-1

決算

1月20日

HP

https://takasho.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

483円

14,578,329株

7,041百万円

2.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

10.00円

2.1%

20.58円

23.5倍

590.37円

0.8倍

*株価は3/27終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
*ROE、BPSは20/1期実績、EPSは21/1期予想。数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

配当

2016年1月(実)

17,853

722

597

240

19.63

17.00

2017年1月(実)

17,223

503

322

152

12.39

6.00

2018年1月(実)

17,489

607

571

228

18.59

10.00

2019年1月(実)

17,759

514

333

338

25.04

10.00

2020年1月(実)

17,357

531

469

203

13.93

10.00

2021年1月(予)

19,145

700

578

300

20.58

10.00

*予想は会社予想。
*単位:百万円、円

 

 

タカショーの2020年1月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.事業展開
3.2020年1月期決算
4.2021年1月期業績予想
5.今後の事業展開と中長期計画
6.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/1期は前期比2.3%減収、40.6%経常増益。国内は、プロユース部門では大型エクステリア商品の販売が順調に推移し増収。ホームユース部門は自然災害の影響等で減収。海外は、ホームユース部門ではネット販売に注力、プロユース部門はホームユース部門との連動で好調も、欧州地域での販売体制の再構築に伴い減収。利益面では、為替変動による売上原価の上昇に対し製販一貫体制を構築し自社製品比率を高めるなどして対応。販管費では不採算子会社の整理費用が減少した。営業外では為替差損が大幅に縮小した。

     

  • 21/1期は前期比10.3%増収、23.2%経常増益を計画する。国内においては、販売活動の強化ならびに製造子会社の合併により製造部門の設備の拡大ならびに生産性の効率化を図り、さらなるガーデニング及びエクステリア製品の販売強化を図る。グローバル展開においては、欧州地域を中心に自社生産品における新商品の導入を推進する。尚、売上の約7割が、国内自社工場で製品を提供しているプロユース事業であるため新型コロナの影響は軽微である模様。中国の自社工場については、2月17日に稼働率75%で再開し、3月9日より通常の生産体制に戻った。

     

  • 国内では製造子会社の統合、海外では販売体制の再構築と20/1期は立て直しの1年でもあった。こうした中、国内外生産体制を強化、成長体制への整備も進めている。世界中で拡大する新型コロナは密閉した室内で感染しやすい。このため、解放された庭、「5th ROOM」の存在価値が大きくなるだろう。世界で同社の活躍の場が広がる可能性が出てきた。中期計画を達成すればEPSは23/1期が44円、25/1期には77円が想定される。同社株のPBRは1倍を大きく割り込んでおり、株価の見直し余地は大きい。また、今後の世界における庭の存在感の行方にも注目したい。

     

     

1.会社概要

「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。戦後、素材から業種型、そして業態産業へと移行、同社はより良い庭くらしのライフスタイルメーカーとして成長してきた。心身の健康と家族の笑顔ある暮らしの提供を目指す。また、常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く都市環境庭文化に貢献するグローバルなオンリーワン企業を目指している。ミッションとして「より良い庭での暮らしをグローバルに提供する企業」と掲げている。
製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、オセアニア、アメリカへも展開。商品の企画から製造、販売までを一貫して手掛けるグループ力を強みとし、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」のリーディングカンパニーとして期待されている。子会社は国内5社、海外10社。1998年に9月にジャスダックに上場、2012年、2013年の増資を経て2017年10月19日より東証二部へ、2018年7月9日には東証一部へ市場変更している。

 

会社概要

設立日

1980年8月

上場日

1998年9月(ジャスダック)

2017年10月より東証二部

2018年7月より東証一部

資本金

18億2,086万円

国内連結子会社

5社

海外連結子会社

10社(英、米、独、豪、印、中、香港)

従業員数

760名(連結)

 

 

基本理念とミッション

 

(同社説明資料より)

 

事業セグメント
事業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要なハウスメーカーや工務店向け「プロユース事業」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース事業」、「国際事業」に分かれる。着実に売上を伸ばす中、ここ数年間では特にプロユース事業が伸びている。プロユースの売上は過去10年で倍増した。

 

(同社説明会資料より)

 

2.事業展開

【プロユース事業】

「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約25万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設等にダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を無償サービスで返送し、正式な注文があれば商品を短納期する仕組み作りが確立している。

 

商品戦略
ハウスメーカーとの取組みでは、「エバーアートウッド」等が高い評価を受けており、大手ハウスメーカーのエクステリア&ガーデンカタログに掲載される商品が増えている。「5th ROOM」(庭は、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに続く5番目の部屋であり、家と庭の持つ良い部分を重ね合わせた空間である)を提案、販売戦略ではマス(大量販売)・カスタマイゼーション(顧客ニーズ提供)を掲げそれぞれの顧客ライフスタイルを提供する。

 

(同社説明資料より)

 

 

住宅につなげる「5th ROOM」の提案を充実

 

(同社説明資料より)

 

新たな取り組みとしてGEMS(ガーデンエネルギーマネジメントシステム)を提案。ライトだけでなく音響やカメラ、冷暖房を備えた庭をもっと快適にするシステムである。

 

(同社説明資料より)

 

ガーデン(庭)に加えて、エクステリア、コントラクトを製品の主軸と位置付け、新築、リフォーム、リノベーションへの製品を投入する。

 

販売はリアル(カタログ)とネット(WEBツール)を併用する。IT&WEBサービスでは無料見積サービスなどを提供し、全国にあるショールームへ誘導する。大阪には新たなショールームを開設した。

 

エクステリア(新築外構)、ガーデン(庭での暮らしの提案)、コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)に力を入れている。「ガーデンとは、囲われた楽園。囲うものが無ければガーデンは成り立たない」という独自の発想の下、この囲うものをエクステリアと捉え、タカショーらしい独自性を重視した製品開発を進めている。
14年10月には屋外照明の100%LED化を実現した。「タカショーローボルトライトシステム」は一般社団法人HEAD研究会主催の「第4回ベストセレクション賞」を受賞して評価を受け、市場への知名度も上がっている。
コントラクト(非住宅市場向け建材、外装)分野では、景観建材事業を展開している。「エバーアートウッド」や「エバーバンブー」等の提案を強化していく考え(「エバーアートウッド」は国土交通省から不燃材料として認定されており、外装だけではなく、内装にも対応可能)。豊富な商品の組み合わせにより、各施設にふさわしい庭空間、建物外観や内装をトータルに提案、全国で数多くの納品事例を誇る。
大量販売と顧客のニーズに応える「マス・カスタマイゼーション」戦略を推進する中、現場ですぐに取り付けられるエクステリアのパッケージ化も推進している。

 

国内自社工場
プロユース製品は国内で製造される。ガーデンクリエイト(株)では和歌山県海南市の工場にはインクジェットプリンターを導入、さらに規模拡大を計画している。栃木県鹿沼市の工場では自動ラッピングマシンを導入。

 

(同社説明資料より)

 

また、庭のプロフェッショナル集団を目指す「リフォームガーデンクラブ」を通じて問屋や施工店とのコミュニケーションを図る。「エクステリア&ガーデンマイスター制度」や「ウォーターガーデンマイスター制度」、「ガーデンライティングマイスター制度」といった制度を設立した。17年3月にライティングマイスターは受講者5,000名を突破した。新たに「ガーデンセラピーコーディネーター」資格の認定制度を設け、17年11月には資格認定制度のセミナーも開かれた。
業界の活性化に向けた取り組みも盛況だ。取引先を対象に来期に向けた商品政策等を見ることができる自社展示会「タカショーガーデン&エクステリアフェア」が例年7月に行われ、盛況となっている。昨年は7月25日、26日に開かれた。施工店へのネットワークに対しても積極的に支援している。タカショーリフォームガーデンクラブの会員数は700社を突破した。

 

【ホームユース/国際事業】

ホームユースは国際的に事業展開する。中国の九江で生産し、国内を含めてグローバルに販売する。5,000坪の新工場も立ち上がる。販売ルートはネットとリアルを絡めたブランド戦略を採っている。中国自社工場の稼働率向上を課題として掲げる。アルミ製の「美WOOD」を販売開始。

 

 

ホームユース事業戦略 ~自社工場生産品を強化~

 

(同社説明資料より)

 

販売は広範囲で展開している。米国においては、15年2月に同社100%子会社である英国の販売会社(ベジトラグ社)100%出資の「ベジトラグUSA」を設立し、米国への販売の強化を進めている。また、16年5月にはベトナムにショールームを設立した。また、有望市場であるインドにも子会社を設立した。
この他、ドイツ、オーストラリア、韓国に展開している。ワールドワイドに展開するためには、ガーデニング市場が4兆円規模と言われている英国(日本は6,000億円程度)のような大きなマーケットに販社を置く必要があると言う。
グローバルサイト「VegTrug.com」の運営を開始した。

 

(同社説明資料より)

 

 

 

3.2020年1月期決算

(1)連結業績

 

19/1期

構成比

20/1期

構成比

前年同期比

会社予想

予想比

売上高

17,759

100.0%

17,357

100.0%

-2.3%

18,634

-6.8%

売上総利益

7,680

43.2%

7,547

43.5%

-1.7%

7,939

-4.9%

販管費

7,166

40.4%

7,015

40.4%

-2.1%

7,291

-3.8%

営業利益

514

2.9%

531

3.1%

+3.3%

648

-18.0%

経常利益

333

1.9%

469

2.7%

+40.6%

542

-13.4%

親会社株主に帰属する四半期純利益

338

1.9%

203

1.2%

-40.0%

372

-45.4%

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比2.3%の減収、40.6%の経常増益
売上高は前期比2.3%減の173億57万円。
国内は、プロユース部門ではアルミ製人工木「エバーアートウッド」ならびに木、石、塗り壁、和風など様々な天然素材を再現した情緒性のある化粧外装建材「エバーアートボード」を用いた大型エクステリア商品の販売が順調に推移した結果、増収となった。また、「5th ROOM」型のユニット商品等や、エクステリアのパッケージ化も進め、現場に合わせて製造・提供できる『マスカスタマイゼーション』による現場の人手不足の解消や、建築作図の際にエクステリア&ガーデンのデザイン設計も含め、住宅と庭の同時提案が出来るシステム開発にも注力した。さらに、アルミ製人工木「エバーアートウッド」およびアルミ複合板「エバーアートボード」の自社製造設備を強化し、売上拡大を図った。
ホームユース部門では消費税の増税に伴い駆け込み需要はあったものの、台風や大雨の発生による自然災害の影響を受け、ガーデニング関連商品の売上が低迷した。また、一部の商品において中国の同社グループである江西高秀進出口貿易有限公司より国内取引先への直接販売を推進することで減収となった。
海外は、ホームユース部門では販売子会社において、ガーデンリビング商品とベジトラグ菜園商品の展開によりネット販売に注力した。プロユース部門においては、ホームユース部門との連動により売上が順調に推移した。しかし、欧州地域での販売体制の再構築に伴う移管手続きの遅れや米国における売上が鈍化したこと等により減収となった。
営業利益は前期比3.3%増の5億31百万円
利益面では、為替変動による売上原価の上昇を、グローバル会社において企画・製造・販売の一貫体制を構築に自社製品比率を高めるなどの対応策を実施した。さらに海外販売子会社の売上総利益率が安定してきたことで原価を抑制した。販管費において販売力強化および生産量増加に向けた人材の採用や運賃の高騰およびサーバー老朽化によるシステム移行費用等、費用が嵩んだものの、不採算子会社の整理費用が減少したことから営業増益となった。営業外費用では為替変動に伴い為替差損が前期比大幅に縮小し、経常利益は同40.6%増の4億69百万円となった。清算子会社の整理が進み繰延税金資産を取崩したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は同40.0%減の2億3百万円となった。

 

国内ガーデニング業界では、各種政策効果による下支えの影響を受け新設住宅着工戸数はやや持ち直し感はあるものの前年に比べ減少している。また、台風や大雨の発生による自然災害の復興も収束しつつあるものの、建設資材ならびに労働者の需給には依然不透明感が残っている。
このような状況下、同社グループでは、庭は家での暮らしにおける5番目の部屋である「5th ROOM」のコンセプトに基づき、庭からできる省エネ、節電、安全をテーマとした「SMART LIVING GARDEN」(スマートリビングガーデン)や家族が笑顔で健康になる庭をテーマとした「ガーデンセラピー」など、自然や季節を楽しむ心地良い庭での暮らしを目的とする新商品の拡充を図った。
また、7月21日に国内製造子会社3社(ガーデンクリエイト株式会社、徳島ガーデンクリエイト株式会社、株式会社ガーデンクリエイト関東)を合併し、栃木工場の工場拡大により商品の安定供給を図るなか、和歌山工場の増築ならびに製造設備の増設など生産体制の強化を図った。
海外展開では、100%子会社である世界の販売子会社からの売上拡大を目的に、中国製造子会社の九江高秀園芸製品有限公司の工場拡大(新工場面積:18,000㎡、全体工場面積88,000㎡に増床)により、新商品の本格生産がスタートした。これらの供給体制の拡大・強化に伴い、日本品質を保ちながら世界への安定供給が可能となったことから、イギリスに本社を置くVegTrug Limitedを中心に各海外販売子会社において欧州・米国・豪州地域に対しガーデンリビング商品とベジトラグ菜園商品等をベースとする園芸資材をホームセンターやガーデンセンターに展開することで売上拡大を図った。

 

報告セグメント別売上高・利益

 

 

 

 

19/1期

構成比

20/1期

構成比

前期比

日本

15,410

86.8%

15,495

89.3%

+0.6%

欧州

864

4.9%

438

2.5%

-49.3%

中国

866

4.9%

894

5.2%

+3.2%

韓国

98

0.6%

120

0.7%

+23.0%

米国

348

2.0%

268

1.5%

-22.9%

その他

170

1.0%

139

0.8%

-18.1%

連結売上高

17,759

100.0%

17,357

100.0%

-2.3%

日本

508

117.8%

569

149.8%

+11.8%

欧州

-244

-

-329

-

-

中国

192

44.6%

188

49.6%

-2.1%

韓国

-33

-

-22

-

-

米国

1

0.3%

-14

-

-

その他

7

1.7%

-11

-

-

連結調整

82

-

151

-

-

連結営業利益

514

100.0%

531

100.0%

+3.3%

*単位:百万円

 

日本
売上高は前年同期比0.6%増の154億95百万円、セグメント利益は同11.8%増の5億69百万円。ホームユース部門では、新商品を投入する等売上の増加に努めた。しかし、同社施策により為替リスクを軽減させる目的で海外販売子会社との当事者会社間の直接取引への変更が進んだことから売上が減少した。一方、「エバーアートウッド」、「エバーアートボード」などの新商品の販売が順調に推移するなか、「エバーアートウッド」が建材としても使用されることにより、プロユース部門の売上は増加した。利益面では、為替変動による売上原価の上昇を抑制できたことや、販管費を前期と比べ大幅に抑制したことから増益となった。

 

欧州
売上高は前期比49.3%減の4億38百万円、セグメント損失3億29百万円(前期は2億44百万円の損失)。ドイツの販売子会社の清算手続きの影響やイギリスのEU離脱問題、大手ホームセンター統廃合等による市場の混乱の影響等により減収。利益面では、売上高が減少したことやイギリス販売子会社の売上拡大を目的とした設備投資(事務所兼倉庫の拡充)、また、ドイツ販売子会社の清算に伴う一時的な費用が発生した。

 

中国
売上高は前期比3.2%増の8億94百万円。セグメント利益は同2.1%減の1億88百万円。親会社からの商圏の移管を受けたことや、自社生産品への集約が進むことで増収となった。利益面では、売上高が増加したものの、生産設備の新規投資による減価償却費の増加等により若干の減益となった。

 

韓国
売上高は前期比23.0%増の1億20百万円、セグメント損失22百万円(前期は33百万円の損失)。ホームセンターへの導入アイテムの増加や地域ビルダーとのエクステリア関連商品の販売が順調に推移したことにより増収。利益面では、売上高の増加等に伴い損失が縮小した。

 

米国
売上高は前期比22.9%減の2億68百万円、セグメント損失14百万円(前期は1百万円の利益)。大型ホームセンターとの新規口座開設や通信販売会社との取引拡大に努めたものの、米中貿易摩擦の影響もあり減収。利益面では、売上高の減少に伴い損失に転じた。

 

その他
売上高は前期比18.1%減の1億39百万円、セグメント損失11百万円(前期は7百万円の利益)。市場環境の低迷、新規に設立した販売子会社の販売が伸びなかったこと等により減収。利益面では、売上高が低迷したことや今後の売上拡大を想定した人材強化と倉庫の拡大により経費が嵩んだことにより損失となった。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年1月

20年1月

 

19年1月

20年1月

現預金

3,210

2,790

仕入債務

3,049

2,872

売上債権

3,187

2,868

短期有利子負債

5,326

5,167

たな卸資産

4,877

4,778

流動負債

9,720

9,282

流動資産

11,999

11,099

長期有利子負債

379

437

有形固定資産

5,127

5,683

固定負債

557

657

無形固定資産

335

331

純資産

8,581

8,693

投資その他

1,398

1,519

負債・純資産合計

18,859

18,634

固定資産

6,860

7,534

有利子負債合計

5,706

5,605

*単位:百万円
*有利子負債は借入金及びリース債務

 

20/1期末の流動資産は、前期末比8億99百万円減少し、110億99百万円となった。主な要因は、現預金が27億90百万円(同4億20百万円減)、受取手形及び売掛金が22億99百万円(前期末比3億23百万円減)、たな卸資産が32億79百万円(同2億30百万円減)となったこと等によるもの。
固定資産は、前期末比6億73百万円増加し、75億34百万円となった。主な要因は、日本国内の工場の増設等により建物及び構築物が31億78百万円(前期末比1億96百万円増)となったことや、新会計基準の適用に伴いリース資産が4億28百万円(同2億94百万円増)となったこと等によるもの。
この結果、総資産は前期末比2億25百万円減の186億34百万円となった。
流動負債は前期末比4億37百万円減少し、92億82百万円となった。主な要因は、仕入債務が28億72百万円(前期末比1億76百万円減)、短期借入金が48億91百万円(同1億72百万円減)となったこと等によるもの。固定負債は、前期末比1億円増加し、6億57百万円となった。主な要因は、運転資金を長期借入金から短期借入金へ移行させたことにより長期借入金が62百万円(前期比1億70百万円減)となったものの、新会計基準の適用に伴いリース債務が3億74百万円(同2億28百万円増)となったこと等によるもの。
この結果、負債合計は前期末比べて3億39百万円減少し、99億40百万円となった。
純資産合計は前期末比1億12百万円増加し、86億93百万円となった。主な要因は、利益剰余金が46億20百万円(前期末比57百万円増)となったこと等によるもの。

 

キャッシュ・フロー

 

19/1期

20/1期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

433

987

+553

+127.8%

投資キャッシュ・フロー

-801

-783

+17

-

フリー・キャッシュ・フロー

-367

203

+571

-

財務キャッシュ・フロー

1,043

-606

-1,649

-

現金及び現金同等物上期末残高

3,210

2,790

-420

-13.1%

*単位:百万円

 

20/1期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比4億20百万円減少し、27億90百万円となった。
営業活動CFは9億87百万円の収入(前期は4億33百万円の収入)となった。主な要因は、税金等調整前当期純利益が4億67百万円(前期は3億28百万円)、売上債権の増加額が2億98百万円(前期は2億64百万円の減少)となったこと等によるもの。
投資CFは7億83百万円の支出(前期は8億1百万円の支出)となりまった。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が6億21百万円(前期は7億13百万円の支出)、無形固定資産の取得による支出が85百万円(前期は91百万円の支出)となったこと等によるもの。
財務CFは6億6百万円の支出(前期は10億43百万円の収入)となった。主な要因は、短期借入れによる純支出1億51百万円(前期は5億円の純収入)、また前年同期においては新株の発行による収入10億14百万円があったこと等によるもの。

 

 

4.2021年1月期業績予想

連結業績

 

20/1期 実績

構成比

21/1期 予想

構成比

前期比

売上高

17,357

100.0%

19,145

100.0%

+10.3%

営業利益

531

3.1%

700

3.7%

+31.7%

経常利益

469

2.7%

578

3.0%

+23.2%

親会社株主に帰属する当期純利益

203

1.2%

300

1.6%

+47.7%

*単位:百万円

 

10.3%の増収、同23.2%の経常増益予想
21/1期は売上高が前期比10.3%増の191億45百万円、経常利益は同23.2%増の5億78百万円を計画する。
引き続き国際的な貿易問題や新型肺炎感染の脅威による外出の自粛等、その影響の予測が難しいリスクが存在し、国内においても自然災害の多発など不透明な経営環境が続くことが見込まれる。このような経営環境のもと、21/1期も同社が提唱する庭は家での暮らしにおける5番目の部屋である「5th ROOM」に基づき、FMラジオでのコマーシャルやネット動画コマーシャルの配信等により、庭でのライフスタイルメーカーとしてのブランド力の向上を図る。また、国内においては、販売活動の強化ならびに製造子会社の合併により製造部門の設備の拡大ならびに生産性の効率化を図り、さらなるガーデニング及びエクステリア製品の販売強化を図る。さらに、ローボルトシリーズの強化によりGEMS(Garden Energy Management System)に基づく、ガーデンにおけるIoT化を推進する。販管費においては、業務効率を改善し生産性向上の強化を図るため、AI・AI-OCRならびにRPA(ロボティクス・プロセス・オートメイション)の運用推進により経費削減に努める。また、グローバル展開においては、欧州地域を中心に自社生産品における新商品の導入を推進するとともに、同社取扱商品である「エバーアートウッド」を中心としたエクステリア商品の拡販を目的とし、同商品の販売が順調に推移している韓国および豪州と同様に同社EU支店の運営により、欧州地域に対する売上拡大に努める。さらに、中国の製造部門において、工場増築により生産量を拡大し、欧州、アジア、オセアニア、北米地域への販売活動の強化を図る。

 

(参考)新型コロナの影響について
新型コロナウィルスの影響は軽微である模様。同社の全体売上の約7割が、国内自社工場で製品を提供しているプロユース事業であるため。
中国の自社工場については、2月17日に稼働率75%で再開し、3月9日より通常の生産体制に戻った。2月の売上計画は3月以降にスライドするものの上期の売上計画は影響はなし。また、受注キャンセルはほとんど生じていない。

 

 

5.今後の事業展開と中長期計画

事業展開

成長するエクステリアガーデンではNo.1

オンリーワンからNo.1G&EX総合メーカー

 

♢ 物づくり工場 さらなる稼働率向上
♢ ソフト工場 空間提案 AR、VRの仮想空間デザイン制作専門チームの新設
GEMSの展開 ガーデンのIoT化ローボルトのライト、カメラ、サウンドをアプリと連動
ガーデンストーリー 掲載記事2,000本、PV数1,200万を突破

 

(同社説明資料より)

 

中長期計画

中期計画では22/1期に売上高210億円、経常利益9億80百万円を目指す。また、25/1期には売上高271億円、経常利益19億80百万円の計画を掲げる。

 

 

20/1期

実績

21/1期

計画

22/1期

計画

23/1期

計画

24/1期

計画

25/1期

計画

売上高

17,357

19,145

21,000

22,500

25,000

27,100

営業利益

531

700

950

1,100

1,650

1,820

経常利益

469

578

980

1,130

1,680

1,980

親会社株主に帰属する当期純利益

203

300

555

645

960

1,130

*単位:百万円

 

6.今後の注目点

国内では夏序盤は日照不足の影響、秋には台風や大雨の影響があり、海外ではドイツ販社清算の影響があり減収となった。国内では製造子会社の統合、海外では販売体制の再構築と20/1期は立て直しの1年でもあった。こうした中、国内では生産体制のさらなる強化、中国では工場を増強するなど成長体制への整備も進めている。世界中で新型コロナが蔓延しており、不透明感が強いが、新型コロナは密閉した室内で感染しやすい。このため、解放された庭、「5th ROOM」の存在価値が大きくなるだろう。世界で同社の活躍の場が広がる可能性が出てきた。それだけに、20/1期に生産体制を増強させた意義が大きくなりそうだ。意欲的な中期計画達成への道筋も見えてきそうだ。
中期計画を達成すればEPSは23/1期が44円、25/1期には77円が想定される。
新型コロナの影響で株式市場は大荒れ、同社株も下落しPBRは1倍を大きく割り込んでいる。中期計画の利益水準も考慮すると株価の見直し余地は大きい。また、今後の世界における庭の存在感の行方にも注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態および取締役・監査役の構成>

組織形態

監査役設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年4月19日

 

<基本的な考え方>
同社は、健全で透明性が高く、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応するための経営の意思決定の効率性を確保したコーポレート・ガバナンスの構築が重要課題と認識し取り組んでいる。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2-4】

議決権の電子行使プラットフォーム導入や招集通知の英訳につきましては、現在機関投資家や海外投資家の比率が比較的低いため、採用しておりません。今後、株主構成の変化等の状況に応じて検討して参ります。

【補充原則3-1-2】

英語での情報開示につきましては、人員・コスト面から費用対効果を鑑み、海外投資家の比率が比較的低いため、採用しておりません。今後、株主構成の変化等の状況に応じて検討して参ります。

【補充原則4-8-1】

現在、独立社外取締役のみを構成員とする定期的な会合等は実施しておりませんが、各取締役や監査役とも意見交換を行い、取締役会では、積極的に議論に参加し発言を行うなど、独立社外取締役としての役割・責務を十分に果たしていただいているものと認識しております。

 

<開示している主な原則>

原則

その理由

【原則1-4 政策保有株式】

(1)政策保有に関する方針 

営業上の取引関係の維持・強化に繋がるか、事業活動の円滑な推進等を通じて当社の中長期的な企業価値の向上に結びつくか等を総合的に判断し、保有できるものとします。政策保有株式のうち、主要なものについては、保有する上での中長期的な経済合理性や取引先との総合的な関係の維持・強化の観点からの保有効果等について検証し取締役会において報告を行います。保有の意義が必ずしも十分でないと判断される銘柄については、縮減を図ります。

(2)政策保有株式に係る議決権行使の基準 

当社と投資先企業双方の持続的成長と中長期的な企業価値の向上に適うか否かを基準に、投資先企業の株主総会議案の内容を精査し、議決権を行使することとしております。

【原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】

当社は確定給付企業年金制度を採用しており、企業年金の管理・運用に関してスチュワードシップ活動の受け入れを表明している資産管理運用機関と契約を締結しています。総務人事部門内に担当者を配置し、運用の健全性について委託している運用機関から定期的に報告を受け、関連部門において適宜モニタリングを行っております。

【原則4-8 独立取締役の有効な活用】

当社では、社外取締役を2名選任し、その2名が独立社外取締役という構成となっており、取締役会において独立、中立の立場での意見を踏まえた議論を可能にしております。今後も、高い専門性と豊富な経験をもった複数名の独立社外取締役が選任できるように候補者の選定に努めて参ります。

【補充原則4-11-1 取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方】

当社は、様々な経営環境の変化に、的確かつ迅速に対応すべく、知識・経験・能力のバランスを考慮し、多彩なバックグランウンドを有する人材を取締役に選任しております。特に、社外取締役は、業界の知見、経営に対する経験、専門的な能力などを考慮し、各分野で見識の高い人材を選任し、バランス、多様性に配慮しております。また、当社では、企業規模等を勘案し、定款において取締役の員数を15名以内と定めておりますが、現在、6名の取締役(うち社外取締役2名)を選任しております。

 

 

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