ブリッジレポート
(6498) 株式会社キッツ

プライム

ブリッジレポート:(6498)キッツ 2020年3月期第3四半期決算

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堀田 康之 社長

株式会社キッツ(6498)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

機械(製造業)

代表者

堀田 康之

所在地

千葉県千葉市美浜区中瀬1-10-1

決算月

3月

HP

https://www.kitz.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

778円

92,661,471株

72,090百万円

7.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

2.6%

46.20円

16.8倍

800.02円

1.0倍

*株価は02/07終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

117,278

7,245

7,300

4,915

45.50

13.00

2017年3月(実)

114,101

8,929

8,799

5,400

51.43

13.00

2018年3月(実)

124,566

10,117

9,733

6,518

65.50

17.00

2019年3月(実)

136,637

11,713

11,883

5,625

58.50

20.00

2020年3月(予)

124,000

6,500

6,300

4,300

46.20

20.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

株式会社キッツの2020年3月期第3四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第3四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.トピックス
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/3期3Q(累計)は前年同期比8.8%の減収、同47.5%の営業減益。ただ、下期に入り、建築設備向け及び半導体製造装置向けが底打ちして反転。米中貿易摩擦の影響で、北米、中国、アセアン・韓国に不透明感が残るものの、バルブ事業全体ではモーメンタムが改善してきた。

     

  • 通期予想に変更はなく、前期比9.2%の減収、同44.5%の営業減益。売上面では、バルブ事業が同8.9%、伸銅品事業が同11.6%、それぞれ減少する見込み。利益面では、バルブ事業で同31.7%の減益、伸銅品事業で同30.3%の減益を見込んでいる。期末配当は10円を予定しており、2Q末配当と合わせて年20円となる見込み。

     

  • 通期予想に対する進捗率は、売上高75.9%、営業利益77.1%、と順調に進捗しているが、現状では新型コロナウィルスの影響が読めないと言う。中国では大半の省や直轄市で、企業に対して9日までの休業を求めており、同社グループも、昆山の生産拠点や上海の販売拠点等がその対象になっている。中央政府と地方政府の方針が一致していない面があるが、現状では、10日に業務を開始できるかどうか不透明なようだ。ホテル事業の「ホテル紅や」への影響はほとんどないと言う。

     

1.会社概要

バルブを中心とした流体制御機器の総合メーカー。バルブ事業では、国内トップ、世界でもトップ10に入る。バルブは、青銅、黄銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等、用途に応じて様々な素材が使われる。同社は素材からの一貫生産(鋳造から加工、組立、検査、梱包、出荷)を基本とする。国内外の子会社36社とグループを形成し、子会社を通して、バルブや水栓金具、ガス機器などの材料となる伸銅品の生産・販売(伸銅品でも国内上位のポジションにある)やホテル事業等も手掛けている。

 

【企業理念 キッツは、創造的かつ質の高い商品・サービスで企業価値の持続的な向上を目指します-】

「企業価値」とは「中長期的な株主価値」であり、「中長期的な株主価値」の向上には、顧客の信頼を得る事によって利益ある成長を持続していく必要がある、と言うのが同社の考え。そして、企業価値を向上させる事により、株主をはじめとして、顧客、社員、ビジネスパートナー、社会に対して様々な形で寄与し、豊かな社会づくりに貢献していきたいと考えている。
同社は、これらの思いを「キッツ宣言」に込め、更なる飛躍を目指している。

 

キッツ宣言

KITZ’ Statement of Corporate Mission

キッツは、

創造的かつ質の高い商品・サービスで

企業価値の持続的な向上を目指し、

ゆたかな社会づくりに貢献します。

To contribute to the global prosperity,

KITZ is dedicated to continually enriching its corporate value

by offering originality and quality

in all products and services.

 

1-1 事業セグメントの概要

事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及びホテル・レストランの経営(ホテル事業)等のその他に分かれ、19/3期の売上構成比は、それぞれ80.5%、17.3%、2.2%。

 

バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「流す」、「止める」、「流量を調整する」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は、鋳物からの一貫生産を特徴とし(日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得した)、住宅・ビル設備等の建築設備分野に使用され、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等の工業用ステンレス鋼製バルブと言った主力商品で高い国内シェアを有する。

 

建築設備

ホテルや病院、オフィスビル等の建築設備において、空調、衛生、防災設備等に使われるバルブを扱っている。

水道・給水設備

上下水道における配管ラインの機器・装置、水処理・汚泥処理施設に使われるバルブ及び戸建、集合住宅用の給水装置用商品を扱っている。

ガス・エネルギー施設

LNG(液化天然ガス)生産施設やパイプライン等で使われるバルブを扱っている。

産業機械・生産設備

産業機械・生産設備のあらゆる場所で使われるバルブを扱っている。

石油精製、コンビナート施設

石油精製、石油化学、化学プラントのプロセスライン等で使われるバルブを扱っている。

半導体製造設備

半導体製造設備向けのバルブ、継手を扱っている(グループ会社のキッツエスシーティーで製造・販売)。

 

販売面では、国内は主要都市に展開する販売拠点ときめ細かい代理店網によって全国をカバーしており、海外は、インド、U.A.Eに駐在員事務所を置く他、中国、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、アメリカ、ブラジル、ドイツ、スペインに販売拠点を設置し、グローバルな販売ネットワークを構築している。生産面では、国内工場の他、海外では中国、台湾、韓国、タイ、インド、ドイツ、スペイン、ブラジルに生産拠点を展開し、グローバルコスト及び最適地生産の実現に向けた生産ネットワークを構築している。

 

エリア別売上高

単位:百万円

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

国内

64,202

65.4%

69,379

63.1%

+8.1%

海外

33,960

34.6%

40,589

36.9%

+19.5%

合計

98,162

100.0%

109,969

100.0%

+12.0%

*単位:百万円

 

伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークス及び北東技研工業(株)の事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)及びその加工品を製造・販売している。

 

その他
子会社(株)ホテル紅やが手掛けるリゾートホテルの運営(長野県諏訪市)が事業の中心。同ホテルは、諏訪湖畔の好立地を特徴とし、夕日に輝く展望風呂や大小の宴会場に加え、国際会議も開かれる大コンベンションホールを有する。

 

1-2 キッツグループが目指す姿と中長期の数値目標

2030年(31/3期)に目指す姿
・ ワールドクラスのテクノロジー、エンジニアリングをお客様に提供し、エネルギーシフトや循環型社会への対応を通じて、環境負荷の低減に貢献する。
・ ICT活用により、ビジネスモデルの変革と製品開発力の強化を図り、成長市場において強固な地位を築く。
・ 各国地域経済の成長とともに、グローバルな社会インフラの発展を支える。
・ 公正かつ透明なルールの下、社員が生活をより良くし、より安全に、より健康に働くことができる企業を目指す。

 

マネジメントのあり方
・ 経営管理情報をグローバルに同期させ、進化したグループ連結経営を行う。
・ 人財・資産・資金をグループ全体最適の観点から、配分・活用する。
・ グローバルでサプライチェーンの「見える化」を図り、シンプルな意思決定の仕組みを経営の中に取り入れ、省力化投資を行い、労働生産性向上を図る。

 

中長期の数値目標
成長性の目標として「売上高年平均成長率4%」、収益性の目標として「EPS年平均成長率7%」、効率性の目標として「ROE12%」を掲げている。また、31/3期の売上・利益目標として、売上高2,000億円(バルブ事業1,650億円、伸銅品事業320億円、その他30億円)を掲げている。

 

 

ROEの推移

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE

9.83%

6.58%

7.26%

8.69%

7.41%

売上高当期純利益率

5.88%

4.19%

4.73%

5.23%

4.12%

総資産回転率

1.05回

1.00回

0.96回

0.99回

1.03回

レバレッジ

1.60倍

1.57倍

1.60倍

1.68倍

1.75倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
* 算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている。

 

 

 

2.2020年3月期第3四半期決算概要

2-1 第3四半期(累計)連結業績

 

19/3期

3Q(累計)

構成比

20/3期

3Q(累計)

構成比

前年同期比

計画

計画比

売上高

103,207

100.0%

94,083

100.0%

-8.8%

94,122

-0.0%

売上総利益

29,378

28.5%

24,992

26.6%

-14.9%

- 

-

販管費

19,833

19.2%

19,982

21.2%

+0.8%

- 

-

営業利益

9,545

9.2%

5,010

5.3%

-47.5%

4,707

+6.5%

経常利益

9,609

9.3%

4,842

5.1%

-49.6%

4,507

+7.4%

親会社株主帰属利益

4,009

3.9%

3,494

3.7%

-12.8%

3,195

+9.4%

* 単位:百万円

 

前年同期比8.8%の減収、同47.5%の営業減益
売上高は前年同期比8.8%減の940億83百万円。国内建築設備向け及び半導体製造設備向けの減少等でバルブ事業の売上が同8.4%減少した他、原材料相場の下落による販売価格の下落と販売量の減少で伸銅品事業の売上も同11.7%減少した。海外売上高比率29.8%(前年同期29.7%)。

 

営業利益は同47.5%減の50億10百万円。収益性が高い国内建築設備向け及び半導体製造設備向けの減少でバルブ事業の利益が同35.2%減少し、伸銅品事業の利益も同87.0%減と落ち込んだ。最終利益が同12.8%の減少にとどまったのは、投資有価証券売却益が増加(0百万円→3億57百万円)する一方、減損損失が減少(25億79百万円→92百万円)したため(前年同期は韓国Cephas社ののれん減損損失24億85百万円等を計上)。

 

 

為替及び原材料相場

 

19/3期 3Q(累計)

20/3期 3Q(累計)

計画

ドル:対円

109.64

109.22

109.00

ユーロ:対円

130.61

122.36

120.00

電気銅建値:円/トン

753,000

689,000

660,000

 

 

 

 

 

2-2 セグメント別動向

 

19/3期

3Q(累計)

構成比・

利益率

20/3期

3Q(累計)

構成比・

利益率

前年同期比

計画

計画比

バルブ事業

82,746

80.2%

75,792

80.6%

-8.4%

75,936

-0.2%

伸銅品事業

18,027

17.5%

15,912

16.9%

-11.7%

15,824

+0.6%

その他

2,433

2.4%

2,378

2.5%

-2.3%

2,362 

+0.7%

連結売上高

103,207

100.0%

94,083

100.0%

-8.8%

94,122

-0.0%!

バルブ事業

11,834

14.3%

7,666

10.1%

-35.2%

7,424

+3.3%

伸銅品事業

238

1.3%

30

0.2%

-87.4%

89

-65.4%

その他

147

6.0%

78

3.3%

-47.1%

65 

+20.0%

調整額

-2,675

-

-2,764

-

-

- 

-

連結営業利益

9,545

9.2%

5,010

5.3%

-47.5%

4,704

+6.5%

* 単位:百万円

 

バルブ事業
国内売上高は前年同期比43億75百万円(8.3%減)の483億06百万円。建築設備向け及び半導体製造装置向けの減少をカバーできなかったものの、値上げ効果と東京都向けの回復で水市場向けの好調が続いた他、工業用も、食品、医薬品、化粧品等の設備投資等で総じて堅調に推移した。
尚、建築設備向けは、市中在庫の水準は高いが、実需が回復傾向にあり、半導体製造装置向けも第1四半期を底に回復傾向。加えて、5月に稼働した新基幹業務システムの初期トラブルが終息し、出荷遅延も正常化しつつある。

 

海外売上高は前年同期比25億79百万円(8.6%)減の274億85百万円。アセアン・韓国他は、米中貿易摩擦の影響もあり、主力のタイ、インドネシアが低迷したものの、韓国Cephas社の連結効果で増収(前期第2四半期から連結)。一方、中国は景気減速による建築設備向けの減少を旺盛な需要が続くデータセンター向けでカバーできず減収。中東も前年同期の売上を大型プロジェクトが押し上げた反動で減収。この他、米州は、Oil&Gas向け投資の回復の遅れから北米で代理店の在庫調整が続いたものの、数量増と値上げ効果でブラジルの売上が増加。欧州は代理店の在庫積み増しが継続し好調が続いた。

 

営業利益は前年同期比41億68百万円(35.2%)減の76億66百万円。数量減・構成差による影響(42.6億円の減益要因)が減益要因の大半を占めた。その他では基幹システムの稼働による減価償却費を中心にした費用増(9.0億円)等。一方、原価低減効果は7.3億円。数量の減少と基幹システムのトラブルに伴う納期遅延で想定したほどの原価低減効果を上げる事ができなかった。

 

 

伸銅品事業
売価に影響を与える原材料相場が総じて前年同月を下回る中(銅相場の下落局面では利益が出にくい)、販売量が減少し、売上高が159億12百万円と前年同期比21億14百万円(11.7%)減少した。営業利益は、原材料相場変動の影響に加え、新設備の量産が10月から開始した事に伴う減価償却費及び製造経費の増加で30百万円と前年同期比2億07百万円(87.0%)減少した。新設備は、顧客側の承認が遅れているため旧設備との並行稼動を余儀なくされ、想定したほどには生産性が改善しなかった。
尚、電気銅の建値(期中平均)は、前年同期の753千円/トンから689千円/トンに低下した。

 

 

その他
団体宿泊客の減少や10月の台風の影響によるキャンセルの増加でホテル事業が苦戦したため、売上高が23億78百万円と前年同期比55百万円(2.3%)減少し、営業利益が78百万円と前年同期比69百万円(47.1%)減少した

 

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年3月

19年12月

 

19年3月

19年12月

現預金

13,660

11,064

仕入債務

6,625

6,613

売上債権(電子記録債権含む)

30,199

29,098

未払法人税等

1,434

465

たな卸資産

24,465

24,467

賞与関連引当金

2,735

1,408

流動資産

71,226

66,441

退職関連引当金・負債

1,111

1,108

有形固定資産

41,677

43,970

負債

54,827

53,895

投資その他

9,332

10,841

純資産

76,829

75,379

固定資産

60,430

62,832

負債・純資産合計

131,657

129,274

* 単位:百万円

 

第3四半期末の総資産は前期末との比較で23億82百万円減の1,292億74百万円。借方では、現預金や売上債権が減少する一方、会計基準の変更(IFRS第16号:海外グループ会社のリース取引について、リース資産とリース債務を貸借対照表に計上)及び設備投資により有形固定資産が増加した他、マレーシアUnimech社の株式取得により投資有価証券が増加した。貸方では、未払法人税等や自己株式の取得で純資産が減少した。有利子負債365億68百万円、純有利子負債255億03百万円。自己資本比率57.3%(前期末57.4%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/3期 3Q(累計)

20/3期 3Q(累計)

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

5,850

6,377

+526

+9.0%

投資キャッシュ・フロー(B)

-6,785

-7,063

-278

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-934

-685

+248

-

財務キャッシュ・フロー

-8,218

-1,628

+6,590

-

現金及び現金同等物期末残高

12,839

10,312

-2,527

-19.7%

* 単位:百万円

 

税引前利益51億20百万円(前年同期70億38百万円)、減価償却費47億98百万円(同34億01百万円)、法人税等の支払い△30億45百万円(同△44億38百万円)等で63億77百万円の営業CFを確保した。投資CFは有形固定資産の取得△56億60百万円や投資有価証券の取得△17億77百万円によるもので、財務CFは配当金の支払い△20億78百万円や自己株式の取得△19億85百万円等による。

 

3.2020年3月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

136,637

100.0%

124,000

100.0%

-9.2%

営業利益

11,713

8.6%

6,500

5.2%

-44.5%

経常利益

11,883

8.7%

6,300

5.1%

-47.0%

親会社株主帰属利益

5,625

4.1%

4,300

3.5%

-23.6%

* 単位:百万円

 

前期比9.2%の減収、同44.5%の営業減益予想
売上高は前期比9.2%減の1,240億円。バルブ事業が1,002億円と同8.9%減少する中、伸銅品事業も209億円と同11.6%の減少が見込まれる。営業利益は同44.5%減の65億円。バルブ事業で同31.7%減の102億円、伸銅品事業で同30.3%減の2億円を見込んでいる。

 

期末配当は1株当たり10円を予定しており、第2四半期末配当と合わせて年20円となる(予想配当性向43.3%)。また、2019 年3月19 日から同年6月11日にかけて自己株式の取得を行っており、その多くは今期に入ってからの取得となるため、総還元性向は86.5%と前期の70.1%を上回る。

 

 

為替及び原材料相場の前提

 

18/3期

19/3期

20/3期 計画

ドル:対円

112.04

110.37

109.00

ユーロ:対円

127.19

130.00

120.00

電気銅建値:円/トン

757,000

748.000

660,000

 

 

四半期売上高・利益

 

19/3-1Q

2Q

3Q

4Q

20/3-1Q

2Q

3Q

4Q 

予想

前年同期比

前四半期比

売上高

32,752

35,029

35,426

33,430

30,879

31,320

31,884

29,916

-10.5%

-6.2%

営業利益

2,647

3,166

3,732

2,168

1,208

1,608

2,194

1,489

-31.3%

-32.1%

経常利益

2,530

3,258

3,821

2,274

1,210

1,523

2,109

1,457

-35.9%

-30.9%

四半期純利益

1,712

2,214

83

1,616

842

1,191

1,461

805

-50.1%

-44.8%

* 単位:百万円。百万円単位で算出した概算値。

 

 

セグメント別四半期売上高・営業利益

 

19/3-1Q

2Q

3Q

4Q

20/3-1Q

2Q

3Q

4Q 

予想

前年同期比

前四半期比

バルブ事業

25,775

28,069

28,902

26,854

24,682

25,078

26,031

24,407

-9.1%

-6.2%

伸銅品事業

6,290

5,947

5,790

5,373

5,493

5,244

5,175

4,987

-7.2%

-3.6%

その他

686

1,012

735

567

703

998

677

521

-7.9%

-22.9%

連結売上高

32,752

35,029

35,426

32,793

30,879

31,320

31,884

29,916

-8.8%

-6.2%

バルブ事業

3,443

3,863

4,528

3,166

2,064

2,460

3,141

2,533

-20.0%

-19.4%

伸銅品事業

127

64

47

62

106

-34

-41

169

+174.2%

-

その他

-18

138

27

-97

-9

100

-13

-78

-19.6%

-

調整額

-905

-899

-871

-975

-953

-919

-892

-1,135

+16.5%

-

連結営業利益

2,647

3,166

3,732

2,155

1,208

1,608

2,194

1,489

-30.9%

-32.1%

* 単位:百万円。百万円単位で算出した概算値。

 

4.トピックス

4-1 (株)キッツエスシーティーによる米国Ichor社との集積液体供給システムの国内総代理店契約締結

2019年11月1日、半導体製造設備用配管部材の製造・販売を手掛ける(株)キッツエスシーティーが、米国Ichor Systems Inc.(以下Ichor社、本社:米国カリフォルニア州フリーモント)と同社が製造・販売している集積液体供給システム(Integrated Manifold System:以下IMS)の日本国内における総代理店契約を締結し、2019年12月より販売を開始した。

 

Ichor社は、ガス及び化学薬品供給システムの半導体ウェーハ製造装置業界における世界最大のアウトソースプロバイダー。複雑な組立アセンブリ、精密機械加工、ライセンス契約によるレガシーサービス等、多岐に渡る事業を展開している。

 

IMSは、Ichor社が半導体製造プロセス用の集積ガス供給システムで開発した業界標準のコンポーネント接続技術を基盤とし、液体プロセス向けに新たに特許を取得したシール構造の接続方法を採用した集積液体供給システムである。この接続方法は、コンポーネント間を繋ぐチューブが不要であり、従来の接続方法に比べてフットプリントを大幅に縮小する事が可能。また、コンパクト化する事で薬液の流路長も短くなるため、高純度薬液の品質維持にも効果がある。更に、搭載するコンポーネント(バルブ、流量計、圧力計、流量コントローラー等)は、標準化された寸法で製作されているため、レイアウト設計も容易。

 

ガス系の収益パネルと同じく、WET系(液体プロセス)においても装置のコンパクト化ニーズが高まっている。(株)キッツエスシーティーは、きめ細かなサービスの提供により売上拡大を目指している。

 

 

 

Ichor社の概要

 

 

(同社資料より)

 

4-2  子会社(株)キッツメタルワークスによる三菱伸銅(株)との「エコブラス」シリーズのライセンス契約締結

2019年11月13日、伸銅品及びその加工品の製造・販売を手掛ける(株)キッツメタルワークスが、三菱伸銅(株)と「エコブラス」シリーズのライセンス契約を締結した。
「エコブラス」シリーズは鉛を添加する事なく優れた快削性を実現した鉛フリー快削黄銅棒。近年、世界的に環境負荷物質に対する規制が強化されており、今後、鉛フリー黄銅棒合金の急速な需要拡大が予想される。こうした中、(株)キッツメタルワークスは従来から鉛フリー黄銅棒「キーパロイ」シリーズを販売していたが、今回のライセンス契約により、日本工業規格(JIS)、欧州EN規格、及び米国ASTM規格に登録されているグローバル材料「エコブラス」シリーズの生産・販売が可能になった。大規模な設備更新により、既に「エコブラス」シリーズの量産体制が整っており、2020年度の製造・販売開始を目指している。

 

 

4-3 キッツグループが高機能金属展に初出展

2019年12月4~6日に幕張メッセ(千葉県)で開催された高機能金属展に(株)キッツと(株)キッツメタルワークスが共同出展した。
高機能金属展は、アルミ・銅・チタン・マグネシウム・貴金属・鉄鋼をはじめとした金属材料や、その加工機械、分析・検査機器、鋼材流通等、高機能金属に関するあらゆる技術が出展する日本最大の展示会。今回、キッツグループとして初めて出展し、オリジナル材料であるKSN-1(耐濃硝酸用オーステナイトステンレス鋼鋳物)やSASV-Z2(スーパーオーステナイト系ステンレス鋼鋳物)等の特殊材料と長坂工場(山梨県北杜市長坂町)における鋳物の製造工程や販売事業について展示した他、(株)キッツメタルワークスが、鉛フリー黄銅棒のエコブラス、キーパロイ、製造工程を展示した。
開催期間中を通して出展ブーズは盛況だった。特に鋳物の外販事業について来場者の関心が高く、展示物では(株)キッツと(株)キッツメタルワークスの合作のチェス盤が人気を集めた、と言う。

 

4-4 キッツスマート養殖の取り組み

キッツスマート養殖の取り組みが、1月29日、テレビ東京の経済ニュース番組「モーニングサテライト(モーサテ)」の特集コーナー「大浜見聞録」で取り上げられた。

 

2019年夏、茅野工場(長野県茅野市)にて、キッツスマート養殖プラントによる「信州サーモン(*1)」の飼育を行い、グループの「ホテル紅や」に食材として提供する取り組みを開始した。陸上養殖で飼育された新鮮で安心・安全な魚を地域の資源として活用し、地域の活性化につなげる6次産業(*2)化のビジネスモデルの実現可能性を探る活動であり、ESG(社会貢献)の一環でもある。
茅野工場から諏訪湖畔に位置する「ホテル紅や」までは、車で約30分という距離であり、魚を新鮮な状態で運搬する事が可能。新鮮な信州サーモンを使った料理がホテルの宿泊者に好評だ。

 

尚、キッツスマート養殖プラントでは、魚が排泄するアンモニア等の有害物質の分解と脱臭・殺菌を同時に行う革新的な水浄化技術「KITZ RECIRQUA(キッツリサイクア)」が中核技術として使われている。

 

*1:信州サーモンとは、長野県の水産試験場が育成したマス類の新しい養殖品種であり、銀色で肉厚なきめ細かい肉質が特徴。
*2:6次産業とは、1次産業としての農林水産業と、2次産業としての製造業、3次産業としての小売業等の事業の総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組み。

 

5.今後の注目点

20/3期は、国内建築設備向け・半導体製造装置向けの苦戦、基幹システムの更新に伴うオペレーションの乱れ、伸銅品事業の生産性改善の遅れ、と悪材料が重なった。しかし、悪材料は20/3期中に一巡する見込みで、来21/3期はV字回復の期待が高まる。具体的には、国内建築設備向けは代理店の販売が回復傾向にあり、半導体製造装置向けも子会社の月次売上高が緩やかに水準を切り上げているようだ。基幹システムの更新に伴うオペレーションの乱れも落ち着き、期末までに納期遅延が解消される見込み。また、伸銅品事業の生産性も改善する。第3四半期に入り、新設備が本格稼働に移行し、生産性の大幅な向上が見込まれていたが、顧客側の承認の遅れで同社は旧設備との並行稼動を余儀なくされたため、想定したほどには生産性が上がっていない。しかし、期末には並行稼動が解消される見込みだ。

 

ただ、その前にもう一山超えなければならない。20/3期通期予想に対する進捗率は、売上高75.9%、営業利益77.1%、経常利益76.9%、最終利益81.3%。順調に進捗しているが、第3四半期決算説明会時点(2020年3月7日開催)では新型コロナウィルスの影響が読めないと言う。中国では大半の省や直轄市で、地方政府が企業に対して9日までの休業を求めており、同社グループも、昆山の生産拠点や上海の販売拠点等がその対象になっている。中央政府と地方政府の方針が一致していない面があるが、現状では、10日に業務を開始できるかどうか不透明なようだ。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

監査役

5名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年10月24日)
基本的な考え方
当社は、創造的かつ質の高い商品・サービスの提供により持続的に企業価値の向上を図ることを企業理念に掲げ、社会的に責任ある企業として、株主の皆様をはじめ、すべてのステークホルダーに配慮した経営の実現に取り組んでいます。また、経営の効率性とコンプライアンスの強化を図るため、ステークホルダーからの要請や社会動向などを踏まえ、迅速かつ効率が良く、健全で透明性の高い経営が実現できるよう、様々な施策を講じて、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。

 

<開示している主な原則>
1.政策保有株式(原則1-4)
(1)政策保有株式に関する基本方針
当社は、「政策保有株式に関する方針」を定めており、安定株主の形成等を目的とした政策保有株式は保有しないこととしています。但し、当社の主たる事業であるバルブ事業は、素材から製品までの一貫した技術の総合力が試される事業であり、製品開発、製造、販売、物流等のすべての過程において、取引先との良好な協力関係を維持することが不可欠です。そのため、その目的の限りにおいて、取引先の株式を保有することがあります。

 

(2)政策保有株式に係る検証
当社は、「政策保有株式に関する方針」に基づき、保有する政策保有株式の見直しを毎年行っており、保有する意義が乏しいと判断された株式の適宜売却を進める他、保有する株式であっても可能な限り縮減を進めることとしています。

 

(3)政策保有株式に係る議決権行使基準
当社は、「政策保有株式に関する方針」に基づき、株式発行会社の経営状況、ガバナンス体制及び中長期的な企業価値の増大につながる適切な意思決定の有無並びに当社グループの企業価値向上につながるか否かの観点を総合的に踏まえ、議案ごとに賛否を判断しています。

 

11.株主との建設的な対話に関する方針(原則5-1)
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のためには、経営の受託者としての説明責任を自覚し、株主・投資家等のステークホルダーに対し、適時・適切かつ公平な情報開示を行い、経営の公正と透明性を維持することが重要であると認識しています。そのため、経営戦略や経営計画について株主の理解が得られるよう、誠実かつ建設的な対話を行い、それにより得られた意見や要望を経営改善に活用しています。なお、当社は、IR活動を推進するため、以下の施策を実施しています。

 

(1)IR担当執行役員を選任するとともに、IR部門を設置し、株主との建設的な対話を積極的に進めています。

 

(2)機関投資家及びアナリストを対象とし、四半期ごとに決算説明会を開催しています。また、決算説明会においては、代表取締役またはIR担当執行役員が説明を行っています。さらに、決算短信及び有価証券報告書等の決算情報の他、経営情報、株式・株主総会の情報及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書等のIR情報を当社ホームページに掲載し、情報を開示しています。

 

(3)機関投資家及びアナリストとの対話において把握された意見をIR部門から代表取締役及びIR担当執行役員に定期的に報告する他、必要に応じて、代表取締役がその内容を取締役会及び経営会議に報告しています。

 

(4)経理部門担当執行役員を情報取扱責任者としており、機関投資家及びアナリストとの対話に際して開示する情報の内容について、事前に経理担当執行役員、IR部門及び経営企画部門が協議するなど、インサイダー情報管理に留意しています。

 

 

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