ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

プライム

ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス 2020年3月期上期決算

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石塚 晴久

会長

 

上田 卓味

社長

株式会社共立メンテナンス(9616)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

サービス業

会長

石塚 晴久

社長

上田 卓味

所在地

東京都千代田区外神田 2-18-8

決算月

3月

HP

https://www.kyoritsugroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

5,270円

38,990,336株

205,479百万円

12.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

47.00円

0.9%

261.60円

20.1倍

2,163.88円

2.4倍

*株価は12/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは2019年3月期実績。
*BPS、PBRは2020年3月期第2四半期実績。
*DPS、EPSは2020年3月期予想、数値は四捨五入。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

1株あたり

年間配当金

2016年3月(実)

135,053

10,244

9,775

5,970

157.28

52.00

2017年3月(実)

135,828

11,815

11,514

7,135

184.35

62.00

2018年3月(実)

152,021

13,087

12,928

8,778

225.86

40.00

2019年3月(実)

162,811

14,567

14,321

9,567

245.41

45.00

2020年3月(予)

183,000

15,700

15,400

10,200

261.60

47.00

*2017年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施。上表の2016年3月期および2017年3月期のEPSは、2016年3月期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定している。(予)は会社予想。

 

共立メンテナンスの2020年3月期上期決算の概要と2020年3月期見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」 :18/3期~22/3期の5ヶ年計画と進捗
3.2020年3月期上期決算
4.2020年3月期業績見通し
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 2020年3月期上期は、前年同期から18.4%増収、14.5%経常増益。海外からの留学生の増加や、大学進学率の上昇、企業の寮制度導入の増加、訪日外国人旅行者数の続伸などのほか、ゴールデンウィークが10連休となったことに伴い国内旅行需要が高まるなど同社を取り巻く環境は良好。その一方で労働力不足の顕在化や対外関係においての外部要因による懸念事項も散見される中、中期経営計画の骨子である「顧客満足度の向上」及び「開発の先行的実施」を着実に推進した。経常利益は上期として9期連続増益、7期連続で過去最高益を更新。

     

  • 通期予想に修正はなく、2020年3月期は前期から12.4%増収、7.5%経常増益を見込む。上期業績は好調に推移したが、10月に発生した台風19号による影響や、日韓関係悪化などの懸念事項を踏まえ、現時点では通期の業績予想を変更しなかった。不動産流動化の推進に伴い、中期経営計画に掲げた金額を超えて新たに創出される資金については、現状においては、その多くを追加的開発投資に振り向け、更なる利益創出を図る方針。なお、営業利益見通しには、開業費、大規模リニューアルに伴う費用等、対前期で合計14.5億円の損影響を織り込んでいる。1株あたり年間配当金は47.0円(中間配当22.0円を含む)を予定している。

     

  • 連休効果などにより、堅調に推移した印象。なお、台風19号が関東地方に甚大な被害をもたらしたが、全体として影響は軽微にとどまった模様。もう一つの懸案事項が訪日外国人数の動向だが、2020年3月期上期において、同社は韓国からの訪日旅行者数の減少を他の国からの顧客増で十分にカバーできているほか国内顧客の需要も旺盛で、こちらも大きな影響をもたらすことはなさそうだ。従来から苦戦していたのが顧客向けのインターネットサービスの質的向上だが、様々な対策を打ち出しており、その成果にも期待。来期を見据えると、東京オリンピックが控えており、その恩恵も期待されるところだ。PERは20倍を超えているものの、実質2桁増益であることや中長期の成長性を加味すると、同社の株価には見直し余地があるといえよう。

     

1.会社概要

"ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する"と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。
事業の種類別セグメントと売上構成(2019年3月期)は次の通りである。

 

事業セグメント

事業内容

売上構成比

寮事業

学生寮・社員寮・ドミール・受託寮の管理運営事業

27.5%

ホテル事業

ドーミーイン事業(ビジネスホテル事業)、

リゾート事業(リゾートホテル事業)

44.0%

総合ビルマネジメント事業

オフィス(事務所)及びレジデンス(住居)等の施設管理

8.7%

フーズ事業

外食事業、受託給食事業、

ホテルレストラン等の受託運営事業

3.9%

デベロップメント事業

建設・企画・設計・仲介事業、分譲マンション事業、不動産流動化事業、

その他開発付帯事業

8.9%

その他

(報告セグメントに含まれない事業セグメント)

シニアライフ(高齢者向け住宅の管理運営)事業、PKP(自治体向け業務受託)事業、単身生活者支援事業及び保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業等

7.0%

*売上構成比は、事業セグメント間取引消去前

 

<沿革>

設立は1979年9月。食の世界に長く携わった創業者 石塚晴久氏が調理人として企業の給食施設の運営受託を開始した。翌80年には千葉県佐倉市に、木造2階建て(四畳半が28室)の民間学生寮「学生会館」第一号棟が誕生。「食」を第一として、「学生の健康と元気こそが親の安心」との考えのもと、提携先の学校名を冠した学生会館事業を展開。東京・神奈川地区、名古屋地区、大阪地区へとエリアを拡大した。85年4月には、「一室から借りる事ができ、朝夕2食付き」を特徴とし、ゆっくり身体を癒せる「大浴場」も重視した社員寮事業を開始。87年5月には、学生寮、社会人寮、給食施設等の受託事業で培った「賄いのノウハウ」を活かし外食事業に展開。93年6月に本社移転(東京都千代田区)を経て、同年7月に長野県でリゾートホテル事業に、8月に埼玉県でビジネスホテル事業に参入した。翌94年9月、現在のJASDAQ市場へ上場(店頭登録)、99年3月の東証二部上場を経て、01年9月に東証一部上場となった。

 

2.中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」 :18/3期~22/3期の5ヶ年計画と進捗

18/3期からスタートした新中期経営計画「Kyoritsu Jump Up Plan」 は初年度から好調に推移し、数値目標については寮・ホテルの施設開発を含め、当初想定を大きく上回って進捗している。
(1)「Kyoritsu Jump Up Plan」骨子
名称 「Kyoritsu Jump Up Plan」

 

基本方針
Ⅰ.顧客満足度の向上
顧客満足度向上に繋がる商品・サービスを創造し、 顧客からの当社への評価を高め、さらなる信頼を得る。
Ⅱ.開発の先行的実施
事業拠点を拡大し、盤石な基盤を構築する。

 

期間 2017年4月~2022年3月

 

主な定量目標と進捗状況

 

(同社資料より)

 

2)持続的成長に向けた寮・ホテルの開発計画

 

(同社資料より)

 

(3)不動産流動化の推進

 

不動産の流動化を推進、中期経営計画を上回って進捗している。


(同社資料より)

 

(4)安定的な人員・人材確保
事業の拡大スピードに応じた人材確保を図る。
積極的に新卒採用を実施するとともに、顧客の要望・気持ちに応えることのできる、能力の高い人材の安定確保に取り組む。

 

* 人材の安定的確保・・・採用力の更なる強化に加え、定着(離職防止)も促進。

 

新卒採用数

19年4月

20年4月

21年4月

296名(実績)

300名(予定)

300~320名(予定)

総合職:31名

総合職:22名

総合職:20名

ホテル:260名

ホテル:270名

ホテル:270~290名

シニア:5名

シニア:8名

シニア:10名

 (同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

2019年4月にはネパール、ベトナム、中国、韓国などから留学生57名を採用。外国籍の採用人数に制限はなく、優秀な人材なら積極的に採用する方針。
寮事業で培った学校との良好な関係を活用し、学校からの紹介という力強い採用ルートを持つ。2019年4月に採用した同社寮利用校出身者は全採用者の49.7%に相当する147名であった。

 

* 外国語対応スタッフ
 ▶ ホテル現地から、同社内コールセンターへの電話にて代理対応できる体制を構築
 ▶ 特にインバウンド比率が高い首都圏・関西エリアは、フロントデスクに外国語対応スタッフを常時配置(英・中・韓対応)
* 清掃・リネンスタッフ
 ▶ 同社ブランドの採用力を生かし、国籍を問わない直雇用・直教育が可能な自社直営対応が現在18棟、その他も、一棟に複数業者の業務委託運営などで対応
 ▶ 業務改革により、品質を落とさない清掃業務の簡略化を推進中

 

3.2020年3月期上期決算

(1)連結業績

 

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

売上高

79,204

100.0%

93,815

100.0%

+18.4%

売上総利益

19,427

24.5%

21,034

22.4%

+8.3%

販管費

11,383

14.4%

11,967

12.8%

+5.1%

営業利益

8,044

10.2%

9,066

9.7%

+12.7%

経常利益

7,839

9.9%

8,972

9.6%

+14.5%

親会社株主に帰属する四半期純利益

5,319

6.7%

6,114

6.5%

+14.9%

*単位:百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前年同期から18.4%の増収、同14.5%の経常増益
当上期は、海外からの留学生の増加や、大学進学率の上昇、企業の寮制度導入の増加、訪日外国人旅行者数の続伸などのほか、ゴールデンウィークが10連休となったことに伴い国内旅行需要が高まった。一方で、労働力不足の顕在化や米中貿易摩擦、日韓関係悪化などによる懸念事項も散見された。また、九州北部豪雨や大型台風など予期せぬ自然災害にも見舞われた。こうした中、中期経営計画の骨子である「顧客満足度の向上」及び「開発の先行的実施」を着実に推進した。
その結果、売上高は前年同期から18.4%増の938億15百万円となった。利益面では、開業準備費用や、お客様満足度向上のための大規模リニューアル費用等の発生などがあったものの、前年同期に引き続き不動産流動化による利益もあり、営業利益は90億66百万円(前年同期比12.7%増)となった。経常利益は89億72百万円(前年同期比9.6%増)となり、上期として9期連続増益、7期連続で過去最高益を更新した。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期から14.9%増の61億14百万円。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

寮事業

24,283

26.9%

25,177

25.7%

+3.7%

ホテル事業

39,043

43.3%

42,632

43.4%

+9.2%

その他の事業

26,826

29.8%

30,316

30.9%

+13.0%

調整額

-10,948

-

-4,310

-

-

連結売上高

79,204

100.0%

93,815

100.0%

+18.4%

寮事業

3,727

38.9%

3,841

35.3%

+3.1%

利益率

15.4%

-

15.3%

-

-0.1pp

ホテル事業

4,782

50.0%

5,277

48.4%

+10.4%

利益率

12.2%

-

12.4%

-

+0.1pp

その他の事業

1,060

11.1%

1,777

16.3%

+67.6%

利益率

4.0%

-

5.9%

-

+1.9pp

調整額

-1,525

-

-1,829

-

-

連結営業利益

8,044

100.0%

9,066

100.0%

+12.7%

利益率

10.2%

-

9.7%

-

-

*単位:百万円
*その他の事業 = 総合ビルマネジメント+フーズ+デベロップメント+報告セグメントに含まれない事業

 

寮事業
売上高は前年同期から3.7%増の251億77百万円、営業利益は3.1%増の38億41百万円。
4月に国際交流寮である「明治大学グローバル・ヴィレッジ」を含め、全国で合計13事業所、1,451室を新設した。期初の契約室数は前期比1,709室増の40,089室。学生寮事業は海外からの留学生の増加などもあり堅調に推移した。社員寮事業では、新たに寮制度を導入する企業の増加や、以前より取引のある企業による契約数の増加などもあった。寮事業全体での期初稼働率は前期比1.0ポイント増の98.7%と、好調なスタートとなり、2020年3月期開業棟が9.8億円の増収となった。利益面では、新規事業所の開設に伴う開業準備費用等約1億90百万円や、既存事業所の大規模リニューアル費用等約70百万円を吸収し、2019年3月期開業棟が増益を牽引した。

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

ホテル事業
売上高は前年同期から9.2%増の426億32百万円、営業利益は10.4%増の52億77百万円。大型台風などの自然災害に影響に加え、今後オープン予定の新規事業所分を含めた開業準備費用等約8億90 百万円、既存事業所の大規模リニューアル費用等約64百万円を吸収して、増収増益となった。

 

ドーミーイン(ビジネスホテル)事業
売上高は前年同期から10.3%増の256億7千万円。当期に、「天然温泉 妙義の湯 ドーミーイン前橋」、「天然温泉 羽二重の湯 ドーミーイン福井」、「天然温泉 さんさの湯 ドーミーイン盛岡」の3事業所をオープンした。インバウンド宿泊者数は、日韓問題の影響により韓国からの旅行者数は減少したが、中国や香港等を中心に他の国の伸長でこれを吸収し、引き続き増加した。また、インバウンドの影響が大きく、他社による新規ホテルの供給が進む大阪地区のRevPAR(運営上重要な指標で、客室稼働率×平均客室単価により算出される)は前年同期を下回った。しかし、全国展開によりこれをカバーするとともに、同社ならではのサービスや特徴が国内旅行者の根強い人気を博し、全国の既存事業所のRevPARは前年同期を2.3%上回り、客室数の増加と相まって、売上高及び営業利益を押し上げた(大阪地区のRevPARは前年同期を下回ったものの、依然として、同社のエリア別RevPARでは全国No.1を維持している)。対前年同期増収の23.9億円のうち、2019年3月期開業棟で15.9億円、2020年3月期開業棟で6.8億円、既存棟で4.4億の寄与となっている。営業利益は前年同期から19.1%(7.3億円)増の45億7千万円。RevPAR上昇や経費の効率化に伴い、既存棟が6.2億円の増益、2019年3月期開業棟が2.4億円の増益となった。
インバウンド宿泊者数は前年同期から15.2万人増加し、100.2万人。国別シェアは韓国が42.0%から28.1%に低下する中、香港が22.6%から33.2%、中国が14.5%から17.2%へ拡大した。

 

ドーミーインの既存事業所稼働率・客室単価推移

 

(注)上表は18年4月以降に開業したホテル除きベースで表示している(上表に示した2期を同一条件下で比較できるようにするため)
(同社資料より)

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成) 

 

ドーミーインのRevPARの推移

 

(注)上表は18年4月以降に開業したホテル除きベースで表示している(上表に示した2期を同一条件下で比較できるようにするため)
(同社資料より)

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

ドーミーインのインバウンド宿泊者数・比率の推移

 


(同社資料より)

 

リゾート(リゾートホテル)事業
売上高は前年同期から7.6%増の169億6千万円。当期に、「越後湯沢温泉 湯けむりの宿 雪の花」、「ことひら温泉 御宿 敷島館」の2事業所をオープンした。一部事業所におけるリニューアル工事に伴う休館や自然災害の影響もあったが、価格戦略に軸足を移したこともあり、既存事業所でのRevPARは前年同期から2.8%の増加となった。対前年同期増収の11.9億円のうち、2019年3月期開業棟で8.1億円、既存棟で4.0億円、2020年3月期開業棟で3.3億円の寄与となっている。営業利益は前年同期から25.2%減の7億7百万円。RevPARが堅調に推移、経費の効率化も寄与し、既存棟は7.7億円の増益となったものの、大規模リニューアルによる休館の影響や当期開業棟の開業準備費用等の発生を吸収するには至らなかった。

 

リゾートホテルの既存事業所稼働率・客室単価推移

 

(注)上表は18年4月以降に開業したホテル除きベースで表示している(上表に示した2期を同一条件下で比較できるようにするため)
(同社資料より)

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成) 

 

リゾートホテルのRevPARの推移

 

(注)上表は17年4月以降に開業したホテル除きベースで表示している(上表に示した2期を同一条件下で比較できるようにするため)
(同社資料より)

 

(同社資料を基にインベストメントブリッジ作成)

 

その他の事業
売上高は前年同期から13.0%増の303億16百万円、営業利益は67.6%増の17億77百万円。いずれの事業も増収増益となった。総合ビルマネジメント事業は、売上高は前年同期から8.5%増の80億74百万円、営業利益は635.4%増の2億31百万円。建設案件及びビル管理契約が増加した効果などにより増収増益となった。フーズ事業は、売上高は前年同期から7.4%増の36億73百万円、営業利益は240.9%増の86百万円。ホテルレストラン受託事業の案件が増加したことなどにより、増収増益となった。デベロップメント事業は、売上高は前年同期から20.5%増の117億23百万円、営業利益は1.4%増の10億61百万円となった。
シニアライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、PKP事業(自治体向け業務受託事業)、単身生活者支援事業、保険代理店事業、総合人材サービス事業、融資事業及び事務代行業が該当するその他事業(報告セグメントに含まれない事業)の売上高は前年同期から9.8%増の68億44百 万円、営業利益は3億97百万円(前年同期は営業損失43百万円)となった。シニアライフ事業及びPKP事業が着実に利益改善したことが寄与。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎財政状態

 

19年3月

19年9月

 

19年3月

19年9月

現預金

16,643

20,413

仕入債務

6,788

8,330

売上債権

9,273

13,028

短期有利子負債

16,150

26,467

流動資産

41,056

47,782

長期有利子負債

66,802

63,234

有形固定資産

108,991

107,382

負債

122,961

124,584

無形固定資産

3,236

3,402

純資産

79,570

84,370

投資その他

48,569

49,753

負債・純資産合計

202,531

208,955

固定資産

160,796

160,537

有利子負債合計

82,952

89,701

*たな卸資産=販売用不動産+仕掛販売用不動産+未成工事支出金
*長期有利子負債には転換社債を含めて表示している
*単位:百万円

 

上期末(2019年9月末)の総資産は、前期末から64億23百万円増の2,089億55百万円となった。現預金および売上債権の増加が主な要因。負債は、前期末から16億23百万円増の1,245億84百万円となった。有利子負債の増加による。純資産は、前期末から48億円増の843億70百万円となった。利益剰余金の増加が寄与。。
自己資本比率は40.4%となり、前期末と比べ1.1pp上回った。
なお、同社が重視するネットD/Eレシオは0.8倍となっており、財務健全性は維持されている。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期 上期

20/3期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

6,112

11,924

5,811

+95.1%

投資キャッシュ・フロー

-10,906

-13,842

-2,936

-

財務キャッシュ・フロー

7,584

5,747

-1,837

-24.2%

現金及び現金同等物四半期末残高

19,790

19,857

67

+0.3%

*単位:百万円

 

営業CFは、主にたな卸資産減少の影響により、前年同期から58億11百万円収入が増加し、119億24百万円の収入となった。投資CFは、有形固定資産の取得による支出が増加した影響により、前年同期から29億36百万円支出が増加し、138億42百万円の支出となった。財務CFは、有利子負債の減少により、前年同期から18億37百万円収入が減少し、57億47百万円の収入となった。
その結果、当上期末の現金および現金同等物残高は、前年同期末から67百万円、0.3%増加した。

 

4.2020年3月期業績見通し

連結業績見通し

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

162,811

100.0%

183,000

100.0%

+12.4%

営業利益

14,567

8.9%

15,700

8.6%

+7.8%

経常利益

14,321

8.8%

15,400

8.4%

+7.5%

親会社株主に帰属

する当期純利益

9,567

5.9%

10,200

5.6%

+6.6%

*単位:百万円

 

前期から12.4%の増収、7.5%の経常増益を見込む

通期予想に修正はなく、売上高が前期から12.4%増の1,830億円、経常利益は7.5%増の154億円を見込む。
上期の業績は好調に推移したが、10月に発生した台風19号による影響や、引き続き不安定な日韓関係などの懸念事項を踏まえ、現時点では通期の連結業績予想を変更しなかった。
また、不動産流動化の推進に伴い、中期計画に掲げた金額を超えて新たに創出される資金については、現状においては、その多くを追加的開発投資に振り向け、更なる利益創出を図る方針。
なお、営業利益見通しには、対前期で、開業費+4.5億円に加え、顧客満足度向上に資するものとして大規模リニューアルに伴う費用等+8.0億円、システム改修費+2.0億円、合計+14.5億円の損影響を織り込んでいる。

 

通期業績見通し策定にあたっての主要指標にかかる前提条件
寮事業
-期初稼働率:98.7%、対前期+1.0pt
-期初契約室数:40,089室、対前期+4.5%
ドーミーイン事業
-開業ホテル数および室数
  ・7棟/1,535室(+11.6%)
-RevPAR:10.3千円、対前期+3.0%
リゾート事業
-開業ホテル数および室数
  ・3棟/241室(+9.1%)
-RevPAR:36.7千円、対前期+4.8%
配当予想も修正なく、1株あたり年間配当金は47.0円(中間配当22.0円を含む)を予定している。

 

 

ESGにかかる取り組み
・コーポレート・ガバナンスの強化
 ▶ 社外取締役の選任
  監査等委員ではない社外取締役(1名):2019年6月に新設。元観光庁長官。国土交通行政、観光行政の分野に精通
  監査等委員である社外取締役(2名): 財務、会計、企業経営、経済の分野に精通
  -以上の3名とも、独立役員(東京証券取引所に届け出済)として同社経営をモニタリングする体制を構築。
  同社取締役会にすべて出席し、積極的に建設的な意見を述べている。
 ▶ 招集通知の早期電子開示等を通じて、株主に総会議案について十分検討できる期間の担保を徹底
・ジェンダー平等実現
 ▶ 2019年6月の株主総会において、当社初の女性取締役選任
 ▶ 女性正社員就業比率は上昇基調(2018年度末の当該比率は、2015年度末から4.9ポイント上昇の47.5%)
 ▶ 管理職に占める女性比率、女性正社員に占める管理職比率とも緩やかに上昇
・エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
 ▶ 再生可能エネルギー
  電力の地産地消による地域活性化を推進する群馬県中之条町の活動に参画
 ▶ 環境保護活動
  -「連泊WECO活動(*)」の実施
  -石灰石からうまれた名刺(LIMEX名刺)を導入

(*)ドーミーインで連泊時に客室の清掃範囲を顧客が指定することで環境保全を図る、同社独自の活動

 

企業認知度向上の施策
■「箱根駅伝」中継番組での企業TVCM
■地上波TV/インターネットTV/ラジオにおける番組提供 企業CM放送
■共立リゾート「ラビスタ」TVCM 北海道エリア 九州エリア
■共立リゾートPR動画放映
■日本女子サッカーリーグ2019年オフィシャルスポンサー
 「強く元気な女性」が輝く、なでしこリーグとのオフィシャルスポンサー契約をした。
 なでしこリーグで懸命にプレーする選手たちから、夢や感動をひとりでも多くの方々に伝える普及活動をサポートしていく。
■各種IRイベント参画等
  - 国内個人投資家向けIR・・・個人・機関投資家説明会の開催、IRフェアへの参加、

投資家とのミーティングなど

  - 海外機関投資家向けIR・・・海外IRロードショー、カンファレンスへの参加

(2019年3月期実績:年間5回)

 

顧客満足度向上の施策
■総合顧客ネットワークの構築・強化
* 顧客への最適なおもてなしの提供に資するカスタマーデータの活用
 ▶ 顧客の利用履歴データをマーケティングにも有効活用するとともに、カスタマーデータの保全・管理を徹底
 ▶ 顧客が同社を利用する際に、カスタマーデータを事前に保持していることで、より適切な接遇が可能に
* 顧客が同社をより理解し、末永く利用できるためのメンバーシッププログラムの設計
 ▶ 得意先や何度も利用する顧客が、同社事業・サービスをより理解し、家族で利用できる特典やサービスを設計
* 自社予約チャネルの利用を通じて、メリットが享受できるポイントプログラムの企画スタート
 ▶ ホテル予約サイト会員数2018年3月末55万人→2019年9月末75万人(+37.2%)
 ▶ 貯まりやすく使いやすい共通ポイントプログラム(※)とのタイアップ
  ※NTTDOCOMO社「dポイント」と2018年11月より提携。2019年4月より同ポイント利用サービスもスタート。
■寮入居者向けアプリ“Domico”の開発
(当期より徐々に導入棟を拡大)
* スマホで簡単に喫食申し込み・同キャンセル連絡を当日受付
* スマホで外泊届の提出も可能に

 

5.今後の注目点

2020年3月期の上期業績は、連休効果などにより、堅調に推移した印象。なお、下期に入って間もなく台風19号が関東地方に甚大な被害をもたらしたが、全体として影響は軽微にとどまった模様。もう一つの懸案事項が訪日外国人数の動向。10月は韓国からの訪日客数が前年同月比で65.5%減となり、ラグビーワールドカップの押し上げ効果があったにも関わらず全体として5.5%減となった(いずれもJNTO推定値)。ただし、2020年3月期上期において、同社は韓国からの訪日旅行者数の減少を他の国からの顧客増で十分にカバーできているほか国内の顧客の需要も旺盛であり、こちらも大きな影響をもたらすことはなさそうだ。従来から苦戦していたのが顧客向けのインターネットサービスの質的向上だが、様々な対策を打ち出しておりその成果にも期待したい。来期を見据えると、2020年の東京オリンピックが控えており、その恩恵も期待されるところだ。PERは20倍を超えているものの、実質2桁増益であることや中長期の成長性を加味すると、同社の株価には見直し余地があるといえよう。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成(2019年12月1日現在)

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

16名、うち社外3名

監査等委員

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書
更新日:2019年7月17日
<基本的な考え方>
当社は、創業以来「顧客第一を会社の心とする」を経営理念として、「食と住のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与する」ことを経営方針としております。また、永続的発展と長期的な株主利益の最大化を目指すため、コーポレート・ガバナンスの充実が不可欠と考え、経営の意思決定の迅速化、経営の監督機能の強化、説明責任の重視・徹底、迅速かつ適切な情報開示等を行っており、透明性、健全性等を確保することが重要な経営課題であると認識しております。
また、当社は会社法に基づく機関として、株主総会、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しており、これらの機関のほかに、コンプライアンス委員会、グループ経営情報交換会を設置しております。

 

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則4-10-1指名・報酬等の重要事項への独立社外取締役の関与・助言】

 

当社は取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする諮問委員会は設置しておりません。

取締役会が指名・報酬の検討をする際には、複数の独立社外取締役による意見を参考にしております。

 

 

<開示している主な原則>

原則

理由

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

 

<政策保有に関する方針>

 当社は、取引関係を強化する目的で、政策保有株式として取引先の株式を保有しております。

当社経営企画部及び取引主管部署において、対象会社の現時点及び将来の収益性等を踏まえ、同社との取引関係の強化が当社の企業価値の維持及び向上に寄与するか否かという観点から、当該株式保有の適否について判断することとしています。

 

<政策保有の検証>

 当社が保有する取引先の株式につきましては、全銘柄につき、当社経営企画部が毎年1回、取引主管部署に対して、当初の株式取得目的と現在の取引金額及び取引内容等の取引状況、資本コスト等による経済合理性を勘案の上、その保有状況を確認しております。

 その結果、当該株式の保有が当初の株式取得目的に合致しなくなった株式は、売却等により縮減を図っております。検証内容については毎年、取締役会に報告しております。

 なお、2019年3月期末に当社が保有する取引先の株式について、保有目的及び保有の合理性を検証した結果、12銘柄を継続保有することとしました。

 

<議決権行使の基準>

 政策保有株式に係る議決権の行使につきましては、取引主管部署(会社)による対象会社との対話、当社経営企画部等の専門部署による検証を通じ、当該議案の内容が当社の企業価値の維持及び向上並びに株主価値の向上に資するものか否かを判断した上で、適切に議決権を行使いたします。

 当社の企業価値及び株主価値を毀損するような議案につきましては、会社提案・株主提案にかかわらず、肯定的な議決権の行使を行いません。

【原則2-6 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】

当社は規約型企業年金の制度を採用しており、その積立金の運用は、国内外の複数の運用機関へ委託し、個別の投資先選定や議決権行使を各運用機関へ一任することで、企業年金の受益者と会社との間で利益相反が生じないようにしています。

 当社は担当部門が運用の専門性を高め、また、運用機関に対するモニタリングなどの期待される機能を発揮できるよう、財務・人事の専門性を有した人材を配置しております。

【原則4-11 取締役会・監査等委員会の実効性確保のための前提条件】

≪補充原則4-11-1≫ 取締役会全体のバランスと多様性及び規模に関する考え方

 

当社では、各取締役ともに企業経営、財務等豊富な知識、経験を備えており、また国籍や人種、性別にとらわれず選任する方針としております。

 当社の取締役会は、各取締役ともに高い専門性を有し、全体として知識・経験・能力のバランスと多様性が確保された体制となっております。

 加えて、社外取締役には、広い知識と見識を持つ人材を選任することにより、さらに多様性を確保する体制としております。

≪補充原則4-11-2≫取締役・監査等委員の兼任状況

当社では、取締役の兼任状況について、株主総会招集ご通知記載の参考書類にて毎年開示しております。

 また、社外取締役を含む取締役の取締役会への出席率は高く、且つ活発な発言、質疑応答、議論がなされていることから、兼任社数は合理的な範囲内にあり、取締役は適切に役割・責務を果たしていると評価しております。

≪補充原則4-11-3≫ 取締役の実効性の評価

当社は、毎年1回、事業年度末である3月末から5月にかけて取締役会の実効性の分析・評価を実施しております。

 分析・評価の方法としては、各取締役に対してアンケート調査を行い、取締役会事務局において結果を取り纏めた上、取締役会において分析・評価の内容を確認しております。

 昨年度に係る取締役会実効性評価の結果、取締役会の構成及び運営、取締役への情報提供等に関する全ての項目に関して特段の問題なく、取締役会が実効的に機能していた旨の評価がなされました。今後、諸施策の実施により、更なる実効性の向上に努めてまいります。

 

 

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