ブリッジレポート
(9600) 株式会社アイネット

プライム

ブリッジレポート:(9600)アイネット 2020年3月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

坂井 満 社長

株式会社アイネット(9600)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

坂井 満

所在地

横浜市西区みなとみらい三丁目3番1号 三菱重工横浜ビル23階

決算月

3月

HP

https://www.inet.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,471円

16,242,424株

23,892百万円

10.9%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

43.00円

2.9%

102.45円

14.4倍

903.04円

1.6倍

*株価は11/27終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年3月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

24,434

1,918

1,838

1,114

69.70

34.00

2017年3月(実)

24,617

1,992

1,939

1,314

82.68

36.00

2018年3月(実)

25,615

2,081

2,051

1,368

86.06

38.00

2019年3月(実)

27,591

2,345

2,347

1,521

95.72

40.00

2020年3月(予)

31,000

2,500

2,440

1,630

102.45

43.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。(以下、同様)

 

 

株式会社アイネットの2020年3月期第2四半期決算概要などをご紹介致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第2四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、先進のクラウドコンピューティングまで、顧客の様々なニーズに最適なソリューションをワンストップで提供。垂直統合と水平展開による強力な事業展開力、強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデルなどが強み。

     

  • 2020年3月期上半期の売上高は前年同期比18.5%増の153億円、営業利益は同24.8%増の12億円。企業の旺盛なIT投資需要を受け全サービスとも増収増益。売上、利益ともに上半期の過去最高を更新した。

     

  • 20年3月期通期業績予想を上方修正した。売上高は前期比12.4%増の310億円、営業利益は同6.6%増の25億円の予想。企業のIT投資需要が旺盛で、情報処理サービス、システム開発サービスの受注状況が期初想定以上に好調。売上は9期連続増収で過去最高を更新。利益は10期連続増益で前期に続き過去最高を更新する見込み。配当予想に修正はない。前期比3円増配の43円/株を予定。8期連続増配。予想配当性向は42.0%。

     

  • 同社では、ドローン、AI、宇宙開発等のサービスから生み出される膨大なデータをデータセンターに集積し、ビッグデータを解析・分析・提供・利活用していくことでデータに大きな付加価値を生み出す「データサイエンスビジネス」を目指している。

     

  • これまでデータセンターサービスおよびクラウドサービスの売上を開示していなかったが、今回の決算説明会で過去9年間の売上高を開示した。これを見ると、9年間のCAGRは16.7%と売上高全体CAGR3.9%を大きく上回っている。売上構成はまだ2割にも満たないが、同サービスがこうした戦略の下拡大していけば、収益性は一段と向上していくこととなろう。中期的な視点でデータセンターサービス・クラウドサービスの今後を注視していきたい。

     

1.会社概要

国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、さらには先進のクラウドコンピューティングに至るまで、顧客の様々なニーズに最適なソリューションをワンストップで提供している。垂直統合と水平展開による強力な事業展開力、強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデルなどが強み。

 

【1-1 沿革】

自家用車の普及が急速に進む中ガソリンスタンドも増加することが見込まれる一方で、当時のガソリンスタンドでは、売掛管理、販売管理、顧客管理などを確実・効率的に処理することは難しく、経営者は頭を抱えていた。
これを解決する仕組みを導入すれば、大きなビジネスチャンスが生まれると考えた外資系石油会社出身の池田典義氏(現:株式会社アイネット取締役会長)は、1971年、ガソリンスタンドの受託計算処理を目的として株式会社アイネットの前身となる(株)フジコンサルトを設立した。
池田氏の想定通り、出光興産(当時)を皮切りに、昭和シェル石油、モービル石油、キグナス石油、三井石油など石油元売り各社の地域または全国指定計算センターに指名され、業容は急速に拡大。1997年に東証2部に上場した。

 

その後は、M&Aも含めて石油販売業以外にもフィールドを拡張し、データセンター、金融、製造、小売・流通など現在の主力分野でも存在感を高めていく。2006年には東証1部銘柄に指定された。
その後もドローンを始めとした新たな成長フィールドの開拓を進めている。

 

【1-2 企業理念】

2021年に創立50周年を迎えるにあたり、持続的成長が可能な企業を目指し、さらなる成長をしていくためには役員および社員が全員で、いかなる行動を起こす場合においても基準となる共通の価値観を共有することが必要であると考え、グループの理念となる「inet Way」を制定した。

 

「inet Way」は、「企業理念」・「企業ビジョン」・「経営方針」・「中期経営計画」の4層から形成され、その土台には企業人として守るべき「企業行動憲章」と、「inet Way」を達成するための原動力となる「行動指針」がある。

 

(同社資料より)

 

「inet Way」では、事業規模を拡大していくとともに、揺るぎない事業成長基盤を作り上げていくために、新たに「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ~keep growing while changing~」という経営方針を定めた。
「会社も社員も、常に時代や時流の変化を鑑みながら自ら変化していくことで、成長を続けていかなければならない」という想いを込めている。

 

企業理念

情報技術で新しい仕組みや価値を創造し、豊かで幸せな社会の実現に貢献する。

企業ビジョン

アイネットグループは、「創造」「挑戦」「信頼」をベースに持続的な企業価値向上を目指し、社会とステークホルダーに貢献する企業として成長します。

 

integrated

知恵の価値を共有し、情報化社会をリードする企業

 

networking

技術と技術、心と心(人と人)、個人と社会のネットワーキングづくりを目指す企業

 

energy

持続可能な社会の実現に向けた創造性とイノベーションに挑戦する活気あふれた企業

 

technology

情報技術で豊かで幸せな社会の実現に取り組む企業

経営方針

持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ~keep growing while changing~

 

中期経営計画については後述する。

 

【1-3 市場環境】

同社では、主要分野及び今後の注力分野における業界環境、事業環境を以下のように認識している。

 

(同社資料より)

 

同社が強みとするデータセンター市場、注力しているドローン市場、共に今後も順調な拡大が見込まれている。

 

(同社資料より)

 

石油元売り企業が統合・再編によって1990年当時の15社から5社に集約されたこともあり、国内のサービスステーションも1990年ごろをピークに、現在はその半分まで減少している。
ただ、そうした中でも同社は、競合他社が撤退していることもあり、これまでに培ってきた実績や実力をベースに、新規顧客を獲得して更にシェアを向上させ、ナンバーワンのポジションを磐石なものとしている。
クレジットカードや売上データの相互連携などのシステム開発案件が多く発生していることに加え、顧客獲得のための大きな投資も不要で、同社にとってはフォローの風となっている。

 

また、クラウド、AI、IoT、RPAなどビジネスをより効率化する技術や手法の登場、浸透もあり、石油関連以外でもほぼ全ての分野でシステム投資需要が拡大しており、同社を取り巻く事業環境は良好である。

 

【1-4 事業内容】

国内最高レベルの安全性を備えた自社データセンターと長年培ったシステムの運用管理を基盤に、システムの企画・開発から運用・監視、印刷・封入封緘、さらには先進のクラウドコンピューティングに至るまで、顧客企業の様々なニーズに応じた最適なソリューションをワンストップで提供している。
主な事業は「情報処理サービス」「システム開発サービス」「システム機器販売」の3つ。

 

 

(1)情報処理サービス
「石油販売業、小売流通業、金融業等の勘定系・情報系処理受託」、「クレジットデータの与信管理並びにカード会社への納品代行」、「請求書、販促DM等の印刷、加工並びに発送処理」、「ITマネージドサービス」、「クラウドサービス」の5つのビジネスから構成されている。

 

◎サービスステーション向け受託計算・決済処理
創業ビジネスであるサービスステーション(ガソリンスタンド)の受託計算及び決済処理においては、ガソリンスタンドでの決済手段のうち、クレジットカードと売掛決済に関するサービスを提供している。
クレジットカード決済においては、ネットワークを通じて同社のデータセンターで処理を行っている。
売掛データはガソリンスタンドに代行して、数量、単価、値引き等、さまざまな計算を行い、月末には請求書を作成して発送している。
国内のガソリンスタンドのうち約33%が同社のシステムを利用しており、トップシェアである。
クレジットカードや売掛金処理で培ったノウハウ、実績、事業基盤を活用し、金融、小売等、他業種における決済処理へと横展開を進めてスケールを拡大してきた。

 

◎プリント・メーリング
ガソリンスタンドにおける請求書発送業務を手掛けてきた経緯から、クレジットカード利用明細、納税通知書、選挙はがき等の帳票印刷、ダイレクトメール、請求書などのプリント及び封入封緘なども行っている。
主要顧客であるクレジットカード会社のデータ入力・カード申込受付・カード利用照会・コールセンター業務を受託するBPO(Business Process Outsourcing)業務も手掛けている。

 

◎データセンターサービス
情報処理サービスにおいて同社が近年最も注力し、強みを発揮しているのが「データセンターサービス」および「クラウドサービス」だ。いずれも業界に先駆けていち早く育成に取り組んだ。
データセンターは全国に展開し、横浜に自社データセンターを4棟、北海道、長野、大阪の3ケ所に提携データセンターを有し、相互のバックアップを行い災害にも備えている。

 

◎クラウドサービス
データセンタービジネスで培った事業基盤を活用してスタートした「クラウドサービス」では自社サービスのみではなく、競争力があり、顧客にとって有用なアプリケーションを提供している様々な企業と提携して、プラットフォームに搭載。
顧客満足度を高めることで、安定したストック型ビジネスとして確立している。

 

データセンター・クラウドサービスは過去10年間でマーケットの成長とともに、売上高は4倍以上に成長してきた。
今後も成長ドライバーとして位置付けている。

 

(2)システム開発サービス
長年培った信頼関係をベースに、業務アプリケーション開発、パッケージソフト開発、汎用ツール開発、制御組込、宇宙開発など幅広い分野において顧客のシステム設計、構築を行っている。
顧客業種は、銀行・金融機関、ガソリンスタンド、コンビニ・スーパー、宇宙開発、建設・建築、航空・旅行、官公庁・自治体、医療、製造と極めて幅広い。

 

 

業務の効率化、人手不足への対応をはじめとした企業の競争力強化のために、ソフトウェア投資需要は中長期的に堅調と見込んでいる。

 

(3)システム機器販売
顧客へのシステム導入に際して必要なPC、POS、サプライ品、パッケージソフトを仕入れ・販売するほか、機器やソフトの操作指導も行っている。

 

【1-5 特長・強み】

(1)垂直統合と水平展開による強力な事業展開力
ガソリンスタンドの受託処理を祖業とする同社では、受託処理に次いで、システム導入のための設計・コンサル、システム構築、自社データセンターの運営、請求書発送のための帳票印刷・封入封緘、コールセンターやBPOといった業務を垂直統合し、ガソリンスタンド向けビジネスにおいて基盤を構築・強化し、事業フィールドを拡張してきた。
加えて、そこで培ったノウハウや技術力をベースに、ガソリンスタンド以外の流通、製造、金融機関など他業種に対象を広げてシステム構築を受託したり、データセンターを外販したりするなど、水平展開にも取り組み多種多様な顧客を開拓してきた。
事業フィールドと顧客ベースの拡張、この強力な事業展開力は同社を評価するうえで欠くことのできない重要なポイントである。

 

(同社資料より)

 

(2)強固な顧客ポートフォリオに支えられた安定したビジネスモデル
上記の強力な事業展開力によって獲得した顧客数は4,000社を超える。業種も様々で、多種多様な企業で構成された顧客ポートフォリオに対し、クラウドデータセンターを軸として、顧客のビジネス形態に合わせてさまざまなサービスを展開しているため顧客や業界の浮き沈みに影響されない安定したビジネスモデルを確立している。

 

 

(3)ワンストップサービスの提供
幅広い業種、業態の顧客に対し、ITに関わるさまざまなサービスをワンストップで提供できる点も強みである。

 

例えば顧客の1社であるオリックス銀行では、カードローン業務において、広告・貸付・入金・回収以外すべてのプロセスをアイネットが担当し、データセンター上で運用管理を行っている。

 


(同社資料より)

 

このように、システム開発、データセンター、システムの構築・運用、多様なクラウドサービスの提供、請求書や各種帳票の印刷・封入封緘、発送など、ITに関わる上流から下流まで、全ての工程で、セキュリティレベルの高いサービスを提供できる会社は少なく、高い顧客利便性及び顧客満足度は強固な参入障壁、強力な競争優位性に繋がっている。

 

【1-6 目標とする経営指標】

持続的な企業価値向上を目指すために、事業規模の継続的拡大を通じ、本業の成果を表す「売上高」、「営業利益」、「営業利益率」および「ROE」を重要な経営指標としている。

 

 

 

【1-7 ROE分析】

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE (%)

8.8

9.4

10.7

10.4

10.9

 売上高当期純利益率(%)

4.23

4.56

5.34

5.34

5.52

 総資産回転率(回)

0.92

0.96

0.98

1.00

1.01

 レバレッジ(倍)

2.27

2.16

2.05

1.95

1.96

 

レバレッジは低下する一方、収益性、資産効率性の向上によりROEは継続的に上昇している。
今期の予想売上高当期純利益率は5.3%と前期を下回るものの、2桁のROEを維持する可能性が高い。
中期経営計画においては2022年3月期の目標ROEを11.1%としている。

 

【1-8 配当政策・株主優待制度】

将来の資金需要に備え内部留保しつつ安定的な配当を継続することを配当方針としている。
配当性向のめどは示していないが、過去数年間は40%を超しており、今期の予想配当性向も43.0%である。
また、株主優待制度を設けている。
毎年9月30日時点で1,000株以上保有の株主に年1回、保有株式数に応じたクオカードを進呈しているほか、3年以上保有の場合は1,000円分の長期保有プレミアムを受け取ることができる。
また、進呈額の10%を同社が障がい者団体等へ寄付しており、株主は社会貢献にも参加することができる仕組みとなっている。

 

 

2.2020年3月期第2四半期決算概要

(1)業績概要

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

12,957

100.0%

15,360

100.0%

+18.5%

売上総利益

3,074

23.7%

3,542

23.1%

+15.2%

販管費

2,066

15.9%

2,285

14.9%

+10.6%

営業利益

1,007

7.8%

1,257

8.2%

+24.8%

経常利益

1,002

7.7%

1,250

8.1%

+24.7%

四半期純利益

670

5.2%

827

5.4%

+23.3%

*単位: 百万円

 

増収増益。売上、利益ともに上半期の過去最高を更新。
売上高は前年同期比18.5%増の153億円、営業利益は同24.8%増の12億円。
全サービスとも増収増益。
売上、利益ともに上半期の過去最高を更新した。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期2Q

構成比

20/3期2Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

 情報処理サービス

5,004

38.6%

5,396

35.1%

+7.8%

 システム開発サービス

7,464

57.6%

9,264

60.3%

+24.1%

 システム機器販売

488

3.8%

699

4.6%

+43.3%

 合計

12,957

100.0%

15,360

100.0%

+18.5%

営業利益

 

 

 

 

 

 情報処理サービス

480

9.6%

549

10.2%

+14.4%

 システム開発サービス

498

6.7%

677

7.3%

+35.9%

 システム機器販売

28

5.9%

30

4.4%

+5.6%

 合計

1,007

7.8%

1,257

8.2%

+24.8%

*単位:百万円。営業利益については同社独自の簡便法で作成しており、数値は参考値(目安)。営業利益の構成比は営業利益率。

 

(情報処理サービス)
前期に獲得した大型案件をはじめ、既存顧客のデータセンター利用が順調に増加するなど、利益率が高いデータセンターサービスや、クラウドサービスが順調に推移した。

 

システム開発サービス
石油業務系顧客や、流通サービス業務系などのシステム構築が好調に推移したことに加えて、2018年10月に子会社化したソフトウェアコントロール社の子会社化も寄与た。

 

(システム機器販売)
ガソリンスタンド向けPOS機器販売やシステム開発サービスに付随した機器販売が好調に推移した。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19/3月末

19/9月末

 

19/3月末

19/9月末

流動資産

9,997

10,001

流動負債

7,933

8,002

 現預金

3,299

2,909

 仕入債務

1,075

1,236

 売上債権

5,836

6,044

 短期借入金

2,329

2,679

固定資産

18,518

19,306

固定負債

6,224

6,451

 有形固定資産

13,482

14,241

 長期借入金

5,471

5,856

 投資その他の資産

3,816

3,907

負債合計

14,158

14,454

資産合計

28,515

29,307

純資産

14,357

14,853

 

 

 

 利益剰余金

8,077

8,586

 

 

 

負債純資産合計

28,515

29,307

 

 

 

借入金合計

7,801

8,535

*単位:百万円

 

データセンターの設備増強に伴う有形固定資産(建物及び構築物)の増加等で資産合計は前期末に比べ7億円増加し293億円。設備増強に伴う借入金の増加等で負債合計は同2億円増加の144億円。
利益剰余金の増加等で純資産は同4億円の増加。
自己資本比率は前期末より0.4ポイント上昇し、50.7%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/3期2Q

20/3期2Q

増減

営業CF

1,692

1,471

-220

投資CF

-600

-2,123

-1,523

フリーCF

1,091

-652

-1,744

財務CF

-872

262

1,134

現金同等物残高

3,522

2,909

-613

*単位:百万円。

 

売上債権の増加等で営業CFのプラス幅は縮小。
有形固定資産の取得による支出が増加し投資CFのマイナス幅は拡大し、フリーCFはマイナスに転じた。
借入金の増加で財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

(4)主なトピックス

中期経営計画達成およびその後の成長も見据えて以下のような取り組みを行った。

 

①無人航空機(ドローン)による橋梁点検の実証実験
2019年5月、ドローンを活用したインフラの長寿命化に向けたメンテナンスサイクルの構築を目指し、君津市、Dアカデミー株式会社(千葉県君津市)と協力関係を結ぶ覚書を締結した。

 

君津市では、職員によるドローンを活用した橋梁点検により、大幅なコスト削減や事務効率の向上の実現を目的に、2020年度の本格運用に向け、ドローンによる撮影手法の検討と映像の解析、この手法の導入が可能な橋梁の選定、映像データ保管等を検討すべく実用性の確認に向け実証実験を行う。

 

橋梁点検は現在、全ての橋梁一律で、近接目視が基本であり、橋の側面や下面は橋梁点検車による点検を行っている。そのため交通規制による負担も問題視されている。
今後ドローンでの橋梁点検を実施することにより、点検費用の大幅縮減、縮減した費用を修繕にまわすことによる橋梁の長寿命化、点検に伴う交通規制の緩和による利用者の負担軽減などが期待できる。

 

アイネットは2017年にDDFF(Dream Drone Flying Field)を君津市に開設したことを契機として、君津市と災害連携協定の締結をはじめ、PR動画の撮影や猿の生態調査等を実施してきた。今回の実証実験等を通じ、ドローンを活用した君津市のまちづくりの推進に寄与していく。

 

②横浜市の「観光プロモーション用素材映像制作業務」を受託
2019年10月、ドローン映像ソリューションの一環として、横浜市より「観光プロモーション用素材映像制作業務」を受託した。

 

今回の映像制作業務では、ドローンビジネスの実用化を加速することを目的としたアライアンス「Drone Business Realizing Initiative Japan(DBRIJ)」に参画する同社と、トライポッドワークス株式会社(宮城県仙台市)が、横浜の施設を撮影し、観光情報の発信を促進するための4K高画質映像を制作した。

 

③東京大学橋田研究室とアイネットが共同研究契約を締結
東京大学大学院情報理工学研究科橋田浩一教授と共同で、橋田教授が提唱するPLR(※)を活用して、個人と事業者の間で共有されたパーソナルデータの利活用やAI/データ分析に関する実証実験を行うことで合意し、共同研究契約を締結した。

 

今回の実証実験では、一般的な業務への応用としては安全で安価な名簿管理やファイル共有サービスなどの開発、ヘルスケアへの応用としては乳がんの発生要因の分析や乳がん検診の受診勧奨などに取り組む予定。

 

同社は、「パーソナルデータの分析による本人に便益を提供するアプリの開発」、「乳房自己チェック、ボディケア分析等の動画提供アプリの開発」、「データ分析基盤や動画配信サービス基盤の構築」等を行う。

 

2018 年 5 月に施行されたEU 一般データ保護規則(GDPR)では、データポータビリティ権や削除権などが定められており、日本国内においてもデータポータビリティ等の検討が進められている。
パーソナルデータの本人による安全で安価な管理運用というPLR の特徴を生かしてデータ利活用ビジネスを開拓する。

 

(※)PLR(個人生活録:Personal Life Repository)
PDS(Personal Data Store)の一種で、パーソナルデータを原則として本人のみが管理運用し他者と共有・利活用する仕組み。第三者がデータの共有を管理する従来の情報システムよりはるかに安全で安価に構築・運用ができる。

 

④宇宙事業への積極的な取り組み
1977年の気象衛星「ひまわり」初号機から、2010年に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」に至るまで、長年にわたり宇宙衛星開発に携わってきた同社は、様々な取り組みを進めている。

 

◎宇宙スタートアップSPACE WALKERとスペースプレーン事業の展開に関し資本業務提携契約を締結
2019年8月に日本初の有人宇宙飛行を目指す株式会社SPACE WALKER(東京都港区)と再使用型有翼式サブオービタルスペースプレーン事業の展開に関し業務提携契約を締結したほか、9月30日に実施されたSPACE WALKER 社の資金調達に応じて出資を行った。

 

(SPACE WALKER社概要)
2017年12月設立。スペースプレーンの設計・開発、スペースプレーンを利用した輸送サービスを提供。
創業者が1980年代からのスペースプレーン研究で培ってきた技術を活かし、技術パートナー企業と共に宇宙利用ビジネスに必要不可欠な「宇宙へのアクセス」の確立を目指し日々研究・開発を進めている。
2022年頃に無重量実験サービス、2024年頃に小型衛星打上サービス、2027年頃に有人宇宙飛行サービスの提供をそれぞれ目指している。

 

(業務提携の内容)
①スペースプレーン開発の技術サポート
②スペースプレーンの運用サポート
③情報セキュリティマネージメント体制構築サポート

 

アイネットは、データセンター事業者、クラウドサービスプロバイダーの立場を活かし、SPACE WALKERの情報セキュリティマネージメント体制の構築をサポートする。

 

(SPACE WALKER 社の資金調達概要)
CE型新株予約権発行により、2018年10月15日および2019年9月30日の2回で、合計3.7億円を調達した。
引受者は、株式会社アイネット、株式会社ABBALab、サンワサプライ株式会社、株式会社バスキュール、株式会社ブリスリンク、笠原健治氏(株式会社ミクシィ 取締役会長執行役員)等。
アイネットは今回の出資により更に関係を強化、スペースプレーンの開発を加速させる。

 

◎東工大発宇宙スタートアップ・天の技(あまのぎ)と人工衛星関連事業の業務提携契約を締結
2019年9月、国立大学法人東京工業大学発スタートアップ株式会社天の技(東京都大田区)と、人工衛星関連事業の展開に関し業務提携契約を締結した。

 

(天の技 社概要)
2017年設立。宇宙スタートアップ企業での開発経験を持つ東工大 OB の工藤裕氏が衛星部品開発、衛星用 AI システムの開発のため創業した「東工大発ベンチャー」。特に、小型衛星を専門とする東工大研究室の研究成果を事業化することを目的としている。先進的な取組が認められ文科省の新宇宙産業創出事業に採択されるとともに、NEDO による「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業」にも採択され、更に2018年12月に発表された「革新的衛星技術実証2号機」の実証テーマに選定されている。

 

手掛けている事業
①衛星用コンポーネントビジネス
今後、小型衛星の打上げが急増することは確実視されているが、国内にはスタートラッカー(※)のベンダーが存在せず、海外製は10百万円程度と高価でサポートもない。
これに対し天の技が製造するスタートラッカー「Amanogi Star Compass」は従来の半分以下の価格・開発期間を実現し、 国際的にも競争力を有する。2020年から市場に投入し、国内のみならず海外事業者への販売も検討する。

 

②AI衛星データビジネス
衛星データは即時性と通信・運用コストに課題があるが、Edge Computing(AI やデータ解析を小型計算機や論理合成を応用して小規模かつ低消費電力で実現すること)の衛星への応用により、必要なデータのみを地上に送信することで、必要な宇宙データを迅速かつ低コストで提供する。
2020年AI 衛星開発プロジェクトスタート、2023年AI 衛星の打上げの技術的実証、2024年AI 衛星の実証結果を基に衛星ビジネススタートという事業計画を有している。

 

(業務提携契約の概要)
①衛星用コンポーネントの共同開発、②人工衛星の共同開発、③データセンターを利用した恒星センササービスの共同開発、④衛星データのAI 解析サービスの共同開発。

 

アイネット、天の技、東工大の三者の知見、研究成果を融合させることで早期の事業化を目指している。

 

(※)スタートラッカー
宇宙空間において衛星が星の配置を見て自分の向きを把握するための装置

 

◎日本初の宇宙スタートアップ特化のファンドに出資
スタートアップ企業への投資を行う独立系VCの株式会社エースタート(東京都港区)が組成した宇宙スタートアップ特化のスペース・エースタート1号投資事業有限責任組合に出資した。
有力な宇宙スタートアップとの関係強化を狙いの一つとしている。

 

(スペース・エースタート1号投資事業有限責任組合概要)
日本初の技術をコアにした宇宙スタートアップ企業を投資対象とする。ファンド総額は50億円超、運用期間は6年。
(株式会社エースタート概要)
2015年設立。宅配寿司「銀のさら」を運営するライドオンエクスプレスホールディングスを始め複数の企業をCFOとしてIPO に導いた渡邊一正氏が設立した独立系 VC。
「事業家系VC」という独自のポジションを持ち、特にIPOに向けた体制・シナリオ作りなど、出資企業を密接に支援することを特徴とする。

 

⑤シンガポール駐在員事務所を開設
2019年11月、シンガポール駐在員事務所を開設した。
海外事業戦略の一環として、IT関連マーケットの成長著しい東南アジア地域を中心とした市場調査を目的としている。
同地域における情報収集、市場調査、新規事業展開を検討する。

 

3.2020年3月期業績予想

(1)業績見通し

 

19年3月期

構成比

20年3月期(予)

構成比

前期比

修正率

進捗率

売上高

27,591

100.0%

31,000

100.0%

+12.4%

+3.3%

49.6%

売上総利益

6,586

23.9%

7,380

23.8%

+12.0%

+0.7%

48.0%

販管費

4,240

15.4%

4,880

15.7%

+15.1%

0.0%

46.8%

営業利益

2,345

8.5%

2,500

8.1%

+6.6%

+2.0%

50.3%

経常利益

2,347

8.5%

2,440

7.9%

+3.9%

+2.1%

51.3%

当期純利益

1,521

5.5%

1,630

5.3%

+7.1%

+2.5%

50.7%

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

業績予想を上方修正。9期連続増収、10期連続増益。売上は過去最高を更新。利益も連続して過去最高を更新。
業績予想を上方修正した。売上高は前期比12.4%増の310億円、営業利益は同6.6%増の25億円の予想。
企業のIT投資需要が旺盛で、情報処理サービス、システム開発サービスの受注状況が期初想定以上に好調。
売上は9期連続増収で過去最高を更新。利益は10期連続増益で前期に続き過去最高更新へ。
配当予想に修正はない。前期比3円増配の43円/株を予定。8期連続増配。予想配当性向は42.0%。

 

(2)セグメント別動向

 

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

修正率

進捗率

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 情報処理サービス

10,091

36.6%

11,000

35.5%

+9.0%

+1.1%

49.1%

 システム開発サービス

16,395

59.4%

18,700

60.3%

+14.1%

+3.4%

49.5%

 システム機器販売

1,104

4.0%

1,300

4.2%

+17.7%

+25.0%

53.8%

 合計

27,591

100.0%

31,000

100.0%

+12.4%

+3.3%

49.5%

営業利益

 

 

 

 

 

 

 

 情報処理サービス

1,027

10.2%

1,067

9.7%

+3.9%

+0.9%

51.5%

 システム開発サービス

1,256

7.7%

1,373

7.3%

+9.3%

+3.2%

49.3%

 システム機器販売

61

5.6%

60

4.6%

-2.5%

+1.7%

50.0%

 合計

2,345

8.5%

2,500

8.1%

+6.6%

+2.0%

50.3%

*単位:百万円。営業利益については同社独自の簡便法で作成しており、数値は参考値(目安)。営業利益の構成比は営業利益率。

 

(情報処理サービス)
データセンタービジネスやクラウドサービスが好調。先行投資・ライセンス償却・研究開発に対応する原価も含まれるが、今期も増収増益。

 

(システム開発サービス)
システム開発需要増は2019年も継続し、増収増益。

 

4.中期経営計画

(1)今回の中期経営計画の位置づけ

同社では経営方針に掲げた「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニー」を目指す第1ステップとして、今期をスタートとし3年後の2022年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、遂行中である。
企業価値向上と事業規模拡大を目指し、「事業戦略計画」「投資戦略計画」「ESG取組計画」の3計画を推進。
今中計では売上高332億円を、2025年3月期を最終年度とする次期中計では売上高500億円の達成を目標とし、その後も更なる成長を追求していく考えだ。

 

(2)経営戦略

基本となる経営戦略は、顧客との絆をより強固にする「守り」と、新たな市場領域やサービスを開拓する「攻め」のバランスの重視。
顧客第一の考え方の徹底、付加価値のある提案、成長が見込める商品・サービス開発、人材への投資に取り組む。
特に、顧客の期待を超えた付加価値の高い提案が可能な水準まで能力を磨き上げる。

 

全社重点施策①:パートナー戦略とチャネル戦略
自社のみで全てのビジネスを進めることは難しくなっているため、システム開発、クラウドサービス、販売、OEMにおいて強みを持つ各パートナーとの連携を深め、トップラインの拡大、サービスラインナップ拡大、販売拡大、事業領域の拡大に努める。

 

全社重点施策②:プラットフォーマーとして『クラウド基盤(NGEC)+アプリ』のサービス化
同社の武器であるクラウド基盤上に、自社サービスだけではなく、顧客にとって有用な様々な優れたアプリケーションを搭載し、プラットフォーマーとしての強み・価値を格段に高める。

 

全社重点施策③:『企画からBPOまでの一貫ビジネスにおけるクロスセル』のさらなる推進
幅広いサービスを連携させてワンストップで提供するという特徴を活かし、顧客の企画段階から、システム開発、同社データセンターでの運用、クラウド運用、封入封緘作業まで、顧客の業種、業態関係なく、間口の広い営業活動を展開し、部門間クロスセルをさらに活性化させる。

 

(3)事業戦略計画

①情報処理サービス

分野

施策

SS・受託計算・決済

*処理SS数シェア率アップ(33%⇒中長期 50%超へ)

*全国営業支店網を活かした非石油ビジネスの拡大

*LPG販売業向けサービスの拡販

クラウドサービス

*クラウドサービス基盤(NGEC)の販売拡大

*販売チャネルの強化・拡大(リセラーの増加/OEMモデルの展開)

プリント・メーリング/BPO

*提供サービス範囲の見直し、拡大

*BPOサービス事業の積極的拡大

DXソリューション

*ドローンを活用したBIM、CIMビジネスの早期収益化

*中堅、中小企業向けAIクラウドサービスの拡充と販売拡大

*IoTビジネスモデルの確立と展開

 

国内のガソリンスタンドは減少傾向が続いているが新規SSを獲得して、シェアを向上させ、ナンバーワンポジションを継続してきた。引き続き、守りと攻めの新たな施策を進め更なるシェアアップを図る。
クラウドサービス拡大のために販売チャネルの増加、OEMモデル展開が必要と考えている。

 

②システム開発サービス

分野

施策

金融

*金融市場のニーズ変化に合わせた金融パッケージの強化、見直し

流通・サービス

*流通業向け販売管理業務ノウハウを活かした競合差別化(業種テンプレート導入ビジネスの展開)

*AS400レガシー資産のモダナイゼーションのノウハウ活用/受注拡大

宇宙

*ニュースペース企業、自社衛星開発ベンチャー企業との取引先拡大で事業範囲拡大

新市場・サービス

*新たなビジネス市場への参入、展開「駐車場」関連、「レンタル」関連

 

「宇宙」においては、ベンチャー数社との取引を始めており、新たなビジネスモデルを構築していく。
新たなサービスマーケットとしては、シェアビジネス、レンタルビジネスといった、今後、市場改革が求められていく新たな分野への開拓を進める。

 

(4)投資戦略計画

分野

施策

人材育成

*新卒採用人数の目標達成への施策実行、中途採用戦略の実行

*各レベル層の人材力アップに向けた教育研修制度や内容の強化

データセンター

*第1および第2データセンター設備更新の計画的遂行

*データセンター増床、増設計画の方針検討

研究開発

*NGECを進化させた次世代クラウドプラットフォーム開発

*データ分析、データサイエンスビジネスの展開

*人工衛星データのビジネス活用

海外事業

*海外進出形態検討(東南アジアの海外拠点開設予定)。得意分野と先  

端技術によるサービス展開を目指す

 

人材への投資は、中長期目標として掲げている事業規模の拡大、企業価値の向上の実現をするために、最も重要な投資であると考えている。
成長を担う新卒社員については、引き続き採用活動を積極的に進めていく。中途採用については、AIやビッグデータなどの、新しい技術に対応していくための技術を保有している、高度IT人材や、注力ビジネスである宇宙開発分野の即戦力人材を積極的に獲得する。

 

 

人材育成やキャリア形成の取り組みには、計画投資ときめ細やかなPDCAを実施していくことで、社員の成長や、自己実現と会社成長が一致させることが可能という前提で進めていく。
具体的には、新入社員研修、若手年次別研修、管理職研修などに加え、未来の経営層育成のための特別研修である「経営塾」を新たに開始した。

 

差別化や競争力強化のために、今まで以上に研究開発に投資する。対象は、現在のクラウド基盤をさらに進化させた次世代クラウドプラットフォームの開発、急速な成長が期待されるビッグデータの解析や分析といったデータサイエンスビジネス等。

 

(5)ESG取組み計画

<S:社会>
健康経営およびダイバーシティの推進を掲げ、以下のような取り組み姿勢を宣言している。
「アイネットは、社員が経営における最大の財産であるという考えのもと、社員が心身ともに健康であることこそが、持続的な企業価値向上の源泉であると考え、健康経営を推進します。そして、社員のみんなが安心して力を発揮できる労働環境をつくるため、ワークスタイルの変革を推進します。」

 

具体的な取り組み実績を評価され、以下の公的な認定を受けている。

制度

認定時期

概要・取り組み

健康経営優良法人「ホワイト500」

(経済産業省が実施する「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門の通称)

2019年2月

*健康経営を宣言

*定期健康診断の受診の徹底、及び受診結果に基づいたフォロー

*産業医、健康支援室設置

*メンタルヘルスマネジメント検定試験取得奨励

えるぼし

(女性活躍推進法に基づく認定制度で、一定の基準を満たし、女性活躍推進に関する状況などが優良な企業に発行される認定マーク)

2018年10月

*女性比23.0%

*新卒女性採用比率40%以上

*女性委員会の設置

*ダイバーシティ推進室の設置

*女性取締役の就任(11名中2名)

*かながわ女性の活躍応援団

くるみん

(一定の要件を満たして申請した場合に、厚生労働大臣から子育てサポート企業として認定を受けた企業に与えられるマーク)

2012年5月

*短時間勤務制度の拡充(小学3年まで)

*定時退社日の設置

*配偶者の出産休暇

*メモリアル休暇

*在宅勤務制度

*ジョブリターン制度

 

この他、障がいのある方に活躍の場を提供し、自立・自律を支援することを目的に設立した特例子会社(厚生労働大臣認定)である(株)アイネット・データサービスでは、障がいのある方々がデータ入力、スキャニング、軽作業、名刺作成といった業務を行っている。
また、本社所在地・横浜市のオープンデータを活用して保育施設を検索できる子育て・女性活躍支援サイト「働くママ応援し隊」を開設した。

 

<G:ガバナンス>
委任型執行役員制度を導入した。
取締役員数を7名(17年9月は12名)とし、意思決定の迅速化・監督機能の強化を図るとともに、執行役員を11名選任し(うち、取締役兼任は4名)執行責任の明確化、業務執行の効率化・迅速化を目指す。

 

また譲渡制限付株式報酬制度も導入した。
役員が株主とベクトルを共有することで、企業価値の持続的な向上を目指すとともに、株主との一層の価値共有を推進する。

 

(6)数値目標

 

 

今期以降も、情報処理サービス、システム開発サービスともに順調に伸張し、連続して売上・利益ともにピークを更新する見込み。
3年間のCAGR(年平均成長率)は、売上高で6.4%、営業利益で5.2%。営業利益率は8%台で推移。
22年3月期のROE目標は11.1%。今後も引き続きROE向上を重要な経営指標として、収益力の向上に一層注力する。

 

5.今後の注目点

同社では、ドローン、AI、宇宙開発等のサービスから生み出される膨大なデータをデータセンターに集積し、ビッグデータを解析・分析・提供・利活用していくことでデータに大きな付加価値を生み出す「データサイエンスビジネス」を目指している。
これまでデータセンターサービスおよびクラウドサービスの売上を開示していなかったが、今回の決算説明会で過去9年間の売上高を開示した。これを見ると、9年間のCAGRは16.7%と売上高全体CAGR3.9%を大きく上回っている。
売上構成はまだ2割にも満たないが、同サービスがこうした戦略の下拡大していけば、収益性は一段と向上していくこととなろう。
中期的な視点でデータセンターサービス・クラウドサービスの今後を注視していきたい。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年7月29日

 

<基本的な考え方>
当社は、業務の有効性と効率性、財務報告の信頼性、関連法規の遵守を目的に、透明性を高め、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制の構築、維持を重点事項として推進しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

開示内容

補充原則1-2-4 【株主総会における権利行使】

当社は、議決権の電子的行使は実施しておりますが、招集通知の英訳は行っておりません。但し、決算短信およびアニュアルレポートについては英訳版を作成しております。なお、今後、海外投資家比率の上昇傾向なども踏まえ、招集通知の英訳を検討してまいります。

補充原則4-10-1【諮問委員会の設置】

当社では、独立社外取締役を2名選任しています。取締役会の過半数には達成していませんが、各独立社外取締役とも、自身の高い専門的な知識と豊富な経験を活かして、取締役会や各取締役へ意見を述べるとともに、必要に応じて助言を行っています。

また、社外監査役4名(内、独立社外監査役1名)を含めて、取締役会等で活発に議論しており、公正かつ透明性の高い体制が整備されています。

しかしながら、補充原則改訂の趣旨を踏まえて、あるべき諮問委員会の姿を検討した結果、新たに諮問委員会を立ち上げることといたしました。委員会では外部の客観的な意見を取り入れるため、構成員の過半数は独立社外役員とする予定です。

 

<各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

【原則1-4. いわゆる政策保有株式】

<政策保有に関する方針>

当社は、円滑な事業運営、取引関係の維持・強化などを目的として、中長期的な経済合理性や将来見通しを総合的に勘案した上で、必要と判断される場合に限り、株式を政策的に保有します。保有する株式については、事業環境の変化などを踏まえ、個別銘柄毎に保有目的、保有に伴うリスク、投資リターン等の検証を行い、縮減を念頭に置き、定期的に保有方針を検証してまいります。

 

<政策保有株式に係る議決権行使の基準>

当社は、政策保有株式の議決権行使について、当社の保有方針に適合するかどうかに加え、当該企業の経営方針や事業戦略を確認し、企業価値の向上につながるか等を総合的に勘案して、議案への賛否を個別に判断しております。

また、必要に応じて、提案内容等について発行会社と対話を行っていきます。

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IRポリシーを制定し、基本方針・開示基準・開示方法・沈黙期間等を開示しております。また持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、合理的な範囲で株主・投資家との対話に対応しております。

当社は、企画・IR部をIR担当部署として設置し、IR担当部署を管掌する取締役常務執行役員をIR担当役員としてIR体制を整備しており、株主や投資家を含むステークホルダーに対し、IR担当が経営企画・総務・経理・人事・事業部門等と十分に連携し、経営・財務状況等を適時適切に開示しております。

株主との対話としては、本決算発表後の事業説明会、アナリスト・機関投資家向けに年2回決算説明会を開催し、代表取締役社長による説明および対話を行っております。また、機関投資家との個別面談や個人投資家向けの会社説明会等を適宜実施し、積極的なIR活動を合理的な範囲で代表取締役社長はじめ経営陣幹部やIR担当が対応しております。

対話により把握いたしました株主・投資家の意見等は、IR担当役員が適切に判断し必要に応じて取締役会等に付議・報告する等、フィードバックを図っております。

なお、対話に際しては、インサイダー情報の管理には社内規程に則り十分留意しながら実施しております。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

Copyright(C) 2019 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

 

ブリッジレポート(アイネット:9600)のバックナンバー及びブリッジサロン(IRセミナー)の内容は、 www.bridge-salon.jp/ でご覧になれます。

 

 

同社の適時開示情報の他、レポート発行時にメールでお知らせいたします。

>> ご登録はこちらから

 

ブリッジレポートが掲載されているブリッジサロンに会員登録頂くと、株式投資に役立つ様々な便利機能をご利用いただけます。

>> 詳細はこちらから

 

Web上でブリッジレポートのアンケートに回答頂くと、各種商品に交換可能なポイントがレポート毎に獲得できます。

>> 詳細はこちらから