ブリッジレポート
(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

プライム

ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ 2020年6月期第1四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

井関 司 社長

株式会社インテリジェント ウェイブ(4847)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表者

井関 司

所在地

東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー

決算月

6月

HP

https://www.iwi.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

775円

26,305,093株

20,386百万円

11.3%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

9.00円

1.2%

27.37円

28.3倍

242.23円

3.2倍

*株価は11/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

非連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年6月(実)

7,205

731

750

513

19.48

6.00

2017年6月(実)

8,469

702

766

547

20.78

7.00

2018年6月(実)

10,603

547

573

377

14.36

7.00

2019年6月(実)

10,443

921

953

683

25.99

9.00

2020年6月(予)

10,600

1,000

1,040

720

27.37

9.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

株式会社インテリジェント ウェイブの2020年6月期第1四半期決算の概要と今後の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年6月期第1四半期決算概要
3.2020年6月期業績予想
4.中期事業計画(20/6期~22/6期)と進捗状況
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/6期1Q(7-9月)は前年同期比3.4%の増収、同100.1%の営業増益。プロダクトソリューション事業の売上が減少したものの、大型開発案件終了の影響を吸収して金融システムソリューション事業の売上が同4.8%増加した。売上の増加とソフトウェア開発が順調に進んだ事による売上総利益率の改善(25.7%と3.2ポイント改善)で、人件費や採用教育費を中心にした販管費の増加を吸収。営業利益率が5.8%と2.8ポイント改善した。

     

  • 上期及び通期予想に変更はなく、通期で前期比1.5%の増収、同8.5%の営業増益予想。大型案件終了の影響やハードウェア販売の減少で売上高が小幅な伸びにとどまるものの、大型案件終了の影響を除くと同8%程度の増収。クラウドサービスの損益改善で営業利益は10億円の大台に乗る見込み。配当は1株当たり9円の期末配当を予定している。

     

  • 20/6期は順調なスタートを切った。数値面だけでなく、クラウドサービスの伸長、NET+1や不正検知の次世代製品開発、セキュリティソリューションの新展開、更には放送事業者向け製品等の各取り組みが着実に進んだ。セキュリティソリューションについては、クラウド環境下でのセキュリティ製品群にマーケティングの成果が出始めている。加えて、情報漏洩対策CWATの引き合いも活発。1Qは苦戦を強いられたプロダクトソリューション事業だが2Q以降の見通しは明るい。

     

1.会社概要

クレジットカード決済等のオンラインシステムに利用される金融フロントシステムで国内シェアNo.1のソフトウェア開発会社。金融フロントシステムは、店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行う。“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“システムを止めないためのノンストップ技術”、及び“高度なセキュリティ技術”を技術基盤とし、カード不正利用検知システムや証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する。地銀やノンバンク等向けに金融フロントシステムやカード不正利用検知システムのクラウドサービスも伸びている。営業面では、筆頭株主として議決権の50.61%を保有する大日本印刷(株)及びそのグループ企業との連携が強みとなっている。

 

【経営理念 : 次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する 】

ネットワークゲートウェイ専門会社として、社員一人ひとりが、進取の気性を持った技術者集団としてあり続ける事で、次世代の新たなキラーシステムを創出し、次の30年を見据えた成長の軌跡を描いていく。そのためには、性別や国境にとらわれない多様な価値観が生み出すエネルギーが必要不可欠というのが同社の考え。また、常に新しい事に挑戦し、働きがいのある企業風土を作りあげる事で、社会における同社の企業価値も高めていく。

 

クレジットカードのオンライン決済が広く普及していなかった時代、同社は業界に先駆けて、大量の通信データを正確かつリアルタイムで処理するネットワークゲートウェイシステムを確立した。その後も、各種の認証機能や不正検知機能等、様々なアプリケーションを提供し続けた事で、ユーザーに信頼される決済インフラシステムのデファクトスタンダードとして、圧倒的な国内シェアを獲得してきた。キャッシュレス社会の推進を背景に、同社の事業機会は拡大を続けている。同社に受け継がれている「止まらないシステム」を追求する思想は、IT基盤の構築やセキュリティ機能の向上を支える技術と深く結びついており、今後、あらゆる業界に幅広く浸透していく、というのが同社の考え。
企業は、社会に貢献する事がなければ存在価値がない。同社は、これまでに培ってきた技術力を進化させ、安全でストレスなく情報を取得できる仕組みを築きあげる事で、ユーザーを通じて社会全体から信頼される会社を目指している。

 

1-1 事業内容

事業は、クレジットカードや証券等の金融業界やシステム開発会社を主な顧客として、ソフトウェア開発、自社製・他社製パッケージ及びハードウェアの販売、更には保守等を手掛ける金融システムソリューション事業と、業種・業界にとらわれず幅広く自社製・他社製パッケージを中心にしたソリューションを提供しているプロダクトソリューション事業に分かれる。18/6期の売上構成比は、それぞれ88%、12%。

 

金融システムソリューション事業
カード系(金融系)と証券系(非カード系)のビジネスに分かれる。金融系は、クレジットカード会社や銀行、大手システム開発会社等を主な顧客とし、自社開発のパッケージソフト「NET+1」や「ACEPlus」を用いたシステム開発を行っている。「NET+1」を用いたシステムは、店舗の端末や銀行の店外CD/ATM・海外ATM等をクレジットカード会社や銀行等のネットワークに接続して取引データの受渡しを行うためのもの(ネットワーク接続機能、決済の前提となるカード認証機能、加盟店の業務を管理する機能等を有する)。専用ハードと共に提供される。この分野で圧倒的なNo.1ブランドであり、大手クレジットカード会社のネットワークへの接続で7割のシェアを有する。

 

「ACEPlus」は、偽造カード・盗難カード利用などクレジットカードや銀行口座の不正利用の検知を目的とした不正検知システムであり、こちらも豊富な実績を有する(シェア6~7割)。この他、「NET+1」のオンライン接続機能を切り出したアプライアンス製品として「OnCore」を提供している。「OnCore Switch」は低コストかつ短時間で導入できる強みから、カード決済の清算業務(クリアリング)用途やスマートフォン決済時のATM接続・ネットワーク接続用途での導入が増えている。
一方、証券会社を顧客とする証券系では、金融系で培った“リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術”、“ノンストップ技術”、及び“セキュリティ技術”を活かして、高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)等の開発を行っている。
上記の他、アクワイアリング業務、「ACEPlus」、「OnCore Switch」のクラウドサービスも提供しており、ユーザー企業の獲得が順調。大日本印刷(株)及びそのグループ企業の顧客資産とネットワークやセキュリティ分野での強みを活かしてサービス(開発)領域の拡大にも取り組んでいる。

 

プロダクトソリューション事業
当事業は、カードや証券等の業界に捉われず、全ての業界・企業を顧客対象とし、顧客の業務に使用されるPC 端末(エンドポイント)のセキュリティ対策製品を主な事業領域としている。具体的には、「NET+1」「ACEPlus」等で培ったネットワーク技術やセキュリティ技術をベースとした情報漏洩対策システム「CWAT(シーワット)」(パソコン等の端末から、コピー、印刷、ネットワーク経由等による情報の内部からの持ち出しを監視)を中心に、内部情報漏洩対策、脆弱性対策、及び外部攻撃対策について、監視・検出・診断・認証と防止・阻止の切り口からソリューションを提供している。
当事業は売上や利益の数字に表れないメリットも大きい。優れたセキュリティ関連製品を扱う事で得られる最新の情報や蓄積される技術・ノウハウ、海外の有力ベンダーとの提携により広がるワールドワイドのネットワーク、更には全ての業界・企業を顧客対象とする事による顧客層の広がりとビジネスチャンスの拡大等、目に見えない部分での貢献も大きい事業である。

 

1-2 進化3Way

Road to 10B

売上高100億円超の継続と営業利益10億円達成

次世代育成・確立

育て上手な会社になる

風土改革

進取の気性と働きやすさ

 

単に目標数値を追うのではなく、人材育成・育成システムの確立及び風土改革と一体となった売上高・利益の成長を目指している。このため、採用した人材は教育研修で磨きをかける。具体的には、経営層、部長クラス、課長クラス、リーダークラス、入社2~3年目、新人、と階層別研修制度を整備し、技術職(専門分野の必要スキル)、イノベーション力、人間力を3本柱に次世代人材の育成に力を入れている。社員1人ひとりが働きやすい環境の整備にも取り組んでいる。残業時間の上限規制や年次有給休暇年5日の取得義務化と言った法制度対応はもちろん、同社独自の施策として、テレワーク、裁量労働制、勤務間インターバル制度を導入している。この他、2019年6月には、本社内のリフレッシュスペースを増床し社員に朝食の無料支給を開始した他、7月には営業部門でフリーアドレスを導入した。
また、常に新しい事に挑戦し、働きがいのある企業風土を作りあげる事で企業価値を高めていく。この一環として、メンター制度やフリーエージェント制度を導入している他、従業員満足度調査を定期的に実施している。

 

2.2020年6月期第1四半期決算概要

2-1 第1四半期(7-9月)非連結業績

 

19/6期 1Q(7-9月)

構成比

20/6期 1Q(7-9月)

構成比

前年同期比

売上高

2,337

100.0%

2,417

100.0%

+3.4%

売上総利益

525

22.5%

621

25.7%

+18.3%

販管費

454

19.4%

480

19.9%

+5.6%

営業利益

70

3.0%

141

5.8%

+100.1%

経常利益

78

3.3%

140

5.8%

+79.3%

親会社株主帰属利益

48

2.1%

91

3.8%

+89.6%

*単位:百万円

 

前年同期比3.4%の増収、同100.1%の営業増益
売上高は前年同期比3.4%増の24億17百万円。競争激化で他社製品が苦戦したプロダクトソリューション事業の売上が同11.9%減少したものの、大型開発案件終了の影響を吸収して金融システムソリューション事業の売上が同4.8%増加した。

 

営業利益は同100.1%増の1億41百万円。売上の増加とソフトウェア開発が順調に進んだ事による売上総利益率の改善(25.7%と3.2ポイント改善)で、人件費(23百万円増)や採用教育費(5百万円増)を中心にした販管費の増加を吸収した。経常利益は同79.3%の増加にとどまったのは、受取保険金や助成金収入がなくなり営業外収益が減少したため。

 

セグメント別売上・利益

 

19/6期 1Q

構成比・利益率

20/6期 1Q

構成比・利益率

前年同期比

金融システムソリューション

2,140

91.6%

2,243

92.8%

+4.8%

プロダクトソリューション

197

8.4%

173

7.2%

-11.9%

連結売上高

2,337

100.0%

2,417

100.0%

+3.4%

金融システムソリューション

104

4.9%

207

9.3%

+98.2%

プロダクトソリューション

-34

-

-66

-

-

連結営業利益

70

3.0%

141

5.8%

+100.1%

*単位:百万円

 

 

2-2 セグメント別動向

金融システムソリューション事業

 

19/6期 1Q

(7-9月)

構成比

20/6期 1Q

(7-9月)

構成比

増減

自社製パッケージ・クラウド

229

11%

276

12%

+47

ソフトウェア開発(うち大型開発案件)

1,311(311)

61%

1,251(0)

56%

-60

ハードウェア等

600

28%

716

32%

+116

売上高

2,140

100%

2,243

100%

+103

営業利益

104

5%

207

9%

+103

*単位:百万円

 

売上の上位3社は、親会社大日本印刷(以下、DNP)、大手システム開発会社、大手カード会社。DNP向けはスマートフォン決済や決済プラットフォーム等で6億03百万円と1億86百万円増加。大手システム開発会社向けは、カード会社の更改に伴うもので、「NET+1」を中心としたネットワーク接続やハードウェアで4億51百万円と4億12百万円増加。カード会社向けは、QRコード決済や消費増税対応等のフロントシステムで1億20百万円と27百万円増加した。この他、請負開発案件が豊富だった事に加え、クラウドサービスも順調に増加し(1億26百万円→1億78百万円)、大型案件終了の影響(3億11百万円)を吸収した。
利益面では、前年同期は前の期からの不採算案件への最終対応で利益水準が低かった事やクラウドサービスの損益改善で前年同期比倍増した。

 

プロダクトソリューション事業

 

19/6期 1Q(7-9月)

構成比

20/6期 1Q(7-9月)

構成比

増減

自社製品 CWAT

81

41%

72

42%

-9

他社製品 Traps等

116

59%

101

58%

-15

売上高

197

100%

173

100%

-24

営業利益

-34

-

-66

-

-32

*単位:百万円

 

情報漏洩対策システム「CWAT」は前年同期に大手インフラ企業にPC数十万台分のライセンスを販売した影響で減収となったが、この影響を除くと堅調な推移。他社製品はPCの外部からのマルウエアの攻撃を止める「Traps」が減少したが、想定の範囲内。他社製品も含めて、ある程度行き渡った事が要因とみられ、第1四半期は今後の展開を見据えて様々な手を打った。第2四半期以降、その成果が期待できると言う。

 

2-3 受注動向

 

 

受注高は24億02百万円と前年同期(29億56百万円)比18.7%(5億54百万円)減少したが、これは前年同期にクラウドサービスの受注があったため。クラウドサービスは通常複数年の契約のため、受注時に複数年分の受注が乗っている。クラウドサービス以外の業務については順調に推移している。

 

 

受注残高は53億19百万円と前年同期末(50億53百万円)比5.3%(2億66百万円)増加した。前年同期の残高には大型の開発案件の一部が受注残に含まれていたが、この影響を吸収しての増加。基調は変わらず順調であり、上期の業績予想に対しては十分な残高が確保できていると言う。

 

2-4 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

19年6月

19年9月

 

19年6月

19年9月

現預金

3,254

2,751

仕入債務

332

489

売上債権

1,455

1,360

未払法人税等

359

44

たな卸資産

640

760

賞与・役員賞与引当金

318

389

流動資産

6,054

5,596

前受金

1,428

1,455

有形固定資産

540

567

退職関連引当金

475

486

無形固定資産

1,341

1,393

負債

3,659

3,396

投資その他

2,095

2,151

純資産

6,372

6,313

固定資産

3,977

4,113

負債・純資産合計

10,032

9,710

*単位:百万円

 

第1四半期末の総資産は前期末との比較で3億21百万円減の97億10百万円。季節要因として、現預金、未払法人税等、純資産が減少した。一方、クラウドサービスの拡大で、無形固定資産や前受金が増加した。自己資本比率65.0%(前期末63.5%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)
営業CFは、税引前利益1億40百万円、減価償却費1億45百万円、売上債権の減少1億22百万円、仕入債務の増加1億10百万円、たな卸資産の増加△1億19百万円、法人税等の支払△3億26百万円等で1百万円のマイナスとなった。
投資CFは、無形固定資産の取得△1億49百万円や有形固定資産の取得△1億15百万円等により、財務CFは、配当金の支払い△2億21百万円等による。

 

3.2020年6月期業績予想

3-1 非連結上期業績

 

19/6-1Q

2Q

上期

20/6-1Q

2Q 差分

上期

前年同期比

売上高

2,337

2,702

5,039

2,417

2,583

5,000

-0.8%

営業利益

70

199

269

141

199

340

+26.4%

経常利益

78

203

281

140

220

360

+27.8%

四半期純利益

48

156

204

91

159

250

+22.1%

営業利益率

3.0%

7.4%

5.3%

5.8%

7.7%

6.8%

-

*単位:百万円

 

上期予想に変更はなく、売上高24億17百万円(前年同期比0.8%減)、営業利益3億60百万円(同26.4%増)
「上半期は順調に推移している」として業績予想に変更はなかった。金融システムソリューション事業は売上高45億、営業利益4億30百万円を予想しており、売上に上振れ余地がある。プロダクトソリューション事業は売上高5億円、営業損失90百万円を見込んでいる。当セグメントの第1四半期は減収となり、営業損失が増加したが、「Traps」以外の製品群の製品群の商談が進んでいる。11月上旬時点で複数の契約が決まっており、今期末にかけて契約の積み上げを図る考え。

 

3-2 非連結通期業績予想

 

19/6期 実績

構成比

20/6期 予想

構成比

前期比

売上高

10,443

100.0%

10,600

100.0%

+1.5%

営業利益

921

8.8%

1,000

9.4%

+8.5%

経常利益

953

9.1%

1,040

9.8%

+9.1%

当期純利益

683

6.5%

720

6.8%

+5.3%

*単位:百万円

 

通期予想は前期比1.5%の増収、同8.5%の営業増益
売上面では、前々期、前期に続く、100億円超を目指しており、利益面では、営業利益率10%の達成に向け収益性の改善に取り組む。
売上高は前期比1.5%増の106億円。大型案件終了の影響を受ける上、ハードウェア販売も減少する見込みだが、ソフトウェア開発とクラウドサービスの売上増で吸収する。金融システムソリューション事業における順調な開発とクラウドサービスの損益改善、プロダクトソリューション事業におけるトータルセキュリティソリューションの展開による新製品効果で営業利益率が9.4%と0.6ポイント改善する見込み。

 

セグメント売上高・利益

 

19/6期 実績

構成比

20/6期 予想

構成比

前期比

金融システムソリューション

9,336

89.4%

9,400

88.7%

+0.7%

プロダクトソリューション

1,106

10.6%

1,200

11.3%

+8.5%

売上高合計

10,443

100.0%

10,600

100.0%

+1.5%

金融システムソリューション

890

9.5%

960

10.2%

+7.9%

プロダクトソリューション

31

2.8%

40

3.3%

+29.0%

営業利益合計

921

8.8%

1,000

9.4%

+8.6%

*単位:百万円

 

4.中期事業計画(20/6期~22/6期)と進捗状況

4-1 数値計画

 

19/6期 実績

20/6期 予想

21/6期 計画

22/6期 計画

平均成長率

売上高

10,443

10,600

11,200

12,000

4.7%

金融システムソリューション

9,336

9,400

9,900

10,600

4.3%

プロダクトソリューション

1,106

1,200

1,300

1,400

8.2%

営業利益(営業利益率)

921(8.8%)

1,000(9.4%)

1,080(9.6%)

1,200(10.0%)

9.2%

*単位:百万円

 

22/6期に売上高120億円、営業利益12億円(営業利益率10.0%)を目指している。3年間の平均成長率は、売上高が4.7%、営業利益が9.2%。金融システムソリューション事業は、クラウド、新規の開発案件及びハードウェアの入替えによるFEP(Front End Processing)システム更改、スマートフォン決済、不正検知システム、DR(Disaster Recovery:災害復旧)対策等の既存領域の拡大に加え、次世代NET+1や次世代不正検知と言った新製品の寄与が見込まれる。プロダクトソリューション事業は、ソリューションマップに基づいたサイバーセキュリティソリューションを展開していく。

 

4-2 セグメント別進捗状況

金融システムソリューション事業

 

 

クラウドサービス
クラウドサービスでは、IOASIS(カード加盟店契約業務システム)、IFINDS(不正検知システム)、IGATES(ネットワーク接続のスイッチングシステム)を提供し課金収入を得ている。
IOASISは、第2四半期(10月)に5社目のユーザーが稼働した。ユーザーはカード事業を開始する大手地銀であり、周辺のグループ地銀も関心を持っている。このため、期末にかけて、6社目、7社目の契約が期待できると言う。IFINDSは3社目が安定的に稼働し、IGATESは3社目の商談が最終段階にある。このため、今期は8億円の売上を見込んでいるが、10億円近くまで上振れする可能性がある。

 

クラウドサービスの売上実績と計画

 

18/6期

実績

19/6期

実績

20/6期

予想

21/6期

計画

22/6期

計画

クラウドサービス売上高(百万円)

386

637

800

1,100

1,400

 

クラウドサービスの20/6期計画

 

17/6期

18/6期

19/6期

20/6期 計画

 

通期

通期

通期

1Q

(実績)

2Q

3Q

4Q

通期

売上高

179

386

637

180(178)

205

205

210

800

売上総利益

-166

-296

-105

-15(-8)

-4

-4

-2

-25

 

導入社数

IGATES

2

2

2

2

2

2

 

IFINDS

3

3

3

3

3

3

 

IOASIS

4

4

5

5

5

5

 

新製品

次世代NET+1

・多様なネットワーク接続を実現することで、新規参入企業の需要を取り込む

・受注に向けて営業活動中

FARIS(次世代不正検知)

・AI活用により処理能力と検知精度を向上させることで、拡大するEC決済に対応する

・カード会社2社と実証実験進行中

・カード会社4社に実証実験を提案中

 

「次世代NET+1」、「FARIS(次世代不正検知)」の開発を進めている。
リリースから30年以上が経過する従来の「NET+1」は、ストラタスというホストコンピュータに近い大型のハードウェアが必要だが、次世代NET+1はLinux OS上で動くオープン系のシステム。このため、従来の「NET+1」よりも、軽く、接続作業も短期間かつローコスト。従来のカード会社や銀行ではなく、キャッシュレスビジネスに新規参入する企業をターゲットにしており、現在、非金融業の複数企業と商談が進んでいる。例えば、従来、カード会社との提携カードを発行していたが、自社ブランドのカードに切り替える通信事業や流通事業の企業。キャッシュレスビジネスの展開による既存事業の活性化を念頭に、自社でカードを発行して、会員を募り、加盟店を開拓する。年内にテストが完了し、来年早々にリリースできる見通しだ。

 

一方、「FARIS(次世代不正検知)」は、インターネットでの買い物等、非対面取引専用の不正検知システム。近年、非対面取引での不正が増えているが、従来の不正検知システム「ACEPlus」は対面取引でのカード利用を想定した製品だったため、非対面取引では機能的に十分とは言えなかった。「FARIS」は、過去半年~1年間の取引データに含まれている不正取引をAIが深層学習し不正検知に活かすもので、AIが不正の可能性が高い取引を検知し、カード会社に通知する。
現在、クレジットカード会社を中心にPoC(実証実験)が行われており、近く、4社目が実証実験に入る。この他、待機しているカード会社が5社程度あると言う。1社目は契約がほぼ完了し、2社目は来月の契約を予定している。年明け以降も、複数社との契約成立が見込まれている。

 

プロダクトソリューション事業

 

19/6期 実績

構成比

20/6期 予想(1Q実績)

構成比

増減

自社製品 CWAT

488

44%

430(72)

36%

-58

他社製品

617

56%

770(101)

64%

+153

売上高

1,106

100%

1,200(173)

100%

+94

営業利益

31

3%

40(-66

3%

+9

*単位:百万円

 

販促が実り、イスラエルillusive networks社製の高度標的型攻撃対策ソリューション「Deceptions Everywhere」、米ayehu(アエフ)社製のIT運用自動化ソリューション(セキュリティインシデント対応業務の効率化実現ツール)「Ayehu NG」、イスラエルのSecBI社製APT攻撃予兆自動検出ソリューション「SecBI」といった他社製品に対するユーザーの関心が高まり、成約が出始めてきた。

 

 

放送業界向け新製品「EoM」

 

 

(同社資料より)

 

放送業界向けの新製品「EoM」をリリースした。「EoM」は、同社の強みであるネットワークゲートウェイ技術を活かした放送業界向けのIPフローモニタリングソリューション。国内でなく、海外展開も視野に入れている。4K・8Kの大容量映像データを高速かつ正確に送信するハードウェアであり、放送の品質維持・向上に必要な放送信号の監視システムである。放送システムのIP化に対応するべく、放送事業者と共同開発し、共同特許も出願した。高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)の技術が活かされており、国内に競合する製品はない。

 

4K・8K放送の映像・音声のデータは大容量のため現在のアナログ回線では対応できず、インターネットプロトコル化(IP化:デジタルデータに変換)する必要がある。現在、日本では、東京オリンピックに向けてNHKを中心にIP化が進められており、IP化が「EoM」の起爆剤になる。既に国内で放送業界向けの様々な展示会に出展しており、業界で高い関心を集めている。海外では、9月にオランダ・アムステルダムの放送業界向け展示会に出展し、10月には米国の放送業界向けの展示会「NAB Show」(ニューヨーク)に出展した。欧州では、フィンランドの国営放送から引き合いを受け、PoCの実施で合意した。米国では、放送事業者に加え、アイスホッケーリーグ「NHL」が興味を示した。米国ではスポーツの有力リーグが自らコンテンツを制作すると言う。このため、パートナーを通じて、メジャーリーグ、バスケットボール、アメリカンフットボールのリーグへのマーケティングを始めている。

 

4-3 譲渡制限付株式報酬として自己株式を処分

インセンティブとして、従業員に株式を割り当てる。この一環として、自己株式16万7,200株を取得しており、これを全従業員に均等に配布する。12月に実施する予定で、2017年に続き2回目。「事業計画の対象期間である3年間は譲渡できない」という譲渡制限が付されており、この3年間での中期事業計画を達成し、企業価値の向上と資産価値の向上に全社員で取り組む。

 

5.今後の注目点

20/6期は順調なスタートを切った。数値面だけでなく、クラウドサービスの伸長、NET+1や不正検知の次世代製品開発、セキュリティソリューションの新展開、更には放送事業者向け製品のリリース等、各取り組みが着実に進んだ。

 

従来、同社のセキュリティソリューションはエンドポイント(オフィス内のPC)にフォーカスしてきたが、オフィス環境の変化を見越してクラウド環境でのセキュリティ製品群の育成に取り組んできた。オフィス環境の変化とは、働き方改革の一環としてのテレワークの広がりも含めたオフィスでのオペレーションのクラウド化である。これに合わせて、外部からの攻撃対象が端末だけでなく、サーバーにも広がりつつある。同社は、こうした動きを先取りし、クラウド環境下におけるセキュリティソリューションの構築に取り組んできた。この第1四半期は、その成果が出なかったが、足元では新たな製品群の成約が出始めている。内部情報漏えい対策については、オフィス環境の変化に関わらず端末にも必要なため、CWATの引き合いは足元も活発。第2四半期は第1四半期よりも契約件数が増える見込みだ。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

10名、うち社外2名

監査役

5名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年09月27日)
基本的な考え方
当社は、「次代の情報化社会の安全性と利便性を創出する」ことを経営理念として掲げています。これまで培ってきた技術力を進化させ、安全でストレスなく情報を取得できる仕組みを築きあげることで、お客様を通じて社会全体から信頼される会社を目指します。また、当社は、常に新しいことに挑戦し、働きがいのある企業風土を作りあげることで、当社の企業価値を高めていきます。併せて社会的責任(CSR)を果たし、株主や顧客、社員、生活者等様々なステークホルダーから信頼されることが、企業価値の向上に不可欠であると認識しており、内部統制システムを含めたコーポレート・ガバナンスの充実を、重要な経営課題として取組んでいます。的確な経営の意思決定、それに基づく適正かつ迅速な業務執行、並びにそれらの監督、監査を可能とする体制を構築、運用するとともに、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めるために研修、教育を徹底し、総合的にコーポレート・ガバナンスの充実が図れるように努めています。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-10① 独立した諮問委員会の設置】
当社の社外取締役は取締役会の過半数に達していませんが、取締役の指名及び報酬決議、その他取締役会決議事項については、毎回の取締役会において、独立社外取締役2名により公平、客観的な観点から質疑、助言が行われており、十分な検討と議論を経て決議されています。また、当社では監査役会設置会社として監査役5名、うち独立社外監査役を3名選任しており、全監査役が取締役会に出席して審議の状況を監視、監督しています。当社の組織規模及び取締役会の運営状況から鑑み、現在の取締役会の体制において十分にそのガバナンス機能が発揮されているため、独立した諮問委員会の設置までは不要と判断しています。

 

【原則5-2 経営戦略や経営計画の策定・公表】
当社は、これまで、経営戦略や経営計画の公表に際しては、具体的な施策を開示する等によってわかりやすい説明を行っています。今後におきましても、当社では、把握している当社の資本コストを今後当社が行う事業計画及び収益計画の立案に活用するほか、その説明に際しては、定量的な評価と理解の一助として、こうした指標を用いるよう努めます。

 

<開示している主な原則>
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
方針 : 当社は、株主、投資家のみなさまをはじめ、すべてのステークホルダーに対して、当社の経営方針、事業戦略や財務情報に関する情報を、(1)正確であること(2)公平であること(3)タイムリーであること(4)わかり易いことを原則として、情報発信を行っています。
(体制)
(1)当社は、IR業務を兼務する担当者を設置しています。IR活動を行うにあたっては、代表取締役社長も積極的に対話に臨み、建設的な対話を促進しています。
(具体例)
・個人投資家向けの説明会を定期的に開催(東京、大阪ほか地方都市で開催される個人投資家向け会社説明会への参加)
・機関投資家向けの説明会を定期的に開催(四半期決算及び期末決算発表後の説明会の開催)
・機関投資家との個別面談を随時に実施
・情報開示の充実(事業報告書の発行、コーポレートサイトを通じた情報開示)
・四半期短信、決算短信のサマリー、決算説明資料を英文により開示(海外投資家等の比率の増加に応じて情報開示は継続強化予定)
(2)株主等との対話の内容については、必要に応じ、IR担当者から代表取締役社長に報告することとしています。
(3)当社は、IRポリシーに則り適切な情報開示に努めるとともに、「インサイダー取引防止規程」に従い、インサイダー情報の管理、徹底を図り、漏洩防止に努めています。

 

 

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