ブリッジレポート:(4583) カイオム・バイオサイエンス 2019年12月期第2四半期決算
小林 茂 社長 | 株式会社カイオム・バイオサイエンス(4583) |
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企業情報
市場 | 東証マザーズ |
業種 | 医薬品(製造業) |
代表取締役社長 | 小林 茂 |
所在地 | 東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館 |
決算月 | 12月末 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
193円 | 32,784,500株 | 6,327百万円 | -42.7% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
0.00 | - | - | - | 98.89円 | 2.0倍 |
*株価は 9/4終値。発行済株式数は19年12月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは18年12月期決算短信より。創薬事業における合理的な業績予想の算定が困難なため、19年12月期の業績予想は創薬支援事業の売上高320百万円のみ開示している。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2015年12月(実) | 280 | -1,269 | -1,253 | -1,282 | -58.29 | 0.00 |
2016年12月(実) | 252 | -1,042 | -1,047 | -1,491 | -65.91 | 0.00 |
2017年12月(実) | 259 | -887 | -883 | -882 | -33.48 | 0.00 |
2018年12月(実) | 212 | -1,539 | -1,533 | -1,533 | -57.26 | 0.00 |
2019年12月(予) | - | - | - | - | - | 0.00 |
*単位:百万円、円。創薬事業における合理的な業績予想の算定が困難なため、19年12月期の業績予想について会社側は創薬支援事業の売上高320百万円のみ開示している。
株式会社カイオム・バイオサイエンスの2019年12月期第2四半期決算概要、事業の進捗などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2019年12月期第2四半期決算概要
3.2019年12月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 独自技術であるADLib®システム等の複数の抗体作製技術を駆使して最適な抗体を取得し、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体医薬品の開発候補品創出に取り組むバイオベンチャー。
- 事業内容は、同社が保有する複数の抗体作製技術(技術ポートフォリオ)を用いて治療薬や診断薬等の抗体医薬品候補を開発する「創薬事業」および、抗体作製技術等を用いて製薬企業や診断薬企業、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援する「創薬支援事業」の2つ。創薬事業においてはパイプラインの拡充と早期の導出、創薬支援事業においては新規顧客の開拓に注力している。
- 2019年12月期第2四半期の売上高は前年同期比48百万円増の1億40百万円。創薬事業においてBMAA(抗セマフォリン3A抗体)に関し2年目のオプション料を計上したほか、創薬支援事業においては既存および新規顧客の取引が拡大し、前年同期比51.0%増収の1億39百万円となった。営業損失は同1億42百万円拡大の7億49百万円。研究開発費は2億円増の6億36百万円。CBA-1205に関連する臨床開発に向けた準備費用を中心に増加した。
- 創薬事業における合理的な業績予想の算定が困難なため、2019年12月期の業績予想は創薬支援事業の売上高320百万円のみ開示している。創薬事業においては各パイプラインとも計画通り開発を進める。創薬支援事業においては、既存取引の安定化・拡大をはかるとともに、更に新規顧客を開拓し、公表している売上高320百万円の達成・上積みを図る。
- キャッシュカウの創薬支援事業は5割増収と、既存および新規顧客の取引が順調に拡大している。協和キリンとの委受託基本契約締結も同事業の安定的な収益拡大に寄与することとなろう。一方、創薬事業に関しては、臨床試験申請(開始)が想定通りに行われるのかを見守りたい。
1.会社概要
ミッションに「医療のアンメットニーズ(※)に創薬の光を」を掲げ、独自技術であるADLib®システム等の複数の抗体作製技術を駆使して最適な抗体を取得し、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体医薬品の開発候補品創出に取り組むバイオベンチャー。高い抗体開発候補品創出能力などが強み。
※アンメットニーズ
現状では有効な治療法がなかったり、薬剤による治療満足度が低かったりする治療に対する未充足なニーズ
【1-1 沿革】
年 | 月 | 事 項 |
2005年 | 2月 | 国立研究開発法人理化学研究所(以下、「理研」)および財団法人埼玉県産業振興公社との共同研究により開発された抗体作製技術であるADLib®システム(*)の実用化を目的として、東京都文京区にて株式会社カイオム・バイオサイエンス(資本金10,000千円)を設立 |
4月 | 理研とADLib®システムの実用化を目的として共同研究契約を締結し、研究活動を開始 | |
7月 | 理研よりADLib®システムに関する発明の第三者へのサブライセンス権付き通常実施許諾権を取得 | |
2010年 | 8月 | 国立研究開発法人科学技術振興機構、理研とADLib®システムの産業財産権に係わる特許権等譲渡契約締結 |
2011年 | 12月 | 東京証券取引所マザーズに株式を上場 |
2013年 | 12月 | 株式会社リブテック(以下「リブテック」)の発行済株式を過半数取得することにより子会社化 |
2015年 | 7月 | リブテックを吸収合併 |
10月 | 株式会社イーベックへの資本参画 | |
2017年
| 2月 | 株式会社Trans Chromosomics(以下「TC社」)への出資 |
9月 | ADC Therapeutics社(本社、イパリンジェス、スイス)とがん治療用抗体LIV-1205のAntibody Drug Conjugate(*)開発用途における開発、製造および販売に関するライセンス契約締結 |
【1-2 経営理念など】
Mission | 医療のアンメットニーズに創薬の光を |
Vsion | アンメットニーズに対する抗体医薬の開発候補品を生み出すNo.1ベンチャー企業を目指す |
経営方針 | ●健全な経営と信頼性の確保を第一に、社会とともに成長する企業を目指す。 ●創造と科学をもってアンメットニーズに対する治療薬を開発して、患者さんと社会へ貢献する。 ●外部連携により継続的なパイプライン創出と企業価値向上を実現する。 |
【1-3 市場環境】
◎抗原抗体反応と抗体医薬品
同社の事業内容を理解するうえで知っておく必要のあるキーワードが「抗原抗体反応」、「抗体医薬品」などである。
ヒトには、体内に侵入した細菌やウイルス等のタンパク質を異物(抗原)として認識し、その異物を攻撃、排除するために、体内で抗体を作って身体を守る防御システムが備わっており、これを「抗原抗体反応」と呼ぶ。
(同社有価証券報告書より)
こうして産生された抗体は、特定の抗原にのみ結合する性質を持っており、正常な細胞とがん細胞を見分けたり、病気の原因となるタンパク質の機能を抑えたりすることができる。
この抗体の特徴を医薬品に活用したものが「抗体医薬品」である。
従来の抗がん剤等の中には、正常な細胞にも作用して副作用を引き起こすものも多く、副作用を抑制するために本来の目的であるがん治療を進めることができないといったケースも見られるが、抗体医薬品は、疾患に関連する細胞に特異的に発現が認められる抗原をピンポイントで狙い打ちするため、高い治療効果と安全性が見込まれ、近年市場が拡大している医薬品である。
(抗体医薬品が使われている主な疾患)
分類 | 病気 |
がん | 大腸がん、乳がん、非小細胞肺がん、メラノーマ、腎がん、前立腺がん、胃がん、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫等 |
アレルギー・免疫 | 関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、喘息、腎臓移植後の急性拒絶(正)反応 |
その他 | 黄斑変性症、骨粗鬆症、感染症 |
◎成長が続くバイオ医薬品市場
バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術等のバイオテクノロジーにより創出された医薬品であり、1980年代から実用化が始まった。その後、抗体作製技術等の技術革新により、分子量が大きく、構造が複雑な抗体医薬品の創出が可能となり、新たな治療手段として、前記のような有用性の高さが臨床的に示されている。
同社有価証券報告書における記述(出典:Evaluate Pharma®の「Evaluate World Preview 2017,Outlook to 2022」)によれば、2016年には約2,020億ドルまで拡大してきたバイオ医薬品の売上高は、2020年には約3,200億ドルに達し(年平均成長率約12%)、医薬品の総売上高に占める割合はほぼ30%に達すると予測されている。
また、売上高上位100位以内の医薬品に占めるバイオ医薬品構成比は2016年 に40%を超えており、2020年には52%に達するとも予測されている。
(世界の医薬品売上高とバイオ医薬品の占有率)
(同社有価証券報告書より)
こうした中、バイオ医薬品の牽引役である抗体医薬品においては、2017年に日本において新たに5品目が承認された。特に、オプジーボ(※)に代表される抗体の特徴を活かして創出された免疫チェックポイント阻害剤(※)と呼ばれる新しい免疫療法が、がん治療の分野で注目されている。
さらに、抗体の創出・改変・修飾などに関する技術は多方面での発展が認められており、抗体に強力な抗がん剤を結合させた抗体薬物複合体が進化したり、がん細胞などに発現する二種類の抗原に結合できるように改変されたバイスペシフィック抗体(※)が創出されたりするなど、抗体を基盤とした創薬の取り組みは一段と活性化が進んでいる。
このように、バイオ医薬品およびその中心的な存在である抗体医薬品は、高い薬効、安全性という有用性により承認が増加していることに加え、開発可能領域も依然大きいと考えられており、アンメットニーズへの対応が期待されるとともに、今後も着実な市場拡大が続くと見られている。
※オプジーボ
一般名はニボルマブ。がん細胞が免疫システムを無効化する仕組みを阻止する働きを持つ免疫チェックポイント阻害剤の一つ。日本では、2014年7月に切除術による根治が期待できない悪性黒色腫の治療薬として承認され、同年9月から小野薬品工業が販売を開始した。その後、15年12月に非小細胞肺がん、16年9月に腎細胞がんにも適応が拡大された。
※免疫チェックポイント阻害剤
免疫療法の一種。これまでの免疫療法は免疫細胞の攻撃力を高める「アクセルを踏む働き」が中心であったのに対し、がん細胞によって免疫細胞にかけられたブレーキ(免疫チェックポイント)を外すことにより、免疫細胞の本来の力を発揮させ、がん細胞を攻撃できるように作用するもの。従来の治療法では効果が十分に見られなかった患者にも治療効果を上げることに成功している。
※バイスペシフィック抗体
通常、抗体は抗原を認識する部位を2つ持っており、それらは同じ抗原を認識する。それに対し、バイスペシフィック抗体は2つの抗原認識部位がそれぞれ別のターゲット(抗原)を認識する。
【1-4 事業内容】
◎ビジネスモデル
独自の抗体作製技術ADLib®システムや複数の抗体作製技術を用いて治療薬や診断薬等の抗体医薬品候補を開発し、これを導出する「創薬事業」および、抗体作製技術を用いて製薬企業や診断薬企業、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援する「創薬支援事業」を展開している。
◎抗体作製技術について
抗体医薬品を創り出すために不可欠な抗体作製技術には様々な種類が存在する。
同社は創業の基盤となった独自技術ADLib®システムのほか、ハイブリドーマ法、マウスやニワトリを用いたB Cell Cloning、17年2月に資本参加した株式会社Trans Chromosomicsのヒト抗体産生マウス・ラットを利用した作製法など、複数の抗体作製技術を保有している。
ADLib®システムは、「従来の免疫法では困難な抗原に対する抗体取得が可能」、「迅速な抗体取得」を始めとして下記のようなアドバンテージを有する技術ではあるが、これのみを利用するのではなく、それぞれの技術の特性を活かして統合的に運用することにより抗体作製力の強化を進めている。
<抗体作製技術とその特徴>
抗体作製技術 | 特性 |
ADLib®システム | ●動物免疫が不要なので、抗体取得にかかる時間が短縮できる。 ●抗体ライブラリの多様性を自律的に高めることができる。 ●動物免疫と異なり、自己抗原への免疫寛容の影響を受けないため、理論的には あらゆる配列のタンパク質を認識する抗体が取得できる可能性がある。 ●ヒトADLib®システムを用いた場合、ヒト化の工程を経ずにヒト抗体を取得することができる。 |
ハイブリドーマ法 | ●動物免疫による抗体作製法で、最もよく用いられる。 ●手法が確立されており、医薬品化された実績も多い。 ●ヒト抗体産生動物を用いた場合、ヒト化の工程を経ずにヒト抗体を取得することができる |
B Cell Cloning | ●動物免疫を行った後、ハイブリドーマを作製せずに抗体の配列を決定するため、 ハイブリドーマ法より短期間で目的の抗体を得ることができる。 ●抗原特異的なB細胞の検出率がハイブリドーマ法よりも高く、取りこぼしが少ない。 ●ヒト抗体産生動物を用いた場合、ヒト化の工経ずにヒト抗体を取得することができる。 |
(1)創薬事業
◎ビジネスモデル
抗体医薬品の基礎・探索研究、前臨床段階を主な事業領域として、様々な抗体作製技術を駆使して、アンメットニーズの高い疾患領域における抗体創薬開発を行い、前臨床開発または初期臨床開発段階で開発した医薬候補品を製薬企業等に導出。契約一時金、マイルストーン収入、およびロイヤルティ収入等を獲得する。
抗原や研究用抗体の取得についてはアカデミア(大学・研究機関)に対する積極的なアプローチにより連携を強化、有望なシーズについての事業化権を獲得する。
(同社資料より)
◎開発の基本戦略・方針
特にがん領域においては自社で開発候補抗体(ヒト化抗体、ヒト抗体)の非臨床データパッケージまで作製できる研究体制を構築し、前臨床段階での導出を基本戦略としているが、初期臨床試験まで自社で対応できる開発体制の構築も進めている。
これは、同社が導出したいタイミングで必ずしも適切な導出先が見つかるかは明確ではないこと、ある程度開発を進めて付加価値を付けた後に導出したほうが事業として明らかに良好な場合もあることを想定しているためである。
また、今後の展開については、開発遅延・中止リスクを鑑み、継続的に10程度の探索ステージのプロジェクトを運営し、創薬成功確率を高めることを方針として掲げている。
◎パイプラインおよび開発状況
(同社資料より)
(導出品)
| ADCT-701(ヒト化抗DLK-1モノクローナル抗体の薬物複合体) |
概要 | がん細胞の細胞表面で発現しているタンパク質「DLK-1」をターゲットとするヒト化モノクローナル抗体のADC抗体(※)。 2017年9 月にスイスのADC Therapeutics 社へ導出。ADC抗体開発用途限定してカイオム・バイオサイエンスがADC社に対して全世界における独占的なサブライセンス権付の開発、製造および販売権を許諾している。 |
想定適応疾患 | 肝臓がん、小細胞肺がん、神経芽細胞腫など、多くの固形がんを標的としている。 |
開発の進捗 | ADCT社において臨床開発に向けた前臨床試験の最終段階(GLP試験)および治験薬製造が順調に進捗し、2020年第1四半期にも治験申請(IND)の予定。 |
(自社パイプライン)
| CBA-1205(ADCC活性増強型ヒト化抗DLK-1モノクローナル抗体) |
概要 | 「DLK-1」をターゲットとするファースト・イン・クラスのヒト化モノクローナル抗体。DLK-1は幹細胞や前駆細胞のような未熟な細胞の増殖・分化を制御し、これまでに肝臓がんをはじめとする複数のがん細胞表面においても発現し、その増殖に関与していることが明らかとなった新しいがん治療の標的になる可能性がある分子。 |
想定適応疾患 | 難治性の癌腫である肝細胞がん、肺がん等 |
知財 | 日本・米国・欧州・中国他で特許成立 |
開発の進捗 | 臨床開発に向けてADCC活性を高めた抗体産生細胞株のMaster Cell Bank(MCB)の構築が完了した。動物モデルでは既存薬との優れた併用効果も観察されている。 2018年9月に臨床開発部を発足し、現在、臨床開発契約の検討およびCRO選定を行っている。 CMC開発が順調に進捗すており、原薬製造完了した。 治験申請に必要な毒性試験等非臨床開発は2019年末頃完了の予定で、2020年以降、国内において臨床試験第1相試験開始する予定である。 |
| CBA-1535(ヒト化抗5T4・抗CD3二重特性抗体) |
概要 | 2018年12月、資産譲渡契約によりカイオム・バイオサイエンスが英国Biotecnol Limited社よりがん治療用抗体(T cell Engager抗体:Tb535H)と抗体改変技術を2百万ポンドで取得。カイオム・バイオサイエンスは開発コード「CBA-1535」としてTribody™技術(※)を用いた世界初の初期臨床開発を進めることとなった。 Tb535HはBiotecnol Limited社が独自の多重特異性抗体Tribody™技術を活用し創製した前臨床段階のがん治療用候補抗体。 |
想定適応疾患 | 悪性中皮腫等。 「悪性胸膜中皮腫」は、肺の外側や胸膜から発生する悪性腫瘍でありその多くがアスベスト(石綿)吸引によると考えられる。アスベストは高度成長期の建築物に断熱材として使用されビルの建て替えに伴う解体工事により飛散する。全ステージの平均5年生存率は10%強といわれ、現在先進国で患者数がピークをむかえ、開発途上国でも今後の増加が見込まれる。順天堂大の樋野教授によれば日本人の中皮腫患者数はピーク時(2025年)10万人に上るという。 |
知財 | 日本・米国・欧州などで特許出願中。 |
開発の進捗 | 原薬・治験薬製造を委託するCMOおよび、臨床試験実施のためのCROの選定作業中である。 2021年後半以降の治験申請を見込んでいる。 |
| LIV-2008/2008b(ヒト化抗TROP-2モノクローナル抗体) |
概要 | 種々の固形がんの細胞表面に発現する「TROP-2」に結合するヒト化モノクローナル抗体。がん細胞の増殖活性を阻害することが動物モデルを用いた試験により確認されている。 「TROP-2」は、正常組織に比べ、乳がん、大腸がんのほか、膵がん、前立腺がん、肺がん等の複数の固形がんにおいて発現が増大しており、がんの悪性度に関連していることが複数報告されている分子。naked抗体に加えてADC(抗体薬物複合体)等の強い薬効を期待した開発を狙う。 |
想定適応疾患 | 乳がん(TNBC)、大腸がん、膵がん、前立腺がん等 |
知財 | 日本・米国・欧州・中国他で特許成立。 |
開発の進捗 | 自社開発よりも他社技術を使用したほうが事業化に適していると判断し、ライセンス活動に集中することとした。これまでに取得したIn vivo試験のデータで構築されるデータパッケージを用い、海外の製薬企業を中心に導出活動中で、複数社が評価中である。 |
| BMAA(ヒト化抗セマフォリン3Aモノクローナル抗体) |
概要 | 神経軸索の伸長を抑制するセマフォリン3Aに結合するヒト化モノクローナル抗体。 公立大学法人横浜市立大学、五嶋研究室との共同研究において、ADLib®システムにより取得した。 2018年3月、カナダのSemaThera社と糖尿病黄斑浮腫および非眼科領域を含む糖尿病合併症等に関する治療薬および診断薬開発のために本抗体に関するカイオム・バイオサイエンスの特許の全世界における独占的実施許諾のオプション権を付与した。 |
想定適応疾患 | 糖尿病黄斑浮腫 糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症のひとつで、日本では成人の失明原因の第一位。血糖値の高い状態が続くことで、網膜の血管が傷ついたり詰まったりして起きる病気で、自覚症状がないまま進行する。 また、糖尿病黄斑浮腫は、網膜の血管にこぶができるなどして血管から血液中の成分が漏れ出し網膜内に溜まっている状態。黄斑浮腫は、網膜症の病期に関係なく発症しその進展に伴って著しい視力障害が生じる。 |
期待 | 糖尿病黄斑浮腫に対して唯一使われている抗血管新生薬(抗VEGF薬:アイリーア、ルセンティス)よりも早い段階で糖尿病黄斑浮腫の発症を抑える薬剤である。 |
知財 | 日本・米国・欧州で特許成立。 |
開発の進捗 | SemaThera社におけるオプション契約(2018年3月)に基づく評価が2年目に入った。 2019年12月期第2四半期(4‐6月)にオプション料を計上した。 |
| 創薬研究プロジェクト |
概要 | パイプライン拡充のために国内研究機関と連携をしながら、アンメットニーズが存在する疾患領域での共同研究を実施しており、有望なものをプロジェクト化する。 |
進捗 | 18年12月期第4四半期(10-12月)には既存プロジェクトのうち優先的に開発を行う5プロジェクトを選定した。研究活動を加速し、早期ステージアップおよび導出を狙う。 |
この他、Chiome’s mAb Discovery Engine(技術ポートフォリオ)充足および技術改良のための共同研究を実施中である。また、他社技術も取り込み、同社のコアコンピタンスである技術力の強化を図っている。
※ADC抗体
抗体薬物複合体。悪性腫瘍や炎症性疾患等の目的の組織や細胞表面タンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に抗がん剤などの薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させ、細胞内に放出させることでがん細胞等を死滅させることができる。
※Tribody™技術
3つの異なる抗原結合部位を持つ抗体を創製する技術で、複数の抗原に結合することができる多重特異性や腫瘍細胞を攻撃するT細胞誘導活性を有する抗体(multispecific T-cell engager antibody)を創り出すことができる。
(2)創薬支援事業
製薬企業や診断薬企業、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援するため、受託ベースで同社が保有する複数の抗体作製技術を用いた抗体作製や、抗体創薬に関連するサービスを提供し、契約一時金、マイルストーン、ロイヤルティ、受託サービス料等の対価を受け取っている。
(主なサービスの内容)
サービス項目 | 内容 |
タンパク質・抗原調製、抗体の発現精製 | 抗体作製に必要な組換えタンパク質(抗原)や、研究開発用途の抗体などを細胞に発現させ、精製を行う。 種類に応じた発現・精製方法を選び、純度や物性の分析を行う。 |
安定発現細胞株作製 | 安定的に組換えタンパク質(抗原や抗体)を供給できるように、遺伝子組換え技術を用いて、組換えタンパク質を効率よく発現する細胞株を作製する。 |
ADLib®システムやB Cell Cloning による抗体作製 | ADLib®システムやB Cell Cloningといった抗体作製技術を用い、創薬研究に用いるモノクローナル抗体作製を行う。同社の抗体作製の知識・ノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせた抗体作製プランを提案する。 |
中外製薬株式会社および同社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd.の「中外製薬グループ」からの委託研究開発、田辺三菱製薬株式会社およびTanabe Research Laboratories U.S.A., Inc.の「田辺三菱製薬グループ」からの抗体作製プロジェクトなどを手掛けている。
中外製薬グループへの販売実績は2018年12月期で1億37百万円。総売上高の64.5%、創薬支援事業の65.3%を占め依存度が高いため、新規顧客先開拓を課題として取り組んでいる。
2018 年5月には小野薬品工業株式会社との間で委受託基本契約を締結した。この契約により、カイオム・バイオサイエンスは同社の抗体作製技術であるADLib®システムやB cell cloning 法を用いて小野薬品工業が保有する標的に対するモノクローナル抗体の作製業務、および抗体、抗原等の組み換えタンパク質の調製業務などを提供し、小野薬品の研究開発支援を担うこととなった。同年10月には追加の委受託契約を締結した。
また、2018年4月に取引を開始した協和発酵キリン株式会社とも、2019年7月に委受託基本契約を締結した。個別契約での実績によりカイオム・バイオサイエンスの技術・サービスを協和キリンが高く評価。今後も継続的な委託が想定される中、迅速な業務委託を可能とするため包括契約を締結することとなった。
19年12月期は富士レビオ株式会社との取引も開始された。
今後も同社技術の品質の高さを理解し、長期的・安定的な付き合いが可能な新規契約先獲得を目指している。
【1-5 特長と強み】
(1)高い抗体開発候補品創出能力
同社では以下の3点から構成される抗体開発候補品創出能力が成長の源泉であると考えている。
➀複数の抗体作製技術を統合的に運用して創薬事業を展開
前述のように、同社は独自開発したADLib®システムや複数の抗体作製技術を有し、各技術の特性を活かした統合的運用により短期間でのベストクローン(抗体)の選定に取り組んでいる。複数の技術を統合的に運用することにより抗体取得の成功確率を上げることで、新規パイプラインの創出の可能性を高める狙いがある。
➁タンパク質調製や薬理・薬効試験等の創薬基盤技術を活用した創薬支援機能を保有
抗体を作製するには抗体作製技術のみではなく、抗原の準備、動物試験など多くの周辺技術が必要となるが、同社はこれらの技術を総合的に高いレベルで有している。また、抗体医薬品の開発を進める上で必要な動物試験等で薬理・薬効を評価する機能も有しており、特にがん領域においては治療用の候補抗体の取得から動物での薬効評価試験に至るまで、自社でのワンストップでの研究開発機能を有している。
③外部ネットワークを通じたシーズ探索力
同社では創薬ターゲットである抗原を外部の大学や研究機関から獲得しているが、これを可能としているのが多くの博士号保有者が在籍する研究開発体制と専門性の高い人材のネットワークである。
抗体作製に関しては長年にわたり進めてきた中外製薬と共同研究や受託研究を通じて得ることが出来たノウハウや知見は創薬基盤技術および創薬支援機能構築に大きく寄与し、目に見えない資産、競争優位性となっている。同社ではこの抗体作製技術とタンパク質調整等の抗体作製に関わる周辺技術を技術ポートフォリオとして整備し事業展開を行っており、抗体作製という領域では国内の抗体医薬品開発を手掛ける他社と比較しても遜色のない、伍して戦える水準にあると同社は考えている
(2)創薬ビジネスにおいて独自のポジションの確立へ
大手製薬会社などは、がん領域、中枢神経領域など、領域を絞り込んで抗体作製に取り組むのが一般的である。また、国内外のバイオベンチャー等が研究開発を進めてきた開発候補品を外部から導入するケースが増えている。他方では医療用医薬品開発においてはアンメットメディカルニーズが依然として多く存在しており、今後の治療薬の開発が待たれている。
これに対し同社は、アンメットニーズで創薬の可能性のあるターゲットであれば領域を限定せず早期の段階から抗体作製に取り組み、複数の製薬会社を導出候補として医薬品のライセンスビジネスに取り組んでいる。
アンメットニーズに対する新規プロジェクトを継続的に立ち上げ、技術ポートフォリオを統合的に活用し探索プロジェクトの回転を速くすることで、できるだけ多くの開発候補品を創出するという、独自のポジションを確立しようとしている。
また、欧米では創薬のプロセスにおいてシーズを提供するアカデミアと製品化を目指すメガ・ファーマをつなぐ役割としてバイオベンチャーが重要な役割を果たしており、創薬のエコシステム(※)が機能しているが、日本では未成熟である。
同社では、抗体開発候補品創出能力の高さを武器に日本の創薬エコシステムにおいてなくてはならないポジションを確保することで勝機を見出そうとも考えている。
※エコシステム
本来の意味である生態系に端を発し、複数の企業によって構築された、製品やサービスを取り巻く共通の収益環境。この場合、欧米においては創薬に関わる全企業に収益をもたらす環境が構築されていることを意味する。
【1-6 成長戦略】
技術プラットフォームをコアとし、高品質な研究支援機能を提供する「創薬支援事業」の安定した収益の獲得をベースに、「創薬事業」のスケールアップにより企業価値の持続的な成長を目指していく。
(同社資料より)
2.2019年12月期第2四半期決算概要
(1)業績概要
| 18/12期2Q | 構成比 | 19/12期2Q | 構成比 | 前年同期比 |
売上高 | 92 | 100.0% | 140 | 100.0% | +48 |
売上総利益 | 51 | 55.6% | 88 | 62.6% | +36 |
販管費 | 658 | 711.0% | 837 | 595.5% | +178 |
うち、研究開発費 | 435 | 469.7% | 636 | 452.2% | +200 |
営業利益 | -607 | - | -749 | - | -142 |
経常利益 | -603 | - | -758 | - | -155 |
四半期純利益 | -603 | - | -757 | - | -153 |
*単位:百万円
◎セグメント別売上高・利益動向
| 18/12期2Q | 構成比 | 19/12期2Q | 構成比 | 前年同期比 |
創薬事業 | 0 | 0.4% | 1 | 0.9% | +0 |
創薬支援事業 | 92 | 99.6% | 139 | 99.1% | +47 |
連結売上高 | 92 | 100.0% | 140 | 100.0% | +48 |
創薬事業 | -436 | - | -634 | - | -198 |
創薬支援事業 | 53 | 57.5% | 86 | 62.3% | +33 |
調整額 | -223 | - | -201 | - | +22 |
連結営業利益 | -607 | - | -749 | - | -142 |
*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率。
創薬支援事業において既存および新規顧客の取引が拡大し増収。引き続き研究開発を積極的に推進し営業損失は拡大。
売上高は前年同期比48百万円増の1億40百万円。
創薬事業においてBMAA(抗セマフォリン3A抗体)に関しSemaThera Inc.と締結した共同開発ライセンス及び独占的オプション契約に伴う2年目のオプション料を計上したほか、創薬支援事業においては既存および新規顧客の取引が拡大し、前年同期比51.0%増収の1億39百万円。
営業損失は同1億42百万円拡大の7億49百万円。研究開発費は2億円増の6億36百万円。CBA-1205に関連する臨床開発に向けた準備費用を中心に増加した。
(2)財政状態とキャッシュ・フロー
◎主要BS
| 18/12末 | 19/6末 |
| 18/12末 | 19/6末 |
流動資産 | 2,609 | 3,205 | 流動負債 | 113 | 206 |
現預金 | 2,328 | 2,899 | 買掛金 | 31 | 32 |
売掛金 | 42 | 21 | 短期借入金 | - | - |
固定資産 | 221 | 217 | 固定負債 | 41 | 41 |
有形固定資産 | 15 | 13 | 長期借入 | - | - |
無形固定資産 | - | - | 純資産 | 2,676 | 3,174 |
投資その他の資産 | 205 | 203 | 利益剰余金 | -8,250 | -9,007 |
資産合計 | 2,831 | 3,422 | 負債純資産 | 2,831 | 3,422 |
*単位:百万円
新株予約権の行使により現預金、資産合計、資本金、資本準備金が増加。
利益剰余金のマイナス幅は7億円拡大。自己資本比率は前期末から1.5ポイント低下しと92.0%だった。
◎キャッシュ・フロー
| 18/12期2Q | 19/12期2Q | 増減 |
営業CF | -690 | -675 | +15 |
投資CF | - | - | - |
フリーCF | -690 | -675 | +15 |
財務CF | -4 | 1,248 | +1,252 |
現金及び現金同等物 | 3,332 | 2,899 | -433 |
*単位:百万円
新株予約権の行使により財務CFはプラスに転じた。キャッシュポジションは低下した。
(3)2019年12月期の事業進捗状況
①創薬事業
導出に向けた新規契約獲得と新規パイプラインの獲得に注力したほか、臨床開発に向けた準備も着実に進行している。(詳細は【1-4 事業内容】パイプラインおよび開発状況を参照)
*CBA-1205:スケジュール通りに進捗している。
*LIV-2008:自社開発よりも他社技術を使用したほうが事業化に適していると判断し、ライセンス活動に集中することとした。
②創薬支援事業
◎富士レビオ株式会社と「知的財産の実施に関する契約」を締結
2019年6月、富士レビオ株式会社と「知的財産の実施に関する契約」を締結した。
この契約は、2010年9月30日締結の実施権許諾契約に基づいて富士レビオ株式会社がADLib®システムを使用して抗体を取得したことをうけ、新たなADLib®システム由来の特異的抗体を含む診断薬キット製品化の目途が立ったため締結したもの。
ADLib®システムの使用により取得した抗体を含む体外診断用医薬品の製造および販売に係る知的財産の実施に関する契約で、この契約に基づき、カイオム・バイオサイエンスは製品販売後「製品の売上高に応じたロイヤルティ」を受領することとなる。
富士レビオによるADLib由来抗体の製品化は、2013年6月締結の実施許諾契約に基づくビタミンD測定キットに次いで2製品目。ビタミンD測定キットは2014年欧州、2017年日本で販売を開始している。
※富士レビオ株式会社
1950年創業の臨床検査薬会社。感染症および腫瘍領域を中心とした製品を全国の医療機関、検査センターに提供。1970年より臨床検査薬製品の海外輸出を開始し、現在は富士レビオグループとして、北米、南米、欧州各国、アジア各国に拠点を構え、世界100ヶ国以上に検査薬を供給している。
◎協和キリン株式会社と委受託基本契約を締結
2019年7月、協和キリン株式会社と委受託基本契約を締結した。
カイオム・バイオサイエンスは2018年に協和キリン株式会社と個別の業務委託契約を締結して、抗体作製およびタンパク質調製業務を委託してきたが、個別契約での実績によりカイオム・バイオサイエンスの技術・サービスを協和キリンが高く評価。
今後も継続的な委託が想定される中、迅速な業務委託を可能とするため包括契約を締結することとした。
※協和キリン株式会社
医療用医薬品の製造・販売を行う事業持株会社。旧・協和発酵工業として1949年設立、2008年にキリンホールディングス傘下だったキリンファーマと経営統合した。医薬事業を核として、バイオケミカル事業などを協和キリングループとして展開。バイオ医薬品の分野においては世界でもトップ水準の研究開発力を有している。抗体医薬、低分子医薬、核酸医薬、再生医療の4つのモダリティを核とした最先端のバイオテクノロジーを駆使して、腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経の4カテゴリーを研究開発の中心に据えて、新薬創出活動を展開している。
(4)トピックス
◎資金調達の状況
下記の概要および目的のために発行した行使価額修正条項付き第14回新株予約権は2019年8月27日に発行した全ての新株予約権が行使された。
(概要)
資金調達額は概算約14.8億円。
(発行の目的と資金使途)
研究開発のための必要な資金を確保する。
具体的な資金使途 | 金額(百万円) | 支出予定時期 |
①がん治療用抗体(開発コード:Tb535H)の初期臨床試験並びに原薬及び製剤開発のための研究開発資金 | 1,200 | 2019年4月~2021年12月 |
②新規治療用抗体創製に向けた基礎研究開発 | 282 | 2019年1月~2020年12月 |
3.2019年12月期の見通し
創薬事業における合理的な業績予想の算定が困難なため、2019年12月期の業績予想は創薬支援事業の売上高320百万円のみ開示している。
(1)創薬事業
導出品・パイプライン | 見通し |
ADCT-701 | 第3四半期以降に臨床開発第1相試験を開始する。 |
BMAA | SemaThera社による独占的評価およびオプション行使の可否が判明する。 |
CBA-1205 | 治験薬製造およびGLP-tox等の試験を実施する。2020年以降の第1相試験開始を目標としている。 |
CBA-1535 | 臨床開発に向けた準備を開始する。原薬および治験薬製造へ2021年後半以降の第1相試験開始を目標としている。 |
(2)創薬支援事業
既存取引の安定化・拡大をはかるとともに製薬企業2~3社程度との新規契約締結を実現し、公表している売上高320百万円を達成する。
4.今後の注目点
キャッシュカウの創薬支援事業は5割増収と、既存および新規顧客の取引が順調に拡大している。協和キリンとの委受託基本契約締結も同事業の安定的な収益拡大に寄与することとなろう。一方、創薬事業に関しては、臨床試験申請(開始)が想定通りに行われるのかを見守りたい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役会設置会社 |
取締役 | 4名、うち社外2名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日: 2019年7月9日
<基本的な考え方>
当社は、ライフサイエンスを通じて持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、株主、顧客をはじめ、取引先、研究パートナー、地域社会、従業員等の全てのステークホルダーに対してフェアな企業であることを目指しております。そのためには、コンプライアンスの徹底、経営活動の透明性の向上、責任の明確化に努めていくことを重要な課題と捉え、コーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組んでまいります。
<実施しない主な原則とその理由>
当社はコーポレートガバナンス・コードの【基本原則】をすべて実施しております。
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