ブリッジレポート
(4290) 株式会社プレステージ・インターナショナル

プライム

ブリッジレポート:(4290) プレステージ・インターナショナル 2019年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

玉上 進一 社長

株式会社プレステージ・インターナショナル(4290)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

玉上 進一

所在地

東京都千代田区麹町2-4-1

決算月

3月

HP

http://www.prestigein.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,681円

63,950,770株

107,501百万円

12.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

14.00円

0.8%

56.32円

29.8倍

411.94円

4.1倍

*株価は07/12終値。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

27,328

3,345

3,717

2,668

85.26

14.00

2017年3月(実)

29,477

3,768

4,124

2,789

44.08

12.50

2018年3月(実)

33,119

4,230

4,638

2,936

46.07

12.00

2019年3月(実)

37,196

4,687

4,928

3,185

49.83

13.00

2020年3月(予)

41,000

5,300

5,500

3,600

56.32

14.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。
* 2016年10月、1株を2株に分割。

 

 

株式会社プレステージ・インターナショナルの2019年3月期決算の概要と2020年3月期の意通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.ESGへの取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/3期は前期比12.3%の増収、同10.8%の営業増益。旺盛なアウトソーシング需要の取込みで主要事業の売上が揃って増加した。利益面では、課題のあるプログラムが発生した他、人財獲得費用も増加したが、現場対応グループのオペレーションの軌道化等による主要事業の収益性改善で吸収した。配当は年1円増配の13円。

     

  • 20/3期予想は前期比10.2%の増収、同13.1%の営業増益。富山、青森、鶴岡、横手での受注能力を活用して旺盛な需要に応えていく。全てのセグメントで売上の増加が見込まれる。利益面では、一部のプログラムで発生した課題の解消やフランチャイズビジネスの拡充等で先行コストを吸収して収益性の改善が進む見込み。配当は1円増配の年14円(上期末7円、期末7円)を予定している。

     

  • 19/3期はロードアシスト事業とプロパティアシスト事業が収益性の改善を伴いながら売上を伸ばした。両事業共に、現場対応グループのオペレーションが軌道に乗り稼働率が向上した。コンタクトセンターでの受付けだけでなく、現場対応にまで責任を持つ事を希望するクライアントは多いが、両事業で全国を網羅するサービスの提供は難しく、同社グループでしか実現できないサービスとして大きなアドバンテージとなっている。同社グループでしか実現できないサービスの創造と提供と共に、地方都市における雇用創造や女性の活躍できる機会の創出に取り組む事で企業価値を高め、株主及び投資家の期待に応えていく考え。

     

1.会社概要

「エンド・ユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く」という経営理念の下、国内外でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開している。サービスの主なものは、自動車保険加入者にサービスを提供するロードアシスタンスサービス(電話対応から現場でのサービスまで)、海外旅行損害保険加入者向けの日本語緊急コンタクトセンターサービス、物件の管理会社等と契約しマンションの入居者に提供するホームアシストサービス(水漏れ、鍵開け、ハウスクリーニング等)、駐車場管理会社向けのパークアシストサービス等。いずれのサービスも馴染みはあるが、B2Bの事業形態をとっているため、言い換えると、サービス提供の際はクライアント企業(損害保険会社、自動車関連会社、不動産管理会社等)の社名を名乗って対応するため、“プレステージ・インターナショナル”という同社の社名を耳にする事は少ない。

 

1-1.グループ経営理念とグループ事業方針

グループ経営理念
エンド・ユーザー(消費者)の不便さや困ったことに耳を傾け、解決に導く事業創造を行い、その発展に伴い社会の問題を解決し、貢献できる企業として成長する。

 

グループ事業方針
プレステージ・インターナショナルグループは、社会に必要とされ、クライアント企業から信頼され、エンド・ユーザーから感謝されるソリューションを提供できるグループを標榜し、社会貢献を常に念頭におきながらクライアント企業、株主、社員、地域と共に繁栄できるグローバルカンパニーを目指します。

 

 

1-2.事業セグメントの概要

19/3期の売上構成比は、ロードアシスト41.7%(18/3期39.9%)、プロパティアシスト13.3%(同13.2%)、インシュアランスBPO11.1%(同11.1%)、ワランティ12.7%(同13.0%)、カスタマーサポート17.3%(同18.3%)、ITソリューション及び派遣・その他3.9%(同4.5%)。但し、20/3期以降は、マーケット別にセグメントを変更する。

セグメント

サービス内容

備考

ロードアシスト

・損保・自動車メーカー向けロードサービス

子会社2社(プレミアロードアシスト、プレミア・ロータスネットワーク)等が現場サービスを提供

プロパティ

アシスト

・ホームアシスト(水、電気、カギ等)

・パークアシスト(コインパーキングのメンテナンス)

ホームアシストはプレミアホームアシストが現場サービスを提供し、パークアシストはプレミアパークアシストが現場サービスを提供

インシュアランスBPO

・海外旅行保険クレームエージェント

・ヘルスケア・プログラム

・少額短期保険事務代行

海外グループ企業

米国、英国、シンガポール、中国、香港、オーストラリア、タイ、フィリピン、ブラジル、台湾、インド

ワランティ

・自動車延長保証

・家賃保証

・住宅設備延長保証

同社及び家賃保証を手掛ける子会社2社(イントラスト、プレミアライフ)

カスタマー

サポート

・コンタクトセンター・アウトソーシング

・現地通貨建てクレジットカード発行・運営

同社、プレミア・クロスバリュー(ポイント交換サービス)、及びAppGT

ITソリューション

・SCMソリューション

・インフラ構築/システム開発

・モバイルアプリ企画・開発

・SCMソリューション:タイム・コマース

・インフラ構築/システム開発:プレミアIT&プロセスマネジメント

・モバイルアプリ企画・開発:プレミアモバイルソリューション

派遣・その他

・人材派遣・研修

・介護関連

・人材派遣・研修:プレステージ・ヒューマンソリューション

・介護関連:プレミアケア

 

1-3.特徴

玉上社長が、7年間にわたる海外生活で言葉や文化の違いにより不便な思いをした経験から、「海外でも日本にいるときのように高品質で心のこもったサービスを受ける事ができればいいのに・・・。」という思いが会社設立(1986年10月)の動機。その翌年にニューヨークへ進出し、トラブルに遭った日本人からの問い合わせに24時間日本語で対応するサービスを開始した。その後、アジア、ヨーロッパの主要都市にネットワークを広げると共にサービス内容を拡充。国内でのサービスも育成して業容を拡大した。
2001年7月にヘラクレス市場に上場し、2003年10月には、秋田県秋田市に緊急要請を24時間年中無休で受け付けるコンタクトセンターを開設(現「秋田BPOキャンパス」WEST棟650席)。「長期的かつ安定した人材の確保によってはじめて顧客への安定したサービスの提供が可能になる」との考えから開設した同キャンパスは、その後、07年EAST棟(550席)、12年サテライト棟(300席)と規模を拡大。高品質のインフラに対するクライアントからの評価は高く、ショールームとしての役割に加え、秋田での新たな雇用創造の一翼も担っている。2012年12月の東証2部上場を経て、2013年12月に東証1部に市場変更。

 

1-4.強み

同社の強みは、安定したストックビジネス、高品質なサービスを支えるサービス拠点、そして、この結果としての高い収益性と経営効率を実現している事。

 

安定したストックビジネス
クライアント企業である損害保険会社等の既存顧客向け付加価値サービス(保険特約)が中心のため、外部環境による収益の振れが比較的小さい。主たる業務委託契約フィーは、サービス対象者数×予想利用率によって算出され、サービス対象者やサービス対象者一人当たりの利用が増えると、翌期の委託契約フィーに反映される。特に自動車のトラブル対応は認知度の向上で導入企業や利用者が増加しており、継続的なサービス対象者数の増加と利用率の向上につながっている。自動車メーカーや販売会社がサービス収入の拡大に力を入れている事も追い風となっている。不動産関連サービスも同様に、フローの物件売り切りビジネスに依存していたマンションデベロッパー等がストックビジネスとして強化している事が追い風になっている。また、海外事業として手掛けているヘルスケア・プログラム(海外赴任での健康トラブル対応)は、業績改善による企業活動の活発化で需要が増えている。

 

高品質なサービスを支えるサービス拠点
秋田BPOキャンパス、山形BPOガーデン、富山BPOタウンを中心に、コンタクトセンター8施設を展開しており、現場対応については、中間持株会社(株)プレミアアシストホールディングス傘下の、(株)プレミアロードアシスト、(株)プレミアホームアシスト、及び(株)プレミアパークアシストの3社が全国の主要都市に展開している(政令指定都市全てのカバーが目標)。

 

人材の安定化を求め地方都市に展開するコンタクトセンター
高品質なサービスの提供を実現するべく、国内にコンタクトセンターを保有し現場部隊を内製化すると共に、世界16ヶ国19拠点のグローバルネットワークを有する。コンタクトセンターは人材の安定化を念頭に地方都市に開設しており、現在の稼働施設は、秋田BPOキャンパス(秋田県秋田市)、山形BPOガーデン(山形県酒田市)、秋田BPOキャンパスにかほブランチ(秋田県にかほ市)、及び富山BPOタウン(富山県射水市)、秋田BPO横手キャンパス(秋田県)、及び、山形BPOガーデン鶴岡ブランチ(山形県鶴岡市)、横浜コンタクトセンター、青森コンタクトセンターの8施設。

 

秋田BPOキャンパス(2003年10月開設)

 

 

総席数:1,500席

投資額:約40億円

託児所、カフェテリア、社員寮、自動車整備工場、研修施設、自家発電装置等を完備。

山形BPOガーデン(2013年11月開設)

 

 

総席数:500席

投資額:約11.8億円

託児所、カフェテリア、研修施設、自家発電装置、社員寮、駐車場等

富山BPOタウン(2015年4月開設)

 

 

総席数:1,000席

投資額:約30億円

託児所、カフェテリア、社員寮、研修施設、自家発電装置、駐車場(1,010台)

東日本大震災以降のBCP(事業継続計画)に対する意識の高まりに応えるべく、秋田BPOキャンパスや山形BPOガーデンから遠く離れた富山県射水市に開設された。

(同社資料より)

 

拠点名

席数

キャパシティ率

 

拠点名

席数

キャパシティ率

秋田

1,500席

103.1%

 

鶴岡

150席

28.0%

山形

500席

103.4%

 

横浜

210席

85.2%

富山

1,000席

59.0%

 

青森

80席

33.7%

にかほ

190席

97.8%

 

-

-

-

横手

500席

36.4%

 

合計

4,130席

79.1%

 

全国主要都市において現場部隊を内製化- 独自ブランドPremierAssist(プレミアアシスト)の展開 -
ロードアシスト、ホームアシスト、パークアシストでは、全国主要都市に内製化した現場部隊を展開している。トラブル現場で顧客対応するスタッフは清潔感のあるユニフォームで統一された正社員である。スタッフには定期的にマナー講習等が実施され、サービス品質向上への取り組みには余念がない。同社グループ企業の正社員による現場対応への評価は高く、競争力の源泉となっている。また、グローバルネットワークを有し、各海外拠点では、海外で病気・ケガをした際の医療費の査定やキャッシュレスで受診可能な病院ネットワークの開拓を行っている。

 

2.2019年3月期決算概要

2-1.連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

33,119

100.0%

37,196

100.0%

+12.3%

36,000

+3.3%

売上総利益

7,642

23.1%

8,359

22.5%

+9.4%

 -

-

販管費

3,411

10.3%

3,671

9.9%

+7.6%

 -

-

営業利益

4,230

12.8%

4,687

12.6%

+10.8%

4,700

-0.3%

経常利益

4,638

14.0%

4,928

13.2%

+6.2%

4,900

+0.6%

親会社株主帰属利益

2,936

8.9%

3,185

8.6%

+8.5%

3,200

-0.5%

* 単位:百万円

 

前期比12.3%の増収、同10.8%の営業増益
売上高は前期比12.3%増の371億96百万円。ロードアシスト事業が同17.4%の増収、プロパティアシスト事業が同13.0%の増収、インシュアランスBPO事業が同12.2%の増収となる等、旺盛なアウトソーシング需要の取込みで主要事業の売上が揃って増加し予想を上回った。

 

企業別の売上構成(単純合算)は、同社単体59.1%、国内グループ28.9%、海外グループ12.0%。営業利益構成比(同)は、それぞれ42.9%、33.9%、23.2%。売上構成比に大きな変化はなかったが、利益面では、現場対応グループの収益が安定化してきた国内グループの構成比が上昇する一方、一部業務の内製化の影響もあり、海外グループの構成比が低下した。

 

営業利益は同10.8%増の46億87百万円。課題のあるプログラムが発生した他、人財獲得費用も増加したが、プロパティアシスト事業を中心に上記3事業の収益性改善で吸収した。営業外収益の減少で経常利益は同6.2%の増加にとどまったものの、税負担率の低下(31.5%→29.4%)で最終利益は31億85百万円と同8.5%増加した。

 

営業外収益として、有価証券利息88百万円(18/3期47百万円)、持分法投資利益1億38百万円(同1億64百万円)を計上した。また、補助金収入2億10百万円など特別利益2億41百万円を(同10百万円)を計上する一方、固定資産圧縮損2億10百万円や和解金1億20百万円など特別損失3億30百万円(同55百万円)を計上した。

 

 

 

2-2.セグメント別動向

 

18/3期

構成比・利益率

19/3期

構成比・利益率

前期比

2Q時予想

予想比

ロードアシスト

13,203

39.9%

15,500

41.7%

+17.4%

14,850

+4.4%

プロパティアシスト

4,386

13.2%

4,957

13.3%

+13.0%

4,900

+1.2%

インシュアランスBPO

3,675

11.1%

4,124

11.1%

+12.2%

4,000

+3.1%

ワランティ

4,309

13.0%

4,726

12.7%

+9.7%

4,600

+2.7%

カスタマーサポート

6,056

18.3%

6,445

17.3%

+6.4%

6,400

+0.7%

ITソリューション、派遣・その他

1,487

4.5%

1,441

3.9%

-3.1%

1,250

+15.3%

連結売上高

33,119

100.0%

37,196

100.0%

+12.3%

36,000

+3.3%

ロードアシスト

1,473

11.2%

1,807

11.7%

+22.6%

1,800

+0.4%

プロパティアシスト

358

8.2%

597

12.0%

+66.5%

660

-9.5%

インシュアランスBPO

511

13.9%

577

14.0%

+12.9%

500

+15.4%

ワランティ

961

22.3%

888

18.8%

-7.6%

980

-9.4%

カスタマーサポート

914

15.1%

814

12.6%

-11.0%

800

+1.8%

ITソリューション、派遣・その他

8

0.5%

1

0.1%

-87.5%

-40

-

連結営業利益

4,230

12.8%

4,687

12.6%

+10.8%

4,700

-0.3%

 

ロードアシスト事業は売上高155億円(前期比17.4%増)、営業利益18億07百万円(同22.6%増)。既存事業での緊急要請の増加で売上が増加し、現場対応グループ会社の安定稼働で利益率が改善した。

 

プロパティアシスト事業は売上高49億57百万円(前期比13.0%増)、営業利益5億97百万円(同66.5%増)。ホームアシストが堅調に推移する中、パークアシストが二桁の増収となった。利益面では、ロードアシスト事業と同様に現場対応グループの拡充等、先行投資の成果が現れてきた。

 

インシュアランスBPO事業は売上高41億24百万円(前期比12.2%増)、営業利益5億77百万円(同12.9%増)。海外日本語サービスで一部内製化の影響があったものの、期初に獲得したクライアントが通期で寄与した海外駐在員向けサービス(ヘルスケア・プログラム)の増加で吸収し、売上・利益が増加した。

 

ワランティ事業は売上高47億26百万円(前期比9.7%増)、営業利益8億88百万円(同7.6%減)。家賃債務保証等の保証業務を手掛ける子会社イントラストを中心に売上が増加したが、製品保証関連の体制見直しによる先行コストを吸収できず利益が減少した。

 

カスタマーサポート事業は売上高64億45百万円(前期比6.4%増)、営業利益8億14百万円(同11.0%減)。大型既存受託業務を中心に売上が増加した。利益面では、一部のプログラムで課題が発生した事が響いた。

 

ITソリューション、派遣・その他は売上高14億41百万円(前期比3.1%減)、営業利益1百万円(同87.5%減)。託児事業を追加した事で派遣・その他の売上が増加したものの、リソースを内部開発に集中したlTソリューションの売上が減少した。一方、利益面では、業務効率化等の取り組みの成果でlTソリューションの利益が増加したものの、スポーツ事業の収益化の遅れで派遣・その他の損失が増加した。

 

キャパシティ率の推移

 

13/3

14/3

15/3

16/3

17/3

18/3

19/3

秋田(席)

1,500

1,500

1,600

1,650

1,650

1,800

1,840

山形(席)

-

500

500

500

500

500

650

富山(席)

-

-

-

1,000

1,000

1,000

1,000

合計(席):A

1,500

2,000

2,100

3,150

3,150

3,300

3,490

BPO従業員数(人):B

1,583

1,784

2,087

2,320

2,395

2,754

2,992

キャパシティ率:B/A

105.5%

89.2%

99.4%

73.7%

76.0%

83.4%

85.7%

※ BPO従業員数は期末の延べ人数(アルバイト含む)を用いているため、シフト等の関係からキャパシティ率が100%を超える場合もある。

2-3.財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

18年3月

19年3月

 

18年3月

19年3月

流動資産

22,771

24,461

流動負債

7,851

9,288

固定資産

11,359

14,562

固定負債

1,201

1,996

資産合計

34,131

39,023

純資産

25,079

27,739

* 単位:百万円

 

期末総資産は前期末との比較で48億92百万円増の390億23百万円。借方では、現預金や秋田・横手キャンパス建設に伴い建設仮勘定が増加(1億74百万円→21億87百万円)した。貸方では、秋田・横手キャンパス最終支払分の計上で未払金(14億88百万円→27億62百万円)が増加した他、秋田BPO横手キャンパス建設に伴う一部資金の調達で長期借入金7億50百万円を計上した。自己資本比率67.5%(前期末69.8%)。

 

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

18/3期

19/3期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

4,323

3,570

-753

-17.4%

投資キャッシュ・フロー(B)

-1,826

-2,743

-917

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

2,497

827

-1,670

-66.9%

財務キャッシュ・フロー

-157

-79

+78

-

現金及び現金同等物期末残高

13,917

15,006

+1,089

+7.8%

* 単位:百万円

 

税金費用を含めた運転資金の増加で営業CFは前期比で減少したものの、税引前利益48億38百万円(18/3期45億94百万円)、減価償却費9億96百万円(9億68百万円)等で35億70百万円を確保し、秋田・横手キャンパス建設等の投資(25億99百万円)を賄った。

 

 

参考:ROEの推移

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE

12.21%

16.13%

14.36%

13.05%

12.69%

ROA

8.33%

10.78%

9.94%

9.11%

8.69%

売上高当期純利益率

7.14%

9.77%

9.46%

8.87%

8.56%

総資産回転率

1.17回

1.10回

1.05回

1.03回

1.01回

レバレッジ

1.47倍

1.50倍

1.44倍

1.43倍

1.46倍

*ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ。算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残。

 

現在進行中の中期事業計画では、最終の21/3期に売上高450億円、営業利益率14.0%と共に、ROE15%、ROA10%の達成を目指している。

 

3.2020年3月期業績予想

リテンション・メーカー戦略の進捗を明確にするため、セグメントを下記の通りサービス別からマーケット別に変更する。

 

3-1.連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

37,196

100.0%

41,000

100.0%

+10.2%

営業利益

4,687

12.6%

5,300

12.9%

+13.1%

経常利益

4,928

13.2%

5,500

13.4%

+11.6%

親会社株主帰属利益

3,185

8.6%

3,600

8.8%

+13.0%

* 単位:百万円

 

前期比10.2%の増収、同13.1%の営業増益予想
売上高は前期比10.2%増の410億円。富山、青森、鶴岡、横手での受注能力を活用して旺盛な需要に応えていく。大型新規損保案件の通年寄与等でオートモーティブ事業の売上が同14.1%増と伸びる等、全てのセグメントで売上の増加が見込まれる。

 

営業利益は同13.1%増の53億円。一部のプログラムで発生した課題の解消やフランチャイズビジネスの拡充等で先行コストを吸収して収益性の改善が進む見込み。先行投資負担からプロパティ事業の利益が減少する他、付随業務であるアド・バリューで赤字が見込まれるものの、フランチャイズ戦略等の成果でオートモーティブ事業の利益が同26.9%増加する等、全般には増益見通し。6期連続の最高益更新が見込まれる。
設備投資は富山総合研修センター(7億円)等で16億円を計画しており、減価償却費は12億61百万円を織り込んだ

 

3-2.セグメント別見通し

オートモーティブ事業は大型新規クライアントの寄与と既存クライアント向けの増加で売上が増加する中、フランチャイズ戦略等の成果もあり、利益率の改善が見込まれる。プロパティ事業はホームアシストの集中戦略で売上の増加が見込まれるものの、先行投資が利益を圧迫する。海外事業はカード事業の売上が増加するものの、海外旅行保険案件の減少が見込まれる。カスタマー事業は課題プロジェクトの解消により増収・増益が見込まれるが、組織再構築コストで利益率が低下する見込み。スペシャル(専門)事業は総合・家賃保証を中心に増収・増益が見込まれるが、ケア及びITの影響で利益率が低下する見込み。アド・バリュー(付随)事業は赤字状態が続くものの、課題プロジェクトの解消により赤字額の縮小が見込まれる。

 

 

旧セグメントベースの売上高・利益

 

19/3期 実績

構成比・利益率

20/3期 予想

構成比・利益率

前期比

ロードアシスト

15,500

41.7%

17,700

43.2%

+14.1%

プロパティアシスト

4,957

13.3%

5,400

13.2%

+8.9%

インシュアランスBPO

4,124

11.1%

4,400

10.7%

+6.6%

ワランティ

4,726

12.7%

5,000

12.2%

+5.7%

カスタマーサポート

6,445

17.3%

7,000

17.1%

+8.6%

ITソリューション、派遣・その他

1,441

3.9%

1,500

3.7%

+4.2%

連結売上高

37,196

100.0%

41,000

100.0%

+10.2%

ロードアシスト

1,807

11.7%

2,220

12.5%

+22.8%

プロパティアシスト

597

12.0%

600

11.1%

+0.5%

インシュアランスBPO

577

14.0%

530

12.0%

-8.1%

ワランティ

888

18.8%

1,000

20.0%

+12.6%

カスタマーサポート

814

12.6%

1,000

14.3%

+22.8%

ITソリューション、派遣・その他

1

0.1%

-50

-

-

連結営業利益

4,687

12.6%

5,300

12.9%

+13.1%

* 単位:百万円

 

ロードアシスト事業は大型新規損保案件の通期寄与と横手での自動車メーカー向けサービスの拡充で売上が増加。利益面では、増収効果とフランチャイズ戦略で先行投資負担を吸収する。プロパティアシスト事業は既存サービスの売上増と新規サービスの開発で売上が増加し、基幹システム投資や専用サテライト施設投資に伴うコストを吸収する。インシュアランスBPO事業は海外日本語サービスの案件減少をヘルスケア・プログラムの新規獲得で吸収。利益面では、収益性の高い海外日本語サービスの案件減少の影響に加え、サービス価値向上に向けたシステム投資が負担になる。ワランティ事業は総合保証を中心に売上が増加し、製品保証の体制整備が進み収益性の改善も見込まれる。カスタマーサポート事業は既存案件の増加と海外カード事業の拡充で売上が増加。一部プログラムで発生した課題の解決と海外カードの売上増で収益性の改善も進む見込み。

 

 

3-3.年間で1円増配の14円を予定

配当は、上期末7円(1円増配)、期末7円の年14円(予想配当性向24.9%)を予定しており、5期連続の増配となる。
同社は、経営計画や事業規模の拡大に向けた内部留保金の充実を勘案しつつ、各期の連結ベースの利益水準及びキャッシュ・フローを勘案し、継続的かつ安定的に配当を実施する事を基本方針としている。19/3期に開始した中期事業計画に掲げた「21/3期総還元性向30%達成」に向け、上記配当方針を踏まえた配当政策を実施していく考え。

4.ESGへの取り組み

ESGの一環として、地方都市での雇用創出と女性活躍推進プロジェクトに取り組んでいる。

 

 

4-1.地方都市における雇用創出

同社は、「地元で働く」をテーマに女性や若・青年層の雇用の創出と女性の社会進出をサポートする事で、地域に愛される企業となる事を目指している。旺盛なアウトソーシング需要に応えるべく、2019年5月に新BPO拠点「秋田BPO横手キャンパス」が竣工した。同キャンパスの運営を通して、女性や若・青年層の雇用の創出と女性の社会進出にも貢献していく考え。

 

「秋田BPO横手キャンパス」概要

所在地

秋田県横手市

投資額

:約21億円

席数

500席(180名で稼動を開始し、2021年までに500名の雇用を目指している)

事業

ロードアシスト、インシュアランスBPO、プロパティアシスト

設備

カフェテリア、研修施設、託児所、自家発電装置、リラックススペース、ジム

 

 

4-2.女性活躍推進プロジェクト

女性活躍推進の取り組みと認知度向上イベント
同社は、「女性が活躍する」とはどういう事か、何が阻害要因になっているのか、を明らかにし、ライフステージに関わらず、誰もが活躍できる職場環境づくりに取り組んでいる。この取り組みの認知度向上を目的に、2018年9月9日、富山BPOタウンにて「ゼロニイ ビューティーDAY」を開催した。
「ゼロニイ ビューティーDAY」では、様々な体験イベントの他、キャリアアップセミナーや会社説明会を開催。200~300名の参加を想定していたが、悪天候にもかかわらず、開始2時間前より長蛇の列となり、700名弱の方が参加した。女性活躍推進の取り組みについてPRする事で認知度向上を図り、人財の確保につなげていく考え。

 

女性活躍推進3年計画
現在30%の女性管理者比率を50%へ引き上げるべく、女性が活躍できる環境づくりに取り組んでいる。この一環として、1時間単位の有給制度を導入した他、託児所との連携を行っている。

 

(同社資料より)

 

1時間単位の有給制度
多様な働き方に対応できる職場環境づくりの一環として、1時間単位での有給取得を可能にした。所要時間に合わせた有給の取得を可能にする事で稼動時間の増加にもつなげていきたい考え。

 

託児所との連携
育児休暇で会社から離れる事による疎外感や復帰への不安を軽減し、復帰後の早期戦力化を図るべく託児所との連携を進めている。

5.今後の注目点

ロードアシスト事業とプロパティアシスト事業が収益性の改善を伴いながら売上を伸ばした。両事業共に、現場対応グループ整備の第1弾が完了し、19/3期はオペレーションが軌道に乗り稼働率が向上した。コンタクトセンターでの受付けだけでなく、現場対応にまで責任を持つ事を希望するクライアントは多いが、全国を網羅する現場サービスの提供はハードルが高く、同社グループでしか実現できないサービスとして大きなアドバンテージになっている。引き続き現場対応グループの拡充に取り組んでいく考えで、この一環として、富山BPOタウン内に総合研修センターを開設する。一方、首都圏等の主要都市以外では、フランチャイズや協力会社を活用していく考えで、フランチャイズ化や指定協力会社の組織化を進めている。これにより、18/3期に43.5%だった同社グループ現場対応率を21/3期に80%に引き上げる計画で、20/3期は取り組みの成果が顕在化し始める。
同社グループでしか実現できないサービスの創造と提供、地方都市における雇用創造と女性が活躍できる機会の創出。こうした取り組みを推進する事で企業価値を高め、株主及び投資家の期待に応えていく考え。

 

 

 

参考:コーポレート・ガバナンスについて

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外2名

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年07月08日)
基本的な考え方
当社におけるコーポレート・ガバナンスとは、エンド・ユーザー、クライアント企業、株主、社員、地域等の各ステークホルダーとの関係における企業経営の基本的な枠組みのあり方と理解しております。当社及び当社グループとして、コーポレート・ガバナンスの充実・強化は株主利益および企業価値向上のための責務と考えており、以下の方針を定めております。
1 株主の権利を尊重し、平等性を確保します。
2 各ステークホルダーとの適切な協働を図ります。
3 会社情報を適切に開示し、透明性の確保を図ります。
4 公正・透明で迅速果断な判断を可能にする取締役会等の体制の構築に取り組みます。
5 株主との適切な対話を行ないます。

 

<実施しない主な原則とその理由>
補充原則4-10-1(諮問委員会等の設置)
当社は、任意の指名・報酬委員会などの独立した諮問委員会を設置していませんが、取締役候補の選任や取締役の報酬については、取締役会の決議に先立ち、独立社外取締役に対し説明を行い、適切な助言を得ています。このように、取締役候補の選任や取締役の報酬について、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ていることから、これらに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任は十分担保されているものと考えています。

 

<開示している主な原則>
原則1-4(政策保有方針)
(1) 政策保有株式に関する方針
当社が純投資目的以外の目的で保有する株式は、取引先の株式を保有することで中長期的な関係維持、取引拡大、シナジー創出等が可能と なるものを対象としております。発行会社の株式を保有する結果として当社の企業価値を高め、株主・投資家の皆様の利益に繋がると考える場合 において、このような株式を保有する方針としております。当該方針に従い、四半期毎に中長期的な経済合理性や将来の見通しについて取締役 会において検証し、意義が不十分あるいは基本方針に合致しない保有株式については縮減を進めます。また、保有する便益やリスクが資本コストに見合っているか等を個別具体的に精査、検証しその概要を開示いたします。

 

原則5-1(株主との建設的な対話に関する方針)
当社では、グループ経営戦略本部を担当部署としております。
株主や投資家に対しては、決算発表後に決算説明会を開催するとともに、逐次、各BPO拠点見学を兼ねた説明会やスモールミーティングを実施 しております。また、海外機関投資家向けにスモールミーティングも実施しております。
株主・投資家との建設的な対話を促進するための体制・取組みに関する基本方針は以下のとおりになります。
(1)株主との対話については、建設的な対話が実現するよう、代表取締役又はIR担当責任者が直接面談に臨むことを基本としております。
(2)IR担当責任者は、グループ経営戦略本部を管掌し、グループ財務経理本部等を含めて他部署と十分な連携をとれる横断的な体制を構築しております。
(3)株主構造の把握に努めるとともに、決算説明会および各BPO拠点において個人投資家向け説明会を実施しております。
(4)代表取締役およびIR担当責任者は、取締役会において対話の状況について定期的にフィードバックを行なっております。
(5)決算説明会および株主のとの面談は、すでに開示されている情報を敷衍して説明することとしており、開示されていない重要事実に該当する事実については開示・説明しない方針であります。かかる措置は、株主間の公平、市場の健全性の確保のほか、株主の自由な株式売買を保障するうえで必要な措置と認識しております。

 

 

 

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