ブリッジレポート:(6191)エボラブルアジア vol.5
吉村 英毅 社長 | 株式会社 エボラブルアジア(6191) |
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会社情報
市場 | 東証一部 |
業種 | サービス業 |
社長 | 吉村 英毅 |
所在地 | 東京都港区愛宕2-5-1 愛宕グリーンヒルズMORIタワー |
決算 | 9月末日 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数 | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
2,081円 | 17,708,000株 | 36,850百万円 | 22.5% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
- | - | - | - | 289.82円 | 7.2倍 |
*株価は12/10終値。発行済株式数、ROE、BPSは18年9月期決算短信より。今期予想は非開示。
業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | DPS |
2014年9月期(実) | 1,451 | 99 | 93 | 44 | 3.28 | 0.00 |
2015年9月期(実) | 2,754 | 312 | 305 | 172 | 12.56 | 0.00 |
2016年9月期(実) | 4,000 | 618 | 571 | 340 | 22.17 | 0.00 |
2017年9月期(実) | 5,534 | 730 | 695 | 420 | 25.06 | 7.00 |
2018年9月期(実) | 12,447 | 1,210 | - | 915 | 52.59 | 10.00 |
*単位:百万円
* 2015年12月に1:300、2016年8月に1:3の株式分割を実施。EPSは2014年9月期期首に分割が実施されたものとして算定。17年9月期は日本基準。18年9月期からIFRSを任意適用。19年9月期の業績予想は合理的な予測が困難な状況であることから、配当も含め非開示。当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益。以下同様。
エボラブルアジアの2018年9月期決算概要などをお伝えします。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2018年9月期決算概要
3.2019年9月期業績見通し
4.トピックス
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>
今回のポイント
- 国内航空券取扱高でOTA(※)業界最大手。国内全航空会社グループと契約を有するOTA(※)で唯一の企業。国内線航空券を中心にWEB販売を行うオンライン旅行事業、急増するインバウンドに対応する訪日旅行事業、東南アジアで日系最大の陣容を誇るITオフショア開発事業、投資事業の4つの事業を展開。
- 18年9月期の取扱高は前期比207%増の831億66百万円と引き続き順調に拡大。M&AしたDeNAトラベル分を除いたオーガニックでも順調に成長。これにより、売上高は同124.9%増の124億47百万円。積極的プロモーションなど成長投資により販管費も同86.9%増となったが増収効果、投資事業の利益で吸収し営業利益は同11.2%増の12億10百万円と増益を確保。売上、営業利益ともに過去最高を更新した。好調な業績推移を受け、期中2度(8月、11月)の売上収益の上方修正を行った。
- 19年9月期業績については現時点では市場動向や顧客動向を踏まえた損益の合理的な予測が困難な状況であることから非開示としているが、前期に続き、大幅な増収及び増益の確保を見込んでいる。配当予想も非開示だが、配当性向20%を目安に配当を実施する方針に変更は無い。
- 19年9月期の業績予想は非開示だが、会社側は「取扱高は倍増近い1,500億円以上、大幅増収、増益確保」を見込んでいる。元より投資フェーズにある同社をPER等で株価評価することは適切ではないため、明確な関連性は見えないものの、毎月の取扱高推移を売上の関連指標として継続的にウォッチしていきたい。
- 取扱高におけるエアトリ(旧DeNAトラベル)上乗せ効果がなくなる19年6月以降の伸び率も注目したい。
1.会社概要
国内航空券取扱高でOTA(※)業界最大手。国内全航空会社グループと契約を有するOTA(※)唯一の企業。国内線航空券を中心にWEB販売を行うオンライン旅行事業、急増するインバウンドに対応する訪日旅行事業、東南アジアで日系最大の陣容を誇るITオフショア開発事業が主力事業。各事業の同社ならではの強みや特長を活かして、「取扱高2,000億円、各事業No.1確立」を目指している。
※OTA(Online Travel Agent):インターネットを通じた旅行商材の販売を専業とする旅行会社
【沿革】
2007年5月、吉村社長は、大石会長と共同でオンライン旅行事業を行うために株式会社キャピタルを設立。
その後、M&Aや事業譲受により取扱商材を拡大していった。
2012年3月にベトナムにおいてITオフショア開発事業を開始したのを契機に、総合IT事業を手掛ける会社の方向性を明確にするため、2013年10月、現社名に商号を変更。
2016年3月、東証マザーズに上場。1年後の2017年3月には東証1部に市場変更した。
【企業理念など】
企業理念 | One Asia アジアは一つとなり世界をリードする
ひとつのアジアとして経済圏が巨大化するなかで、当社は、人の移動と仕事の移動を通じて、 アジアを繋ぐ架け橋となることを目指しております。EVOLABLE ASIAが繋げる。アジアが繋がる。 |
企業名の「エボラブルアジア(Evolable Asia)」は、進化を表す「Evolve」と、可能であるの「Able」に、アジア「Asia」をかけたもので、進化するアジアを意味している。
ミッション | アジアの人々の移動と協業をITの力でより近くに |
行動規範 | ・常にユーザーファースト!! 顧客目線を常に意識し、顧客の方を向いて仕事をする。
・丁寧・安心・信頼を何よりも重視!! 丁寧な仕事で顧客の安心と信頼に応えることが、事業の根幹である。
・改善のプロフェッショナルであり続ける!! 一つ一つの業務改善によってしか成長は成り立ち得ない。
・即対応、即実行、スピード!! 誰よりも早く対応し、誰よりも早く仕組化する。 |
【市場環境】
◎成長が続くオンラインによる旅行商材販売
LCC(格安航空会社)の参入に伴う航空券比較横断検索需要の高まり等を受け、2015年度におけるOTAによる旅行商材取り扱い規模は2.5兆円と、2011年度からは年率26%というスピードで急成長している。
この急成長を支えたのは主として国内宿泊市場であるが、航空券の取扱高も2,300億円とこちらも年率14%で2桁成長となっている。
今後は国内宿泊市場に次いで、国内航空券市場も大きな成長が期待できる。
◎訪日旅行客数も急拡大
2017年の訪日旅行客数は前年比約2割増の2,869万人であった。
政府は2020年の訪日旅行客数目標を4,000万人と設定している。
◎拡大余地大きいITオフショア開発
日本国内の受託ソフトウェア開発市場は約10兆円で年率3%程度の伸びとなっているが、そのうちオフショアを利用した開発の割合はわずかに1%程度(約1,000億円)にとどまっている。
米国ではこの比率は10%以上であることから、日本においても現在の10倍である1兆円規模まで拡大する余地はある。
実際に、日本からベトナムへの発注額は年率17.8%で増加している。
【事業内容】
中心事業はオンライン旅行事業、訪日旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の4事業。(報告セグメントは、オンライン旅行事業、ITオフショア開発事業、投資事業の3つ。訪日旅行事業はオンライン旅行事業セグメントに含まれる。)
それぞれ同社ならではの強みや特長を活かして成長を続けている。
◎オンライン旅行事業
国内航空券、国内宿泊施設、海外航空券・宿泊施設等の旅行商品を、インターネットを通じて販売している。
国内航空券 | 国内全航空会社グループと契約 |
国内宿泊施設 | 高級旅館を中心に国内1,400施設を取り扱い |
海外航空券・宿泊施設 | IATA(※)公認代理店として海外航空券を発券 海外4万施設を取扱い |
※IATA(International Air Transport Association):世界の航空会社で構成される業界団体
以下のようの、多様な販路を有している。
販路 | 概要 |
直販サイト(B to C) | 総合旅行サービスプラットフォーム「エアトリ」を運営。 |
B to B to C | 500社以上のWeb媒体へ旅行コンテンツを提供。媒体は、オリジナルコンテンツの充実、顧客満足度の向上、新たな収益源といったメリットが生じる。 |
卸売販売(B to B) | 旅行会社に対して主として国内航空券や販売管理システムを提供。 |
法人向け出張手配(Business Travel Management) | 法人向け出張手配サービスをクラウドサービス「旅Pro-BTM」を無料で提供。 |
(直販サイト)
(同社HPより)
(事業の強み)
同社はOTA業界における国内航空券取扱高No.1である。
同業界で唯一国内全航空会社グループと契約を有していることから、自社での発券が可能となっている。優位な仕入れ価格と合わせ、発券を委託する必要が無いためコスト競争力は圧倒的に高い。
これに加え、各航空会社との長期の取引関係による強固な信頼に基づく「競争力のある仕入れルート」、「多様な販路」、「自社オフショアIT開発力を用いた低コストでのシステム構築」といった要因により、高い参入障壁を構築している。
◎訪日旅行事業
今後も増大が期待される訪日旅行客需要に対応し、旅行商材の直販サイトの多言語展開(現在7か国語)のほか、アジア地域を中心とした現地旅行代理店や媒体運営者に対して国内航空券を中心に日本国内旅行コンテンツの検索・予約エンジンをOEMで提供している。
中国最大の旅行会社である「Ctrip.com」と国内航空券領域において日本初のシステム連携を開始したほか、中華系旅行社との提携を進めている。
(同社HPより)
(事業の強み)
OEM提供のノウハウが豊富であることに加え、自社オフショア開発により顧客ニーズに合致した開発を安価かつスピーディーに行うことができる。
◎ITオフショア開発事業
ベトナムのホーチミン、ハノイ、ダナンの3拠点で、2018年9月時点でエンジニア約1,000名を雇用している。
Webサービスやアプリケーションなどシステム開発のほか、BPO(Business Process Outsourcing)を手掛けている。
顧客は(株)ディー・エヌ・エートラベル、グリー(株)といったWebサービス企業が中心。
(事業の強み)
ベトナムにおける人材採用力と開発チームの立上げノウハウに強みを持っている。
日本国内のITエンジニア不足とエンジニアの賃金高騰を背景に、2012年の事業開始後、東南アジアにおける日系オフショア開発会社としては最大規模の陣容となっている。
また、受託開発は行わずラボ型開発と呼ぶ開発スタイルに特化している。
これは、原則的に1年以上の長期契約を前提に顧客の要望を反映した専属チームを組成し、クライアントの計算の下で稼働するため、稼働率がほぼ100%となっている。
また、エンジニアのコストは雇用した時点から全てクライアントチャージなので、納期遅延リスク、遊休人員発生リスクはゼロとなる。
ストックビジネスであるため規模拡大と共に収益の大幅な向上が期待できる。
◎投資事業
17年9月期より報告セグメントとして新設。CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の性格を持つ第4の事業として位置付け、シナジー効果とともにキャピタルゲインの機会も追求していく。新たに投資育成事業も立ち上げた。
18年9月時点での投資先は42社。
2.2018年9月期決算概要
(1)連結業績概要
| 17/9月期 | 構成比 | 18/9月期 | 構成比 | 前期比 | 期初予想比 |
取扱高 | 40,016 | - | 83,166 | - | +107.8% | +18.8% |
売上収益 | 5,533 | 100.0% | 12,447 | 100.0% | +124.9% | +76.6% |
売上総利益 | 4,596 | 83.1% | 6,811 | 54.7% | +48.2% | - |
販管費 | 3,848 | 69.5% | 7,190 | 57.8% | +86.9% | - |
営業利益 | 1,088 | 19.7% | 1,210 | 9.7% | +11.2% | -19.3% |
税引前利益 | 1,095 | 19.8% | 1,196 | 9.6% | +9.2% | - |
当期利益 | 708 | 12.8% | 915 | 7.4% | +29.2% | +3.9% |
*単位:百万円
*両期ともIFRS(未監査)。当期利益は、親会社株主に帰属する当期利益。
大幅な増収、成長投資を吸収し増益を確保
取扱高は前期比207%増の831億66百万円と引き続き順調に拡大。M&AしたDeNAトラベル分を除いたオーガニックでも順調に拡大。これにより、売上高は同124.9%増の124億47百万円。エアトリプロモーションやM&Aが大きく寄与した。
積極的プロモーションなど成長投資により販管費も同86.9%増となったが増収効果、投資事業の利益で吸収し営業利益は同11.2%増の12億10百万円と増益を確保。売上、営業利益ともに過去最高を更新した。
好調な業績推移を受け、期中2度(8月、11月)の売上収益の上方修正を行った。
(2)セグメント動向
| 17/9期 | 構成比 | 18/9期 | 構成比 | 前期比 |
売上高 |
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オンライン旅行事業 | 3,893 | 70.4% | 10,132 | 81.4% | +160.3% |
ITオフショア開発事業 | 1,534 | 27.7% | 2,383 | 19.1% | +55.3% |
投資事業 | 103 | 1.9% | 161 | 1.3% | +56.3% |
合計 | 5,533 | 100.0% | 12,447 | 100.0% | +125.0% |
営業利益 |
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オンライン旅行事業 | 824 | 21.2% | 100 | 1.0% | -87.9% |
ITオフショア開発事業 | 168 | 11.0% | 116 | 4.9% | -31.0% |
投資事業 | 438 | 425.2% | 1,336 | 829.8% | +205.0% |
合計 | 1,088 | 19.7% | 1,210 | 9.7% | +11.2% |
*単位:百万円
*営業利益の構成比は利益率。
投資事業で生み出した利益をオンライン旅行事業「エアトリ」の成長投資に振り向けている。
①オンライン旅行事業
増収減益となった。
*B to Cサービス(PC、スマートフォンを通じた一般消費者向けの旅行商材の直販サイトの運営)
新規顧客獲得のためにマスマーケティング、SEM強化、基幹システムの大幅リニューアルを、リピーター増加施策のためにUIの改善等を実施したことが寄与し、利用者が順調に増加した。
また、「エアトリ」の認知度向上や顧客獲得を目的とする戦略的な価格設定やブランディングコストの積極的な投下を実施した。
*B to B to Cサービス(提携先企業のブランドによる旅行コンテンツを提供する事業)
大手提携先の開拓強化、主要取引先のニーズに合致したサービスの提供、取引先とのコミュニケーションを強化したことが寄与し、利用額が増加致した。
また、BtoCサービスと同様に、顧客拡大に重点を置いたマーケティング施策や提携施策の推進を実施致した。
*B to Bサービス(他社旅r行会社に対するホールセール事業)
国内線運航数の増加にともない、国内航空券を取り扱うオンライン旅行代理店業界全体が活況となり、売上高は堅調に推移した。
*BTMサービス(企業の出張に係る社内承認手続き及び手配を一元管理する事業)
顧客企業数の増加及び利用率の増加と連動して売上が増加するビジネスモデルであるため、営業人員の追加、及び既存顧客中の利用率が相対的に低い顧客の掘り起し等を実施したことで成長した。
②ITオフショア開発事業
増収減益。
エンジニアの人員数の増加と、開発の効率化に伴う単価の上昇が増収に寄与した。
③投資事業
大幅な増収増益。
投資先を42社まで拡大している。
(3)財政状態とキャッシュ・フロー
◎要約バランスシート
| 17年9月末 | 18年9月末 |
| 17年9月末 | 18年9月末 |
流動資産 | 5,395 | 15,227 | 流動負債 | 3,584 | 14,890 |
現金等 | 2,054 | 5,370 | 営業債務等 | 2,045 | 4,375 |
営業債権等 | 1,567 | 4,437 | 有利子負債 | 782 | 6,725 |
その他の金融資産 | 1,520 | 3,869 | 非流動負債 | 903 | 4,517 |
非流動資産 | 2,491 | 9,695 | 有利子負債 | 622 | 4,044 |
有形固定資産 | 393 | 1,097 | 負債合計 | 4,488 | 19,407 |
無形固定資産 | 641 | 2,302 | 資本 | 3,400 | 5,515 |
のれん | 752 | 5,073 | 資本剰余金 | 815 | 2,117 |
その他の金融資産 | 538 | 1,023 | 利益剰余金 | 1,145 | 1,909 |
資産合計 | 7,888 | 24,923 | 負債・資本合計 | 7,888 | 24,923 |
*単位:百万円
*現金等は現金及び現金同等物。営業債権等は、営業債権及びその他の債権。営業債務等は営業債務及びその他の債務。
主としてDeNAトラベルの子会社により資産合計は同170億35百万円増加の249億23百万円となった。
有利子負債の増加などで負債合計は同149億19百万円増加の194億7百万円。
資本剰余金及び利益剰余金の増加で、資本は同21億15百万円増加の55億15百万円。
この結果、自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は前期末の38.0%から17.4ポイント低下し20.6%となった。
◎キャッシュ・フロー
| 17/9期 | 18/9期 | 増減 |
営業CF | 218 | 557 | +339 |
投資CF | -1,437 | -1,010 | +427 |
フリーCF | -1,219 | -453 | +766 |
財務CF | 941 | 3,771 | +2,830 |
現金同等物 | 2,054 | 5,370 | +3,316 |
*単位:百万円
DeNAトラベルの子会社などで長短借入金が増加。キャッシュポジションは上昇した。
3.2019年9月期業績見通し
(1)業績見通し
業績予想は非開示も大幅な増収・増益を見込む。
19年9月期業績については現時点では市場動向や顧客動向を踏まえた損益の合理的な予測が困難な状況であることから非開示としている。
前期に続き、①オンライン旅行事業における当社ブランド「エアトリ」のブランド認知や販売強化、②買収した子会社の業績通期寄与やPMIの成果、子会社上場へ向けた各種施策、③投資事業の成果等により、大幅な増収及び増益の確保を見込んでいる。
一方、オンライン旅行市場の拡大や業界変化は急速なスピードで変化しており、その中で当社はこれまで以上にマーケティングコストの積極的な投下によるブランド認知の獲得や積極的な新規事業投資による将来収益の基盤作りを目指していく。
また、配当予想も非開示だが、配当性向20%を目安に配当を実施する方針に変更は無い。
なお、業績見通しを合理的に予測することが可能となった段階で、速やかに業績予想を開示する予定。
(2)各種取り組み
◎取扱高
前期の831億円を大幅に上回る1,500億円以上の連結取扱高を見込んでいる。
◎投資及び利益
今期も戦略的投資を継続し、来期以降の利益回収を目指す。
◎エアトリのマーケティング戦略
航空券のNo.1サイトから「圧倒的No.1」への飛躍のために、TVCMに加え、SNS、OOH広告(アウト・オブ・ホーム:屋外広告、ラッピングカー、電車内広告など、家の外にある広告の総称)も含め多面的・大規模なプロモーションを展開する。
TVCMからのブランド構築が以降のプロモーション展開に寄与してくると会社側は見ている。
◎子会社上場プロジェクト
インバウンドプラットフォーム(キャンピングカーレンタル、両替など訪日外国人向け事業を展開)、まぐまぐ(メルマガ「まぐまぐ」を始めとした各種メディアを展開)、Evolable Asia Solutions(ベトナムのIT開発会社)の子会社3社のIPOを推進中である。
◎M&A:PIMの成果
同社はこれまでに約20社の買収を行ってきたが、多くのケースでPMI(Post Merger Integration:M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセス)によって対象企業の業績向上を実現させている。
まぐまぐ | メルマガ著者の紹介、広告の営業協力、経営合理化、システム開発支援などを行った。 営業利益は買収前後12カ月間比較で221%の大幅成長となった。 |
Destination Japan | システム及びUIの改修、SEO・SEM改善、業務効率化を進めたほか、エルモンテおよびエクスチェンと合併しUPOを目指している。 営業利益は買収前後5カ月間比較で273%の大幅成長となった。 |
DeNAトラベル | 「エアトリ」ブランドへの統合、サービス統合、会員統合、経営合理化を進めた。 買収後4カ月で黒字化に成功した。 |
◎新規事業:再生事業
投資事業において新たに投資再生事業を開始した。
上記のPMIにおける豊富なノウハウや実績を活かして事業再生に取り組む。
4.トピックス
直近の主なトピックスは以下の通り。
(1)オンライン旅行事業
①「エアトリ」の拡大
引続き「エアトリ」の利用者、取扱高の拡大に取り組んだ。
*新TVCM
18年11月からイメージキャラクターとしてロバートの秋山を起用した新TVCMの配信を開始した。
*サイト統合
エアトリと旧DeNAトラベルのサイトを18年11月に統合。
1つのアプリで国内航空券・海外航空券の両方が検索サイトへ遷移することなくアプリ内で検索できるようになり、利便性が一段と向上した。
*ブランディング実績
需要期である夏季のハイシーズンにおいてTVCMを始めとしたプロモーション効果により、検索トレンドが大きく向上し、競合他社サイトを大きく引き離すこととなった。
年末年始のハイシーズンにおいて更に差をつける考えだ。
②各種提携を実現
取扱高拡大に向け積極的に提携を進めている。
LINEトラベルjpへの国内航空券提供、NAVITIME Travelへの海外航空券提供、TRAVEL Nowへの国内航空券提供を相次いで開始した。
NAVITIME Travelについては6言語に対応し、既に提供している国内航空券に次いで更なる販路拡大となる。
またTRAVEL Nowについては18年6月からの企画旅行の提携に次ぐものである。
◎BTMクライアント数は着実に増加
18年9月末時点でのBTM事業クライアント数は前年9月末比1,754社増加の2,906社となった。
DeNAトラベル買収による増加もあるが、エアトリBTMとしてエアトリ法人デスクを新設したほか法人専用サイトを統合した効果もあり、四半期ごとの増加ペースは買収前の約50社から約100社に上昇している。
(2) ITオフショア開発事業
◎グループ会社を含め順調に推移
前述のように、ラボ人員数は18年9月末で約1,000名。3年以内に3,000名と世界一の規模を目指している。
今期の新規受注は14社。
引続き「Evolable Asia Solutions」の上流工程のエンジニアに対するニーズは高く、安定成長が続いている。
◎グループの拡大
18年8月、クリエイターを軸として様々な事業を展開する株式会社カヤック(神奈川県鎌倉市)の開発子会社であるKAYAC HANOI CO., LTD(ベトナム ハノイ)持分を100%取得した。
KAYAC HANOI CO., LTDはゲーム、VRを中心に制作ノウハウを持つエンジニア、WEBデザイナー等が約30名を有している。
エボラブルアジアのITオフショア開発事業は、ゲーム業界のクライアントへのサービス提供に強みを有しており、クライアントからのニーズも数多い。
今回の持分取得によりゲーム開発人員のパイプラインを強化することで、開発力を更に強化する。また、同じハノイに拠点を有するM&Aであることから、統合効果も創出し易い状況と考えている。
(3)投資事業
◎投資実績
引続き投資育成を強化しており、18年11月現在、49社への総投資額累計は19億円となっている。
◎上場案件第2号が誕生
2018年3月の株式会社和心(わごころ、証券コード9271)の東証マザーズ上場に次ぎ、18年12月11日、出資先第2号IPO案件となる株式会社ピアラ(証券コード:7044)が、同じく東証マザーズに上場した。
ピアラ社は、 RESULT プラットフォーム(統合マーケティングオートメーションシステム&データーマネージメントプラットフォーム、成果報酬型アフィリエイトシステム、ECカートなど)を運営しており、述べ 600社以上に対するダイレクトマーケティング支援のノウハウが強みで、独自テクノロジーにデータとコンサルティングを組み合わせて新規の顧客獲得から顧客育成に至るまで各クライアントの課題に応じたKPIにコミットしたサービス提供を行っている。
5.今後の注目点
19年9月期の業績予想は非開示だが、会社側は「取扱高は倍増近い1,500億円以上、大幅増収、増益確保」を見込んでいる。
元より投資フェーズにある同社をPER等で株価評価することは適切ではないため、明確な関連性は見えないものの、毎月の取扱高推移を売上の関連指標として継続的にウォッチしていきたい。
取扱高におけるエアトリ(旧DeNAトラベル)上乗せ効果がなくなる19年6月以降の伸び率も注目したい。
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎組織形態、取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役会設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外2名 |
監査役 | 4名、うち社外2名 |
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2017年12月28日
<基本的な考え方>
当社グループは、事業環境の変化に迅速に対応した意思決定、永続的な事業展開ならびにステークホルダーからの信頼獲得を重要な経営課題と位置づけ、経営の健全性・透明性・効率性を高めるために、コーポレートガバナンス体制の強化、コンプライアンスの徹底とディスクロージャー(情報開示)の適時・適切性を重視し、全社を挙げて取り組んでおります。
<実施しない主な原則とその理由>
原則 | 実施しない理由 |
【補充原則1-2-4】
| 当社は、現時点において、株主総会における議決権の電子行使の採用及び招集通知の英訳等は実施しておりません。今後の株主数や株主構成の変化等の状況に応じて、実施を検討してまいります。 |
【補充原則4-1-2】
| 当社は、現時点においては中期経営計画を公表しておりませんが、取締役会では中期経営計画の策定を行い、その進捗状況を管理しております。今後、中期経営計画の公表について検討してまいります。 |
<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>
原則 | 開示内容 |
【原則1-4】
| 当社は、政策保有株式について、事業上の連携強化が見込まれる場合等、当社の企業価値の維持又は向上に資すると判断した場合に保有することがあります。 |
【原則5-1】
| 当社のIR活動は、管理部を担当部署とし、財務・経理担当、広報担当、総務・人事担当、経営企画室が連携して対応することにより、株主や投資家との建設的な対話の推進に努めております。また、経営トップ自らが出席する年2回の決算説明会に加え、個人投資家向けの会社説明会を実施するとともに、合理的な範囲で、個別面談の申込みにも対応する方針としております。 |
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