ブリッジレポート:(6050)イー・ガーディアン vol.27
高谷 康久 社長 | イー・ガーディアン株式会社(6050) |
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会社情報
市場 | 東証1部 |
業種 | サービス業 |
代表者 | 高谷 康久 |
所在地 | 東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー8F |
決算月 | 9月 |
HP |
株式情報
株価 | 発行済株式数(自己株式を控除) | 時価総額 | ROE(実) | 売買単位 | |
1,867円 | 10,224,501株 | 19,089百万円 | 28.9% | 100株 | |
DPS(予) | 配当利回り(予) | EPS(予) | PER(予) | BPS(実) | PBR(実) |
- | - | 79.72円 | 23.4倍 | 279.32円 | 6.7倍 |
*株価は6/20終値。
連結業績推移
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 親会社株主帰属利益 | EPS | DPS |
2015年9月(実) | 3,018 | 328 | 350 | 192 | 19.80 | 14.00 |
2016年9月(実) | 3,813 | 562 | 554 | 350 | 35.26 | 4.00 |
2017年9月(実) | 5,067 | 811 | 840 | 572 | 56.57 | 6.00 |
2018年9月(実) | 5,902 | 1,039 | 1,049 | 736 | 72.05 | 8.00 |
2019年9月(予) | 6,801 | 1,159 | 1,179 | 814 | 79.72 | - |
* 予想は会社予想。単位は百万円、円。
* 2015年10月に1:3株、2016年7月に1:2の株式分割を実施(EPSは分割を反映)。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2019年9月期上期決算概要
3.2019年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 19/9期上期は前年同期比9.9%の増収、同10.6%の営業増益。CtoC向けや仮想通貨向けを中心にソーシャルサポートの売上が同19.9%増加した他、海外ゲーム会社のカスタマーサポートを中心にゲームサポートの売上も同4.1%増加。人件費の増加や本社移転費用の計上による販管費の増加を吸収した。
- 通期予想に変更はなく、前期比15.2%の増収、同11.5%の営業増益。上期業績が期初予想を上回ったものの、国内ゲーム会社向けが不透明な事から通期予想を据え置いた。全ての業務での売上の増加と稼働率の向上による売上総利益率の改善で販管費の増加を吸収。5期連続の営業最高益更新が見込まれる。
- 売上・利益の順調な増加だけでなく、19/9期の施策(①ワンストップサービスによる既存顧客の深耕、②新たな領域にサービスを横展開、③E-Guardian Philippines Inc.を拠点とし、拡大する海外市場に注力、及び④RPAやAIを利用した更なる効率化)の順調な進捗が確認できた。下期はRPAやAIを利用した効率化効果が本格的に顕在化してくる見込みで、一段の収益性改善が期待できる。
1.会社概要
経営理念として「We Guard All」を掲げ、様々なセキュリティサービスをワンストップで提供する総合ネットセキュリティ企業。投稿監視、カスタマーサポート、ソフトウェア及びハードウェアのデバッグ、更にはセキュリティ脆弱性診断等、様々なサービスを提供する事で多様化する顧客ニーズに対応している。
【経営理念 - We Guard All -】
We Guard All すべてのインターネット利用者に、安心・安全を提供します。 |
【イー・ガーディアングループ】
グループは、同社の他、ローコストオペレーションを強みとし低単価案件の収益化能力に優れるイー・ガーディアン東北(株)、スマーフォンアプリやゲーム等のデバッグを手掛けるトラネル(株)、サイバーセキュリティ・脆弱性診断等のサービスを提供するEGセキュアソリューションズ(株)、電子デバイスのデバッグを手掛ける(株)アイティエス、及びグローバル展開の拠点であるE-Guardian Philippines Inc.の5社。
【事業区分と成長戦略】
事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、その他の4業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。
ソーシャルサポート
ソーシャルネットワークサービス(SNS)やECメディア等のソーシャルメディアへの投稿を監視する投稿監視や問い合わせ対応を24時間365日体制で提供しており、多様なニーズを取り込むべく、風評調査、多言語対応、サイト運用、分析等にサービスの幅を広げている。人による目視監視(ヒューマンリソース)に加え、投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の活用で対応している。
ゲームサポート
ソーシャルアプリやオンラインゲーム等において、デバッグとカスタマーサポートを一体としたサービスを提供している。カスタマーサポートでは、バグ(苦情)、機能の使い方(質問)、更にはゲーム内での不正行為の通報等、チャットボット(「チャット」と「ロボット」を組み合わせた自動会話プログラム)、メール、電話で対応。デバッグ(プログラムの「バグ」と呼ばれる「誤り」を探し、取り除く事)は連結子会社トラネル(株)の事業領域。また、フィリピン現地法人E-Guardian Philippines Inc.を中心に、上記経営リソースを活用しつつ、海外企業の日本進出支援(ローカライズ、デバッグ、脆弱性診断、運用等)と日本企業の第3国への進出支援にも力を入れている。
アド・プロセス
広告審査業務、広告枠管理、入稿管理、及び広告ライティング等のサービスを手掛けており、広告入稿管理業務を円滑に実施するためのシステム開発とのセット販売等で競合他社との差別化に成功している。また、ネット広告市場の成長に合わせた新商材の開発や顧客へ常駐し業務を実施する常駐型案件の獲得にも注力している。更には、画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウ エーアイ)」を活用し、マーケティング支援及び著作権侵害のパトロール等のサービスを提供。
その他
Webアプリケーション脆弱性診断を中心に、サイバーセキュリティコンサルティング、顧問サービス、講演・教育、WAF(Web Application Firewall)導入支援等を手掛けるEGセキュアソリューションズ(株)、及びIoT時代の到来を踏まえ、電子デバイスに対するデバッグのノウハウや顧客層の取り込みを目的に子会社化した(株)アイティエスの収益が計上されている。
【強み 人とシステムによる低コスト・高品品質の実現、リスク高度化とサービス多様化への対応力】
TVゲーム・携帯ゲームがソーシャルゲーム・クラウドゲームに、電話問い合わせがメール・チャットに、現金決済・クレジットカード決済が電子決済・仮想通貨・Fintechに、それぞれ代わり、SNSやブログ等のソーシャルWebサービスのが、CtoC、シェアリングサービス、VR、AR、と多様化している。これに伴い、標的型攻撃、ランサムウェアによる被害、脆弱性対策情報の悪用、インターネットバキグの不正利用、スマートフォンへの攻撃、個人情報の窃取、更にはサービスの妨害を目的とした攻撃等、リスクも高度化しており、セキュリティ侵害は年々深刻化している。
こうした中、同社は、セキュリティのワンストップサービスを構築し、ネットの安心・安全に必要なものを全て提供している。強みは、①人とシステムによる低コスト・高品質の実現と②リスク高度化とサービス多様化への対応力。①人とシステムによる低コスト・高品質の実現では、人による目視監視(ヒューマンリソース)と、人工知能型テキスト監視システム、人工知能型画像認識システム、画像内物体検知システム、及びRPAによる低コスト・高品質なサービスを24時間・365日提供している。②リスク高度化とサービス多様化への対応力では、18/9期において、IoTセキュリティコンサルティング、セキュリティ診断サービス、及びスマホ脆弱性診断を導入した。また、仮想通貨の広告パトロール、シェアリングエコノミー本人認証、IoTセキュリティコンサルティング、ゲームコンシェルジュ、e-Sports、インフルエンサーパトロール、ライブコマースパトロール、といった新領域に参入した。
オペレーションの専門ノウハウ | 他社に先駆けてのAI活用 |
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2.2019年9月期上期決算概要
単位:百万円 | 18/9上期 | 構成比 | 19/9上期 | 構成比 | 前年同期比 | 上期初予想 | 予想比 |
売上高 | 2,926 | 100.0% | 3,216 | 100.0% | +9.9% | 3,236 | -0.6% |
売上総利益 | 1,032 | 35.3% | 1,128 | 35.1% | +9.3% | - | - |
販管費 | 511 | 17.5% | 552 | 17.2% | +8.0% | - | - |
営業利益 | 520 | 17.8% | 576 | 17.9% | +10.8% | 521 | +10.6% |
経常利益 | 533 | 18.2% | 600 | 18.7% | +12.6% | 541 | +11.0% |
親会社株主帰属利益 | 364 | 12.4% | 394 | 12.3% | +8.2% | 374 | +5.3% |
本社移転費用を吸収して同10.6%の営業増益
売上高は前年同期比9.9%増の32億16百万円。CtoC向けや仮想通貨向けを中心にソーシャルサポートの売上が同19.9%増加した他、ゲームサポートも国内ゲーム会社向けの減少を海外ゲーム会社向けで吸収して同4.1%増加。業務フロー構築から広告運用代行までを手掛けるワンストップサービスによる顧客深耕でアド・プロセスの売上も同12.2%増加した。
利益面では、人件費の増加や本社移転(2019年1月)費用の計上による販管費の増加を増収効果で吸収して営業利益が5億76百万円と同10.6%増加。補助金収入の増加等による営業外損益の改善で経常利益は同12.5%増加。本社移転に伴う特別損失の計上や税負担率上昇の影響を吸収して最終利益は3億94百万円と同8.2%増加した。
【セグメント別動向】
単位:百万円 | 18/9期 上期 | 構成比 | 19/9期 上期 | 構成比 | 前年同期比 |
ソーシャルサポート | 954 | 32.6% | 1,143 | 35.5% | +19.9% |
ゲームサポート | 1,236 | 42.2% | 1,287 | 40.0% | +4.1% |
アド・プロセス | 379 | 13.0% | 426 | 13.3% | +12.2% |
その他 | 355 | 12.1% | 359 | 11.2% | +0.9% |
売上高合計 | 2,926 | 100.0% | 3,215 | 100.0% | +9.9% |
※ 2018年10月のEGヒューマンソリューションズ(株)の吸収合併に伴い、18/9期上期は当該会社に関わる業績を組み替えた。
ソーシャルサポート
CtoC向けや仮想通貨向けを中心に売上高が11億43百万円と前年同期比19.9%増加した。CtoC向けサービスは、サービス開発時の脆弱性診断やデバッグ、サービス開始時の本人認証、不正取引の監視、CtoCパトロールサービスといった一連のサービスをワンストップで提供している。一方、仮想通貨向けでは、ビットコイン口座開設時に本人確認資料の審査を行う「ビットコイン本人認証サービス」を提供しており、2018年4月に施行された改正資金決済法(いわゆる仮想通貨法)が追い風になっている。同法により、仮想通貨取引所が登録制となり、口座開設時の本人確認が義務付けられた。
ゲームサポート
国内ゲーム会社向けの国内サービスが減少したものの、日本市場に参入する中国系及び韓国系海外ゲーム企業のカスタマーサポートや国内ゲーム会社の海外展開に際しての多言語カスタマーサポートが増加した事で、売上高が12億87百万円と前年同期比4.1%増加した。この他、デバッグを提供するトラネル(株)と連携したサービスの受注に注力した他、プログラムの改ざんや自動化ツールによる違反行為の増加に対応するべく、EGセキュアソリューションズ(株)の脆弱性診断とトラネル(株)のデバッグを活用したチート・ボット対策セキュリティ診断サービスの提供を開始した。
アド・プロセス
売上高が4億26百万円と前年同期比12.2%増加した。当初は広告審査業務からスタートしたアド・プロセス業務だが、現在は、業務フロー構築から運用代行にサービスの幅を広げ、ワンストップサービスを提供している。人手不足に悩む広告業界のニーズの取り込みが増収に寄与している。
その他
EGセキュアソリューションズ(株)によるIoTセキュリティコンサルティング、(株)アイティエスによる電子デバイスに対するデバッグ、更にはソフトウェアのデバッグを行うトラネル(株)とのシナジー等で売上高が3億59百万円と前年同期比0.9%増加した。
【財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)】
財政状態
単位:百万円 | 18年9月 | 19年3月 |
| 18年9月 | 19年3月 |
現預金 | 2,318 | 2,607 | 未払金・未払費用 | 437 | 487 |
売掛金 | 623 | 692 | 未払法人税・未払消費税等 | 258 | 271 |
流動資産 | 2,993 | 3,369 | 賞与・役員株式給付引当金 | 108 | 103 |
有形固定資産 | 443 | 477 | 有利子負債 | - | - |
無形固定資産 | 47 | 39 | 負債 | 933 | 1,010 |
投資その他 | 296 | 297 | 純資産 | 2,848 | 3,173 |
固定資産 | 788 | 815 | 負債・純資産合計 | 3,781 | 4,184 |
安定したCFと好業績による現預金と純資産の増加、及び業容拡大に伴う売上債権・仕入債務の増加で、上期末の総資産は41億84百万円と前期末と比べて4億02百万円(10.6%)増加した。自己資本比率75.8%(前期末75.3%)。
キャッシュッシュ・フロー(CF)
単位:百万円 | 18/9期 上期 | 19/9期 上期 | 前年同期比 | |
営業キャッシュ・フロー(A) | 342 | 436 | +93 | +27.4% |
投資キャッシュ・フロー(B) | -92 | -75 | +17 | - |
フリー・キャッシュ・フロー(A+B) | 249 | 361 | +111 | +44.8% |
財務キャッシュ・フロー | -69 | -73 | -4 | - |
現金及び現金同等物期末残高 | 2,068 | 2,607 | +538 | +26.0% |
自己株式の取得
2019年5月10日から同年6月20日にかけて、100,000株(自己株式を除く発行済株式総数の1.0%)・2億50百万円を上限に自己株式の取得を実施する事を同年5月9日開催の取締役会で決議し、5月22日に終了した。
取得株数 | 100,000株 |
取得価額総額 | 188,084,800円 |
3.2019年9月期業績予想
単位:百万円 | 18/9期 実績 | 構成比 | 19/9期 予想 | 構成比 | 前期比 |
売上高 | 5,902 | 100.0% | 6,801 | 100.0% | +15.2% |
営業利益 | 1,039 | 17.6% | 1,159 | 17.0% | +11.5% |
経常利益 | 1,049 | 17.8% | 1,179 | 17.3% | +12.4% |
当期純利益 | 736 | 12.5% | 814 | 12.0% | +10.6% |
通期予想に変更はなく、前期比15.2%の増収、同11.5%の営業増益
上期業績が期初予想を上回ったものの、国内ゲーム会社向けが不透明な事から通期予想を据え置いた。通期では、全ての業務で売上が増加し、売上高は68億01百万円と前期比15.2%増加する見込み。増収による稼働率の向上で売上総利益率の改善も見込まれ、人件費の増加や本社移転費用等による販管費の増加を吸収する。営業利益は同11.5%増の11億59百万円と5期連続の最高益更新が見込まれる。
(1)下期の施策
下期の施策として、①グループシナジーの拡大、②AIの活用、③フィンテック領域へ展開、④多言語対応へ注力、の4点を挙げている。
①グループシナジーの拡大
サービス領域が広がり、新規の顧客開拓も進んでいるが、既存顧客においては未だ投稿監視・カスタマーサポートの利用が中心である。このため、EGセキュアソリューションズ(株)の脆弱性診断やトラネル(株)及び(株)アイティエスによるソフト・ハードのデバッグのクロスセル等に力を入れ、グループシナジーを追求する事で既存顧客を深耕していく。また、ソーシャルゲームにおけるチート(改ざん)・ボット(自動化)対策として、EGセキュアソリューションズ(株)による違反の芽を事前に摘み取る脆弱性診断とトラネル(株)による違反の有無の検証をセットにした新サービスの販売にも力を入れる。
②AIの活用
AIによる音声処理技術を用いたサービスを提供するHmcomm株式会社(東京都港区、代表取締役社長:三本 幸司)と連携し、AIを活用したリアルタイムAI動画監視フィルタの共同開発を進めている(2019年4月、開発を開始)。
動画サービスや動画投稿アプリ、ライブコマースなどユーザーが気軽に自分で動画を投稿できる配信サービスが存在感を増す中、著作権侵害等の違法動画投稿が増加しており、ソーシャルメディアのプラットフォーム企業は違法コンテンツ排除の対応に追われている。イー・ガーディアン(株)が持つAIソリューションのノウハウとHmcomm(株)のAI音声認識システムの技術を掛け合わせ、リアルタイムでの動画監視を可能にする新たなAIシステムを開発しプラットフォーマーを支援していく考え。
このシステムは、動画ファイル内の音声・映像それぞれのデータを切り出し自動判別する事で、動画監視の効率化を図る。これまで同社は画像検知AI・テキスト認識AIを得意としてきたが、Hmcomm (株)の AI 音声認識システムと連携する事で、映像だけではなく、音声のフィルタリングが可能になる(動画ファイル内の音声をテキスト化してフィルタリングする)。アダルトやグロテスクな表現を含むコンテンツの検知、誹謗中傷、ユーザー間トラブル、著作権侵害など多様な用途での利用が見込め、拡大する動画配信サービスの健全化にも貢献できる。
③フィンテック領域へ展開
仮想通貨サービスで培った技術とノウハウを活かした業務フロー構築や口座開設時の本人認証サービス等で、拡大する国内モバイル決済市場へ展開していく。
この一環として、生体認証技術を基盤に決済等の企業向けシステムを手掛ける株式会社Liquid(東京都千代田区 代表取締役社長:久田 康弘)との連携の下、2019 年3月にeKYC(オンライン本人認証)サービスを開始した。具体的には、(株)Liquid がオンライン本人確認システム「LIQUID eKYC」を提供し、イー・ガーディアン(株)がツールだけでは完結できない目視や運用部分をマンパワーで補完する。
尚、国際的なマネーロンダリングの防止やテロ資金流用対策等を目的に、「犯罪収益移転防止法」において、金融機関等での口座開設時の本人確認が義務化されている。2018 年 11 月の「犯罪収益移転防止法 施行規則」改正で、ネットで完結するオンライン本人確認が可能になった。2019 年 10 月の消費増税に伴うキャッシュレス化の促進で、FinTech関連サービスにおける本人確認のニーズの高まりも予想されるが、その一方で、2020 年 4 月にオンライン本人確認の厳格化が予定されている。この結果として、厳格かつ簡略な新しい本人確認の仕組みの実現が求められる事になり、こうしたニーズに「eKYC」で応えていく考え。
④多言語対応へ注力
日本のゲーム市場が2兆円程度であるのに対して、世界のゲーム市場は11.5兆円。2021年には15.6兆円に拡大するとみられている(同社資料より)。同社グループではE-Guardian Philippines Inc.が、フィリピンのコストで日本品質のサービスを提供しており、この強みを武器に拡大する海外の需要を取り込んでいく。
(2)今後の展望
同社の資料によると、2018年に7.4兆円だった国内IoT市場は、2022年に12.5兆円に拡大するとみられている(出典: IDC Japan「国内 IoT市場 ユー ザ支出額予測」)。
インターネットに潜むリスクに対応して業容を拡大させてきた同社だが、IoT等の新しい技術やサービスの普及で新たなビジネスチャンス(ネットにつながるリスク、機器のハイテク化、サービス運用の高度化等)が生まれている。海外の需要取り込みも念頭に入れ、カバーするセキュリティ領域を拡げる事で、総合ネットセキュリティサービス企業として更なる業容拡大を目指していく。
4.今後の注目点
19/9期の事業戦略として、①ワンストップサービスによる既存顧客の深耕、②新たな領域にサービスを横展開、③E-Guardian Philippines Inc.を拠点とし、拡大する海外市場に注力、及び④RPAやAIを利用した更なる効率化、の4点を挙げている。この上期は、ソーシャルサポートやアド・プロセスにおいてワンストップサービスによる既存顧客の深耕が進んだ。また、②新たな領域へのサービスの横展開についても、eKYC(オンライン本人認証)サービスを開始した他、AIを活用したリアルタイムAI動画監視フィルタの開発を開始する等、一定の成果をあげる事ができた。E-Guardian Philippines Inc.についても、初年度から黒字を確保した。売上・利益の順調な増加だけでなく、中長期の成長を視野に入れた施策が着実に進んでいる事がわかる。
④RPAやAIを利用した更なる効率化については、当初から、下期以降の顕在化を想定していた。「国内ゲーム会社向けが不透明」として、通期の業績予想を据え置いたが、下期は一段の収益性改善が期待できる。
参考:コーポレート・ガバナンスについて
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査等委員会設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2018年12月26日)
基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的を企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることであると認識しております。そのために、財務の健全性を追求すること、タイムリーディスクロージャーに対応した開示体制を構築すること、取締役及び独立性の高い社外取締役が経営の最高意思決定機関として法令に定める重要事項の決定機能及び各取締役の業務執行に対しての監督責任を果たすことを経営の最重要方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの効果を上げるため、内部統制システム及び管理部門の強化を推進し、徹底したコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進してまいります。
また、当社は、以下の5点をコーポレート・ガバナンスの基本方針として掲げております。
・全ての株主に対して実質的な平等性を確保するとともに、株主の権利の確保と適切な権利行使に資するための環境整備を行います。
・株主をはじめとする全てのステークホルダーとの適切な協働を実践するため、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めます。
・法令に基づく開示以外にも、株主をはじめとするステークホルダーにとって重要と判断される情報(非財務情報も含む)を、様々な手段により積極的に開示を行います。
・取締役会は、取締役の職務執行に対する独立性の高い監督体制を構築し、経営の健全性の確保と透明性の高い経営の実現に取り組みます。
・最高財務責任者を中心とするIR体制を整備し、株主や投資家との対話の場を設けます。
<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画】
当社では、激しく変化するインターネットビジネス分野において、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、数値目標をコミットメントする中期経営計画は公表しておりませんが、経営陣は中期経営計画を定めるとともに、その進捗状況の確認、分析を行っております。取締役会は、その中期経営計画を決議するとともに、進捗状況や分析結果について報告を受け、監視、監督をすることとしております。
<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、事業戦略、取引関係などを総合的に勘案し、中長期的な観点から当社グループの企業価値の向上に資することを確認したうえで上場株式を新規保有し、また、継続保有する場合は毎年判断することとしております。その議決権行使は、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として行うこととしております。なお、現在、当社は政策保有に係る株式は保有しておりません。
【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、最高財務責任者である管理部担当役員が、IR担当部署である管理部を統括し、営業部広報担当者とも連携して、IR活動を行うこととしております。
株主や投資家に対しては、個別面談に加えて、経営トップが出席する決算説明会を半期に1回、個人投資家向け会社説明会を年に1回、それぞれ行っております。これら資料はWebサイトにも公開し、積極的に情報開示を行うこととしております。
なお、株主との対話においては、インサイダー情報の漏洩防止に留意しております。
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