ブリッジレポート
(4248) 竹本容器株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4248)竹本容器 vol.9

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竹本 笑子 社長

竹本容器株式会社4248

- 会社情報 -

市場 東証1部
業種 化学(製造業)
代表取締役社長 竹本 笑子
所在地 東京都台東区松が谷2-21-5
決算月 12月
HP http://www.takemotokk.co.jp/

- 株式情報 -

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,564

12,528,400

19,594百万円

14.8%

100

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

19.00円

1.2%

93.91

16.7

679.43

23

*株価は3/4終値。発行済株式数、ROE、BPSは前期末実績。

- 業績推移 -

(単位:百万円、円)

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期利益

EPS

DPS

201212月()

9,654

632

658

434

42.39

2.00

2013年12月(実)

10,017

757

813

592

57.78

2.50

2014年12月(実)

11,062

877

879

581

56.48

9.50

2015年12月(実)

12,221

1,250

1,275

827

72.82

14.00

2016年12月(実)

12,799

1,259

1,279

836

73.65

15.00

2017年12月(実)

14,201

1,412

1,440

986

82.29

17.00

2018年12月(実)

16,022

1,630

1,762

1,211

96.72

18.50

2019年12月(予)

16,934

1,678

1,706

1,176

93.91

19.00

*(予)は会社側予想。2014年9月12日付で1:10の、2019年1月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して計算。
当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

竹本容器株式会社の2018年12月期決算概要、中期計画(2019~2021)概要などをご紹介致します。

― 目次 ―

今回のポイント

1.会社概要

2.2018年12月期決算概要

3.2019年12月期業績見通し

4.中期計画(2019~2021)概要

5.今後の注目点

<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 18年12月期の売上高は前期比12.8%増の160億22百万円。国内外ともスタンダードボトル、カスタムボトルの需要を取り込んだ。営業利益は同15.5%増の16億30百万円。償却費増、生産増に伴う人件費増などで販管費も同10.3%増加したが増収効果で吸収した。売上、利益ともに期初計画、修正計画を上回った。
  • 19年12月期の売上高は前期比5.7%増の169億円の予想。消費者ニーズの多様化や商品サイクルの短縮化により開発コスト削減および開発期間短縮ニーズは引続き強く、スタンダードボトルニーズの拡大が続く。積極的な開発提案を行うとともに、新規金型も増加する。岡山工場の既存棟改修や結城工場の増設を行い、生産能力を増強する。営業利益は同3.0%増の16億78百万円の予想。金型開発と増産対応及び省力化投資等に伴う減価償却費負担は177百万円の増加を見込む。また増産対応と原材料価格上昇により原材料費も増加するが、販管費の抑制に努め増益を計画している。配当は中間、期末共に9.50円/株の予定。株式分割考慮後で前期比0.5円/株の増配。予想配当性向は20.2%。配当性向は20%以上を目標としている。
  • 今期を初年度とする3年間の中期計画を発表した。ポイントとしてサステナビリティー(環境への取り組み)、.スピーディーかつアジャイルな体制、デジタルとリアルの協働を掲げ、変化に柔軟に対応する企業作りを目指す。旺盛な需要に対応し生産能力を増強するとともに、グローバルな営業、開発、生産活動を展開し、2021年12月期、売上高191億円、営業利益18億円達成を目標としている。
  • 原材料価格上昇、償却負担及び人件費増という条件ではあったが、2桁の増収増益で計画も上回る好調な決算であった。今期の増収率増益率は1桁にとどまる見込みではあるものの、19年1月に発表した中期計画は18年2月の公表数値を上回り、当面は堅調な業績推移が期待できるようだ。特に、堅調な日本に加え、中国及びインド、オランダのトップラインの大きな伸びが目を引く。足元の業績推移と共に、中期計画に掲げている「新規事業の創出」が具体的にどういうものかを注目したい。

1.会社概要

化粧品・美容事業者、食品・健康食品事業者、日用・雑貨事業者、化学・医薬品事業者を主な顧客として、自社で容器の企画・設計を行い、製造に必要な金型を自社で所有する容器である「スタンダードボトル」を製造・販売。2018年12月末で3,463型の金型を所有する。高い開発提案力、豊富なストックに加え、幅広い顧客層、小ロット・多品種・短納期に対応する製品供給体制等が大きな特徴。海外展開にも積極的。海外子会社は中国に2社、米国、オランダ、タイ、インドに1社。

【沿革】

創業者竹本茂氏(竹本笑子社長の祖父)が、同社の前身となる竹本商店を1950年に創業。第二次大戦終戦後のモノ不足の中、使用後のガラス壜を回収し、新品同様に再生する「古壜再生業」でスタートした後、1953年に竹本容器株式会社を設立し、ガラス容器の販売を開始。1963年には同社を特徴づける自社ブランド品「スタンダードボトル」の取扱いを始めた。
1980年代に入ると、竹本雅英専務(現相談役、竹本笑子社長の父)が先頭となり、顧客の注文に応じて容器を製造する「特注品」が主流で、ボトルと付属品の取扱い業者が分離していた関西地区において、「スタンダードボトル」と「ワンストップ供給」を武器に新規開拓に注力。品揃えの豊富な同社は顧客の需要を確実に取り込み、販路を拡大した。当時としては画期的であったこの大阪進出がその後の福岡、札幌、名古屋への展開につながり、全国をカバーする販売・サービス網の構築に成功した。
1984年にはさらに競争力を強化するためには商社機能に加えメーカー機能が必要と考え、吉川工場(埼玉県吉川市)を開設し、プラスチック容器の加工・印刷を開始した。
1996年には業界で先駆けて中国に製造・販売の子会社を設立し、グローバル化戦略をスタート。
2004年、竹本笑子氏が代表取締役社長に就任し、国内市場におけるシェアアップと海外市場の開拓をさらに推進中。2014年12月、東京証券取引所市場第2部に上場。2017年6月、東京証券取引所市場第1部に指定された。

【社是及び使命】

社是
お客様の心でボトルをつくる・・・
使命
生活上必要不可欠な容器 カタチ(容)あるウツワ(器)-をつうじて顧客の商品である内容物の価値を安全に包み、さらにその価値と個性化を高め「世界の器文化に貢献」することである。

 

1996年の中国進出も、器文化の本場中国といつかは手を組んで事業がしたいと考えていた創業者の想いが実を結んだものであった。竹本笑子社長もこの理念、使命を企業の根幹に置き、社員研修を始めとした様々な機会を使って社員への浸透を図っている。

【市場環境】

◎成熟する国内市場

下のグラフにあるように、容器の出荷金額はここ数年横ばいが続いており、今後も人口減少の進行が予想される中、国内需要の大きな伸びは期待し難い。

 

 

ただその一方で、以下のような状況を背景に、同社の武器である「スタンダードボトル」の需要は今後も拡大することが予想される。

 

消費市場の成熟化、消費者の嗜好の多様化、ネット販売の拡大などにより、商品ライフサイクルの短命化が進み、「大量生産大量販売」の時代は終わり、「少量多品種販売」の時代に入っている。

そうした中、同社の顧客である化粧品・トイレタリー用品メーカー等が面している課題は、「製品開発期間の短縮化」や「経費削減」。

自社による容器開発を抑制する傾向を強めるこれらメーカーにとっては、必要な容器を必要なタイミングに必要な数量だけ調達できるスタンダードボトルを採用する機会は今後益々増大するものと考えられる。

 

一方、2008年の化粧品・トイレタリー容器市場1,558億円における各社のシェア(同社推定)は以下の通り。

 

企業名

シェア

A社

36.4%

B社

9.0%

竹本容器

4.2%

C社

3.7%

D社

3.6%

その他

43.1%

 

顧客が金型の所有権を保有し、金型の費用も負担する「カスタムボトル」は市場の70~80%を占めると推定され、「スタンダードボトル」の市場構成比は20~30%。同社はスタンダードボトルの20%程度のシェアを有していると同社では推定している。

 

圧倒的なシェアを有するトップA社やB社の顧客は、自社で金型投資を行う化粧品大手企業などが中心。
そこで竹本容器は、これまでに培ってきた提案力を差別化要因とし、協力メーカーも活用し、早く、安く、確実に製品を納入する量産体制を構築。顧客金型製品の売上を拡大する。

 

一方、大半の下位企業が商社を通じてスタンダードボトルの販売を行っているため、商社機能とメーカー機能を併せ持つ竹本容器は豊富な品揃えという点で優位性を有している。またメーカーとして開発コスト低減に取り組む事により、価格競争力も向上させシェアを引き上げる。
加えて、金型投資が必要なスタンダードボトルにおいては継続的な投資を実施するための強固な財務力が不可欠であり、業界唯一の上場企業である同社はこの点でも大きなアドバンテージを有している。

 

このように、同社は上位・下位、双方の競合に対するシェア拡大を目指している。後述するように17年12月期の同社の化粧・美容向け売上高は前期比7.9%増で足元の化粧品市場全体の伸びを大きく上回っており、現在のシェアは、2008年当時の上記4.2%よりも確実に上昇していると見られる。

 

◎成長する海外市場

アジアを中心とする新興国市場では化粧品市場が急速に拡大している。
中国市場は5年間で市場規模は5割増加した。2017年には日本を上回ったと見られ、インドやASEAN各国でも高成長が良込まれている。
新興国では日本製ボトルに対する信頼が高く、ここにも大きなビジネスチャンスが存在する。

【事業内容】

化粧品・美容事業者、食品・健康食品事業者、日用・雑貨事業者、化学・医薬品事業者を主な顧客として、容器およびキャップやディスペンサーなど付属品の製造・販売を行っている。
同社の容器は単なる容れ物ではなく、デザイン、機能、バリア性、安全、環境に留意した付加価値の高い製品が中心となっている。

 

 

(同社資料より)

 

(同社資料より)

 

◎ビジネスモデル

化粧品やトイレタリー製品メーカー等の顧客企業が、製品差別化のために独自の容器デザインの製造を容器の成型メーカーに依頼する場合、多くのケースでは容器を製造するための金型製作費用は顧客が負担し、成型メーカーが製品設計と生産を請負い、顧客独自の容器を生産後納品することとなる。
ところが、金型の製作には、一般的に3カ月程度の期間と数百万円の費用が必要であり、多くの顧客企業にとっては容器の調達に時間とコストがかかる点が課題となっている。

 

これに対し、同社は顧客に替わって自社で金型を製作し、顧客が希望する包装容器を生産、納品する。
このため、顧客は自ら金型を製作する場合と比べると短期間でかつ開発コストを抑えて、希望する包装容器を、必要な時に、必要な量だけ調達することができる。
このように、同社が容器の企画・設計を行い、製造に必要な金型を自社で製作・所有する容器を「スタンダードボトル」と呼ぶ。

 

同社が有する金型の種類は2018年12月末現在で3,463点と業界一・世界最多の豊富さを誇る。
自社で開発した標準型のスタンダードボトルに着色や印刷を施し、キャップなどの付属品と組み合わせる「カスタマイズ」により、顧客の差別化ニーズに対応している。
また一部製品については製品在庫を保有するなどし、小ロット、多品種、短納期を実現している。

 

(同社HPより)

 

(同社HPより)

 

販売地域は日本、中国、アメリカなど世界に広がっており、2018年12月期の販売先はグループ全体で約4,500社となっている。

 

スタンダードボトルの売上構成比は全売上高の約7割で、顧客が金型製作を負担する顧客金型製品や、商社として他社製品の仕入なども行っている。

 

(同社資料を基に弊社作成)

 

◎生産体制

国内に6拠点、中国に2拠点、インドに1拠点、オランダに製造提携拠点1か所を有しグローバルな生産体制を構築している。2018年8月には岡山事業所を増築している。
国内生産では、「小ロット・多品種対応」、「短納期対応」、「安定した品質」、「幅広い取扱品目」、「突発受注への対応」、「大量生産へも対応」など、きめ細かく顧客ニーズに対応している。
中国においては、生産能力の拡充、品質の向上に注力中である。

【ROE分析】

2014/12

2015/12期

2016/12期

2017/12

2018/12

ROE (%)

13.1

15.5

14.5

14.3

14.8

 売上高当期純利益率(%)

5.25

6.77

6.53

6.94

7.56

 総資産回転率(回)

1.19

1.16

1.08

1.04

1.02

 レバレッジ(倍)

2.09

1.98

2.04

1.97

1.91

 

利益率の上昇で18年12月期も高ROEを実現。中期的には15%以上を安定的に達成することを目指している。

【特徴と強み】

①幅広く厚い顧客基盤

同社は国内外に約4,500社と極めて幅広い顧客基盤を有している。
加えて、単独の売上高が10%を超える顧客は無く、この顧客基盤から獲得する安定したキャッシュ・フローが、継続的な金型投資を可能にしている。
また、同社の高い開発提案力により顧客満足度は高く、リピーターも多い。

 

②豊富な金型ストック

前述の様に3,463型という豊富な金型ストックは世界トップと同社では推定しており、顧客のニーズに対して柔軟な対応が可能である。
また、品揃えの拡充や、デザインおよび機能性に留意した容器など付加価値の高い製品開発を進めると同時に、金型の標準化、共通化、小型化を進めることで、投資負担やリスクを低減させている。

 

③柔軟な製品供給体制・生産対応力

国内6拠点、海外4拠点(中国2拠点、インド1拠点、オランダ1拠点)の10拠点で相互に連携・補完する生産ネットワークを通じて、高品質な製品を小ロット、多品種、短納期で納品できるグローバルな製品供給体制を構築している。
また顧客ニーズに対応したカスタマイズによる生産体制や、コスト、強度、精度を考慮した新たな生産技術を積極的に導入している。

 

④「開発提案力の高さ」

幅広い顧客基盤(顧客資産)の形成に寄与しているのが、高い開発提案力であり、同社の持続的企業価値創造の源泉といっていいだろう。
現在約30名の企画開発及び技術スタッフが、素材、形状、機能性、安全性などの視点から日々様々なアイデアの具現化に取り組んでいる。
合羽橋ショールームには約1,000種類のスタンダードボトルが展示されており、高い開発提案力の一端を伺うことが出来る。

 

(同社資料より)

 

スタンダードボトル開発基盤・金型基盤を活用して顧客に対し開発提案を行い、顧客のオリジナル金型を低価格、短納期、高品質で提供する事を同社では「カスタムボトル・イノベーション」と名付け、積極的に展開している。 また、開発提案力の更なる強化に向け、デザインラボの建設を進めている。

 

⑤4つの優位性で顧客から高い評価

上記のような「幅広く厚い顧客基盤」をベースに、「開発提案力の高さ」、「豊富な金型ストック」、「カスタマイズ能力」、「柔軟な製品供給体制・生産対応力」という4つの優位性によって顧客ニーズを充足。高い評価を得ている。

2.2018年12月期決算概要

(1)業績概要

(単位:百万円)

17/12

構成比

18/12

構成比

前期比

期初予想比

修正予想比

売上高

14,201

100.0%

16,022

100.0%

+12.8%

+8.8%

+3.4%

売上総利益

4,301

30.3%

4,817

30.1%

+12.0%

-

-

販管費

2,888

20.3%

3,186

19.9%

+10.3%

-

-

営業利益

1,412

9.9%

1,630

10.2%

+15.5%

+21.8%

+8.4%

経常利益

1,440

10.1%

1,762

11.0%

+22.3%

+31.7%

+15.1%

期純利益

986

7.0%

1,211

7.6%

+22.8%

+33.3%

+18.0%

 

スタンダードボトル、カスタムボトルともに増加し増収。減価償却負担増を吸収し増益

売上高は前期比12.8%増の160億22百万円。国内外ともスタンダードボトル、カスタムボトルの需要を取り込んだ。
営業利益は同15.5%増の16億30百万円。償却費増、生産増に伴う人件費増などで販管費も同10.3%増加したが増収効果で吸収した。
売上、利益ともに期初計画、修正計画を上回った。好調な業績を反映し、期末配当を18年2月公表の予想から、3円/株増配して20円とし、年間配当予想を34円/株からを37円/株へ修正した。
(19年1月1日に実施した1:2の株式分割を考慮すると、年間合計18.50円/株で前期比1.5円/株の増配となる。)

 

<製商品別売上動向>

(単位:百万円)

17/12

構成比

18/12

構成比

前期比

自社製品
(スタンダードボトル)

10,225

72.0%

11,515

71.9%

+12.6%

顧客金型製品
(カスタムボトル)

1,596

11.2%

1,636

10.2%

+2.5%

他社製品

2,063

14.5%

2,532

15.8%

+22.7%

材料その他

315

2.2%

336

2.1%

+6.7%

合計

14,201

100.0%

16,022

100.0%

+12.8%

 

開発提案型営業の推進とリピート注文の増加により、日本、中国でスタンダードボトルの売上が増加した。

 

<販売先区分別売上動向>

(単位:百万円)

17/12

構成比

18/12

構成比

前期比

化粧・美容

8,512

59.9%

9,651

60.2%

+13.4%

日用・雑貨

685

4.8%

697

4.4%

+1.8%

食品・健康食品

1,221

8.6%

1,310

8.2%

+7.3%

化学・医薬

661

4.7%

838

5.2%

+26.6%

卸、その他

3,119

22.0%

3,523

22.0%

+13.0%

合計

14,201

100.0%

16,022

100.0%

+12.8%

 

スタンダードボトルの品揃え強化と開発提案型営業の展開により、化粧・美容を中心に全区分で増収。

 

<設備投資と減価償却>

(単位:百万円)

17/12期

18/12期

減価償却費

928

1,021

設備投資額

1,728

1,946

うち、金型

405

476

 

<地域別動向>

(単位:百万円)

売上高

17/12期  

18/12期 

前期比

計画比

日本

11,018

12,063

+9.5%

+4.3%

中国(円ベース)

3,094

3,921

+26.7%

-0.2%

中国(元ベース)

186

234

+26.0%

-0.8%

営業利益
日本

1,077

1,242

+15.3%

+9.9%

中国(円ベース)

337

515

+52.9%

+0.5%

中国(元ベース)

20

30

+52.1%

-0.2%

 

(日本)
顧客企業の業績が好調で化粧品向けを中心とした需要が増加したほか、積極的な開発提案型営業の展開により受注が増加した。
岡山事業所の生産機械増を始めとした国内生産能力増強に伴い製品供給量も増加した。
利益面では製品供給増に伴い材料費、人件費が増加したが、生産性の向上を図り売上総利益は額、率とも増加。
販管費増加を吸収した。

 

(中国)
好調なリピート注文で大幅増収。開発提案型営業によりスタンダードボトルが大きく伸張した。
利益面では、人件費を中心に販管費が増加したが伸び率を低く抑え、営業利益率は13%台に上昇した。
プラスチック原材料価格は前年同期比ではほぼ影響はなかった。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

(単位:百万円)

1712月末

1812月末

1712月末

1812月末

流動資産

6,827

8,340

流動負債

4,178

4,689

現預金

2,342

3,020

仕入債務

2,199

2,593

売上債権

2,983

3,422

短期借入金

459

531

たな卸資産

1,285

1,566

未払法人税等

366

306

固定資産

7,723

8,390

固定負債

2,499

3,486

有形固定資産

7,021

7,573

長期借入金

2,222

3,184

建物及び構築物(純額)

3,188

3,474

負債合計

6,677

8,175

無形固定資産

439

428

純資産

7,872

8,555

投資その他の資産

262

388

株主資本

7,364

8,356

資産合計

14,550

16,730

負債純資産合計

14,550

16,730

有利子負債残高

2,682

3,716

自己資本比率

53.9%

50.9%

 

現預金、売上債権の増加等で流動資産は前期末比15億13百万円増加。固定資産は有形固定資産の増加などで同6億66百万円増加した結果、資産合計は同21億80百万円増加の167億30百万円となった。長期借入金の増加などで負債合計は同14億97百万円増加の81億75百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同6億82百万円増加の85億55百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末より3%低下し、50.9%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

(単位:百万円)

1712

1812

増減

営業CF

2,241

2,028

-213

投資CF

-1,808

-2,194

-385

フリーCF

433

-165

-599

財務CF

170

814

+643

現金同等物残高

2,342

2,860

+518

 

売上債権やたな卸資産の増加等で営業CFのプラス幅は縮小。
有形固定資産の取得による支出の増加で投資CFのマイナス幅が拡大した結果、フリーCFはマイナスに転じた。
前期にあった株式の発行による収入がなくなった一方、長期借入れによる収入があり、財務CFのプラス幅は拡大した。キャッシュポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

◎金型の開発状況

2018年12月末の自社金型数は3,463型となった。
日本とインドでは外部メーカーに金型製作を発注しているが、中国子会社では自社による金型製作も行っている。
現在、日本と中国の金型開発部門では人員増加や金型設計標準化を進めており、より機能性の高い金型開発にも取り組んでいる。

 

18年12月期
完成金型数

製作

合計

日本

137(30)

75(14)

212(44)

中国

117(36)

44(11)

161(47)

インド

3

20

23

合計

257(66)

139(25)

396(91)

*カッコ内はカスタムボトル用金型数

3.2019年12月期業績見通し

(1)業績見通し

(単位:百万円)

18/12月期

構成比

19/12月期(予)

構成比

前期比

売上高

16,022

100.0%

16,934

100.0%

+5.7%

営業利益

1,630

10.2%

1,678

9.9%

+3.0%

経常利益

1,762

11.0%

1,706

10.1%

-3.2%

当期純利益

1,211

7.6%

1,176

6.9%

-2.9%

*予想は会社側発表

 

増収増益

売上高は前期比5.7%増の169億円の予想。消費者ニーズの多様化や商品サイクルの短縮化により開発コスト削減および開発期間短縮ニーズは引続き強く、スタンダードボトルニーズの拡大が続く。積極的な開発提案を行うとともに、新規金型も増加する。岡山工場の既存棟改修や結城工場の増設を行い生産能力を増強する。
営業利益は同3.0%増の16億78百万円の予想。金型開発と増産対応及び省力化投資等に伴う減価償却費負担は177百万円の増加を見込む。また増産対応と原材料価格上昇により原材料費も増加するが、販管費の抑制に努め増益を計画している。
配当は中間、期末共に9.50円/株の予定。株式分割考慮後で前期比0.5円/株の増配。予想配当性向は20.2%。
配当性向は20%以上を目標としている。

 

<設備投資と減価償却>

(単位:百万円)

18/12期
実績

19/12期(予)
予想

減価償却費

1,021

1,198

設備投資額

1,946

3,585

うち、金型

476

700

EBITDA

2,651

2,876

 

需要増加や人手不足への対応、将来への布石を見据え、前期比84.2%増と積極的な設備投資を計画している。
金型投資も同47.1%増と大幅に増加。

4.中期計画(2019~2021)概要

(1)ポイント

今期を初年度とする3年間の中期計画のポイントは以下の4つ。

 

1.サステナビリティー
(環境への取り組み)

(現在の状況)

世界的に特にEUを中心に、環境問題に関する意識が変化するに伴い、包装容器の開発基準・価値観が大きく変化する可能性があり、その動向に注視する必要がある。

 

(今後のテーマ)

①容器業界に影響力の強い欧州に拠点が在り、

②製造・販売の一貫体制を有する自社の優位性を活かし、新基準に適合した容器開発を進めていく。

また、包装容器分野において、新事業を創出していく。

2.スピーディーかつアジャイルな体制

(現在の状況)

環境の変化が激しく、顧客の要求量が増えているため、仕事の回転スピード、生産性を上げる必要がある。

 

(今後のテーマ)

急激な変化に対応するために、スピードに加えて、知的・機敏・的確に動く(アジャイル)ことが求められる。

営業、開発、生産が最短で繋がる神経系統を築く。

また従業員の新たな能力開発のための共育共成体制を強化・構築する。

3. デジタルとリアルの協働

(アジャイルな体制づくり)

アジャイルな活動のためにはデジタルの活用が不可欠である。経験や知見の蓄積と社内情報へのオープンアクセスによってナレッジ共有化を図る。

 

(具体的な活用イメージ)

デザイン、品質、生産シミュレーションの活用や、実験や実物確認により、多くの経験を得る。

 

(2)数値目標

①グループ

(単位:百万円)

19/12期(計)

前期比

20/12期(計)

前期比

21/12期(計)

前期比

売上高

16,934

+5.7%

17,952

+6.0%

19,173

+6.8%

営業利益

1,678

+2.9%

1,712

+2.0%

1,830

+6.9%

売上高営業利益率

9.9%

-0.3p

9.5%

-0.4p

9.5%

0.0p

経常利益

1,706

-3.2%

1,722

+0.9%

1,836

+6.6%

当期純利益

1,176

-2.9%

1,203

+2.3%

1,281

+6.5%

減価償却費

1,198

+17.3%

1,555

+29.8%

1,825

+17.4%

設備投資額

3,585

+84.2%

3,189

-11.0%

2,410

-24.4%

 うち、金型

700

+47.1%

759

+8.4%

749

-1.3%

EBITDA

2,876

+8.5%

3,267

+13.6%

3,655

+11.9%

 

*旺盛な需要に対応し生産能力を増強

2019年上期には岡山既存棟改修工事が完了し、2棟体制で生産を開始する。下期には結城事業所の増設が完了する。
2020年には昆山工場(中国)を増設するほか、自動倉庫を建設。新規事業を立ち上げる。
2021年には中国新工場を建設し、新規事業を立ち上げる。
3年間を通して継続的な金型投資、生産設備投資、省力化投資を実行する。

 

*グローバルな営業、開発、生産活動を展開

日本、中国、タイ、ヨーロッパ、アメリカ、インドで営業、開発、生産が連携して需要を確実に取り込む。

 

プラスチック原材料価格は2019年、前年比2ケタ増を想定。以降はゆるやかな上昇と見込んでいる。
為替レートは、1RMB=16.0円、1USD=110円と想定している。

 

②地域別

(日本)

(単位:百万円)

19/12期(計)

前期比

20/12期(計)

前期比

21/12期(計)

前期比

売上高

12,431

+3.1%

13,045

+4.9%

13,758

+5.5%

営業利益

1,192

-4.0%

1,224

+2.7%

1,445

+18.1%

売上高営業利益率

9.6%

-0.7p

9.4%

-0.2p

10.5%

+1.1p

 

売上続伸を想定している。スタンダードボトル開発の金型投資と生産能力増強の設備投資を継続する。
2019年は増収だが材料費、償却負担が重く減益の予想。2021年以降は利益率が改善し増益を見込んでいる。

 

(中国)

(単位:百万円)

19/12期(計)

前期比

20/12期(計)

前期比

21/12期(計)

前期比

売上高

4,207

+7.3%

4,548

+8.1%

4,914

+8.0%

営業利益

586

+13.8%

569

-2.9%

450

-20.9%

売上高営業利益率

13.9%

+0.8p

12.5%

-1.4p

9.2%

-3.3p

 

2019年は金型投資と生産性向上に取組み増収増益を見込んでいる。2020年以降は昆山工場増設、新工場設立に伴い償却負担が増加し、減益を想定している。

 

(その他)

(単位:百万円)

19/12期(計)

前期比

20/12期(計)

前期比

21/12期(計)

前期比

売上高

564

+75.2%

892

+58.2%

1,125

+26.1%

営業利益

-101

-

-81

-

-66

-

売上高営業利益率

-

-

-

-

-

-

 

インドは、2019年より国内市場向けに本格的に生産・販売を開始する。引き合いや新規案件を確実に取り込み増収につなげ、2024年の黒字化を目指している。
オランダは2019年より現地での生産委託を開始する。金型投資を本格的に開始し販売増につなげる。

 

*同社のグローバルネットワーク

(同社資料より)

5.今後の注目点

原材料価格上昇、償却負担及び人件費増という条件ではあったが、2桁の増収増益で計画も上回る好調な決算であった。
今期の増収率増益率は1桁にとどまる見込みではあるものの、19年1月に発表した中期計画は18年2月の公表数値を上回り、当面は堅調な業績推移が期待できるようだ。特に、堅調な日本に加え、中国及びインド、オランダのトップラインの大きな伸びが目を引く。
足元の業績推移と共に、中期計画に掲げている「新規事業の創出」が具体的にどういうものかを注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態 監査等委員会設置会社
取締役 8名、うち社外4

 

◎コーポレートガバナンス報告書

最終更新日:2018年12月28日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2-4 株主総会の電子行使・招集通知の英訳】【補充原則3-1-2 英語での情報の開示・提供】

機関投資家等の株主構成の状況次第によっては、議決権行使を行いやすい環境の整備や海外株主に向けた英文による情報提供が必要と認識しています。

今後、株主における海外投資家の比率等に留意しつつ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権の電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知等の英訳の検討を行うこととします。

【補充原則4-11-3 取締役会の実効性評価】

取締役会は月一回の定例会のほか、必要に応じて適宜開催し、業務執行にかかわる重要事項が決定・報告されております。

また、経営戦略やガバナンス、経営上の課題について活発な議論が行われ、取締役会の運営状況についても意見交換を行っております。

このような状況ではありますが、現時点では取締役会の実効性評価は実施しておりません。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

安定的・長期的な取引関係の構築・業務提携、連携等により、当社の中長期的な企業価値向上に資すると判断される場合、当該取引先等の株式を保有することができるものとしております。

現在、当社が保有する政策保有株式は、総資産に対して0.1%未満であり、財務上の重要性は極めて低い状況ですが、今後、金額の重要性の高い政策保有株式に関しては、保有継続の必要性、合理性を定期的に検証し取締役会において、精査するものとしております。また、政策保有株式について、その保有意義が薄れてきた銘柄については、取引先との対話等を実施しながら、政策保有株式の縮減を進めていきます。

当該政策保有株式の議決権の行使に関しては、議案が当該企業および当社の中長期的企業価値の向上に資するかの観点から判断しております。

 

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